(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985864
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】プリンター及びその用紙ガイド機構
(51)【国際特許分類】
B65H 16/06 20060101AFI20160823BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
B65H16/06 B
B41J15/04
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-92918(P2012-92918)
(22)【出願日】2012年4月16日
(65)【公開番号】特開2013-220878(P2013-220878A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小原 健
【審査官】
▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−179765(JP,U)
【文献】
特開平06−100183(JP,A)
【文献】
特開平11−114871(JP,A)
【文献】
特開平08−215042(JP,A)
【文献】
特開2010−083618(JP,A)
【文献】
特開2010−105811(JP,A)
【文献】
特開2003−063708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 16/06
B41J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンターにおいて用紙をガイドする用紙ガイド機構であって、
プリンターの筐体内に装填された用紙の幅方向の位置を両側から規制する一対のガイド部材と、
一対のラックがそれぞれ設けられ、用紙の搬送方向と異なる方向に沿って平行移動可能に配置されて、前記一対のガイド部材をそれぞれ支持する一対の移動部材と、
前記一対のラックが対向する位置に回転可能に配置され、前記一対のラックに噛合する円形歯車と、
前記筐体に取り付けられた少なくとも1つの折り返し部材と、
前記少なくとも1つの折り返し部材によって折り返されて前記一対の移動部材の内の一方と前記筐体との間に接続され、収縮力によって前記一対の移動部材の内の一方を他方に向けて付勢し、前記一対のガイド部材の間の距離が最大のときに、前記一対のガイド部材の間の距離の1.2倍以上の長さとなるスプリングと、
前記少なくとも1つの折り返し部材が、前記筐体に回転可能に取り付けられ、前記スプリングをガイドするためのガイド溝が円周に沿って形成されたプーリーと、
を具備する用紙ガイド機構。
【請求項2】
前記スプリングが、前記少なくとも1つの折り返し部材によって略180°折り返される、請求項1記載の用紙ガイド機構。
【請求項3】
用紙を搬送して印字を行うプリンターであって、
内部に用紙が装填される筐体と、
請求項1〜2のいずれか1項記載の用紙ガイド機構と、
前記筐体内に設けられたモーターによって駆動されて回転することにより用紙を搬送するプラテンローラーと、
前記プラテンローラーとの間に用紙を挟んだ状態で用紙に印字を行う印字ヘッドと、
を具備するプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印字媒体(以下、「用紙」ともいう)を搬送して印字を行うプリンターに関する。さらに、本発明は、プリンターにおいて搬送される用紙をガイドする用紙ガイド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ラベルプリンターにおいては、用紙として、長尺帯状の台紙(セパレータ)上に所定長さのラベルが一定間隔で仮着されているラベル連続体が用いられる。用紙は、ロール状に巻回された状態で用紙ホルダーにセットされる。用紙の搬送経路にはプラテンローラー及びサーマルヘッドが設けられており、プラテンローラーとサーマルヘッドとの間に用紙を押圧狭持した状態でプラテンローラーが回転することによって、用紙が搬送される。そして、サーマルヘッドが発熱走査すると、用紙のラベル表面に印字がなされる。
【0003】
一般に、プリンターにおいては、搬送される用紙をガイドするために、用紙ガイド機構が設けられている。用紙ガイド機構においては、異なる幅を有する複数種類の用紙に対応するために、用紙の位置を規制するガイド部材(押さえ板)が、用紙の幅に応じて移動可能となっている。
【0004】
例えば、特許文献1には、用紙ロールが簡単に装着できる用紙ホルダーが開示されている。用紙ロールは、一対の押さえ板に挟持されて回動自在に支持される。一対の押さえ板は、用紙ロールの軸方向に沿って移動自在に設けられた一対の移動部材によって支持されており、一対のラックとピニオンとの作用によって、一方を移動させると同じ移動量で他方も移動する。一対の移動部材は、付勢手段によって互いに近付く方向に付勢されており、この付勢手段の付勢力によって用紙ロールが挟持される。また、一対の移動部材の間に配設されたストッパーが、一対の移動部材が互いに近付く方向に移動すると、少なくとも一方の移動部材に当接して、一対の移動部材間の距離が一定以上に狭まらないように規制する。
【0005】
特許文献1によれば、付勢手段の付勢力によって用紙ロールが挟持されるので、用紙ロールをガイドする一対の押さえ板を手動でロックするための手動ロック機構を設けなくても、用紙ロールの軸方向の位置を規制することができる。
【0006】
また、特許文献2には、一対のガイド板の間隔をロール紙の幅に応じて簡単に設定することができるロール紙支持装置が開示されている。このロール紙支持装置は、支持手段に支持されるロール紙の軸方向に、左サイドフレームと右サイドフレームとの間に架け渡されたシャフト手段と、該シャフト手段に案内されて移動可能に設けられ、支持手段に支持されるロール紙の側面をガイドする左側ガイド手段及び右側ガイド手段と、左側ガイド手段と右側ガイド手段とが互いに近付く方向に付勢する付勢手段と、左側ガイド手段と右側ガイド手段とを所定の間隔に設定した状態で、付勢手段からの付勢力による左側ガイド手段及び右側ガイド手段の移動を規制するガイド規制手段とを具備する。
【0007】
特許文献2によれば、ガイド規制手段によって左側ガイド手段と右側ガイド手段とを最大幅のロール紙以下の間隔に設定した状態で、ロール紙を支持手段に装填することができる。また、ロール紙を支持手段に装填することによって、ガイド規制手段による左側ガイド手段及び右側ガイド手段の移動に対する規制が解除される。
【0008】
特許文献1及び2においては、付勢手段として、圧縮バネ(コイルバネ)が用いられる。しかしながら、用紙の幅が最大のときの圧縮バネの長さは、用紙の幅が最小のときの半分以下となるので、用紙の幅が最大のときの圧縮バネの付勢力は、用紙の幅が最小のときの2倍以上となる。このように、圧縮バネの付勢力が圧縮バネの長さに伴って大きく変化すると、特に、用紙の幅が大きいときに、圧縮バネの付勢力が用紙搬送の大きな負荷となってしまい、印字縮み等の不具合が発生する要因となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−3023号公報(要約書、請求項2、
図2)
【特許文献2】特開2008−222364号公報(請求項1及び3、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、用紙の幅が異なってもガイド部材に印加される付勢力があまり変化せず、用紙搬送の負荷を軽減して、印字縮み等の不具合を防止することができる用紙ガイド機構、及び、そのような用紙ガイド機構を備えたプリンターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る用紙ガイド機構は、プリンターにおいて用紙をガイドする用紙ガイド機構であって、プリンターの筐体内に装填された用紙の幅方向の位置を両側から規制する一対のガイド部材と、一対の平歯車がそれぞれ設けられ、用紙の搬送方向と異なる方向に沿って平行移動可能に配置されて、一対のガイド部材をそれぞれ支持する一対の移動部材と、一対の平歯車が対向する位置に回転可能に配置され、一対の平歯車に噛合する円形歯車と、筐体に取り付けられた少なくとも1つの折り返し部材と、該少なくとも1つの折り返し部材によって折り返されて一対の移動部材の内の一方と筐体との間に接続され、収縮力によって一対の移動部材の内の一方を他方に向けて付勢するスプリングとを具備する。
【0012】
また、本発明の1つの観点に係るプリンターは、用紙を搬送して印字を行うプリンターであって、内部に用紙が装填される筐体と、本発明に係る用紙ガイド機構と、筐体内に設けられたモーターによって駆動されて回転することにより用紙を搬送するプラテンローラーと、プラテンローラーとの間に用紙を挟んだ状態で用紙に印字を行う印字ヘッドとを具備する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の1つの観点によれば、筐体に取り付けられた少なくとも1つの折り返し部材によってスプリングを折り返すことにより、スプリングの長さを従来よりも長くすることができるので、用紙の幅が異なってもガイド部材に印加される付勢力があまり変化せず、用紙搬送の負荷を軽減して、印字縮み等の不具合を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る用紙ガイド機構が装備されたプリンターの概観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すプリンターの筐体内の構造を示す平面図である。
【
図3】用紙の幅が異なる場合におけるスプリングの長さの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る用紙ガイド機構が装備されたプリンターの概観を示す斜視図である。以下においては、長尺帯状の台紙(セパレータ)上に所定長さのラベルが一定間隔で仮着されているラベル連続体が用紙として用いられるラベルプリンターを例として説明する。
【0016】
図1に示すように、ラベルプリンター1は、用紙がロール状に巻回されたロール紙が内部に装填される筐体2と、筐体2に対して図中の矢印方向に開閉可能に取り付けられた前面カバー3及び上面カバー4とを含んでいる。筐体2内には、用紙ガイド機構10と、プラテンローラー21と、少なくとも1つのラベルセンサー22と、制御部(図示せず)とが設けられている。また、筐体2の前面には、操作部23と、表示部24と、台紙排出口25とが設けられており、筐体2の側面には、上面カバー4を開閉するためのカバー開閉レバー26が設けられている。
【0017】
前面カバー3には、ラベルを台紙から剥離するための剥離ローラー31が回転自在に取り付けられている。前面カバー3の少なくとも一部には、ラベルを取り去るのを容易とするために凹部32が形成されている。また、上面カバー4には、サーマルヘッド41と、用紙の状態を確認するための透明な窓42とが設けられている。
【0018】
用紙ガイド機構10は、ラベルプリンター1において用紙をガイドする。プラテンローラー21は、筐体2内に設けられたモーターによって駆動されて回転することにより、筐体2内に装填されたロール紙から用紙を引き出して搬送する。サーマルヘッド41は、プラテンローラー21との間に用紙を挟んだ状態で、用紙に印字を行う。ラベルセンサー22は、搬送される用紙におけるラベルの位置を検出する。
【0019】
操作部23は、複数の操作キーを含んでおり、ラベルプリンター1を操作したり、ラベルプリンター1に印字データを入力したりするために用いられる。表示部24は、エラーメッセージ等を表示するための複数のLED(発光ダイオード)等を含んでおり、制御部から供給される信号に基づいて各種の表示を行う。制御部は、ラベルセンサー22から出力される検出信号に基づいて、プラテンローラー21による用紙の搬送、及び、サーマルヘッド41による用紙の印字を制御する。
【0020】
印字された用紙は、剥離ローラー31に当接する。台紙は、図中下方に折り返されることによって大きく湾曲している。この状態で用紙が搬送されると、用紙が湾曲部を通過する際にラベルが台紙から剥離し、ラベルの一部が台紙に仮着した状態で用紙の搬送が一時停止される。
【0021】
図1に示すように、ラベルを取り去るのを容易とするための凹部32が形成されているので、凹部32に指を挿入することにより、搬送方向における長さが短いラベルであっても容易に取り去ることができる。ラベルが剥離された後の台紙は、台紙排出口25から排出される。なお、ラベルが台紙から取り去られたか否かを検出する剥離センサーを設けても良い。その場合には、剥離されたラベルがオペレーターによって取り去られて、剥離センサーがラベルを検出しなくなると、次のラベルが印字されて搬送される。
【0022】
図2は、
図1に示すプリンターの筐体内の構造を示す平面図である。筐体2には、用紙5がロール状に巻回されたロール紙5rを収納するための用紙収納凹部2aが形成されており、用紙ガイド機構10は、用紙収納凹部2a内に設置されている。また、筐体2には、プラテンローラー保持部27が取り付けられている。プラテンローラー保持部27によって2つのプラテンローラー軸受28が保持され、それらのプラテンローラー軸受28によってプラテンローラー21が回転可能に保持されている。
【0023】
図2において、用紙ガイド機構10は、一対のガイド部材11a及び11bと、一対のラック(平歯車)15a及び15bをそれぞれ有する一対の移動部材13a及び13bと、ピニオンギア(円形歯車)16と、付勢手段としてのスプリング17と、スプリング17を折り返すために筐体2に取り付けられた少なくとも1つの折り返し部材とを含んでいる。この折り返し部材は、筐体2に回転可能に取り付けられた回転部材でも良いし、筐体2に固定された固定部材でも良いが、以下においては、筐体2に回転可能に取り付けられたプーリー18を用いる場合について説明する。
【0024】
一対のガイド部材11a及び11bは、用紙5の幅に合わせて位置が可変となっており、用紙5の搬送方向と直交する幅方向(ロール紙5rの軸方向)の位置を両側から規制する。一対のガイド部材11a及び11bには、対向する面にボス12a及び12bがそれぞれ設けられても良い。その場合には、ボス12a及び12bをロール紙5rの円筒状の巻芯に両側から嵌入することにより、一対のガイド部材11a及び11bが、ロール紙5rを両側から挟持して回転自在に保持することができる。
【0025】
一対のガイド部材11a及び11bの下側には、それらのガイド部材11a及び11bをそれぞれ支持する一対の移動部材13a及び13bが設けられている。各々の移動部材13a又は13bは、対応するガイド部材11a又は11bと一体的に製造されても良いし、別個に製造されてガイド部材11a又は11bに結合されても良い。
【0026】
また、少なくとも1つの用紙上面ガイド11cが、一対の移動部材13a及び13bの内の少なくとも一方に一体的に設けられている。用紙上面ガイド11cは、ロール紙5rから引き出された用紙5の幅方向の端部を下方に押さえて用紙5のバタつきを防止し、用紙5を挟んで対向位置に配置されるラベルセンサー22(
図1参照)の検出動作を良好にする。
【0027】
一対の移動部材13a及び13bは、用紙5の搬送方向と異なる方向(
図2においては、用紙5の幅方向)に沿って、平行移動可能に配置されている。例えば、一対の移動部材13a及び13bは、用紙収納凹部2aの底面に形成された一対のガイド溝14a及び14bにそれぞれ摺動可能に嵌合している。これにより、一対のガイド部材11a及び11bが、平行状態を保持しながら、相互に接近又は離間する方向に移動可能となっている。
【0028】
一対の移動部材13a及び13bには、平板状の棒に歯が形成された一対のラック15a及び15bが、用紙収納凹部2aの底面に沿ってそれぞれ設けられている。各々のラック15a又は15bは、対応する移動部材13a又は13bと一体的に製造されても良いし、別個に製造されて移動部材13a又は13bに結合されても良い。
【0029】
ピニオンギア16は、一対の移動部材13a及び13bの間において一対のラック15a及び15bが対向する位置に回転可能に配置されており、それらのラック15a及び15bに噛合する。ラック15a及び15bとピニオンギア16とは、ラック・アンド・ピニオン(rack and pinion)を構成しており、一方のラック15a又は15bの直線運動をピニオンギア16の回転運動に変換し、さらに、ピニオンギア16の回転運動を他方のラック15b又は15aの直線運動に変換する。これにより、一方のガイド部材11a又は11bを所望の方向に所望の距離だけ移動させると、他方のガイド部材11b又は11aも逆方向に同一距離だけ移動することになる。
【0030】
スプリング17は、プーリー18によって折り返されて、一対の移動部材13a及び13bの内の一方と筐体2との間に接続されており、収縮力によって一対の移動部材13a及び13bの内の一方を他方に向けて付勢する。
図2においては、スプリング17の一端が移動部材13aに固定され、スプリング17の他端が筐体2の底板又は側板に固定されている。これにより、用紙収納凹部2aに装填されたロール紙5rは、一対のガイド部材11a及び11bによって両側から付勢されることになる。
【0031】
プーリー18には、スプリング17をガイドするためのガイド溝が円周に沿って形成されている。プーリー18は、スプリング17が伸縮して移動する際にスプリング17に追従して回転し、スプリング17が通過する経路を定めると共に、スプリング17に印加される力(張力)の方向を変換する機能を有している。
【0032】
図3は、用紙の幅が異なる場合におけるスプリングの長さの変化を示す図である。
図3(a)は、用紙の幅が最大の場合を示しており、
図3(b)は、用紙の幅が最小の場合を示している。
図3(a)において、用紙の幅が最大のときのガイド部材11aとガイド部材11bとの間の距離をDとすると、用紙の幅が最大のときのスプリング17の長さL1は、L1=a×D(a>1)で表される。ここで、用紙の幅の変化によるスプリング17の付勢力の変化を緩和するために、a≧1.2、より好ましくは、a≧2とする。そのために、ガイド部材11aとガイド部材11bとの間の距離の最大値をDmaxとして、ガイド部材11aとガイド部材11bとの間の距離が最大のときのスプリング17の長さL1’が、L1’=a×Dmax(a≧1.2、より好ましくは、a≧2)の範囲に設定される。
【0033】
図3(b)に示すように、用紙の幅が最小のときには、用紙の幅が最大のときと比較して、ガイド部材11a及び11bの各々が内側に距離ΔDだけ移動する。これにより、ガイド部材11aとガイド部材11bとの間の距離は、(D−2ΔD)となる。上記のようにL1=a×Dとすれば、用紙の幅が最小のときのスプリング17の長さL2は、L2=(L1−ΔD)=(a×D−ΔD)となる。この状態において、一対のガイド部材11a及び11bが、用紙収納凹部2aに装填されたロール紙5r(
図2)を必要最小限の力で付勢するように、スプリング17の付勢力が設定される。
【0034】
例えば、従来の用紙ガイド機構において、L1≒D、ΔD≒D/2であったとすると、用紙の幅が最小のときのスプリングの長さL2は、用紙の幅が最大のときのスプリングの長さL1の50%程度となる。従って、用紙の幅が最大のときのスプリングの付勢力は、用紙の幅が最小のときのスプリングの付勢力の2倍程度に増加してしまう。
【0035】
これに対し、本実施形態において、L1=1.2×D、ΔD≒D/2である場合には、用紙の幅が最小のときのスプリング17の長さL2は、用紙の幅が最大のときのスプリング17の長さL1の58%程度となる。従って、用紙の幅が最大のときのスプリングの付勢力は、用紙の幅が最小のときのスプリングの付勢力の1.7倍程度に抑えられる。さらに、L1=2×D、ΔD≒D/2である場合には、用紙の幅が最小のときのスプリング17の長さL2は、用紙の幅が最大のときのスプリング17の長さL1の75%程度となる。従って、用紙の幅が最大のときのスプリングの付勢力は、用紙の幅が最小のときのスプリングの付勢力の1.3倍程度に抑えられる。
【0036】
このように、プーリー18を用いてスプリング17を折り返すことにより、スプリング17の長さを従来よりも長くすることができるので、用紙の幅が異なっても一対のガイド部材11a及び11bに印加される付勢力があまり変化せず、用紙の搬送の負荷を軽減して、印字縮み等の不具合を防止することができる。
【0037】
本実施形態においては、スプリング17が、プーリー18によって略180°折り返されるので、スプリング17の長さを従来の1.2倍もしくは2倍以上に長くすることができる。しかしながら、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。例えば、スプリング17の折り返し角度は90°〜180°でも良いし、複数の折り返し部材を設けてスプリング17の長さをさらに長くしても良い。
【符号の説明】
【0038】
1…ラベルプリンター、2…筐体、2a…用紙収納凹部、3…前面カバー、4…上面カバー、5…用紙、5r…ロール紙、10…用紙ガイド機構、11a、11b…ガイド部材、11c…用紙上面ガイド、12a、12b…ボス、13a、13b…移動部材、14a、14b…ガイド溝、15a、15b…ラック、16…ピニオンギア、17…スプリング、18…プーリー、21…プラテンローラー、22…ラベルセンサー、23…操作部、24…表示部、25…台紙排出口、26…カバー開閉レバー、27…プラテンローラー保持部、28…プラテンローラー軸受、31…剥離ローラー、32…凹部、41…サーマルヘッド、42…窓