(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985839
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】梱包箱、梱包箱用基材、ガスメータ用梱包箱及びガスメータの搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
B65D5/50 C
B65D5/50 B
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-51936(P2012-51936)
(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公開番号】特開2013-184731(P2013-184731A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】小楠 貴宏
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭49−011217(JP,Y1)
【文献】
特開平11−342938(JP,A)
【文献】
特開2001−018952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一被梱包物と第二被梱包物とを各々梱包して搬送するための梱包箱であって、
第一被梱包物を梱包する第一梱包形態と、少なくとも高さ寸法が前記第一被梱包物よりも大きい第二被梱包物を梱包する第二梱包形態と、の二種の形態を構成可能であり、
互いに対向する一対の第一側面部と、互いに対向する一対の第二側面部と、を有して一方側に向かって開口した有底角筒状の箱本体と、
前記一対の第一側面部の一方側端縁に各々第一折線を介して連続する一対の第一蓋部と、
前記一対の第二側面部の一方側端縁に各々第二折線を介して連続する一対の第二蓋部と、
を備え、
前記第一蓋部は、前記第一折線に平行な第一中間折線と、該第一中間折線よりも前記第一折線の側に位置する第一基端部と、前記第一中間折線よりも先端側に位置する第一先端部と、前記第一中間折線に交差して該第一蓋部を切り欠いた第一挿通溝と、前記第一先端部を切り込んで形成された第一係止部と、を有し、
前記第二蓋部は、前記第二折線に平行な第二中間折線と、該第二中間折線よりも前記第二折線の側に位置する第二基端部と、前記第二中間折線よりも先端側に位置する第二先端部と、該第二先端部を切り欠いて前記第一挿通溝に嵌合可能な第二挿通溝と、該第二先端部に設けられて前記第一係止部に係止可能な第二係止部と、を有し、
前記第一梱包形態は、前記一対の第一蓋部が前記第一折線で折れ曲がり、前記第一基端部で前記箱本体の開口の少なくとも一部が覆われ、前記第一中間折線で折れ曲がった前記第一先端部が前記箱本体の内部に挿入された状態であるとともに、前記一対の第二蓋部が前記第二折線で折れ曲がり、前記第二基端部で前記第一基端部が覆われ、前記第二中間折線で折れ曲がった前記第二先端部が前記第一挿通溝を通って前記箱本体の内部に位置し、前記第一挿通溝と前記第二挿通溝とが嵌合した形態であり、
前記第二梱包形態は、前記一対の第一蓋部における前記第一基端部が前記第一側面部と略同一面内で立ち上がり、前記第一中間折線で折れ曲がった前記第一先端部で前記箱本体の開口の少なくとも一部が覆われるとともに、前記一対の第二蓋部における前記第二基端部が前記第二側面部と略同一面内で立ち上がり、前記第二中間折線で折れ曲がった前記第二先端部で前記第一先端部が覆われ、前記第一係止部と前記第二係止部とが互いに係止した形態であることを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記第一先端部の先端縁には、該先端縁から突出した突片部が形成され、前記第一梱包形態において、前記第一被梱包物と前記箱本体の第二側面部との間に前記突片部が挿通可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包箱。
【請求項3】
前記第二先端部には、前記第二挿通溝が一対で形成されるとともに、該一対の第二挿通溝の間に規制片が設けられ、
前記第一梱包形態において、前記一対の第一蓋部における前記第一先端部同士が隙間を介して対向し、該隙間に挿通された前記規制片によって該一対の第一先端部同士の接近移動が規制されることを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包箱。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の梱包箱を形成するための梱包箱用基材であって、
前記第一側面部と前記第二側面部とを有した前記箱本体と、前記第一蓋部と、前記第二蓋部と、を備え、
前記第一蓋部が前記第一中間折線と、前記第一基端部と、前記第一先端部と、前記第一挿通溝と、前記第一係止部と、を有し、
前記第二蓋部が前記第二中間折線と、前記第二基端部と、前記第二先端部と、前記第二挿通溝と、前記第二係止部と、を有して構成されたことを特徴とする梱包箱用基材。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の梱包箱を用いたガスメータ用梱包箱であって、
前記第一被梱包物が第一ガスメータであり、前記第二被梱包物が第二ガスメータであることを特徴とするガスメータ用梱包箱。
【請求項6】
前記第一ガスメータは、メータ本体と、該メータ本体に一体に設けられた口金と、該口金に着脱自在に設けられる口金継手とを備え、
前記第一蓋部には、前記第一係止部に連続した切り込みからなり、前記第一中間折線を跨いで設けられる継手保持部が形成され、
前記第一梱包形態において、前記継手保持部に前記口金継手が保持されることを特徴とする請求項5に記載のガスメータ用梱包箱。
【請求項7】
請求項5又は6記載のガスメータ用梱包箱を用いて前記第一ガスメータと前記第二ガスメータとを各々搬送するガスメータの搬送方法であって、
前記梱包箱を用いて前記第一ガスメータを前記第一梱包形態で梱包して設置場所まで搬送し、設置場所にて既存の前記第二ガスメータを取り外して前記第一ガスメータに交換した後、同一の前記梱包箱を用いて前記第二ガスメータを前記第二梱包形態で梱包して搬送することを特徴とするガスメータの搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被梱包物を梱包して搬送するための梱包箱、梱包箱用基材、被梱包物としてのガスメータを梱包するためのガスメータ用梱包箱及びガスメータの搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の商品等を梱包するための梱包箱として、段ボール紙製の組み立て式梱包箱が利用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された組み立て式梱包箱は、1枚の段ボール板に複数の切り込みや折線を形成しておき、折線に沿って段ボール板を折り曲げるとともに、切り込みによって形成した係止孔と係止突片とを互いに係止させることで、中空の箱体が構成される。この梱包箱は、複数の折線の中から折り曲げる折線を選択するとともに、その折り曲げ方向や角度を適宜に変更することで、複数の梱包形態(積み重ね形態、展示形態、持ち運び形態)が構成できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−72740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1に示されたような従来の梱包箱では、梱包形態を変化させたとしても、その収容体積が一定であることから、内部に梱包する被梱包物の大きさや量に応じて複数種類の梱包箱を用意しなければならなかった。このため異なる大きさの梱包箱をそれぞれ製造するための別個の製造設備や装置が必要となり、さらに製造した梱包箱を大きさごとに管理する必要が生じることから、梱包箱の製造及び管理に要する手間とコストが増大するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した点に鑑み、製造及び管理を効率化してコスト削減を図ることができる梱包箱、梱包箱用基材、ガスメータ用梱包箱及びガスメータの搬送方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された本発明の梱包箱は、第一被梱包物と第二被梱包物とを各々梱包して搬送するための梱包箱であって、第一被梱包物を梱包する第一梱包形態と、少なくとも高さ寸法が前記第一被梱包物よりも大きい第二被梱包物を梱包する第二梱包形態と、の二種の形態を構成可能であり、互いに対向する一対の第一側面部と、互いに対向する一対の第二側面部と、を有して一方側に向かって開口した有底角筒状の箱本体と、前記一対の第一側面部の一方側端縁に各々第一折線を介して連続する一対の第一蓋部と、前記一対の第二側面部の一方側端縁に各々第二折線を介して連続する一対の第二蓋部と、を備え、前記第一蓋部は、前記第一折線に平行な第一中間折線と、該第一中間折線よりも前記第一折線の側に位置する第一基端部と、前記第一中間折線よりも先端側に位置する第一先端部と、前記第一中間折線に交差して該第一蓋部を切り欠いた第一挿通溝と、前記第一先端部を切り込んで形成された第一係止部と、を有し、前記第二蓋部は、前記第二折線に平行な第二中間折線と、該第二中間折線よりも前記第二折線の側に位置する第二基端部と、前記第二中間折線よりも先端側に位置する第二先端部と、該第二先端部を切り欠いて前記第一挿通溝に嵌合可能な第二挿通溝部と、該第二先端部に設けられて前記第一係止部に係止可能な第二係止部と、を有し、
前記第一梱包形態は、前記一対の第一蓋部
が前記第一折線で折
れ曲
がり、前記第一基端部で前記箱本体の開口の少なくとも一部
が覆
われ、前記第一中間折線で折
れ曲
がった前記第一先端部
が前記箱本体の内部に挿入
された状態であるとともに、前記一対の第二蓋部
が前記第二折線で折
れ曲
がり、前記第二基端部で前記第一基端部
が覆
われ、前記第二中間折線で折
れ曲
がった前記第二先端部
が前記第一挿通溝
を通って前記箱本体の内部に
位置し、前記第一挿通溝と前記第二挿通溝と
が嵌合
した形態であり、
前記第二梱包形態は、前記一対の第一蓋部における前記第一基端部
が前記第一側面部と略同一面内で立ち上
がり、前記第一中間折線で折
れ曲
がった前記第一先端部で前記箱本体の開口の少なくとも一部
が覆
われるとともに、前記一対の第二蓋部における前記第二基端部
が前記第二側面部と略同一面内で立ち上
がり、前記第二中間折線で折
れ曲
がった前記第二先端部で前記第一先端部
が覆
われ、前記第一係止部と前記第二係止部と
が互いに係止
した形態であることを特徴とする。
【0007】
上記構成により、第一梱包形態で第一被梱包物を梱包し、第二梱包形態で第二被梱包物を梱包することで、少なくとも高さ寸法の異なる第一被梱包物と第二被梱包物とをそれぞれ同一の梱包箱で梱包することができる。また、第一梱包形態では、第一基端部及び第二基端部で箱本体の開口を覆うとともに、第一挿通溝と第二挿通溝とを嵌合させることで、第一被梱包物の梱包状態が維持される。また、第二梱包形態では、第一先端部及び第二先端部で箱本体の開口を覆うとともに、第一係止部と第二係止部とを互いに係止させることで、第二被梱包物の梱包状態が維持される。
【0008】
請求項2に記載された梱包箱は、請求項1に記載の梱包箱において、前記第一先端部の先端縁には、該先端縁から突出した突片部が形成され、前記第一梱包形態において、前記第一被梱包物と前記箱本体の第二側面部との間に前記突片部が挿通可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成により、第一被梱包物と箱本体の第二側面部との間に突片部を挿通することで、第一梱包形態において、突片部によって第一被梱包物の移動が規制され、梱包状態を安定させることができる。
【0010】
請求項3に記載された梱包箱は、請求項1又は2に記載の梱包箱において、前記第二先端部には、前記第二挿通溝が一対で形成されるとともに、該一対の第二挿通溝の間に規制片が設けられ、前記第一梱包形態において、前記一対の第一蓋部における前記第一先端部同士が隙間を介して対向し、該隙間に挿通された前記規制片によって該一対の第一先端部同士の接近移動が規制されることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、第一先端部同士が対向した隙間に規制片を挿通し、この規制片によって第一先端部同士の接近移動を規制することで、第一梱包形態において、箱本体の内部に挿入した第一先端部の先端縁位置を維持させることができる。
【0012】
請求項4に記載された本発明の梱包箱用基材は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の梱包箱を形成するための梱包箱用基材であって、前記第一側面部と前記第二側面部とを有した前記箱本体と、前記第一蓋部と、前記第二蓋部と、を備え、前記第一蓋部が前記第一中間折線と、前記第一基端部と、前記第一先端部と、前記第一挿通溝と、前記第一係止部と、を有し、前記第二蓋部が前記第二中間折線と、前記第二基端部と、前記第二先端部と、前記第二挿通溝と、前記第二係止部と、を有して構成されたことを特徴とする。
【0013】
上記構成により、梱包箱用基材を組み立てることで、前述したように第一梱包形態で第一被梱包物を梱包し、第二梱包形態で第二被梱包物を梱包することが可能な梱包箱を形成することができる。
【0014】
請求項5に記載された本発明のガスメータ用梱包箱は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の梱包箱を用いたガスメータ用梱包箱であって、前記第一被梱包物が第一ガスメータであり、前記第二被梱包物が第二ガスメータであることを特徴とする。
【0015】
上記構成により、第一被梱包物である第一ガスメータと第二被梱包物である第二ガスメータとをそれぞれ同一の梱包箱で梱包することができるとともに、前述のように、第一梱包形態において第一ガスメータを安定して梱包することができ、第二梱包形態において第二ガスメータを安定して梱包することができる。
【0016】
請求項6に記載されたガスメータ用梱包箱は、請求項5に記載のガスメータ用梱包箱において、前記第一ガスメータは、メータ本体と、該メータ本体に一体に設けられた口金と、該口金に着脱自在に設けられる口金継手とを備え、前記第一蓋部には、前記第一係止部に連続し
た切り込みからなり、前記第一中間折線を跨いで設けられる継手保持部が形成され、前記第一梱包形態において、前記継手保持部に前記口金継手が保持されることを特徴とする。
【0017】
上記構成により、継手保持部に第一ガスメータの口金継手を保持することで、第一梱包形態において、第一ガスメータとともに口金継手を同梱して搬送することができる。
【0018】
請求項7に記載された本発明のガスメータの搬送方法は、請求項5又は6記載のガスメータ用梱包箱を用いて前記第一ガスメータと前記第二ガスメータとを各々搬送するガスメータの搬送方法であって、前記梱包箱を用いて前記第一ガスメータを前記第一梱包形態で梱包して設置場所まで搬送し、設置場所にて既存の前記第二ガスメータを取り外して前記第一ガスメータに交換した後、同一の前記梱包箱を用いて前記第二ガスメータを前記第二梱包形態で梱包して搬送することを特徴とする。
【0019】
上記構成により、第一ガスメータを第一梱包形態で梱包して設置場所まで搬送した梱包箱を用いて、取り外した第二ガスメータを第二梱包形態で梱包して搬送することで、第一ガスメータの発送と第二ガスメータの回収との両方の搬送に同一の梱包箱を利用することができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、同一の梱包箱を用いて第一被梱包物と第二被梱包物とをそれぞれ梱包して搬送することができるので、第一被梱包物と第二被梱包物とに応じた二種類の梱包箱を製造する必要がなく、梱包箱の製造及び管理を効率化してコスト削減を図ることができる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、第一梱包形態における第一被梱包物の梱包状態を安定させることができるので、搬送時のがたつき等を防止して良好な搬送性が得られるとともに、第一被梱包物の破損や故障などを抑制することができる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、第一梱包形態における第一先端部の先端縁位置が維持されることで、この第一先端部の先端縁と第一被梱包物との所定距離が確保でき、搬送時のがたつき等を防止することができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、前述した請求項1〜3の発明と同様の効果を有する梱包箱を形成することができる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、前述と同様に、第一ガスメータと第二ガスメータとで同一の梱包箱を利用することができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、第一ガスメータと口金継手を同梱して搬送することができるので、口金継手の搬送漏れを防止できるとともに、口金継手を別途に梱包して搬送する必要がないことから、口金継手用の梱包箱を省略することができる。
【0026】
請求項7記載の発明によれば、前述と同様に、同一の梱包箱を利用して第一ガスメータの発送と第二ガスメータの回収を行うことができるので、梱包箱が無駄になることがない。また、取り外した既設の第二ガスメータを回収する際に、梱包箱に梱包することで、第二ガスメータに付着した汚れ等が回収作業者や回収車などに付着することが防止でき、回収作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる梱包箱を示す斜視図である。
【
図2】前記梱包箱を用いた第一梱包形態を示す斜視図である。
【
図3】前記第一梱包形態を示す断面図であり、
図2に矢視A−A線で示す断面図である。
【
図4】前記第一梱包形態を示す断面図であり、
図2に矢視B−B線で示す断面図である。
【
図5】前記梱包箱を形成するための梱包箱用基材を示す図である。
【
図6】前記第一梱包形態の梱包手順を示す斜視図である。
【
図7】
図6に続く前記第一梱包形態の梱包手順を示す斜視図である。
【
図8】前記梱包箱を用いた第二梱包形態の梱包手順を示す斜視図である。
【
図9】前記梱包箱を用いた第二梱包形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態にかかる梱包箱、及び梱包箱を用いたガスメータの梱包構造を
図1〜
図9を参照して説明する。梱包箱1は、段ボール紙製の板材を適宜な形状に形抜きするとともに複数の折線を形成した梱包箱用基材1A(
図5参照)を製造してから、この梱包箱用基材1Aを折線に沿って折り曲げるとともに適宜な位置を接着あるいはテープ止めすることで、全体箱状に組立てられるものである。この梱包箱1は、第一被梱包物である第一ガスメータM1と、第二被梱包物である第二ガスメータM2と、を各々梱包するものであって、即ち、
図2に示すように、第一ガスメータM1を梱包する第一梱包形態と、
図9に示すように、第二ガスメータM2を梱包する第二梱包形態と、の二種の形態を構成可能になっている。
【0029】
第一ガスメータM1は、例えば、新規設置用のものであって、
図2に示すように、外形寸法として、幅寸法B1、奥行寸法D1及び高さ寸法H1を有して構成されている。第二ガスメータM2は、例えば、取り外されて第一ガスメータM1に交換される既設のものであって、
図9に示すように、外形寸法として、幅寸法B2、奥行寸法D2及び高さ寸法H2を有して構成されている。この第二ガスメータM2は、少なくとも高さ寸法H2が第一ガスメータM1の高さ寸法H1よりも大きく形成されている。また、第一ガスメータM1は、
図2及び
図6に示すように、メータ本体M1Aと、メータ本体M1Aに一体に設けられた口金M1Bと、口金M1Bに着脱自在に設けられる口金継手M1Cとを備える。第二ガスメータM2は、
図8及び
図9に示すように、メータ本体M2Aと、メータ本体M2Aに一体に設けられた口金M2Bと、口金M2Bに着脱自在に設けられる口金継手M2Cとを備える。
【0030】
本実施形態の梱包箱1は、既設の大型の第二ガスメータM2を新設の小型の第一ガスメータM1に交換する際に、第一ガスメータM1を第一梱包形態で梱包して設置場所まで搬送し、設置場所にて第二ガスメータM2を取り外して第一ガスメータM1に交換した後、取り外した第二ガスメータM2を第二梱包形態で梱包して搬送するために利用される。即ち、第一ガスメータM1の製造工場やその保管場所において、第一ガスメータM1は、梱包箱1に梱包されてから設置場所へ発送され、設置場所にて梱包箱1から取り出されて所定位置に設置される。一方、設置場所にて取り外された既設の第二ガスメータM2は、同一の梱包箱1に梱包されてから所定の回収処理場等へ発送される。このような梱包箱1は、各図におけるX方向に沿った幅寸法とY方向に沿った奥行き寸法とZ方向に沿った高さ寸法を有し、これらの幅寸法、奥行き寸法及び高さ寸法は、第一及び第二のガスメータM1,M2の幅寸法B1,B2、奥行寸法D1,D2及び高さ寸法H1,H2に応じて適宜に設定されている。
【0031】
梱包箱1は、
図1及び
図5に示すように、Y−Z平面に沿うとともに互いに対向する一対の第一側面部2(2A,2B)と、X−Z平面に沿うとともに互いに対向する一対の第二側面部3(3A,3B)と、X−Y平面に沿う底部4(4A,4B,4C,4D)と、を有して一方側(上方)に向かって開口した有底角筒状の箱本体5と、一対の第一側面部2の上端縁に各々第一折線2Cを介して連続する一対の第一蓋部10(10A,10B)と、一対の第二側面部3の上端縁に各々第二折線3Cを介して連続する一対の第二蓋部20(20A,20B)と、を備えて構成されている。4つの底部4のうち、底部4A,4Bは、折線2Dを介して第一側面部2の下端縁に連続して形成され、底部4C,4Dは、折線3Dを介して第二側面部3の下端縁に連続して形成されている。また、第一側面部2には、運搬用の持ち手として機能する貫通孔2Eが形成されている。
【0032】
第一蓋部10は、第一折線2Cに平行な第一中間折線11と、第一中間折線11よりも第一折線2Cの側に位置する第一基端部12と、第一中間折線11よりも先端側に位置する第一先端部13と、を有している。この第一蓋部10には、第一中間折線11に交差して該第一蓋部10を切り欠いた第一挿通溝14と、第一先端部13を切り込んで形成された第一係止部15と、第一先端部13の先端縁から突出した突片部16と、第一係止部15に連続して第一中間折線11を跨いで形成される継手保持部17と、が形成されている。継手保持部17は、折線17A(
図1参照)を介して第一基端部12に連続して形成され、第一蓋部10Aの継手保持部17は、第一蓋部10Bの継手保持部17よりも幅広に形成されている。また、第一係止部15及び継手保持部17の切り込みと折線17Aとによって、折曲げ片15A(
図1参照)が形成され、この折曲げ片15Aは、折線17Aで折り曲げられるようになっている。
【0033】
第二蓋部20は、第二折線3Cに平行な第二中間折線21と、第二中間折線21よりも第二折線3Cの側に位置する第二基端部22と、第二中間折線21よりも先端側に位置する第二先端部23と、を有している。この第二蓋部20における第二先端部23には、第二先端部23を先端縁側から切り欠いた一対の第二挿通溝24と、これら一対の第二挿通溝24の間に設けられる規制片25と、第二挿通溝24よりも該第二蓋部20の側端側に設けられる挿入片26と、該挿入片26よりもさらに側端側に設けられる第二係止部27と、が形成されている。挿入片26と第二係止部27とは、切込み26A(
図1参照)を介して分離され、第二係止部27は、折線27A(
図1参照)を介して第一基端部12に連続して形成されている。
【0034】
以上の梱包箱1を用いて第一ガスメータM1を梱包する第一梱包形態の梱包構造及び梱包手順を
図6,7も参照して説明する。先ず、
図1に示すように、梱包箱1を組立ててから、その第一蓋部10及び第二蓋部20を上方や外方に開いて箱本体5を上方に開口させる。この箱本体5に対して、口金継手M1Cを取り外した状態の第一ガスメータM1を収容してから、
図6に示すように、一対の第一蓋部10A,10Bを第一折線2Cで折り曲げるとともに、第一中間折線11で第一先端部13を折り曲げ、この第一先端部13を箱本体5の内部に挿入する。これにより箱本体5の開口の過半の部分が第一蓋部10A,10Bの第一基端部12で覆われる。また、各第一基端部12の長さ寸法は第二側面部3の幅寸法の半分よりも小さく形成されており、このことから、箱本体5の内部に挿入した第一先端部13同士が隙間を介して対向するようになっている。
【0035】
以上のように第一蓋部10A,10Bを折り曲げることで、
図3,4にも示すように、第一先端部13の先端縁がメータ本体M1Aの上面に接近するとともに、突片部16がメータ本体M1Aの背面と第二側面部3Bとの隙間に挿入される。このような第一先端部13及び突片部16によって、メータ本体M1Aの上方(Z方向)及び奥行き方向(Y方向)への移動が規制される。なお、メータ本体M1Aの幅方向(X方向)への移動は、第一側面部2A,2Bによって規制される。次に、第一蓋部10A,10Bの折曲げ片15Aを折線17Aで折り曲げ、折曲げ片15Aを箱本体5の内方に押し込むことで、溝状の継手保持部17を形成する。このように第一蓋部10A,10B間に亘って2箇所に形成した継手保持部17に対して、口金継手M1Cを嵌め込んで保持させる。
【0036】
次に、
図7に示すように、一対の第二蓋部20を第二折線3Cで折り曲げるとともに、第二先端部23を第二中間折線21で折り曲げる。さらに、折り曲げた第二先端部23を第一蓋部10A,10Bの第一挿通溝14に挿通し、この第二先端部23を箱本体5の内部に挿入する。具体的には、第一蓋部10A,10Bにおける第一先端部13の第一挿通溝14に対し、各第二蓋部20A,20Bの第二挿通溝24をそれぞれ挿入して嵌合させるとともに、挿入片26及び第二係止部27を第一基端部12の第一挿通溝14に挿通して、第一先端部13と第一側面部2との間に位置させ、規制片25を一対の第一先端部13間に挿入する。ここで、第二蓋部20の第二基端部22は第一側面部2の幅寸法の略半分の長さ寸法を有して形成されており、これにより第一基端部12の上面及び箱本体5の上部開口が第二蓋部20A,20Bの第二基端部22によって覆われる。
【0037】
以上によって
図2に示すような梱包箱1の第一梱包形態が構成され、この第一梱包形態において、
図3,4に示すように、第二先端部23の先端縁がメータ本体M1Aの上面に接近することによって、メータ本体M1Aの上方(Z方向)への移動がさらに規制される。さらに、第一挿通溝14と第二挿通溝24とが互いに嵌合され、規制片25が一対の第一先端部13間に挿入されとともに、挿入片26及び第二係止部27が第一先端部13と第一側面部2との間に挿入されることで、第一先端部13及び第二先端部23の相互の移動が規制される。また、第一挿通溝14に挿入した第二先端部23同士の摩擦抵抗や、その他の各部の摩擦抵抗等によって、第二蓋部20が自然に開放せず、閉鎖状態が維持されることから、第一ガスメータM1の第一梱包形態が維持されるようになっている。なお、第一梱包形態をさらに強固に維持させるために、第二蓋部20の第二基端部22上面から第一側面部2に亘って粘着テープを貼り付けてもよい。また、第一ガスメータM1を梱包箱1から取り出す際には、上述の梱包手順と逆の手順で梱包箱1を開放すればよい。
【0038】
次に、梱包箱1を用いて第二ガスメータM2を梱包する第二梱包形態の梱包構造及び梱包手順を
図8,9も参照して説明する。前述のように、第二ガスメータM2を交換して第一ガスメータM1を設置する設置場所において、第一ガスメータM1を梱包箱1から取り出したら、第二ガスメータM2を箱本体5の内部に収容する。この際、第二ガスメータM2のメータ本体M2Aとともに口金継手M2Cを箱本体5内部の隙間に収容する。次に、
図8に示すように、一対の第一蓋部10A,10Bの第一先端部13を第一中間折線11で折り曲げ、この第一先端部13によって箱本体5の開口上方、即ちメータ本体M2A上面を覆う。この際、第一折線2Cは折り曲げず、第一側面部2から第一基端部12を略直立させておき、この第一基端部12でメータ本体M2Aの幅方向の側方を覆う。このように折り曲げた第一蓋部10A,10Bの第一先端部13は、互いの先端縁が略重なるか、又は若干の隙間を介して近接するようになっている。
【0039】
次に、
図9に示すように、一対の第二蓋部20の第二先端部23を第二中間折線21で折り曲げ、第二係止部27を折線27Aで折り曲げて第一係止部15に係止させる。具体的には、
図8に示すように、第一中間折線11で折曲げ片15Aを若干折り曲げて箱本体5の内方に押し込んでおき、この折曲げ片15Aと第一係止部15との間に形成された隙間から第二係止部27を挿入して係止させる。また、挿入した第二係止部27を折曲げ片15Aの内面側に折り返してもよい。以上のように折り曲げた第二蓋部20A,20Bの第二先端部23は、互いの先端縁が略重なるか又は当接するようになっており、このような第二先端部23によって第一先端部13及びメータ本体M2Aの上面を覆うとともに、第二側面部3から略直立させた第二基端部22によってメータ本体M2Aの奥行き方向の側方を覆う。以上によって梱包箱1の第二梱包形態が構成され、この第二梱包形態において、第一係止部15と第二係止部27との係止により第二蓋部20が自然に開放せず、閉鎖状態が維持される。このように梱包形態が維持された第二ガスメータM2を搬送して回収する。なお、第二梱包形態をさらに強固に維持させるために、第二蓋部20の第二先端部23上面から第一側面部2や第二側面部3に亘って粘着テープを貼り付けてもよい。
【0040】
本実施形態によれば、第一ガスメータM1を発送するために用いた梱包箱1を第二ガスメータM2の回収用としても利用できるので、1つの梱包箱1の利用効率を高めることができる。従って、第一ガスメータM1を梱包するための梱包箱と、第二ガスメータM2を梱包するための梱包箱と、を別々に準備する必要がなくなり、梱包箱の製造コストを低減させることができるとともに、省資源化を促進させることができる。また、第一ガスメータM1を梱包して設置場所まで搬送した後に梱包箱1を廃棄することがないので、廃棄物の削減に寄与することもできる。さらに、設置場所にて取り外した第二ガスメータM2が汚れていたとしても、梱包箱1に梱包して回収することで、汚れが回収車や回収作業者に付着することが防止でき、回収作業の作業性を向上させることができる。また、第一梱包形態において、第一先端部13及び第二先端部23によって第一ガスメータM1の移動を規制することで、搬送中に箱本体5内部における第一ガスメータM1のがたつきが防止でき、第一ガスメータM1の破損や故障を抑制することができる。
【0041】
なお、前記実施形態では、第一被梱包物である第一ガスメータM1と、第二被梱包物である第二ガスメータM2と、を各々梱包するガスメータ搬送用の梱包箱1について説明したが、本発明の梱包箱は、ガスメータ搬送用に限らず、各種の物品を梱包して搬送するために利用することができる。ここで、各種の物品としては、第一及び第二の被梱包物が同一種別のものであってもよいし、異なる種別の物品であってもよい。さらには、第一被梱包物と第二被梱包物とが同一物であり、形状及び寸法が変化するものであってもよい。また、前記実施形態では、既存の第二ガスメータM2を新規の第一ガスメータM1に交換する場合の梱包構造及び搬送方法を説明したが、本発明の梱包箱は、交換用途のみならず、様々な搬送用途に利用することができ、前記実施形態のように、工場や回収場と設置場所との間において物品を搬送するものに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る梱包箱は、各種の被梱包物を梱包して搬送するために利用することができ、特に、ガスメータ等の機器を交換するために新規の機器を梱包して搬送し、既存の機器を梱包して回収する用途に好適である。
【符号の説明】
【0043】
1 梱包箱
1A 梱包箱用基材
2,2A,2B 第一側面部
2C 第一折線
3,3A,3B 第二側面部
3C 第二折線
5 箱本体
10,10A,10B 第一蓋部
11 第一中間折線
12 第一基端部
13 第一先端部
14 第一挿通溝
15 第一係止部
16 突片部
17 継手保持部
20,20A,20B 第二蓋部
21 第二中間折線
22 第二基端部
23 第二先端部
24 第二挿通溝
25 規制片
27 第二係止部
M1 第一ガスメータ(第一被梱包物)
M1A メータ本体
M1B 口金
M1C 口金継手
M2 第二ガスメータ(第一被梱包物)
M2A メータ本体
M2B 口金
M2C 口金継手