特許第5985646号(P5985646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5985646ラップアラウンドディスプレイを備える電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985646
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】ラップアラウンドディスプレイを備える電子装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20160823BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20160823BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20160823BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160823BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   G09F9/30 308Z
   G09F9/30 365
   G09F9/00 366A
   G09F9/00 366G
   G09F9/00 350Z
   H05B33/14 A
   H05B33/02
   G09F9/30 308A
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-533615(P2014-533615)
(86)(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公表番号】特表2014-534456(P2014-534456A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2012056311
(87)【国際公開番号】WO2013048868
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年3月26日
(31)【優先権主張番号】13/245,646
(32)【優先日】2011年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【弁理士】
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ スコット エイ
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/114190(WO,A1)
【文献】 特開2006−058753(JP,A)
【文献】 特開2006−171514(JP,A)
【文献】 特開2011−034029(JP,A)
【文献】 特開2006−215116(JP,A)
【文献】 特開2007−150866(JP,A)
【文献】 特開2008−152184(JP,A)
【文献】 特開2002−082646(JP,A)
【文献】 特開2005−250442(JP,A)
【文献】 特開2007−072375(JP,A)
【文献】 特開2006−005712(JP,A)
【文献】 特表2008−530611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−9/46
H01L 21/336
27/32
29/786
51/50
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブル電子装置であって、
光透過性材料で形成され、第1及び第2の開放端部を有する、継ぎ目のない管状筐体と、
前記継ぎ目のない管状筐体内で取り囲まれる、複数の電気構成要素と、
前記第1及び第2の開放端部のサイズ及び形状をそれぞれ有する、第1及び第2の端部キャップと、
前記第1及び第2の端部キャップを前記継ぎ目のない管状筐体に、前記第1及び第2の開放端部それぞれにおいて確実に取り付けるように構成される、第1及び第2の端部キャップ受け部と、
前記複数の電気構成要素を支持するように構成される内部フレームであって、少なくとも第1及び第2の支持コラムを含み、前記支持コラムのそれぞれが、前記第1及び第2の端部キャップ受け部を経由して、前記第1の端部キャップ及び前記第2の端部キャップによって固定される、内部フレームと、
前記継ぎ目のない管状筐体内に配置され、前記継ぎ目のない管状筐体の内部表面に接着して結合される第1のフレキシブルディスプレイであって、第1の端部及び第2の端部を有し、前記継ぎ目のない管状筐体の実質的に任意の部分を通して可視であるビジュアルコンテンツを提示するように構成される当該第1のフレキシブルディスプレイと、を備え、
前記第1の端部及び前記第2の端部が互いに接触するような方式で、前記第1のフレキシブルディスプレイが配置されることにより、前記ビジュアルコンテンツが、前記第1のフレキシブルディスプレイによって、連続的で途切れのない方式で提示され、ビジュアルコンテンツの連続ループを形成する、ポータブル電子装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の端部キャップが、前記継ぎ目のない管状筐体によって取り囲まれた前記複数の電気構成要素のうちの、選択された電気構成要素を電気的に接続するように構成される、電気コネクタをそれぞれ含む、請求項1に記載のポータブル電子装置。
【請求項3】
前記継ぎ目のない管状筐体の少なくとも一部分が、ガラスであり、かつ物体による接触に反応するタッチ感知素子を含む、請求項2に記載のポータブル電子装置。
【請求項4】
前記継ぎ目のない管状筐体が、楕円状断面を有するガラスである、請求項3に記載のポータブル電子装置。
【請求項5】
前記継ぎ目のない管状筐体の少なくとも一部分が、電波不透過性要素及び光不透過性要素を含み、前記光不透過性要素が、前記複数の電気構成要素のうちの少なくとも一部を隠すためのマスクを形成する、請求項4に記載のポータブル電子装置。
【請求項6】
前記継ぎ目のない管状筐体の内部表面と前記第1のフレキシブルディスプレイとの間に配置される、第2のフレキシブルディスプレイを更に備え、前記第1のフレキシブルディスプレイによって提示される少なくとも一部のビジュアルコンテンツが、前記第2のフレキシブルディスプレイを通して可視となるように、前記第1及び第2のフレキシブルディスプレイが、互いに対して配置構成される、請求項に記載のポータブル電子装置。
【請求項7】
前記第1及び第2のフレキシブルディスプレイが、協調してビジュアルコンテンツを提示し、前記協調ビジュアルコンテンツが、3次元の外観を有する、請求項6に記載のポータブル電子装置。
【請求項8】
前記継ぎ目のない管状筐体が、ピル形状断面を有する、請求項7に記載のポータブル電子装置。
【請求項9】
前記第1のフレキシブルディスプレイが、前記ピル形状断面に適合して前記継ぎ目のない管状筐体内に密着する形状へと巻き上げられる、請求項8に記載のポータブル電子装置。
【請求項10】
前記巻き上げられた第1のフレキシブルディスプレイが、前記継ぎ目のない管状筐体内に完全に挿入された場合、前記巻き上げられた第1のフレキシブルディスプレイが展開されるので、前記展開した第1のフレキシブルディスプレイ、前記継ぎ目のない管状筐体の前記ピル形状断面に適合された状態となる、請求項9に記載のポータブル電子装置。
【請求項11】
プロセッサと、
エンドユーザの存在を検出して、前記検出されたエンドユーザの視野を判定する検出機構と、を更に備える、請求項1に記載のポータブル電子装置。
【請求項12】
前記検出機構が、画像キャプチャ装置である、請求項11に記載のポータブル電子装置。
【請求項13】
ポータブル電子装置の組み立て方法であって、
継ぎ目のない管状の透明エンクロージャを受け取る工程と、
前記継ぎ目のない管状の透明エンクロージャの断面に適合するように、フレキシブルディスプレイを成形する工程と、
前記成形されたフレキシブルディスプレイを、前記継ぎ目のない管状の透明エンクロージャ内に挿入する工程であって、前記成形されたフレキシブルディスプレイが、前記継ぎ目のない管状の透明エンクロージャの内部表面に対して、前記フレキシブルディスプレイのディスプレイ部分を押し付けさせる形状へと拡張するとき、前記継ぎ目のない管状の透明エンクロージャの内部表面にフレキシブルディスプレイを接着して結合させる工程と、
前記挿入されたフレキシブルディスプレイを、前記継ぎ目のない管状の透明エンクロージャ内で取り囲む工程と、を含む、方法。
【請求項14】
前記フレキシブルディスプレイが、AMOLEDタイプのディスプレイである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記挿入されたフレキシブルディスプレイを、前記継ぎ目のない管状の透明エンクロージャ内で取り囲む工程の前に、
この挿入されたフレキシブルディスプレイの内に、第2のフレキシブルディスプレイを挿入する工程を更に含み、前記第2のフレキシブルディスプレイ及び前記挿入されたフレキシブルディスプレイが、協働してビジュアルコンテンツを提示する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記成形されたフレキシブルディスプレイが、前記継ぎ目のない管状の透明エンクロージャの第1の開放端部を通して、前記継ぎ目のない管状の透明エンクロージャ内に挿入される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ポータブル電子装置であって、
光透過性材料で形成され、第1の開放端部及び第2の開放端部を有する、継ぎ目のない管状筐体と、
前記継ぎ目のない管状筐体内で取り囲まれる、複数の電気構成要素と、
前記複数の電気構成要素を支持するように構成される内部フレームと、
前記継ぎ目のない管状筐体内に配置され、前記継ぎ目のない管状筐体の内部表面に接着して結合される第1のフレキシブルディスプレイであって、第1の端部及び第2の端部を有し、前記継ぎ目のない管状筐体を通して可視であるビジュアルコンテンツを提示するように構成される当該第1のフレキシブルディスプレイと、を備え、
前記第1の端部及び前記第2の端部が互いに接触するような方式で、前記第1のフレキシブルディスプレイが配置され、前記第1のフレキシブルディスプレイが、前記第1の端部と前記第2の端部との接合部を横断して途切れのない方式で延在するビジュアルコンテンツを提示するように構成される、ポータブル電子装置。
【請求項18】
前記第1の開放端部及び第2の開放端部の各キャップが、複数の端部キャップ受け部を備え、この端部キャップ受け部が、前記内部フレームの支持コラムと前記各キャップとを結合するように動作可能である、請求項17に記載のポータブル電子装置。
【請求項19】
前記継ぎ目のない管状筐体の内部表面と前記第1のフレキシブルディスプレイとの間に配置される、第2のフレキシブルディスプレイを更に備え、前記第1のフレキシブルディスプレイによって提示される少なくとも一部のビジュアルコンテンツが、前記第2のフレキシブルディスプレイを通して可視となるように、前記第1及び第2のフレキシブルディスプレイが、互いに対して配置構成される、請求項17に記載のポータブル電子装置。
【請求項20】
前記第1のフレキシブルディスプレイが、個別の画素を選択的に照明するように構成される、請求項17に記載のポータブル電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明される実施形態は、全般的には、ポータブル電子装置に関する。具体的には、ビジュアルコンテンツを提示するための、より効率的な機構を提供することによって、ポータブル電子装置の機能性を拡張することが開示される。
【背景技術】
【0002】
ここ数年で、ポータブル電子装置の機能性は、飛躍的に増大している。これらの装置の未使用部分を最大限に利用する方法を探求することによって、更なる改善が実現されるであろう。大多数のポータブル電子装置が、標準的なフォームファクタに、すなわち一方の側上にディスプレイがあり、電気構成要素を収容する不透明な筐体が装置の裏面を覆う、平坦面状のフォームファクタに定着していることを考慮すると、フォームファクタは、開発に関する興味深い分野である。残念ながら、この一般的なフォームファクタにより、装置の側面及び裏面は未使用のまま残されるか、あるいは最善でも、場所及び機能性が固定されたボタン及びスイッチを伴って構成される。これらのボタン及びスイッチの多くは、固定された機能性を有するため、必ずしもサードパーティアプリケーションに組み込むことができるとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それゆえ、装置の2つ以上の表面に機能性を拡張することを可能にする、ポータブル電子装置のための改善されたフォームファクタに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本文書は、ラップアラウンドディスプレイを備えるポータブル電子装置を作り出すための、装置、方法、及びコンピュータ可読媒体に関する、様々な実施形態を説明する。
【0005】
一実施形態では、消費者向け電子製品が説明される。この消費者向け電子製品は、少なくとも、透明筐体と、この透明筐体内で取り囲まれるフレキシブルディスプレイアセンブリと、を含む。説明される実施形態では、フレキシブルディスプレイアセンブリは、透明筐体の任意の部分に、ビジュアルコンテンツを提示するように構成される。
【0006】
説明される実施形態の一態様では、この消費者向け電子製品は、第2のフレキシブルディスプレイアセンブリを含む。この第2のディスプレイは、フレキシブルディスプレイアセンブリと協働して、ビジュアルコンテンツを提示するように動作する。
【0007】
別の実施形態では、多重ディスプレイポータブル電子装置の組み立て方法が説明される。この方法は、少なくとも以下の作業:透明エンクロージャを受け取る工程と、この透明エンクロージャの断面に適合するように、フレキシブルディスプレイを成形する工程と、成形されたフレキシブルディスプレイを、透明エンクロージャ内に挿入する工程と、を実行することによって実施することができる。この挿入の後に、成形されたフレキシブルディスプレイは、透明エンクロージャの内部表面に対してフレキシブルディスプレイのディスプレイ部分を押し付けさせる、元の形状へと戻る。この方法はまた、挿入されたフレキシブルディスプレイを、エンクロージャ内で取り囲む作業も含む。
【0008】
多重ディスプレイポータブル電子装置の組み立てのための装置が説明される。一実施形態では、この装置は、少なくとも、透明エンクロージャを受け取るための手段と、この透明エンクロージャの断面に適合するように、フレキシブルディスプレイを成形するための手段と、成形されたフレキシブルディスプレイを、透明エンクロージャ内に挿入するための手段と、を含む。この挿入後に、成形されたフレキシブルディスプレイは、透明エンクロージャの内部表面に対してフレキシブルディスプレイのディスプレイ部分を押し付けさせる元の形状へと戻る。この装置はまた、少なくとも、挿入されたフレキシブルディスプレイを、エンクロージャ内に封入するための手段も含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
説明される実施形態、及びその有利点は、添付図面と併せて以下の説明を参照することによって、最も良好に理解することができる。これらの図面は、説明される実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって、説明される実施形態に実施することができる、形態及び詳細のいかなる変更も、決して限定するものではない。
図1A】組み立て前の状態の、代表的な筐体及び関連するフレキシブルディスプレイアセンブリである。
図1B】部分的に組み立てられた状態の、図1Aの筐体内の巻き上げ構成のフレキシブルディスプレイアセンブリである。
図2】ポータブル電子装置200の内部構成要素が、透明筐体内に挿入されつつある、ポータブル電子装置の斜視図である。
図3】説明される実施形態による、ポータブル電子装置の底面図である。
図4】動作中のポータブル電子装置の斜視図である。このラップアラウンドディスプレイが、アイコン、データ、画像、動画などの表示のために使用することができる利用可能ディスプレイ領域を、どのように実質的に増大させるかということに留意されたい。
図5A】説明される実施形態を製造することができる、様々な更なる代表的なフォームファクタである。
図5B】説明される実施形態を製造することができる、様々な更なる代表的なフォームファクタである。
図5C】説明される実施形態を製造することができる、様々な更なる代表的なフォームファクタである。
図6】説明される実施形態によるプロセスを詳述するフローチャートである。
図7A】説明される実施形態による、多重ディスプレイポータブル通信装置である。
図7B】説明される実施形態による、多重ディスプレイポータブル通信装置である。
図8】説明される実施形態で使用するために好適な、電子装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで説明される実施形態は、全般的には、メディア装置に関する。より具体的には、透明エンクロージャ内で取り囲まれたラップアラウンドディスプレイを有する、メディア装置が説明される。
【0011】
以下の説明では、ここで説明される実施形態の完全な理解を提供するために、数多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、これらの具体的な詳細のうちの一部又は全てを使用することなく、ここで説明される実施形態を実践できるということが、当業者には明らかであろう。他の例では、ここで説明される実施形態を不必要に不明瞭化することを回避するために、周知のプロセス工程は、詳細には説明されていない。
【0012】
大多数のポータブル電子装置の製造業者は、単一の表面が、主にディスプレイ表面としての使用に特化される一方で、他の表面は、たまに使用されるボタン又はスイッチを除けば大部分が未使用のまま残される、概して平坦面状のフォームファクタからなる共通のフォームファクタを利用する。このような従来のフォームファクタは、スマートフォン、タブレット型装置、及び電子ブックリーダーなどの装置で使用されている。このフォームファクタは審美的に好ましく、かつ取り扱いが容易な電子装置に好適であるが、平面ディスプレイ及び関連回路機構に対する要件により、本質的にその表面積の量が単一表面に限定される。より具体的には、ユーザインターフェースのサイズは概して、装置の表面積全体の半分未満を占める、装置の一部分に限定される。
【0013】
一実施形態では、フレキシブルディスプレイを利用することにより、電子装置のサイズ又は形状のいずれも増大させることなく、追加的な表示面積を提供することができる。例えば、フレキシブルディスプレイは、連続ループを形成するような方法で折り曲げることができるため、画像(静止画又は動画)をラップアラウンド方式(画像が連続ループで提示されるように見える)で提示することができる。フレキシブルディスプレイは、緊密な巻き付け構成へと折り曲げて、少なくともその一部分が透明なエンクロージャ内に定置することができる。一部の場合には、このエンクロージャはインク又は他のマスキング材料の追加によって、少なくともその一部分が不透明(少なくとも半透明)化されたガラスで形成することができる。しかしながら、他の場合には、エンクロージャ全体を完全に透明にすることができ、この場合、折り曲げられたフレキシブルディスプレイは、そのガラス製エンクロージャ内に定置されると、巻き付けを解除し得る。完全に巻き付けが解除された後、フレキシブルディスプレイは、ガラス製エンクロージャの任意の部分に、画像を提示することができる。
【0014】
これらの実施形態及び他の実施形態は、図1〜Xを参照して以下で論じられる。しかしながら、これらの図に関して本明細書に記載される詳細な説明は、説明を目的とするものに過ぎず、限定するものとして解釈するべきではないことが、当業者には容易に理解されよう。
【0015】
図1Aは、筐体102を代表的なフレキシブルディスプレイアセンブリ104と共に示す。筐体102は多くの形態を呈し得る。例えば、筐体102は、一部分が本質的に金属製(アルミニウムなど)である一方で、別の部分をガラスなどの光透過性材料で形成することができる、マルチパートのものとすることができる。しかしながら、この考察の残りの部分においては、筐体102はガラスなどの透明(又は少なくとも半透明)の材料で完全に形成されるものと見なされる。この方式において、また普遍性を失うことなく、透明筐体102は、例えばガラス又はプラスチックなどの任意の透明材料で作製することができる。選択される材料は、概して多くの要因に応じて決定され、これらの要因としては、強度(引張の)、密度(軽量性)、比強度、ヤング率、耐食性、成形性、仕上げ加工、リサイクル性、金型費、設計柔軟性、製造原価、製造スループット、再生産性などが挙げられるが、これらに限定されない。選択される材料はまた、導電率、熱伝導率、電波及び光透過性、可燃性、毒性などに応じて決定することもできる。選択される材料はまた、色、表面仕上げ、及び重量を含めた、審美性に応じて決定することもできる。
【0016】
具体的な一実施形態では、筐体102は、ガラス管から形成することができる。このガラス管は、押出成形、又は押出成形様プロセスにより形成することができる。他の材料よりもガラスを使用する理由の一部は、ガラスは強固で硬く、また電波透過性であるため、無線通信が可能であり、かつその任意の表面でビジュアルコンテンツを提示することが可能である電子装置の、エンクロージャのために好適な材料である点である。電波透過性は、エンクロージャの内部にアンテナを含む無線ハンドヘルド装置にとっては、特に重要である。電波透過性は、無線信号がエンクロージャを通過することを可能にし、一部の場合には、これらの無線信号の伝送を更に促進する。ガラス製エンクロージャは無線通信を可能とするものであるが、本明細書で説明される実施形態は、無線通信が可能である必要はないことが、理解されよう。
【0017】
筐体102の製作のためにガラスを使用することにより、独特の審美的に好ましい外観を有するポータブル電子装置を提供することもできる。審美的に好ましい外観を更に提供するために、このガラスはまた、ガラス上の指紋及び汚れを低減するための疎油性コーティングでコーティングすることもできる。このガラスはまた、グレアを低減するための反射防止コーティングでコーティングすることもできる。化学強化ガラスはまた、耐擦傷性でもあり得ることが理解されるであろう。このガラスはまた、多種多様な色で着色することもでき、滑面及び粗面を含めた、様々な表面仕上げも有し得る。例えばこのガラスは、平滑(光沢)仕上げを作り出すように研磨加工することができ、又はブラスト処理作業を実行して、粗面若しくは非平滑化(艶消し)仕上げを作り出すこともできる。このガラスの一部はまた、その非平滑化表面が光を分散させるように、非平滑化することもでき、光インジケータとして使用することができる。より詳細に以下で論じられるように、このガラス材料は、継ぎ目のない外観、又は実質的に継ぎ目のない外観をエンクロージャが有し得るように形成することができる。継ぎ目のないエンクロージャは、審美的に好ましいことに加えて、装置の内部への汚染及び水分の侵入が少ないという付加価値を提供することができる。
【0018】
一部の場合には、筐体102がガラスなどの透明材料から完全に製作されるとしても、エンドユーザの視界から、筐体102の少なくとも一部を覆い隠すことが望ましい場合がある。例えば、内部構成要素が筐体102を通して可視となることにより、その電子製品の全体的な外観及び印象が損なわれる場合がある。それゆえ、一部の場合には、筐体102の一部を、光学的に覆い隠すことができる。ディスプレイの周囲のガラス製エンクロージャを不透明化することにより、装置の動作構成要素を不可視にすることができる。筐体102の一部を不透明化する1つの方法は、不透明性が所望されるそれらの区域内にインク印刷プロセスを使用して、マスクを作り出すことである。例えば、適切に配置されたインクは、光不透過性のマスク領域を提供することができる。例えば、ディスプレイを取り囲む区域をマスクすることにより強調をもたらし、ディスプレイによって提示されるビジュアルコンテンツを際立たせることができる。代替的実施形態では、筐体102の一部を、塗装又はスクリーン印刷することができる点に留意すべきである。特定区域内に不透明性を達成するための他の技術は、2層クラッドガラスの使用などである。
【0019】
このガラスは、時計及び電話などの電子装置を含めた、多種多様な製品内で使用されていることに留意すべきである。しかしながら、これらの場合には、ガラス材料は、構造的構成要素としては使用されていない。これらの場合の大半で、ガラス材料は、表面的な装飾として、又は単にディスプレイ用のスクリーンとして使用されている。現在までのところ、ガラス材料は、消費者向け電子装置の構造フレーム、壁部、及び本体の、実質的に全てを提供する構造的要素として、より具体的には、メディアプレーヤ又は携帯電話などのポータブル電子装置のエンクロージャとしては、決して使用されていないと考えられる。
【0020】
ガラス製エンクロージャはまた、ディスプレイスクリーンを、ガラス製エンクロージャの下に位置決めして保護することも可能にする。エンクロージャのガラス材料は、静電容量感知が可能であるため、このガラス製エンクロージャを通して、タッチスクリーンを使用することができる。筐体102の外形及び内形の双方を含めた断面形状は、様々に変更することができる。それらの形状は、直線状及び/又は曲線状に関わらず、単純形状あるいは複雑形状から形成することができる。ハンドヘルド装置に関しては、典型的には、より良好に手に合う(例えば、密着する)形状を使用することが好ましい。例として、曲線状の縁部を有する矩形、又はより容易に手を受容する曲率を有する、楕円形若しくはピル形状の断面を使用することができる。内側断面形状は、本体の外部断面形状と同じものか、又は異なるものとすることができる点に留意すべきである。例えば、ピル形状の外部と矩形形状の内部とを有することなどが望ましい場合がある。更には、必要条件ではないが、筐体102の前面は、ディスプレイとは別個の筐体102内に組み込むことができる、ディスプレイ又はユーザインターフェースの定置のために、実質的に平面状にすることができる。
【0021】
この特定の実施形態では、透明筐体102は、楕円形押出成形の形態を呈し得る。フレキシブルディスプレイアセンブリ104は、ポリイミド基板上に製造されるアクティブマトリクス式発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイとすることができる。可撓性であることに加えて、AMOLEDディスプレイは、スクリーン全体がオン又はオフ状態のいずれかとなる従来のLCD技術とは対照的に、画素を個別に光らせることを可能にする。その結果、AMOLEDスクリーンは、極端に控えめな電力レベルで、少量のテキストを表示することができる。このタイプのディスプレイスクリーンは、典型的には、アクティブディスプレイ領域106を有し、このアクティブディスプレイ領域106は、その縁部のうちの少なくとも一部を取り囲む補助回路機構を有する。例えば、フレキシブルディスプレイアセンブリ104は、4つの縁部のうちの3つを補助回路機構で取り囲まれた、アクティブディスプレイ領域106を有し、この補助回路機構は、一般的には、側方部104−1上にディスプレイ駆動チップ108及びセンサコードコネクタ110を含み、側方部104−2及び側方部104−3上に、付加回路機構及び関連コネクタを含む。好適な設計考察を使用して、残余の側方部104−4は、実際上目立たないほど十分に狭い、小さい未使用の辺縁のみが残るように構成することができる点に留意すべきである。
【0022】
ポリイミド基板を使用する有利点の1つは、幾つもの形状へとAMOLEDディスプレイスクリーンを構成することが可能となるように、AMOLEDディスプレイスクリーンを加熱することができる点である。更には、熱が取り除かれた後には、AMOLEDディスプレイは、一時的に巻き上げられるか、又は平坦化されることがあっても、元の形状を「記憶する」ことになる。この方式で、AMOLEDディスプレイアセンブリ104を加熱しつつ、透明筐体102に従った形状に構成することによって、AMOLEDディスプレイアセンブリ104は、透明筐体102の形状に容易に適合する。例えば、図1Bは、一時的に巻き上げられると同時に、透明筐体102の内腔112内に定置される、予熱されたAMOLEDディスプレイアセンブリ104を示す。透明筐体102の内側に置かれた後、AMOLEDディスプレイアセンブリ104が解放され、結果として、AMOLEDディスプレイアセンブリ104は、「巻き付けを解除」することにより、透明筐体102の内部表面114に対してAMOLEDディスプレイアセンブリ104を整列させる方式で、透明筐体102の内腔112の形状を呈することができる。巻き付けが解除されたディスプレイアセンブリ104を、透明筐体102に固定するために、AMOLEDディスプレイアセンブリ104の巻き付け解除の後に、透明筐体102の内部表面114に積層プロセスを実行することができる。例えば、内部表面114とAMOLEDディスプレイアセンブリ104との間の、エンドユーザによって視認不可能な場所に、接着剤を配置することができる。AMOLEDディスプレイアセンブリ104の縁部104−2及び縁部104−3は、この時点で、透明筐体102の頂部及び底部に位置決めされ、コネクタ110及びディスプレイ駆動チップ108を有する縁部104−1のみが、視界から隠されたまま残されることに留意すべきである。AMOLEDディスプレイアセンブリ104を、透明筐体102の内側表面に確実に取り付けた後、他の電気構成要素を挿入することができる。
【0023】
図2は、ポータブル電子装置200の内部構成要素が、透明筐体102内に挿入されつつある、ポータブル電子装置200の斜視図を示す。電気構成要素を支持する、ポータブル電子装置200用の内部フレームは、端部キャップ受け部208を経由して、端部キャップ204及び端部キャップ206によって固定される、2つの支持コラム202を含み得る。端部キャップ204及び端部キャップ206は、プラスチック、アルミニウム、又は更にスチールなどの、任意の好適な硬質材料で作製することができる。プリント回路板(PCB)210は、支持コラム202を連結する剛性フレーム構造(図示せず)によって、支持することができる。PCB 210があることで、バッテリ212及びプロセッサ214などの他の補助電気構成要素によって、ポータブル電子装置200を動作させることが可能となる。端部キャップ204及び端部キャップ206はまた、電気コネクタ216も含むことにより、それらの内部に収容されるデータコネクタ218及びRFアンテナ(図示せず)などの構成要素が、PCB 210上に配置された電気構成要素と、協働及び相互作用することが可能となる。端部キャップ204及び端部キャップ206が、透明筐体102の両端部上に固定されると、全ての電気構成要素は、透明筐体102内で取り囲まれる。支持コラム202が、端部キャップ204及び端部キャップ206に機械的に締結されることにより、端部キャップは、定位置で堅固に留まることができる。一実施形態では、小さいネジなどの締結具(図示せず)を、少なくとも一方の端部キャップ内に埋め込むことができ、それらのネジを緩めた場合に、支持コラム202から端部キャップを解放することが可能となる。この構成により、保守目的のために端部キャップを容易に取り外すことが可能となる。別の実施形態では、この取り外し可能な端部キャップはまた、追加的な機能性を有する端部キャップを、ユーザが追加することも可能にし得る。例えば、2つの装置が一体に接続されて、1つのシステムとして機能することを可能にする、端部キャップを取り付けることが可能である。このことは、別の同様のポータブル電子装置200のデータコネクタ218に取り付けるように設計された、雄型のデータコネクタを備える端部キャップを有することと同じほど、簡単であり得る。更に別の実施形態では、代替の端部キャップは、改善されたカメラ、又は異なる無線アンテナのセットを有することが可能である。
【0024】
図3は、説明される実施形態による、ポータブル電子装置200の底面図を示す。この図では、支持コラム202に取り付けられた、構造的支持要素302が示される。支持要素302は、透明筐体102に対する構造的支持を提供するのに役立つことができる。構造的支持要素302は、支持コラム及び電気構成要素が全て接続されて適所に置かれた後に、配置することができ、これにより、ポータブル電子装置200内に収容された全ての構成要素に、更なる支持が提供される。透明筐体102が、補強を必要とする材料で作製される場合には、ポータブル電子装置が真に堅牢となるように、内側フレーム構造に追加支持部材を取り付けることができる。この図面にはまた、AMOLEDディスプレイアセンブリ104とPCB 210との接続も示されている。これらの2つの構成要素は、センサコード304によって取り付けられることにより、2つの構成要素間でのデータの受け渡しが可能となる。この図はまた、AMOLEDディスプレイアセンブリ104の2つの端部が、重ね接合部306で一体に接合する方式も示す。この重ね接合部を越えて延在する、AMOLEDディスプレイアセンブリ104の部分は、AMOLEDディスプレイアセンブリ104の辺縁の最終部分であり、この部分は隠され、装置全体の周囲に延在する1つの連続ディスプレイを提供する。重ね接合部306を継ぎ目のないように見せることができない場合には、透明筐体102の内面上で暗色塗装の細線を用いて、重ね接合部306を覆うことが望ましいこともある。この場合、装置の1つの縁部上に、重ね接合部を位置決めすることにより、いずれの外見上の不連続性も、更に隠蔽することができる。暗色塗装の隠蔽部を使用する状況では、装置の表面的な外観の重要性が、より低いものとなるため、突き合わせ接合部もまた、使用することが可能である。重ね接合部は、ポータブル電子装置200の底部上に示されるが、装置の内側に沿った任意の場所に、重ね接合部を位置決めすることができる点にもまた、留意すべきである。
【0025】
図4は、動作中のポータブル電子装置200の斜視図を示す。このラップアラウンドディスプレイが、アイコン、データ、画像、動画などの表示のために使用することができる利用可能ディスプレイ領域を、いかに実質的に増大させるかということに留意されたい。例えば、図4に示すように、ディスプレイ401の幅にわたる、最大5つのアプリケーションアイコンを提示することができる。マイクロホン402及びスピーカ404により、ポータブル電子装置200は、スマートフォンなどのポータブル個人用通信装置として機能することが可能となる。更には、物理ボタンの仮想化により、拡張された機能性が可能となる。例えば、ボリュームコントロール406を、物理ボタンとして構成される場合とほぼ同じ位置に配置することができるが、しかしながら、この構成では、実際のボリューム設定を随時視認することができる(+のインジケータと−のインジケータとの間の円によって示される)。更には、このボリュームインジケータの上に指を保持することによって、装置の左側面の全体にわたってボリュームコントロールを拡大する動作を、起動させることが可能である。このことにより、ユーザは、ポータブル電子装置200のボリュームに、微調整を行うことが可能となる。この調整コントロールが解放されると、コントロールは、その元のサイズに戻ることができる。保持スイッチは、物理ボタンに割り当てられる場合が多い、別の一般的機能である。この保持ボタンの代わりに、側面の一方に沿ったマルチタッチジェスチャーが、保持機能をロック及びロック解除する方法として、代わりに機能することが可能である。ポータブル電子装置200に良好に適合し得る更なる機構には、カメラ408のような、様々な画像キャプチャ装置が含まれる。ポータブル電子装置200は、いずれの方向でもビジュアルコンテンツを提示することができるため、ポータブル電子装置200が、エンドユーザの現在位置を判定できることが重要である点に、留意すべきである。この方式で、カメラ408のいずれかが、定期的に画像をキャプチャすることができ、基本的な顔認識ソフトウェアを使用して、1つ以上のカメラ408を使用することにより、その周囲の空間内でのエンドユーザの顔の移動を追跡することができるため、エンドユーザの全般的な方向、及びエンドユーザの視野を判定し、それに応じて、ディスプレイ401によるビジュアルコンテンツの提示を調整することが可能である。
【0026】
図5A、5B、及び5Cは、説明される実施形態を製造することができる、様々な更なる代表的なフォームファクタを例示する。例えば図5Aは、矩形形状の筐体502を含む実施形態500を示す。図5Aの丸みを帯びた角部により、エンドユーザの指は、その装置の角部の周囲で、オブジェクトを移動させることが可能となる点に留意すべきである。更に別の実施形態では、透明筐体502を、外部フレーム504の追加によって強化することができる。外部フレーム504は、角部506に支持を提供して、ポータブル電子装置500に、付加的な支持を提供することができる。図5Bは、円筒形状の筐体512を含む、実施形態510を示す。この場合には、エンドユーザの視野内で、ユーザインターフェースの正しい方向づけが維持されるように、加速度計などの方位センサ及び顔追跡を使用することができる。図5Cでは、筐体520は、可変的サイズの断面を有する、テーパー形状を有し得る。この実施形態では、AMOLEDディスプレイアセンブリ104を、非矩形形状に製造することができ、それによって、筐体520の内部表面に、ディスプレイが適合することを可能にする。
【0027】
図6は、説明される実施形態によるプロセス600を詳述するフローチャートを示す。プロセス600を使用して、透明筐体内で取り囲まれたラップアラウンドフレキシブルディスプレイを有する、ポータブル通信装置を組み立てることができる。このポータブル通信装置は、無線通信機能性を更に含み、スマートフォンのような個人用通信装置として、このポータブル通信装置を構成する選択肢をエンドユーザに提供することができる。いずれの場合にも、プロセス600は、602において、少なくともその一部分が透明なエンクロージャを受け取ることによって開始する。一実施形態では、このエンクロージャは、ポータブル通信装置のための構造的支持としても使用することができる、ガラスなどの透明材料で、完全に形成することができる。別の実施形態では、このエンクロージャは、一部分が、アルミニウムなどの金属等の構造材料で形成される一方で、別の部分を、その金属性筐体と一体に形成される、ガラスなどの透明材料で形成することができる、マルチパート筐体とすることができる。
【0028】
604において、フレキシブルディスプレイは、エンクロージャの内腔内に挿入されるような方式で成形される。例えば、エンクロージャの内腔が、円形であるか、又は本質的に円形様である場合、フレキシブルディスプレイは、その内腔の形状に一致する形状へと巻き付けるか、若しくは巻き上げることができる。フレキシブルディスプレイを、例えば円筒へと巻き上げることによって、エンクロージャの内腔内に、その巻き上げられたフレキシブルディスプレイを容易に挿入することができる。巻き上げられたフレキシブルディスプレイが、エンクロージャの内腔の内部に置かれると、このフレキシブルディスプレイは、608において、巻き付けを解除するか、又は展開して内腔の形状に適合することにより、内部表面にディスプレイ表面を提供する。次に610において、エンクロージャ、一方又は双方の端部で封止する。例えば、端部キャップをエンクロージャに取り付けて、ポータブル通信装置の組み立てを完了することができる。
【0029】
図7A及び図7Bに示すような一実施形態では、第1のフレキシブルディスプレイの挿入の後に(又は同時に)、第2のフレキシブルディスプレイを挿入することができる。より具体的には、図7A及び図7Bは、説明される実施形態による、多重ディスプレイポータブル通信装置700を示す。多重ディスプレイポータブル通信装置700は、第1のフレキシブルディスプレイ702及び第2のフレキシブルディスプレイ704を含み得る。一実施形態では、第1のフレキシブルディスプレイ702及び第2のフレキシブルディスプレイ704は、互いに独立したビジュアルコンテンツを提示することができる。代替的実施形態では、第1のフレキシブルディスプレイ702及び第2のフレキシブルディスプレイ704は、協働してビジュアルコンテンツを提示することができる。例えば、第2のフレキシブルディスプレイ704によって提示されるビジュアルコンテンツとは時間位相を異にして、第1のフレキシブルディスプレイ702によってビジュアルコンテンツを提示することができる。この方式で、3D体験を模倣する、奥行感覚の錯覚を提示することができる。一実施形態では、第1のフレキシブルディスプレイ702によって提示されるビジュアルコンテンツと同時に、第2のフレキシブルディスプレイ704からのビジュアルコンテンツを視認することができるように、第1のフレキシブルディスプレイ702を部分的に透明にすることができる。
【0030】
図7Bは、説明された実施形態による、多重ディスプレイポータブル電子装置700の底面図を示す。
【0031】
図8は、説明された実施形態で使用するために好適な電子装置800のブロック図である。電子装置800は、代表的なコンピューティング装置の回路機構を例示する。電子装置800は、電子装置800の動作全般を制御するためのマイクロプロセッサ又はコントローラに関連する、プロセッサ802を含む。電子装置800は、ファイルシステム804及びキャッシュ806内に、メディアアイテムに関連するメディアデータを記憶する。ファイルシステム804は、典型的には、1つの記憶ディスク又は複数のディスクである。ファイルシステム804は、典型的には、電子装置800に、大容量の記憶能力を提供する。しかしながら、ファイルシステム804へのアクセス時間は比較的遅いため、電子装置800はキャッシュ806を含んでもよい。キャッシュ806は、例えば、半導体メモリによって提供される、ランダムアクセスメモリ(RAM)である。キャッシュ806への相対的なアクセス時間は、ファイルシステム804についてよりも、実質的に短い。しかしながら、キャッシュ806は、ファイルシステム804の大記憶容量は有しない。更には、ファイルシステム804は、アクティブである場合、キャッシュ806よりも電力消費が大きい。電力消費は、電子装置800が、バッテリ824によって電力供給されるポータブルメディア装置である場合、懸案事項となることが多い。電子装置800はまた、RAM 820及び読み出し専用メモリ(ROM)822も含み得る。ROM 822は、実行されるべきプログラム、ユーティリティ又はプロセスを不揮発方式で記憶することができる。RAM820は、キャッシュ806に関するものなどの揮発性データ記憶を提供する。
【0032】
電子装置800はまた、電子装置800のユーザが、電子装置800と対話することを可能にする、ユーザ入力装置808も含む。例えば、ユーザ入力装置808は、ボタン、キーパッド、ダイヤル、タッチスクリーン、オーディオ入力インターフェース、ビジュアル/画像キャプチャ入力インターフェース、センサデータの形態をとる入力などのような、様々な形態を呈し得る。また更には、電子装置800は、プロセッサ802によって制御されることにより、ユーザに対して情報を表示することができる、ディスプレイ810(スクリーンディスプレイ)を含む。データバス816は、少なくともファイルシステム804、キャッシュ806、プロッセサ802、及びCODEC 813間の、データ転送を促進することができる。
【0033】
一実施形態では、電子装置800は、ファイルシステム804内に、複数のメディアアイテム(例えば、歌曲、ポッドキャストなど)を記憶する役割を果たす。ユーザが、この電子装置に、特定のメディアアイテムを再生させることを所望する場合、使用可能なメディアアイテムのリストが、ディスプレイ810上に表示される。次いで、ユーザ入力装置808を使用して、ユーザは、使用可能なメディアアイテムのうちの1つを選択することができる。プロッセサ802は、特定のメディアアイテムの選択を受け取ると、その特定のメディアアイテムに関するメディアデータ(例えば、オーディオファイル)を、コーダ/デコーダ(CODEC)813に供給する。次いで、CODEC 813は、スピーカ814のためのアナログ出力信号を生成する。スピーカ814は、電子装置800の内部、又は電子装置800の外部の、スピーカとすることができる。例えば、電子装置800に接続するヘッドホン又はイヤホンは、外部スピーカと見なされる。
【0034】
電子装置800はまた、データリンク812に結合する、ネットワーク/バスインターフェース811も含む。データリンク812により、電子装置800は、ホストコンピュータ又はアクセサリ装置に結合することが可能となる。データリンク812は、有線接続又は無線接続を介して提供することができる。無線接続の場合には、ネットワーク/バスインターフェース811は、無線送受信機を含み得る。メディアアイテム(メディアアセット)は、1つ以上の異なるタイプのメディアコンテンツに関連し得る。一実施形態では、メディアアイテムは、オーディオトラック(例えば、歌曲、オーディオブック、及びポッドキャスト)である。別の実施形態では、メディアアイテムは、画像(例えば、写真)である。しかしながら、他の実施形態では、メディアアイテムは、オーディオコンテンツ、グラフィカルコンテンツ、又はビジュアルコンテンツのいずれかの組み合わせとすることができる。センサ826は、任意の数の刺激を検出するための、回路機構の形態を呈し得る。例えば、センサ826は、外部磁界に反応するホール効果センサ、オーディオセンサ、光度計などの光センサなどを含み得る。
【0035】
上述の説明は、説明の目的上、具体的な専門用語を使用することにより、説明される実施形態の完全な理解を提供するものであった。しかしながら、具体的な詳細は、説明される実施形態を実践するために必ずしも要求されないことが、当業者には明らかであろう。それゆえ、本明細書で説明される特定の実施形態の上述の説明は、例示及び説明の目的のために提示されるものである。それらの説明は、網羅的であることも、又は開示される厳密な形態に実施形態を限定することも、目的とはしていない。上記の教示を考慮して、多くの修正形態及び変更形態が可能であることが、当業者には明らかであろう。
【0036】
説明される実施形態の様々な態様、実施形態、実装、又は機構は、個別に又はいずれかの組み合わせで使用することができる。説明される実施形態の様々な態様は、ソフトウェア、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実施することができる。説明される実施形態はまた、製造作業を制御するためのコンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読コードとして、又は製造ラインを制御するためのコンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読コードとして具体化することもできる。このコンピュータ可読媒体は、後にコンピュータシステムによって読み込むことが可能なデータを記憶することができる、任意のデータ記憶装置である。コンピュータ可読媒体の例としては、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD−ROM、DVD、磁気テープ、及び光学的データ記憶装置が挙げられる。コンピュータ可読媒体はまた、そのコンピュータ可読コードが分散方式で記憶及び実行されるように、ネットワーク結合されたコンピュータシステム上に分散させることもできる。
【0037】
上述の説明は、説明の目的上、具体的な専門用語を使用することにより、説明される実施形態の完全な理解を提供するものであった。しかしながら、具体的な詳細は、説明される実施形態を実践するために必ずしも要求されないことが、当業者には明らかであろう。それゆえ、上述の具体的な実施形態の説明は、例示及び説明の目的のために提示される。それらの説明は、網羅的であることも、又は開示される厳密な形態に説明される実施形態を限定することも、意図してはいない。上記の教示を考慮して、多くの修正形態及び変更形態が可能であることが、当業者には明らかであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8