(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985655
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】金属容器の直径を拡張するための方法
(51)【国際特許分類】
B21D 51/26 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
B21D51/26 X
B21D51/26 M
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-548898(P2014-548898)
(86)(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公表番号】特表2015-506842(P2015-506842A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】US2012070979
(87)【国際公開番号】WO2013096636
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年8月14日
(31)【優先権主張番号】61/579,196
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500277629
【氏名又は名称】アルコア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェドゥサ,アンソニー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ,ゲイリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ハンカー,ゲイリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ディック,ロバート イー.
【審査官】
福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−518043(JP,A)
【文献】
特表2009−541066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属容器を成形する方法であって、
金属容器の上縁部を外側にカールして、カール部を形成するカーリングステップと、
カーリングステップの後、拡張用ダイを金属容器の開口端部に挿入し、前記拡張用ダイにより金属容器の第1部分を拡張して、第1拡張部を形成する拡張ステップと、を含み、
前記第1拡張部の少なくとも一部は、カール部よりも下方にあり、
金属容器は、閉じた底部を有する一体型容器である、方法。
【請求項2】
金属容器の第2部分の直径を拡張して第2拡張部を形成する拡張ステップをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項3】
カーリングステップの前に、金属容器の第2部分の直径を拡張して第2拡張部を形成する拡張ステップをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項4】
金属容器の第1部分の直径は、拡張用ダイの1回のストロークで、少なくとも5%拡張される、請求項1の方法。
【請求項5】
金属容器の元の直径は、金属容器に予め応力を作用させなくても、拡張用ダイの1回のストロークで、少なくとも5%拡張される、請求項1の方法。
【請求項6】
金属容器の上縁部は、回転式カーラー又はカーリング用ダイによってカールされる、請求項1の方法。
【請求項7】
金属容器の上縁部からカール部を除去する除去ステップをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項8】
カール部は、金属容器の上縁部をトリミングすることによって、金属容器の上縁部から除去される、請求項7の方法。
【請求項9】
金属容器を成形する方法であって、
(A)金属容器の上縁部を外側にカールして、カール部を形成するカーリングステップと、
(B)第1拡張用ダイを金属容器の開口端部に挿入して第1拡張部を形成する第1拡張用ダイの挿入ステップと、を含み、
前記第1拡張部の少なくとも一部はカール部よりも下方にあり、前記カーリングステップ(A)と前記挿入ステップ(B)は同時に行われ、
(C)前記カーリングステップ(A)及び前記挿入ステップ(B)の後、第2拡張用ダイを用いて、前記第1拡張部の直径を再度拡張する拡張ステップとを含み、
金属容器は、閉じた底部を有する一体型容器である、方法。
【請求項10】
カーリングステップ(A)と挿入ステップ(B)は、第1拡張用ダイの1回のストロークで行われる、請求項9の方法。
【請求項11】
拡張ステップ(C)は、第2拡張用ダイを金属容器の開口端部に挿入することを含む、請求項9の方法。
【請求項12】
金属容器の第2拡張部は、第2拡張用ダイの1回のストロークで、少なくとも5%拡張される、請求項9の方法。
【請求項13】
金属容器の元の直径は、金属容器に予め応力を作用させなくても、第1拡張用ダイの1回のストロークで少なくとも5%拡張される、請求項9の方法。
【請求項14】
金属容器の上縁部は、回転式カーラー又はカーリング用ダイによってカールされる、請求項9の方法。
【請求項15】
金属容器の上縁部からカール部を除去する除去ステップ(D)をさらに含む、請求項9の方法。
【請求項16】
カール部は、金属容器の上縁部をトリミングすることによって、金属容器の上縁部から除去される、請求項15の方法。
【請求項17】
金属容器を成形する方法であって、
閉じた底部を有する金属容器を配備するステップと、
金属容器の上縁部を外側にカールして、カール部を形成するカーリングステップと、
第1拡張用ダイを金属容器の開口端部に挿入して、金属容器の底部側に第1拡張部、上縁部側に前記第1拡張部よりも直径が大きい第2拡張部を形成する拡張ステップとを含む、方法。
【請求項18】
第2拡張用ダイを金属容器の開口端部に挿入して前記第2拡張部の一部を拡張し、前記第2拡張部より上方に第3拡張部を形成する拡張ステップをさらに含む、請求項17の方法。
【請求項19】
金属容器の上縁部は、回転式カーラー又はカーリング用ダイによってカールされる、請求項17又は18の方法。
【請求項20】
金属容器を成形する方法であって、
閉じた底部を有する金属容器を配備するステップと、
第1拡張用ダイを金属容器の開口端部に挿入し、金属容器の上縁部に外側にカールするカール部、該カール部より下方に第1拡張部を形成するステップと、
第2拡張用ダイを金属容器の開口端部に挿入して前記第1拡張部の一部を拡張し、前記第1拡張部より上方に第2拡張部を形成するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の記載>
本特許出願は、2011年12月22日出願の米国特許仮出願第61/579,196号の優先権を主張し、この出願は、引用によってその全体が本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
<背景>
容器産業において、実質的に同じ形状の金属製飲料容器が、大量かつ比較的経済的に、製造されている。容器(cntainer)の直径を拡張して所定形状の容器を作製するために、または容器全体の直径を拡大するために、幾つかの異なる拡張用ダイを用いて、各金属容器を所望量拡張するための幾つかの工程が必要となる。
【発明の概要】
【0003】
<要旨>
金属容器を成形する方法は、金属容器の上縁部(top edge)を外側にカールして、カール部を形成することと、金属容器の第1の部分の直径を拡張して、第1拡張部を形成することを含み、形成された第1拡張部の少なくとも一部はカール部よりも下方にある。
【0004】
金属容器は、あらゆる種類の金属容器であってよく、飲料缶、ボトルおよびカップ、エアロゾル缶、ならびに食物容器が挙げられる。金属容器を構成する金属は、当該技術において知られているあらゆる金属であってよく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、およびスチール挙げられる。金属容器は、当該技術において知られているあらゆるプロセスによって製造されることができ、例えば、絞り(drawing)およびしごき(ironing)、衝撃押出し(impact extrusion)、スピン成形(spin forming)、絞りおよび再絞り、ならびに深絞りが挙げられるが、これらに限定されない。
【0005】
より効率的な拡張を行なうために、幾つかの実施形態では、少なくとも幾つかの拡張工程において拡張用ダイと金属容器の上縁部とが接触しないようにする。これを行なう1つの方法は、少なくとも幾つかの拡張工程を行なう前に、金属容器の上縁部を外側にカールすることである。
【0006】
カーリングは、金属容器の縁部を屈曲させる曲げ工程である。カーリングは、金属容器の頂部に屈曲リムを形成する工程を含む。本特許出願の目的において、カーリングは、金属容器の縁部をフランジ成形およびフレア成形することも含む。カーリングにより、金属容器に剛性がもたらされる。幾つかの実施形態において、フランジ成形による金属容器の屈曲は90°である。
【0007】
本特許出願の目的においてに、カール部は、金属容器の縁部に沿うベンドである。
【0008】
幾つかの実施形態において、金属容器の上縁部を外側にカールしてカール部を形成するカーリングステップと、金属容器の第1部分を拡張して第1拡張部を形成する拡張ステップとは、同時に行なわれる。
【0009】
幾つかの実施形態において、金属容器の上縁部を外側にカールしてカール部を形成するカーリングステップと、金属容器の第1部分の直径を拡張して第1拡張部を形成する拡張ステップとは、単一のダイの1回のストロークで行なわれる。
【0010】
幾つかの実施形態において、金属容器の第1部分の直径を拡張して拡張部を形成する拡張ステップは、金属容器の上縁部を外側にカールしてカール部を形成するカーリングステップの後に行なわれる。
【0011】
幾つかの実施形態において、第1拡張部を形成する拡張ステップの後に、金属容器の第2部分の直径を拡張して第2拡張部を形成する拡張ステップをさらに含む。
【0012】
幾つかの実施形態において、金属容器の上縁部を外側にカールしてカール部を形成するカーリングステップの前に、金属容器の第3部分の直径を拡張して第3拡張部を形成する拡張ステップをさらに含む。
【0013】
幾つかの実施形態において、金属容器の第1部分の拡張は、拡張用ダイを用いて行われる。拡張用ダイは、容器の開口部内に挿入されたとき、機械的な力の作用によって容器の直径を増大させるダイである。幾つかの実施形態において、金属容器の第1部分を拡張して拡張部を形成する拡張ステップは、拡張用ダイを、金属容器の開口端部内に挿入することを含む。
【0014】
幾つかの実施形態において、金属容器の第1部分の直径は、単一の拡張用ダイの1回のストロークで1つのランド部(single land)によって拡張され、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%拡張される。
【0015】
幾つかの実施形態において、金属容器の元の直径は、金属容器を最初にナロウイング(narrowing)することなく、単一の拡張用ダイの1回のストロークで1つのランド部によって拡張され、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%拡張される。
【0016】
幾つかの実施形態において、金属容器の上縁部は、回転カーラー又はダイのどちらかにより、カールされる。
【0017】
幾つかの実施形態において、金属容器の上縁部からカール部を除去するステップをさらに含む。幾つかの実施形態において、カール部は、金属容器の上縁部をトリミングすることにより、金属容器の上縁部から除去される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、プレフォーム金属容器の側部断面図と、プレフォーム金属容器の直径を拡張し、かつプレフォーム金属容器の上縁部をカールすることができる拡張用ダイの側部断面図である。
【0019】
【
図2】
図2は、
図1のプレフォーム金属容器の側部断面図であり、
図1の拡張用ダイが、金属容器内でストロークの最下部にあるときの図である。
【0020】
【0021】
【
図4】
図4は、
図2の拡張金属容器の側部断面図であり、
図3の拡張用ダイが、金属容器内でストロークの最下部にあるときの図である。
【0022】
【
図5】
図5は、プレフォーム金属容器の側部断面図と、プレフォーム金属容器の直径を拡張することできる拡張用ダイの側部断面図である。
【0023】
【
図6】
図6は、
図5の金属容器の側部断面図であり、
図5の拡張用ダイが、金属容器内でストロークの最下部にあるときの図である。
【0024】
【0025】
【
図8】
図8は、
図6の拡張金属容器の側部断面図であり、
図7の拡張用ダイが、金属容器内でストロークの最下部にあるときの図である。
【0026】
【0027】
【
図10】
図10は、
図8の拡張金属容器の側部断面図であり、
図9の拡張用ダイが、金属容器内でストロークの最下部にあるときの図である。
【0028】
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に基づいて製造された金属容器の側面図である。
【0029】
【
図12a】
図12aは、
図11の金属容器を成形するのに用いられる拡張用及びカーリング用ダイの部分側部断面図である。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【
図14a】
図14aは、
図11の金属容器を成形するのに用いられる拡張カーリング用ダイの部分側部断面図である。
【0034】
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書の説明において、頂部、底部、下方、上方、下、上、等の用語は、平らな表面上にその基部を載置した金属容器完成品の位置に対するものであり、製造又は成形を行なうステップ又は工程中における金属容器の向きとは無関係である。金属容器完成品とは、最終消費者によって用いられる前に、さらなる成形ステップを行なうことのない金属容器である。幾つかの実施形態において、容器の頂部は、開口部を有する。
【0036】
図1乃至
図4に示される一実施形態において、金属容器100を成形する方法は、金属容器100の上縁部102を外側にカールして、カール部104を形成するカーリングステップと、金属容器100の第1部分106を拡張して、拡張部108を形成する拡張ステップとを含み、拡張ステップにおいて、形成された拡張部108の少なくとも一部はカール部104よりも下方にあり、カーリングステップと拡張ステップは、単一のダイの1回のストロークで行われる。
【0037】
図1は、金属容器100の断面図であって、上縁部102を外側にカールしてカール部104を形成するカーリングステップを行なう前の金属容器100を示している。元の直径114は、絞り及びしごき又は押出し工程が行われた後でシェイピングが行われる前の金属容器100、すなわち当該技術分野においてプレフォーム金属容器として一般的に知られている金属容器の直径である。幾つかの実施形態において、金属容器100の拡張を行なう前に、ナロウイング手段その他の手段によって金属容器100に予め応力を作用させる必要はない。
【0038】
図1はまた、金属容器100と接触する前の第1拡張用ダイ116の第1作用面118の断面を示している。第1作用面118は、第1ランド部124を有する。ランド部は、拡張用ダイの作用面の一部であり、容器と接触する最大外径の部分である。ダイは、複数の作用面を有することもできる。この場合、各作用面のランド部の外径を異なるものとすることにより、最も小さな外径を有するランド部は、大きな外径を有するランドよりも、さらなる容器の中へ移動することができる。
図1の第1拡張用ダイ116は、金属容器100の直径を拡張し、かつ容器100の上縁部102にカール部104を形成することができる寸法に作られている。
【0039】
図2は、金属容器100の断面図であって、上縁部102はカールされ、金属容器100の第1部分が拡張されて、第1拡張部108が形成されている。図示の第1拡張用ダイ116は、金属容器100の内部でストロークの最下部にある。
【0040】
図3は、第2拡張用ダイ120を示している。第2拡張用ダイ120は、第2作用面122と第2ランド部126を有する。
【0041】
図4は、金属容器100の断面図であって、第2部110(
図2において示される)が拡張され、第2拡張部112が形成された金属容器100を示している。図示の第2拡張用ダイ120は、金属容器100の内部でストロークの最下部にある。幾つかの実施形態において、第2拡張用ダイ120のストロークは、金属容器100の底部またはその近傍にまで延在する。
【0042】
図5乃至
図10に示される他の実施形態において、金属容器200を成形する方法は、金属容器200の上縁部202を外側にカールして、カール部204を形成するカーリングステップと、金属容器200の上縁部202をカールした後、金属容器200の第1部分206を拡張して、少なくとも一部がカール部204よりも下方にある第1拡張部208を形成する拡張ステップと、金属容器の第2部210を拡張して、少なくとも一部がカール部204よりも下方にある第2拡張部212を形成する拡張ステップとを含む。
【0043】
図5は、金属容器200の断面図であって、上縁部202を外側にカールしてカール部204を形成するカーリングステップを行なう前の金属容器200を示している。
図5はまた、金属容器200に入る前のカーリング用ダイ228の断面を示している。カーリング用ダイ228は、容器200の上縁部202にカール部204を形成することができる寸法に作られており、これは当該技術分野において広く知られている。
【0044】
図6は、上縁部202がカーリング用ダイ228によってカールされた金属容器200の断面図である。図示のカーリング用ダイ228は、金属容器200の内部でストロークの最下部にある。
【0045】
図7は、金属容器200に入る前の第1拡張用ダイ216を示している。第1拡張用ダイ216は、第1作用面218aおよび第1ランド部224aと、第2作用面218bおよび第2ランド部224bを有しており、各々が金属容器200の直径を拡張できる寸法に作られている。
【0046】
図8は、
図6に示される金属容器200の第1部分206が拡張されて、第1拡張部208が形成された金属容器200の断面図である。図示の第1拡張用ダイ216は、金属容器200の内部でストロークの最下部にある。
【0047】
図9は、金属容器200に入る前の第2拡張用ダイ220を示している。第2拡張用ダイ220は、第3作用面222および第3ランド部226を有しており、金属容器200の直径を拡張できる寸法に作られている。
【0048】
図10は、
図8に示される金属容器200の第2部分210が拡張されて、第3拡張部212が形成された金属容器200の断面図である。図示の第2拡張用ダイ220は、金属容器200の内部でストロークの最下部にある。
【0049】
本発明の他の実施形態において、金属容器は、カール部が形成される前に拡張され、カール部が形成された後、再度拡張される。本発明のさらに他の実施形態において、金属容器は、カール部が成形成れた後に、拡張される。次に、カール部は、容器の上縁部をトリミングすることによって、容器の頂部から除去される。金属容器は、カール部が除去された後、ネッキングされることができる。ネッキングは、当該技術分野において公知のあらゆる手段によって行われることができ、例えば、米国特許第4,512,172号;米国特許第4,563,887号;米国特許第4,774,839号;米国特許第5,355,710号および米国特許第7,726,165号等に記載されている。本発明のさらなる実施形態において、金属容器は、カール部が形成される前にネッキングされ、カール部が形成された後に拡張される。
【0050】
上記した全ての実施形態において、金属容器を構成する金属は、当該技術分野において知られているあらゆる金属であってよく、アルミニウムおよびスチールが挙げられるが、これらに限定されない。金属容器は、底部または基部にドーム部を有することができるし、ドーム部を有していなくてもよい。幾つかの実施形態において、金属容器は、閉じた端部を有する一体型(one-piece)の金属容器である。幾つかの実施形態において、金属容器は、複数の金属片が継ぎ合わされて構成される。幾つかの実施形態において、金属容器の側壁厚さは、容器の頂部から底部近傍まで一様である。幾つかの実施形態において、金属容器の側壁の厚さは、一様でない。幾つかの実施形態において、金属容器の側壁はテーパ状であり、側壁の厚さは、容器の頂部が容器の底部よりも薄い。幾つかの実施形態において、金属容器の側壁の厚さは、側壁の高さによって変動する。幾つかの実施形態において、側壁の厚さは、容器の頂部が容器の下部よりも厚い。
【0051】
カール部の形成を、金属容器の上縁部を外側にカールすることによって行なうことは、当該技術分野において知られているあらゆる手段(ダイカーリング、回転カーリング等)によって行われることができる。
図1および
図2に示されるように、金属容器の上縁部を外側にカールするカーリングステップは、カーリング用ダイを金属容器の中に挿入し、少なくとも容器の上縁部が外側にカールするまで移動させることによって行なうことができる。
【0052】
幾つかの実施形態において、カール部の存在により、後工程の拡張ステップにおいてリューダース線の形成が防止されるので、1回の拡張ステップにより、金属容器を損傷することなく大きな拡張を達成することができる。幾つかの実施形態において、カール部の存在により、拡張中における金属容器の軸方向の短縮(axial shortening)を少なくすることができる。カール部の曲率半径およびカール部のスイープ角度(angle of sweep)は、後工程の拡張ステップにおいて金属容器を損傷することなく拡張を行える加工度に影響を及ぼす。幾つかの実施形態において、一般的には、カール部の曲率半径が大きくなる程、後工程の拡張ステップにおいて金属容器を損傷することなく容器の拡張を行なうことができる。幾つかの実施形態において、カール部のスイープ角度は、少なくとも90度である。幾つかの実施形態において、カール部のスイープ角度は、少なくとも180度である。幾つかの実施形態において、カール部のスイープ角度は、少なくとも270度である。カール部の半径および/またはアーク長さが大きくなると、一般的には、1回の拡張ステップにおいて、金属容器を損傷することなく、より大きな拡張を行なうことができる。幾つかの実施形態において、カール部のスイープ角度が90度未満のとき、拡張工程中に、ある程度真直になるので、拡張工程後のスイープ角度はさらに小さくなる。幾つかの実施形態において、カール部のスイープ角度が180度を超えると、拡張工程中に、しっかりと締まる(tighten)。
【0053】
金属容器の拡張は、当該技術分野において知られたあらゆる手段によって行われることができ、例えば、拡張用ダイの作用面を、金属容器の開口端部内に挿入することによって行われるが、これに限定されない。金属容器の拡張に拡張用ダイを用いることは、当該技術分野において広く知られており、例えば、米国特許第7,934,410号および米国特許第7,954,354号に記載されている。
図1および
図2に示されるように、1つのダイで、容器の上縁部を外側にカールし、金属容器の直径を拡張することができる。
【0054】
幾つかの実施形態において、カール部を形成した後、単一の拡張用ダイの1回のストロークで単一のランド部により金属容器の一部の直径を21パーセント拡張することができる。他の実施形態では、単一の拡張用ダイの1回のストロークで単一のランド部による1回の拡張ステップにおいて金属容器の一部の直径を、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%拡張することができる。従来、複数回の拡張ステップが必要であった拡張量であっても、本発明の幾つかの実施形態では、1回の拡張ステップにより、金属容器の直径を拡張することができる。
【0055】
幾つかの実施形態において、拡張用ダイのランド部は、
図5に示され、また米国特許第7,934,410号および米国特許第7,954,354号に記載されているように、アンダーカット部を有する。他の実施形態においては、アンダーカット部は必要でない。拡張用ダイのランド部にアンダーカット部が存在すると、金属容器の拡張能力を増すことができる。例えば、拡張用ダイによるより深い/より長いストロークの加工が可能となる。
【0056】
ランド部の表面は、金属容器の内部コーティングの美的及び/又は機能的特徴を損なわない限り、米国特許第7,934,410号および米国特許第7,954,354号に記載されるように、幾つかの実施形態におおけるランド部の表面粗さは、平均粗さ(Ra)で8μインチ以上、32μインチ以下である。
【0057】
幾つかの実施形態では、金属容器を拡張するときにノックアウトは用いられる必要はない。ノックアウトは、金属容器を拡張用ダイから取り除くときの表面となる。幾つかの実施形態において、金属容器の上縁部を制御するためにパイロットが用いられる。パイロットは、上縁部の移動を制御する芯出しツール(centering tool)である。幾つかの実施形態において、金属容器の上縁部をカールした後、ノックアウトを用いることなく、および/または金属容器を最初にナロウイングすることなく、単一の拡張用ダイの1回のストロークで、金属容器の一部分の元の直径は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%拡張される。
【0058】
本発明の実施形態はまた、他の種類及びサイズの金属容器にも適用可能である。例えば、幾つかの実施形態では、飲料用金属エアロゾルおよび/または食物用金属容器を成形するために用いられることができる。
【0059】
図1−4に関して記載した本発明の一実施例では、
図11に示される金属容器は、
図12a、
図12b、
図13a、
図13b、
図14aおよび
図14bに示されるダイを用いて作られたものである。
図12aおよび
図12bにおいて示されるダイは、アルミニウムプレフォーム容器の中に挿入された第1ダイである。
図12aおよび
図12bに示されるように、ダイはランド部を3つ有している。
図12aおよび12bのダイを、アルミニウムプレフォーム容器の中に挿入し、容器の上縁部が、
図12bに示される肩部と接触するまで移動させて、カール部を形成した。
図12aおよび
図12bに示されるダイがアルミニウムプレフォーム容器の中に挿入されたとき、容器の内部空気圧は35psiであった。
【0060】
次に、
図13aおよび
図13bに示されるダイを、拡張されカール部が形成された容器の中に挿入した。
図13a及び
図13bに示されるダイも、ランド部は3つである。
図13aおよび
図13bに示されるダイが、拡張されカール部が形成された容器の中に挿入されたとき、容器の内部空気圧は35psiであった。
【0061】
最後に、
図14aおよび
図14bに示されるダイを、拡張されカール部が形成された容器内に挿入して得られた容器が、
図11に示されている。
図14aおよび
図14bに示されるダイはランド部が1つである。
図14aおよび
図14bに示されたダイを、拡張されカール部が形成された容器内に挿入されたとき、容器の内部空気圧は60psiであった。
【0062】
本発明を、特定の態様を参照して説明したが、他の態様も可能である。それゆえ、添付の特許請求の範囲の精神および範囲は、本明細書中に含まれる態様に限定されるものではない。
【0063】
明細書、特許請求の範囲、要約書および図面に開示された全ての特徴、ならびに開示された方法またはプロセスにおける全てのステップは、いかなる組合せも可能であるが、少なくともその一部の特徴および/またはステップは排他的である。明細書、特許請求の範囲、要約書および図面に開示された各特徴は、特に明記した場合を除いて、同じ目的又は同様な目的を有する他の特徴によって置き換えられることができる。従って、特に明記した場合を除いて、開示された各特徴は、同じ又は同様な包括的特徴の一例である。
【0064】
特許請求の範囲において、特定の機能を実行するための「手段」または特定の機能を実行するための「ステップ」を明示的に記載していないあらゆる要素は、米国特許法第112条に規定される「手段またはステップ」と解されるべきでない。