特許第5985860号(P5985860)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985860
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】両面印字ラベル用の貼付装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 1/04 20060101AFI20160823BHJP
   B65C 9/32 20060101ALI20160823BHJP
   B65C 9/42 20060101ALI20160823BHJP
   B65C 9/46 20060101ALI20160823BHJP
   B65B 51/06 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   B65C1/04
   B65C9/32
   B65C9/42
   B65C9/46
   B65B51/06 C
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-87230(P2012-87230)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-216345(P2013-216345A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川村 秀彦
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/110197(WO,A1)
【文献】 特開平10−142742(JP,A)
【文献】 特開2010−032711(JP,A)
【文献】 特開2010−116500(JP,A)
【文献】 特開2009−113853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 1/04
B65B 51/06
B65C 9/32
B65C 9/42
B65C 9/46
G09F 3/10
B65B 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面用ラベルと裏面用ラベルとが接着剤で剥離可能に接着されたラベルであって、両面印字プリンタによって前記表面用ラベルと裏面用ラベルとに両面印字て発行される両面印字ラベルを保持する保持機構と、
前記両面印字ラベルの表面用ラベルと裏面用ラベルとを保持機構でそれぞれ保持した状態で前記表面用ラベルと裏面用ラベルとを剥離する剥離機構と、
前記剥離された表面用ラベルと裏面用ラベルとの間に被着物を搬送する搬送ラインと、
前記搬送されてきた被着物の表裏面に対して前記表面用ラベルと裏面用ラベルとの接着面側を当接させる当接機構と、
前記両面印字ラベルの発行タイミング、前記両面印字ラベルの剥離タイミング、前記被着物の搬送タイミング、及び前記被着物に対する前記表面用ラベルと裏面用ラベルとの当接タイミングを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする両面印字ラベル用の貼付装置。
【請求項2】
前記保持・剥離・当接のための機構は、
前記搬送ライン上で且つ前記両面印字プリンタから前記両面印字ラベルを発行する発行位置に、前記搬送ラインの搬送方向に対してローラ軸芯が直交するように設けられた上下一対の前段ローラと上下一対の後段ローラとで構成され、
前記前段ローラはローラ表面に吸着機能を有する回転可能なローラであって、前記一対の前段ローラが互いに接近・離間する方向の縦移動と前記搬送方向に沿った横移動とを行う機構を備え、
前記後段ローラは回転可能なローラであって、前記一対の後段ローラが互いに接近・離間する方向の縦移動を行う機構を備える請求項1に記載の両面印字ラベル用の貼付装置。
【請求項3】
前記剥離機構は、
前記両面印字ラベルとして、1枚のラベルを二つ折りにして接着剤で剥離可能に接着することによって前記表面用ラベルと前記裏面用ラベルとを形成したパノラマラベルの対面にある糊殺し部にエアを吹き付けて前記両面印字ラベルの剥離を補助するエアノズルを備える請求項2に記載の両面印字ラベル用の貼付装置。
【請求項4】
前記貼付装置は、
前記被着物を上から押さえ付ける押さえ付け手段を備え、
前記両面印字ラベルとして、前記パノラマラベルを使用する請求項に記載の両面印字ラベル用の貼付装置。
【請求項5】
前記被着物は、蓋が容器本体に揺動開閉自在に支持された蓋付き容器である請求項4に記載の両面印字ラベル用の貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面印字ラベル用の貼付装置に係り、特に両面印字ラベルの表面用ラベルと裏面用ラベルとを被着物の表裏面に一度に自動貼付するための両面印字ラベル用の貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスーパ等において作業者(例えば店員)は、食品等に関する各種の情報をラベルプリンタでラベルに印字して発行し、惣菜等の食品を入れたプラスチック製の容器(被着物の一例)に貼り付けてから、陳列棚に陳列する。
【0003】
この場合、容器の表面と裏面との両面にラベルを貼り付けることにより、より多くの情報を消費者に提供することができる。
【0004】
従来、容器の表裏面に2枚のラベルを貼る方法としては、両面印字プリンタで両面印字ラベルの両面に異なる情報を印字し、作業者が表面用ラベルと裏面用ラベルとを手で剥がして容器の表裏面に貼り付けていた。
【0005】
また、片面貼りのラベル貼付装置を用いて、先ず容器の表面に1枚目のラベルを貼り付けた後(上貼り)、コンベア等で搬送して他のラベル貼付装置にて容器の底に2枚目のラベルを貼り付ける(下貼り)2工程の貼り付け作業を行っていた(例えば特許文献1)。
【0006】
ところで、食品用の容器として、蓋が容器本体に揺動開閉自在に支持されたものが使用されていることが多く、この場合には、容器内に食品を入れた後、蓋が開かないように輪ゴム、テープ等の封着部材、あるいは熱溶着などによって蓋を容器に封着することが通常である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−122234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、容器の表裏面に手作業で2枚のラベルを貼り付けることは作業者にとって煩わしいと共に、非効率的である。また、片面貼りのラベル貼付装置を用いて2枚のラベルを2工程で貼り付ける方法は、ラベル貼付装置が上貼り用と下貼り用の2台必要となるため高価になるばかりか、貼付作業効率の点で問題があった。
【0009】
このような背景から、両面印字ラベルの表面用ラベルと裏面用ラベルとを被着物の表裏面に一度に自動貼付するための両面印字プリンタ用の貼付装置が要望されていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、両面印字プリンタで表面と裏面とに両面印字されて発行された両面印字ラベルの表面用ラベルと裏面用ラベルとを、被着物の表裏面に一度に自動的に貼付することができるので、貼付作業効率を向上できるだけでなく作業員の労力も軽減できる両面印字プリンタ用の貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る両面印字ラベル用の貼付装置は、表面用ラベルと裏面用ラベルとが接着剤で剥離可能に接着されたラベルであって、両面印字プリンタによって前記表面用ラベルと裏面用ラベルとに両面印字て発行される両面印字ラベルを保持する保持機構と、前記両面印字ラベルの表面用ラベルと裏面用ラベルとを保持機構でそれぞれ保持した状態で前記表面用ラベルと裏面用ラベルとを剥離する剥離機構と、前記剥離された表面用ラベルと裏面用ラベルとの間に被着物を搬送する搬送ラインと、前記搬送されてきた被着物の表裏面に対して前記表面用ラベルと裏面用ラベルとの接着面側を当接させる当接機構と、前記両面印字ラベルの発行タイミング、前記両面印字ラベルの剥離タイミング、前記被着物の搬送タイミング、及び前記被着物に対する前記表面用ラベルと裏面用ラベルとの当接タイミングを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、両面印字プリンタから発行された両面印字ラベルの表面用ラベルと裏面用ラベルとを、被着物の表裏面に一度に自動貼付することができるので、貼付作業効率を向上できるだけでなく作業員の労力も軽減できる。
【0012】
本発明においては、前記保持・剥離・当接のための機構は、前記搬送ライン上で且つ前記両面印字プリンタから前記両面印字ラベルを発行する発行位置に、前記搬送ラインの搬送方向に対してローラ軸芯が直交するように設けられた上下一対の前段ローラと上下一対の後段ローラとで構成され、前記前段ローラはローラ表面に吸着機能を有する回転可能なローラであって、前記一対の前段ローラが互いに接近・離間する方向の縦移動と前記搬送方向に沿った横移動とを行う機構を備え、前記後段ローラは回転可能なローラであって、前記一対の後段ローラが互いに接近・離間する方向の縦移動を行う機構を備えることが好ましい。
【0013】
これは、保持・剥離・当接を行うための好ましい具体的な機構を示したものであり、上記の如く構成された上下一対の前段ローラと上下一対の後段ローラとによって、両面印字ラベルの表面用ラベルと裏面用ラベルとを、被着物の表裏面に一度に自動貼付することができる。
【0014】
本発明においては、前記剥離機構は、前記両面印字ラベルとして、1枚のラベルを二つ折りにして接着剤で剥離可能に接着することによって前記表面用ラベルと前記裏面用ラベルとを形成したパノラマラベルの対面にある糊殺し部にエアを吹き付けて前記両面印字ラベルの剥離を補助するエアノズルを備えることが好ましい。
【0015】
これにより、両面印字ラベルの上面ラベルと下面ラベルとを、より確実に剥離することができるからである。
【0016】
本発明においては、前記貼付装置は、前記被着物を上から押さえ付ける押さえ付け手段を備え、前記両面印字ラベルとして、前記パノラマラベルを使用することが好ましい。
【0017】
このように、貼付装置に押さえ付け手段を更に備えることによって、被着物として揺動開閉する蓋を有する容器の表裏面にパノラマラベルを貼付することができる。これにより、印字のための手段、輪ゴム、テープ等の封着部材の使用、あるいは熱溶着などの方法を使用しなくても、パノラマラベルによって蓋を容器本体に封着することができる。したがって、両面印字ラベルを情報提供のための手段として使用するだけでなく、容器の封着のための手段としても使用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る両面印字ラベル用の貼付装置によれば、貼付作業効率を向上できるだけでなく作業員の労力も軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】両面印字プリンタの一例を示す側面断面図
図2】実施の形態で使用する被着物の一例を説明する説明図
図3】両面印字ラベルとしてパノラマラベルを説明する説明図
図4】両面印字ラベルを貼付する貼付装置の主要部を斜視的に示した概念図
図5】両面印字ラベルを貼付する貼付装置の主要部を平面的に示した概念図
図6】保持・剥離・当接機構の具体例を説明する斜視図
図7】前段ローラの吸着機能を説明する説明図
図8】容器の蓋を閉じる動作及び容器を第2ベルトコンベアへ転送する動作を説明する模式図
図9】貼付装置によって蓋付き容器の表裏面に両面印字ラベルを貼付するステップを説明する模式図
図10】蓋付き容器の表裏面に両面印字ラベルを貼付した状態を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面にしたがって、本発明の両面印字プリンタ用の貼付装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0021】
本発明の実施の一形態に係る両面印字プリンタ用の貼付装置は、両面印字プリンタで両面印字され、発行されたラベル両面印字ラベルの表面用ラベルと裏面用ラベルとを被着物の表裏面に一度に自動貼付するための装置として構成される。
【0022】
以下、両面印字プリンタ、貼付装置、及び使用される両面印字ラベルについて詳細に説明する。
【0023】
[両面印字プリンタ]
図1に示すように、両面印字プリンタ1は、主として、プリンタハウジング2内に、帯状の両面印字ラベル3の給紙リール装置10、移送路4、用紙センサ5、移送機構6、印字機構7、幅ガイドロック機構8、移送機構6及び印字機構7を開閉する開閉機構9、切断部19の各種部材が設けられる。そして、印字機構7で両面印字され、切断部19で切断された1枚の両面印字ラベル3Aは、発行口11から繰り出され、プリンタハウジング2外に設けられた発行機構12によって貼付装置20に向けて発行される。
【0024】
帯状の両面印字ラベル3は、給紙リール装置10の回転軸にロール状に巻回支持されており、移送機構6によって移送路4に送り出される。
【0025】
移送路4は、給紙リール装置10から送り出された両面印字ラベル3を発行口11まで移送する通路であって、給紙リール装置10側から順に、幅ガイドロック機構8、用紙センサ5、第1印字部7A及び第2印字部7Bからなる印字機構7、切断部19、発行機構12が設けられる。
【0026】
幅ガイドロック機構8は、両面印字ラベル3の幅方向を規制することによって、移送路4に送り出された両面印字ラベル3が蛇行することなく移送される機構である。
【0027】
移送機構6は、固定式の駆動ローラ13と、駆動ローラ13に対して上下方向に移動可能な従動ローラ14とで構成される。そして、この2つのローラ13,14の間に両面印字ラベル3を挟持して駆動ローラ13を回転駆動させることによって、両面印字ラベル3を移送路4に沿って移送する。
【0028】
用紙センサ5は、両面印字ラベル3に設けられた位置検出マークE(図3参照)を検出して、移送機構6、印字機構7及び開閉機構9などに対する両面印字ラベル3の相対的位置を検出する。
【0029】
第1印字部7A及び第2印字部7Bは、両面印字ラベル3の表裏面に所定の情報をそれぞれ印字するためのものであり、移送路4に沿って順次配設される。第1印字部7A及び第2印字部7Bのうち、上流側に設けられた第1印字部7Aは、主として、サーマルヘッド17とプラテンローラ15とで構成される。そして、サーマルヘッド17とプラテンローラ15との間に給紙リール装置10から送られてきた両面印字ラベル3が挟持される。そして、挟持した状態でプラテンローラ15が回転して両面印字ラベル3を印字搬送する。これにより、両面印字ラベル3の一方面(例えば裏面)に印字情報が印字される。
【0030】
また、下流側に設けられた第2印字部7Bも、第1印字部7Aと同様にサーマルヘッド18とプラテンローラ16とで構成されるが、サーマルヘッド18とプラテンローラ16との上下関係が逆転している。これにより、両面印字ラベル3の他方面(例えば表面)に印字情報が印字される。
【0031】
なお、第1印字部7A及び第2印字部7Bの種類としては、感熱発色型のサーマルプリンタ方式、転写型のサーマルプリンタ方式を好適に使用できる。転写型のサーマルプリンタ方式の場合には、第1印字部7A及び第2印字部7Bの構成として上記のサーマルヘッド17,18、プラテンローラ15,16以外にインクリボン(図示せず)を必要とする。
【0032】
第1印字部7A及び第2印字部7Bにおいて、下流側に位置する第2印字部7Bのプラテンローラ16による両面印字ラベルAの移送量が、上流側に位置する第1印字部7Aのプラテンローラ15による両面印字ラベルAの移送量よりわずかに大きくなるように設定される。更には、上流側のプラテンローラ15の移送量が移送機構6による両面印字ラベルAの移送量よりわずかに大きく設定される。これにより、両面印字ラベルAを上流側から下流側に移送する際に両面印字ラベルAに所定の張力を付与することができるので、移送路4上における両面印字ラベルAの弛み発生を防止できる。
【0033】
また、両面印字ラベル3を下流側から上流側に向けて逆移送する場合には、後述する開閉機構9によって上流側のサーマルヘッド17及び下流側のサーマルヘッド18をプラテンローラ15、16から開放させて、プラテンローラ15、16を順移送(逆移送ではない)する方向に回転させたまま移送機構6のみで逆移送する。これによって、逆移送する場合にも両面印字ラベル3に弛みが発生しないようにしている。
【0034】
切断部19は、固定刃19Aと、この固定刃19Aに対して進退移動可能な可動刃19Bとで構成され、第1及び第2の印字部7A,7Bで表裏面に両面印字された両面印字ラベル3を位置検出マークEの部分で切断することによって、1枚の両面印字ラベル3Aに切断する。
【0035】
開閉機構9は、上記移送機構6における従動ローラ14を駆動ローラ13に対して開閉可能(押し上げ可能、および復帰可能)な機構と、印字機構7における上流側のサーマルヘッド17及び下流側サーマルヘッド18を上流側プラテンローラ15及び下流側プラテンローラ16に対してそれぞれ開閉可能(押し下げ及び押し上げ可能、ならびに復帰可能)な機構を有する。
【0036】
発行機構12は、発行口11の外側に設けられた上下一対のニップローラ12A,12Bで構成され、切断された1枚の両面印字ラベル3Aをニップローラ12A,12Bで貼付装置20に向けてニップ搬送する。
【0037】
上記の如く構成された両面印字プリンタ1によれば、印字部7で両面印字ラベル3の表面に印字し、切断部19で1枚に切断した両面印字ラベル3Aを、発行機構12によって発行口11から次に説明する貼付装置20に向けて発行する。
【0038】
[貼付装置]
貼付装置20は、主として、両面印字プリンタ1から発行された1枚の両面印字ラベル3Aと、発行された両面印字ラベル3Aを保持する保持機構と、両面印字ラベル3Aの表面用ラベルXと裏面用ラベルYとを保持機構でそれぞれ保持した状態で表面用ラベルXと裏面用ラベルYとに剥離する剥離機構と、剥離された表面用ラベルXと裏面用ラベルYとの間に被着物22を搬送する搬送ラインと、搬送されてきた被着物22の表裏面に対して表面用ラベルXと裏面用ラベルYとの接着面側を当接させる当接機構と、両面印字プリンタ1から発行される1枚の両面印字ラベル3Aの発行タイミング、両面印字ラベル3Aの剥離タイミング、被着物22の搬送タイミング、及び被着物22に対する表面用ラベルXと裏面用ラベルYとの当接タイミングを制御するコントローラ(制御手段)と、で構成される。
【0039】
なお、本実施の形態では、被着物22として、スーパ等の食品容器として使用されているプラスチック製の蓋付き容器(以下、単に「容器22」という)の例で説明する。この蓋付き容器22は、図2に示すように、略直方状の容器本体22Aと蓋22Bとが4辺の1辺において接続されており、接続されたヒンジ部22Cを介して蓋22Bが揺動開閉するようになっている。
【0040】
また、両面印字ラベル3Aとしてパノラマラベル(以下「パノラマラベル3A」という)の例で説明する。このパノラマラベル3Aは、図3(A),(B)に示すように、1枚のラベルを二つ折りにして接着剤Bで剥離可能に接着することによって表面用ラベルXと裏面用ラベルYとが形成される。図3(A),(B)は、両面印字プリンタ1において切断部19で1枚のパノラマラベル3Aに切断される前の帯状のパノラマラベル3の状態である。
【0041】
また、パノラマラベル3の二つ折りされた折り部Cの反対側には、表面用ラベルXと裏面用ラベルYとを剥離するための糊殺し部D(破線までの幅)が形成されている。また、パノラマラベル3には、1枚ごとに切断する切断位置を検出する位置検出マークEが印字されており、上記した両面印字プリンタ1の切断部19によって所定幅Wに切断される。
【0042】
貼付装置20は、図4及び図5に示すように、容器22を搬送する第1ベルトコンベア24の搬送方向に沿って、容器22の蓋22Bを閉める押さえ付け手段26と、容器22を第1ベルトコンベア24から第2ベルトコンベア28へ転送する転送手段30が設けられる。また、第1ベルトコンベア24の側方には、押さえ付け手段26の押さえ付けタイミング、転送手段の転送タイミングを検出する検出センサ26C,30Dが設けられ、検出情報は両面印字プリンタ1及び貼付装置20を制御するコントローラ31に入力される。
【0043】
押さえ付け手段26としては、特に限定されないが、例えば次のものを採用することができる。即ち、押さえ付け手段26は、第1ベルトコンベア24の幅方向の側方位置に設けられ、第1ベルトコンベア24に略平行に設けられた揺動軸26Aに揺動板26Bが矢印A−B方向に揺動自在に支持されたものを採用することができる。また、揺動軸26Aの一端が図示しない揺動駆動源(図示せず)に連結され、コントローラ31から指令で駆動する。
【0044】
一方、蓋22Bが開いた状態の容器22は、上記したヒンジ部22Cが揺動板26Bに近くなる向きで第1ベルトコンベア24上を搬送される。そして、容器22が押さえ付け手段26の位置にきたときに、揺動板26Bは矢印B方向に揺動する。これにより、蓋22Bが開いた状態の容器22は、揺動板26BのB方向への揺動によって蓋22Bが閉じられる。
【0045】
次に容器22は、上押さえガイドレール29によって蓋22Bが閉じられた状態で第1ベルトコンベア24から第2ベルトコンベア28に転送される転送位置まで搬送される。転送位置まで搬送された容器22は、転送手段30によって第2ベルトコンベア28に転送される。ここで、転送とは、容器22が第1ベルトコンベア24から第2ベルトコンベア28に乗り移って搬送されることを言う。
【0046】
転送手段30として、容器22を、第1ベルトコンベア24から第2ベルトコンベア28に転送できる手段であればどのような手段でもよいが、例えばシリンダ本体30Aによってロッド30BがC−D方向にピストン移動するロッド先端部に当接板30Cを設けた構成を採用することができる。シリンダ本体30Aはコントローラ31からの指令で駆動する。これにより、容器22が転送位置に搬送されたタイミングでロッド30Bが伸長動作を行うことによって、容器22は第1ベルトコンベア24から第2ベルトコンベア28に押し出される。この結果、容器22は第1ベルトコンベア24から第2ベルトコンベア28に転送される。なお、第1ベルトコンベア24と第2ベルトコンベア28とが1本の連続するコンベアの場合には転送手段30は必要ない。
【0047】
第2ベルトコンベア28は、容器22が搬送される方向に沿って、容器幅方向両端部の下側に設けられた2本の平行な無端状ベルト28A,28Aを備えている。無端状ベルト28A,28Aは、一対のローラ間に掛け渡されて周回移動する。
【0048】
また、2本の無端状ベルト28A,28Aの上方には、無端状ベルト28A,28Aに沿った一対の平行なガイドレール32、32が設けられる。無端状ベルト28A,28Aとガイドレール32、32との間隔は、容器22の略厚みと同等である。これにより、第2ベルトコンベア28により搬送される容器22は、その幅方向両端部における上面と下面とが一対の無端状ベルト28A,28Aと一対のガイドレール32、32とで挟み込まれるので、容器22の蓋22Bが開かない状態で搬送される。
【0049】
なお、一対のガイドレール32、32の代わりに、第2ベルトコンベア28と同じものを設けるようにしてもよい。即ち、容器22の上面と下面との両方を無端状ベルト28A,28Aで挟み込みながら搬送する方法である。
【0050】
第2ベルトコンベア28の下流位置で且つ両面印字プリンタ1の発行口11の位置には、両面印字プリンタ1から発行された1枚のパノラマラベル3Aを保持する保持機構、保持した状態で表面用ラベルXと裏面用ラベルYとに剥離する剥離機構、第2ベルトコンベア28で搬送されてきた容器22の表裏面に対して表面用ラベルXと裏面用ラベルYとを当接させる当接機構、の3つの機構を備えた保持・剥離・当接機構34が設けられる。
【0051】
保持・剥離・当接機構34としては、図4及び図5に示すように、4本のローラで構成したものを好適に採用することができる。即ち、保持・剥離・当接機構34は、主として、上下一対の前段ローラ36A,36Bと上下一対の後段ローラ38A,38Bとで構成され、ローラ軸芯方向が第2ベルトコンベア28の移動方向と直交するように配置される。
【0052】
前段ローラ36A,36Bは、ローラ表面に吸着機能を有する回転可能なローラであって、一対の前段ローラ36A,36Bが互いに接近・離間する方向の縦移動と前記搬送方向に沿った横移動とを行う機構を備える。前段ローラ36A,36Bは、図示しない回転駆動源によって矢印方向に回転することができる。
【0053】
また、後段ローラ38A,38Bは、回転可能なローラであって、一対の後段ローラ38A,38Bが互いに接近・離間する方向の縦移動を行う機構を備える。
【0054】
また、第2ベルトコンベア28の途中には、容器22を検出する第1検出センサ40、及び第2センサ42が設けられ、検出情報がコントローラ31に入力される。コントローラ31は、両面印字プリンタ1及び貼付装置20を駆動して、両面印字プリンタ1からパノラマラベル3Aを発行する発行タイミング、パノラマラベル3Aを表面用ラベルXと裏面用ラベルYとに剥離する剥離タイミング、容器22の搬送タイミング、及び容器22の表裏面に対する表面用ラベルXと裏面用ラベルYとの当接タイミングを制御する。
【0055】
図6は、前段ローラ36A,36Bの縦移動及び横移動の機構の一例を具体的に説明する図である。
【0056】
図6に示すように、上下一対の前段ローラ36A,36Bのうち、上側前段ローラ36Aの両端側には、一対の支持板44,44が縦方向に設けられると共に、支持板44,44の縦方向には長孔46,46が形成される。また、上側前段ローラ36Aは、ローラ両端の一対の回転軸がそれぞれの軸受48,48を介して長孔46,46にスライド可能に支持される。更に、それぞれの支持板44,44にはシリンダ装置50、50の本体部50A,50Aが固定され、本体部50A,50Aから下向きにシリンダロッド50B,50Bが設けられる。そして、シリンダロッド50B,50B先端に軸受48,48が支持される。これにより、シリンダ装置50、50を駆動させてシリンダロッド50B,50BがE―F方向に伸縮動作を行うことによって、上側前段ローラ36Aは長孔46,46に沿って縦方向に移動する。
【0057】
下側前段ローラ36Bについても上記した上側前段ローラ36Aと基本的な構造は同様であるが、それぞれの支持板44、44にはシリンダ装置50、50の本体部50A,50Aが固定され、本体部50A,50Aから上向きにシリンダロッド50B,50Bが設けられる点で相違する。
【0058】
したがって、上側前段ローラ36Aと下側前段ローラ36Bのシリンダ装置50が縮動作(E方向)を行うと、前段ローラ同士36A,36Bは離間し、伸動作(F方向)を行うと前段ローラ同士36A,36Bは接近する。
【0059】
また、上側前段ローラ36Aの上方と、下側前段ローラ36Bの下方とには、一対の支持板44,44の幅で平行な4本の水平なレール52,52が第2ベルトコンベア28の移動方向に沿って設けられる。そして、上側前段ローラ36Aを支持する一対の支持板44,44は、その上端が自走式移動体54,54を介してレール52,52に支持される。同様に、下側前段ローラ36Bを支持する一対の支持板44,44は、その下端が自走式移動体54,54を介してレール52,52に支持される。自走式移動体54としては例えば、レール52を挟み込む一対の車輪(図示せず)をモータ(図示せず)で駆動するタイプのものを使用できる。
【0060】
これにより、一対の前段ローラ36A,36Bは、第2ベルトコンベア28の搬送方向に沿ったG−H方向に移動することができる。
【0061】
図7は、前段ローラ36A,36Bの外観図であり、前段ローラ36A,36Bは中空なローラ胴部aの両端に中空な一対の回転軸b,bが設けられる。また、一対の回転軸b,bの一方端は閉塞されると共に、他方端がロータリジョイント56を介して真空用チューブ58に連結され、真空用チューブ58が真空発生装置(図示せず)に繋がれる。また、ローラ胴部aの外側にはローラ胴部aと同幅なスポンジ状の円筒体cが嵌装されると共に、ローラ胴部aと円筒体cとには多数の孔dが連通するように形成される。これにより、真空発生装置を駆動すると、前段ローラ36A,36Bの円筒体c表面には吸着力(吸引力)が発生する。
【0062】
後段ローラ38A,38Bの構造は、縦移動する機構が上記した前段ローラ36A,36Bと同様であるが、横移動のための自走式移動体54がない状態でレール52に直接支持される点で前段ローラ36A,36Bと相違する。また、ローラ表面に吸着力を発生させるための機構を有しない点で前段ローラ36A,36Bと相違するが、ローラ胴部の外側には孔のないスポンジ状の円筒体(図示せず)が嵌装される。このように、前段ローラ36A,36B及び後段ローラ38A,38Bのローラ表面にスポンジ状の円筒体を設けることによって、両面印字プリンタ1から発行されたパノラマラベル3Aの厚みが多少変わっても挟持保持し易いと共に、パノラマラベル3Aに傷をつけることもない。また、容器22にパノラマラベル3Aを貼付する際にも、容器22の形状や厚みが多少異なってもスポンジ状の円筒体が厚みや形状を吸収する。
【0063】
なお、以下の説明において、上側前段ローラ36A及び上側後段ローラ38Aをまとめて上側ローラ36A,38Aと言い、下側前段ローラ36B及び下側後段ローラ38Bをまとめて下側ローラ36B,38Bと言う場合もある。
【0064】
また、図4及び図5に示すように、貼付装置20によってパノラマラベルAが貼付された容器22は、第2ベルトコンベア28から第3ベルトコンベア60に乗り移って最終搬送先に搬送される。
【0065】
次に、図8及び図9の模式図を用いて、上記の如く構成された貼付装置20によって、上記の蓋付き容器22にパノラマラベル3Aを貼付する作用効果について説明する。
【0066】
図8に示すように、食品が収納され、蓋22Bが開いた状態の容器22は、第1ベルトコンベア24によって搬送される。コントローラ31は、容器22が検出センサ26Cで検出されたタイミングに基づいて押さえ付け手段26の揺動板26BをB方向に揺動駆動して蓋22Bを押さえ付ける。これによって、容器22の蓋22Bが閉じられる。
【0067】
次に、コントローラ31は、容器22が検出センサ30Dで検出されたタイミングに基づいて転送手段30の当接板30Cを伸長方向に駆動し、蓋22Bが閉じた状態の容器を第1ベルトコンベア24から第2ベルトコンベア28に転送する。
【0068】
次に、コントローラ31は、第2ベルトコンベア28に転送された容器22が第1センサ40で検出されたタイミングで両面印字プリンタ1の印字機構7に指令情報を出力し、発行する1枚のパノラマラベル3Aに両面印字を行う。また、コントローラ31は切断部19を駆動して、両面印字されたパノラマラベル3Aを切断した後、発行機構12を駆動して、図9(A)に示すように、離間した状態の上側ローラ36A,38Aと下側ローラ36B,38Bとの間に発行する。発行されるパノラマラベル3Aの向きは、第2ベルトコンベア28上を搬送されてくる容器22に対して糊殺し部Dが対面するように発行される。
【0069】
次に、コントローラ31は、シリンダ装置50を制御して、図9(B)に示すように、上側ローラ36A,38Aと下側ローラ36B,38Bとを互いに接近する方向に縦移動する。これにより、発行されたパノラマラベル3Aは上側ローラ36A,38Aと下側ローラ36B,38Bとに挟持される。
【0070】
次に、コントローラ31は、図9(C)に示すように、図示しない回転駆動源を制御して、吸着力が付与された上側前段ローラ36Aと下側前段ローラ36Bとを、矢印方向に回転する。この場合、パノラマラベル3Aの幅W(図3(B)参照)よりも大きなスロット状の吹出口を有するエアノズル62からパノラマラベルAの糊殺し部Dに向けてエアを噴出し、糊殺し部Dの剥離を補助することが好ましい。これにより、図9(D)に示すように、パノラマラベル3Aは糊殺し部Dから剥離が開始され、上側用ラベルXが上側前段ローラ36Aに吸着保持され、下側用ラベルYが下側前段ローラ36Bに吸着保持される。一方、容器22は、第2ベルトコンベア28によって図9(C)及び図9(D)に示すように前段ローラ36A,36Bに接近する。
【0071】
次に、コントローラ31は、図9(E)に示すように、第2センサ42で容器22を検出したタイミング、即ち容器22の搬送方向先端が前段ローラ36A,36Bに当接するタイミングで上側前段ローラ36Aと下側前段ローラ36Bとを離間する矢印E方向に縦移動させながら矢印G方法に横移動させる。同時に上側後段ローラ38Aと下側後段ローラ38Bとを離間する矢印E方向に縦移動させる。
【0072】
これにより、図10(A)、(B)に示すように、容器22の表裏面にパノラマラベル3Aが貼付されると共に、容器22の開閉側がパノラマラベル3Aによって封着される。
【0073】
なお、本実施の形態では両面印字ラベルとしてパノラマラベル3Aを用いて、容器22の表裏面にパノラマラベル3Aを貼付する作業と、容器22を封着する作業とを同時に行う例で説明した。しかし、蓋22Bが開かないように輪ゴム、テープ等の封着部材、あるいは熱溶着などによって予め封着した容器22の表裏面に、貼付装置20によって両面印字ラベルを貼付する場合には、第2ベルトコンベア28に容器22を載せればよい。即ち、押さえ付け手段26や転送手段30は必要ない。また、両面印字ラベルとしてはパノラマラベル3Aを使用する必要はなく、表面用ラベルXと裏面用ラベルYとが分離された通常の両面印字ラベルを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上、説明したように、本発明に係る両面印字プリンタ用の貼付装置は、被着物の表裏面に両面印字ラベルを一度に貼付することができるので、付作業効率を向上できるだけでなく作業員の労力も軽減できる。また、両面印字ラベルとしてパノラマラベルを使用すれば容器の封着も同時に行うことができる。
【符号の説明】
【0075】
1…両面印字プリンタ、2…プリンタハウジング、3…帯状の両面印字ラベル(パノラマラベル)、3A…1枚の両面印字ラベル(パノラマラベル)、4…移送路、5…用紙センサ、6…移送機構、7…印字機構、8…幅ガイドロック機構、9…開閉機構、10…給紙リール装置、11…発行口、12…発行機構、13…駆動ローラ、14…従動ローラ、15、16…プラテンローラ、17、18…サーマルヘッド、19…切断部、20…貼付装置、22…被着物(容器)、22A…容器本体、22B…蓋、22C…ヒンジ部、24…第1ベルトコンベア、26…押さえ付け手段、26A…揺動軸、26B…揺動板、26C、30D…検出センサ、28…第2ベルトコンベア、30…転送手段、30A…シリンダ本体、30B…ロッド、30C…当接板、31…コントローラ、32…ガイドレール、34…保持・剥離・当接機構、36A…上側前段ローラ、36B…下側前段ローラ、38A…上側後段ローラ、38B…下側後段ローラ、44…支持板、46…長孔、48…軸受、50…シリンダ装置、50A…シリンダ装置の本体部、50B…シリンダロッド、52…レール、54…自走式移動体、56…ロータリジョイント、58…真空用チューブ、60…第3ベルトコンベア、62…エアノズル
図1
図2
図3
図4
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