(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
アミューズメントパークの乗物のための車両は、長い間存在してきた。ごく初期の車両は、軌道の上に乗っていた。これらの車両は、軌道の上の車輪の金属と金属とが擦り合う音に起因して、騒々しかった。これらの車両を利用する乗物は、軌道の除去、再構築、および再設置の難しさに起因して、変化を受け入れなかった。さらに、これらの車両は、自己動力付きではなかった。それぞれの車両、または一連の車両は、乗物全体を通して連続的なループを走るロープ、チェーン、またはケーブルに連結されることが可能であった。また、ロープ、チェーン、またはケーブルの動きが、望ましくない騒音を生じさせた。そのうえ、ロープ、チェーン、またはケーブルの単なる存在が、(つまずき(tripping)、または、もつれ(entanglement)に起因して)身体的な脅威を、乗物車両(ride vehicle)の安全装置から離れた任意の人々、および、アミューズメント用乗物の操作者自身に与える。
【0004】
ごく初期の車両に適用された革新によって、非搭載型の電力供給部によって電力を供給される搭載型の電気モータの形態となった。電力を電気モータに伝送するために、軌道の上を走る車両は、「第3のレール」を利用し、「第3のレール」は、典型的に軌道から所定の固定された距離にある軌道の側部の間、または、その側部へ走っていた。車両から突出する導電性金属ブラシまたはシューが、第3のレールと接触していた。電力は、典型的に、第3のレールから車両の電気モータへ、ブラシまたはシューを介して伝わり、接地された乗物の金属製の軌道に接触する車両の金属製車輪を介して地面に戻された。顧客が、乗物車両を出て、電化された第3のレールの上につまずいた場合に、このタイプの電気式の車両は、顧客の感電死という重大な危険をモータらした。さらに、このタイプの電気式の車両は、依然として軌道に結合しており、すべての問題がそれに関係していた。
【0005】
すべての電気式乗物車両が、軌道に結合しているわけではない。乗客によって操縦される「バンパーカー」などのような車両は、典型的に、乗物の上方に位置付けられている電化されたグリッドに交差してこすり付けるブラシまたは固体導体を介して電力を得ていた。電流は、同様の接点または金属製のローラーを介して地面に戻され、乗物の固体金属の床に直接的に戻されていた。また、顧客が、不適当に絶縁された電極(乗物の上方の電化されたグリッドにこすり付ける接点を支持している)および地面に同時に接触した場合に、このタイプの電気式の車両は、顧客の感電死という重大な危険をモータらす。そのうえ、乗っている間に顧客が車両を出ることとなる場合には、これらの車両は、典型的に乗物の中の車両のうちの1つまたはすべてを不能にし得る安全機能の欠如の問題をモータらした。同様の安全機能の欠如が、軌道の上を走る電化された車両に存在した。
【0006】
車両に電力を供給することに関する革新が、軌道からいくつかの車両を自由にした。例えば、Disney Enterprises,Inc.は、1982年に、EPCOT(登録商標)テーマパークの「Universe of Energy」パビリオンでバッテリ動力付きの乗物車両を導入した。The World According to Jack、http://land.allears.net/blogs/jackspence/2010/10/universe_of_energy_l.html(最終表示日2012年5月8日)。この乗物では、顧客は、「従来の乗物軌道に沿った乗車とは対照的に、床の中に埋め込まれたガイドワイヤを辿る大型のバッテリ動力付きの「移動シアターカー」で、パビリオンを通って輸送された。」Wikipedia、http://en.wikipedia.org/wiki/Universe_of_Energy(最終表示日2012年4月17日)。このタイプの乗物は、乗物車両の分野において2つの問題を生じさせる。
【0007】
第1に、大型のバッテリ作動型の車両の移動は、多量のエネルギーを消費する。大量のエネルギーの貯蔵は、多くの再充電可能なタイプのバッテリを要求する。Universe of Energyの車両に関して、「それぞれの車両が、8つの自動車用バッテリを運んでいる。当然ながら、これらのバッテリは、頻繁に再充電されることが必要であり、したがって、アトラクションの2つのターンテーブル内には、電磁石を含有する「充電プレート」がある。磁石は、車両のバッテリに伝送される電流を作り出す搭載型の磁石と連動して働く。」The World According to Jack、上記参照。このタイプの車両がその充電ステーション(例えば、ターンテーブル)に費やす時間の量と、車両がその自分自身の電力で動くことに費やす時間の量との比率は、1よりも大きいと考えられている。したがって、車両のバッテリは、車両が運動しているときの時間に対して長時間にわたって、ゆっくりと充電されている。
【0008】
第2に、床の中に埋め込まれたガイドワイヤを使用する車両は、軌道の上に乗っている車両と同様に、ワイヤを除去、再構築、および再設置することの難しさに起因して、車両の移動経路の構成の変化を受け入れない。そのうえ、まさに軌道と同様に、ガイドワイヤを辿る車両は、ガイドワイヤの上に留まらなければならず、したがって、車両は、結局は、移動を開始した点に戻らなければならず、それ自体を横切る経路があったとしても、全く不可能ではないにしても容易には、その経路を辿ることは可能でない。
【0009】
さらなる他の問題が、現代のアミューズメント用乗物の設計者に立ちはだかる。乗っている間を通して、単に1つの移動平面の中で維持されながら動くことには、顧客はもはや満足しない。顧客は、ヨー(すなわち、x−y平面での回転)、ピッチ(すなわち、上昇および急降下)、ロール(左および右の揺れ)、およびヒーブ(z軸線に沿った垂直方向の運動)を経験することを望む可能性がある。運動組立体(アッセンブリ、組立部品)は、顧客を運ぶためのこれらの4つの運動度を提供するように存在している。しかし、(所与の数の顧客の重量を支持するプラットフォームを、空間を通してこれらの方向に動かすことに必要とされる)非常に大きな電力消費量に起因して、既知の4つの自由度の運動組立体は、固定された電力供給部に連結されている。これは、運動組立体に電力を供給するために、固定された場所か、または、「第3のレール」タイプの電気接続部を使用する軌道の上の取り付け具のいずれかに、先行技術の運動組立体を取り付けるように制限する。前者の状況は、少なくとも、映像が部屋の中の壁部に映し出されるが、顧客が、通常、単一の部屋に閉じ込められるので(それは、ヨー、ロール、ピッチ、およびヒーブ方向に動く可能性はある)、問題がある。後者の状況は、少なくとも、軌道の上に乗ることに限定された古い乗物車両の顧客が直面するのと全く同じ問題に、顧客が直面するので、問題がある。さらに、顧客が、乗物車両を出て、電化された第3のレールの上につまずいた場合に、感電死の危険が存在する。
【0010】
先行技術の車両の運動に関して、さらなる他の問題が存在する。例えば、「クラブ移動(斜め移動又は蟹行)する」ことができる、すなわち、車両は前方に0°で面しているが、直線的に斜めの方向に、所与の角度(例えば45°)で動くことができる、既知の先行技術の車両は存在しない。さらに、既知の先行技術の車両は、典型的に、車両自体の経路を横切らず、または、車両を混ぜ合わせる経路を辿りながら、他の車両と同時に作動することはない。乗物の設計者が、動いている魚の群れ、急降下する雀の群れ、または、走る野生動物の群れによって作られる一見するとランダムなパターンを模倣したいと考える状況において、同時に作動する複数の乗物車両の経路を混ぜ合わせることができるということは、望ましい。
【0011】
また、バッテリ式の車両の再充電も、問題がある。バッテリ式の車両の設計者は、一日当たりの所与の数のショーに関して、ショーを通して最初から最後まで満載された車両を動かすために貯蔵されていることが必要であると予期される充電の量に基づいて、バッテリ容量を決定する可能性がある。この充電の量は、最大充電値と呼ばれる可能性がある。(1つまたは複数の)ショーの過程の間に、充電がバッテリから排出されることとなる。典型的なバッテリは、その最大充電値の100%から、その最大充電値の10%に落ちるまでを循環させられる可能性がある。何故なら、典型的な設計では、バッテリを再充電する前に、バッテリから出来る限りすべての充電を抜き出すこととなるからである。バッテリが(例えば、10%のレベルにまで)消耗されると、バッテリは、充電システムに接続されることとなり、充電システムは、次のショーのために、その消耗されたレベルから、最大充電値に戻るまで、バッテリをゆっくり充電することとなる。過大な充電量が、あまりに急いでバッテリに押し込まれた場合には、バッテリが過熱することとなるので、急速充電は可能ではなかった。したがって、車両の充電が消耗されると、再充電のために運転休止にされることとなった。運転休止の車両は、余分な車両によって取り換えられることが必要であった。
【0012】
必要とされるものは、自己動力付きであり、推測航法によってアミューズメントを通してその道筋を見つけ出すことが可能であり、そのエネルギーの使用において効率的になるように機械的に設計され、電気的に管理されており、軌道からエネルギーを引き出すか、または、軌道もしくはワイヤを辿るように制約されておらず、極めて近接して同時に作動する他の車両の経路を横切りながら、一見するとランダムなパターンで移動するようにプログラムされることが可能であり、下側ステアリングおよび推進力プラットフォームに対して、上側乗客プラットフォームの独立した回転を可能にし(上側プラットフォームは、ピッチ方向およびロール方向に動き、かつ、下側プラットフォームに対して回転し、ヨー方向に動くようになっている)、そのバッテリを再充電するために、運行から除去されるか、または、運動中の時間に対して長期間にわたり1つの場所に止まることが要求されない、乗物車両である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
前述の全体的な説明と、以下の詳細な説明の両方ともが、例示的なものであるということが理解されるべきである。そうであるので、本明細書での説明は、本発明の範囲を限定することを意図していない。その代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって支配されている。
【0021】
本明細書で説明されている乗物車両は、3つの組立体(輸送組立体、運動組立体、および乗客組立体)から構成されることが可能である。運動組立体は、輸送組立体の上部に取り付けられている。乗客組立体は、運動組立体の上部に取り付けられている。本発明は、この構成に限定されない。3つの組立体のうちのそれぞれが、以下に順番に説明されることとなる。
【0022】
図1は、本発明の実施形態による車両の輸送組立体100の上部側等角図である。
図2は、
図1の車両の輸送組立体の底部側等角図である。輸送組立体100は、乗物車両の構造フレームである。輸送組立体100は、多方向の推進力を提供する。輸送組立体100は、シャーシ102を含む。シャーシ102は、車両、および、その中に乗っている全乗員の重量を支持する。輸送組立体100は、2つの操縦可能な推進用車輪104、106と、2つの受動キャスター108、109とをさらに含み、推進用車輪104、106は、輸送組立体100の推進システムを一緒に構成することが可能である。本明細書で使用されているように、受動キャスター108、109は、旋回フレームの中に取り付けられている少なくとも1つの車輪から構成され、車両を支持するために使用されている。本明細書で使用されているように、操縦可能な推進用車輪104、106は、一体化されたステアリングモータを介して、その車輪のステアリングを実現するために用いられ、かつ、一体化された駆動モータおよびトランスミッション組立体の使用によって、移動表面にわたってデバイスを推進させるためのその車輪の回転を実現するために用いられるデバイスである。ステアリングモータは、z軸線の周りに360度の回転で、操縦可能な推進用車輪の車輪を回転させることが可能である。操縦可能な推進用車輪104、106は、互いに正反対側に離隔された場所において、シャーシ102に取り付けられることが可能である。
【0023】
受動キャスター108、109は、互いに正反対に離隔された場所において、シャーシ102に取り付けられることが可能であり、2つの操縦可能な推進用車輪104、106の場所に対して90度回転させられている。受動キャスター108、109の車輪112は、フリーホイールの状態である。すなわち、車輪112は、時計回りおよび反時計回りに自由に転がることができ、任意の方向に自由に旋回(回転)することができる。操縦可能な推進用車輪104、106および受動キャスター108、109の他の構成が可能である。しかし、本発明の好適な実施形態は、少なくとも2つの操縦可能な推進用車輪104、106を含む。好適な実施形態では、示されているように、操縦可能な推進用車輪104、106は、シャーシ102に対して270度および90度において位置付けられている。しかし、操縦可能な推進用車輪104、106を、シャーシ102に対して0度および180度に位置付けることは、本発明の範囲内である。
【0024】
シャーシ102は、バッテリ組立体114と、制御電子回路組立体と、モータ駆動組立体と、搭載型のナビゲーションシステム(図示せず)と協働して使用される様々なセンサとを支持することが可能である。
【0025】
バッテリ組立体114は、再充電可能なバッテリ910を含むことが可能であり、バッテリ910は、1つまたは複数のバッテリセルと、バッテリ管理システム912とから構成されることが可能である。バッテリ910は、再充電の間の乗物車両の作動に必要なすべてのエネルギーを提供する。バッテリ管理システム912は、バッテリ910の充電を制御および監視する。バッテリ管理システム912は、バッテリ910の電圧、温度、および、他のパラメーターを監視し、バッテリ910のエレメントを損傷させることなく再充電を許可することが可能である。
【0026】
乗客を乗り降りさせる間、または、乗車環境内の所定の場所において十分な量の時間にわたって停止されている間などのように、車両が通電/充電システムに連結されることが可能な間に、乗物車両のバッテリ910を再充電するために、所与の比較的に大きい量の電力/エネルギーを短い時間の間に車両に提供することが必要であったということが決定された。電力/エネルギーの量は、所与の乗物車両の要求に左右される。一般的に、時間の量は、乗客を乗せている間および/または降ろしている間に車両が費やす時間の量によって、および、もしあれば、車両が乗車内に停止されたままである時間の量によって、限定される。そのような停止は、車両の乗員が映画または他の発表を見ている間に生じることが可能である。さらに、再充電に必要な時間の合計量は、複数の充電ステーションの間で分割されることが可能であり、充電ステーションは、所与の乗車環境の所与の車両によって訪れられることが可能である。これらの値は、実験を過度に必要とせずに、分かりやすく決定される。既知のバッテリおよび充電システムは、この目的のためには不十分であることが分かった。
【0027】
既知のバッテリおよび通電/充電システムが出会う問題を克服する際に、より小さい容量のバッテリと比較して、大容量のバッテリは、時間の関数として、より大量の電力/エネルギーがバッテリに適用されることを可能にすることとなるということが決定された。所与の乗物車両のために最終的に生じるバッテリは、車両電圧および電流要求、ならびに、上述のように充電のために利用可能な時間に課される制限に依存する。適切なバッテリ容量は、上述の変数が当業者に提供されれば、過度の実験をすることなく決定されることが可能である。また、充電と充電との間のバッテリ消耗の許容可能なレベルは、上述の変数の関数であることが可能であり、異なるタイプの車両毎に対して特有であることが可能である。
【0028】
本発明者らは、(大電流の急速再充電を可能にするために)バッテリ容量を最大化するという決定から予期しない利益を得た。急速充電に要求される容量は、乗物車両に必要とされる実際の容量を超えて上回っていた。過剰な容量が、乗物車両の作動に要求される再充電の量を低減するという予期しない利益を提供した。したがって、再充電に必要とされる時間の量を低減させている。作動ニーズに要求されるものよりも大きい容量を有するバッテリの使用に起因して、さらに認識されたのは、それぞれのショーの間に、バッテリ容量のうちの少量だけを使用するという予期しない利益であった。本発明の実施形態によれば、バッテリ910は、その全容量の90パーセントと100パーセントとの間を循環する。
【0029】
また、シャーシ102は、O字形状の回転ローリングエレメント軸受を支持することが可能であり、その軸受は、当技術分野において、「旋回する軸受」または「旋回軸受」120と称される。旋回軸受120は、内側ギアおよび/または外側ギアを含むことが可能である。
図1の実施形態では、旋回軸受120のギアの歯が、旋回軸受120の外側表面の上に見えている。本明細書で使用されているように、省略の目的のために、ギアを含む旋回軸受120の部分は、「旋回軸受上半部」122と称されることとなる。旋回軸受120のベース部は、「旋回軸受下半部」123と称されることが可能である。旋回軸受ピニオンモータ827(
図8)は、旋回軸受ピニオン124に固定された駆動シャフト126から構成されることが可能である。旋回軸受上半部122は、旋回軸受下半部123の中で回転する。下半部は、シャーシ102に固定されているので、回転は、シャーシ102に対するものである。旋回軸受ピニオン124の歯は、旋回軸受上半部122の歯に係合している。旋回軸受ピニオンモータ827(
図8)は、シャーシ102に固定されることが可能である。したがって、旋回軸受ピニオン124は、シャーシに対して回転するが、旋回軸受ピニオンモータ827(
図8)の駆動シャフト126、および駆動ギア124は、シャーシ102に対して付着された位置を維持する。旋回軸受上半部122は、旋回軸受ピニオン124の回転の方向にしたがって、シャーシに対して時計回りにまたは反時計回りに駆動させられることが可能である。
【0030】
図1の実施形態では、ピニオン124は、旋回軸受120の外側に位置付けられている。代替的な実施形態(図示せず)では、ピニオン124は、旋回軸受120の内側に位置付けられることが可能である。この代替的な構成では、旋回軸受120の内側ギアが、ピニオン124の対応するギアとの噛み合いを含むこととなる。いずれの構成でも、旋回軸受上半部122は、停止することを必要とせずに、時計回り方向または反時計回り方向に回転させられることが可能である。換言すれば、本発明の好適な実施形態では、旋回軸受上半部122は、反対方向に回転させることによって以前の位置に戻ることを必要とせずに、360度よりも大きい角度量を、時計回りにまたは反時計回りに駆動させられることが可能である。
【0031】
旋回軸受上半部122に間接的に連結された光学エンコーダー210が、旋回軸受122の回転に関する情報を監視し、処理装置901に出力することが可能である。回転の大きさおよび方向、ならびに、それらのギアが噛み合う点における旋回軸受上半部122およびピニオン124の直径の知識を持って、処理装置901は、シャーシ102の上の対応する基準点との関連で、旋回軸受上半部122の上に設定された基準点の角度位置を計算することが可能である。
【0032】
さらに、本発明の実施形態では、センサの第1の部分301は、旋回軸受上半部122に直接的にまたは間接的に連結されることが可能であり、センサの第2の部分130は、シャーシ102に付着されることが可能である。センサからの信号が、第1および第2の部分301、130が整合していることを示すまで、旋回軸受上半部122は、時計回りにまたは反時計回りに駆動させられることが可能である。このように、旋回軸受上半部122の運動を制御し、センサの出力を監視する処理装置は、旋回軸受上半部122を既知の「ホーム」位置へ回転させることが可能である。例えば、ホールタイプセンサ、光学センサ、および点接触型センサなどのような、すべての適用可能なセンサタイプが、本発明の範囲内にある。
【0033】
また、シャーシ102は、スリップリングまたはロータリージョイント132を含むことが可能であり、通信および電力が、シャーシ102のコンポーネントから、旋回軸受上半部122に連結された車両の部分まで双方向に伝送されることを可能にする。ロータリージョイント132は、上記に説明されるように、シャーシ102に対する旋回軸受上半部122の回転の量に制限がないので望ましい。
【0034】
また、シャーシ102は、バンパーシステム134を含むことが可能であり、バンパーシステム134は、衝撃のエネルギーを吸収し、衝撃の荷重をシャーシ102の中へ分散させることが可能である。バンパーシステム134は、シャーシ102の外側壁部138と、金属の薄板などのような、弾性的な外側カバー部140との間に挟まれた、耐久性のある圧縮性の発泡材料136を含むことが可能である。発泡材料136は、外側壁部138に接着されるか、または、その他の方法で固着されることが可能である。発泡材料136および弾性的な外側カバー部140は、他の互いに当接または重なり合うセグメント142で実現されることが可能である。ボルトおよびスペーサーチューブを使用してシャーシに装着された一実施形態では、あらゆる突出するハードウェアなしに、ボルトのたわみを可能にする。セグメント142は、発泡材料136、および/または、シャーシ102の外側壁部138に係止されることが可能である。弾性的な外側カバー部140は、(表面との小さい接触を吸収するか、または偏向させるために)ネオプレンなどのような他の弾性的な材料144で覆われることが可能である。好適な実施形態によれば、車両がその許容最高速度で動いているときに、バンパーシステム134は、他の同様の車両、壁部、または、乗車環境の中の固定された物体との接触を吸収し、それから跳ね返ることが可能である。
【0035】
図3は、運動組立体300がその上に取り付けられている、
図1の輸送組立体100の上部側等角図であり、運動組立体300の一部分が、部分切欠き図/部分的透視図で示されており、完全に本発明の実施形態にしたがっている。より詳細には、運動組立体300は、旋回軸受上半部122の上部表面の上に設置され、旋回軸受上半部122に固定されることが可能である。好適な実施形態では、運動組立体300は、旋回軸受上半部122にボルト留めされる。運動組立体300のコンポーネント、および、運動組立体300の機能は、
図7Aおよび
図7Bを参照して、後に詳細に説明されることとなる。
【0036】
導入として、運動組立体300は、下側リアクションプレート302と、枢動ジョイントまたは枢動可能連結部304と、上側リアクションプレート306(部分的切欠き図/部分的透視図で示されている)と、少なくとも2つのリニアアクチュエータ308、310とを含むことが可能である。下側リアクションプレート302は、上記に説明されているように、旋回軸受上半部122に固定されている。枢動可能連結部304は、下側端部において、下側リアクションプレート302に連結されており、上側端部において、上側リアクションプレート306に連結されている。一実施形態では、枢動可能連結部304は、旋回軸受120の幾何学的中心の上方に取り付けられている。しかし、他の場所も許容可能である。リニアアクチュエータ308は、下側端部において下側リアクションプレート302に、および、上側端部において上側リアクションプレート306にそれぞれ連結されている。リニアアクチュエータ308、310は、互いから離隔されており、かつ、枢動可能連結部304から離隔されている。一実施形態では、第1のリニアアクチュエータ308が、運動組立体300の右後方側に位置付けられており、第2のリニアアクチュエータ310が、運動組立体300の左後方側に位置付けられており、さらに、両方とも、枢動可能連結部304よりも運動組立体300の後方に向かっている。代替的な向きの配置によって、その上側リアクションプレートが、下側リアクションプレートに関して、ピッチ方向およびロール方向に動かされる運動組立体の結果として生じる限り、他の向きの配置が、許容可能であり、その動きは、枢動可能連結部304の上方に中心を置いており、枢動可能連結部は、実質的に固定された高さであり、および実質的に非圧縮性である。
【0037】
図4は、
図3の輸送組立体100と運動組立体300とが組み合わせられたものから構成された車両400の等角図であり、さらに、運動組立体300の上に取り付けられた乗客プラットフォーム402と、乗客プラットフォーム402の上に取り付けられた座席部の列404とを含み、完全に本発明の実施形態にしたがっている。代替的な実施形態では、座席部の列は、別個の乗客プラットフォーム402を必要とせずに、上側リアクションプレート306に直接的に取り付けられることが可能である。代替的な実施形態では、上側リアクションプレート306が、乗客プラットフォームという目的に役立つこととなる。
【0038】
本明細書での検討の目的のために、参照用に
図4を使用して、座席の列404、および、車両400の輸送組立体100は、コンパスの上で0度の方を向いて、前方に面しているものとして考慮されている。座席の列404の右側、および、車両400の輸送組立体100の右側は、コンパスの上で90度の点に隣接している。座席の列404の背面側部、および、車両400の輸送組立体100の背面側部は、コンパスの上で180度の方を向いて、後方に面している。座席の列404の左側、および、車両400の輸送組立体100の左側は、コンパスの上で270度の点に隣接している。当然ながら、座席の列404および輸送組立体100は、同時に整合された状態になりながら、または、セットの列が旋回軸受上半部122に連結されていることに起因して、互いの周りに回転させられながら、他の方向に面して移動することが可能である。本明細書で使用されているように、参照のために
図4を使用すると、y−軸線は、コンパスの上の180度および0度の点に整合しており、x−軸線は、コンパスの上の270度および90度の点に整合しており、z軸線は、車両400が座っている表面に対して垂直に、上に向かって延在している。「前方に動いている」または「前方に移動している」の用語は、y−軸線に沿って、ますますプラスの方向への運動を示している。左方向、右方向、および逆方向(または、背面方向もしくは後方方向)への運動または移動は、前方方向を基準にして通常の意味を有する。
【0039】
図4の好適な実施形態は、2つの平行な座席部の列(前列404Fおよび後列404B)を図示している。座席部の列は、y−軸線に垂直になっている。示されている実施形態では、座席の列404のそれぞれが、4つの座席を含んでいる。偶数の数の列および座席が、好ましい。しかし、他の構成および座席の数が、本発明の範囲内にある。例えば、1つまたは複数の列の中に、より少ない数のまたはより多い数の座席、ならびに、奇数の列、および/または、列の中の奇数の座席が、本発明の範囲内にある。そのうえ、円になって、内側または外側に面して配置されている座席も、本発明の範囲内にある。
【0040】
好適な実施形態によれば、それぞれ4つの座席を有する2つの座席の列404が、乗客プラットフォーム402の上側表面の上の仮想点から等距離に位置付けられている。好ましくは、この点を通過する垂直軸線は、旋回軸受120の幾何学的中心を通過する。これによって、旋回軸受120に対する座席の列404の偏心のない回転が可能になる。また、この点が、左と右の操縦可能な推進用車輪104、106との間に走る仮想水平軸線の上の中間点の上方にも位置付けられている場合には、座席の列404の回転の中心は、シャーシ102の運動の中心と一致することとなる。また、この点が、枢動可能連結部304を通って走る仮想垂直軸線とも交差する場合には、この点から等距離に位置付けられている座席の列は、運動組立体300がピッチ方向およびロール方向に動くとき、比較的に等しい量の垂直偏差を経験することとなる。当然ながら、その点に対する座席の列404の他の位置、ならびに、その点、左と右の操縦可能な推進用車輪104、106との間に走る仮想軸線、および、枢動可能連結部304の垂直軸線に対する、座席の列404の他の位置が、本発明の範囲内にある。それにもかかわらず、上述のことと整合して、
図4に示されている座席部は、すべて、ヨー、ピッチ、およびロールの操作の間に、比較的に等しい経験を受ける。
【0041】
図5は、本発明の実施形態による、動力付きの操縦可能な推進用車輪500(
図1〜
図3の104、106と同様)の例である。操縦可能な推進用車輪500は、ベースプレート506の両側に取り付けられている電気モータ502およびトランスミッション組立体504を含む。
図1の実施形態で使用される場合には、ベースプレート506は、輸送組立体100のシャーシ102に固定されることが可能である。モータ502が、トランスミッション504を駆動し、トランスミッション504が、車輪508を駆動する。トランスミッション504は、地面に垂直な平面で、操縦可能な推進用車輪500の車輪508を回転させ、輸送組立体100に推進力を提供するように構成されている。動力付きの操縦可能な推進用車輪500は、ベースプレート506の一方側に取り付けられている電気ステアリングモータ510をさらに含む。ステアリングモータ510のシャフト512は、ステアリングピニオンギア514に固定されている。ステアリングピニオンギア514は、方向ギア516に係合している。旋回軸受120および旋回軸受ピニオン124の作動と同様に、方向ギア516が、トランスミッション組立体504に固定されており、トランスミッション組立体504は、操縦可能な推進用車輪500の旋回可能車輪508に固定され、それを水平平面で回転させる。ステアリングモータ510は、ベースプレート506に固定されている。ステアリングモータ510のシャフト512、およびステアリングピニオンギア514は、ベースプレート506に対するそれらの場所を維持する。ステアリングモータ510のシャフト512が、ステアリングピニオンギア514を回転させると、方向ギア516が、ベース部506に対して回転し、それによって、トランスミッション組立体504、および、それに連結されている車輪508を垂直軸線の周りに旋回させる。本明細書によれば、処理装置が、所与の速度で電気モータ502を駆動させるために命令を実行することができることとなる。トランスミッション組立体504のギア比の知識を持って、および、車輪508の直径の知識を持って、処理装置が、所与の時間の量の中での車輪508の回転の量を計算することができることとなる。したがって、処理装置は、操縦可能な推進用車輪500が表面を横切ってどのくらい遠くへ動いたかということを決定することが可能である。さらに、ステアリングモータ510のシャフト512の回転の量の知識、ならびに、ステアリングピニオンギア514および方向ギア516の直径の知識が与えられれば、処理装置は、旋回可能車輪508に、コンパスの上の任意の方向に進路を取るように命令することが可能である。
【0042】
図6A、
図6B、
図6C、および
図6Dは、本発明の実施形態にしたがって、2つの操縦可能な推進用車輪104、106および2つの受動キャスター108、109を有する車両の輸送組立体600によって達成されることが可能な様々な運動を図示している。説明図は、上面図である。座席の列404F、404Bが、参考のために示されている。説明図では、座席404F、404Bは、0度に向けられているままであり、一方、輸送組立体600は、その下で回転している。座席404F、404Bに対する輸送組立体600の回転は、旋回軸受120の作用によって実現させられる。
【0043】
図6Aは、
図4の車両400の態様で構成された操縦可能な推進用車輪および受動キャスターを有する輸送組立体600によって実現させられる運動の3つの前方方向を図示している。
図6Aの説明図では、操縦可能な推進用車輪104、106、および、受動キャスター108、109の車輪が、y−軸線(y−軸線は、0度になっていることが理解される)に平行に整合されているように示されている。この整合を実現するために、操縦可能な推進用車輪104、106がまだそのように整合されていない場合には、処理装置(図示せず)が、それぞれの操縦可能な推進用車輪104、106に0度へ回転するように命令することが可能である。移動が始まるにつれて、受動キャスター108、109が、操縦可能な推進用車輪104、106に整合することとなる。
【0044】
左および右の操縦可能な推進用車輪104、106が、0度に位置付けられている状態で、左および右の操縦可能な推進用車輪104、106の車輪を同じ速度で前方方向に同時に駆動させるようにという、処理装置からの命令が、車両600を、矢印602の方向に前方に推進させることとなる。
【0045】
左および右の操縦可能な推進用車輪104、106の両方を前方に回転させるようにという命令(左車輪104が、右車輪106よりも遅く回転するように命令される)が、矢印606によって示されているように、車両を、左ターンで大きくカーブして推進させることとなる。
【0046】
左および右の操縦可能な推進用車輪104、106の両方を前方に回転させるようにという命令(左車輪104が、右車輪106よりも急速に回転するように命令される)が、矢印608によって示されているように、車両を、右ターンで大きくカーブして推進させることとなる。
【0047】
上述のターンの幅は、左と右の操縦可能な推進用車輪104、106との間の速度の差によって決定されることが可能である。例えば、左車輪104を回転させることなく、右車輪106だけを前方に回転させるようにという命令は、車両を、急角度の左ターンで推進させることとなる。右車輪106を回転させることなく、左車輪104だけを前方に回転させるようにという命令は、車両を、急角度の右ターンで推進させることとなる。
【0048】
回転している車輪の方向を逆転させることが、車両を、それぞれ逆の方向に推進させることとなる。
【0049】
少なくとも2つの操縦可能な推進用車輪104、106および受動キャスター108、109の構成の利益は、車両600が、
図6Bに示されているように、ゼロ度ターンを実施するように作られることが可能であるということである。そのようなターンは、左および右の操縦可能な推進用車輪104、106の車輪がその0度の方位位置にある状態で実行されることが可能であり、一方、処理装置は、操縦可能な推進用車輪104、106の車輪を等しい速度で反対方向に回転させるようにという命令を発行する。時計回りおよび反時計回りのゼロ度ターンは、矢印610によって表されているように、それぞれの車輪の回転方向を逆転させることによって実施されることが可能である。
図6Bに示されているように、受動キャスター108、109は、任意の方向に自由に旋回できるので、それらは、(車両の動きが開始した後、)操縦可能な推進用車輪104、106の方向に対して垂直な方向に、自然に、および、受動的に旋回する。
【0050】
少なくとも2つの操縦可能な推進用車輪104、106(および受動キャスター108、109)の構成の他の利益は、輸送組立体600が、左または右へ「クラブ(斜め)移動する」ように作られることが可能であるということである。典型的に、「クラブ移動する」の用語は、航空機ナビゲーションとの関連で使用される。Merriam−Webster’s辞典は、「クラブ移動する」を、「航空機のコースと、横風の存在下においてそのコースを進むために必要な機首方位との角度差」として定義する。航空機の関連では、横風は、航空機のコースに平行でない風の方向である。例として、滑走路が、y−軸線に沿って南北方向(ここで、北は0度にあり、南は180度にある)に走り、横風が、右から吹き込んでいた場合には、航空機は、着陸のためにゼロ度のコース(すなわち、移動の方向)を維持するために、5度の機首方位を想定することが可能である。
【0051】
本出願の関連では、「クラブ移動する」の用語は、異なる意味をとる。本明細書で使用されているように、クラブ移動するの用語は、以下の例によって最良に説明される。
図6Cでは、座席部の列604f、604Bが、前方方向に維持されており、着席している乗客が、y−軸線に平行に、矢印612の方向に面することとなるようになっており、一方、同時に、車両の輸送組立体600が、矢印614によって示されているように、斜めの方向に動いている。クラブ移動する目的のために、矢印614は、45度の方を向いているように示されているが、座席の列604f、604Bが面している方向と、輸送組立体600が動いている方向との間の角度は、0度よりも大きいこととなる。換言すれば、
図6Cに示されているように、座席の列604F、604B、および、その上の乗客は、0度に面するが、車両は、45度の方向に、「クラブ移動する」。クラブ移動することは、線形運動に限定されない。車両は、例えば、曲線、円形、または、直径が増加または減少するらせん形に沿って、クラブ移動することが可能である。
【0052】
図6Cに示されているようなクラブ移動する運動を実現するために、処理装置は、操縦可能な推進用車輪104、106に、時計回りに45度の方向に回転するように命令し、かつ、同じ速度で同時に回転するように命令する。この状態では、車両の座席404F、404Bは、0度の方に向かって面しているが、車両の輸送組立体600は、矢印614の方向に、すなわち、45度に動いている。
【0053】
本発明の実施形態による車両は、前方と逆の方向の両方に、左または右へクラブ移動するように構成されている。本発明の実施形態による車両は、0度と180度の間(しかし、0度および180度に等しくはない)の任意の角度に、ならびに、180度と360度の間(しかし、180度および360度に等しくはない)の任意の角度にクラブ移動することが可能である(0度および180度の角度は、それぞれ、前方および逆方向への運動のために確保されている)。それにもかかわらず、本発明の実施形態による車両は、輸送組立体が、0度、180度、または360度を含む角度位置の範囲を通って回転している場合には、クラブ移動していると言うことが可能である。例えば、輸送組立体600は、その「正面」が120度から200度の範囲を含む円弧を指し示すようにさせる曲線を辿るが、座席の列404F、404Bは、0度を指し示す位置に維持された場合には、車両は、それが180度を通過したかにかかわらず、クラブ移動したということになる。
【0054】
図6Dは、操縦可能な推進用車輪104、106に、時計回りに旋回し、90度の方に向かって進み、かつ、同じ速度で同時に回転するように、処理装置が命令する場合を図示している。この状態では、車両の座席404F、404Bは、0度の方を指し示しているが、車両の輸送組立体600は、矢印616の方向に動き、90度に向かって直接的に右へ、矢印618の方向に動く。左へクラブ移動すること(すなわち、270度の方向に動いている)は、配置向きを90度に維持しながら、車輪の回転の方向を逆転させることによって、または、操縦可能な推進用車輪104、106を回転させて、270度の方に向かって進めさせ、同じ速度で同じ方向に同時に回転させることによって、達成されることが可能である。
【0055】
クラブ移動する運動は、2つよりも少ない操縦可能な推進用車輪を有する無軌道の車両を用いた場合は可能でない。クラブ移動する運動は、z軸線の周りに回転しない(すなわち、それらは操縦をしない)2つの操縦可能な推進用車輪を有する無軌道の車両を用いた場合は可能でない。そのような車両は、
図6Aを参照して述べられているように、ディファレンシャルステアリングを使用してターンする。発明者らに知られている、アミューズメント用乗物の分野で使用される車両は、クラブ移動することが可能でない。その理由は、既知の車両は、少なくとも2つの操縦可能な推進用車輪と、旋回軸受の使用を介してシャーシに対して回転する乗客プラットフォームとを利用していないからである。
【0056】
図7Aおよび
図7Bは、本発明の実施形態による運動組立体300の正面下側から見た等角図、および後方上側から見た等角図である。運動組立体300は、下側リアクションプレート302と、枢動可能連結部304と、上側リアクションプレート306と、少なくとも2つのリニアアクチュエータ308、310とを含むことが可能である。好適な実施形態では、リニアアクチュエータ308、310は、電気式のものである。ねじ式および液圧式などのような他のタイプのリニアアクチュエータが、本発明の範囲内にある。枢動可能連結部304は、下側端部において、下側リアクションプレート302に固定されており、上側端部において、上側リアクションプレート306に固定されている。2つの座席の列を有する車両の実施形態では、乗客プラットフォームが枢動する点が旋回軸受の回転から偏心していないことを確実にするために、枢動可能連結部304は、その垂直軸線が旋回軸受120の幾何学的中心と一致するように位置付けられていることが可能である。リニアアクチュエータ308、310は、それぞれ、それらの上側端部において、連結部330、332に固定されている。連結部330、332は、順に、上側リアクションプレート306に固定されている。リニアアクチュエータ308、310は、それぞれ、それらの下側端部において、U字形金具組立体334、336に固定されている。U字形金具組立体334、336は、順に、下側リアクションプレート302に固定されている。連結部330、332は、ジンバルとして実現されることが可能である。ジンバル330、332は、下側および上側リアクションプレート302、306がピッチ方向およびロール方向に互いに対して動くときに、リニアアクチュエータが広範囲の角度に傾くことを可能にする。
【0057】
運動組立体300は、(枢動可能連結部304の周りの)ピッチ方向およびロール方向の動きを、上側リアクションプレート306を介して乗客プラットフォーム402に固定されている座席の列404に機械的に伝達する。リニアアクチュエータ308、310の互いに対する伸張および後退が、上側リアクションプレートによって経験される、下側リアクションプレートに対するピッチ方向およびロール方向の量を決定する。
【0058】
(伸張および後退のために)それぞれのリニアアクチュエータ308、310から要求される最大力は、所与の情報から計算されることが可能であり、所与の情報には、座席部の列の設置の幾何学的形状、枢動可能連結部304に対するリニアアクチュエータの設置、および、上側リアクションプレート306の上に予期される荷重の知識が含まれる。そのような計算は、当業者に知られている。リニアアクチュエータ308、310の取り付け点が、枢動可能連結部304から離れているとき、取り付け点と枢動可能連結部304との間のモーメントアームの長さが増加するにつれて、それぞれのリニアアクチュエータから要求される力が減少するということが理解されることとなる。しかし、この力の低減は、リニアアクチュエータのストローク、ならびに、リニアアクチュエータが伸張および後退することができる速度によって制限される。
【0059】
好適な実施形態では、枢動可能連結部304は、デュアルシャフト連結部であることが可能であり、デュアルシャフト連結部は、デュアルシャフトが同一線上にないときでさえ、一方のシャフトから別のシャフトへトルクを伝達することが可能である。枢動可能連結部304は、たとえシャフトが整合されていなくても、一方のシャフトから別のシャフトへトルクを伝送する。好ましくは、枢動可能連結部304は、非圧縮性であるか、または、実質的に非圧縮性である。好ましくは、枢動可能連結部304は、上側リアクションプレート306によって支持されているすべてのハードウェアコンポーネントの重量を加えて、最大乗客積載量の重量を支持する。これらのコンポーネントには、座席部と、音響デバイスおよび照明デバイスを含む各種電子機器と、安全設備ならびに電子監視および制御設備と、車両の電子機械的な外観を隠し、アミューズメント用乗物のテーマに適当な外見を車両に与えるように設計された任意の装飾用構造体とが含まれる。好適な実施形態では、
図3、
図7A、
図7B、および
図8に図示されているように、枢動可能連結部304は、Uジョイント(ユニバーサルジョイントまたは自在継ぎ手としても知られている)であることが可能である。
【0060】
枢動可能連結部304の使用によって、バッテリ式の自己可動組立体の上で、同じピッチ、ロール、およびヨー運動を提供することが可能な車両と比較して、車両の相当な電力節約を結果として生じさせた。既知の技術では、乗物車両は、3つまたは4つの移動度を提供することが可能である。乗物車両の3つの移動度は、ピッチ、ロール、およびヒーブの経験を提供することが可能であった。ピッチは、いわば、(上昇または急降下する航空機において経験されるように)前方にまたは後方に傾斜するようなものである。ロールは、いわば、右または左に傾斜するようなものである。ヒーブは、いわば、垂直軸線に沿って、持ち上げられる、または、落下させられる経験のようなものである。また、ピッチ、ロール、およびヒーブの経験に加えて、乗物車両の4つの移動度は、ヨーの経験を提供することも可能であった。ヨーは、いわば、ターンテーブルの上のレコードの動きのようなものであることが可能である。
【0061】
乗物車両の典型的な構成では、ピッチ、ロール、およびヒーブの経験は、典型的に、3つまたは4つの電気式または空気圧式のリニアアクチュエータ、および、横方向のスタビライザーのシステムを使用して、ペイロード(すなわち、乗客、客室、および、その内容物)を中立位置に支持することによって実現されている。ヒーブは、同時に同じ割合でリニアアクチュエータを伸張または後退させることによって、ペイロードを、垂直軸線に沿って上向き方向または下向き方向に中立位置から動かすことによって、経験される。ピッチおよび/またはロールの経験は、典型的に、互いに対して異なる方向に、同時に異なる割合でリニアアクチュエータのうちの1つまたは複数を伸張または後退させることによって実現される。当業者は認識することとなるように、単にペイロードを中立位置に支持するために、ましてや、ピッチ、ロール、および/またはヒーブ方向にペイロードを押し付けることに消費されるエネルギーの量は、かなりの量である可能性がある。特に、本発明者らは、バッテリ式の車両を設計していたので、本発明者らは、エネルギー消費量を低減させるための方策を要求された。
【0062】
本発明者らは、ペイロードが、中心に集められた枢動可能な点の上で、固定された高さにおいて機械的に支持されているとき、枢動可能な点は、その垂直軸線に沿って動くことは要求されず、(本明細書で説明されている実施形態に示されているように)単に2つのリニアアクチュエータだけが使用され、ピッチ方向およびロール方向の経験のために要求されるエネルギーは、上述のような乗物車両の典型的な構成と比較して、かなり減らされたということを認識した。本発明者らは、本明細書で説明されている実施形態の構成において、リニアアクチュエータは、乗客プラットフォームを中心枢動点の周りに上向きにまたは下向きに傾けるために必要とされるエネルギーの量だけを消費し、中心枢動点が、本質的に、ペイロードの重量のほとんどを支持しているということを推量した。
【0063】
本発明者らは、大きい顧客処理能力の要求を有する典型的なアミューズメント用施設において日常的に使用するための楽しい3次元乗物車両は、ピッチ、ロール、およびヨーの経験を提供し、バッテリ式の構成で実現可能であるということを結論付けた。したがって、本発明者らは、本明細書に説明されている本発明の実施形態と同様の構成を有する乗物車両の使用によって、典型的に構成された乗物車両と比較して、相当なエネルギー節約という真に世界の利益を実現した。
【0064】
好適な実施形態によれば、上述の中心に集められた枢動可能な点を提供する枢動可能連結部304は、好ましくは、上側リアクションプレート306の横方向の運動のすべて、または、ほとんどを防止する。仮に、枢動可能連結部304を横方向の支持部のないばねと取り替えるとしたら、この要求に関する論理を思い描くことが可能であるであろう。上側リアクションプレート306の上に設置されている重量を支持するように構成されることが可能であるが、ばねは、曲げられたとき、上側リアクションプレート306が、横方向にスライドすることを許可する可能性がある。玉継ぎ手、ばね、可撓性のゴム、もしくは、ファイバーグラス製シャフト、または均等物(これらの代替的なコンポーネントが、動いているペイロードによってその上に働かされる動的荷重に耐えることが可能であると仮定した場合)を使用する許容可能な枢動可能連結部は、横方向の安定化デバイスの使用を要求することとなる。したがって、玉継ぎ手、ばね、可撓性ゴム、もしくは、可撓性のファイバーグラス製シャフト、または均等物は、横方向の安定化デバイスと組み合わせて、本発明の範囲内にある枢動可能連結部であると考えられることが可能である。
【0065】
図8は、本発明の実施形態による車両400の右側からの部分的断面立面図である。上述のように、車両400は、それぞれ4つの座席の2つの平行な列404F、404Bから構成されている。座席部の列404F、404Bは、乗客プラットフォーム402に固定されている。乗客プラットフォーム402は、上側リアクションプレート306に固定されている。枢動可能連結部304は、その上側端部において、上側リアクションプレート306に固定され、その下側端部において、下側リアクションプレート302に固定されている。一対のリニアアクチュエータのそれぞれが、そのそれぞれの上側端部において、上側リアクションプレート306に連結され、そのそれぞれの下側端部において、下側リアクションプレート302に連結されている。
図8の説明図では、単に1つのリニアアクチュエータ308(運動組立体の左側に位置付けされている)だけが示されている。4つの車輪が、シャーシに連結されている。
図8の説明図では、2つの受動キャスター108、109が示されている。1つの操縦可能な推進用車輪104が、部分的に示されている。下側リアクションプレート302が、旋回軸受上半部122に固定されている。旋回軸受下半部または旋回軸受ベース部123が、シャーシ102に固定されている。説明の簡単のために、ロータリージョイント132は、
図8の説明図から省略されている。
【0066】
開示されている実施形態では、座席の列404F、404Bは、乗客プラットフォーム402を介して運動組立体300の上側リアクションプレート306に固定されており、ピッチ方向およびロール方向に動かされることが可能である。運動組立体300が、旋回軸受上半部122の上に固定されているので、運動組立体300は、回転させられることが可能である。これらの動きの結果によって、座席の列404F、404Bに座っている乗客が、ピッチ、ロール、およびヨーを経験することが可能になる。
【0067】
運動組立体300および旋回軸受120の位置が逆になっている代替的な実施形態は、本発明の範囲内である。換言すれば、運動組立体300の下側リアクションプレート302を直接的にシャーシ102に固定し、旋回軸受120を上側リアクションプレート306に固定することは、本発明の範囲内である。いずれの実施形態でも、顧客は、ピッチ、ロール、およびヨーを経験することとなる。それにもかかわらず、本発明者らは、代替的な実施形態の構成が、3次元空間内に座席の列404F、404Bを位置付けることの難しさを増大させるということを見出した。したがって、
図1〜
図8のものなどのような好適な実施形態では、旋回軸受120が、シャーシ102に固定され、運動組立体300が、旋回軸受120の上に固定されている。
【0068】
図9は、本発明の実施形態による車両900およびシステムのブロック図である。車両900は、メモリ902に格納されている命令を実行するために、制御装置または処理装置900を含む。命令は、メモリ902の非一時的なコンピューター可読媒体の上または中に格納されていることが可能である。車両は、1つまたは複数のアンテナデバイス906もしくは赤外線デバイス908または均等物を介して、他の通信インターフェースと無線で通信することが可能な通信インターフェース904を含む。車両900の通信インターフェース904は、1つまたは複数の通信プロトコルの下で作動することが可能である。車両900は、通信インターフェース904を介して一意的にアドレス指定可能である。したがって、乗物の中の複数の車両を監視する乗物のシステム制御装置924は、同時に同じ命令で複数の車両のすべてに命令することに限定されない。複数の車両の中で1つの車両900が一意的にアドレス指定可能であるということによって、命令が、発行され、単に1つ車両900だけによって実行されることが可能になる。したがって、複数の車両の中でそれぞれの車両が一意的にアドレス指定可能であるということによって、ユニキャストおよびマルチキャストタイプの命令の発行が可能になる。すなわち、命令が、1つの車両900に、複数の車両の部分集合に、または、複数の車両全体に発行されることが可能である。
【0069】
車両900は、バッテリ管理システム912に連結されたバッテリ910を含む。バッテリシステム114は、当業者に知られている接触式または非接触式の連結部922の使用を介して、充電システム909に連結されることが可能である。車両は、モータ駆動システム914を含む。モータ駆動システム914は、車両900の様々なモータを駆動する。モータの中に含まれているのは、左および右の操縦可能な推進用車輪104、106(それぞれの操縦可能な推進用車輪104、106は、ステアリングおよびドライビング(推進力)のための別個のモータを有している)、旋回軸受ピニオンモータ827(
図8)、ならびに、左および右のリニアアクチュエータ308、310のモータである。また、車両は、安全システム916を含むことが可能であり、安全システム916は、(ドアの開閉検出器などのような)様々な安全コンポーネントを含む。また、車両は、様々な照明および音響コンポーネントを含む、照明および音響システム918も含む。
【0070】
また、車両は、1つまたは複数のナビゲーションセンサ922を有するナビゲーションシステム920も含むことが可能である。好適な実施形態では、車両は、グリッドナビゲーションシステムの上で自由範囲を使用する。磁気検出器、光学検出器、および無線周波数検出器などのような、複数タイプのセンサ922が、個別に、または、組み合わせて使用されることが可能である。ナビゲーションシステム920は、車両900の操縦可能な推進用車輪104、106の運動および方向を制御および監視することが可能である。このように、車両900は、ナビゲーション、通信、または電力のための軌道または埋め込みワイヤの必要なしに、複数のコース(事前に決定されていることが可能である)のうちの1つに沿って進められることが可能である。一実施形態では、予測された場所と実際の場所との比較は、例えば、様々な固定された既知の場所からの距離の決定によって作られた測定値に基づいて、決定されることが可能であり、予測された場所と実際の場所との比較によって、ナビゲーションシステムが、リアルタイムのコース監視を実施し、ショーの間にナビゲーションエラーが起こっているかどうかについて決定することが可能になる。
【0071】
他のタイプのナビゲーションシステム900が、本発明の範囲内にある。例えば、そのステアリングおよび推進力システムの十分な精度が与えられれば、車両900は、リアルタイムのコース監視を要求しないことが可能である。さらに、または代替的に、車両は、内部ナビゲーションシステム、または、ナビゲーションシステムのようなものを使用することが可能である。
【0072】
本発明は、複数の一意的にアドレス指定された車両900、950、960、970(ここでは、950、960、970は900と同様である)を含むシステムの確立に役立つ。複数の車両900、950、960、970のそれぞれが、少なくとも1つの搭載型の処理装置(901と同様である)によって、個別に制御されることが可能であり、複数の搭載型の処理装置のそれぞれが、少なくとも1つの乗物のシステム制御装置924と無線通信しており、乗物のシステム制御装置924は、車両から遠隔にあり、その自分自身の(1つまたは複数の)処理装置926を利用する。乗物のシステム制御装置924は、複数の車両の状況の認識および位置関係の認識を維持し、複数の車両900、950、960、970のうちの1つ、すべて、または、任意の部分集合の緊急制御を無線通信によって行うことが可能である。
【0073】
複数の車両900、950、960、970が同時にその環境を横切っていく乗車環境では、それぞれ一意的にアドレス指定された車両の乗客プラットフォームのピッチ方向およびロール方向の動きが、距離および/または時間によって事前にプログラムされたルートに沿って、車両の位置に同期化されることが可能である。車両、システム、ならびに、車両およびシステムの作動の方法は、アミューズメントパークの乗物産業の中に実用性を見出すが、本発明は、それに限定されない。本明細書で提供されている説明は、本発明の実施形態を説明するために、例示的な目的のためだけに、アミューズメントパークの乗物産業を利用している。しかし、本発明は、アミューズメントパークの乗物産業に限定されず、任意の数の他の産業の中に実用性を見出すことが可能である。
【0074】
本発明の方法によれば、車両900は、システム故障または安全基準違反などのような条件が車両900に起こった場合には、車両の自分自身の処理装置901からの命令にしたがって、停止するようになることとなる。この条件が存在する場合には、車両は、アンテナデバイス906または赤外線デバイス908を介した通信インターフェース904および無線伝送を介して、乗物のシステム制御装置924にその状況を通知することが可能である。乗物のシステム制御装置924は、例えば、他の車両が衝突を回避するために停止させられるべきかどうかについて決定することが可能である。それぞれの車両の一意的なアドレスを使用する乗物のシステム制御装置は、単一の車両だけが衝突の危機にある場合には、単一の車両950に停止するように命令することが可能である。代替的に、それぞれの車両の一意的なアドレスを使用する乗物のシステム制御装置は、車両の部分集合だけが衝突の危機にある場合には、車両950、960の部分集合に停止するように命令することが可能である。代替的に、それぞれの車両の一意的なアドレスを使用する乗物のシステム制御装置は、すべての車両950、960、970に停止するように命令することが可能である。任意の車両900、950、960、970は、それに対して一意的にアドレス指定された命令を受け取ると、制御停止となることが可能である。
【0075】
本発明は、1つまたは複数の好適な実施形態、および、1つまたは複数の代替的な実施形態の観点から、上述されてきた。そのうえ、本発明の様々な外観が説明されてきた。当業者は、様々な外観または実施形態を、決して限定するものとして解釈するべきでなく、例示的なものとして解釈するべきである。他の実施形態が、本発明の範囲内にあることは明らかである。その代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定されることとなる。