【実施例】
【0035】
本発明の態様および効果が、例および比較例で説明され、そしてそれらの研磨組成物の成分の種類および量が、表1中に示されている。これらの例および比較例は、以下の化学薬品および装置を用いた。これらの例は、例示のためを意図したものであり、そして本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0036】
特に断りのない限り、例(Ex.)および比較例(cEx.1)中の研磨方法は、大気温度および大気圧で行なった。それぞれの研磨組成物は、溶媒として水を用いて調製し、そして第1のベアシリコンウエハ、ブランケット銅ウエハ、および第2のベアシリコンウエハを、予め定めた継続時間で、それぞれ研磨するのに用いた。シリコンと銅の研磨速度は、研磨前後のウエハの厚さを測定して、そして結果の値を計算することによって得た。例と比較例の研磨方法は、同じ機械パラメータ(すなわち、研磨圧力=21kPa(3psi)、研磨ヘッドの回転速度(TSVウエハの回転速度)=87rpm、研磨パッドの回転速度=93rpm、研磨組成物の流量=200mL/分、研磨継続時間=1分間)を用いて行なった。
【0037】
成分および装置としては、(1)研磨機械:G&P Inc.(韓国)から商業的に入手可能なPOLI-500;(2)研磨パッド:Cabot Microelectronics Corporation(米国)から商業的に入手可能なEPIC D100研磨パッド;(3)ベアシリコンウエハ:Silicon Valley Microelectronics, Inc.(米国)から商業的に入手可能な一般的なベアシリコンウエハ;(4)ブランケット銅ウエハ:SKW Associates, Inc.から商業的に入手可能な、1.5μmの銅膜を備えたブランケット銅ウエハ;(5)酸化ケイ素研磨材粒子:Akzo Nobel Inc.(オランダ国アムステルダム)から商業的に入手可能なBINDZIL SP599L;(6)例えば、Sigma-Aldrich(米国、ミズーリ州)、Alfa Aesar(米国マサチューセッツ州)、ACROS(ベルギー国、へール)、MERCK KGaA(独国、ダルムシュタット)、Showa Chemical(日本国、東京)、および(スイス国、ツーク)を含めた幾つかの供給先から商業的に入手可能な純度99%以上の以下の化学試薬:エチレンジアミン(EDA)、1,2−ジアミノプロパン(DAP)、亜塩素酸ナトリウム(NaClO
2)、臭素酸カリウム(KBrO
3)、サリチル酸、DL−酒石酸、クエン酸一水和物、アクリル酸、乳酸、Dequest(登録商標)2060S(ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMPA)、Dequest(登録商標)2010(ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、HEDP)、およびアジピン酸、が挙げられる。
【0038】
【表1】
【0039】
例1〜15は、本発明によるTSVウエハの研磨方法は、TSVウエハ上の導電材料とシリコン材料を同時に研磨することを可能にすることを示している。比較例1(キレート化剤の添加なし)に比べると、例1〜15における第1のベアシリコンウエハと第2のベアシリコンウエハの除去速度の低下度は、比較例1に比べてより良好であることがわかる。TSVウエハの研磨の間のシリコン除去速度の低下は、キレート化剤の添加によって適切に抑制することができる。
【0040】
従って、本発明による研磨組成物およびTSVウエハの研磨方法は、TSVウエハの現在のCMP分野において、作業時間コストを有意に節約する一方で、シリコン材料と導電材料を同時に、安定して研磨するための解決策を与える。
【0041】
ここに引用された文献、特許出願、および特許を含めた全ての参照文献を、それぞれの参照文献が、参照することによって本明細書の内容とされるように、個々に、そして具体的に述べられ、そしてその全体を個々に説明されていたのと同様に、参照することによって本明細書の内容とする。
【0042】
本発明を説明するのに関連した(特に特許請求の範囲に関連した)用語「1つ」および「該」および類似の用語の使用は、本明細書中に特に断りのない限り、もしくは文脈から明確に否定されない限り、単数および複数の両方を包含すると理解されるべきである。用語「含む」、「有する」および「包含する」は、特に断りのない限り、非制限語句(すなわち、「含むが、それらには限定されない」との意味)として理解されなければならない。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書中で特に断りのない限り、その範囲に入るそれぞれの別個の値を個々に参照する簡便な方法としての役割を果たすことを意図しており、そしてそれぞれの別個の値は、それが本明細書中に個々に引用されているように、明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載された全ての方法は、本明細書中で特に断りのない限り、もしくは文脈によって明確に否定されない限り、いずれかの好適な順番で実施することができる。いずれかの、もしくは全ての例の使用、または本明細書中の例示的な言葉(例としては、「例えば」)は、本発明をよりよく説明することを単に意図したものであり、そして特に断りのない限り、本発明の範囲に限定を与えるものではない。本明細書中の言葉は、いずかれの特許請求していない要素が、本発明の実施に必要であることを表すと解釈してはならない。
【0043】
本発明の好ましい態様が、本明細書中に記載されており、本発明の実施のために発明者らによって知られているベストモードを含んでいる。これらの好ましい態様の変形が、前記の説明を読んだ当業者には明らかであることができる。本発明者らは、当業者が、そのような変形を適切に使用することを期待するものであり、そして本発明者らは、本明細書中に記載された発明が、本明細書中に具体的に記載されたものとは別様に実施されることを意図している。従って、本発明は、適用される法律によって許されるように、添付の特許請求の範囲の中に列挙された主題の全ての変更および均等物を包含している。更に、上記の要素の全ての可能な変化における上記の要素のいずれかの組み合わせも、特に断りのない限り、またはさもなければ文脈によって明確に否定されない限り、本発明によって包含される。
【0044】
本発明の要旨は、次の通りである。
(1)有機アルカリ化合物、酸化剤、キレート化剤、酸化ケイ素研磨材粒子および溶媒を含んでなる、シリコン貫通ビア(TSV)ウエハ研磨用の研磨組成物であって、該酸化剤は、亜塩素酸塩、臭素酸塩およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれ、かつ該キレート化剤は、式(R
2)
n2−R−(R
1)
n1を有しており、ここで
Rは、C
1〜C
8アルキレン、C
2〜C
8アルケニレンまたはC
6〜C
12芳香族環であり、非置換もしくは、−C(O)OH、−OH、−(CH
2)
xP(O)(OH)
2およびC
1〜C
4アルキルからなる群から選ばれた置換基によって置換されていて、ここでxは0、1、2もしくは3であり、そしてC
1〜C
8アルキレンおよびC
2〜C
8アルケニレン中の1個もしくは2個以上の炭素原子は、O、NおよびSから選ばれるヘテロ原子で置換されていてもよく;
それぞれのR
1は独立して、−C(O)OHもしくは−(CH
2)
xP(O)(OH)
2であり、ここでxは0、1、2もしくは3であり;
それぞれのR
2は、独立してH、−C(O)OHもしくは−(CH
2)
xP(O)(OH)
2であり、ここでxは0、1、2もしくは3であり;
n1およびn2は独立して1もしくは2である、
TSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(2)前記有機アルカリ化合物が、ジアミン、トリアミン、テトラアミンおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、上記(1)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(3)前記有機アルカリ化合物が、エチレンジアミン、N−(−2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、1,2−ジアミノプロパン、ジエンチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、上記(2)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(4)前記有機アルカリ化合物が、エチレンジアミンである、上記(3)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(5)前記有機アルカリ化合物が、前記研磨組成物中に、約0.01質量%〜約25質量%存在している、上記(1)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(6)前記有機アルカリ化合物が、前記研磨組成物中に、約0.1質量%〜約20質量%存在している、上記(5)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(7)前記有機アルカリ化合物が、前記研磨組成物中に、約0.5質量%〜約15質量%存在している、上記(6)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(8)前記酸化剤が、アルカリ金属亜塩素酸、アンモニウム亜塩素酸、アルカリ金属臭素酸塩、アンモニウム臭素酸塩およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、上記(1)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(9)前記酸化剤が、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸アンモニウム、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、臭素酸セシウム、臭素酸アンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、上記(8)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(10)前記酸化剤が亜塩素酸ナトリウム、臭素酸カリウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、上記(9)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(11)前記研磨組成物が、前記酸化剤を、ClO
2−およびBrO
3−の合計の濃度として、約0.005質量モル濃度〜約1質量モル濃度の範囲で含む、上記(1)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(12)前記研磨組成物が、前記酸化剤を、ClO
2−およびBrO
3−の合計の濃度として、約0.01質量モル濃度〜約0.5質量モル濃度で含む、上記(1)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(13)前記酸化剤が、亜塩素酸塩であり、かつ前記研磨組成物中に、約0.02質量モル濃度〜約0.4質量モル濃度の範囲のClO
2−濃度で存在しているか、または約0.03質量モル濃度〜約0.3質量モル濃度の範囲のBrO
3−濃度の臭素酸塩である、上記(12)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(14)前記酸化ケイ素研磨材粒子が、前記研磨組成物中に、約0.01質量%〜約30質量%で存在している、上記(1)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(15)前記酸化ケイ素研磨材粒子が、前記研磨組成物中に、約0.1質量%〜約15質量%で存在している、上記(14)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(16)前記酸化ケイ素研磨材粒子が、前記研磨組成物中に、約0.5質量%〜約10質量%で存在している、上記(15)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(17)前記溶媒が、水である、上記(1)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(18)Rが、C
1〜C
4アルキレン、C
2〜C
4アルケニレン、>N(CH
2)
2NH(CH
2)
2N<、またはフェニルであり、置換されていないか、もしくは−C(O)OH、−OH、−(CH
2)P(O)(OH)
2およびメチルからなる群から選ばれる置換基によって置換されている、上記(1)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(19)前記キレート化剤が、クエン酸、サリチル酸、DL−酒石酸、マレイン酸、コハク酸、アクリル酸、乳酸、アジビン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMPA)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、上記(18)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(20)前記キレート化剤が、サリチル酸、アクリル酸、DL−酒石酸、HEDP、乳酸、クエン酸、アジビン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMPA)およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、上記(19)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(21)前記キレート化剤が、前記研磨組成物中に、約0.01質量〜約15質量%で存在している、上記(1)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(22)前記キレート化剤が、前記研磨組成物中に、約0.1質量%〜約10質量%で存在している、上記(21)1記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(23)前記キレート化剤が、前記研磨組成物中に、約0.5質量〜約8質量%で存在している、上記(22)記載のTSVウエハ研磨用の研磨組成物。
(24)シリコン貫通ビア(TSV)ウエハの研磨方法であって、TSVウエハの表面を、上記(1)〜(23)のいずれかに記載の研磨組成物での研磨処理に掛けて、該TSVウエハ上のシリコンと導電材料を同時に取り除く工程を含む、TSVウエハの研磨方法。
(25)前記導電材料が、銅で作られている、上記(24)記載のTSVウエハの研磨方法。