特許第5985636号(P5985636)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5985636栓または蓋によって閉じられる容器を密封する新規タブシールおよびそのタブシールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985636
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】栓または蓋によって閉じられる容器を密封する新規タブシールおよびそのタブシールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   B65D77/20 M
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-523356(P2014-523356)
(86)(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公表番号】特表2014-525878(P2014-525878A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】FR2012050181
(87)【国際公開番号】WO2013017754
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2014年11月7日
(31)【優先権主張番号】1157057
(32)【優先日】2011年8月1日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】11187161.2
(32)【優先日】2011年10月28日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13/285,166
(32)【優先日】2011年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510024318
【氏名又は名称】マニュファクチュール・ジェネラル・ドゥ・ジョアン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・トリケ
(72)【発明者】
【氏名】レミー・ビショフ
【審査官】 二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−500137(JP,A)
【文献】 特表2010−540354(JP,A)
【文献】 実開昭56−014875(JP,U)
【文献】 特開平03−029757(JP,A)
【文献】 特開2008−001414(JP,A)
【文献】 米国特許第6866926(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00 − 79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮接着体(20)によって内側シール(12)に接合される支持体(11)を備える熱融着可能なシール(1)において、前記内側シール(12)は、表面全体が前記内側シールの表面に重なるように折り目(7)に沿って一度折り返っていると共に前記支持体の対応する表面と接触しているプルタブ(13)が設けられ、前記内側シールは、強化層(16)と、熱融着膜(15)が下面に適用される導電性材料の薄板(17)とを備える積層体(14)を備え、前記仮接着体(20)が前記内側シールの前記表面全体に適用されているシール(1)であって、
前記積層体(14)はその厚さ全体に渡って切欠き(10)を備え、前記切欠き(10)から前記プルタブ(13)が出現し、前記折り目(7)が、前記切欠きの長さ(L)よりも短い長さ(l)を有することを特徴とするシール。
【請求項2】
前記内側シールは、排他的に前記積層体(14)と前記熱融着膜(15)とからなることを特徴とする請求項1に記載のシール。
【請求項3】
前記プルタブ(13)は上方の強化層(16)と導電性材料の薄板(17)と下方の強化層(18)とをこの順番に積層した積層体からなり、前記上方の強化層(16)および前記下方の強化層(18)は同じ化学的種類のプラスチック膜であることを特徴とする請求項1または2に記載のシール。
【請求項4】
前記強化層はPETから作られることを特徴とする、請求項3に記載のシール。
【請求項5】
前記切欠き(10)は、その両端(6)において、前記内側シールから外側を向く中空領域を備え、前記中空領域は、0.3mmから5mmの間、有利には0.5mmから2mmの間の曲率半径を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシール。
【請求項6】
前記切欠き(10)は、3mmから25mmの間、好ましくは3.6mmから20mmの間の長さ(L)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のシール。
【請求項7】
前記折り目(7)は、3mmから15mmの間、有利には5mmから10mmの間の長さ(l)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のシール。
【請求項8】
前記プルタブ(13)は、それぞれが基部(9)と把持領域(8)とである2つの部分から形成され、前記基部(9)の側縁同士を隔てる距離(l)が前記折り目の前記長さ(l)より短いことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のシール。
【請求項9】
前記把持領域の2つの両側の側縁同士を隔てる距離(l)が前記折り目の前記長さ(l)より長いことを特徴とする請求項8に記載のシール。
【請求項10】
前記仮接着体(20)は異なる接合力の2つの面を有し、最大の接着力の面が前記支持体の下面に適用され、最小の接着力の面が前記内側シールの上面に適用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のシール。
【請求項11】
仮接着体によって内側シールに接合される支持体を備える熱融着可能なシールを製作する方法において、前記内側シールは、強化層と、熱融着膜が下面に適用される導電性材料の薄板とを備える積層体を備える方法であって、
前記積層体を準備するステップと、
位置合わせして、切欠きによって前記積層体の基部で延出するプルタブの事前切断を、前記プルタブの折り返されたときの折り目の長さが前記切欠きの長さより短くなるように前記積層体において行うステップと、
前記プルタブの表面をその全体において前記積層体の上面に一度機械的に折り返すステップと、
次いで前記積層体の下面を熱融着膜で永久的に結合され、この組立体が内側シール片を構成するステップと、
同時に支持体片を準備するステップと、
次いで、前記シール片を形成するために、前記支持体片を前記仮接着体によって前記内側シールに仮に接合するステップと、
前記内側シールを、前記プルタブと位置合わせして必要な形状に、前記シール片の厚さ全体から切り出すステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記積層体は、上方の強化層と導電性材料の薄板と下方の強化層とをこの順番に積層した積層体であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栓または蓋による閉止で容器を密封するように意図された新しいプルタブシールと、そのプルタブシールの製作方法とに関する。
【0002】
栓または蓋により閉止された容器は、最初に開けられるまで、接合または密封され得る、特には熱融着され得るシールによって、容器の口において漏れ防止がされている。
【0003】
本発明は、より詳細には、熱融着可能なシールに関する。
【背景技術】
【0004】
このようなシールは、容器の首部の上方の縁の周囲全体または口全体における適切な位置に設けられた内側シールを備えており、それによって容器を外部から隔離している。シールは、一方、栓の底部に接合されることなく挿入されている概してより厚みのある支持体も備えている。容器を最初に開ける前に、支持体と内側シールとは、仮接着体によって接合されてもよい。
【0005】
内側シールの役割は、第一に、最初に開ける前に容器を不正に開封させないようにすることである。また、外部に対する主要な漏れ防止性を提供する。さらに、隔離することになる内容物とある程度の適合性をもたせる必要があり、例えば、容器が食品を収容する場合は、食品等級の品質ものである必要がある。
【0006】
支持体は、その部分に関しては、蓋および/または栓の底部と容器の首部の上方部との間の公差を吸収するように意図されており、また、内側シールが全部または一部で取り除かれてしまった場合に補助的な漏れ防止性を提供するように意図されている。そのため、これらの公差を吸収するために、ある程度のメモリ効果圧縮を正確に提供することができる。
【0007】
実際には、シールは蓋または栓の内部に挿入される。容器が満たされると、シールが設けられた蓋または栓は容器に捩じ込まれるか、もしくは嵌め込まれる。そして、シールの内側シール部分は、容器の口と接触する。次いで、内側シールは、容器の口において、熱融着誘導によって密封される。前記熱融着は、シールに挿入された導電性材料の層との複合作用によって可能とされており、その導電性材料は、電気誘導の影響下で熱くなり、密封膜を柔らかくさせて口に接合させる。導電性材料は、内側シールの厚みの中に挿入されている。容器が初めて開けられたとき、栓の内部に挿入されている支持体は内側シールから分離され、内側シールは口において密封する状態のままとされる。そのため、内側シールが消費者によって取り除かれるのは後になってからでしかないので、容器が閉じられた状態での漏れ防止性は、口におけるシールの支持体の圧縮によってもたらされるだけである。
【0008】
消費者が効率よく簡単に引き剥がすことができる内側シールを提供するために、例えば、特許文献1に記載されるように、簡単に掴めるプルタブが前記内側シールに取り付けられた。
【0009】
しかしながら、この突出したプルタブの存在は、シールの縁に沿って過剰な厚さが生じる結果となるため、栓または蓋の内部にシールを配置することを困難にさせてしまう。さらに、栓または蓋を閉じたり開けたりするときにプルタブを傷めてしまう恐れを防ぐために、栓または蓋に設けられたねじまたはクリップに対して安全にプルタブを配置することは困難である。
【0010】
特許文献2には、支持体とプルタブが設けられた内側シールとを備え、それら支持体および内側シールが互いと決して接合されることのない誘導熱融着可能なシールが記載されている。示された3つの実施形態のうちの1つ(図1)だけが、表面全体に渡って折り返されるプルタブを備えている。前記プルタブは、薄膜と熱融着可能な層とを結合させることで形成され、アルミニウム箔が支持体内にある。
【0011】
特許文献3には、仮接着体によって結合された支持体および内側シールから作られたシールが記載されている。このシールは、支持体全体に渡って折り返されるか、もしくは口に沿って垂れ下がるプルタブを含んでいる。
【0012】
特許文献4には、仮接着体によって結合されることのない内側シールおよび支持体が記載されている。
【0013】
特許文献5には、支持体と内側シールとが蝋層によって接合されているシールが記載されている。このシールは、折り返されるプルタブを備えており、そのプルタブの熱融着層が支持体と内側シールとの間にある。
【0014】
特許文献6には、支持体とプルタブが設けられた内側シールとを備えるシールが記載されている。プルタブが折り返された後に、支持体と内側シールとは、内側シールに適用された仮接着体によって接合される。第1の実施形態では、プルタブは熱融着層のない強化層だけを備えている。この場合、内側シールを構成する層同士の剥離が、シールが引き剥がされるときに発生する可能性がある。第2の実施形態では、プルタブは、アルミニウム層を備えており、折り返されたときにS字形を呈する。そのような2つの折り曲げがあることは、当然ながらプルタブの厚さを増加させしまうため、内側シールと支持体との仮組立を非常に難しくさせてしまう。
【0015】
特許文献7には、前述と同じ形式のシールが記載されている。プルタブがアルミニウム層を備えている場合、プルタブはその下面に熱融着層を体系的に備える。誘導したときに融着層が支持体の下面に接合するのを防止するために、熱融着層は粘着防止膜で覆われているのが有利である。このような実施形態は、層の数および製作コストを増加させてしまう。同時に、好ましい実施形態では、プルタブは、融着層に隣接する強化層を備え、熱融着層がなく、アルミニウム箔全体に渡って折り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2716407号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3920324号明細書
【特許文献3】特開2000−191021号公報
【特許文献4】米国特許第4754890号
【特許文献5】英国特許出願公開第2330134号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第2045194号明細書
【特許文献7】国際公開第2010/115811号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
先行技術で提案されたシールはある程度価値のある解決策を提供しているが、具体的には下記のような、解決されるべき多くの問題がまだある。
− 内側シールを構成する層は、プルタブが内側シールの厚さ全体において形成されていない場合に、前記内側シールを引き剥がす際に剥離する可能性がある。
− プルタブの機械的強度は、内側シールを構成する層の性質および数に応じて、多かれ少なかれ強力である可能性がある。
− プルタブに熱融着膜が設けられている場合、誘導の際にプルタブが支持体に接合する可能性がある。
− 導電性材料の薄板がプルタブに含まれている場合、誘導の際、プルタブの下にあるシールが非常に弱くなる可能性があり、誘導電力を増加させることで密封するときに発生し得る誘導温度範囲を小さくする必要がある。
− 内側シールの厚さに伴う剛性が、200マイクロメートルより概して大きい。
− 製造方法が比較的多くの工程を現在も必要としており、それによって製作コストにも影響を与えている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの困難をすべて克服するために、出願者は、プルタブが設けられた内側シールを備える新しいシールを開発した。その結果生まれた内側シールは、その形状が、導電性材料の薄板の前記プルタブ内への組み込みを可能にするようになっている。その結果、シールによる容器の口の密封は、十分であって弱いことはない。そのため、熱融着層を除いて、アルミニウム箔を含めた内側シールを構成するすべての層を、折り返すことが可能となっている。結果的に、剥離を回避することができ、プルタブの抵抗力が強化され、製作方法が容易とされる。
【0019】
より具体的には、本発明の主題は、仮接着体によって内側シールに接合される支持体を備える熱融着可能なシールであって、前記内側シールは、表面全体が内側シールの表面に重なるように折り返されると支持体の対応する表面と接触するプルタブが設けられ、内側シールは、強化層と、熱融着膜が下面に適用される導電性材料の薄板とを備える積層体を備え、仮接着体は、プルタブが折り返されると、内側シールの表面全体に適用されるシールである。
【0020】
このシールは、積層体はその厚さ全体に渡って切欠きを備え、その切欠きからプルタブが出現し、プルタブが折り返されるとプルタブによって形成される折り目が、切欠きよりも長さが短いことを特徴とする。
【0021】
換言すれば、プルタブの基部は、熱融着膜の周囲に対して後退するようにずらされている。これは、プルタブの外側における積層体の領域が熱融着膜の表面よりも小さいことを意味している。その結果、積層体は、熱融着膜を全体において覆っていない。すでに述べたように、積層体は、強化層と導電性材料の薄板とを備える。
【0022】
より具体的には、強化層/導電性材料の薄板の積層体に形成された切欠きと、折り目の長さが切欠きの長さよりも狭くて小さいプルタブとの組み合わせは、つまり、プルタブが折り返されたときの折り目と、熱融着膜の周囲との間の距離をできるだけ短くすることを可能とする。これは、誘導された領域での外乱をより小さくするという利点をもたらし、それによって口においてすべての層の均一な密封を確保するとともに、より広い誘導温度範囲を確保することになる。
【0023】
すでに述べたように、プルタブは積層体に形成された切欠きから出現し、これは、プルタブが積層体の厚さ全体から出現することを意味する。換言すれば、プルタブは、積層体を構成する層の数と同じ数の層を備える。前述の誘導に関する利点は別として、これは、剥離現象を回避できること、プルタブの抵抗力を改善できること、および、プルタブが支持体と接合しない(プルタブの下面は熱融着膜がない)ことをさらに意味している。
【0024】
好ましい実施形態では、内側シールは、排他的に積層体からなり、その積層体の下面は熱融着膜と接触している。
【0025】
内側シールは、積層体の上側に、タブに含まれていない強化膜などの追加の層を備えてもよい。この追加の層の存在は、熱融着可能なシールの密封に影響を与えない。
【0026】
同様に、本発明によれば、熱融着膜は積層体の下側に適用される。好ましい実施形態では、膜は、積層体と熱融着可能な層との間に適用されるバインダ層の存在にかかわらず、積層体の下側に直に適用される。その結果、積層体を構成する層は、内側シールを引き剥がす際に剥離しない。好ましくない別の実施形態では、少なくとも1つの別個の中間層が、積層体と熱融着膜との間に適用される。この中間層は、バインダではなく、強化層であり得る。この場合、タブはこの追加の層を含んでいない。積層体と追加の層との間の剥離が発生するにもかかわらず、この実施形態は、従来技術のシールに関する問題をなおも解決している。
【0027】
内側シールが引き剥がされるときにプルタブでの破れの始まりを防ぐために、切欠きは、その両端において、内側シールから外側を向く中空領域を備える。
【0028】
有利には、各中空領域は、0.3から5mmの間、有利には0.5から2mmの間の曲率半径を有する。
【0029】
本発明によれば、折り目は、プルタブ自体と切欠きとの接合部に形成される。
【0030】
実際には、折り目は、3mmから15mmの間、有利には5mmから10mmの間の長さを有する。
【0031】
切欠きは、その一部については、有利には、3mmから25mmの間、好ましくは3.6mmから20mmの間の長さを有する。
【0032】
本発明によれば、プルタブ自体は、それぞれが基部と把持領域とである2つの部分を備える。基部は、曲線もしくは直線の側縁、または、一続きの曲線および/もしくは直線の縁を有してもよい。選ばれている実施形態にかかわらず、この領域で側縁同士を隔てる距離は折り目の長さより短い。
【0033】
好ましい実施形態では、基部の両側縁は、中空の外側を向く形状である。
【0034】
把持領域は、任意の形状のもの、具体的には概して円形であればよい。有利には、プルタブの2つの両側縁同士を隔てる距離は、折り目の長さよりも長い。
【0035】
一般に、導電性材料の薄板は、アルミニウム箔または同等品の形態で作られる。
【0036】
好ましい実施形態では、プルタブは、上方の強化層/導電性材料の薄板/下方の強化層を備える積層体を備え、それら2つの強化層は同じ化学的種類のプラスチック膜である。
【0037】
明らかに、上方の強化層および下方の強化層は複数の膜を含んでいてもよい。この場合、少なくとも2つの最外部の膜は同じ化学的種類のものである。
【0038】
出願者は、上記の構成または構造が、同じ化学的種類の2つの表面、この場合には、上方のプラスチック強化層と下方のプラスチック強化層とを、プルタブが折り返されたときに仮接着体で接触させることができることを指摘した。仮接着体と強化層との間の接着力は、開けるときの内側シールと支持体との間の分離を容易にするために、できるだけ弱くなければならないが、シールが口において所定位置に置かれる前に、つまり、具体的にはシールの移動中に、分離の恐れがあってはいけない。これら2つの膜が同じ化学的種類のものであるということは、均一な接着力が、仮接着体と、折り返されたときのプルタブの表面を含む内側シールの表面との間に提供されることを、さらに意味する。この強度は、誘導の後の口における内側シールの接着力よりも小さくなければならない。
【0039】
本発明によれば、一方、他方、または両方の強化層が刷りつけられてもよい。具体的には、下方の強化層の刷り込みによって、プルタブを、折り返されると、内側シールの上方の表面において明確に区別することができる。
【0040】
一般に、強化層を構成する材料は、前記材料の抵抗力が内側シールを引き剥がす力の抵抗力より大きくなるようにして選択される。
【0041】
実際には、強化層は、例えば、6μmから40μmの間の厚さの二軸延伸ポリエステル膜である。
【0042】
アルミニウム箔が2つの強化層同士の間に設けられる実施形態では、前記強化層は、通常は耐熱性であるPET(ポリエチレンテレフタレート)から作られるのが有利である。
【0043】
別の特徴によれば、熱融着膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、もしくはPETを含む群から選択されるポリオレフィン型の材料、ホットメルト型の材料、または、ターポリマー型もしくはアイオノマー型の材料から作られる。一般に、熱融着膜を構成する材料は、容器の種類に関連して選択される。熱融着膜は、積層体の下側で押出成形される単層膜であってもよい。下方の熱融着層と、積層体の下側に共押出成形によって適用される上方の接合層とを備える二層膜であってもよい。
【0044】
種類と実施される製造工程とに応じて、内側シールを構成する層同士は、例えば二成分イソシアネートヒドロキシル接着剤などのバインダによって結合されてもよい。
【0045】
内側シールは、実際には、20μmから200μmの間、好ましくは30μmから120μmの間の厚さを有している。
【0046】
支持体は、任意の種類の回復記憶圧縮性材料、具体的には発泡ポリエチレンまたは発泡ポリプロピレンから作ることができ、支持体の2つの表面の少なくとも一方に、ポリプロピレン膜またはポリエチレン膜が可能であれば設けられて、支持体にある程度の剛性を与える。支持体は、紙または厚紙から作られてもよい。実際には、支持体は、0.5mmから4mmの間、有利には0.8mmから2mmの間の厚さを有している。
【0047】
支持体と内側シールとの間の仮接合については、これは膜の形態で適用される仮接着体によって実現することができる。この膜は、好ましくは、押出成形または共押出成形され、層の2つの表面の各々は異なる接着力を有し、最大の接着力の面が支持体の下面に適用され、最小の接着力の面が内側シールの上面に適用される。実際には、このような膜は、必要とされる異なる接合特性を得るために、当業者によって注意深く選択される概して合成物質である高分子化合物に基づいている。このような高分子化合物は、例えば、アセテート、アクリレート、ポリエチレンなどに基づいた重合体または共重合体である。仮接着体は、蝋の層の形態になってもよい。
【0048】
当然ながら、以前に開示されており、以下において例示される内側シールは、補助的な漏れ防止性が必要とされないときは、支持体なしで用いられてもよい。
【0049】
本発明のさらに別の目的は、前述の熱融着可能なシールを製作する方法である。
【0050】
本発明の方法は、以下の
− 強化層と導電性材料の薄板とを備える積層体を準備するステップと、
− 位置合わせして、切欠きによって積層体の基部で延出するプルタブの事前切断を、プルタブの折り返されたときの折り目の長さが切欠きの長さより短くなるように積層体において行うステップと、
− プルタブの表面をその全体において積層体の上面に一度機械的に折り返すステップと、
− 次いで積層体の下面を熱融着膜で永久的に接合するステップであって、組立体が内側シール片を構成するステップと、
− 同時に支持体片を準備するステップと、
− 次いで、シール片を形成するために、支持体片を仮接着体によって内側シールに仮に接合するステップと、
− シールを、プルタブと位置合わせして必要な形状に、シール片の厚さ全体から切り出すステップと、を含む。
【0051】
公知の方法において、支持体片は、具体的には先に記載した材料である支持体を構成する材料の膜または発泡体を結合させることによって製作される。
【0052】
好ましい実施形態では、積層体は、上方の強化層と、導電性材料の薄板と、下方の強化層とを連続的に備える。
【0053】
積層体の厚さ全体においてプルタブを実行することで、追加のステップ、具体的には、異なる積層体を準備するステップや、アルミニウムと例えばプルタブの一部ではない熱融着膜とを結合するステップを、製作のときに無くすことができる。
【0054】
本発明によれば、熱融着膜は、有利には、積層体の下面に押出成形または共押出成形される。
【0055】
本発明およびそれに伴う利点は、添付の図によって支援される、以下の例からより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1a】従来技術の内側シールの上方からの図であり、プルタブは折り返されていない。
図1b】従来技術の内側シールの上方からの図であり、プルタブは折り返されている。
図1c】本発明による内側シールの上方からの図であり、プルタブは折り返されていない。
図1d】本発明による内側シールの上方からの図であり、プルタブは折り返されている。
図2図1cのプルタブの他の実施形態である。
図3】好ましい実施形態による支持部に接合されている内側シール部の前における、本発明によるシールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、シール(支持体+内側シール)において、特定のプルタブ形状と、そのプルタブにおけるアルミニウムの存在と、それでもプルタブに熱融着層がないこととを組み合わせていることにある。
【0058】
図1a〜1dは、内側シールのプルタブの形状により具体的に関連している。図1aおよび図1bは、公知の従来技術のプルタブの形状を示しており、一方、図1cおよび図1dは、本発明の好ましい実施形態におけるプルタブの形状に関している。
【0059】
内側シールは、それぞれにおいて概して符号1で参照されている。それぞれ、概して円形の形状の内側シール自体(2)と、プルタブ(3)とを備えている。内側シールは、より具体的には、熱融着膜(4)と、アルミニウム/上方の強化層の積層体(5)とを備えている。図1b、図1dは、プルタブ(3)が折り返された後に熱融着膜(4)および積層体(5)の2つの要素同士の間を区別するために用いられている。しかしながら、(上方裏地/アルミニウム)積層体の正確な構造は、これらの図では見ることができない。
【0060】
より具体的には、図1aにおいて、熱融着膜(4)および積層体(5)は重ね合わされており、そのため同じ表面を有している。この場合、プルタブは、内側シールの周囲(6)を起点として、内側シールから外側へと直接的に延在されている。そのため、折り返されたときの折り目(7)の長さ(l)は、この場合、プルタブの2つの端(6)を隔てる距離(L)に等しい。図1bに示すように、矢印(F)は、誘導電力を増加させることなく、熱融着膜の満足な密封ができないことを意味する長さとなっている。
【0061】
図1cおよび図1dでは、本発明の内側シールの好ましい形状が示されている。図2に示すプルタブ自体は、長さAの把持領域(8)と、長さBの基部(9)とを備えている。プルタブの基部(9)は、定義上、熱融着膜(4)の周囲に対して後退した、積層体(5)に作られた外側を向く中空において、大きく開いた切欠き(10)から出現している。折り目(7)は、切欠き(10)と基部(9)との間の接合部に接線方向に形成されている。これらの図から明確であるように、折り目(7)は、切欠き(10)の長さ(L)よりも短い長さ(l)を有している。これは、プルタブが折り返された後に、先行技術を示す図1bにおける持ち上げ量Fに対してより短い長さの持ち上げ量Fがもたらされることを意味している。図2の実施形態によれば、基部(9)の両側縁は、2つの側縁を隔てる距離(l)が折り目の長さ(l)よりも短くなるように、外側を向く中空形状を有している。この構成は、内側シールが引き剥がされるとき、プルタブの抵抗を増進させる。良好な把持を提供するために、把持領域の2つの両縁を隔てる距離lは、折り目(7)の距離lよりも長くなっている。
【0062】
図3には、好ましい実施形態における本発明のシールの断面図が示されている。
【0063】
この図で定められるシールは、支持体(11)と、プルタブ(13)が設けられた内側シール(12)とを備えている。内側シールは、それぞれが積層体(14)と熱融着膜(15)とである2つの要素を備えている。積層体(14)自体は、上方の強化層(16)と、アルミニウム箔(17)と、下方の強化層(18)とを備えている。2つの強化層は、PETから作られている。つまり、同じ化学的種類のものである。
【0064】
したがって、これは、2つの化学的に同一の表面を、仮接着体で接触した状態にさせることができ、その効果は以下のようにすることである。
− 仮接着体の内側シールへの接合力を、内側シールの表面部分と折り返されたプルタブの部分との間で均一な方法で制御すること。
− 組立体を傷めてしまう恐れなく内側シールと支持体とを分離させるために、仮接着体と、折り返されたプルタブの部分を含む内側シールの表面との間に十分な接着力を提供すること。
【0065】
熱融着膜(15)は、一部についてポリエチレンから作られており、押出成形または共押出成形によって積層体(14)の下面に適用されている。内側シールの総厚さは約100マイクロメートルである。
【0066】
支持体は、発泡ポリプロピレンまたは発泡ポリエチレンから作られた層(19)を備え、1.4から1.7mmの間の厚さを有する。
【0067】
この図に示すように、プルタブ(13)は熱融着層(15)を有しておらず、熱融着層の端部に対して後退して配置されており、これは積層体(14)に作られた切欠き(10)の深さと一致している。
【0068】
プルタブ(13)は、折り返されると、支持体(11)の下面に適用された仮接着体(20)の層と接触する。
【0069】
仮接着体は、ポリエチレン型の押出成形された膜の形態となっており、その膜の2つの表面の各々は異なる接合力を有し、最大の接着力の面が支持体の下面に適用されており、最小の接着力の面が内側シールの上面に適用されている。
【0070】
実際には、これらのシールは、それらが栓の底部にあるように配置され、状況に応じて、栓が容器の首部に捩じ込まれるか、もしくは嵌め込まれる。シールは誘導熱融着される。
【0071】
方法に関しては、最初に製作されるものは内側シールである。そのようにするために、上方の強化層/アルミニウム箔/下方の強化層の積層片が準備される。位置合わせして、切欠きによって積層体の基部で延出するプルタブの事前切断が、プルタブの折り返されたときの折り目の長さが切欠きの長さより短くなるようにこの積層体において行われる。次いで、プルタブの表面が、その全体において、積層体の上面に機械的に折り返される。そして熱融着膜が積層体の下面に押出成形され、組立体は内側シール片を構成する。同時に支持体片が準備される。次いで、シール片を形成するために、支持体片が仮接着体の押出成形によって内側シールに仮に接合される。シールは、プルタブと位置合わせして必要な形状に、シール片の厚さ全体から切り出される。
【0072】
本発明およびそれに伴う利点は、前述の説明から明確である。特に注目されるのは、アルミニウム箔を含んでいる具体的な形状のプルタブシールを熱融着膜なしで作るという利点であり、プルタブはシールの厚さ全体で折り返され、以下のような結果をもたらす。
− 内側シールが引き剥がされるときに内側シールを構成する層の剥離の恐れを回避する。
− 同じ種類の層を有利に接触させることで粘着を増進する。
− 方法を容易にする。
【符号の説明】
【0073】
1 内側シール
2 内側シール自体
3 プルタブ
4 熱融着膜
5 積層体
6 両端
7 折り目
8 把持領域
9 基部
10 切欠き
11 支持体
12 内側シール
13 プルタブ
14 積層体
15 熱融着膜
16 上方の強化層
17 アルミニウム箔
18 下方の強化層
19 層
20 仮接着体
A 長さ
B 長さ
矢印
持ち上げ量
持ち上げ量
長さ
距離
長さ
長さ
距離
距離
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3