特許第5985787号(P5985787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5985787
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20160823BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20160823BHJP
   C08L 3/00 20060101ALI20160823BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20160823BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   C08J9/12CEP
   C08J9/12CES
   C08L1/00
   C08L3/00
   C08L23/12
   C08L23/06
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-524613(P2016-524613)
(86)(22)【出願日】2015年5月29日
(86)【国際出願番号】JP2015065567
【審査請求日】2016年4月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597022540
【氏名又は名称】株式会社環境経営総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 敬通
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−214371(JP,A)
【文献】 特開2013−7030(JP,A)
【文献】 特開2014−194004(JP,A)
【文献】 特開2014−5416(JP,A)
【文献】 特開2012−62467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
C08L 1/00、3/00、23/06、23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙微粉体と親水性高分子との混合物である紙ペレット50.0〜70.0質量%と、
発泡性ポリプロピレン樹脂と他のポリプロピレン樹脂とからなるポリプロピレン樹脂群22.0〜34.0質量%と、
低密度ポリエチレン樹脂3.0〜20.0質量%と、
ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂との相溶化剤0.6〜2.0質量%とを含む発泡体であって、
前記紙ペレットは、30〜200μmの粒径を有する紙微粉体30.0〜50.0質量%と、親水性高分子50.0〜70.0質量%とを混合してなり、
前記ポリプロピレン樹脂群は、発泡性ポリプロピレン樹脂5.0〜11.0質量%と、他のポリプロピレン樹脂17〜23質量%とからなることを特徴とする発泡体。
【請求項2】
請求項1記載の発泡体において、
前記紙ペレットが53.9〜68.0質量%であり、
前記ポリプロピレン樹脂群が、前記発泡性ポリプロピレン樹脂6.0〜10.5質量%と、前記他のポリプロピレン樹脂17.9〜22.0質量%とからなり、これらを合わせて26.4〜30.5質量%であり、
前記低密度ポリエチレン樹脂が4.0〜16.0質量%であることを特徴とする発泡体。
【請求項3】
請求項1記載の発泡体において、前記相溶化剤は、水添スチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする発泡体。
【請求項4】
請求項3記載の発泡体において、前記水添スチレン系熱可塑性エラストマーは、水添スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーであることを特徴とする発泡体。
【請求項5】
請求項1記載の発泡体において、前記紙ペレットと前記ポリプロピレン樹脂群と前記低密度ポリエチレン樹脂と、前記相溶化剤とを合わせて100質量部にしたものに対し、1.0質量部以下の顔料を添加することを特徴とする発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷容器の保冷用断熱材等として好適に用いられる発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、保冷容器の保冷用断熱材等として、多くの種類の発泡体等が用いられている。このような発泡体として、例えば、10〜40重量%の紙粉末成分又は植物性粉末成分と、補助剤として25〜40重量%の澱粉成分と、35〜50重量%のポリプロピレン成分とからなる発泡体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記発泡体は、前記紙粉末成分に官製葉書古紙又は一般古紙が用いられ、使用後は一般ゴミとして燃焼処理することができるとされている。また、前記発泡体は、ダンボール箱等の箱体内部六面を覆って内部を保冷空間とすることにより、該保冷空間に対して優れた保冷効果を得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3323481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の発泡体では、十分な保冷効果が得られないことがあり、さらに優れた保冷効果を備える発泡体が望まれる。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑み、保冷容器の保冷用断熱材等としてさらに優れた保冷効果を備える発泡体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の発泡体は、紙微粉体と親水性高分子との混合物である紙ペレット50.0〜70.0質量%と、発泡性ポリプロピレン樹脂と他のポリプロピレン樹脂とからなるポリプロピレン樹脂群22.0〜34.0質量%と、低密度ポリエチレン樹脂3.0〜20.0質量%と、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂との相溶化剤0.6〜2.0質量%とを含む発泡体であって、前記紙ペレットは、30〜200μmの粒径を有する紙微粉体30.0〜50.0質量%と、親水性高分子50.0〜70.0質量%とを混合してなり、前記ポリプロピレン樹脂群は、発泡性ポリプロピレン樹脂5.0〜11.0質量%と、他のポリプロピレン樹脂17〜23質量%とからなることを特徴とする。
【0008】
本発明の発泡体は、前記紙ペレットと、前記プロピレン樹脂群と、前記低密度ポリエチレン樹脂と、前記ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂との相溶化剤(以下、単に「相溶化剤」と略記する)とを原料とし、該原料を押出機のシリンダー内で溶融混練し、さらに水を添加して発泡成形することにより得ることができる。
【0009】
前記紙微粉末は、前記親水性高分子と混合して紙ペレットとすることにより、前記ポリプロピレン樹脂群、前記低密度ポリエチレン樹脂と混合することができる。また、前記ポリプロピレン樹脂群と、前記低密度ポリエチレン樹脂とは、前記相溶化剤の存在下に混合することにより均一に混合することができる。
【0010】
このとき、本発明の発泡体は、前記範囲の質量の前記ポリプロピレン樹脂群と、前記範囲の質量の前記低密度ポリエチレン樹脂とを含んで発泡成形されていることにより、従来の発泡体よりも優れた保冷効果を得ることができる。
【0011】
本発明の発泡体において、前記紙微粉体は、粒径が200μm超であるときには、前記ポリプロピレン樹脂群及び前記低密度ポリエチレン樹脂と均一に混合することが難しくなる。また、前記紙微粉体の粒径を30μm未満とすることは技術的に難しい。
【0012】
前記紙微粉体は、前記紙ペレットの全量に対して、30.0質量%未満では、前記ポリプロピレン樹脂群及び前記低密度ポリエチレン樹脂の量を十分に低減することができず、使用後の発泡体を一般ゴミとして燃焼処理することができない。また、前記紙微粉体は、前記紙ペレットの全量に対して、50.0質量%超では、前記ポリプロピレン樹脂群及び前記低密度ポリエチレン樹脂に混合すること自体が難しくなる。
【0013】
前記親水性高分子は、前記紙ペレットの全量に対して、50.0質量%未満では、前記紙微粉末とペレット化した際に紙の割合が過多となり、前記ペレットを前記ポリプロピレン樹脂群及び前記低密度ポリエチレン樹脂に混合する際の障害となる。また、前記親水性高分子は、前記紙ペレットの全量に対して、70.0質量%超では、前記範囲の質量の前記紙微粉末に対して過多となり、前記ペレットを前記ポリプロピレン樹脂群及び前記低密度ポリエチレン樹脂に混合する際の障害となる。
【0014】
前記ポリプロピレン樹脂群は、22.0質量%未満では、前記範囲の質量の前記低密度ポリエチレン樹脂と混合したときに優れた保冷効果を得ることができない。また、前記ポリプロピレン樹脂群は、34.0質量%超では、前記範囲の質量の前記低密度ポリエチレン樹脂と混合することができない。
【0015】
ここで、前記ポリプロピレン樹脂群は、発泡性ポリプロピレン樹脂5.0〜11.0質量%と、他のポリプロピレン樹脂17〜23質量%とからなる。前記発泡性ポリプロピレン樹脂が5.0質量%未満であるときには、発泡体を得ることが難しい。また、前記発泡性ポリプロピレン樹脂は11.0質量%超としても、それ以上の効果を得ることはできない。
【0016】
前記発泡性ポリプロピレン樹脂とは、高い溶融張力と歪み硬化性を持つことにより、均一で独立した気泡が形成されるポリプロピレン樹脂である。
【0017】
前記低密度ポリエチレン樹脂は、3.0質量%未満では、前記範囲の質量の前記ポリプロピレン樹脂群と混合したときに優れた保冷効果を得ることができない。また、前記低密度ポリエチレン樹脂は、20.0質量%超では、前記範囲の質量の前記ポリプロピレン樹脂群と混合することができない。
【0018】
前記低密度ポリエチレン樹脂とは、JIS K 6899−1:2000に定義されており、その密度は、旧JIS K6748:1995において0.910以上〜0.930未満のポリエチレンと定義されている。
【0019】
前記相溶化剤は、0.6質量%未満では、前記範囲の質量の前記ポリプロピレン樹脂群と前記低密度ポリエチレン樹脂とを混合することができない。また、前記相溶化剤は、2.0質量%超としても、それ以上の効果を得ることはできない。
【0020】
本発明の発泡体は、例えば、複数の棒状発泡体からなり、該複数の棒状発泡体はそれぞれ表面に形成された気泡のない表皮層と、前記表皮層に被覆されその内部に形成された発泡層とを備え、該表皮層の表面同士が密着結合してなる。
【0021】
本発明の発泡体は、まず、複数の棒状発泡体とすることにより、所定の長さ及び所定の径において、均質な発泡層を形成することができる。また、本発明の発泡体は、複数の棒状発泡体が前記表皮層の表面同士で密着結合していることにより、優れた機械的強度を得ることができる。また、このとき、前記棒状発泡体は、表面が気泡のない表皮層で被覆され、その内部に発泡層を備えることにより、優れた断熱効果を得ることができ、この結果、従来の発泡体よりも優れた保冷効果を得ることができる。
【0022】
本発明の発泡体は、前記紙ペレットが53.9〜68.0質量%であり、前記ポリプロピレン樹脂群が、前記発泡性ポリプロピレン樹脂6.0〜10.5質量%と、前記他のポリプロピレン樹脂17.9〜22.0質量%とからなり、これらを合わせて26.4〜30.5質量%であり、前記低密度ポリエチレン樹脂が4.0〜16.0質量%であることが好ましい。
【0023】
また、本発明の発泡体において、前記相溶化剤は、水添スチレン系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。前記水添スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、水添スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:タフテックH1602)を挙げることができる。
【0024】
さらに、本発明の発泡体は、前記紙ペレットと前記ポリプロピレン樹脂群と前記低密度ポリエチレン樹脂と、前記相溶化剤とを合わせて100質量部にしたものに対し、1.0質量部以下の顔料を添加してもよく、前記顔料により所望の色、例えば白色に着色することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の発泡体の一部を切り出した状態を示す説明図。
図2図1の一部を拡大して切断面の状態を示す模式図。
図3】本発明の発泡体の製造方法を示す説明図。
図4】本発明の発泡体の保冷効果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0027】
本実施形態の発泡体1は、図1に示すように、軸方向に延びる棒状体2が複数結合している。本実施形態の発泡体1は、実際には幅が1m、長さが1m、厚さが30mmの寸法を備えているが、図1ではその一部を拡大して図示している。
【0028】
各棒状体2は、図1及び2に示すように、表皮層3と発泡層4の2層構造となっており、発泡層4には多数の気泡5が存在している。また、各棒状体2は、表面の表皮層3同士が密着結合した状態となっている。また、図1に示すように、各棒状体2の間には空隙6aが形成されており、発泡体1の表面では溝6bとなっている。
【0029】
本実施形態の発泡体1は、紙ペレット50.0〜70.0質量%、好ましくは53.9〜68.0質量%と、ポリプロピレン樹脂群22.0〜34.0質量%、好ましくは26.4〜30.5質量%と、低密度ポリエチレン樹脂3.0〜20.0質量%、好ましくは4.0〜16.0質量%と、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂との相溶化剤0.6〜2.0質量%とを混合し、発泡成形することにより得られる。
【0030】
前記紙ペレットは、30〜200μmの範囲の粒径を有する紙微粉体30.0〜50.0質量%と、親水性高分子50.0〜70.0質量%との混合物である。前記紙微粉体は、予め前記親水性高分子と混合されることにより、紙ペレットとされている。
【0031】
このとき、前記紙微粉体は、例えば産業廃棄物となったロール紙等の損紙を約2mm角程度に粗粉砕し、図示しない竪型ローラミルを使用して粒径を30〜200μmに微粉砕したものを用いることができる。また、前記親水性高分子としては、工業用デンプン等のデンプンを用いることができる。
【0032】
前記ポリプロピレン樹脂群は、発泡性ポリプロピレン樹脂5.0〜11.0質量%、好ましくは6.0〜10.5質量%と、他のポリプロピレン樹脂17〜23質量%、例えば17.9〜22.0質量%とからなる。
【0033】
さらに、発泡体1は、顔料、酸化防止剤、防かび剤等の添加剤を含んでいてもよい。前記顔料としては、例えば、二酸化チタン等の白色顔料を挙げることができ、該白色顔料はポリエチレン樹脂と混合されてマスターバッチを形成していてもよい。前記顔料等の添加剤は、例えば、前記紙ペレットに含有させておくことができる。
【0034】
次に、図3を参照して、本実施形態の発泡体1の製造方法について説明する。
【0035】
図3に示す押出機10は、原料を投入するホッパー11と、内部に2軸のスクリュー12を有するシリンダー13とを備え、シリンダー13の下流端に複数の小孔からなるダイ14が設けられている。また、シリンダー13には、シリンダー13の内部を加熱するヒーター15がシリンダー13の軸方向に向けて複数設けられている。また、シリンダー13の上流側には、スクリュー14を回転させるモーター16が設けられている。
【0036】
本実施形態では、まず、ホッパー11から原料としての紙ペレット17とポリプロピレン樹脂群ペレット18と低密度ポリエチレン樹脂ペレット19と相溶化剤(図示せず)とを押出機10に投入する。前記原料は、図示しない原料供給装置により供給量が調節されて、ホッパー11に投入される。
【0037】
ここで、前記相溶化剤は、ポリプロピレン樹脂群ペレット18又は低密度ポリエチレン樹脂ペレット19のいずれかに予め配合されていてもよく、独立に投入されてもよい。
【0038】
ホッパー11に投入された原料は、シリンダー13内に供給され、シリンダー13内で2本のスクリュー12によって撹拌されながらヒーター15によって加熱され、溶融混合される。この状態で、原料である紙ペレット17と、ポリプロピレン樹脂群ペレット18と、低密度ポリエチレン樹脂ペレット19とが混練され、紙微粉体と、デンプンと、ポリプロピレン樹脂群と、低密度ポリエチレン樹脂と、相溶化剤とが混合される。このとき、シリンダー13内の原料は、ヒーター15に加熱されることにより溶融され、スクリュー12によって混練されながら、下流側に運搬される。この結果、紙微粉体と、デンプンと、ポリプロピレン樹脂群と、低密度ポリエチレン樹脂と、相溶化剤との溶融混合物が均一に混練され、紙微粉体が混合物全体に均一に拡散される。
【0039】
次に、水タンク22内に貯留されている水を給水路21からシリンダー13内部に供給することにより溶融混練された原料に水を添加し、添加された水を気化させることにより気泡5を発生させる。前記水は、前記原料100質量部に対し、例えば2.0〜10.0質量部の範囲で添加することができる。
【0040】
次に、シリンダー13内で溶融混練された原料は、複数の小孔からなるダイ14から外部に押し出され、複数の棒状発泡体2を形成する。前記原料の溶融混練物は、ダイ14から押し出され大気圧下に開放されると、内部の気泡5が膨張することにより前記発泡性ポリプロピレン樹脂が伸張されて発泡すると考えられ、この結果、棒状発泡体2において、表皮層3と発泡層4が形成されると考えられる。
【0041】
そして、隣り合う棒状発泡体2の表皮層3同士が互いに接触すると、表皮層3を形成する原料はダイ14から押し出された直後にはまだ溶融状態にあるため、隣接する棒状発泡体2同士が表皮層3を介して密着結合し、発泡体1が形成される。
【0042】
押出機10のダイ14から下流側には、調厚ローラー20が設けられており、調厚ローラー20は、上下に配置された金属製のローラーの間隔と、該ローラーがローラー間を通過する発泡体1に押圧される弾性力とにより、発泡体1の厚さを調節する。
【0043】
その後、発泡体1は、調厚ローラー20で厚さが一定にされつつ冷却され、下流側に搬送されて、所望の長さに切断される。
【実施例】
【0044】
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
【0045】
〔実施例1〕
実施例1では、紙ペレット68質量%と、ポリプロピレン樹脂群26.4質量%と、低密度ポリエチレン樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、商品名:L719)4.0質量%と、相溶化剤(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:タフテックH1062)0.8質量%と、白色顔料(トーヨーカラー株式会社製、商品名:高濃度酸化チタンマスターバッチTET 1TA538 WHT−FD)0.8質量%とを原料とし、図3に示す押出機10を用い、原料全量に対して3.0質量%の水を添加して発泡成形することにより、図1に示す発泡体1を作成した。
【0046】
前記紙ペレットは、前記原料の全量に対し、平均粒径100μmの紙微粉末22.0質量%と、工業用デンプン46.0質量%とを含んでいる。ここで、前記紙ペレットの全量に占める前記紙微粉末の割合は32.4質量%であり、前記工業用デンプンの割合は67.6質量%である。
【0047】
また、前記ポリプロピレン樹脂群は、前記原料の全量に対し、発泡性ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、商品名:ニューフォーマー)8.5質量%と、通常のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、商品名:FY−6)17.9質量%とを含んでいる。
【0048】
また、前記白色顔料は、その全量の70質量%の酸化チタンと、30質量%の低密度ポリエチレン樹脂とからなる。
【0049】
この結果、本実施例1の発泡体1は、前記紙微粉末22質量%と、工業用デンプン46質量%と、ポリプロピレン樹脂群26.4質量%と、低密度ポリエチレン樹脂4.0質量%と、相溶化剤0.8質量%と、白色顔料0.8質量%とを含むものとなっている。
【0050】
次に、本実施例1で得られた発泡体1を、内寸法170mm×149mm×144mmのダンボール箱の内部六面に配設した保冷容器を作成し、該保冷容器内にドライアイス2kgを収容して、ドライアイスの残重量の経時変化を測定した。結果を図4に示す。
【0051】
〔実施例2〕
本実施例2では、紙ペレット56.1質量%と、ポリプロピレン樹脂群28.5質量%と、低密度ポリエチレン樹脂(東ソー社製、商品名:ペトロセン221)14.6質量%と、相溶化剤(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:タフテックH1062)0.8質量%とを原料とし、図3に示す押出機10を用い、原料全量に対して3.0質量%の水を添加して発泡成形することにより、て図1に示す発泡体1を作成した。
【0052】
前記紙ペレットは、前記原料の全量に対し、平均粒径100μmの紙微粉末18.2質量%と、工業用デンプン37.9質量%とを含んでいる。ここで、前記紙ペレットの全量に占める前記紙微粉末の割合は32.3質量%であり、前記工業用デンプンの割合は67.7質量%である。
【0053】
また、前記ポリプロピレン樹脂群は、前記原料の全量に対し、発泡性ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、商品名:ニューフォーマー)8.5質量%と、通常のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、商品名:VS700)20.0質量%とを含んでいる。
【0054】
この結果、本実施例の発泡体1は、前記紙微粉末18.2質量%と、工業用デンプン37.9質量%と、ポリプロピレン樹脂群28.5質量%と、低密度ポリエチレン樹脂14.6質量%と、相溶化剤0.8質量%と含むものとなっている。
【0055】
次に、実施例2で得られた発泡体1を、内寸法170mm×149mm×144mmのダンボール箱の内部六面に配設した保冷容器を作成し、該保冷容器内にドライアイス2kgを収容して、ドライアイスの残重量の経時変化を測定したところ、実施例1の発泡体1と同様の性能を得ることができた。
【0056】
〔実施例3〕
実施例3では、紙ペレット53.9質量%と、ポリプロピレン樹脂群30.5質量%と、低密度ポリエチレン樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、商品名:L719)14.0質量%と、相溶化剤(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:タフテックH1062)0.8質量%と、白色顔料(トーヨーカラー株式会社製、商品名:高濃度酸化チタンマスターバッチTET 1TA538 WHT−FD)0.8質量%とを原料とし、図3に示す押出機10を用い、原料全量に対して3.0質量%の水を添加して発泡成形することにより、図1に示す発泡体1を作成した。
【0057】
前記紙ペレットは、前記原料の全量に対し、平均粒径100μmの紙微粉末17.5質量%と、工業用デンプン36.4質量%とを含んでいる。ここで、前記紙ペレットの全量に占める前記紙微粉末の割合は32.4質量%であり、前記工業用デンプンの割合は67.6質量%である。
【0058】
また、前記ポリプロピレン樹脂群は、前記原料の全量に対し、発泡性ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、商品名:ニューフォーマー)10.5質量%と、通常のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、商品名:FY−6)20.0質量%とを含んでいる。
【0059】
この結果、実施例3の発泡体1は、前記紙微粉末17.5質量%と、工業用デンプン36.4質量%と、ポリプロピレン樹脂群30.5質量%と、低密度ポリエチレン樹脂14.0質量%と、相溶化剤0.8質量%と、白色顔料0.8質量%とを含むものとなっている。
【0060】
次に、実施例3で得られた発泡体1を、内寸法170mm×149mm×144mmのダンボール箱の内部六面に配設した保冷容器を作成し、該保冷容器内にドライアイス2kgを収容して、ドライアイスの残重量の経時変化を測定したところ、実施例1の発泡体1と同様の性能を得ることができた。
【0061】
〔実施例4〕
実施例4では、紙ペレット54.4質量%と、ポリプロピレン樹脂群28.0質量%と、低密度ポリエチレン樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、商品名:L719)16.0質量%と、相溶化剤(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:タフテックH1062)0.8質量%と、白色顔料(トーヨーカラー株式会社製、商品名:高濃度酸化チタンマスターバッチTET 1TA538 WHT−FD)0.8質量%とを原料とし、図3に示す押出機10を用い、原料全量に対して3.0質量%の水を添加して発泡成形することにより、図1に示す発泡体1を作成した。
【0062】
前記紙ペレットは、前記原料の全量に対し、平均粒径100μmの紙微粉末17.6質量%と、工業用デンプン36.8質量%とを含んでいる。ここで、前記紙ペレットの全量に占める前記紙微粉末の割合は32.4質量%であり、前記工業用デンプンの割合は67.6質量%である。
【0063】
また、前記ポリプロピレン樹脂群は、前記原料の全量に対し、発泡性ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、商品名:ニューフォーマー)6.0質量%と、通常のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、商品名:FY−6)22.0質量%とを含んでいる。
【0064】
この結果、実施例3の発泡体1は、前記紙微粉末17.6質量%と、工業用デンプン36.8質量%と、ポリプロピレン樹脂群28.0質量%と、低密度ポリエチレン樹脂16.0質量%と、相溶化剤0.8質量%と、白色顔料0.8質量%とを含むものとなっている。
【0065】
次に、実施例4で得られた発泡体1を、内寸法170mm×149mm×144mmのダンボール箱の内部六面に配設した保冷容器を作成し、該保冷容器内にドライアイス2kgを収容して、ドライアイスの残重量の経時変化を測定したところ、実施例1の発泡体1と同様の性能を得ることができた。
【0066】
〔比較例〕
本比較例では、特許文献1の実施品とされる市販の発泡体を用いた以外は、発泡体の寸法等を実施例1と同一条件にして、ドライアイスの残重量の経時変化を測定した。
【0067】
特許文献1によれば、粒径が約150〜80μmの紙粉末成分24重量%と澱粉成分36重量%、ポリプロピレン樹脂成分40重量%に、水を適宜供給して混練機で良く混練し、押出機に投入して発泡させたものとなっている。結果を図4に示す。
【0068】
図4から、実施例1の発泡体1を用いた保冷容器では、測定開始から52時間15分後のドライアイスの残重量が0.39kgであったのに対し、比較例の市販の発泡体を用いた保冷容器では、0.19kgであった。従って、本実施例の保冷容器では、比較例の保冷容器に対して、2倍強のドライアイスが残存しており、本発明の発泡体1は優れた保冷性能を備えていることが明らかである。
【符号の説明】
【0069】
1…発泡体、 2…棒状体、 3…表皮層、 4…発泡層、 5…気泡、 6a…空隙、 6b…溝。
【要約】
保冷容器の保冷用断熱材等として優れた保冷効果を備える発泡体を提供する。
発泡体1は、紙ペレット50.0〜70.0質量%と、ポリプロピレン樹脂群22.0〜34.0質量%と、低密度ポリエチレン樹脂3.0〜20.0質量%と、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂との相溶化剤0.6〜2.0質量%とを含む。紙ペレットは、30〜200μmの粒径を有する紙微粉体30.0〜50.0質量%と、親水性高分子50.0〜70.0質量%とを混合してなる。ポリプロピレン樹脂群は、発泡性ポリプロピレン樹脂5.0〜11.0質量%と、他のポリプロピレン樹脂17〜23質量%とからなる。
図1
図2
図3
図4