(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電性板材の幅方向一端部からはみ出た1又は複数の平板状要素コイルのはみ出た部分形状と、前記導電性板材の幅方向他端部からはみ出た1又は複数の平板状要素コイルのはみ出た部分形状とが同一である請求項1乃至3の何れかに記載の誘導加熱装置。
前記搬送通路を通過した導電性板材の幅方向各部における発熱量が、当該導電性板材の幅方向中心に対して左右対称となるように、前記複数の平板状要素コイルが配置されている請求項1乃至4の何れかに記載の誘導加熱装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、金属シート等の導電性板材を幅方向全体に亘って均一に加熱できる誘導加熱装置を提供することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る誘導加熱装置は、導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱するものであって、前記導電性板材が搬送される搬送通路と、前記搬送通路の上側に配置された第1の平板状コイル群と、前記搬送通路の下側に配置された第2の平板状コイル群とを備え、前記第1の平板状コイル群及び前記第2の平板状コイル群それぞれが、中心部に前記搬送通路に直交する磁路が設けられた複数の平板状要素コイルを有し、搬送方向に直交する幅方向に少なくとも1つの平板状要素コイルを配置してなるコイルユニットを搬送方向に沿って多段に配列して構成されており、少なくとも1つのコイルユニットを構成する1又は複数の平板状要素コイルが、前記導電性板材から幅方向外側にはみ出すように配置されていることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、第1の平板状コイル群及び第2の平板状コイル群において、各平板状要素コイルで発生した磁束は、当該平板状要素コイルの中心磁路から外周磁路を通って循環することになり、第1の平板状コイル群及び第2の平板状コイル群の間にある導電性板材に誘導電流が誘起されて導電性板材が加熱される。ここで、各平板状要素コイルの周囲に外周磁路部材を設けているので、各平板状要素コイルで発生した磁束の磁路における磁気抵抗を小さくすることができる。
また、平板状要素コイルを導電性板材の幅方向外側にはみ出すように配置しているので、導電性板材の幅方向端部が平板状要素コイルの径方向内側部分に位置することになる。ここで、各平板状要素コイルによる導電性板材の発熱量は、平板状要素コイルの径方向外側部分よりも径方向内側部分の方が多いことから、導電性板材の幅方向端部を効率良く加熱することができる。
さらに、少なくとも1つの平板状要素コイルからなるコイルユニットを搬送方向に沿って多段に配列しているので、各コイルユニットの構成を変更することによって導電性板材を幅方向全体に亘って均一に加熱することができる。このように平板状要素コイルの配置を工夫することにより導電性板材を幅方向全体に亘って均一に加熱することができる。
【0009】
ここで、平板状要素コイルの巻回コイルの巻回径を2分割する位置において発熱量が最も多くなる。このため、前記導電性板材から幅方向外側にはみ出た平板状要素コイルの少なくとも1つにおいて、当該平板状要素コイルにおける巻回コイルの巻回径を2分割する位置を前記導電性板材の幅方向端部が通過するように配置されていることが望ましい。これならば、導電性板材の幅方向端部を好適に加熱することができる。
【0010】
搬送方向に隣接する2つのコイルユニットを構成する平板状要素コイルが幅方向に互いにずれて配置されていることが望ましい。これならば、各コイルユニットを通過する導電性板材の幅方向における発熱量を均一化することができる。
【0011】
前記第1の平板状コイル群及び前記第2の平板状コイル群それぞれにおいて、前記複数の平板状要素コイルがコイル群の中心に対して点対称となるように配置されていることが望ましい。これならば、導電性板材の幅方向一端部の温度と、幅方向他端部の温度とを略同一にすることができる。
【0012】
前記導電性板材の幅方向一端部からはみ出た1又は複数の平板状要素コイルのはみ出た部分形状と、前記導電性板材の幅方向他端部からはみ出た1又は複数の平板状要素コイルのはみ出た部分形状とが同一であることが望ましい。これによっても、導電性板材の幅方向一端部の温度と、幅方向他端部の温度とを略同一にすることができる。
【0013】
前記搬送通路を通過した導電性板材の幅方向各部における発熱量が、当該導電性板材の幅方向中心に対して左右対称となるように、前記複数の平板状要素コイルが配置されていることが望ましい。このように本発明では、コイルユニットを多段配置しているので、コイルユニットにおける平板状要素コイルの配置を工夫することによって、導電性板材の幅方向の温度分布を所望の温度分布とすることができる。
【0014】
コイルユニットを複数の平板状要素コイルから構成する場合には、前記複数の平板状要素コイルに流す電流を制御することにより、前記導電性板材の幅方向における温度分布を調整することが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、金属シート等の導電性板材の幅方向端部の温度低下を抑えて、導電性板材の幅方向の均温化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明に係る誘導加熱装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る誘導加熱装置100は、導電性板材Wを周波数50Hz〜1000Hzの中周波で連続的に誘導加熱するものである。導電性板材Wとしては、例えばアルミニウム等の金属又は炭素繊維からなる板状又はシート状をなすものである。なお、アルミニウムシート等は、従来の中周波誘導加熱装置において誘導加熱しにくいものである。
【0019】
具体的にこの誘導加熱装置100は、
図1〜
図4に示すように、導電性板材Wが搬送される搬送通路2と、この搬送通路2の上側に配置された第1の平板状コイル群3と、搬送通路2の下側に配置された第2の平板状コイル群4とを備えている。
【0020】
第1の平板状コイル群3及び第2の平板状コイル群4は、
図2及び
図3に示すように、搬送通路2を介して上下対称となる構成であり、中心部に搬送通路2に直交する磁路が設けられた4つの平板状要素コイルCと、各平板状要素コイルCの周囲に設けられて、各平板状要素コイルCにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する外周磁路部材5とを有する。なお、以下において、4つの平板状要素コイルCを符号C1〜C4で示す場合がある。
【0021】
4つの平板状要素コイルCは互いに同一構成及び同一形状をなし、各平板状要素コイルCは、平面視において概略円状をなすものである(
図1参照)。なお、平板状要素コイルCの形状は、平面視において概略矩形状をなすものとしても良い。
【0022】
また、
図2〜
図4に示すように、各平板状要素コイルCの中心部には、コイル中心磁路を形成する中心鉄心6が設けられている。また、平板状要素コイルCと搬送通路2との間には絶縁板7が設けられており、平板状要素コイルCと導電性板材Wとの間の短絡を防止している(
図4参照)。
【0023】
外周磁路部材5は、
図1〜
図3に示すように、平板状要素コイルCを収容する磁性体金属からなるコイル収容容器51〜54から構成されている。コイル収容容器51〜54は、平板状要素コイルC1〜C4毎に設けられている。つまり、1つのコイル収容容器51〜54は、1つの平板状要素コイルCを収容する。ここで、第1の平板状コイル群3のコイル収容容器51〜54は、平板状要素コイルCの上面及び外側周面を覆うことにより平板状要素コイルCを収容するものであり、下面が開口する概略中空直方体形状をなしている。また、第2の平板状コイル群4のコイル収容容器51〜54は、平板状要素コイルCの下面及び外側周面を覆うことにより平板状要素コイルCを収容するものであり、上面が開口する概略中空直方体形状をなしている。
【0024】
また、本実施形態では、
図4に示すように、第1及び第2のコイル群3、4のコイル収容容器51〜54における発熱を避けるために、コイル収容容器51〜54に、短絡電流防止用のスリットSを形成している。その他、コイル収容容器51〜54の発熱を避けるために、コイル収容容器51〜54を、珪素鋼鉄等の絶縁薄板磁性体を積層して構成しても良い。また、補助加熱等に使用するため積極的にコイル収容容器51〜54も加熱する場合には、中実又はスリットの深さを調整した磁性体を採用することが考えられる。
【0025】
さらに、
図4に示すように、上下に対向する2つの平板状要素コイルCを収容するコイル収容容器51(52〜54)において、上側のコイル収容容器51(52〜54)の側壁の下端部と、下側のコイル収容容器51(52〜54)の側壁の上端部とは、互いに対向している。これにより、上下に対向する2つの平板状要素コイルCにより発生した磁束が通る磁路の磁気抵抗を小さくし、力率を高くして加熱効率を改善している。
【0026】
しかして本実施形態の誘導加熱装置100は、
図1に示すように、前記第1の平板状コイル群3及び第2の平板状コイル群4が、搬送方向に直交する幅方向に2つの平板状要素コイルCを配置してなるコイルユニットCx1、Cx2を搬送方向に沿って2段に配列して構成されている。
【0027】
各コイルユニットCx1、Cx2において、2つの平板状要素コイルCが、それら平板状要素コイルCの周囲に設けられたコイル収容容器51〜54の一側面が対向するように配置されている。例えばコイルユニットCx1について言うと、2つの平板状要素コイルC1、C2が、それら平板状要素コイルC1、C2の周囲に設けられたコイル収容容器51、52の一側面が対向するように配置されている。つまり、各コイルユニットCx1、Cx2は、平面視において、幅方向が長手方向となる概略矩形状である。
【0028】
そして、各コイルユニットCx1、Cx2を構成する1又は複数の平板状要素コイルC1〜C4が、導電性板材Wから幅方向外側にはみ出すように配置されている。
【0029】
具体的には、搬送上流のコイルユニットCx1を構成する右側の平板状要素コイルC1の右側部分が導電性板材Wの右側端部よりも右側にはみ出るように配置されている。また、搬送下流のコイルユニットCx2を構成する左側の平板状要素コイルC4の左側部分が導電性板材Wの左側端部よりも左側にはみ出るように配置されている。
【0030】
ここで、平板状要素コイルC1〜C4の中心鉄心の幅寸法を2S、平板状要素コイルC1〜C4の巻回コイルの巻回径をDとした場合、平板状要素コイルC1〜C4における中心から距離「D/2+S」の位置、つまり、平板状要素コイルC1〜C4における巻回コイルの巻回径を2分割する位置が最も発熱量が多くなる。
【0031】
したがって、導電性板材Wの幅方向一端部及び他端部が、搬送途中において少なくとも1つのコイルユニットCx1、Cx2において、当該コイルユニットCx1、Cx2を構成する平板状要素コイルC1〜C4の「D/2+S」の位置を通過するように構成している。これならば、導電性板材Wの幅方向一端部及び他端部を効率良く加熱することができる。
【0032】
本実施形態では、平面視において、導電性板材Wの右側端部が、平板状要素コイルC1の右側においてコイルC1の中心から「D/2+S」の位置を通過し、導電性板材Wの左側端部が、平板状要素コイルC4の左側においてコイルC4の中心から「D/2+S」の位置を通過する。なお、搬送上流のコイルユニットCx1と搬送下流のコイルユニットCx2がともに同一形状の平板状要素コイルC1〜C4から構成されていることから、搬送上流のコイルユニットCx1と搬送下流のコイルユニットCx2とのずれ幅がD/2+Sとなる。また、第1の平板状コイル群3及び第2の平板状コイル群4は、平面視において、複数の平板状要素コイルC1〜C4がコイル群の中心Xに対して点対称となるように配置されている。さらに、導電性板材Wの右側端部からはみ出た平板状要素コイルC1のはみ出た部分形状と、導電性板材Wの左側端部からはみ出た平板状要素コイルC4のはみ出た部分形状とが同一となる。
【0033】
上記構成の第1の平板状コイル群3及び第2の平板状コイル群4の間を通過する導電性板材Wは、まず、搬送上流のコイルユニットCx1を通過する。このとき、導電性板材Wの右側端部は、平面視において、搬送上流のコイルユニットCx1の右側の平板状要素コイルC1の右側においてコイルC1の中心から「D/2+S」の位置を通過する。一方、導電性板材Wの左側端部は、平面視において、搬送上流のコイルユニットCx1の左側の平板状要素コイルC2の左側端又は当該左側端近傍のコイル収容容器52の側壁を通過する。
【0034】
次に、導電性板材Wは、搬送下流のコイルユニットCx2を通過する。このとき、導電性板材Wの右側端部は、平面視において、搬送下流のコイルユニットCx2の右側の平板状要素コイルC3の右側端又はその近傍のコイル収容容器53の側壁を通過する。一方、導電性板材Wの左側端部は、平面視において、搬送下流のコイルユニットCx2の左側の平板状要素コイルC4の左側においてコイルC4の中心から「D/2+S」の位置を通過する。
【0035】
このように搬送通路2を通過した導電性板材Wの右側端部は、平板状要素コイルC1の「D/2+S」の位置と平板状要素コイルC3の右側端又はその近傍のコイル収容容器53の側壁を通過し、導電性板材Wの左側端部は、平板状要素コイルC4の「D/2+S」の位置と平板状要素コイルC2の左側端又はその近傍のコイル収容容器52の側壁を通過することになる。これにより、導電性板材Wの左右両端部における発熱量は同一となり、導電性板材Wの右側端部の温度及び左側端部の温度を略同一にすることができる。
【0036】
また、第1の平板状コイル群3及び第2の平板状コイル群4において、複数の平板状要素コイルC1〜C4がコイル群の中心Xに対して点対称であるので、搬送通路2を通過した導電性板材Wの幅方向各部における発熱量が、当該導電性板材Wの幅方向中心に対して左右対称となり、導電性板材Wの幅方向における温度分布を均一化することができる。つまり、
図5に示すように、1つの平板状要素コイルの3点(中心位置、「D/2+S」の位置、左右端の位置)を通過した場合の導電性板材Wの発熱量が、中心位置:2、「D/2+S」の位置:3、左右端の位置:1であるとき、上記のコイル群構成では、搬送通路2を通過した導電性板材Wの各部の合計発熱量は、左から4、5、5、4、4、5、5、4となる。
【0037】
このように構成した本実施形態の誘導加熱装置100によれば、第1の平板状コイル群3及び第2の平板状コイル群4において、各平板状要素コイルC1〜C4で発生した磁束は、当該平板状要素コイルC1〜C4の中心磁路から外周磁路を通って循環することになり、第1の平板状コイル群3及び第2の平板状コイル群4の間にある導電性板材Wに誘導電流が誘起されて導電性板材Wが加熱される。ここで、各平板状要素コイルC1〜C4の周囲に外周磁路部材5(コイル収容容器51〜54)を設けているので、各平板状要素コイルC1〜C4で発生した磁束の磁路における磁気抵抗を小さくすることができる。
【0038】
また、本実施形態の誘導加熱装置100によれば、平板状要素コイルC1、C4を導電性板材Wの幅方向外側にはみ出すように配置しているので、導電性板材Wの左右両端部が平板状要素コイルC1、C4の径方向内側部分に位置することになる。これにより、導電性板材Wの左右両端部を効率良く加熱することができる。
【0039】
さらに、本実施形態の誘導加熱装置100によれば、第1の平板状コイル群3及び第2の平板状コイル群4を、複数の平板状要素コイルC1〜C4から構成し、さらに、それら平板状要素コイルC1〜C4からなるコイルユニットCx1、Cx2を搬送方向に多段に配置しているので、各コイルユニットCx1、Cx2の構成、例えば平板状要素コイルC1〜c4の個数や形状等を変更することによって、導電性板材Wの加熱態様の自由度を増すことができ、導電性板材Wを幅方向全体に亘ってより一層均一に加熱することができる。
【0040】
なお、本発明は前記各実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では、2つの平板状要素コイルからなるコイルユニットを搬送方向に沿って2段配置したものであったが、その他、
図6に示すように、第1及び第2の平板状コイル群3、4は、1つの平板状要素コイルCからなるコイルユニットCxを搬送方向に沿って多段(
図6では2段)に配置したものであっても良い。この場合であっても、導電性板材Wの右側端部が、搬送上流のコイルユニットCx1(平板状要素コイルC1)の右側においてコイルC1の中心から「D/2+S」の位置を通過するようにし、導電性板材Wの左側端部が、搬送下流のコイルユニットCx2(平板状要素コイルC2)の左側においてコイル中心から「D/2+S」の位置を通過するようにする。
【0041】
また、
図7に示すように、3つ以上(
図7では3つ)の平板状要素コイルCからなるコイルユニットCxを搬送方向に沿って3段以上(
図7では3段)配置しても良い。このとき隣接するコイルユニットCxの(平板状要素コイルC)ずれ量を調整して、導電性板材Wの幅方向における温度分布を均一化する。
図7においては、搬送最上流のコイルユニットCx1と搬送最下流のコイルユニットCx3とのずれ幅がD/2+Sとなり、搬送中流のコイルユニットCx2がその中間のずれ幅(D/4+S/2)となるように配置されている。
【0042】
さらに、各コイルユニットCxを構成する平板状要素コイルCの個数が異なるようにしても良いし、また、各コイルユニットCxを構成する平板状要素コイルCの形状も同一でなくとも良い。また、1つのコイルユニットCx内で異なる形状の平板状要素コイルCを用いても良い。このように個数や形状を種々組わせることによって、幅方向の温度分布を均一化させることができる。
【0043】
図8には、3つのコイルユニットCx1〜Cx3を有するコイル群3、4について例示している。
図8において、搬送最上流のコイルユニットCx1及び搬送最下流のコイルユニットCx3が、大小2種類の平板状要素コイルCm、Cnからなり、搬送中流のコイルユニットCx2が1種類の平板状要素コイルChからなる場合を示している。
【0044】
具体的に搬送最上流のコイルユニットCx1及び搬送最下流のコイルユニットCx3は、1つの小さい平板状要素コイル
Cnと、4つの大きい平板状要素コイルCmからなり、搬送中流のコイルユニットCx2は、4つの大きい平板状要素コイルChからなる。なお、小さい平板状要素コイルCnは、大きい平板状要素コイルCmの1/2のサイズであり、搬送最上流のコイルユニットCx1及び搬送最下流のコイルユニットCx3における大きい方の平板状要素コイルCmと、搬送中流のコイルユニットCx2の平板状要素コイルChは同一形状である。
【0045】
そして、平面視において、搬送最上流のコイルユニットCx1及び搬送最下流のコイルユニットCx3が、導電性板材Wの左右両端部からはみ出して配置されている。詳細には、搬送最上流のコイルユニットCx1において、導電性板材Wの左側端部が、最左側の大きい平板状要素コイルCmの左側においてコイルCmの中心から「D/2+S」の位置を通過し、導電性板材Wの右側端部が、最右側の小さい平板状要素コイルCnの中心を通過する。また、搬送最下流のコイルユニットCx3において、導電性板材Wの右側端部が、最右側の大きい平板状要素コイルCmの右側においてコイルCmの中心から「D/2+S」の位置を通過し、導電性板材Wの左側端部が、最左側の小さい平板状要素コイルCnの中心を通過する。さらに、搬送中流のコイルユニットCx2においては、導電性板材Wの左右両端部は、左右両側の大きい平板状要素コイルCmの左右端又は当該左右端近傍のコイル収容容器の側壁を通過する。
【0046】
また、大きい平板状要素コイルの3点(中心位置、「D/2+S」の位置、左右端の位置)を通過した場合の導電性板材の発熱量が、中心位置:2、「D/2+S」の位置:3、左右端の位置:1であり、小さい平板状要素コイルの2点(中心位置、左右端の位置)を通過した倍の導電性板材の発熱量が、中心位置:2、左右端の位置:1であるため、
図8に示すコイル群構成では、搬送通路を通過した導電性板材の各部の合計発熱量は
図8の下側に示す値となる。
【0047】
また、各コイルユニットを2つ以上の平板状要素コイルで構成する場合には、各平板状要素コイルに流す電流を制御することによって磁束を調整して導電性板材Wの幅方向における温度分布を制御することもできる。
【0048】
また、搬送通路2において導電性板材の通過の邪魔にならない部分においては、上下に配置されたコイル収容容器の側壁を互いに接続するようにしても良い。このように上下のコイル収容容器の側壁同士を接続することで、平板状要素コイルにより発生した磁束が通る磁路の磁気抵抗を一層小さくし、力率を高くして加熱効率をより一層改善することができる。
【0049】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。