特許第5985668号(P5985668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985668
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】多重無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/145 20060101AFI20160823BHJP
   H01Q 15/14 20060101ALI20160823BHJP
   H01Q 1/12 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   H04B7/145
   H01Q15/14 Z
   H01Q1/12 B
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-3283(P2015-3283)
(22)【出願日】2015年1月9日
(65)【公開番号】特開2016-129297(P2016-129297A)
(43)【公開日】2016年7月14日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】福本 賢一
(72)【発明者】
【氏名】畑 和弘
(72)【発明者】
【氏名】長尾 浩之
(72)【発明者】
【氏名】赤木 確
(72)【発明者】
【氏名】細川 修
(72)【発明者】
【氏名】平石 雅彦
【審査官】 川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−298370(JP,A)
【文献】 特開2013−157781(JP,A)
【文献】 実開昭61−072616(JP,U)
【文献】 特開2009−129151(JP,A)
【文献】 特開平06−214010(JP,A)
【文献】 特開平09−200159(JP,A)
【文献】 特開2013−251652(JP,A)
【文献】 特開2000−022621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/14 − 7/22
H04B 17/00
H01Q 1/12
H01Q 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を送信する送信アンテナと、前記マイクロ波を受信する受信アンテナと、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の障害物を迂回して前記マイクロ波の伝搬経路を形成する反射板とを備えた多重無線通信装置であって、
設置される対象物の傾斜を検知する傾斜検知部と、
前記対象物の回転を検知する回転検知部と、
前記傾斜検知部、または、前記回転検知部の検知結果が所定の閾値を超えた際に発信する異常発信部と、再生可能エネルギを利用して発電する再生可能エネルギ発電部と、発電した電力を蓄える蓄電部とを備える変位検知ユニットを、前記反射板に設置し
前記傾斜検知部および前記回転検知部は、それぞれ前記対象物の変位の際に閉じるスイッチとして構成されると共に、前記傾斜検知部および前記回転検知部の一端は、それぞれ前記蓄電部の一方の電極に並列に接続され、前記傾斜検知部および前記回転検知部の他端は、それぞれ前記異常発信部を介して該蓄電部の他方の電極に並列に接続されていることを特徴とする多重無線通信装置。
【請求項2】
前記変位検知ユニットは、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナにもそれぞれ設置されていることを特徴とする請求項1に記載の多重無線通信装置。
【請求項3】
前記傾斜検知部は、前記対象物に固定されて該対象物の水平方向に延在するケース体と、前記ケース体内の底面及び天面にそれぞれ配置される端子と、前記ケース体内に、前記天面との間に隙間を設けて収容される導電性流体とを備え、前記ケース体が前記対象物と共に所定角度以上に傾斜した場合、前記導電性流体が前記端子間を連通させることを特徴とする請求項1または2に記載の多重無線通信装置。
【請求項4】
前記回転検知部は、前記対象物に固定されるケース体と、前記ケース体の底面から内側に延びる棒状の一方の端子と、導電性を有する材料で形成されると共に、前記一方の端子に回転自在に支持されて地磁気の向きを示す磁針体と、前記磁針体の先端部を回転方向に挟んで前記ケース体に固定される他方の端子とを備え、前記ケース体が前記対象物と共に所定角度以上に回転した場合、前記磁針体が前記端子間を連通させることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の多重無線通信装置。
【請求項5】
前記変位検知ユニットは、前記対象物の鉛直方向または水平方向の移動を検知する移動検知部を備え、前記異常発信部は、前記移動検知部の検知結果が所定の閾値を超えた際に発信することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の多重無線通信装置。
【請求項6】
前記移動検知部は、前記対象物に固定されて前記マイクロ波の電磁界の強さを検知する複数の電磁界強度検知器を備え、少なくとも1つの電磁界強度検知器の検知結果が予め規定された閾値を超えた場合に作動するスイッチであることを特徴とする請求項に記載の多重無線通信装置。
【請求項7】
前記異常発信部は、所定の管理端末と通信可能に設定された衛星通信端末と、前記衛星通信端末を制御する通信制御部とを備えたことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の多重無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラボラアンテナなどを用いてマイクロ波通信を行う多重無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マイクロ波を送信する送信アンテナと、マイクロ波を受信する受信アンテナとを備えてマイクロ波通信を行う多重無線通信装置が知られている。この種の多重無線通信装置では、送信アンテナ及び受信アンテナとして、例えばパラボラアンテナなどの指向性アンテナが用いられている。マイクロ波通信における受信強度を維持するには、アンテナの指向角度が重要となるため、従来、指向性アンテナを取り付けて使用し、1つ以上の可動軸により指向性アンテナの方向を調整できるアンテナ方調台において、指向性アンテナの受信強度を複数の可動位置にてサーチして、該サーチ結果に基づき決定する位置に指向性アンテナの方向を調整する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−278807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、送信アンテナと受信アンテナとを備えてマイクロ波通信を行う多重無線通信装置では、送信アンテナ及び受信アンテナが固定設置される地形上の問題や、送信アンテナと受信アンテナとの間の障害物の存在によって、送信アンテナと受信アンテナとの間を直線的に結べないこともある。このような場合には、送信アンテナから送信されたマイクロ波を受信アンテナに向けて反射する反射板を設置し、障害物を迂回したマイクロ波の伝搬経路を形成することが行われている。
【0005】
送信アンテナ、受信アンテナ及び反射板は、何れも風雨に晒される屋外に設置されるため、地震や台風などの影響を受け易い。このため、例えば、地すべりなどの災害が発生し、送信アンテナ、受信アンテナ及び反射板のいずれか1つが設置時の基準位置からずれた場合には、受信強度が低下して通信障害が生じるおそれがある。
【0006】
従来、通信障害が生じた場合、作業員が目視すると共に、送信アンテナ、受信アンテナ及び反射板の設置場所にそれぞれ移動し、測定器を用いて通信障害の原因(故障個所)の探索を行っていた。しかし、送信アンテナ、受信アンテナ及び反射板は、いずれも屋外に設置され、特に、反射板は山間地に設置されるため、災害時に設置場所に移動することが困難な場合が多く、設置場所への移動に時間がかかる。従って、通信障害の原因の判別が遅れるといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、通信障害の原因を容易に判別できる多重無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、マイクロ波を送信する送信アンテナと、マイクロ波を受信する受信アンテナと、送信アンテナと受信アンテナとの間の障害物を迂回してマイクロ波の伝搬経路を形成する反射板とを備えた多重無線通信装置であって、設置される対象物の傾斜を検知する傾斜検知部と、対象物の回転を検知する回転検知部と、傾斜検知部、または、回転検知部の検知結果が所定の閾値を超えた際に発信する異常発信部と、を備える変位検知ユニットを、反射板に設置したことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、反射板の傾斜、または、回転の状況が異常発信部を介して発信されるため、反射板が設置された現地に作業員が移動しなくても、通信障害の原因を容易に判別できる。特に、反射板は山間地などの遠方に設置されることが多いため、通信障害の原因が反射板によるか否かを迅速、かつ、容易に判別することができる。
【0010】
また、変位検知ユニットは、送信アンテナ及び受信アンテナにもそれぞれ設置されてもよい。この構成によれば、送信アンテナ及び受信アンテナの傾斜、または、回転の状況が異常発信部を介してそれぞれ発信されるため、送信アンテナ及び受信アンテナが設置された現地に移動しなくても、通信障害が何に起因するかを容易に判別できる。このため、反射板の状況を考慮することで、通信障害の原因を正確に判別することができる。
【0011】
また、変位検知ユニットは、再生可能エネルギを利用して発電する再生可能エネルギ発電部と、発電した電力を蓄える蓄電部とを備えてもよい。この構成によれば、山間地のような商用電源設備の整っていない場所や、災害時に商用電源の供給が遮断された状況であっても、通信障害の原因がどこにあるかを判別することができる。
【0012】
また、傾斜検知部は、対象物に固定されて該対象物の水平方向に延在するケース体と、ケース体内の底面及び天面にそれぞれ配置される端子と、ケース体内に、天面との間に隙間を設けて収容される導電性流体とを備え、ケース体が対象物と共に所定角度以上に傾斜した場合、導電性流体が端子間を連通させる構成としてもよい。この構成によれば、簡単な構成で対象物が傾斜したか否かを検知することができる。また、通常状態では端子間に通電されないため、変位検知ユニットの待機中の消費電力を抑えることができる。このため、蓄電部を備えた構成では、蓄電池の消費電力が抑えられることでより有効となる。
【0013】
また、回転検知部は、対象物に固定されるケース体と、ケース体の底面から内側に延びる棒状の一方の端子と、導電性を有する材料で形成されると共に、一方の端子に回転自在に支持されて地磁気の向きを示す磁針体と、磁針体の先端部を回転方向に挟んでケース体に固定される他方の端子とを備え、ケース体が対象物と共に所定角度以上に回転した場合、磁針体が端子間を連通させる構成としてもよい。この構成によれば、簡単な構成で対象物が回転したか否かを検知することができる。また、通常状態では端子間に通電されないため、変位検知ユニットの待機中の消費電力を抑えることができる。このため、蓄電部を備えた構成では、蓄電池の消費電力が抑えられることでより有効となる。
【0014】
また、変位検知ユニットは、対象物の鉛直方向または水平方向の移動を検知する移動検知部を備え、異常発信部は、移動検知部の検知結果が所定の閾値を超えた際に発信しても良い。この構成によれば、反射板、送信アンテナ及び受信アンテナの鉛直方向または水平方向の移動の状況が異常発信部を介して発信されるため、反射板、送信アンテナ及び受信アンテナが設置された現地に作業員が移動しなくても、通信障害の原因を容易に判別できる。
【0015】
また、移動検知部は、対象物に固定されてマイクロ波の電磁界の強さを検知する複数の電磁界強度検知器を備え、少なくとも1つの電磁界強度検知器の検知結果が予め規定された閾値を超えた場合に作動するスイッチであってもよい。この構成によれば、電磁界強度検知器がマイクロ波の電磁界の強さを監視することにより、簡単な構成で対象物が鉛直方向または水平方向に移動したか否かを検知することができる。
【0016】
また、異常発信部は、所定の管理端末と通信可能に設定された衛星通信端末と、衛星通信端末を制御する通信制御部とを備えてもよい。この構成によれば、対象物に変位が生じた場合には、管理端末にその旨を発信することができ、通信障害の原因を容易に判別することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる多重無線通信装置によれば、反射板の傾斜、または、回転の状況が異常発信部を介して発信されるため、反射板が設置された現地に作業員が移動しなくても、通信障害の原因を容易に判別できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態に係る多重無線通信装置の一例を示す概念図である。
図2図2は、変位検知ユニットの構成を示すブロック図である。
図3図3は、変位検知ユニットを設けた反射板の斜視図である。
図4図4は、変位検知ユニットを設けた受信アンテナの斜視図である。
図5図5は、第1傾斜検知スイッチと第2傾斜検知スイッチの配置関係を示す斜視図である。
図6図6は、第1傾斜検知スイッチの通常状態を示す側断面図である。
図7図7は、第1傾斜検知スイッチが傾斜した状態を示す側断面図である。
図8図8は、回転検知スイッチの斜視図である。
図9図9は、回転検知スイッチの通常状態を示す平面図である。
図10図10は、回転検知スイッチが回転した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0020】
図1は、本実施形態に係る多重無線通信装置の一例を示す概念図である。多重無線通信装置10は、例えば、電気所間で情報通信の手段として用いられる。多重無線通信装置10は、多重無線送信局11に設けられる送信アンテナ12と、多重無線受信局13に設けられる受信アンテナ14と、送信アンテナ12から送信されたマイクロ波を受信アンテナ14に向けて反射する反射板15とを備えて概略構成されている。反射板15は、送信アンテナ12と受信アンテナ14との間に存在する障害物(山や建築物など)16を迂回したマイクロ波の伝搬経路La,Lbを形成するために配置される。本実施形態では、反射板15を1台設置した例を説明したが、複数台の反射板15を設けてマイクロ波信号を伝搬する構成としてもよい。また、多重無線通信装置10では、相互に通信が行われるため、多重無線送信局11は受信局としても機能し、多重無線受信局13は送信局としても機能する。
【0021】
多重無線送信局11では、送信部(不図示)で生成された送信信号が送信アンテナ12に供給されて目的地に向けて送信される。送信アンテナ12は支持体18に固定・支持される。送信アンテナ12から送信されたマイクロ波は伝搬経路Laを経て、その中継地点である反射板15に到達する。反射板15は、障害物16を迂回するために、例えば山間地などに設置され、平坦な電波反射面を有する金属板で形成される。反射板15で反射されたマイクロ波は伝搬経路Lbを経て、多重無線受信局13の受信アンテナ14で受信されて受信部(不図示)に供給される。受信アンテナ14も支持体19に固定・支持される。本実施形態では、送信アンテナ12及び受信アンテナ14としてパラボラアンテナが用いられている。
【0022】
送信アンテナ12、受信アンテナ14及び反射板15は、何れも風雨に晒される屋外に設置されるため、地震や台風などの影響を受け易い。このため、例えば、地すべりなどの災害が発生し、送信アンテナ12、受信アンテナ14及び反射板15のいずれか1つが設置時の基準位置から変位した場合には、マイクロ波が正常に伝搬されず、受信強度が低下して通信障害が生じるおそれがある。通信障害が生じた場合には、通信障害の原因(故障個所)を迅速に判別し、早期解消が望まれる。送信アンテナ12、受信アンテナ14及び反射板15は、いずれも屋外に設置され、特に、反射板15は山間地に設置されるため、災害時に設置場所に移動することが困難な場合が多く、設置場所への移動に時間がかかる。従って、通信障害の原因の判別が遅れるといった問題があった。このため、本実施形態では、通信障害の原因となりうる送信アンテナ12、受信アンテナ14及び反射板15の変位を検知する変位検知ユニット20を、送信アンテナ12、受信アンテナ14及び反射板15にそれぞれ設け、変位を検知した変位検知ユニット20から多重無線通信装置10を管轄する管理所30に発信する構成としている。
【0023】
次に、変位検知ユニット20について説明する。図2は、変位検知ユニットの構成を示すブロック図であり、図3は、変位検知ユニットを設けた反射板の斜視図、図4は、変位検知ユニットを設けた受信アンテナの斜視図である。変位検知ユニット20は、図2に示すように、太陽光を電力に変換して発電する太陽光発電パネル(再生可能エネルギ発電部)21と、この太陽光発電パネル21で発電した電力を蓄える蓄電池(蓄電部)22とを備える。本実施形態では、太陽光発電パネル21を設けているが、太陽光発電パネル21に代えて、風力発電部や地熱発電部などの自然エネルギ(再生可能エネルギ)を利用して発電する機器を設けてもよいし、これら機器を太陽光発電パネル21と組み合わせて設ける構成としてもよい。
【0024】
また、変位検知ユニット20は、該変位検知ユニット20が設置される対象物(送信アンテナ12、受信アンテナ14または反射板15)の傾斜を検知する第1傾斜検知スイッチ(傾斜検知部)23、第2傾斜検知スイッチ(傾斜検知部)24と、該対象物の回転を検知する回転検知スイッチ(回転検知部)25と、該対象物の移動を検知する移動検知スイッチ(移動検知部)26と、変位検知ユニット20の動作を制御する制御部(通信制御部)27と、この制御部27の制御によって警報を発する警報器28と、該制御部27の制御によって発信する衛星通信端末29と、を備える。本構成では、制御部27、警報器28及び衛星通信端末29を備えて異常発信部35が形成される。
【0025】
第1傾斜検知スイッチ23、第2傾斜検知スイッチ24、回転検知スイッチ25及び移動検知スイッチ26は、それぞれ対象物の変位(傾斜、回転または移動)を検知した際に開閉するスイッチとして構成され、蓄電池22に対して並列に接続されている。具体的には、第1傾斜検知スイッチ23、第2傾斜検知スイッチ24、回転検知スイッチ25及び移動検知スイッチ26の一端は、それぞれ蓄電池22の一方の電極(例えば正極)に接続され、他端は、それぞれ制御部27を介して蓄電池22の他方の電極(例えば負極)に接続されている。このため、第1傾斜検知スイッチ23、第2傾斜検知スイッチ24、回転検知スイッチ25、移動検知スイッチ26のいずれかが閉じた場合、蓄電池22の電力が制御部27に供給されて該制御部27が動作する。
【0026】
制御部27はタイマ31を備え、このタイマ31は、上記した各スイッチ23〜26のいずれかが閉じた際に、所定の遅延時間の計測を開始する。制御部27は、遅延時間経過まで該スイッチの閉状態が継続されると、警報器28及び衛星通信端末29に対して制御指示を行う。この遅延時間は、一時的な変位によるノイズを除去するものであり、例えば5分に設定されている。警報器28は、例えば、ブザーや警告灯を備えて構成される。衛星通信端末29は、制御部27の制御により、通信衛星32を介して、管理所30に配置された管理用端末33に対して、対象物の変位があった旨を発信する。この場合、制御部27は、上記した第1傾斜検知スイッチ23、第2傾斜検知スイッチ24、回転検知スイッチ25及び移動検知スイッチ26の何れが作動したかについて、衛星通信端末29に発信させる。
【0027】
反射板15は、図3に示すように、脚部15a,15aを介して、所定場所に設置される。反射板15は、電波反射面15bが送信アンテナ12から送信されたマイクロ波を受信アンテナ14に向けて反射する位置、角度(基準位置)となるように調整される。本実施形態では、変位検知ユニット20は、雨風を防止するための箱体20Aに収容され、マイクロ波の反射を阻害しないように、反射板15の背面(電波反射面15bとは反対の面)側に配置されている。なお、上記した太陽光発電パネル21は、マイクロ波の反射を阻害しない範囲で箱体20Aの外部に設ければよく、本実施形態では箱体20Aの上面に連結されて設けられている。
【0028】
変位検知ユニット20は、電波反射面15bの基準位置からの変位(傾斜、回転、及び、移動)を検知する。具体的には、反射板15の電波反射面15bを正面とした場合、第1傾斜検知スイッチ23は、電波反射面15bの奥行方向(図中X方向)への傾斜の有無を検知する。また、第2傾斜検知スイッチ24は、電波反射面15bの幅方向(図中Y方向)への傾斜の有無を検知する。図中に示すX方向及びY方向は、鉛直方向(図中Z方向)にそれぞれ直交する水平方向を示している。回転検知スイッチ25は、反射板15を貫通する所定の鉛直軸Pを中心とした周方向(図中Q方向)への電波反射面15bの回転の有無を検知する。第1傾斜検知スイッチ23、第2傾斜検知スイッチ24及び回転検知スイッチ25の構成については後述する。
【0029】
移動検知スイッチ26は、電波反射面15bの水平方向(図中Y方向)及び鉛直方向(図中Z方向)への移動の有無を検知する。移動検知スイッチ26は、図2に示すように、電磁界の強度を検知する電磁界強度計(電磁界強度検知器)34を複数(本実施形態では4つ)備える。電磁界強度計34は、図3に示すように、反射板15の電波反射面15bに露出するように固定されている。本実施形態では、送信アンテナ12から送信されたマイクロ波が主として反射される領域Aを電波反射面15bに設定し、4つの電磁界強度計34は領域Aの周縁部の上下左右に90度間隔でほぼ均等に配置される。電磁界強度計34は、マイクロ波の通信が行われている間、電波反射面15bの領域Aに送信されるマイクロ波の電磁界強度を監視する。そして、例えば、地すべり等によって、反射板15が水平方向(例えば電波反射面15bに向かって右方向)に移動した場合、領域Aの周縁部に配置した電磁界強度計34の少なくとも1つ(例えば領域Aの周縁部の右部)が検知する電磁界強度が予め定めた閾値よりも低下する。このため、移動検知スイッチ26は、これに伴い閉鎖され、蓄電池22の電力が制御部27に供給されて制御部27が上記した動作を行う。
【0030】
一方、受信アンテナ14は、図4に示すように、回転放物面14aを備えたパラボラアンテナであり、固定用ブラケット35によって支持体19に固定・支持されている。受信アンテナ14は、反射板15で反射されたマイクロ波を回転放物面14aで受信できる位置、角度(基準位置)となるように調整される。変位検知ユニット20は、雨風を防止するための箱体20Aに収容され、マイクロ波の受信を阻害しないように、回転放物面14aの下方に配置に配置されている。太陽光発電パネル21は、マイクロ波の受信を阻害しない範囲で箱体20Aの外部に設ければよく、本実施形態では箱体20Aの下面に連結されて設けられている。
【0031】
変位検知ユニット20は、回転放物面14aの基準位置からの変位(傾斜、回転、及び、移動)を検知する。具体的には、受信アンテナ14の回転放物面14a側を正面とした場合、第1傾斜検知スイッチ23は、回転放物面14aの奥行方向(図中X方向)への傾斜の有無を検知する。また、第2傾斜検知スイッチ24は、回転放物面14aの幅方向(図中Y方向)への傾斜の有無を検知する。図中に示すX方向及びY方向は、鉛直方向(図中Z方向)にそれぞれ直交する水平方向を示している。回転検知スイッチ25は、受信アンテナ14を貫通する所定の鉛直軸Pを中心とした周方向(図中Q方向)への回転放物面14aの回転の有無を検知する。
【0032】
移動検知スイッチ26は、回転放物面14aの水平方向(図中Y方向)及び鉛直方向(図中Z方向)への移動の有無を検知する。移動検知スイッチ26は、上述のように、電磁界強度計34を複数(本実施形態では4つ)備える。本実施形態では、4つの電磁界強度計34は、図4に示すように、回転放物面14aの周縁部の上下左右に90度間隔でほぼ均等に配置されている。電磁界強度計34は、マイクロ波の通信が行われている間、回転放物面14aに送信されるマイクロ波の電磁界強度を監視する。そして、例えば、地すべり等によって、受信アンテナ14が水平方向(例えば回転放物面14aに向かって右方向)に移動した場合、回転放物面14aの周縁部に配置した電磁界強度計34の少なくとも1つ(例えば回転放物面14aの周縁部の右部)が検知する電磁界強度が予め定めた閾値よりも低下する。このため、移動検知スイッチ26は、これに伴い閉鎖され、蓄電池22の電力が制御部27に供給されて制御部27が上記した動作を行う。なお、送信アンテナ12は、受信アンテナ14と同様の構成を備えるため、送信アンテナ12の説明ついては省略する。
【0033】
次に、第1傾斜検知スイッチ23、第2傾斜検知スイッチ24及び回転検知スイッチ25の構成について説明する。図5は、第1傾斜検知スイッチと第2傾斜検知スイッチの配置関係を示す斜視図である。図6は、第1傾斜検知スイッチの通常状態を示す側断面図であり、図7は、第1傾斜検知スイッチが傾斜した状態を示す側断面図である。また、図8は、回転検知スイッチの斜視図である。図9は、回転検知スイッチの通常状態を示す平面図であり、図10は、回転検知スイッチが回転した状態を示す平面図である。
【0034】
第1傾斜検知スイッチ23は、上述したように、反射板15の電波反射面15bや受信アンテナ14の回転放物面14aなどの奥行方向(図3図4中X方向)への傾斜の有無を検知するものである。また、第2傾斜検知スイッチ24は、反射板15の電波反射面15bや受信アンテナ14の回転放物面14aなどの幅方向(図3図4中Y方向)への傾斜の有無を検知するものである。本実施形態では、第1傾斜検知スイッチ23は、図5に示すように、横長のケース体40を備え、このケース体40の長手方向が、上記した奥行方向(図中X方向)に沿って延びるように配置されている。同様に、第2傾斜検知スイッチ24は横長のケース体40を備え、このケース体40の長手方向が、上記した幅方向(図中Y方向)に沿って延びるように配置されている。このように、第1傾斜検知スイッチ23及び第2傾斜検知スイッチ24は、各ケース体40の長手方向が相互に直交するように配置されている。第1傾斜検知スイッチ23と第2傾斜検知スイッチ24とは、ケース体40の配置される向きが異なるだけで、構成は同一であるため、第1傾斜検知スイッチ23の内部構成について説明する。
【0035】
第1傾斜検知スイッチ23は、図6に示すように、ケース体40の内側の天面40a及び底面40bにそれぞれ端子板(端子)41,41を備える。この端子板41は、金属等の導電性を有する材料で形成されている。端子板41は、それぞれ天面40a及び底面40bの全域に配置されることが好ましいが、少なくとも天面40a及び底面40bの長手方向の両端に亘って配置されていればよい。端子板41には、それぞれ配線43が接続され、この配線43はケース体40の外部に引き出される。
【0036】
ケース体40は、該ケース体40が水平となる状態(通常状態)で対象物(送信アンテナ12、受信アンテナ14または反射板15)に固定配置される。ケース体40内には、導電性と流動性を備えた、例えば水(導電性流体)などの物質が収容される。本実施形態では、導電性流体として水を例示したが、水以外にも金属粉体などを収容してもよい。この水42は、通常状態で、天面40a側の端子板41との間に隙間を設け、該端子板41と接触しない量に調整される。このため、第1傾斜検知スイッチ23は、図6に示すように、通常状態では、底面40b側の端子板41と天面40a側の端子板41とが水42を介して接触しないため、制御部27に電力が供給されることはない。一方、災害等によって対象物(送信アンテナ12、受信アンテナ14または反射板15)と共に、図7に示すように、第1傾斜検知スイッチ23が所定角度以上に傾斜すると、各端子板41,41間は水42によって連通されるため、第1傾斜検知スイッチ23がオンされる。これにより、第1傾斜検知スイッチ23がトリガとして機能して蓄電池22の電力が制御部27に供給される。
【0037】
本実施形態では、第1傾斜検知スイッチ23及び第2傾斜検知スイッチ24は、横長のケース体40を備え、このケース体40の長手方向を、それぞれ、傾斜を検知したい方向に沿って配置している。このような配置構成とすることで、傾斜を検知する際の感度を細かく調整することができ、高感度の傾斜検知スイッチを構成することができる。さらに、本実施形態では、第1傾斜検知スイッチ23及び第2傾斜検知スイッチ24は、ケース体40の長手方向を直交させて配置することにより、単一のケース体を設けた構成に比べて、いずれの方向に傾斜が生じたかを簡単に判別することができる。
【0038】
回転検知スイッチ25は、上述したように、反射板15の電波反射面15bや受信アンテナ14の回転放物面14aなどの鉛直軸Pを中心とした周方向(図3図4中Q方向)の回転の有無を検知するものである。本実施形態では、回転検知スイッチ25は方位磁針を改良して形成され、図8に示すように、非導電性の材料(樹脂材など)で形成された扁平な有底円筒形状のケース体50と、このケース体50内側の底面50aの中心部から底面50aに垂直に立設される軸状端子(一方の端子)51とを備える。ケース体50は、軸状端子51が上記した鉛直軸Pに沿って延びるように配置されている。
【0039】
軸状端子51は、導電性を有する金属針などで形成され、この軸状端子51の上端に磁針体52が回転自在に支持される。磁針体52は、導電性を有する金属製の薄板を、例えば、ひし形などに形成し、長手方向に位置する一方の先端部52aがN極、他方の先端部52aがS極に着磁されたものである。これにより、磁針体52は、両方の先端部52a,52aを結ぶ方向が、その地点の磁界(地磁気)の向きに沿うように軸状端子51上を回転することで、地磁気の向きを示している。
【0040】
また、回転検知スイッチ25は、磁針体52の一方の先端部52aを挟むように配置される一対の端子53a,53b(他方の端子)を備える。これら一対の端子53a,53bは、導電性を有する金属針などで形成され、軸状端子51と同様に、ケース体50の底面50aに垂直に延び、該ケース体50に固定されている。軸状端子51及び一対の端子53a,53bは、それぞれケース体50の外で配線43に連結されている。
【0041】
回転検知スイッチ25は、ケース体50が水平となる状態(通常状態)で対象物(送信アンテナ12、受信アンテナ14または反射板15)に固定配置される。これにより、軸状端子51は、鉛直軸Pに沿って延びることとなり、磁針体52は鉛直軸Pの周りを周方向Qに沿って回転する。回転検知スイッチ25は、図9に示すように、磁針体52の先端部52aが、一対の端子53a,53bに接触することなく、かつ、一対の端子53a,53b間に位置するようにケース体50の向きを調整して固定、配置される。このため、通常状態では、軸状端子51は、一対の端子53a,53bの何れとも磁針体52を介して接触しないため、制御部27に電力が供給されることはない。一方、災害等によって対象物(送信アンテナ12、受信アンテナ14または反射板15)と共に、図10に示すように、回転検知スイッチ25が所定角度以上、回転した場合、磁針体52は地磁気の向きを示したままであるため、軸状端子51と一方の端子53aとが磁針体52を介して連通されるため、回転検知スイッチ25がオンされる。これにより、回転検知スイッチ25がトリガとして機能し、蓄電池22の電力が制御部27に供給される。
【0042】
さて、対象物の傾斜や回転を検知することを目的とするならば、公知の加速度センサなどを用いることもできる。加速度センサを用いた構成では、常時、加速度センサに電力を供給して傾斜の有無を監視するため、その駆動電源が必要となる。本実施形態のように、反射板15は、通常、山間地に設置される場合が多く、そのような場所では、商用電源設備が整っていないため、太陽光発電パネル21と蓄電池22とを備えて電力を供給する必要がある。しかし、太陽光発電パネル21と蓄電池22とで、常時、加速度センサに電力を供給し、しかも異常が生じた場合には、適宜なタイミングで管理所30に発信するためには、太陽光発電パネル21及び蓄電池22の大型化、大容量化が必要となり現実的ではない。
【0043】
これに対して、本実施形態では、第1傾斜検知スイッチ23、第2傾斜検知スイッチ24及び回転検知スイッチ25は、それぞれ対象物が変位して初めて端子間が導通されるため、通常状態では端子間に通電されない。このため、変位検知ユニット20の待機中の消費電力を抑えることができることにより、太陽光発電パネル21及び蓄電池22の小型化を実現することができる。従って、太陽光発電パネル21及び蓄電池22を備えた構成に、この種の機械的に作動するスイッチを組み合わせた構成によれば、より大きな効果を奏する。また、送信アンテナ12及び受信アンテナ14は、反射板15と異なり電源設備を備えていることが多いと考えられる。しかし、災害発生時には、例えば、商用電源の供給が遮断されることも想定される。上記した変位検知ユニット20を送信アンテナ12及び受信アンテナ14に設けることで、停電時にあっても、通信障害の原因がどこにあるかを迅速に判別することができる。
【0044】
以上、説明したように、本実施形態によれば、マイクロ波を送信する送信アンテナ12と、マイクロ波を受信する受信アンテナ14と、送信アンテナ12と受信アンテナ14との間の障害物16を迂回してマイクロ波の伝搬経路La,Lbを形成する反射板15とを備えた多重無線通信装置10であって、設置される対象物の傾斜を検知する第1傾斜検知スイッチ23及び第2傾斜検知スイッチ24と、対象物の回転を検知する回転検知スイッチ25と、対象物の鉛直方向または水平方向の移動を検知する移動検知スイッチ26と、第1傾斜検知スイッチ23、第2傾斜検知スイッチ24、回転検知スイッチ25及び移動検知スイッチ26の検知結果が所定の閾値を超えた際に発信する衛星通信端末29と、を備える変位検知ユニット20を、送信アンテナ12、受信アンテナ14及び反射板15にそれぞれ設置したため、多重無線通信装置10に通信障害が生じた場合、送信アンテナ12、受信アンテナ14または反射板15が設置された現地に作業員が移動しなくても、衛星通信端末29から発信された情報に基づき、通信障害の原因を容易に判別できる。特に、反射板15は山間地などの遠方に設置されることが多いため、通信障害の原因が反射板15によるか否かを迅速、かつ、容易に判別することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、変位検知ユニット20は、太陽光を電力に変換して発電する太陽光発電パネル21と、発電した電力を蓄える蓄電池22とを備えるため、山間地のような商用電源設備の整っていない場所や、災害時に商用電源の供給が遮断された状況であっても、変位検知ユニット20を作動させることができ、通信障害の原因がどこにあるかを判別することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、第1傾斜検知スイッチ23及び第2傾斜検知スイッチ24は、送信アンテナ12、受信アンテナ14及び反射板15のそれぞれに固定されて水平方向に延在するケース体40と、ケース体40内の底面40b及び天面40aにそれぞれ配置される端子板41,41と、ケース体40内に、天面40a側の端子板41との間に隙間を設けて収容される水42とを備え、送信アンテナ12、受信アンテナ14または反射板15と共に、ケース体40が所定角度以上に傾斜した場合、水42が端子板41,41間を連通させるため、簡単な構成で送信アンテナ12、受信アンテナ14または反射板15が傾斜したか否かを検知することができる。また、通常状態では端子板41,41間に通電されないため、変位検知ユニット20の待機中の消費電力を抑えることができる。このため、太陽光発電パネル21及び蓄電池22の小型化を実現することができることにより、太陽光発電パネル21及び蓄電池22を備えた構成に、機械的に作動する第1傾斜検知スイッチ23及び第2傾斜検知スイッチ24を組み合わせることで、より大きな効果を奏する。
【0047】
また、本実施形態によれば、回転検知スイッチ25は、送信アンテナ12、受信アンテナ14及び反射板15のそれぞれに固定されるケース体50と、ケース体50の底面50aから内側に延びる軸状端子51と、導電性を有する材料で形成されると共に、軸状端子51に回転自在に支持されて地磁気の向きを示す磁針体52と、磁針体52の先端部52aを回転方向に挟んでケース体50に固定される一対の端子53a,53bとを備え、送信アンテナ12、受信アンテナ14または反射板15と共にケース体50が所定角度以上に回転した場合、磁針体52が軸状端子51と一対の端子53a,53bのいずれかと連通させるため、簡単な構成で送信アンテナ12、受信アンテナ14または反射板15が回転したか否かを検知することができる。また、通常状態では、軸状端子51と一対の端子53a,53bとの間に通電されないため、変位検知ユニット20の待機中の消費電力を抑えることができる。このため、太陽光発電パネル21及び蓄電池22の小型化を実現することができることにより、太陽光発電パネル21及び蓄電池22を備えた構成に、機械的に作動する回転検知スイッチ25を組み合わせることで、より大きな効果を奏する。
【0048】
また、本実施形態によれば、移動検知スイッチ26は、送信アンテナ12、受信アンテナ14及び反射板15のそれぞれに固定されてマイクロ波の電磁界の強さを検知する複数の電磁界強度計34を備え、少なくとも1つの電磁界強度計34の検知結果が予め規定された閾値を超えた場合に作動するスイッチであるため、電磁界強度計34がマイクロ波の電磁界の強さを監視することにより、簡単な構成で送信アンテナ12、受信アンテナ14または反射板15が水平方向または鉛直方向に移動したか否かを検知することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、異常発信部35は、所定の管理用端末33と通信可能に設定された衛星通信端末29と、衛星通信端末29を制御する制御部27とを備えるため、送信アンテナ12、受信アンテナ14及び反射板15の変位が生じた場合には、管理用端末33にその旨を発信することができ、通信障害の原因を容易に判別することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 多重無線通信装置
12 送信アンテナ
14 受信アンテナ
14a 回転放物面
15 反射板
15b 電波反射面
16 障害物
20 変位検知ユニット
21 太陽光発電パネル(再生可能エネルギ発電部)
22 蓄電池(蓄電部)
23 第1傾斜検知スイッチ(傾斜検知部)
24 第2傾斜検知スイッチ(傾斜検知部)
25 回転検知スイッチ(回転検知部)
26 移動検知スイッチ(移動検知部)
27 制御部
28 警報器
29 衛星通信端末
30 管理所
31 タイマ
32 通信衛星
33 管理用端末(管理端末)
34 電磁界強度計(電磁界強度検知器)
35 異常発信部
40 ケース体
40a 天面
40b 底面
41 端子板(端子)
42 水(導電性流体)
50 ケース体
50a 底面
51 軸状端子(一方の端子)
52 磁針体
52a 先端部
53a,53b 一対の端子(他方の端子)
A 領域
La 伝搬経路
Lb 伝搬経路
P 鉛直軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10