【実施例】
【0059】
(実験/実施例)
種々の実験を、複合材および/または構造化もしくは多孔性材料を生成するための本明細書に記載される技術を実証するために行った。上記実験はまた、種々の異なる材料を生成するために、開示される技術の融通性を実証する。上記実験およびそれらの知見の説明は、以下に報告される。全ての実験は、上記格子構造10(「ケーキ」ともいわれる)を作製する工程および上記構造10に流体材料14を入れ込む工程を包含する。必要に応じて、上記格子構造10の少なくとも一部分は、溶解もしくは洗浄によって後に除去される。これら実施例における構造10を、購入したか、またはさらに処理した場合(例えば、粉砕、篩い分け、再結晶化など)、所望の粒子サイズおよび/もしくは粒子サイズ分布を有するように、粒子から調製した。これら実験において使用される材料を、以下の表1に列挙する。
【0060】
【表1】
(塩ケーキの調製に使用される材料)
1.固化防止剤フェロシアン化ナトリウム入りのシェフズレビュープレーン真空顆粒化食卓塩(立方体サイズ 約350μm)(Los Angeles,CA)
2.99% イソプロピルアルコール
3.JT Baker プロピレングリコール(Phillipsburg,NJ)
4.US Stoneware 円筒状セラミックアルミナBurundumすりつぶし媒体 1/2インチ半径末端シリンダー(East Palestine,OH)
5.US Stoneware Roalox Jar 775−0(容積:1.8L)(East Palestine,OH)
6.Carver Auto Series自動水圧プレス(Wabash,IN)
7.Paul N.Gardner Co. 8パス湿式フィルムアプリケーター#25および#14(Pompano Beach,FL)
8.McMaster−Carrポリエステルフェルトフィルタバッグ25μm(Elmhurt,IL)
9.Davis Standard 2.5インチ直径スクリュー;長さ/直径:20(Pawcatuck,CT)
(粉末もしくは粉末混合物からのスラリーの調製)
受け取ったら、粉末を、液体媒体(通常は、IPA)中に、約25〜45% 固体(体積ベース)で分散させ、激しく混合し、使用前に密封ガラスジャー中に貯蔵した。
【0061】
(ボールミルによる塩スラリーの調製)
すりつぶし媒体(セラミックボール)を、ジャーミル中に配置して、ジャー容積の45〜55%を満たす。約1kgの塩を、約1インチまで上記媒体を覆うに十分なIPAとともに、上記ジャーの中へ注いだ。上記ジャーを、235rpmのローラーに配置し、上記塩を、7日間にわたって粉砕した。次いで、上記形成された塩スラリーをさらなるIPAで希釈し、25μmフィルタを通して濾過した。次いで、上記濾過した塩粒子を沈殿させ、そのIPAをデカントした。プロピレングリコールを、上記塩に添加したところ、60% 固体を有する塩スラリーを生じた。
【0062】
(摩擦ミルを使用するスラリーの調製)
上記スラリーをまた、液体媒体中で粉末を受容した場合に、摩擦ミル(Union Process,Model 1S)を使用して、粉砕することによって調製した。例示的処方において、1kgの乾燥塩(NaCl)を、0.538kgのIPAに添加し、250rpmにおいて15分間1/4インチセラミックボールを使用して粉砕した。上記1/4インチセラミックボールを1/8インチセラミックボールに交換し、上記スラリーを、さらに15分間にわたって粉砕した。上記スラリーを排出し、後に使用するために、密封したガラスジャー中に貯蔵した。
図7は、堀場レーザー散乱粒子サイズ分布分析器(Model LA910)を使用して光散乱によって測定した上記塩スラリーの代表的な粒子サイズ分布を示す。
【0063】
(乾式粉砕を使用する微細粒子の調製)
微細塩粒子をまた、乾式摩擦粉砕を使用して調製した。上記摩擦ミルを、熱水(150°F)を使用して加熱し、140°Fに維持して、上記塩から水分を除去した。1kgの乾燥塩を添加し、1/4インチセラミックボールを使用して250rpmで30分間にわたって粉砕した。ステンレス鋼篩い(メッシュ4、W.S.Tyler Corporation)を使用して、上記セラミックボールを乾燥塩粉末から分離した。これによって、微細な粉末塩になった。18ミクロンの平均粒子サイズが、堀場レーザー散乱粒子サイズ分布分析器(Model LA910)を使用して光散乱によって測定された。上記乾燥粉末を、密封したガラスジャー中に貯蔵した。この粉末は、先に記載されるように、さらなる使用のために、IPA中に分散させた。
【0064】
(スラリー混合物の調製)
調製したら、スラリーを異なる種の粉末と混合し、完全に均質化し、後の使用のためにガラスジャー中に貯蔵した。実験/実施例番号11および12は、このプロセスの例である。
【0065】
(上記スラリーからの格子構造/ケーキの調製)
格子構造/ケーキを、上記スラリー(200 1/sにおいて<1000センチポアズ)を、Byrdバー(Gardcoウェットフィルムアプリケーター)を使用して、0.0045インチ厚のシリコン処理紙(Loparex Co.)もしくは4ミルのアルミニウム箔上に、種々のぬれた状態の厚みにおいてコーティングすることによって調製し、オーブン中で70℃において1〜10分間乾燥させた。
【0066】
格子構造/ケーキはまた、上記乾燥粉末を、シリコン処理紙(Loparex Co.)上に直接コーティングすることによって調製し、ローラーを使用して圧縮した。
【0067】
(上記格子構造/ケーキへの溶融ポリマーの入れ込み)
図8は、ポリマー融解物での実験において入れ込み工程を行うために使用される代表的設定の模式図を示す。示されるように、ポリマーフィルム(すなわち、上記材料14)を、1つ以上の格子構造もしくはケーキ10の間に挟み、加熱したプレス(特に、Carver Press Auto Series-Auto Four/30-Model 3895)を使用して、所定の温度、圧力(もしくは力)、および滞留時間で加圧した。シリコン処理紙を、上記格子構造の取り扱いが容易であることから使用した。シリコーンゴムと組み合わせたステンレス鋼くさびを、必要に応じて、上記プロセスの間に起こり得るクラッキングを軽減するために使用した。種々の実験/実施例のための実験条件を、
図9に示される表に提供する。加圧の後、得られた複合材サンプル(すなわち、上記複合材16に対応)を、冷却した。上記格子構造/ケーキ10が、塩を含んだ場合、上記複合材サンプルを、大きな水タンクに浸漬して、上記塩粒子の大部分を除去し、その後、第2の水ビーカー(洗浄のため)に浸漬した。上記第2のビーカー中の水温を、50℃に制御し、上記水を、5分間にわたって、磁性式スターラーバーで一定に攪拌した。上記サンプルを、プラスチックコームによって水循環に対して垂直に保持した。このことは、内部の上記実質的に完全な塩粒子の溶解を可能にする。
図10および11(実施例1および2から)は、それぞれ、不十分な洗浄および比較的完全な洗浄での実験結果を示す。
【0068】
実施例3および実施例4は、元の格子構造(塩)が、ナイロンおよび銅メッシュと組み合わされた場合を表す。上記組み合わされた格子構造(塩およびメッシュ)に、上記の設定においてポリマー溶融物を入れ込んだ。上記複合材サンプルを、次いで、上記塩粒子を除去するために洗浄した。
図12および
図13は、得られた材料の断面のSEM画像である。
【0069】
実施例5〜実施例8は、上記格子構造10が種々の粒状物質(例えば、金属粉末(鉄および銀コーティングした銅)および無機材料(例えば、炭化ケイ素およびセメントから作製された、異なる場合を示す(
図14〜17に示される)。
【0070】
実施例9、実施例13、実施例14、および実施例15は、高性能ポリマー(TPX、ナイロン、FEP、およびPSF)を、本明細書に記載の方法に従って処理し、上記塩を完全に抽出して、多孔性マトリクスを形成した種々の実施例を示す(
図18、
図22、
図23、および
図24に示される)。
【0071】
実施例10において、TPXポリマーフィルムを、2つの異なる格子構造(一方は、粉砕塩から作製したのに対して、他方は、IPA中の溶融塩のスラリーから作製した)の間で加圧した。
図19は、上記フィルムの何れかの側面で得られた異なる孔構造を示す。
【0072】
実施例11および実施例12において、活性充填剤(Ryan繊維および銀コーティングガラス)を、最終多孔性マトリクスの中に組み込んだ。得られた材料のSEM画像を、断面図として
図20および
図21に示す。
図21に示されるように、上記銀コーティングガラス球体を、上記多孔性がマトリクスの内部に捕捉したが、それらの表面は(完全にもしくは部分的に)上記孔容積へと露出された。
【0073】
実施例16〜実施例20は、上記塩篩い分け実験の結果を示す。上記粉砕したスラリーを、上記塩粒子を以下の範囲(>100、80〜100、45〜80、25〜45、<25μm)において分画するために、異なるメッシュサイズ(大きいものから小さいものへ)を連続して通して篩い分けした。上記分画したスラリーを使用して、上記格子構造10を形成し、溶融ポリマーをさらに入れ込んだ。
図25〜
図29は、上記塩粒子の抽出後の最終サンプルのうちのいくつかの断面SEM画像を示す。
【0074】
実施例21において、上記格子構造を、5%プロピレングリコールを含む塩スラリーから調製し、70℃において1分間乾燥させた。
図30は、上記粒子の抽出後の最終サンプルの断面SEM画像を示す。
【0075】
(実施例22および23:多孔性ポリプロピレン(PP)の調製)
市販の2ミル ポリプロピレンフィルムを処理した。
図31は、改変PP表面を示す。上記表面は、明らかに多孔性である。ポリプロピレンを塩に入れ込むために、300〜400Fの温度(片側)および>50psiの圧力は、上記入れ込むプロセスのための十分条件である。
【0076】
(実施例24:多孔性DuPont SURLYNイオノマーの調製)
DuPont SURLYNイオノマーペレット(DuPont,Wilmington,Delaware,)を、150°Fのバックアップロールおよびライン速度30フィート/分を用いて、440°Fにおいて2.5ミルで押し出し成形した。10ミルの湿潤塩スラリーを、シリコン処理紙上にコーティングし、7.5分間、70℃において乾燥させた。次いで、上記シリコン処理紙上の2つの乾燥させた塩ケーキを、上記バックアップロールのニップ(間隙 8ミル)の前および後ろに挿入して、上記ローラーのニップを通過していくように、上記押し出し成形したイオノマーを挟んだ。次いで、上記フィルムを洗浄し、乾燥し始めた。
図32は、改変イオノマー表面を示す。その多孔性構造が、明らかに観察される。
【0077】
実施例25は、上記格子構造10を、水中の炭酸カルシウムスラリーを最初に作製し、上記スラリーを、シリコン処理紙上にコーティングすることによって形成した場合を示す。上記コーティングを、100℃のオーブン中で5分間乾燥させ、上記の同じ設定を使用して、溶融ポリマー(LLDPE1)を入れ込んだ。上記炭酸カルシウム粉末を、1N HClを使用して15分間にわたって侵出させ、上記サンプルを、風乾した。このサンプルの上部および断面のSEM画像を、
図33に示す。
【0078】
実施例26は、上記格子構造10を上記乾燥塩粉末から形成した場合を示す。上記乾燥塩粉末を、上記塩を湿式粉砕し、その後、それを室温で一晩乾燥させることによって得た。得られた大部分を、再度すりつぶして乾燥させ、シリコン処理紙に拡げ、圧縮してケーキを形成させた。上記LLDPE1フィルムを、
図9に示される条件に従って、2つの乾燥した塩の層の間で加圧した。洗浄後、上記多孔性サンプルを得た(
図34を参照のこと)。
【0079】
実施例27:この実施例は、2成分エポキシ材料を使用して、上記塩ケーキに入れ込んだ場合を示す。上記サンプルを硬化させ、上記塩材料を除去するために洗浄した(
図35を参照のこと)。
【0080】
実施例28は、シリコン処理紙に塩ペースト(粉砕した塩 85%+プロピレングリコール 15%)をスクリーン印刷することによって上記格子構造10を形成した場合を示す。上記塩を、上記多孔性領域を作り出すために洗浄した(
図36および
図37を参照のこと)。
【0081】
(実施例29:多孔性グリコール改変ポリエチレンテレフタレート(PETG)の調製)
一片の押し出し成形したグリコール改変ポリエチレンテレフタレート(PETG)フィルムを、水圧プレスにおいて、2つの塩ケーキの間に挟んだ。上記プレートを、400°Fに設定し(片側)、全てのサンドイッチ状に挟んだものを、60秒間、60psiにおいて加圧した。上記サンドイッチ状のものを、上記プレスから外して、約1分間冷却し、上記フィルムを水で洗浄して、上記塩を除去し、最後に、風乾し始めた。
図38は、上記プロセスを使用して改変した後のPETGの上部図を示す。その表面は、明らかに多孔性である。
図39は、両方の表面を処理した後のPETGの断面図である。その孔は、明らかに接続されている。
【0082】
本明細書で提唱された方法は、以前の方法を超えるいくつかの明瞭な利点を有することが認識されるべきである。上記利点としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(1)上記多孔性材料は、上記塩層もしくは格子構造に入れ込むことによって調製されるので、上記結晶の全ては、互いとの接触を介して接近可能であるように、上記塩を洗い流すことは容易である。このことは、塩およびポリマーを一緒に混合する方法(これは、ポリマー構造中に塩結晶の多くがトラップされたままである)とは対照的である。
【0083】
(2)上記格子構造についての適切な粒子形状およびサイズ分布を選択することによって、上記孔形態の正確な制御が、達成され得る。
【0084】
(3)勾配の付いた多孔性構造(所定の方向において上記孔の平均サイズに特定の勾配が存在するもの)が、容易に生成され得る。このことは、クロスフロー濾過を制御するために有利である。例えば、このことは、塩のいくつかの層(各々は、異なる結晶サイズ分布から作製される)を使用することによって行われ得る。上記勾配の付いた塩構造はまた、上記層の制御された乾燥によって生成され得る。一般に、先行技術の方法は、このような勾配孔構造を生成できない。
【0085】
(4)二峰性、三峰性もしくはさらに多峰性の孔構造(すなわち、2つもしくは3つ以上の異なる孔サイズを有する)は、例えば、異なる粒子−サイズ分布を有する異なる粒状固体を混合することによって、簡単に生成され得る。
【0086】
(5)上記孔本体および孔開口部の形状は、上記結晶の形状および結晶の接触面積によって制御されるので、非常に種々の孔形状が、適切な結晶形状を使用することによって、および結晶構造が望ましい形状を有する容易に洗浄可能な材料を使用することによって、生成され得る。
【0087】
(6)上記多孔性材料の意図された適用が、膜として使用されることであれば、上記塩中に表面活性粒子(SAP)を埋め込むことによって、活性濾過(active filtration)のための膜として使用され得る。例えば、上記SAPは、抗菌剤、触媒粒子(反応を誘導するため)などであり得る。いったん上記塩が洗い流されると、上記SAPは、上記多孔性媒体中に残る。
【0088】
(7)例えば、上記塩の層をパターン形成することによって、上記材料の表面におよびバルク中に所定の多孔性パターンを生成し得る。例えば、上記多孔性パターンは、ポリマーの微小流体デバイス中の分離ユニットとして機能し得る。このようなパターンは、上記表面を流れている流体において局所的乱流を生じさせるので、クロスフロー濾過するために非常に有用であり得る。
【0089】
(8)適用に依存して、上記材料のバルクにおいて多くの微小構造パターンが、生成され得る。例えば、上記塩結晶の間の孔が、高い粘性の流体(例えば、プロピレングリコール(PG))で最初に満たされる場合、この流体は、上記塩の孔空間中で上記PGと完全にもしくは部分的に混和性である、低い粘性のモノマー混合物によって置換される。次いで、上記モノマー混合物は、熱もしくは紫外線によって、硬化もしくは重合される。次いで、上記塩および残りのPGは洗い流され、その硬化されたポリマー微小構造が残る。明らかに、上記PGと上記モノマー混合物との間の粘性の対比(および、上記流体が全く混和性でなければ、湿潤性)に依存して、広範に種々の微小構造が、生成され得る。このような構造のうちのいくつかは、顕著な数の閉じたループを有さない分枝状である一方で、他のものは、多くの閉じたループを有し得る。
【0090】
(9)上記多孔性表面は、上記多孔性材料の表面上の付着物または生きている生物もしくは生きていない物質の蓄積もしくは沈着に耐性であるように、作製され得る。
【0091】
(10)上記表面の湿潤性は制御され得、表面処理を含む種々の技術を使用して変更され得る。その湿潤性を制御するための表面構造、特に、その荒さの改変は、非常に望ましい。水も油も吸着しない超疎水性および超疎油性の表面(150°より大きい接触角および最小接触角ヒステリシスを有する表面)、および抵抗を低下させる表面は、表面の構造を変化させることによって作り出され得る。疎水性表面上のマイクロメートルスケールの荒さは、見かけの接触角を増大させ、その後、水と上記表面との間に顕微鏡でなければ見えない空気層を保持して(通常、Cassie−Baxter状態といわれる)、超疎水性表面および超疎油性表面を作り出す。このような超疎水性表面上の水滴は、最小の抵抗で動く。
【0092】
(11)上記多孔性表面への結合もしくは非結合が、(例えば、タンパク質の精製において)重要である場合、上記表面は、所定の徴候の恒久的な電気的変化を有するように作り出され得る。このことは、格子構造10、入り込む流体14および/もしくは他の流体12へイオン性種を添加することによって達成され得る。
【0093】
(12)多数の異なる熱可塑性もしくはさらに熱硬化性ポリマーが、使用され得る。特に、熱硬化性ポリマーの場合、その熱硬化反応は、上記塩の層の孔内で生じる。従って、化学的にかつ機械的に耐久性のある表面および膜を生成するポリマーが使用され得る。
【0094】
興味深いことに、本明細書で開示される方法に従って製造された、得られた多孔性材料18は、必要に応じて、特定の適用のために有利なもしくは別の点で望ましい特性を獲得し得る。例えば、一実施形態において、上記ポリマー材料14は、透過性フィルムとして始められ得るか、および処理して、本明細書で開示されたプロセスの結果として作り出された空隙に起因して、不透明な材料になる。さらに、上記ポリマーフィルムは、上記材料が拡がる空隙の作出の結果として、処理するとより厚くなる。一例において、上記フィルムは、55μmから138μmの厚みへと増大する。
【0095】
上記フィルムを通る光の%透過率はまた、上記プロセスによって改変される。このことは、
図40に認められ得る。ここで光の%透過率を、Sheen InstrumentsのHaze−Gard Plusによって測定した。顕著なことには、上記%透過率は、上記改変多孔性材料の多孔性層の厚みが増大するとともに、低下する。この効果は、上記固体テンプレートもしくは格子構造の粒子サイズが低下すると増大する。この効果は、
図41に示されるように、上記多孔性材料の透明性において、同様に認められる。上記多孔性層の厚みが増大するにつれて、上記多孔性材料の透明性は、同様に低下する。上記フィルムの処理は、上記多孔性材料の濁りを増大させたが、
図42に示されるように、多孔性層の厚みが増大しても、実質的に一定のままであった。濁りおよび透明性の両方を、前述のHaze−Gard Plusを使用することによって測定した。
【0096】
TiO
2含有フィルム 対 本明細書で開示される方法に従って生成した多孔性処理フィルムの混濁度を比較することにおいて、上記%透過率データから、ランベルト−ベールの法則を使用して吸収係数を計算した。<5μmの適切な孔サイズで処理されているフィルムについては、上記吸収係数は、TiO
2含有フィルムよりほんのわずかに高いだけであることが見いだされた。
【0097】
上記ポリマー材料のテクスチャーはまた、必要に応じて、本明細書で開示されるように、上記フィルムの処理で改変され得る。上記固体テンプレートもしくは格子構造の粒子サイズが小さくなるほど、上記改変されたフィルムがより滑らかにかつ軟らかくなる。
【0098】
さらに、ポリマー未処理材料は、その材料特性に依存して、増大した親水性もしくは疎水性特性を有するように改変され得る。本明細書で開示される処理を介して上記多孔性構造が達成されると、上記改変フィルムは、その親和性または水の反発を増大させ得る。例えば、未処理の非多孔性フィルム上での水接触角が約90°であった場合、水接触角は、本明細書で開示される方法を使用して作り出された上記多孔性構造の結果として150°より大きくなった。
【0099】
Dow(Midland,MI)製のDowlex 3010 LLDPEはまた、本明細書で開示されるプロセスに従って多孔性に作製された後に、低歪みでは、弾性の低下および低い収率を示す。この実験において、上記応力−歪み曲線を、Instron Model 5542を使用して測定した。
【0100】
いずれにしても、本明細書で示される特定の例示的実施形態に関連して、特定の工程および構造的特徴もしくは機能的特徴が、規定される要素および/もしくは成分に組み込まれるとして記載されることが認識されるべきである。しかし、これら特徴はまた、適切な場合、同じ利益もしくは類似の利益にまで、他の要素および/もしくは成分中に、同様に組み込まれ得ることが企図される。また、上記例示的実施形態の異なる局面が、望ましい適用に適した他の代替の実施形態を達成するために、適切な場合に選択的に使用され得、それによって、上記他の代替の実施形態は、そこに組み込まれる局面のそれぞれの利点を実現することが認識されるべきである。さらに、本明細書で特定の順序で記載されているものの、適切な場合、工程の順序は、変更され得ることが認識されるべきである。
【0101】
さらに、一緒に組み込まれる場合、本明細書に記載される特定の要素は、適切な環境下で、独立型要素もしくは別の分けられる要素であり得ることが認識されるべきである。同様に、1つの特定の要素によって行われると記載される複数の特定の機能は、独立して個々の機能を行うように作用する複数の別個の要素によって行われ得るか、または特定の個々の機能は、協同して作用する複数の別個の要素によって分離され得そして行われ得る。あるいは、互いに異なるとして他に記載され、そして/または本明細書に示されるいくつかの要素もしくは成分は、適切な場合、物理的にもしくは機能的に組み合わされ得る。
【0102】
要するに、本明細書は、好ましい実施形態に関して記載されてきた。明らかに、改変および変更は、本明細書を読んで理解すれば、他者に想起される。本発明は、添付の特許請求の範囲もしくはその等価物の範囲内に入る限りにおいて、全てのこのような改変および変更を含むと解釈されることが意図される。
【0103】
[付記]オリジナルクレーム
(項目1)
材料を形成するための方法であって、該方法は、
(a)第1の格子構造を複数の固体粒子から形成する工程であって、該格子構造は、該粒子の間に1つ以上の間隙を有するように形成される、工程;
(b)該格子構造に流体材料を入れ込み、その結果、該流体材料は、該格子構造において少なくとも部分的に該間隙に浸透する工程;および
(c)該格子構造に入り込んだ該流体材料を少なくとも部分的に凝固させて、複合材を形成する工程、
を包含する、方法。
(項目2)
前記入り込む流体は、流体の混合物である、請求項1に記載の方法。
(項目3)
(d)前記格子構造の少なくとも一部分を、前記複合材から除去して、それによって、該除去された一部分の位置において、該格子構造に入り込んだ前記凝固させた材料中に1つ以上の孔を形成する工程、
をさらに包含する、請求項1または2に記載の方法。
(項目4)
前記格子構造中の間隙は、工程(b)の前に第1の流体で少なくとも部分的に満たされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記第1の流体は、流体の混合物である、請求項4に記載の方法。
(項目6)
前記入り込む流体は、工程(b)の間に、少なくとも部分的に前記第1の流体に取って代わる、請求項4または5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記第1の流体は、前記格子構造に関して湿潤もしくは非湿潤のうちの一方である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記入り込む流体は、前記格子構造に関して湿潤もしくは非湿潤のうちの一方である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記入り込む流体および前記第1の流体は、混和性でない、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記入り込む流体および前記第1の流体は、少なくとも部分的に混和性である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記入り込む流体および前記第1の流体は、互いと反応して、別の材料を形成する、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記第1の流体は、前記格子構造と反応する、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記入り込む流体は、前記格子構造と反応する、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記入り込む流体および前記第1の流体の少なくとも部分的に混和性の混合物は、相分離混合物をもたらす、請求項10に記載の方法。
(項目15)
前記相分離混合物は、ミセル型もしくは両連続型のうちの一方である、請求項14に記載の方法。
(項目16)
前記第1の流体は、溶液、エマルジョン、懸濁物もしくは発泡体のうちの1つである、請求項4または5に記載の方法。
(項目17)
前記入り込む流体は、溶液、エマルジョン、懸濁物もしくは発泡体のうちの1つである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記第1の流体のうちの一部分は、前記入り込む流体に取って代わらず、前記方法は、
前記第1の材料を少なくとも部分的に凝固させる工程、
をさらに包含する、請求項6に記載の方法。
(項目19)
前記第1の流体は、UV硬化、電子線硬化、冷却もしくは乾燥のうちの少なくとも1つによって凝固させられる、請求項18に記載の方法。
(項目20)
前記入り込む流体は、UV硬化、電子線硬化、冷却もしくは乾燥のうちの少なくとも1つによって凝固させられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記格子構造は、活性材料もしくは再補強材料のうちの少なくとも一方を含む、請求項1または3に記載の方法。
(項目22)
前記活性材料は、化学的に活性である、請求項21に記載の方法。
(項目23)
前記化学的活性材料は、抗菌性銀である、請求項22に記載の方法。
(項目24)
前記活性材料は、導電性金属粉末、導電性金属繊維、もしくは導電性金属メッシュのうちの1つである、請求項21に記載の方法。
(項目25)
前記再補強材料は、繊維、ファブリック、テキスタイル、もしくはメッシュのうちの1つである、請求項21に記載の方法。
(項目26)
前記格子構造は、そこで規定された間隙に従って指定された多孔性、孔サイズおよび孔サイズ分布を有する、請求項1または3に記載の方法。
(項目27)
前記格子構造の多孔性、孔サイズおよび孔サイズ分布は、前記粒子のサイズもしくはサイズ分布のうちの少なくとも一方を制御することによって制御されている、請求項26に記載の方法。
(項目28)
前記格子構造における孔構造は、不均一であり、該孔構造は、該格子構造の前記指定された多孔性、孔サイズおよび孔サイズ分布によって規定される、請求項26に記載の方法。(項目29)
前記入り込む流体材料は、コーティング、プリント、押し出し成形、フィルムの溶融もしくはスプレーのうちの少なくとも1つによって形成される単層もしくは複数層のフィルムもしくは材料として提供される、請求項1または3に記載の方法。
(項目30)
前記格子構造は、湿式コーティングもしくは乾式コーティング、スプレー、プリントもしくは相分離のうちの少なくとも1つによって形成される、単一層もしくは複数層の構造である、請求項1または3に記載の方法。
(項目31)
前記方法は、
前記格子構造への前記入り込む流体の浸透の程度を制御する工程、
をさらに包含する、請求項1または3に記載の方法。
(項目32)
前記格子構造に浸透しない余分量の前記流体材料は、該格子構造の表面で凝固させられる、請求項31に記載の方法。
(項目33)
前記方法は、
複数の固体粒子から第2の格子構造を形成する工程であって、該第2の格子構造は、該粒子間に1つ以上の間隙を形成するように形成される、工程;
該第2の格子構造に前記流体材料を入れ込み、その結果、該流体材料は、該第2の格子構造において少なくとも部分的に該間隙に浸透する工程;および
該第2の格子構造に入り込んだ該流体材料を少なくとも部分的に硬化させる工程、
をさらに包含する、請求項1または3に記載の方法。
(項目34)
前記第2の格子構造における前記間隙のサイズもしくはサイズ分布のうちの少なくとも一方は、前記第1の格子構造における該間隙のサイズもしくはサイズ分布とは異なる、請求項33に記載の方法。
(項目35)
前記入り込む流体材料は、前記第1の格子構造と前記第2の格子構造との間に詰め込まれる、請求項33に記載の方法。
(項目36)
前記第1の格子構造および第2の格子構造は、浸透しないままの余分な入り込む流体材料がないように、互いに合わされる、請求項35に記載の方法。
(項目37)
前記格子構造は、規則的パターンもしくは不揃いのパターンのうちの一方で基材表面上に形成される、請求項1または3に記載の方法。
(項目38)
前記方法は、
乾式粉砕、湿式粉砕、篩い分け、濾過、結晶化、凝集、顆粒化もしくはペレット化のうちの少なくとも1つによって前記粒子をサイズ分けする工程、
をさらに包含する、請求項1または3に記載の方法。
(項目39)
前記入り込む流体は、吸収膨潤クラスタもしくは排水クラスタのうちの少なくとも一方を形成する、請求項1または3のいずれかに記載の方法。
(項目40)
前記方法は、バッチ様式、半連続様式、連続様式、ロールツーロールプロセスの使用、もしくはステップアンドリピートプロセスの使用のうちの少なくとも1つで行われる、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記入り込む流体材料は、ポリマー材料である、請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
請求項1〜41のいずれか1項に記載の方法によって形成される、材料。