【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの困難をすべて克服するために、出願者は、プルタブが設けられた内側シールを備える新しいシールを開発した。その結果生まれた内側シールは、その形状が、導電性材料の薄板の前記プルタブ内への組み込みを可能にするようになっている。その結果、シールによる容器の口の密封は、十分であって弱いことはない。そのため、熱融着層を除いて、アルミニウム箔を含めた内側シールを構成するすべての層を、折り返すことが可能となっている。結果的に、剥離を回避することができ、プルタブの抵抗力が強化され、製作方法が容易とされる。
【0019】
より具体的には、本発明の主題は、仮接着体によって内側シールに接合される支持体を備える熱融着可能なシールであって、前記内側シールは、表面全体が内側シールの表面に重なるように折り返されると支持体の対応する表面と接触するプルタブが設けられ、内側シールは、強化層と、熱融着膜が下面に適用される導電性材料の薄板とを備える積層体を備え、仮接着体は、プルタブが折り返されると、内側シールの表面全体に適用されるシールである。
【0020】
このシールは、積層体はその厚さ全体に渡って切欠きを備え、その切欠きからプルタブが出現し、プルタブが折り返されるとプルタブによって形成される折り目が、切欠きよりも長さが短いことを特徴とする。
【0021】
換言すれば、プルタブの基部は、熱融着膜の周囲に対して後退するようにずらされている。これは、プルタブの外側における積層体の領域が熱融着膜の表面よりも小さいことを意味している。その結果、積層体は、熱融着膜を全体において覆っていない。すでに述べたように、積層体は、強化層と導電性材料の薄板とを備える。
【0022】
より具体的には、強化層/導電性材料の薄板の積層体に形成された切欠きと、折り目の長さが切欠きの長さよりも狭くて小さいプルタブとの組み合わせは、つまり、プルタブが折り返されたときの折り目と、熱融着膜の周囲との間の距離をできるだけ短くすることを可能とする。これは、誘導された領域での外乱をより小さくするという利点をもたらし、それによって口においてすべての層の均一な密封を確保するとともに、より広い誘導温度範囲を確保することになる。
【0023】
すでに述べたように、プルタブは積層体に形成された切欠きから出現し、これは、プルタブが積層体の厚さ全体から出現することを意味する。換言すれば、プルタブは、積層体を構成する層の数と同じ数の層を備える。前述の誘導に関する利点は別として、これは、剥離現象を回避できること、プルタブの抵抗力を改善できること、および、プルタブが支持体と接合しない(プルタブの下面は熱融着膜がない)ことをさらに意味している。
【0024】
好ましい実施形態では、内側シールは、排他的に積層体からなり、その積層体の下面は熱融着膜と接触している。
【0025】
内側シールは、積層体の上側に、タブに含まれていない強化膜などの追加の層を備えてもよい。この追加の層の存在は、熱融着可能なシールの密封に影響を与えない。
【0026】
同様に、本発明によれば、熱融着膜は積層体の下側に適用される。好ましい実施形態では、膜は、積層体と熱融着可能な層との間に適用されるバインダ層の存在にかかわらず、積層体の下側に直に適用される。その結果、積層体を構成する層は、内側シールを引き剥がす際に剥離しない。好ましくない別の実施形態では、少なくとも1つの別個の中間層が、積層体と熱融着膜との間に適用される。この中間層は、バインダではなく、強化層であり得る。この場合、タブはこの追加の層を含んでいない。積層体と追加の層との間の剥離が発生するにもかかわらず、この実施形態は、従来技術のシールに関する問題をなおも解決している。
【0027】
内側シールが引き剥がされるときにプルタブでの破れの始まりを防ぐために、切欠きは、その両端において、内側シールから外側を向く中空領域を備える。
【0028】
有利には、各中空領域は、0.3から5mmの間、有利には0.5から2mmの間の曲率半径を有する。
【0029】
本発明によれば、折り目は、プルタブ自体と切欠きとの接合部に形成される。
【0030】
実際には、折り目は、3mmから15mmの間、有利には5mmから10mmの間の長さを有する。
【0031】
切欠きは、その一部については、有利には、3mmから25mmの間、好ましくは3.6mmから20mmの間の長さを有する。
【0032】
本発明によれば、プルタブ自体は、それぞれが基部と把持領域とである2つの部分を備える。基部は、曲線もしくは直線の側縁、または、一続きの曲線および/もしくは直線の縁を有してもよい。選ばれている実施形態にかかわらず、この領域で側縁同士を隔てる距離は折り目の長さより短い。
【0033】
好ましい実施形態では、基部の両側縁は、中空の外側を向く形状である。
【0034】
把持領域は、任意の形状のもの、具体的には概して円形であればよい。有利には、プルタブの2つの両側縁同士を隔てる距離は、折り目の長さよりも長い。
【0035】
一般に、導電性材料の薄板は、アルミニウム箔または同等品の形態で作られる。
【0036】
好ましい実施形態では、プルタブは、上方の強化層/導電性材料の薄板/下方の強化層を備える積層体を備え、それら2つの強化層は同じ化学的種類のプラスチック膜である。
【0037】
明らかに、上方の強化層および下方の強化層は複数の膜を含んでいてもよい。この場合、少なくとも2つの最外部の膜は同じ化学的種類のものである。
【0038】
出願者は、上記の構成または構造が、同じ化学的種類の2つの表面、この場合には、上方のプラスチック強化層と下方のプラスチック強化層とを、プルタブが折り返されたときに仮接着体で接触させることができることを指摘した。仮接着体と強化層との間の接着力は、開けるときの内側シールと支持体との間の分離を容易にするために、できるだけ弱くなければならないが、シールが口において所定位置に置かれる前に、つまり、具体的にはシールの移動中に、分離の恐れがあってはいけない。これら2つの膜が同じ化学的種類のものであるということは、均一な接着力が、仮接着体と、折り返されたときのプルタブの表面を含む内側シールの表面との間に提供されることを、さらに意味する。この強度は、誘導の後の口における内側シールの接着力よりも小さくなければならない。
【0039】
本発明によれば、一方、他方、または両方の強化層が刷りつけられてもよい。具体的には、下方の強化層の刷り込みによって、プルタブを、折り返されると、内側シールの上方の表面において明確に区別することができる。
【0040】
一般に、強化層を構成する材料は、前記材料の抵抗力が内側シールを引き剥がす力の抵抗力より大きくなるようにして選択される。
【0041】
実際には、強化層は、例えば、6μmから40μmの間の厚さの二軸延伸ポリエステル膜である。
【0042】
アルミニウム箔が2つの強化層同士の間に設けられる実施形態では、前記強化層は、通常は耐熱性であるPET(ポリエチレンテレフタレート)から作られるのが有利である。
【0043】
別の特徴によれば、熱融着膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、もしくはPETを含む群から選択されるポリオレフィン型の材料、ホットメルト型の材料、または、ターポリマー型もしくはアイオノマー型の材料から作られる。一般に、熱融着膜を構成する材料は、容器の種類に関連して選択される。熱融着膜は、積層体の下側で押出成形される単層膜であってもよい。下方の熱融着層と、積層体の下側に共押出成形によって適用される上方の接合層とを備える二層膜であってもよい。
【0044】
種類と実施される製造工程とに応じて、内側シールを構成する層同士は、例えば二成分イソシアネートヒドロキシル接着剤などのバインダによって結合されてもよい。
【0045】
内側シールは、実際には、20μmから200μmの間、好ましくは30μmから120μmの間の厚さを有している。
【0046】
支持体は、任意の種類の回復記憶圧縮性材料、具体的には発泡ポリエチレンまたは発泡ポリプロピレンから作ることができ、支持体の2つの表面の少なくとも一方に、ポリプロピレン膜またはポリエチレン膜が可能であれば設けられて、支持体にある程度の剛性を与える。支持体は、紙または厚紙から作られてもよい。実際には、支持体は、0.5mmから4mmの間、有利には0.8mmから2mmの間の厚さを有している。
【0047】
支持体と内側シールとの間の仮接合については、これは膜の形態で適用される仮接着体によって実現することができる。この膜は、好ましくは、押出成形または共押出成形され、層の2つの表面の各々は異なる接着力を有し、最大の接着力の面が支持体の下面に適用され、最小の接着力の面が内側シールの上面に適用される。実際には、このような膜は、必要とされる異なる接合特性を得るために、当業者によって注意深く選択される概して合成物質である高分子化合物に基づいている。このような高分子化合物は、例えば、アセテート、アクリレート、ポリエチレンなどに基づいた重合体または共重合体である。仮接着体は、蝋の層の形態になってもよい。
【0048】
当然ながら、以前に開示されており、以下において例示される内側シールは、補助的な漏れ防止性が必要とされないときは、支持体なしで用いられてもよい。
【0049】
本発明のさらに別の目的は、前述の熱融着可能なシールを製作する方法である。
【0050】
本発明の方法は、以下の
− 強化層と導電性材料の薄板とを備える積層体を準備するステップと、
− 位置合わせして、切欠きによって積層体の基部で延出するプルタブの事前切断を、プルタブの折り返されたときの折り目の長さが切欠きの長さより短くなるように積層体において行うステップと、
− プルタブの表面をその全体において積層体の上面に一度機械的に折り返すステップと、
− 次いで積層体の下面を熱融着膜で永久的に接合するステップであって、組立体が内側シール片を構成するステップと、
− 同時に支持体片を準備するステップと、
− 次いで、シール片を形成するために、支持体片を仮接着体によって内側シールに仮に接合するステップと、
− シールを、プルタブと位置合わせして必要な形状に、シール片の厚さ全体から切り出すステップと、を含む。
【0051】
公知の方法において、支持体片は、具体的には先に記載した材料である支持体を構成する材料の膜または発泡体を結合させることによって製作される。
【0052】
好ましい実施形態では、積層体は、上方の強化層と、導電性材料の薄板と、下方の強化層とを連続的に備える。
【0053】
積層体の厚さ全体においてプルタブを実行することで、追加のステップ、具体的には、異なる積層体を準備するステップや、アルミニウムと例えばプルタブの一部ではない熱融着膜とを結合するステップを、製作のときに無くすことができる。
【0054】
本発明によれば、熱融着膜は、有利には、積層体の下面に押出成形または共押出成形される。
【0055】
本発明およびそれに伴う利点は、添付の図によって支援される、以下の例からより明確になる。