(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、トラクタなどの作業車においては、搭乗ステップの裏面側を燃料タンクやバッテリなどの収納空間に有効利用することが考えられている。しかしながら、上記の構成では、踏面部の外側縁から下方に延設する補強部、あるいは、搭乗ステップの両横端部に連結した補助ステップが邪魔になって、搭乗ステップの裏面側の収納空間に対する燃料タンクやバッテリなどの着脱、及び、その収納空間に配備した燃料タンクやバッテリなどに対するメンテナンスが行い難くなる、などの不都合を招くようになっていた。
【0005】
本発明の目的は、搭乗ステップの裏面側に形成した収納空間に対する燃料タンクやバッテリなどの着脱、及び、その収納空間に配備した燃料タンクやバッテリなどに対するメンテナンスを行い易くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発明は、搭乗ステップの裏面側に収納空間を形成し
、かつ、前記収納空間に、エンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクを備えた作業車の車体構造において、
前記収納空間を横外側から覆う縦向きのカバー面を備えたカバー部材を前記搭乗ステップの横外端部に着脱可能に装備し、
前記カバー部材に、前記カバー面の上端から前記搭乗ステップに向けて延出する上端延出部と、前記カバー面の前端から前記搭乗ステップに向けて延出する前端延出部と、前記カバー面の後端から前記搭乗ステップに向けて延出する後端延出部とを備えるとともに、
前記上端延出部の前端と前記前端延出部の上端とを接続し、かつ、前記上端延出部の後端と前記後端延出部の上端とを接続して、
前記上端延出部と前記前端延出部と前記後端延出部とから形成した外縁部を前記カバー部材に備えるように構成し
、
前記カバー部材は、前記燃料タンクに備えた給油部を露出させるための切欠部を、前記前端延出部から前記カバー面にわたって形成している。
【0007】
本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の発明において、
前記搭乗ステップに、そのステップ面における左右両端側の前後両端部から垂下する補強部を備え、
前記上端延出部と前記前端延出部と前記後端延出部とのそれぞれを、前記搭乗ステップの前記ステップ面及び前後の前記補強部のうちの対応箇所に連結する連結部に構成した。
【0008】
本発明の請求項3に係る発明は、搭乗ステップの裏面側に収納空間を形成した作業車の車体構造において、
前記収納空間を横外側から覆う縦向きのカバー面を備えたカバー部材を前記搭乗ステップの横外端部に着脱可能に装備し、
前記カバー部材に、前記カバー面の上端から前記搭乗ステップに向けて延出する上端延出部と、前記カバー面の前端から前記搭乗ステップに向けて延出する前端延出部と、前記カバー面の後端から前記搭乗ステップに向けて延出する後端延出部とを備えるとともに、
前記上端延出部の前端と前記前端延出部の上端とを接続し、かつ、前記上端延出部の後端と前記後端延出部の上端とを接続して、
前記上端延出部と前記前端延出部と前記後端延出部とから形成した外縁部を前記カバー部材に備えるように構成し、
前記搭乗ステップに、そのステップ面における左右両端側の前後両端部から垂下する補強部を備え、
前記上端延出部と前記前端延出部と前記後端延出部とのそれぞれを、前記搭乗ステップの前記ステップ面及び前後の前記補強部のうちの対応箇所に連結する連結部に構成した。
【0009】
上記の発明では、搭乗ステップの裏面側の収納空間に配備した燃料タンクやバッテリなどをカバー部材によって保護することができる。そして、その収納空間に対する燃料タンクやバッテリなどの着脱、あるいは、その収納空間に配備した燃料タンクやバッテリなどに対するメンテナンスを行う場合には、搭乗ステップの横外端部からカバー部材を取り外すことにより、収納空間を車体の横外方に開放することができ、車体の横外方からの収納空間に対する燃料タンクやバッテリなどの着脱、及び、収納空間に配備した燃料タンクやバッテリなどに対するメンテナンスが行い易くなる。
【0010】
又、上端延出部と前端延出部と後端延出部とからなる外縁部をカバー部材に備えたことにより、カバー部材の保形強度を高めることができ、このカバー部材を搭乗ステップの横外端部に取り付けることにより、搭乗ステップの横外端側での強度を高めることができる。
【0011】
従って、通常は保形強度の高いカバー部材を搭乗ステップの横外端部に取り付けておくことにより、搭乗ステップの裏面側の収納空間に配備した燃料タンクやバッテリなどを保護できるようにしながら、搭乗ステップとして高い強度を確保することができる。そして、その収納空間に対する燃料タンクやバッテリなどの着脱、あるいは、その収納空間に配備した燃料タンクやバッテリなどに対するメンテナンスを行う場合には、カバー部材を搭乗ステップの横外端部から取り外すことにより、その着脱やメンテナンスにおける作業性を向上させることができる。
【0012】
上記の発明では、上端延出部と前端延出部と後端延出部とのそれぞれを、搭乗ステップのステップ面及び前後の補強部のうちの対応箇所に連結することができる。これにより、上端延出部と前端延出部と後端延出部のうちのいずれかを搭乗ステップに連結する場合に比較して、保形強度の高いカバー部材を、搭乗ステップの横外端側での強度を高める補強部材として、より効果的に機能させることができる。
従って、カバー部材による搭乗ステップの補強をより効果的に行うことができる。
【0013】
本発明の
請求項4に係る発明は、上記
請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、
前記カバー部材に、前記搭乗ステップに対する乗降用の補助ステップを装備した。
【0014】
上記の発明では、通常は補助ステップを装備したカバー部材を搭乗ステップの横外端部に取り付けておくことにより、搭乗ステップに対する乗降の際に補助ステップを利用することができる。これにより、搭乗ステップに対する乗降を行い易くすることができる。
【0015】
そして、その収納空間に対する燃料タンクやバッテリなどの着脱、あるいは、その収納空間に配備した燃料タンクやバッテリなどに対するメンテナンスを行う場合には、カバー部材を搭乗ステップの横外端部から取り外すことにより、それと同時に補助ステップをも搭乗ステップの横外端部から取り外すことができ、収納空間を車体の横外方に開放することができる。
【0016】
つまり、カバー部材と補助ステップとを個々に着脱する場合に比較して、カバー部材及び補助ステップの着脱性の向上を図りながら、収納空間に対する燃料タンクやバッテリなどの着脱、あるいは、その収納空間に配備した燃料タンクやバッテリなどに対するメンテナンスの際にカバー部材及び補助ステップが邪魔になることを防止することができる。
【0017】
従って、搭乗ステップの裏面側の収納空間に対する燃料タンクやバッテリなどの着脱性、及び、その収納空間に配備した燃料タンクやバッテリなどに対するメンテナンス性を低下させることなく、搭乗ステップに対する乗降性の向上を図ることができる。
【0018】
本発明の請求項5に係る発明は、上記請求項4に記載の発明において、
前記カバー部材の前記カバー面に、前記補助ステップのステップ部から上方に延出するアーム部の挿通を許容する開口を形成し、
前記開口に挿通
される前記アーム部の延出端
に、前記上端延出部に溶接
される第1溶接部位を備え、かつ、前記開口に挿通
される前記アーム部における前記開口の周縁部との隣接箇所
に、前記周縁部に溶接
される第2溶接部位を備えている。
【0019】
上記の発明では、補助ステップをカバー部材に強固に溶接することができ、これにより、補助ステップをカバー部材の保形強度を高める補強部材として機能させることができる。そして、このように保形強度を高めたカバー部材を搭乗ステップの横外端部に取り付けることにより、搭乗ステップの横外端側での強度を更に高めることができる。
従って、搭乗ステップに対する乗降性の向上を図りながら、カバー部材及び搭乗ステップの強度を向上させることができる。
【0020】
本発明の請求項6に係る発明は、搭乗ステップの裏面側に収納空間を形成した作業車の車体構造において、
前記収納空間を横外側から覆う縦向きのカバー面を備えたカバー部材を前記搭乗ステップの横外端部に着脱可能に装備し、
前記カバー部材に、前記カバー面の上端から前記搭乗ステップに向けて延出する上端延出部と、前記カバー面の前端から前記搭乗ステップに向けて延出する前端延出部と、前記カバー面の後端から前記搭乗ステップに向けて延出する後端延出部とを備えるとともに、
前記上端延出部の前端と前記前端延出部の上端とを接続し、かつ、前記上端延出部の後端と前記後端延出部の上端とを接続して、
前記上端延出部と前記前端延出部と前記後端延出部とから形成した外縁部を前記カバー部材に備えるように構成し、
前記カバー部材に、前記搭乗ステップに対する乗降用の補助ステップを装備し、
前記カバー部材の前記カバー面に、前記補助ステップのステップ部から上方に延出するアーム部の挿通を許容する開口を形成し、
前記開口に挿通
される前記アーム部の延出端
に、前記上端延出部に溶接
される第1溶接部位を備え、かつ、前記開口に挿通
される前記アーム部における前記開口の周縁部との隣接箇所
に、前記周縁部に溶接
される第2溶接部位を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係る作業車の車体構造を、作業車の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1及び
図2に示すように、本実施形態で例示するトラクタは、その前部に搭載したエンジン1の後部にクラッチハウジング2を連結し、このクラッチハウジング2に、フレーム兼用のトランスミッションケース(以下、T/Mケースと略称する)3を、クラッチハウジング2の後部から車体後部に向けて延出するように連結している。そして、エンジン1などを上方から覆うエンジンボンネット4の左右両側方箇所に、左右一対の前輪5を操舵可能かつ駆動可能に配備し、かつ、T/Mケース3の後部左右両側方箇所に、左右一対の後輪6を駆動可能かつ制動可能に配備して、4輪駆動型に構成している。
【0024】
T/Mケース3の上方には搭乗運転部7を形成している。搭乗運転部7には、T/Mケース3の前部側などを上方から覆う板金製の搭乗ステップ8を敷設し、かつ、前輪操舵用のステアリングホイール9や運転座席10などを配備している。運転座席10の左右両側方箇所には、左右の後輪6の上部側を搭乗運転部側から覆う左右一対のリヤフェンダ11を配備している。運転座席10の後方箇所には、前後方向視で逆U字状に形成した保護フレーム12を立設している。
【0025】
T/Mケース3の後部には、トラクタの後部に連結するロータリ耕耘装置やプラウなどの作業装置(図示せず)の昇降操作を可能にする左右一対のリフトアーム13、左右のリフトアーム13を上下方向に揺動駆動する油圧式のリフトシリンダ14、及び、トラクタの後部にロータリ耕耘装置などの駆動型の作業装置を連結する場合に作業動力の取り出しを可能にするPTO軸15、などを配備している。
【0026】
図1〜5に示すように、搭乗ステップ8は、前部側の左右両端部が左右のリヤフェンダ11の前方に位置し、かつ、後部側が左右のリヤフェンダ11の間に入り込む形状に形成したステップ面8Aを備えている。そして、T/Mケース3に対向するステップ面8Aの左右中間部8Aaを上方に膨出する状態に屈曲形成することにより、その左右中間部8Aaでの保形強度を高めている。又、左右中間部8Aaから左右に所定間隔をあけた左右の横外側部寄りの位置に、チャンネル鋼材からなる複数の補強部材16などを溶接することにより、左右の横外側部寄りの位置を補強している。そして、補強した左右の横外側部寄りの位置を、T/Mケース3から延設した左右の支持部材17などによって下方から受け止め支持するように構成している。
【0027】
図3〜7に示すように、搭乗ステップ8の前端には、エンジンボンネット12との隣接箇所から搭乗ステップ8の横外側端にわたる領域において下向きに屈曲することにより、搭乗ステップ8における前部側の左右両端側箇所を補強する左右一対の前補強部8Bを形成している。搭乗ステップ8の後部側には、左右のリヤフェンダ11との対向箇所において下向きに屈曲することにより、搭乗ステップ8における後部側の左右両端側箇所を補強する複数の後補強部8Cを形成している。
【0028】
搭乗ステップ8の裏面側における裏面の近傍領域には、T/Mケース3によって左右に分割された収納空間18を確保している。収納空間18には、T/Mケース3の右側面に着脱可能に取り付けた2つのオイルフィルタ19,20、及び、エンジン1に供給する燃料を貯留する樹脂製のブロー成形品からなる2つの燃料タンク21,22、などを配備している。
【0029】
図3〜5に示すように、左右の燃料タンク21,22は、T/Mケース3の左右に分散配備している。そして、それらのリヤフェンダ11との対向箇所がリヤフェンダ11に沿って湾曲するように形成している。右側の燃料タンク22の右前端部には、右前方からの燃料の補給を可能にする円筒状の給油部22Aを一体形成している。左右の燃料タンク21,22には、右側の燃料タンク22から左側の燃料タンク21への燃料の流動を許容し、かつ、左側の燃料タンク21から右側の燃料タンク22への燃料の流動を阻止する逆止弁(図示せず)を備えた連通管23を、左右の燃料タンク21,22にわたるように接続している。
【0030】
図3及び
図5に示すように、左側の燃料タンク21は、左側の燃料タンク21を下方から覆うように支持する左支持フレーム24などを介してT/Mケース3に着脱可能に連結している。左支持フレーム24は、その左端部24Aを左側の燃料タンク21の左端部に沿って前後方向視でクランク状に上向きに屈曲形成することにより、その左端部24Aが、左側の燃料タンク21における左端部の下部側を横外方から覆って保護する保護カバーとして機能するように構成している。
【0031】
図4及び
図5に示すように、右側の燃料タンク22は、右側の燃料タンク22を下方から覆うように支持する右支持フレーム25などを介してT/Mケース3に着脱可能に連結している。右支持フレーム25は、その右端部25Aを右側の燃料タンク22の右端部に沿って前後方向視でクランク状に上向きに屈曲形成することにより、その右端部25Aが、右側の燃料タンク22における右端部の下部側を横外方から覆って保護する保護カバーとして機能するように構成している。
【0032】
図3〜5に示すように、連通管23は、左右の支持フレーム24,25にわたって架設したチャンネル鋼材からなる保護部材26によって下方から覆うことによって保護している。
【0033】
図3〜8に示すように、搭乗ステップ8の左右の横外端部には、収納空間18を横外側から覆う縦向きのカバー面27A,28Aを備えたカバー部材27,28を着脱可能に装備している。左右の各カバー部材27,28には、カバー面27A,28Aの上端から搭乗ステップ8に向けて延出する上端延出部27B,28Bと、カバー面27A,28Aの前端から搭乗ステップ8に向けて延出する前端延出部27C,28Cと、カバー面27A,28Aの後端から搭乗ステップ8に向けて延出する後端延出部27D,28Dとを備えている。各上端延出部27B,28Bは、その前端を隣接する前端延出部27C,28Cの上端に溶接し、又、その後端を隣接する後端延出部27D,28Dの上端に溶接している。これにより、左右の各カバー部材27,28は、上端延出部27B,28Bと前端延出部27C,28Cと後端延出部27D,28Dとから車体の側面視で略逆U字形状に形成した外縁部27E,28Eを有するように構成している。
【0034】
各上端延出部27B,28Bは、搭乗ステップ8において前後の補強部8B、8Cよりも横外方に延出するステップ面8Aの左右の横端部8Abのうちの対応する横端部8Abの表面に接合する状態で、対応する横端部8Abとの3箇所でのボルト連結が可能な連結部Aに構成している。各前端延出部27C,28Cは、それらの上端延出部27B,28Bよりも搭乗ステップ側に延出する延出端部分27Ca,28Caが、搭乗ステップ8の左右の対応する前補強部8Bの裏面に接合する状態で、対応する前補強部8Bとの1箇所でのボルト連結が可能な連結部Bとして機能するように構成している。各後端延出部27D,28Dは、それらの上端延出部27B,28Bよりも搭乗ステップ側に延出する延出端部分27Da,28Daが、左右の対応するリヤフェンダ11の表面に接合する状態で、対応するリヤフェンダ11との1箇所でのボルト連結が可能な連結部Cとして機能するように構成している。左右のリヤフェンダ11は、搭乗ステップ8の左右の対応する後補強部8Cとのボルト連結が可能となるように構成している。
【0035】
つまり、各カバー部材27,28の上端延出部27B,28Bを、搭乗ステップ8のステップ面8Aの対応する横端部8Abに直にボルト連結することができ、又、各カバー部材27,28の前端延出部27C,28Cを、搭乗ステップ8の対応する前補強部8Bに直にボルト連結することができ、更に、各カバー部材27,28の後端延出部27D,28Dを、搭乗ステップ8の対応する後補強部8Cにリヤフェンダ11を介してボルト連結することができる。
【0036】
上記の構成から、搭乗ステップ8の裏面側の収納空間18に配備した燃料タンク21,22などを左右のカバー部材27,28によって保護することができる。そして、その収納空間18に対する燃料タンク21,22などの着脱、あるいは、その収納空間18に配備した燃料タンク21,22などに対するメンテナンスを行う場合には、搭乗ステップ8の横外端部からカバー部材27,28を取り外すことにより、収納空間18を車体の横外方に開放することができ、車体の横外方からの収納空間18に対する燃料タンク21,22などの着脱、及び、収納空間18に配備した燃料タンク21,22などに対するメンテナンス、を行い易くすることができる。そして、燃料タンク21,22の着脱が行い易くなることにより、燃料タンク21,22を取り外して行うT/Mケース3などに対するメンテナンスの作業性を向上させることができる。
【0037】
又、各カバー部材27,28に、上端延出部27B,28Bと前端延出部27C,28Cと後端延出部27D,28Dとからなる略逆U字形状の外縁部27E,28Eを備えたことにより、各カバー部材27,28の保形強度を高めることができ、そして、保形強度を高めた各カバー部材27,28の上端延出部27B,28Bと前端延出部27C,28Cと後端延出部27D,28Dとのそれぞれを、搭乗ステップ8のステップ面8A及び前後の補強部8B、8Cのうちの対応箇所にボルト連結することにより、搭乗ステップ8の横外端側での強度を高めることができる。
【0038】
図2、
図3、
図5及び
図8に示すように、左側のカバー部材27には搭乗ステップ8に対する乗降用の補助ステップ29を装備している。補助ステップ29には、滑り止め加工を施したステップ部29Aと、このステップ部29Aの前後両端から上方に延出する左右一対のアーム部29Bとを備えるU字形状に屈曲形成した板金製のものを採用している。左側のカバー部材27のカバー面27Aには、補助ステップ29の各アーム部29Bの挿通を許容する前後一対の開口27Fとしてのスリット27Fを形成している。そして、それらのスリット27Fに挿通した各アーム部29Bの延出端29Baをカバー部材27の上端延出部27Bに溶接し、かつ、各スリット27Fに挿通した各アーム部29Bにおけるスリット27Fの周縁部27Faとの隣接箇所29Bbをスリット27Fの周縁部27Faに溶接することにより、左側のカバー部材27に補助ステップ29を一体装備している。
【0039】
上記の構成から、通常は補助ステップ29を備えた左側のカバー部材27を搭乗ステップ8の左側の横外端部に取り付けておくことにより、搭乗ステップ8に対する乗降の際に補助ステップ29を利用することができ、これにより、搭乗ステップ8に対する乗降を行い易くすることができる。
【0040】
そして、その収納空間18に対する燃料タンク21,22などの着脱、あるいは、その収納空間18に配備した燃料タンク21,22などに対するメンテナンスを行う場合には、左側のカバー部材27を搭乗ステップ8の左側の横外端部から取り外すことにより、それと同時に補助ステップ29をも搭乗ステップ8の左側の横外端部から取り外すことができ、これにより、左側のカバー部材27と補助ステップ29とを個々に着脱する場合に比較して、左側のカバー部材27及び補助ステップ29の着脱性の向上を図りながら、収納空間18に対する燃料タンク21,22などの着脱、あるいは、収納空間18に配備した燃料タンク21,22などに対するメンテナンスの際に左側のカバー部材27及び補助ステップ29が邪魔になることを防止することができる。
【0041】
又、補助ステップ29を左側のカバー部材27の保形強度を高める補強部材として機能させることができ、かつ、補助ステップ29の強度を高めることができ、このように保形強度を高めた左側のカバー部材27を搭乗ステップ8の左側の横外端部に取り付けることにより、搭乗ステップ8の左側の横外端側での強度を更に高めることができる。
【0042】
図1、
図4、
図5及び
図6に示すように、右側のカバー部材28には、右側の燃料タンク22に備えた給油部22Aを露出させるための切欠部28Fを、その前端延出部28Cからカバー面28Aにわたって形成している。これにより、給油部22Aを、搭乗ステップ8の近くで搭乗ステップ上での移動に支障を来たすことのない右側のカバー部材28の前方箇所に露出配備することができ、持ち運び可能な燃料補給用の補助タンク(図示せず)を利用して、この補助タンクから給油部22Aを介して燃料タンク21,22に給油する場合には、搭乗ステップ8を補助タンクの載置台として利用することができ、給油作業の軽労化を図ることができる。
【0043】
図3、
図5及び
図8に示すように、左側のカバー部材27は、そのカバー面27Aと前端延出部27Cと後端延出部27Dのそれぞれにおける上端延出部27Bから下方への延出長さ(上下長さ)を、上端延出部27Bのカバー面27Aから搭乗ステップ8への延出長さ(左右幅)よりも長くすることにより、左側のカバー部材27の下端が左支持フレーム24の左端部24Aに近接するように形成している。これにより、横外方に面する左側の燃料タンク21の左端部を、左側のカバー部材27及び左支持フレーム24の左端部24Aにより、より確実に横外方から覆って保護することができる。
【0044】
図4〜7に示すように、右側のカバー部材28は、そのカバー面28Aと前端延出部28Cと後端延出部28Dのそれぞれにおける上端延出部28Bから下方への延出長さ(上下長さ)を、上端延出部28Bのカバー面28Aから搭乗ステップ8への延出長さ(左右幅)よりも長くすることにより、右側のカバー部材28の下端が右支持フレーム25の右端部25Aに近接するように形成している。これにより、横外方に面する右側の燃料タンク22の右端部を、右側のカバー部材28及び右支持フレーム25の右端部25Aにより、より確実に横外方から覆って保護することができる。
【0045】
図3〜5及び
図7に示すように、搭乗ステップ8のステップ面8Aは、その左右の横端部8Abが他の部分よりも各カバー部材27,28の板厚分だけ低くなるように形成している。これにより、搭乗ステップ8の左右の横外端部に対応するカバー部材27,28を取り付けた状態においては、搭乗ステップ8のステップ面8Aと各カバー部材27,28の上端延出部27B,28Bとの表面高さを揃えることができる。
【0047】
〔1〕作業車としては、エンジン1とモータジェネレータとを搭載したハイブリッド仕様のものなどであってもよい。
【0048】
〔2〕搭乗ステップ8としては、前後の補強部8B、8Cを備えていないものであってもよい。又、カバー部材27,28との連結専用の連結部A〜Cを備えたものであってもよい。
【0049】
〔3〕搭乗ステップ8としては、その一方の横外端部が車外に面するように備えたものであってもよい。この場合、カバー部材27,28として、その一方の横外端部に着脱可能な単一のものを装備すればよい。
【0050】
〔4〕搭乗ステップ8として樹脂製のブロー成形品などを採用してもよい。この場合、搭乗ステップ8にボルト連結用のインサートナットを備えるようにしてもよい。
【0051】
〔5〕収納空間18としては、T/Mケース3によって左右に分割されていないものであってもよい。又、収納空間18に収納するものとしては、バッテリ、電気系のワイヤハーネス、マフラ(DPFマフラ)、オプション装備の作業装置(例えばフロントローダ)などに対する駆動用として追加装備した補助コントロールバルブなどの油圧機器、油圧配管、燃料配管、及び、ハイブリッド作業車用のモータジェネレータ、などであってもよい。
【0052】
〔6〕左右のカバー部材27,28としては、左側のカバー部材27に給油部露出用の切欠部を形成し、右側のカバー部材28に乗降用の補助ステップ29を装備するように構成したものであってもよい。又、左右の各カバー部材27,28に乗降用の補助ステップ29を装備するように構成したものであってもよく、左右の各カバー部材27,28に給油部露出用の切欠部を形成しないように構成したものであってもよい。
【0053】
〔7〕カバー部材27,28としては、搭乗ステップ8の横外端部に外嵌又は内嵌した状態で連結するように構成したものであってもよい。
【0054】
〔8〕カバー部材27,28としては、上端延出部27B,28Bと前端延出部27C,28Cと後端延出部27D,28Dとのそれぞれを、搭乗ステップ8のステップ面8A及び前後の補強部8B、8Cのうちの対応箇所に係合連結するように構成したものであってもよい。又、係合連結とボルト連結との組み合わせで搭乗ステップ8の横外端部に連結するように構成したものであってもよい。
【0055】
〔9〕カバー部材27,28としては、その後端延出部27D,28D(連結部C)と搭乗ステップ8の後補強部8Cとリヤフェンダ11とを、その後端延出部27D,28D(連結部C)とリヤフェンダ11との間に搭乗ステップ8の後補強部8Cを挟んだ状態、又は、その後端延出部27D,28D(連結部C)を搭乗ステップ8の後補強部8Cとリヤフェンダ11との間に挟んだ状態でボルト連結するように構成したものであってもよい。
【0056】
〔10〕補助ステップ29としては、ステップ部29Aの前後中間箇所から鋼管材からなる単一のアーム部29Bを上方に延出することによって逆T字形状に形成したものなどであってもよい。
【0057】
〔11〕カバー部材27のカバー面27Aに形成する開口27Fの形状としては、補助ステップ29のアーム部29Bの断面形状に応じて種々の変更が可能である。
【0058】
〔12〕補助ステップ29のアーム部29Bを、カバー部材27におけるカバー面27Aの裏面に沿わせた状態で、その延出端をカバー部材27の上端延出部27Bに溶接し、かつ、そのカバー面27Aの裏面との隣接箇所をカバー面27Aの裏面に溶接することにより、カバー部材27に補助ステップ29を一体装備するようにしてもよい。
【0059】
〔13〕カバー部材27に補助ステップ29を着脱可能にボルト連結するように構成してもよい。
【0060】
〔14〕カバー部材27,28としては、オプション装備したフロントローダに対する駆動用の補助コントロールバルブなどの支持部材として利用可能に構成したものであってもよい。