(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水を貯留する貯水タンクと、前記貯水タンクの上方に設けられた水飲み部とを有し、循環ポンプによって前記貯水タンクの水が前記水飲み部に供給されるとともに、前記水飲み部の水が前記水飲み部から排出されて前記貯水タンクに戻るようになっており、かつ設置面に載置されるペット用循環型自動給水器と、
ペットサークルを構成する区画用のサークル壁と、
後側が前記サークル壁に固定されるジョイントとを備え、
前記給水器の背面に一方側係合手段が設けられるとともに、前記ジョイントの前端に他方側係合手段が設けられ、
前記両係合手段が係脱自在に係合されて、前記給水器が前記ジョイントを介して前記サークル壁に連結される一方、
前記ジョイントは、サークル壁の内面側に配置される内側挟持板と、前記サークル壁の外面側に配置される外側挟持板とを備え、両挟持板によって前記サークル壁を挟み込んで前記サークル壁に固定されるように構成され、
前記内側挟持板と前記サークル壁との間に、スペーサが介在されていることを特徴とするペット用循環型自動給水器の取付構造。
前記貯水タンクの背面が平坦面に形成され、その背面が前記サークル壁の内面に沿って配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のペット用循環型自動給水器の取付構造。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に示すような従来の循環型自動給水器を、例えば特許文献2に示すようなペットサークル内に設置する場合、ペットサークル内を動き回る犬猫がぶつかって、循環型自動給水器を転倒させてしまうおそれがある。
【0008】
このため、循環型自動給水器をペットサークル内で固定しておくのが好ましいが、従来においては、適当な固定手段が存在せず、循環型自動給水器をペットサークル内に確実に固定することが困難であるという課題があった。
【0009】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ペット用循環型自動給水器をペットサークル内に確実に固定することができるペット用循環型自動給水器の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
【0011】
[1]水を貯留する貯水タンクと、前記貯水タンクの上方に設けられた水飲み部とを有し、循環ポンプによって前記貯水タンクの水が前記水飲み部に供給されるとともに、前記水飲み部の水が前記水飲み部から排出されて前記貯水タンクに戻るようになっているペット用循環型自動給水器と、
ペットサークルを構成する区画用のサークル壁と、
後側が前記サークル壁に固定されるジョイントとを備え、
前記給水器の背面に一方側係合手段が設けられるとともに、前記ジョイントの前端に他方側係合手段が設けられ、
前記両係合手段が係脱自在に係合されて、前記給水器が前記ジョイントを介して前記サークル壁に連結されていることを特徴とするペット用循環型自動給水器の取付構造。
【0012】
[2]前記一方側係合手段が前記他方側係合手段に対し、上下方向にスライド自在に係合されている前項1に記載のペット用循環型自動給水器の取付構造。
【0013】
[3]前記ジョイントは、サークル壁の内面側に配置される内側挟持板と、前記サークル壁の外面側に配置される外側挟持板とを備え、両挟持板によって前記サークル壁を挟み込んで前記サークル壁に固定されるように構成され、
前記内側挟持板と前記サークル壁との間に、必要に応じてスペーサが介在されていることを特徴とする前項1または2に記載のペット用循環型自動給水器の取付構造。
【0014】
[4]前記一方側係合手段は、互いに平行で上下方向に延びるように配置され、かつ互いに対向する方向および下端がそれぞれ開放された一対の溝部を有し、
前記他方側係合手段は、前後方向に対し直交する板状の抜け止め部を有し、
前記一対の溝部に、その下端開放部から前記抜け止め部の両側部が挿入されることによって、前記抜け止め部が前記一対の溝部に係合されている前項1〜3のいずれか1項に記載のペット用循環型自動給水器の取付構造。
【0015】
[5]前記貯水タンクの背面が平坦面に形成され、その背面が前記サークル壁の内面に沿って配置されている前項1〜4のいずれか1項に記載のペット用循環型自動給水器の取付構造。
【発明の効果】
【0016】
発明[1]のペット用循環型自動給水器の取付構造によれば、給水器をジョイントを介してサークル壁に連結できるため、給水器をペットサークル内に確実に固定することができる。
【0017】
発明[2]のペット用循環型自動給水器の取付構造によれば、サークル壁の構造等によってジョイントをサークル壁の所望の高さ位置に固定できない場合であっても、ジョイントに対し給水器自体を上下にスライド操作することによって、給水器を設置面等に確実に載置することができる。
【0018】
発明[3]のペット用循環型自動給水器の取付構造によれば、スペーサを用いるか否かによって、給水器をサークル壁に対し近接状態でも離間状態でもいずれの状態にも固定できるため、ペットサークルの種類にかかわらず、給水器をペットサークル内の所望の位置に固定することができる。
【0019】
発明[4]のペット用循環型自動給水器の取付構造によれば、ジョイントに対し給水器を確実に係合させることができ、給水器をペットサークル内に一層確実に固定することができる。
【0020】
発明[5]のペット用循環型自動給水器の取付構造によれば、給水器をペットサークル内に収まり良く設置することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1、
図2Aおよび
図2Bはこの発明の実施形態に用いられたペット用循環型自動給水器Pを示す図、
図3〜
図6は実施形態の給水器Pをペットサークル9に取り付けた状態で示す図である。
【0023】
これらの図に示すように、この実施形態のペット用循環型自動給水器Pは、犬や猫等のペット用として好適に用いられるものである。この給水器Pは、ベースタンク1と、循環ポンプ4と、支持フレーム5と、フィルタートレイ6と、トップファンネル7と、ジョイント8とを基本的な構成要素として備えている。
【0024】
なお、以下の説明においては、発明の理解を容易にするため、
図5に向かって下側を「前側」、上側を「背面側(後側)」、左右の両側を「両側」とし、
図3に向かって下側を「下側」、上側を「上側」として説明する。
【0025】
ベースタンク1は、貯水タンク2と、背面カバー3とを備えた硬質合成樹脂の一体成形品によって構成されている。
【0026】
貯水タンク2は、内部にペット用の飲み水を貯留できるように水密構造となっている。この貯水タンク2の周囲を囲う周壁は、水平断面が略半円状または略半円状「D」の字状に形成されている。すなわち周壁のうち、背面側に配置される背面壁22は、平面視直線状で平板形状を有し、垂直に配置されるようになっている。さらに周壁のうち、背面壁22の前方を覆うように配置される前面壁23は、平面視円弧状で前方に膨出するように形成されている。
【0027】
貯水タンク2内における背面壁22と前面壁23との連結部の一方側には、上下方向に延び、かつ上端が開放された筒状のコード挿通筒部25が形成されている(
図2A参照)。さらに背面壁22におけるコード挿通筒部25の上下両端に対応する位置には、コード挿通筒部25に連通する貫通孔26,26が形成されている(
図2B、
図7参照)。そして貯水タンク2内に配置される後述の循環ポンプ4の送電コードを、例えばコード挿通筒部25の上端開口部から挿入してコード挿通筒部25内に挿通させて、下側の貫通孔26からベースタンク1の背面側に引き出して配置できるようになっている。なお、循環ポンプ4の送電コードを、コード挿通筒部25に通さずに、上側の貫通孔26に通してベースタンク1の背面側に引き出すことも可能である。
【0028】
背面カバー3は、貯水タンク2の背面壁22と一体に形成されるもので、背面壁22の上端縁から上方に延びるように配置されている。換言すれば、背面カバー3は、背面壁22の上方への延長線状に沿って一体に形成されている。
【0029】
背面カバー3は、背面壁22と同様に、平板形状を有し、貯水タンク2の後方上側部を遮るように垂直に配置されている。なお、この背面カバー3は、後述する水飲み部72の背面側において、水飲み部72の上方から両側方にかけての領域を閉塞するように配置されるものである。
【0030】
背面カバー3は、その上側縁部が略円弧状に形成されており、上部中間部に、横方向に延びる楕円形ないし長円形の貫通孔31が形成されている。この貫通孔31は、数本の指を挿入できるように構成されており、指を挿入して、その指を背面カバー3における貫通孔31の開口縁部上側に引っ掛けることにより、貫通孔31を循環型自動給水器Pを持ち運びする際の把手として利用することができる。
【0031】
なお、ベースタンク1の背面壁22の背面(外面)中間には、後述するジョイント8を着脱自在に係合するためのジョイント受け部10が一体に形成されているが、その詳細な構成については、後に詳述するものとする。
【0032】
図2A、
図2Bおよび
図6に示すように、循環ポンプ4は、小型の水中ポンプによって構成されるもので、駆動することによって、吸込口(図示省略)から吸い込んだ水を所定の水圧で吐出口45から放出するようになっている。
【0033】
また循環ポンプ4の吐出口45には、L字状の連結パイプ41の一端が連結されるとともに、他端開口部が上向きに配置されている。
【0034】
この循環ポンプ4の連結パイプ41の他端開口部は、後に詳述するように、トップファンネル7の送水パイプ75に連結されて連通されるものである。
【0035】
図1〜
図6に示すように、支持フレーム5は、硬質合成樹脂の一体成形品によって構成されている。
【0036】
この支持フレーム5は、平面視において、ベースタンク1の貯水タンク2の上端開口形状に倣って外周形状が略半円状に形成されている。すなわち支持フレーム5は、貯水タンク2の前面壁23の上端縁形状に倣う略半円弧状の前フレーム部23と、前フレーム部53の両端部間を連結し、かつ貯水タンク2の背面壁22の内面に対応する後フレーム部52とを有している。
【0037】
この支持フレーム5の内側には、平面視において、略半円状のトレイ設置凹部55が形成されている。
【0038】
トレイ設置凹部55の底部には、前フレーム部23の円弧中心に相当する位置に対応して、パイプ設置孔56が形成されている。さらにトレイ設置凹部55の底部におけるパイプ設置孔56の周囲には、通水孔58が形成されている。
【0039】
支持フレーム5における前フレーム部53の下端部54は、貯水タンク2の前面壁23の内側に嵌合できるように内側に凹陥形成されている。そしてこの前フレーム部53の外周下端部54および後フレーム部22が、貯水タンク2の上端開口部内に嵌め込まれて、前フレーム部23の上側部が貯水タンク2の前面壁23の上端縁に載置されることによって、支持フレーム5がベースタンク1の貯水タンク2の上端開口部に適合状態に取り付けられる。
【0040】
なお図示は省略するが、支持フレーム5における前フレーム部53の下端部54および後フレーム部22の外面には、係合爪が形成されるとともに、その係合爪に対応して、ベースタンク1には、係合孔や係合凹部等の被係合部が形成されている。従って支持フレーム5を貯水タンク2の上端開口部に嵌め込んだ際には、上記係合爪が被係合部に弾性係合することによって、支持フレーム5がベースタンク1の貯水タンク2の上端開口部に配置された状態で固定されるようになっている。
【0041】
またこの固定状態から少し強い力で支持フレーム5をベースタンク1から引き抜けば、上記弾性係合が解除されて、支持フレーム5をベースタンク1から取り外すことができるようになっている。
【0042】
図2Aおよび
図2Bに示すように、フィルタートレイ6は、平面視において、支持フレーム5のトレイ設置凹部55の形状に対応して略半円状に形成されており、支持フレーム5のパイプ設置孔56に対応する部分、つまり円弧中心に相当する部分に切欠凹部61が形成されている。
【0043】
さらにこのフィルタートレイ6の底壁には、底壁のほぼ全域にわたって多数の通水孔68が形成されている。
【0044】
このフィルタートレイ6は、その内部に不織布等の濾過材(図示省略)が収容された状態で、支持フレーム5のトレイ設置凹部55内に適合状態に収容されている。
【0045】
図1〜
図6に示すように、トップファンネル7は、平面視において、支持フレーム5の内周形状に倣って、略半円状に形成された水飲み部72と、水飲み部72の下面側における円弧中心に相当する位置から垂直下方に延びる送水パイプ75とを備えた硬質合成樹脂の一体成形品によって構成されている。
【0046】
送水パイプ75の上端開口部は、水飲み部72の上面側に開放されており、放水口76として構成されている。
【0047】
水飲み部72は、放水口76の位置が最低位となるように滑らかな凹状に形成され、ペットの水飲み用のボウルとして機能するものである。さらに水飲み部72には外周壁が設けられており、その外周壁のうち前側の円弧状の外周壁部分には、周方向に沿って所定の間隔おきに複数の排水凹部73が形成されている。なお外周壁のうち後側の外周壁部分は、前側の外周壁部分に比べて高さが高く形成されており、後述するように、水飲み部72に供給された水が、後側の外周壁部分から溢れ出さないようになっている。
【0048】
そして送水パイプ75の下端部が、上記支持フレーム5のパイプ設置孔56に上面側から挿入されて、トップファンネル7が支持フレーム5の内側に適合配置された状態に組み付けられる。
【0049】
なお
図6に示すようにトップファンネル7を支持フレーム5に組み付ける際に、送水パイプ75の下端部を、上記循環ポンプ4の連結パイプ41の他端部に嵌め込むことにより、循環ポンプ4の吐出口45が連結パイプ41および送水パイプ75を介してトップファンネル7の放水口76に連通接続されることになる。
【0050】
さらにトップファンネル7を支持フレーム5に組み付けた状態では、トップファンネル7の円弧状前周縁部と、支持フレーム5の前フレーム部53の内側との間に隙間が形成されて、この隙間が排水路74として構成されている(
図6参照)。そして後述するように、トップファンネル7の円弧状前周縁部から溢れ出した水が、上記排水路74を通って、支持フレーム5内のフィルタートレイ6内に導かれるようになっている。
【0051】
以上の構成の本実施形態の循環型自動給水器Pにおいて、ベースタンク1の貯水タンク2内に飲み水を貯留した状態で、循環ポンプ4を駆動すると、貯水タンク2内の水が循環ポンプ4によって送り出されて、連結パイプ41を通ってトップファンネル7の送水パイプ75に導入され、さらにその水が放水口76から放水されて水飲み部72内に供給される。さらに水飲み部72へに水が供給し続けられると、水飲み部72の水が溢れて、円弧状前周縁部の排水凹部73を通って、水飲み部72の外側に排出される。こうして水飲み部72から排出された水は、トップファンネル7の円弧状前周縁部と支持フレーム5の前フレーム部53との間の排水路74を通ってフィルタートレイ6内に導かれる。さらにフィルタートレイ6内に導かれた水は、トレイ6内の濾過材(図示省略)を通って濾過された後、トレイ6の通水孔68および支持フレーム5の通水孔58を通って貯水タンク2内に戻される。
【0052】
このように本実施形態の循環型自動給水器Pは、貯水タンク2と水飲み部72との間で水が循環されるようになっている。さらにこうして水を循環させておいて、水飲み部72を流通する水を犬や猫等のペットに飲用させるようにしている。
【0053】
ここで、本実施形態の給水器Pにおいては、水飲み部72の上方の背面側に背面カバー3が配置される。さらに背面カバー3の左右方向の幅寸法は、水飲み部72の幅寸法よりも大きく形成されており、既述したように背面カバー3が、水飲み部72の背面側において水飲み部72の上方から左右両側方にかけて配置されている。
【0054】
図7は実施形態の給水器Pにおいてベースタンク1およびジョイント8を示す分解斜視図、
図8はジョイント8を分解して示す斜視図、
図9および
図10は給水器Pのペットサークル9との取付部周辺を拡大して示す側面断面図および下面図である。
【0055】
これらの図に示すように、本実施形態の循環型自動給水器Pは、ペットサークル9内に設置する際に、ジョイント8を介して、ペットサークル9のサークル壁91に固定できるようになっている。
【0056】
すなわち給水器Pのベースタンク1における背面壁22の背面(外面)中間には、ジョイント8を着脱自在に係合するためのジョイント受け部10が一体に形成されている。
【0057】
このジョイント受け部10は、背面視逆U字状に形成されており、互いに平行に配置されて上下方向に延びる左右一対の直線状の溝部(両側溝部)11,11と、両側溝部11,11の上端部間を連結し、かつ円弧状に形成された連結溝部15とによって構成されている。
【0058】
両側溝部11,11は、互いに対向する方向にそれぞれ開放し、かつ下端が下方にそれぞれ開放する溝型形状を有している。さらに連結溝部15は、下側に開放する溝型形状を有している。
【0059】
なおジョイント受け部10の両側溝部11,11は、その下端開放部から、後述のジョイント8の円板状抜け止め部83の両側縁部を挿入して係合できるようになっている。さらにジョイント受け部10における円弧状の連結溝部15には、後述のジョイント8の円板状抜け止め部83の外周部上側が適合状態に収容されるようになっている。
【0060】
一方、このジョイント受け部10に係合されるジョイント8は、雄ねじ部材80と、スペーサ84と、外側挟持板85と、ナット86とを備えており、本実施形態において、これらの各部材80,84〜86は、それぞれ硬質合成樹脂の一体成形品によって構成されている。
【0061】
雄ねじ部材80は、矩形状の内側挟持板81を備え、その内側挟持板81の背面側(後面側)の中心位置に背面側に向けて突出するように雄ねじ軸82が一体に形成されている。さらに内側挟持板81の前面側には、軸方向(前後方向)に対し直交する円板状抜け止め部83が一体に形成されている。この円板状抜け止め部83は、外周部が内側挟持板81から離間して配置されている。
【0062】
また
図7および
図8に示すように内側挟持板81の背面には、上下に延びる筋状の滑り止め突起811が横方向(左右方向)に並んで多数形成されている。さらに内側挟持板81の上下両端面における中間位置には、位置決め凹部812,812が形成されている。
【0063】
スペーサ84は、内側挟持板81に対応して矩形状に形成されており、軸方向(前後方向)の厚みが内側挟持板81よりも厚く形成されている。
【0064】
このスペーサ84の中心位置には、前後(表裏)を貫通し、かつ上記雄ねじ軸82を挿通可能な軸挿通孔845が形成されている。
【0065】
スペーサ84の背面には、上下に延びる筋状の滑り止め突起841が横方向(左右方向)に並んで多数形成されている。さらにスペーサ84の上下両端縁における上記内側挟持板81の位置決め凹部812,812に対応する位置には、前方に突出する位置決め突起842,842が一体に形成されている。
【0066】
外側挟持板85は、内側挟持板81に対応して矩形状に形成されており、中心位置に前後(表裏)を貫通する軸挿通孔855が形成されている。
【0067】
さらに外側挟持板85の前面には、上下に延びる筋状の滑り止め突起851が横方向(左右方向)に並んで多数形成されている。
【0068】
締結ナット86は、中央に上記雄ねじ軸82に締結可能な雌ねじが刻設されたねじ切り孔865が形成されている。
【0069】
次に、本実施形態のペット用循環型自動給水器Pが設置されるペットサークル9の構成について説明する。
【0070】
図4〜
図6に示すように、本実施形態に採用されるペットサークル9は、領域を区画するための区画壁としてのサークル壁91を備えている。本実施形態のペットサークル9は、複数のサークル壁91によって周囲が囲まれて形成されており、多くの場合、平面視矩形状に形成されている。サークル壁91は、上下方向に沿って配置される金属製の縦線材92が横方向に所定間隔おきに並んで配置された状態で、各縦線材92の上下両端と、中間部の適当な位置とが、横方向(水平方向)に沿って配置される金属製の横線材93にそれぞれ固定された柵状ないしケージ状に形成されている。
【0071】
さらに本実施形態のペットサークル9は、設置面にトレイ95が設けられる、いわゆるトレイ付きペットサークルである。
【0072】
トレイ付きペットサークル9は、トレイ95の種類によって、サークル壁91とトレイ95との組付構造が異なっており、例えば
図4〜
図6に示すトレイ付きペットサークル9は、トレイ95の周壁96の外側にサークル壁91が配置されるようになっている。また
図11および
図12に示すトレイ付きペットサークル9は、トレイ95の周壁96の内側にサークル壁91が配置されるようになっている。
【0073】
図4〜
図6に示すペットサークル9は、
図11および
図12に示すペットサークル9と比較した場合、トレイ95の周壁96の厚み分だけ、給水器Pをサークル壁91から離間させて配置する必要がある。本実施形態では、
図4〜
図6に示すように給水器Pをサークル壁91から離間させて設置する場合には、スペーサ84を含むジョイント8を用いるのに対し、
図11および
図12に示すように給水器Pをサークル壁91に近接させて設置する場合には、スペーサ84を含まないジョイント8を用いるものである。
【0074】
始めに、
図4〜
図6に示すように、スペーサ84を含むジョイント8を用いて給水器Pをサークル壁91に固定する場合について説明する。なお言うまでもなく、本発明において、給水器Pのペットサークル9への組付手順は、以下に説明する手順に限定されるものではなく、どのような手順で組み付けるようにしても良い。
【0075】
まずジョイント8をペットサークル9に組み付ける。すなわちジョイント8における雄ねじ部材80の雄ねじ軸82を、スペーサ84の軸挿通孔845に挿通して、スペーサ84を雄ねじ部材80の内側挟持板81に重ね合わせるように配置する。このとき、スペーサ84の位置決め突起842を、雄ねじ部材80の位置決め凹部812に係合させることにより、内側挟持板81に対しスペーサ84を位置決めした状態(回り止めした状態)で適合配置する。
【0076】
次に、給水器Pを取り付ける予定の位置において、スペーサ84付きの雄ねじ部材80の雄ねじ軸82をサークル壁91における隣り合う適当な縦線材92,92間に、サークル壁9の内側から挿通して、雄ねじ軸82の先端部をサークル壁91の外側に配置する。この場合、スペーサ84の両側部外面に、上記隣り合う縦線材92,92の内面側がそれぞれ接触するように配置する。
【0077】
次にサークル壁91の外側に配置した外側挟持板85の軸挿通孔855に、上記雄ねじ部材80の雄ねじ軸82の先端部を挿通させるようにして、外側挟持板85をサークル壁91の外面に当接させて、雄ねじ軸82の先端部を外側挟持板85のさらに外側(背面側)に突出させる。この場合、外側挟持板85の両側内面に、上記隣り合う縦線材92,92の外面側がそれぞれ接触するように配置する。
【0078】
続いて、外側挟持板85の外側(背面側)に突出した雄ねじ軸82に締結ナット86を締め付けていき、締結ナット86を外側挟持板85の外面に圧接することにより、スペーサ84を介して外側挟持板85および内側挟持板81によって上記隣り合う縦線材92,92を内外両側から挟持する。これによりジョイント8をサークル壁91に固定する。
【0079】
なお、締結ナット86を強く締結する前に、ジョイント8を縦線材92,92に対し上下に適宜スライドさせることにより、ジョイント8の微妙な位置調整を行ってから、締結ナット86を強く締結すれば、ジョイント8の上下方向の位置合わせを容易に行うことができる。
【0080】
こうしてジョイント8をサークル壁91に固定した後、給水器Pの背面のジョイント受け部10における両側溝部11,11内に、その下端開放部から、ジョイント8の円板状抜け止め部83の両側部が差し込まれるように、給水器Pの両側溝部11,11をジョイント8における円板状抜け止め部83の両側部に外嵌していく。そして両側溝部11,11の上端位置まで抜け止め部83の両側部を外嵌して、円板状抜け止め部83をジョイント受け部10における円弧状連結溝部15内に収容する。これにより給水器Pがジョイント8を介してサークル壁91に取り付けられる。
【0081】
次に、
図11および
図12に示すように給水器Pをサークル壁91に近接させて設置する場合、つまりスペーサ84を含まないジョイント8によって、給水器Pをサークル壁91に固定する場合について説明する。
【0082】
まず給水器Pを取り付ける予定の位置において、スペーサ84を取り付けないままの状態で雄ねじ部材80の雄ねじ軸82をサークル壁91における隣り合う適当な縦線材92,92間に、サークル壁9の内側から挿通して、雄ねじ軸82の先端側をサークル壁91の外側に配置する。この場合、内側挟持板81の両側部背面に、上記隣り合う縦線材92,92の内面側がそれぞれ接触するように配置する。
【0083】
次にサークル壁91の外側に配置した外側挟持板85の軸挿通孔855に、上記雄ねじ部材80の雄ねじ軸82の先端部を挿通させるようにして、外側挟持板85をサークル壁91の外面に当接させる。
【0084】
続いて、雄ねじ軸82の先端部から締結ナット86を締め付けて、外側挟持板85の外面に押圧して、外側挟持板85および内側挟持板81によって上記隣り合う縦線材92,92を挟持する。
【0085】
こうしてサークル壁91に固定したジョイント8に、上記と同様に、給水器Pを固定する。
【0086】
このように本実施形態の給水器Pにおいては、サークル壁91に近接させた状態および離間させた状態のいずれの状態でも固定することができる。
【0087】
なお以上の説明では、
図11および
図12に示すように給水器Pをサークル壁91に近接させて設置可能な場合、スペーサ84を用いずにジョイント8を取り付けるようにしているが、
図11および
図12に示すように給水器Pをサークル壁91に近接させて設置可能な場合であっても、スペーサ84を用いて、給水器Pをサークル壁91から離間させて取り付けるようにしても良い。
【0088】
ここで、本実施形態においては、ジョイント8における雄ねじ軸82および締結ナット86が、内側挟持板81および外側挟持板85でサークル壁91を挟持させるための固定手段を構成するものである。
【0089】
さらに本実施形態においては、ベースタンク1のジョイント受け部10の両側溝部11およびジョイント8の抜け止め部83のうちいずれか一方により、一方側係合手段が構成されるとともに、残り一方により、他方側係合手段が構成されるものである。
【0090】
以上のように本実施形態の循環型自動給水器Pによれば、ペットサークル9の種類に応じて、サークル壁91に対し、近接した状態でも離間した状態でもいずれの状態にも確実に固定することができる。このため、汎用性に優れ、高い商品価値を得ることができる。
【0091】
さらに本実施形態において、給水器Pにおける背面のジョイント受け部10は、サークル壁9に固定されるジョイント8に対し、上下方向にスライド自在に係合されているため、ジョイント8の高さ位置にかかわらず、給水器Pを正規の高さ位置に固定することができる。このため例えば、サークル壁9を構成する横線材93等の位置によって、所望の高さ位置にジョイント8を固定できないような場合でも、給水器Pを上下にスライドさせることにより、給水器Pをトレイ95等の設置面に確実に載置することができる。
【0092】
さらに本実施形態においては、内側挟持板81、スペーサ84および外側挟持板85のサークル壁91との対向面に、滑り止め突起811,841,851を形成しているため、サークル壁91を構成する縦線材92に対し、内側挟持板81、スペーサ84および外側挟持板85が滑って位置ずれするのを防止することができる。このため、ジョイント8をサークル壁91に安定状態で強固に固定でき、ひいては給水器Pを安定状態に固定することができる。
【0093】
さらに本実施形態においては、ジョイント8をサークル壁91に固定する場合、1個の締結ナット86を雄ねじ軸82に締結するだけで固定できるため、ジョイント8をサークル壁91に簡単に取り付けることができ、ひいては給水器Pをサークル壁91に簡単に取り付けることができる。
【0094】
また本実施形態の給水器Pにおいては、背面壁22および背面カバー3の背面が連続する平坦面に形成されているため、その背面をサークル壁91に沿わせることにより、ペットサークル9内に収まり良く配置することができる。
【0095】
しかも、本実施形態の給水器Pにおいては、水飲み部72の背面上方および背面上方の両側方に背面カバー3が連続して配置されているため、犬や猫が水飲み部72から水を飲用する際に、飛散する水は背面カバー3によって遮られることにより、水がペットサークル9の外側に飛散するのを防止でき、ペットサークル9の外側が飲み水で汚染されるのを確実に防止することができる。
【0096】
さらに本実施形態の給水器Pにおいては、貯水タンク2の背面壁22を平板状に形成し、その背面壁22の上端から延長させて背面カバー3を形成するようにしているため、貯水タンク2の背面壁22と背面カバー3とに一体感が形成され、良好な美観を得ることができ、意匠的にも高い商品価値を得ることができる。
【0097】
その上さらに、本実施形態の給水器Pにおいては、背面カバー3に横長の貫通孔31を形成しているため、その貫通孔31を把手として用いることにより、給水器P自体の持ち運びを容易に行うことができる。従って給水器Pのペットサークル9に対する持ち出し作業や、持ち込み作業を容易に行うことができ、保守点検作業等を効率良くスムーズに行うことができる。
【0098】
なお上記実施形態においては、トップファンネル7として、底部に放水口76が形成された凹状の水飲み部72を有するものを使用しているが、それだけに限られず、本発明においては、他の形状のトップファンネルを使用するようにしても良い。例えばトップファンネルとして、頂部に放水口が形成された山状(凸状)の水飲み部を有するものを使用するようにしても良い。このトップファンネルにおいては、放水口から放出された水が山状の水飲み部の緩やかな斜面を流下する一方、その流下する水をペットに飲用させるものである。
【0099】
また上記実施形態においては、ペットサークル9として、設置面全域にトレイ95が配置されたペットサークルに本発明を採用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、設置面の一部にトレイを配置するペットサークルや、トレイが配置されないペットサークルにも採用することができる。
【0100】
また上記実施形態においては、循環ポンプ4として、水中ポンプを用いているが、それだけに限られず、本発明においては、貯水タンクと水飲み部との間で水を循環させることができる循環ポンプであれば、どのようなポンプを使用しても良い。例えば本発明において、循環ポンプとして、水面上に配置される揚水ポンプを用いるようにしても良い。
【0101】
また上記実施形態においては、ジョイント8によって給水器Pをサークル壁91に固定するに際して、スペーサ84を1つ用いる場合と、スペーサ84を用いない場合との2通りの場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、異なる種類(異なる幅)のスペーサを採用したり、スペーサを複数使用するようにしても良い。このようにスペーサの種類や使用数を適宜変更することによって、給水器Pとサークル壁91との距離を自在に調整することができ、より一層汎用性を向上させることができる。
【0102】
また上記実施形態においては、サークル壁によって周囲四方向が全て閉塞されるペットサークルを例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、周囲の少なくとも一部がサークル壁によって閉塞されたペットサークルであれば、どのようなペットサークルにも適用することができる。例えば周囲の一部分にサークル壁を配置し、残りの部分に室内の壁面や家具等で閉塞するようにしたペットサークルであっても適用することができる。要は、少なくとも1枚のサークル壁を有するペットサークルであれば、どのようなペットサークルであっても本発明を適用することができる。
【0103】
また本発明において、サークル壁の両面のうち、ペットが配置される側の面が内面を構成し、その反対側の面が外面を構成するものである。
【0104】
また上記実施形態においては、ジョイント8のサークル壁91への固定手段として、内側挟持板81よび外側挟持板85をねじ止めによりサークル壁91に挟持させるようにしているが、本発明において、ジョイント8のサークル壁91への固定手段は限定されるものではない。例えば、クリップやリベット等の他の固定手段を用いてジョイントをサークル壁に固定するようにしても良い。