(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板の表面に、グランド素子と、放射素子と、該グランド素子と該放射素子を電気的に接続する短絡素子と、該放射素子に給電する給電素子とが、形成されたアンテナであって、
該給電素子は、該放射素子から該グランド素子に向かって延出しており、
該グランド素子と該短絡素子と該給電素子とでスリットが形成され、
該基板の背面には、該グランド素子と電気的に導通した背面グランド素子が形成されており、
該アンテナを平面視した際に、該給電素子の一部と該背面グランド素子の一部とが重畳していることを特徴とするアンテナ。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末に代表される、無線通信機能を有する小型携帯機器の普及が著しく、これに伴い、これらの機器に使用されるアンテナの需要も増えている。
【0003】
このようなアンテナに要求される主な性能として、小型化、多周波化が挙げられる。
携帯機器の小型化が進む昨今では、機器中におけるアンテナの搭載スペースも小さくなるため、アンテナのより一層の小型化が求められている。
あるいは、携帯機器の大きさは据え置いたまま、アンテナを大型化することなく、必要な機能をアンテナに追加したいという要求も存在する。
【0004】
多周波化については、1台の携帯機器で無線LAN、無線WAN、WiMAX(登録商標)、LTEなどに代表される種々の無線通信システムに対応したいという要求が存在するため、これに対応して種々の多周波アンテナが提案されている。
【0005】
加えて、携帯機器に使用されるアンテナにはSAR(Specific Absorption Rate:比吸収率)を一定値以下にするという要求も存在する。
SARは、単位質量の人体に単位時間あたりに吸収されるエネルギー量の平均値であり、電磁波の人体に与える影響を問題視して法定化された値であり、日本では人体組織10gあたりに吸収される6分間エネルギーの平均値が2W/kg以下に規制されている。
【0006】
図1、2は特許文献1に記載された、出願人が発明した従来のアンテナのSARをシミュレーションで求めた結果である。
図1は2.4GHz帯域の高周波信号を0.05Wの信号強度でアンテナに給電した場合、
図2は5GHz帯域の高周波信号を0.05Wの信号強度でアンテナに給電した場合に発生するSARであり、アンテナ近傍の色が濃い部分がSARの値が高い領域である。すなわち、アンテナの背面方向に向かって、アンテナの大きさと同じくらいの範囲に高い値のSARが存在することがわかる。
【0007】
このようなSARの低減を目的としたアンテナは、特許文献2、3などに記載された、SARを低減する導体を設けたものが知られている。
【0008】
特許文献2に記載のアンテナでは、導電性平板をシールドケースに対して長手方向の両端が開放端となるように配設することでSARの低減を計っているが、導電性平板を設ける分、アンテナ全体のサイズが大型化してしまうという問題が存在する。
【0009】
特許文献3に記載のアンテナでは、放射導体よりも人体に近い位置において、接地導体の給電点と最近接する一辺、もしくはその仮想的な延長線を跨ぐ位置にガード導体を配置することで、アンテナ感度や指向性を犠牲にせずにSARを抑制しているが、アンテナの小型化、多周波化という視点は有していない。
【0010】
加えて、特許文献1、2に記載のアンテナは、アンテナを搭載する機器の筐体などを介してSARを低減する導体を設ける態様となっており、筐体などを除いたアンテナ単体ではSARを十分に低減することはできない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図3を参照しながら、本発明について説明する。
【0017】
図3(a)において、1aは基板の表面、2aはグランド素子、3は短絡素子、4は放射素子、5は給電素子、Sはスリットである
【0018】
図3(b)において、1bは基板の背面、2bは背面グランド素子、6は背面素子である。
図3(b)は、
図3(a)のアンテナを、図中の回転軸を中心に裏返して見た図であり、4隅のA、B、C、Dがそれぞれ対応する角である。
以下の説明においては、AからBへ向かう方向を第1の方向、その逆を第3の方向、AからDへ向かう方向を第2の方向、その逆を第4の方向と定義する。
【0019】
図3のアンテナは、放射素子4が低周波帯域、スリットSが高周波数帯域に対応することを意図した、多周波アンテナとなっている。
図3のアンテナは本発明の典型的な構造として、放射素子4は第2の方向に延出した後、第1の方向に向かって折れ曲がり、さらに第4の方向に折れ曲がった略コの字形状とし、給電素子5は放射素子4からグランド素子2aに向かって、第4の方向に直線的に伸びた形状とし、結果としてスリットSは略L字状に形成されている。
【0020】
本発明のアンテナで特徴的なことは、グランド素子2aと、放射素子4と、グランド素子2aと放射素子4を電気的に接続する短絡素子3と、該放射素子4に給電する給電素子5とが、基板の表面1aに形成されていると共に、給電素子5は、放射素子4からグランド素子2aに向かうよう延出しており、グランド素子2aと短絡素子3と給電素子5とでスリットSが形成され、基板の背面1bには、グランド素子2aと電気的に接続された背面グランド素子2bが形成され、
アンテナを平面視した際に、給電素子5の一部と背面グランド素子2bの一部とが重畳していることである。
【0021】
アンテナを平面視した際に重畳するとは、基板の表面1aに形成された素子あるいはスリットSと、基板の背面1bに形成された素子とが、基板1を挟んで重なり合っていることを指す。
また、以下の説明において重畳とは、特に断りが無い限り、アンテナを平面視した際に重畳することを指す。
【0022】
通常SARは、高周波信号が給電される給電素子5の近傍で高い値を取る。給電素子5の一部と背面グランド素子2bの一部が重畳することにより、給電素子5から発生するSARのうち、基板1の背面方向に発生する成分が背面グランド素子2bによって低減され、アンテナ単体でSARを低減することができる。
図3においては領域25が、給電素子5と背面グランド素子2bとが重畳している領域である。
【0023】
背面グランド素子2bは、グランド素子2aと電気的に導通され、グランド電位となっていることにより、SARの低減効果に加え、基板の表面1aに形成された素子との間に基板1を介して相互作用が発生し、後述するアンテナの特性改善効果も得られる。
グランド素子2aと背面グランド素子2bとの電気的な導通には、導電パターン、スルーホールなど、電子基板において電気的な導通を確保するための公知の手段を用いれば良い。
図3においては、スルーホール2cによってグランド素子2aと背面グランド素子2bとの電気的な導通を取っている。
【0024】
図3に記載のアンテナは、
図4に示したように、給電用同軸ケーブル7の内部導体7aを給電素子5に、外部導体7cをグランド素子2aにそれぞれ接続された状態で使用され、給電用同軸ケーブル7を介して伝送された高周波信号をアンテナに入力して発信、あるいはアンテナが受信した高周波信号を、給電用同軸ケーブル7を介して信号処理部に伝送する。
【0025】
本発明に使用する基板1は、いわゆるプリント基板を利用すればよく、ガラスエポキシ基板に銅箔で所定の導電パターンを形成したものなど、一般的に入手できるものを適宜選択して利用すれば良い。
【0026】
さらに、本発明のアンテナでは、短絡素子3の一部と背面グランド素子2bの一部が重畳しているが好ましい。短絡素子3からもSARは発生するため、短絡素子3の一部と背面グランド素子2bの一部が重畳することにより、短絡素子3から発生するSARのうち、基板1の背面方向に発生する成分が背面グランド素子2bによって低減され、アンテナから発生するSARをさらに低減することができる。
図3においては領域23が、短絡素子3と背面グランド素子2bとが重畳している領域である。
【0027】
加えて、短絡素子3とグランド電位に維持された背面グランド素子2bとの相互作用により、アンテナの共振周波数の広帯域化効果も得られる。
【0028】
さらに、本発明のアンテナでは、基板の背面1bに、他の素子と絶縁された背面素子6も設けることが好ましい。
SARは、高周波信号が給電される給電素子5の近傍で高い値を取るが、基板の表面1aに設けられた他の素子からも発生するため、背面素子6を設けることでさらなるSARの低減に寄与できる。
【0029】
背面素子6を他の素子と絶縁させる理由としては、以下の2つが挙げられる。
【0030】
背面素子6と基板の表面1aに存在する素子とが導通してしまうと、SARの低減効果が減少してしまう。
【0031】
背面素子6と背面グランド素子2bとが導通してしまうと、背面グランド素子2bと短絡素子3を重畳させた際に得られるアンテナの共振周波数の広帯域化効果が減少してしまう。
【0032】
背面素子6を設ける際は、背面素子6の一部を短絡素子3の一部と重畳させるのが好ましい。この構成とすることで、短絡素子3から発生するSARのうち、基板1の背面方向に発生する成分が背面素子6によって低減され、アンテナから発生するSARをさらに低減することができる。
図3においては領域63が、短絡素子3と背面素子6とが重畳している領域である。
【0033】
背面素子6を設ける際は、背面素子6の一部を放射素子4の一部と重畳させるのが好ましい。この構成とすることで、放射素子4から発生するSARのうち、基板1の背面方向に発生する成分が背面素子6によって低減され、アンテナから発生するSARをさらに低減することができる。
図3においては領域64が、放射素子4と背面素子6とが重畳している領域である。
【0034】
加えて、背面素子6の1辺を、基板の表面1aに形成された各素子の特定の辺と略平行に近接させることで、アンテナの小型化、通信特性の改善に寄与する効果も得られる。
以下、特に好ましい近接の態様について述べる。
【0035】
略平行に近接させるとは、以下に述べる改善効果が得られる範囲においては、各辺の位置関係が完全に平行である必要は無く、辺の間の距離も特定の値に限定されないことを指す。
【0036】
特に好ましい近接の態様の1つとして、背面素子6の1辺と放射素子4の開放端の1辺を、略平行に近接させる構成が挙げられる。
この構成とすることで得られる効果の1つとして、背面素子6と放射素子4の間での容量結合による、放射素子4に対応する周波数帯域の波長短縮効果が挙げられる。
この波長短縮効果によって、放射素子4の電気長を短くすることができ、アンテナの小型化に寄与する。
図3においては、放射素子4の開放端の1辺L1aと、背面素子6の1辺L1bとが略平行に近接している。
【0037】
背面素子6の1辺と放射素子4の開放端の1辺を略平行に近接させる場合は、放射素子の形状は、
図3に示したような、折返し形状とするのが好ましい。
図3に示した放射素子4は、給電素子5から第2の方向に延出した後、第1の方向に折れ曲がり、さらに第4の方向に折れ曲がる折返し形状となっている。
【0038】
特に好ましい近接の態様の1つとして、背面素子6の1辺と短絡素子3の1辺を、略平行に近接させる構成も挙げられる。
この構成とすることで得られる効果の1つとして、アンテナが対応する周波数帯域のインピーダンス整合効果が挙げられる。通常は基板の表面1a上に存在する素子の面積を増減してインピーダンス整合を行う所を、背面素子6によってインピーダンス整合が可能となる。
すなわち、インピーダンス整合のために基板の表面1a上に存在する素子の面積を増やす必要がある場合でも、背面素子6によってインピーダンス整合を行うことで、基板の表面1a上に存在する素子の面積を増やす必要がなくなり、結果としてアンテナの小型化に寄与する。
図3においては短絡素子3の1辺L2aと、背面素子6の1辺L2bとが略平行に近接している。
【0039】
特に好ましい近接の態様の1つとして、背面素子6の1辺とスリットSを構成する短絡素子3の1辺を、略平行に近接させる構成も挙げられる。
この構成によってもアンテナが対応する周波数帯域のインピーダンス整合効果が挙げられ、アンテナの小型化に寄与する。
図3においてはスリットSの1辺L3aと、背面素子6の1辺L3bとが略平行に近接している。
【0040】
以上の通り、背面素子6の配置の工夫によってSARの低減のみならず、アンテナの小型化といった効果も得られる。背面素子6は基板の背面1bにおいて遊休状態となっている領域に設けることができるため、アンテナを大型化する必要がない。
【0041】
以上、本発明のアンテナの典型的な態様と、特に好ましい態様を
図3に基づいて説明したが、本発明の技術的思想の範囲内において、短絡素子3、放射素子4、給電素子5、スリットSなどの形状を変更して、
図3以外の態様を取ってもよい。
例えば、本発明の技術的思想の範囲内におけるアンテナの態様として
図5〜10に記載のものなどが挙げられる。
【0042】
図5に記載のアンテナは、
図3に記載のアンテナの各素子の配置を鏡像にした態様である。
【0043】
図6に記載のアンテナは、給電素子5の形状を、放射素子4からグランド素子2aに向かって蛇行しながら延出するメアンダ形状に変更した態様である。給電素子5の形状の変化に伴い、スリットSの形状、すなわち電気長が変化して、スリットSが対応する周波数帯域が変化する。
【0044】
図7に記載のアンテナは、短絡素子3の代わりに放射素子4を略L字状に形成することで、スリットSを形成すると共に、対応する周波数帯域を変えるために、放射素子4を略L字状に形成した態様である。
【0045】
図8に記載のアンテナは、対応する周波数帯域を変えるために、放射素子4を略L字状に形成した態様である。
【0046】
図9に記載のアンテナは、対応する周波数帯域を変えるために、放射素子4の一部をメアンダ状に形成した態様である。
【0047】
図10に記載のアンテナは、対応する周波数帯域を変えるために、放射素子4の折り返し部分をメアンダ状に形成した態様である。
【0048】
以上のように、所望する周波数帯域や通信特性を得るために、各素子の形状や位置関係を適宜調整して、本発明のアンテナを構成しても良い。
【実施例】
【0049】
第1の実施例として、
図11に示したアンテナについて述べる
【0050】
1.
図11のアンテナの作成:
幅5mm×長さ22mm×厚さ0.8mmのガラスエポキシ基板の表面1aと背面1bに、銅箔によって
図11に示した導電パターンを形成した。
【0051】
アンテナを構成する各要素の形状、寸法は以下の通りである。
・グランド素子2a:幅4mm×長さ3mm
・背面グランド素子2b:幅4mm×長さ7mm
・スルーホール2c:φ0.5mm
・短絡素子3:グランド素子2aの左端上部から第2の方向へ幅1.5mm、長さ7mmで延出した後、第3の方向へ幅3mm、長さ1mmで延出した形状
・放射素子4:短絡素子3の終端部から連続して、第3の方向へ幅3mm、長さ1.5mmで延出した後、第2の方向へ幅1mm、長さ7mm延出した形状を有する表面放射素子4aと、第1の方向へ幅2mm、長さ4mmで延出した後、第4の方向へ幅2mm、長さ5.5mm延出した形状を有する背面放射素子4bを、φ0.5mmのスルーホール4cを介して電気的に接続した形状。
・給電素子5:表面放射素子4aの右端から、第4の方向へ幅1.5mm、長さ2.5mm延出した形状。
【0052】
このアンテナは、放射素子4が2.4GHz帯域に、グランド素子2aと短絡素子3と給電素子5によって形成されたスリットSが5GHz帯域に対応することを意図したものであり、シミュレーションによって各寸法を決定した。
【0053】
このアンテナは、
図11に示したように、短絡素子3と背面グランド素子2bとが重畳している領域23と、給電素子5と背面グランド素子2bとが重畳している領域25が存在する。
【0054】
2.アンテナの組立て
先端部が段剥ぎされ、反対側には接続する電子機器に対応する周知の同軸ケーブル用コネクタが設けられた給電用同軸ケーブル7を用意し、内部導体7aを給電素子5、外部導体7cをグランド素子2aへ、それぞれ半田付けしアンテナを完成させた。
【0055】
使用した給電用同軸ケーブル7の仕様は以下の通りである。
・内部導体7aの外径:0.15mm
・フッ素樹脂(PFA)製絶縁体7bの外径:0.4mm
・外部導体7cの外径:0.65mm
・フッ素樹脂(PFA)製外被7dの外径0.8mm
【0056】
3.アンテナの特性
図12は、作成した実施例1のアンテナに、2.4GHz帯域の高周波信号を0.05Wの信号強度でアンテナに給電した場合に発生するSARをシミュレーションで求めたものである。SARの高い領域は存在するものの、その範囲は
図1に示した従来のアンテナにおけるSARよりも狭くなっており、本発明の特徴である、短絡素子3、給電素子5、背面グランド素子2bの重畳によるSARの低減効果が得られたことが確認できる。
【0057】
図13は、作成した実施例1のアンテナに、5GHz帯域の高周波信号を0.05Wの信号強度でアンテナに給電した場合に発生するSARをシミュレーションで求めたものである。5GHz帯域においては、SARの値が目立って高い領域が無くなり、本発明の特徴である、短絡素子3と背面グランド素子2bとの重畳、給電素子5と背面グランド素子2bとの重畳によるSARの低減効果が得られたことが確認できる。
【0058】
図14は実施例1のアンテナのVSWRである。VSWRのピーク(値が小さい領域)が、2.4GHz帯域、及び5GHz帯域に存在し、目的とする帯域で充分な通信特性を有する2周波対応アンテナとなっていることが確認できた。
【0059】
第2の実施例として、
図15に示したアンテナについて述べる。
【0060】
図15のアンテナは放射素子4の形状・寸法が異なる点、背面素子6が存在する点を除いては、実施例1のアンテナと寸法、形状は同一のものである。すなわち、実施例2のアンテナは背面素子6を設けることにより、さらなるSARの低減を目指したものである。
【0061】
図15のアンテナにおける放射素子4、背面素子6の形状・寸法は以下の通りである。
・放射素子4:短絡素子3の終端部から連続して、第3の方向へ幅3mm、長さ1.5mmで延出した後、第2の方向へ幅1mm、長さ11mmで延出し、さらに第1の方向へ幅5mm、長さ3mmで延出し、最後に第4の方向へ幅2mm、長さ5.5mm延出した形状。
・背面素子6:第3の方向へ幅1.5mm、長さ4mmで延出した後、第2の方向へ折れ曲がって幅1.5mm、長さ4mm延出した形状で、背面グランド素子2bの左端から0.5mm離間して配置される。
【0062】
このアンテナは、
図15に示したように、短絡素子3と背面グランド素子2bとが重畳している領域23、給電素子5と背面グランド素子2bとが重畳している領域25、短絡素子3と背面素子6とが重畳している63、放射素子4と背面素子6とが重畳している領域64が存在する。
【0063】
さらに、このアンテナは、放射素子4の開放端の1辺L1aと背面素子6の1辺L1b、短絡素子3の1辺L2aと背面素子6の1辺L2b、スリットSの1辺L3aと背面素子6の1辺L3bとが、それぞれ略平行に近接している。
【0064】
図16は、作成した実施例2のアンテナに、2.4GHz帯域の高周波信号を0.05Wの信号強度でアンテナに給電した場合に発生するSARをシミュレーションで求めたものである。
図11と比較するとSARの高い領域が消滅しており、背面素子6の追加、短絡素子3と背面素子6との重畳、放射素子4と背面素子6との重畳による、さらなるSARの低減効果が得られたことが確認できる。
【0065】
図17は、作成した実施例2のアンテナに、5GHz帯域の高周波信号を0.05Wの信号強度でアンテナに給電した場合に発生するSARをシミュレーションで求めたものである。5GHz帯域においても、SARの値が高い領域が無く、SARの低減効果が得られていることが確認できる。
【0066】
図18は実施例2のアンテナのVSWRである。VSWRのピーク(値が小さい領域)が、2.4GHz帯域、及び5GHz帯域に存在し、目的とする帯域で充分な通信特性を有する2周波対応アンテナとなっていることが確認できた。
【0067】
図18は
図13に比べて、全体的にVSWRの値が低下しているとともに、2.4GHz帯域、5GHz帯域の両方において、VSWRのピークの幅が広がっている。
これは、放射素子4の開放端の1辺L1aと背面素子6の1辺L1b、短絡素子3の1辺L2aと背面素子6の1辺L2b、スリットSの1辺L3aと背面素子6の1辺L3bとが、それぞれ略平行に近接することで発生するインピーダンス整合効果によって、アンテナ特性が改善された結果である。
【0068】
以上、2.4GHz帯域と5GHz帯域に対応するアンテナについて説明したが、これは本発明の一例に過ぎず、本発明の思想の範囲内であれば、他の帯域に対応するアンテナにも適用できることは言うまでもない。
【解決手段】基板の表面1aにグランド素子2a、短絡素子3、放射素子4、給電素子5を、基板の背面1bに背面グランド素子2bをそれぞれ設けてアンテナを形成する。アンテナを平面視した際に、給電素子5の一部と背面グランド素子2bの一部とが重畳するように各素子を配置する。