(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
このタイプのコネクタ装置は、100アンペア程度の大電流を中継するために使用されることがある。従って、メンテナンス作業を行う作業者の安全を考慮した機構を備える必要がある。このタイプのコネクタ装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたレバー嵌合式電源回路遮断装置(コネクタ装置)は、一方のコネクタと、他方のコネクタと、レバーとを備えている(
図27参照)。レバーは、一方のコネクタに操作可能に支持されている。また、レバーにはカム溝が設けられており、他方のコネクタにはカムピンが設けられている。カムピンは、カム溝に挿入されている。一方のコネクタには、電源回路の一部を構成する雄端子(電源端子)が設けられている(図示せず)。レバーには、嵌合検知雄端子(検知端子)が設けられている(図示せず)。他方のコネクタには、電源回路の一部を構成する雌端子(電源端子)と嵌合検知雌端子(検知端子)とが設けられている(図示せず)。
【0004】
図27(a)及び
図27(b)から理解されるように、レバーを押し下げると、一方のコネクタが下方に移動し、雄端子と雌端子とが接続される。これにより、電源回路が形成される。
図27(b)及び
図27(c)から理解されるように、レバーを水平に移動させると(即ち、スライドさせると)、嵌合検知雄端子と嵌合検知雌端子が接続され、これによって電源回路が通電状態となる。通電を停止する際(例えば、一方のコネクタを他方のコネクタから外す際)には、以上の操作が逆の順番で行われる。具体的には、まず、レバーを接続時の方向と逆方向にスライドさせ、嵌合検知雄端子と嵌合検知雌端子との接続を解除する。次に、レバーを持ちあげて、雄端子と雄端子との接続を解除する。
【0005】
以上の説明から理解されるように、特許文献1のコネクタ装置においては、電源端子の接続によって電源回路が形成され(即ち、通電可能な状態になり)、検知端子の接続によって通電可能な状態であることが検知されて通電が開始される。換言すれば、電源端子が接続していたとしても、検知端子が接続していない限り通電されない。一方、通電を停止する場合には、まず検知端子の接続が解除されることによって通電を停止すべき状態であることが検知され、これにより通電が停止される。その後、電源端子の接続が解除されることによって電源回路が遮断される。
【0006】
以上の説明から理解されるように、検知端子の接続の解除から通電の停止までには、時間を要する。更に、通電が停止されてから電源回路の電流が放電されるまでにも、時間を要する。従って、検知端子の接続解除から電源端子の接続解除までの時間を十分に確保することにより(即ち、検知端子の接続解除タイミングと電源端子の接続解除タイミングとを確実にずらすことにより)、作業の安全性を向上させることができる。例えばメンテナンスのために一方のコネクタを他方のコネクタから外す場合でも、作業者は感電するおそれなく安全に作業を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の一方のコネクタを他方のコネクタから外す際、レバーを一気に持ちあげることができる。詳しくは、レバーを一気にスライドさせると、レバーが上方に持ちあがってしまい、電源端子の接続解除と検知端子の接続解除とが一体的な操作により殆ど時間差なく行われる。この場合、作業者が一方のコネクタを他方のコネクタから外す際に感電するおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、電源システムから供給される電力を中継するコネクタ装置であって、検知端子の接続解除から電源端子の接続解除までの充分な時間を、より確実に得ることができるコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、第1のコネクタ装置として、
第1コネクタと、第2コネクタと、操作部材と、イジェクト部材と、禁止機構とを備えるコネクタ装置であって
前記第1コネクタは、第1電源端子と、第1検知端子と、第1ガイド部と、第2ガイド部とを備えており、
前記第2コネクタは、第2電源端子と、第2検知端子とを備えており、嵌合方向において前記第1コネクタと接続され、前記嵌合方向と反対の方向である抜去方向において前記第1コネクタから抜去されるものであり、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが接続されている接続状態において、前記第1電源端子と第2電源端子とは電気的に接続されると共に、前記第1検知端子及び前記第2検知端子とは電気的に接続されており、
前記操作部材は、被ガイド部を備えており、
前記第1ガイド部は前記被ガイド部が第1通路を通るように前記被ガイド部をガイドする一方、前記第2ガイド部は前記被ガイド部が第2通路を通るように前記被ガイド部をガイドするものであり、
前記接続状態において、前記禁止機構は、前記被ガイド部が前記第2通路を通ることを禁止しており、
前記禁止機構による前記禁止を解除した後に、前記嵌合方向において前記被ガイド部が前記第1通路を通って前記第1通路の終端まで変位すると、前記イジェクト部材は、前記第1電源端子と前記第2電源端子との電気的接続が維持される一方、前記第1検知端子と前記第2検知端子との電気的接続が解除される位置へ前記第2コネクタを前記抜去方向において変位させ、
前記第1通路の終端まで変位した前記被ガイド部が前記抜去方向において変位した後に、前記嵌合方向において前記被ガイド部が前記第2通路を通って前記第2通路の終端まで変位すると、前記イジェクト部材は、前記第1検知端子と前記第2検知端子との電気的接続及び前記第1電源端子と前記第2電源端子との電気的接続が共に解除される位置へ前記第2コネクタを前記抜去方向において変位させる
コネクタ装置が得られる。
【0011】
本発明によれば、第2のコネクタ装置として、第1のコネクタ装置であって、
前記操作部材を前記抜去方向に常時付勢する付勢部材を更に備えている
コネクタ装置が得られる。
【0012】
本発明によれば、第3のコネクタ装置として、第1又は第2のコネクタ装置であって、
前記第1ガイド部は、前記嵌合方向と直交する所定方向において前記第2ガイド部よりも外側に位置しており、
前記第1通路は、前記第1ガイド部の前記所定方向における外側に設けられており、前記第2通路は、前記第2ガイド部の前記所定方向における内側に設けられている
コネクタ装置が得られる。
【0013】
本発明によれば、第4のコネクタ装置として、第3のコネクタ装置であって、
前記第1通路の前記嵌合方向における終端まで変位した前記被ガイド部は、再び、前記第1通路を通って前記抜去方向へ変位する
コネクタ装置が得られる。
【0014】
本発明によれば、第5のコネクタ装置として、第1乃至第4のいずれかのコネクタ装置であって、
前記操作部材は、ロック部と、前記嵌合方向において変位可能なボタン部とを備えており、
前記ロック部には、前記被ガイド部と、係止部とが設けられており、
前記第2コネクタには、被係止部が設けられており、
前記係止部及び前記被係止部は前記禁止機構を構成しており、
前記ロック部は、前記接続状態において係止位置に位置しており、且つ、解除位置に位置するように操作することが可能であり、
前記ロック部が前記係止位置に位置しているとき、前記ボタン部を前記嵌合方向において変位させようとすると前記係止部が前記被係止部と係止することによって前記ボタン部の前記嵌合方向への変位が禁止され、
前記ロック部を前記解除位置に位置するように操作すると、前記係止部は前記被係止部と係止不可能となり、前記ロック部を前記嵌合方向に操作した場合に前記第1通路及び前記第2通路のうちの前記第1通路のみに進入可能となる位置へ前記被ガイド部が変位する
コネクタ装置が得られる。
【0015】
本発明によれば、第6のコネクタ装置として、第5のコネクタ装置であって、
前記接続状態において、前記係止部と前記被係止部とは、前記嵌合方向において離れている
コネクタ装置が得られる。
【0016】
本発明によれば、第7のコネクタ装置として、第6のコネクタ装置であって、
前記ロック部が前記解除位置にある状態において、前記第2コネクタを前記嵌合方向に変位させると、前記係止部は前記被係止部と再び前記係止が可能な状態となる
コネクタ装置が得られる。
【0017】
本発明によれば、第8のコネクタ装置として、第1乃至第7のいずれかのコネクタ装置であって、
前記操作部材は、支持部を有しており、
前記第2コネクタは、被押圧部を有しており、
前記イジェクト部材は、力受部と支点部と作用部とを有しており、
前記嵌合方向と直交する方向において、前記支点部は前記力受部と前記作用部との間に位置しており、且つ、前記支点部と前記力受部との間の距離は前記支点部と前記作用部との間の距離よりも大きく、
前記力受部が前記支持部によって前記嵌合方向に押圧されて変位すると、前記作用部は前記被押圧部を前記抜去方向に押圧し、これにより前記第2コネクタを前記抜去方向に変位させる
コネクタ装置が得られる。
【0018】
本発明によれば、第9のコネクタ装置として、第8のコネクタ装置であって、
前記作用部の前記嵌合方向への変位を規制する規制部を更に備えている
コネクタ装置が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、接続状態においてボタン部の嵌合方向への操作が禁止される一方でロック部を操作することにより当該禁止を解除することができるように構成し、且つ、当該禁止が解除された後の状態においては、当該ロック部の被ガイド部を、(1)嵌合方向において第1通路の終端まで変位させ、第1検知端子と第2検知端子との接続を解除し、(2)一旦、抜去方向へ変位させ、(3)再度嵌合方向に変位させて、第2通路の終端に位置させ、第1電源端子と第2電源端子との接続を解除するように構成した。即ち、本発明によれば、第1コネクタと第2コネクタとの電気的接続を完全に解除するためには、ロック部を嵌合方向において操作して検知端子同士の電気的接続を解除した後に、一旦抜去方向へ変位させ、再度嵌合方向へと変位させてから電源端子同士の電気的接続を解除することとしているため、検知端子の接続解除から電源端子の接続解除までの時間を十分に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1乃至
図3から理解されるように、本発明の実施の形態によるコネクタ装置1は、例えば電気自動車(図示せず)に取り付けられ、電源システム(図示せず)から供給された電力を、図示しない対象物(例えば、電気自動車のモーター)に中継するように構成されている。本実施の形態によるコネクタ装置1は、第1コネクタ10と、第2コネクタ20と、樹脂等の絶縁性材料からなる操作部材30と、樹脂等の絶縁性材料からなるイジェクト部材40と、弾性を有し操作部材30を常時付勢する(即ち、操作部材30を第2コネクタ20の抜去方向に向けて常時押圧する)付勢部材(スプリング)60とを備えている。
【0022】
図8に示されるように、コネクタ装置1は、前後方向(Y方向)に長く、幅方向(X方向)に短い直方体形状を有している。換言すれば、コネクタ装置1は、上下方向(Z方向)と直交する平面において、矩形形状の外形を有している。
【0023】
図2に示されるように、本実施の形態による第1コネクタ10は、樹脂等の絶縁性材料からなる第1ハウジング100と、導電性材料からなる2つの第1電源端子11と、第1検知端子12と、操作部材30と、イジェクト部材40と、スプリング60とを備えている。第1電源端子11のそれぞれには第1電源ケーブル13が接続されている。第1検知端子12は、導電性材料からなり、第1検知ケーブル14が接続された2つのコンタクト(図示せず)を有している。なお、2つのコンタクトは、互いに離れるようにして設けられている(図示せず)。
【0024】
図2及び
図9に示されるように、第1ハウジング100は、Y方向に長くX方向に短い直方体形状を有しており、前側面102と、横側面104と、後側面108と、底側面109とを有している。
図2によく示されるように、第1ハウジング100の前側面102の上側約半分は側面が形成されておらず、開放部110が形成されている。
図2及び
図9に示されるように、開放部110は、第1ハウジング100を正面(前方)から見た場合に、下側面120と、第1側面121及び第2側面122とからなる略コの字形状を有していると見ることもできる。本実施の形態において、第1側面121には、X方向において互いに近づくように突き出した2つのガイド凸部130が形成されている。ガイド凸部130は、第1側面121の上端からZ方向において下側面120まで延びており、Y方向において下側面120よりも厚みが小さい。
【0025】
図2に示されるように、ガイド凸部130は、第1ガイド部131と、第2ガイド部132と、横側面136と曲面138とを有している。第1ガイド部131は、ガイド凸部130の前側面(+Y方向の側面)に形成されており、第2ガイド部132は、ガイド凸部130の後ろ側面(−Y方向の側面)に形成されている。即ち、第1ガイド部131は、Y方向において第2ガイド部132よりも外側に位置している。曲面138はガイド凸部130の上端に位置しており、
図9から理解されるように、上方に向かってなだらかな凸状となるように形成されている。
【0026】
横側面104の夫々にはY方向中央においてZ方向に延びる段差が設けられており、横側面104のうち、当該段差を境にして前側に位置する部分は、X方向に若干出っ張っており、且つ上部には上方に張り出した張出部106が設けられている。
図13に示されるように、第1ハウジング100の−X方向における横側面104にはX方向外側に張り出すフランジ70が形成されており、取付孔71が形成されている。例えば、取付孔71をねじ止め等することにより、第1コネクタ10(第1ハウジング100)を車体等に固定することができる。更に、
図9から理解されるように、底側面109には、2つの電源端子保持孔111と、1つの検知端子保持孔112が形成されている。電源端子保持孔111及び検知端子保持孔112は、第1ハウジング100の底側面109(即ち、−Z側の端部)を貫通するようにして形成されている。検知端子保持孔112は、Y方向において、2つの電源端子部保持孔111の間に位置している。電源端子保持孔111は、第1電源端子11を夫々保持しており、検知端子保持孔112は、第1検知端子12を保持している。
【0027】
図2及び
図24から理解されるように、第1電源端子11及び第1検知端子12は、下方から(即ち、−Z側から)第1ハウジング100の電源端子保持孔111及び検知端子保持孔112に(即ち、第1ハウジング100に)、夫々取り付けられ固定されている。第1ハウジング100に取り付けられた第1電源端子11及び第1検知端子12は、−Z方向に沿って延びている。
【0028】
第1電源端子11は、電源システム(図示せず)と接続可能である。詳しくは、コネクタ装置1が使用される使用状態において、第1電源端子11の一方は、電力を供給する電源システムに接続され、第1電源端子11の他方は、電力が供給される対象物(図示せず)に接続される。使用状態において、第1検知端子12の2つのコンタクトは、制御機構(図示せず)に接続されている。制御機構は、第1検知端子12の2つのコンタクトが接続されているか(即ち、導通しているか)否かを検知可能に構成されている。
【0029】
図2及び
図9に示されるように、第1ハウジング100の内部には、第2コネクタ20と、操作部材30と、スプリング60を収容するための空間が形成されている。本実施の形態において、前側面102の裏側の面である前側内側面103と第2ガイド部132とは同一面(即ち、前側内側面103と第2ガイド部132との間に段差が無く連続した面)である。横側面104の裏側の面である横側内側面105には、夫々、ガイド溝114と、規制部115と、支持凸部116(
図11参照)とが形成されている。即ち、第1ハウジング100は、ガイド溝114と、規制部115と、支持凸部116(
図11参照)とを2つずつ有している。
【0030】
本実施の形態において、2つのガイド溝114は、
図2及び
図13から理解されるように、Y方向において同じ位置に位置するようにして(即ち、互いに向かい合うようにして)、X方向外側に凹みつつ、Z方向に延びて上方に向かって(即ち、+Z方向に)開口している。
【0031】
図2及び
図13に示されるように、また、2つの規制部115も、Y方向において同じ位置に位置するようにして(即ち、互いに向かい合うようにして)、X方向内側に突出しつつ(互いに近づくように)、Z方向において(即ち、+Z方向に)第1ハウジング100の上端まで延びている。
図11に示されるように2つの規制部115の下端は、横側内側面105のZ方向における中間部分まで延びている(
図11参照)。
【0032】
支持凸部116もまた、Y方向において同じ位置に位置するようにして(即ち、互いに向かい合うようにして)、X方向内側に突出しつつ(互いに近づくように)、底側面109からZ方向において(即ち、+Z方向に)延びている。本実施の形態による支持凸部116の上端部分は、半円形状に形成されている(
図11参照)。
【0033】
図4乃至
図6に示されるように、操作部材30は、ボタン部300と、ロック部350とを備えている。ボタン部300は、基部302と、基部302の上部に設けられているボタン部上部304とを備えている。基部302の底部には上方において凹むようにして形成された空間内に下方に突出する凸部303(
図9参照)が形成されており、基部302の後側(−Y側の側面)には規制部306が形成されている。基部302の前側面(+Y側の側面)には保持溝310が形成されており、保持溝310は、X方向に延び且つ−Y方向に凹むように形成されている。基部302の両側面(X方向の側面)のうち保持溝310よりも上部にはボタン部上部304が形成されている。ボタン部上部304は、X方向に延びる押圧部320と、Z方向に延び且つ基部302と押圧部320を連結するガイド凸部330とを有している。換言すれば、ボタン部上部304は、XZ平面において略コの字形状を有している。ガイド凸部330は、X方向において外側に突出するように設けられている。また、押圧部320の前端(+Y方向の端部)には角を削るようにして形成された曲面322が設けられている。
【0034】
図4乃至
図6に示されるように、ロック部350は、ボタン部300の基部302の後端(−Y方向の端部)から上方に延びる垂直部352と、垂直部352の上端に形成されているロック部上部354とを備えている。
図5からも理解されるようにロック部上部354は、ボタン部300のガイド凸部330と押圧部320とで囲まれた領域を突き抜けるようにして、YZ平面において(
図5に図示される面において)曲線を描きながら+Y方向に延びている。ロック部上部354は、X方向において外側に突出する係止部380(相手側と係わり合って止まる部分)を有している。係止部380の下端には係止面382が形成されている。係止面382(相手側と接触する面)は、+Y方向において斜め上方に向けて若干の傾斜が設けられており、X方向において垂直部352まで延びるように形成されている。係止部380の後側(即ち、−Y方向における側面)には係止部曲面384が形成されており、前側には規制部356が形成されている。一方、ロック部上部354の先端(+Y方向の前側部分)には、押圧部360と、被ガイド部370とが形成されている。被ガイド部370は、X方向において外側に突出している。また、被ガイド部370の下端372は曲面となるように形成されている。
図5によく示されるように、Y方向において、垂直部352と、係止部380とはボタン部300のガイド凸部330よりも後側に位置しており、押圧部360と、被ガイド部370とは、ガイド凸部330よりも前側に位置している。また、ロック部350の押圧部360の高さは、ボタン部300の押圧部320の高さより若干高い位置にある。かかる操作部材30においては、
図5からも理解されるように、ロック部350は、前方に(即ち、+Y方向に)弾性変形が可能である。このとき、被ガイド部370は、基部302と垂直部352との境界部を中心とした略円弧上を変位することとなる。また、本実施の形態においては、被ガイド部370が前方に変位した際、垂直部352の復元力により、被ガイド部370は元の位置(即ち
図5に示される位置)に戻ろうとする。なお、本実施の形態においては、基部302の規制部306と、ロック部350の規制部356とが接触することにより、被ガイド部370の前方における過剰な変位が防止される。
【0035】
図7に示されるように、イジェクト部材40は、シャフト410と、当該シャフト410に連結された2つのアーム420を有しており、Z方向においてイジェクト部材40を上から見た場合に略コの字形状を有している。シャフト410は、円柱形状のものであり、端部412がアーム420を貫通するようにしてX方向に延びている。アーム420の夫々の内側には、凹部424と、凹部426とが形成されている。凹部424は、アーム420のシャフト410とY方向において反対側に設けられており、X方向において外側に向かって凹み且つアーム420の上端から下方に向けても凹むように形成されている。凹部424の底部は後述する押圧部(作用部)430として機能する。凹部426は、Y方向において、凹部424とシャフト410との間に形成されており、アーム420の下端から上方に凹むように形成されている。アーム420の夫々の外側には、ガイド溝422が形成されている。ガイド溝422は、アーム420の下端及び上端で開放されるようにZ方向に連続して形成されている。ガイド溝422もまた、Y方向において、凹部424とシャフト410との間に形成されている。なお、凹部424、凹部426、ガイド溝422の役割についての詳細は後述する。
【0036】
以上説明した第1コネクタ10は、次のようにして組み立てられる。
図2及び
図9に示されるように、第1ハウジング100内のスプリング収容部118には上方に突出する凸部117(
図24参照)が形成されており、スプリング60は当該凸部117に取付けられる。次に、操作部材30及びイジェクト部材40は、イジェクト部材40のシャフト410を操作部材30の保持溝310に挿入した状態で第1ハウジング100に挿入し保持させる。第1ハウジング100へ挿入する際には、イジェクト部材40のシャフト410の端部412と操作部材30のガイド突部330とがZ方向に一直線上に並ぶように維持しつつ、更にイジェクト部材40のガイド溝422もZ方向に延びるように(即ち、イジェクト部材40をX方向と略水平になるように)維持しつつ、端部412とガイド突部330とを第1ハウジング100のガイド溝114に沿うようにして挿入すると共に、第1ハウジング100の規制部115がガイド溝422を沿うようにして、操作部材30とイジェクト部材40とを第1ハウジング100に取付ける。なお、このとき、操作部材30の凸部303は、スプリング60の上部に挿入され、凸部303と、凸部117(
図24参照)とをスプリング60に挿入することにより、スプリング60の脱落が防止される。上記の挿入の作業は、スプリング60からの反力を受けながら行うこととなる。以上の組み立て方法からも理解されるように、本実施の形態における操作部材30の保持溝310(
図5参照)の最奥部は、Y方向において少なくともガイド凸部330の後側面(−Y方向における側面)と同じ位置まで達している必要がある。また、イジェクト部材40のシャフト410における端部412とガイド溝422の距離は、第1ハウジング100のガイド溝114と規制部115との距離に等しい。このようにして、操作部材30とイジェクト部材40とが第1ハウジング100に取付けられた状態においては、例えば、
図11に示されるように、スプリング60は、操作部材30を常に上方に押圧していることから、操作部材30は上方に押し上げられることとなる。操作部材30が上方に持ち上げられることに伴って、イジェクト部材40のシャフト410も上方に持ち上げられることから、第1ハウジング100の支持凸部116を支点としてイジェクト部材40の押圧部430は下方へ下がり、イジェクト部材40全体としては後方(−Y方向)において斜め下方に傾くこととなる。なお、この状態において操作部材30を更に上方に変位させようとすると(例えば無理やりに第1ハウジング100から取り出そうとすると)、規制部115がイジェクト部材40と接触するため(即ち、規制部115がガイド溝422を通過することができないため)、操作部材30が第1ハウジング100から抜けてしまうことが防止される。
図11及び
図25から理解されるように、
図11に示される操作部材30を下方へ(スプリング60の反力に逆らうようにして)押圧すると、支持凸部116を支点としてイジェクト部材40のシャフト410は下方に下がることから、イジェクト部材40の押圧部430は上方へ持ち上げられる。換言すれば、本実施の形態においては、Y方向において支持凸部116は、シャフト410と押圧部430との間に位置していることから、操作部材30を下方に押圧することによって、イジェクト部材40を梃子のように利用することができる。本実施の形態においては、支持凸部116とシャフト410との間の距離は、支持凸部116と押圧部430との距離よりも大きいことから、操作部材30に加える力(押圧するために必要な力)が小さいものであっても、押圧部430による上方への力を大きなものとすることができる。
【0037】
本実施の形態においては、第2コネクタ20が挿入されていない状態においては、操作部材30を下方に変位させた場合(例えばボタン部300を押圧した場合)、ロック部350の被ガイド部370は第2ガイド部132に沿って、操作部材30の底部が第1ハウジング100の底部と接触するまで、操作部材30を押し下げることができる。また、ロック部350を前方に向けて押圧するようにして操作部材30を下方へ変位させようとすると、被ガイド部370は、第1ガイド部131にガイドされるようにして、操作部材30を下方へ変位させることができる。即ち、第2コネクタ20と接続される前の状態であればロック部350の被ガイド部370は、第1ガイド部131及び第2ガイド部132の両方にガイドさせることができる。
【0038】
図3及び
図9に示されるように、第2コネクタ20は、第2電源端子21と、第2検知端子22と、第2ハウジング200とを備えている。第2ハウジング200は、第2電源端子21を収容保持する収容部202と、蓋部204とからなるものである。第2電源端子21は、X方向に幅のある略コの字形状を有している。2つの下方に延びる部分の夫々のX方向端部には圧入部23が形成されている。第2検知端子22は、略フォーク形状を有しており、上部には圧入部25が形成されている。
【0039】
収容部202は、前側面205と、一対の横側面206と、後側面207と、下側面208とを有する略箱状形状を有しており、その内部には、第2電源端子21を挿入するための電源端子保持部210が設けられている。
図9に示されているように、電源端子保持部210にはZ方向において第2ハウジング200を貫通する保持孔212が形成されており、
図3に示されるように、第2電源端子21は当該保持孔212に挿入され、圧入部23によって保持孔212内に固定される。一方、
図10によく示されているように、第2ハウジング200の底部には、第2検知端子22を圧入して保持させるための検知端子保持部220が形成されており、Z方向において第2ハウジング200を貫通する保持孔222が形成されている。第2検知端子22は、下方から当該保持孔222に挿入され、圧入部25によって保持孔222内に固定される。
【0040】
収容部202の前側面205の上部のX方向両側には被係止部230が形成されている。
図3及び
図12に示されるように、被係止部230は、X方向に沿って見た場合に上側面232と、前側面234と、下側斜面236とを有し、第2ハウジング200の前側面205からX方向に突出する略台形形状の突起である。前側面205の裏側(即ち、前側面205の−Y方向における反対側の面にはガイド溝248が形成されている。一方、
図3に示されるように、横側面206の夫々には、Y方向において外側に突出する3つの凸部241と、ガイド溝240と、2つの被係止部246と、被押圧部242とが形成されている。ガイド溝240は、3つの凸部241のうち最も前方に位置する凸部241(即ち、+Y方向において先頭に形成されている凸部241)に形成されており、当該凸部241の上端及び下端において開放されるようにしてZ方向に延びている。2つの被係止部246は、X方向において突出しており、3つの凸部241の間に夫々1つずつ位置している。被押圧部242は、3つの凸部241のうち中央の凸部241の下端から連続して下方に延びるように形成されている。被押圧部242は、凸部241よりは突出量は少ないもののX方向において外側に凸状に形成され、第2ハウジング200のZ方向における中央よりも下まで延びている。
図3及び
図11に示されるように、被押圧部242の下端244には、曲面が形成されている。蓋部204は、第2電源端子21が収容部202に収容された状態において、当該収容部202に蓋をして第2電源端子21の露出を避けるものである。蓋部204には、前端の中央に設けられ下方に延びるガイド凸部252と、横端から下方へ延びる2つの係止部254とが形成されている。係止部254の夫々は、略コの字形状を有している。蓋部204を収容部202に取付ける際には、蓋部204のガイド凸部252と係止部254とが、夫々、収容部202のガイド溝248と被係止部246に対応し、これにより、蓋部204が収容部202に確実に取り付けられる。
【0041】
図1に示されるように、操作部材30が初期位置(
図11参照)にある状態において、−Z方向(嵌合方向)に沿って第2コネクタ20を第1コネクタ10に挿入することによってコネクタ装置1が組み立てられる。このとき、
図13から理解されるように、第1コネクタ10の規制部115が第2コネクタ20のガイド溝240を沿うようにして挿入される。同時に、
図11に示されるように、第2コネクタ20の被係止部230の下側斜面236が操作部材30のロック部350の係止部曲面384と接触し更に下方に向けて力を加えることにより、ロック部350は、当該係止部曲面384を介して+Y方向の力を受けることから前方へ弾性変形する。被係止部230がロック部350の係止部380よりも下方に進むと、ロック部350の垂直部352の復元力により、ロック部350は元に戻り、係止部380も元の位置に変位して被係止部230の上方に位置することとなる。このとき、
図12に示されるように、被係止部230の上側面232と、係止部380の係止面382とは、間に隙間を挟みつつ向かい合っている。第2コネクタ20の被押圧部242の下端244は、イジェクト部材40の押圧部430と接触している。
図9から理解されるように、本実施の形態においては、第2コネクタ20を第1コネクタ10に挿入する際に、先に、第1電源端子11と第2電源端子21とが接触し、次いで、第1検知端子12と第2検知端子22とが接触するように構成されている。これにより、電源経路が確保されてから制御機構による検知が行われ、その後に電力が供給されることとなる。
【0042】
このように、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが接続された状態においては、
図9及び
図10に示されるように、第1電源端子11と第2電源端子21とが電気的に接続され、第1検知端子12と第2検知端子22とが電気的に接続されている(接続状態)。また、
図11乃至
図13に示されるように、操作部材30は、初期位置に位置しており、ロック部350は係止位置(即ち、係止部380と被係止部230とが係わり合ってロックされている位置)に位置している。この状態においては、被係止部230の上側面232と、係止部380の係止面382とは、Z方向において向かい合っている。ここで、操作部材30が初期位置にある場合、操作部材30のボタン部300を下方へ変位することは禁止されている一方で、ロック部350の変形は許容されている。詳しくは、ボタン部300の押圧部320を押圧して操作部材30を下方に押し下げようとすると、被係止部230の上側面232と、係止部380の係止面382とが係止(接触)するため、操作部材30の下方への変位が禁止される。一方、ロック部350の押圧部360を押圧して、前方斜め下方向へ変位させることは可能である。なお、本実施の形態においては、
図13より明らかであるように、ロック部350の被ガイド部370は、第2ガイド部132の内側の第2通路134の上方に位置しており、ガイド凸部130とはZ方向において重なっていない。なお、本実施の形態においては、被係止部230の上側面232と、係止部380の係止面382との間に隙間を設けることとしているため、ロック部350を前方斜め下方向へ変位させることが容易となっている。
【0043】
操作部材30が初期位置にあるときに、被係止部230の上側面232と、係止部380の係止面382との係止(接触)を解除するために、ロック部350の押圧部360を前側(+Y方向)に向けて押圧すると(即ち、ロック部350を係止位置から変形させると)、
図14乃至
図19に示されるように、ロック部350の被ガイド部370は第1ガイド部131の外側の領域である第1通路133のみに進入可能となる。詳しくは、
図21に示されるように、被係止部230が係止部380と係止不可能となる位置(解除位置)へロック部350を操作した場合には、被ガイド部370は第1通路133の上方に位置するように構成されており、そのままロック部350を押圧し続けた場合には第2通路134には進入することができず、第1通路133のみに進入可能となる。換言すれば、本実施の形態においては、被係止部230と、係止部380との係止を解除させた際にロック部350が変形する量と、初期位置における被ガイド部370のある位置から第1通路133の上方までの距離を等しくしている。これにより、被係止部230と係止部380との係止が解除された際には、被ガイド部370は第2ガイド部132によってはガイドされず、必ず第1ガイド部131によってガイドされる位置に変位する。被係止部230と、係止部380との係止が解除された後に更にロック部350の押圧部360を下方へ押圧し続けると、
図17及び
図18に示されるように、被ガイド部370は、第1通路133の終端(第1通路133の下端)まで変位する。このとき、
図17に示されるように、被ガイド部370が第1通路133の終端まで変位したことに伴って、操作部材30が下方に変位する(検知解除位置)。この際、下方に変位した操作部材30の保持溝310によってイジェクト部材40のシャフト410が下方へ押し下げられると共に、押圧部430はその分だけ上方に変位する。第2コネクタ20の被押圧部242は、イジェクト部材40の押圧部430から上向きの力を受けることにより、抜去方向(+Z方向)へ変位する。同時に、
図15及び
図16に示されるように、第1検知端子12及び第2検知端子22との電気的接続(接触)が解除される。本実施の形態においては、操作部材30が初期位置から検知解除位置へ変位するときのZ方向における変位量L2(即ち、第2コネクタ20がイジェクト部材40によって押し上げられる量:
図17参照)は、第1検知端子12及び第2検知端子22とのZ方向における接触幅L1(
図10参照)よりも、大きくなるように設定されている。本実施の形態における被係止部230と係止部380とは、接続状態において、被ガイド部370が第2ガイド部132にガイドされて第2通路134を通ることを禁止しており、且つ被ガイド部370が第1ガイド部131にガイドされて第1通路133を通過することを可能としており、禁止機構として機能している。
【0044】
図19乃至
図22に示されるように、被ガイド部370が第1通路133の終端に位置しているとき(
図15参照)にロック部350の押圧部360の押圧をやめた場合(例えば、押圧部360から指を離した場合)には、スプリング60の復元力により、被ガイド部370は、再び、第1通路133を通って上方へ変位すると共に、操作部材30は上方へ変位して待機位置で停止する。このとき、
図21に示されるように、操作部材30の上方への変位に伴って、イジェクト部材40のシャフト410が持ち上げられ押圧部430は下方へ変位して第2コネクタ20の被押圧部242から離れる。本実施の形態において、初期位置(
図9参照)と待機位置とにおける操作部材30の高さはほぼ等しい。
図21に示されるように、ロック部350の係止部380の係止部曲面384は、第2コネクタ20の被係止部230の前側面234と接触している。従って、図からも明らかである通り、操作部材30が待機位置にある状態においては、ロック部350は変形しており、元の状態(操作部材30が初期位置にあるときのロック部350の状態:
図9参照)には戻っていない。なお、この状態で第2コネクタ20が再度下方へ押圧された場合、第1検知端子12及び第2検知端子22とが再び電気的に接続されると共に、ロック部350は元の位置に戻り、被係止部230と係止部380とは再び係止することとなる。本実施の形態においては、初期位置(
図9参照)と待機位置(
図20参照)とにおける操作部材30の高さはほぼ等しくなるように構成されていたが、例えば、待機位置においては、ロック部350の係止部曲面384が第2コネクタ20の被係止部230の下側斜面236と接触するように構成してもよい。
【0045】
図23乃至
図26に示されるように、待機位置(
図19乃至
図21参照)にある操作部材30を再度下方へ押圧すると(例えば、ボタン部300を押圧すると)、操作部材30は、電源解除位置まで変位する。即ち、ボタン部300の押圧部320を押圧すると係止部380の係止部曲面384が被係止部230の下側斜面236と接触しつつロック部350における垂直部352の弾性変形力によりロック部350が元の位置に戻る(即ち、被ガイド部370が−Y方向に変位する)ことによって、被ガイド部370が第2通路134を通過することが可能になる位置に変位して、
図25に示されるように、被ガイド部370は、第2ガイド部132にガイドされて第2ガイド部132の内側にある第2通路134を通過して当該第2通路134の終端の(第2通路134の下端)まで変位する。このとき操作部材30の底部は第1ハウジング100の底部と接触している。即ち、本実施の形態においては、第1通路133の終端よりも第2通路134の終端の方が下方に位置していることから、操作部材30は、検知解除位置(
図15参照)よりも更に下方へ変位することとなる。換言すれば、操作部材30の初期位置からの下方への変位量は、被ガイド部370が第1ガイド部131にガイドされた場合よりも、第2ガイド部132にガイドされた場合の方が大きい(より下方へ下がる)。従って、
図25からも明らかであるように、イジェクト部材40のシャフト410は検知解除位置に位置していた時よりも更に下方へ押し下げられると共に、押圧部430は第2コネクタ20の被押圧部242を更に上方へ押し上げることとなる。このとき、
図24に示されるように、第1電源端子11と第2電源端子21との電気的接続は解除される。本実施の形態においては、操作部材30が初期位置から電源解除位置へ変位するときのZ方向における変位量L3(即ち、第2コネクタ20がイジェクト部材40によって押し上げられる量:
図25参照)は、第1電源端子11及び第2検知端子22とのZ方向における接触幅(図示せず)よりも、大きくなるように設定されている。
【0046】
以上の操作によって、第2コネクタ20が第1コネクタ10から抜去された後において、第2コネクタ20を第1コネクタ10から取り外すと、操作部材30は、スプリング60の復元力によって、再び初期位置(
図9)へ変位する。
【0047】
上述した実施の形態においては、第1ガイド部131と第2ガイド部132(
図2参照)とは1つのガイド突部130の前後の側面に形成されていたが、第1ガイド部131と第2ガイド部132とを別体としてもよい。また、第1通路133の終端まで変位した被ガイド部370が抜去方向へ変位する際に第1通路133を再び通らなくてもよい。例えば、第1ガイド部と第2ガイド部とを別体とし、被ガイド部が抜去方向へ変位することができるような隙間を当該第1ガイド部と第2ガイド部との間に設けることとしてもよい。