特許第5985965号(P5985965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5985965ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法
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  • 特許5985965-ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985965
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/235 20060101AFI20160823BHJP
   C07C 59/125 20060101ALI20160823BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20160823BHJP
【FI】
   C07C51/235
   C07C59/125 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】11
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-256657(P2012-256657)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2013-151469(P2013-151469A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】特願2011-289567(P2011-289567)
(32)【優先日】2011年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 武史
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 徳
(72)【発明者】
【氏名】網重 泰夫
【審査官】 井上 千弥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−184379(JP,A)
【文献】 特開2011−136933(JP,A)
【文献】 特表平05−503686(JP,A)
【文献】 国際公開第91/003454(WO,A1)
【文献】 特開2008−303207(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0081716(US,A1)
【文献】 米国特許第05463114(US,A)
【文献】 特開2000−063352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
深さが200mm以上であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む懸濁液又は溶液中に酸素を含有する気体を供給することにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させる酸化反応工程を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法であって、
前記酸化反応工程において、下記式(A)で表される反応率が50%以上で且つ70%未満の間に、酸素を含有する気体の供給速度を、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対する酸素の供給速度に換算して、10mol%/hより高く且つ15mol%/h以下から、1mol%/h以上且つ10mol%/h以下に低下させる、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
反応率(%)=c2×100/(c1+c2) (A)
[式中、c1は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル濃度(mol/L)
c2は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル濃度(mol/L))である。]
【請求項2】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩を合わせた量が、懸濁液又は溶液の総量に対して1〜70質量%である、請求項1に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【請求項3】
前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中に供給する酸素を含有する気体における酸素濃度が50〜100体積%である、請求項1又は2に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【請求項4】
前記酸化反応工程において、反応終了時における反応率が80%以上である、請求項1乃至3のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【請求項5】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む懸濁液又は溶液が貴金属を担体に担持させた粉状の貴金属担持触媒を含有する、請求項1乃至4のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【請求項6】
懸濁液又は溶液における貴金属担持触媒の含有量が0.1〜20質量%である、請求項1乃至5のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【請求項7】
貴金属が白金族元素から選ばれる1種以上の元素である、請求項5又は6に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【請求項8】
前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中に酸素を含有する気体を供給している間における反応温度が20〜100℃である、請求項1乃至7のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【請求項9】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩が下記式で表される、請求項1乃至8のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
{RO−(AO)n−1−A’−COO}
[式中、Rは炭素数4〜30の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、nはAOの平均付加モル数で1〜100の数、A’は炭素数1〜3のアルキレン基、Mは陽イオン若しくは水素イオン、及びmはMの価数である。]
【請求項10】
前記酸化反応工程において、反応原料充填終了時における静止時の懸濁液又は溶液への酸素を含有する気体の供給位置の液面からの深さ(d)の、懸濁液又は溶液の深さ(D)に対する比率(d/D)は0.1〜1である、請求項1乃至9のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【請求項11】
前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液への酸素を含有する気体の供給速度を低下させる操作を複数回に分けて多段階に行う請求項1乃至10のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン又はそのの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの末端をカルボキシル基とした化合物であり、起泡力及び乳化力に優れ、化粧品、乳化剤、可溶化剤、分散剤、ゲル化剤、洗浄基剤等に使用することができる界面活性剤として知られている。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩は、pHを変化させることによりその性質を調整することができ、また、耐硬水性に優れ、水溶液がアルミニウム等の各種多価金属イオンに対して安定であり、さらに、皮膚に対する作用が穏和であり、酵素阻害性も少ないことから、その他各種用途での応用も期待されている。
【0003】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法は種々知られているが、その一つに、担体に貴金属を担持した貴金属担持触媒の存在下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させる方法が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
また、特許文献2及び3には、ポリオキシアルキレンエーテルと貴金属触媒とアルカリ物質とを含有する懸濁液に酸素を供給し、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを接触酸化させるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩の製造方法であって、懸濁液中の溶存酸素量を0〜1ppmにした後に酸素の供給を開始し、その後、懸濁液中の溶存酸素量を0ppm超且つ1ppm以下に維持することが開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を、連続撹拌槽型反応器を用いて製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−198641号公報
【特許文献2】特開2011−184379号公報
【特許文献3】特開2011−184380号公報
【特許文献4】特開2011−136933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、貴金属触媒の存在下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルを接触酸化させる場合、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む懸濁液又は溶液に酸化剤として酸素を含有する気体を供給する。そして、懸濁液又は溶液に供給される酸素は、酸化反応中は懸濁液又は溶液中で消費される。
【0008】
ところが、酸化反応が進行すると共に反応速度が低下すると、酸素の供給量が懸濁液又は溶液での酸素の消費量を上回り、消費されない酸素により懸濁液又は溶液に著しい発泡が生じる。しかも、反応により生成する生成物が界面活性剤であることから、生成物量が多くなる反応後期において、その現象はより顕著となる。そして、このような懸濁液又は溶液の著しい発泡は、反応設備が大きく、その深さが深い場合、液が泡状となって反応槽からあふれ出ることとなって生産の継続を困難にするという問題がある。
【0009】
一方、反応開始時から酸素の供給量を抑制して、酸素の供給量が懸濁液又は溶液での酸素の消費量を下回ると、反応速度が低下して、その程度が著しい場合は反応時間が延びる。反応時間が延びることにより反応生成物の色相等の品質の悪化を招く(例えば特許文献4)。
【0010】
本発明の課題は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造時における懸濁液又は溶液の発泡を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、深さが200mm以上であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む懸濁液又は溶液中に酸素を含有する気体を供給することにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させる酸化反応工程を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法であって、前記酸化反応工程において、下記式(A)で表される反応率が50%以上で且つ70%未満の間に、酸素を含有する気体の供給速度を、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対する酸素の供給速度に換算して、10mol%/hより高く且つ15mol%/h以下から、1mol%/h以上且つ10mol%/h以下に低下させる工程を有する。
【0012】
反応率(%)=c2×100/(c1+c2) (A)
[式中、c1は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル濃度(mol/L)
c2は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル濃度(mol/L))である。]
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反応率が50%以上で且つ70%未満の間に酸素を含有する気体の供給速度を低下させるので、深さが200mm以上である懸濁液又は溶液におけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造時において、懸濁液又は溶液の発泡を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】反応時間と溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態は、酸性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を製造する場合、及びアルカリ性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を製造する場合の両方を含む。
【0016】
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法は、深さが200mm以上であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び触媒を含む懸濁液又は溶液中に酸素を含有する気体(以下「酸素含有気体」という。)を供給することにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させる酸化反応工程を有する。そして、その酸化反応工程において、下記式(A)で表される反応率(以下、単に「反応率」と略す。)が50%以上で且つ70%未満の間に、酸素含有気体の供給速度を低下させる。
【0017】
反応率(%)=c2×100/(c1+c2) (A)
[式中、c1は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル濃度(mol/L)
c2は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル濃度(mol/L))である。]
【0018】
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法によれば、反応率が50%以上で且つ70%未満の間に酸素含有気体の供給速度を低下させるので、深さが200mm以上である懸濁液又は溶液におけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造時において、懸濁液又は溶液の発泡を抑制することができ、その結果、懸濁液若しくは溶液の発泡による中断を伴うことなく生産を継続することができ、従って、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を効率良く安定的に生産することができる。
【0019】
[酸化反応工程]
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む懸濁液又は溶液中に酸素含有気体を供給することにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を生成させる。
【0020】
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、懸濁液又は溶液の深さは、生産効率の観点から、200mm以上であり、好ましくは210mm以上であり、より好ましくは220mm以上である。また、懸濁液又は溶液の深さは、生産の安定性の観点から、好ましくは10000mm以下であり、より好ましくは5000mm以下であり、更に好ましくは1000mm以下である。また、上記観点から、懸濁液又は溶液の深さは、好ましくは200〜10000mmであり、より好ましくは210〜5000mmであり、更に好ましくは220〜1000mmである。なお、本実施形態に係る懸濁液又は溶液の深さとは、反応原料の供給終了時における静止時の懸濁相又は液相と気相との界面から反応槽の内壁の最深部までの深さをいう。
【0021】
また、本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、懸濁液又は溶液の発泡を抑制する効果は、懸濁液又は溶液の深さが200mm以上であれば、深さが大きいほど顕著であると考えられる。懸濁液又は溶液の深さが大きいほど、懸濁相又は液相と気相との界面当たりの懸濁液又は溶液の量は大きくなるので、過剰の酸素含有気体は懸濁相又は液相から抜けにくく、残存しやすくなる。そのため、懸濁液又は溶液の発泡は、懸濁液又は溶液の深さが大きいほど深刻になると考えられるからである。
【0022】
(懸濁液又は溶液)
<反応原料及び反応生成物>
懸濁液又は溶液は、反応原料としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する。
【0023】
また、懸濁液又は溶液は反応開始後、その反応生成物であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を含有する。
【0024】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
【0025】
RO−(AO)−H (I)
[式中、Rは炭素数4〜30の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、及びnはAOの平均付加モル数で1〜100の数である。]
式中の構造は、目的とするカルボン酸又はその塩の性能、用途等に応じて適宜選定することができる。
【0026】
Rの炭素数は4以上であるが、発泡抑制効果が大きくなる観点、及びカルボン酸又はその塩の優れた乳化力が得られる観点からは、好ましくは8以上であり、より好ましくは10以上であり、更に好ましくは12以上である。一方、Rの炭素数は30以下であるが、カルボン酸塩又はその塩の優れた乳化力が得られる観点からは、好ましくは22以下であり、より好ましくは18以下であり、更に好ましくは14以下である。
【0027】
また、Rの炭素数は4〜30であるが、上記観点から、発泡抑制効果が大きくなる観点、並びにカルボン酸又はその塩の優れた起泡性及び乳化力が得られる観点からは、好ましくは8〜22であり、より好ましくは10〜18であり、更に好ましくは12〜14である。Rの炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。Rは直鎖であってもよく、また、分岐鎖であってもよく、さらに、1級でも2級でもよい。
【0028】
Rは、発泡抑制効果が大きくなる観点、並びにカルボン酸又はその塩の優れた起泡性及び乳化力が得られる観点から、好ましくは直鎖若しくは分岐鎖の、1級若しくは2級のアルキル基又はアルケニル基であり、より好ましくは直鎖の、1級若しくは2級のアルキル基又はアルケニル基であり、更に好ましくは直鎖の1級のアルキル基又はアルケニル基であり、特に好ましくは直鎖の1級のアルキル基である。
【0029】
AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基であるが、材料としての汎用性や経済性の観点からは、好ましくは炭素数2のエチレンオキシ基であり、全AOのうち80モル%以上がエチレンオキシ基であることがより好ましい。
【0030】
nは1〜100の数であるが、発泡抑制効果が大きくなる観点、並びにカルボン酸又はその塩の優れた起泡性及び乳化力が得られる観点からは、好ましくは1〜20であり、より好ましくは2〜10である。
【0031】
懸濁液又は溶液には、単一種のポリオキシアルキレンアルキルエーテルのみが含有されていてもよく、また、複数種のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが含有されていてもよい。
【0032】
懸濁液又は溶液におけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの濃度は、生産効率が良好となるという観点から、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上である。一方、そのポリオキシアルキレンアルキルエーテルの濃度は、取り扱い性が良好となるという観点から、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。
【0033】
また、懸濁液又は溶液におけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの濃度は、上記観点から好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは5〜35質量%であり、更に好ましくは10〜30質量%である。
【0034】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして一般式(I)で表される化合物を用いて製造される場合の反応生成物であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩は、下記一般式(II)で構造を表すことができる。
【0035】
{RO−(AO)n−1−A’−COO}M (II)
[式中、R、AO、nは、一般式(I)と同じ意味を表し、A’は炭素数1〜3のアルキレン基、Mは陽イオン若しくは水素イオン、及びmはMの価数である。]
一般式(II)におけるR、AO、及びnの好ましい態様は一般式(I)と同じである。
【0036】
A’は炭素数1〜3のアルキレン基であるが、一般式(I)の末端−AO−が酸化して−A’−COO−の構造となることから、A’の炭素数は一般式(I)における末端−AO−の炭素数から1つ少ないものとなる。
【0037】
陽イオンであるMとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、水素イオン等が挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等が挙げられる。陽イオンであるMは、製造時に懸濁液又は溶液が適度な粘度を呈するという観点、及び製造工程の簡便さの観点からアルカリ金属イオン又は水素イオンであることがより好ましい。アルカリ金属イオンのうちでは、製造コストを低減できるという観点から、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましく、ナトリウムイオンがより好ましい。
【0038】
<貴金属担持触媒>
懸濁液又は溶液は、触媒である貴金属を担体に担持させた粉状の貴金属担持触媒を含有した懸濁液であってもよい。
【0039】
触媒である貴金属は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の高い収率を得ることができるという観点から、白金族元素から選ばれる1種以上の元素、具体的には、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金から選ばれる1種以上の元素を含有することが好ましく、特に、パラジウム及び白金から選ばれる1種以上の元素を含有することがより好ましい。
【0040】
貴金属が白金族元素から選ばれる1種以上の元素(以下「触媒第1成分」という。)を含有する場合、貴金属担持触媒は、更に触媒成分として、スズ、ビスマス、セレン、テルル、及びアンチモンから選ばれる1種以上の元素(以下「触媒第2成分」という。)を含有することが好ましい。
【0041】
貴金属担持触媒が触媒第1成分及び第2成分を含有する場合、貴金属担持触媒は、更に触媒成分として希土類元素から選ばれる1種以上の元素(以下「触媒第3成分」という。)を含有することが好ましい。
【0042】
触媒第1成分の貴金属を含む触媒成分が担持された担体としては、例えば、活性炭、アルミナ、シリカゲル、活性白土、珪藻土等の無機担体が挙げられる。これらのうち酸性物質、又はアルカリ物質に対する耐久性が高い活性炭が好ましい。活性炭は、おが屑、木材チップ、木炭、ヤシ殻炭、石炭、ピート炭等を原料として公知の方法によって製造されたものを用いることができる。
【0043】
貴金属担持触媒における触媒第1成分の貴金属の担持量は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の高い収率を得ることができるという観点から、好ましくは貴金属担持触媒全体のうち0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは1質量%以上であり、一方、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。上記観点から、この貴金属の担持量は、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.5〜15質量%であり、更に好ましくは1〜10質量%である。
【0044】
貴金属担持触媒は、特開昭62−269746号公報等に開示された公知の方法で製造することができる。例えば、触媒第1成分を含む化合物(塩化パラジウム、塩化白金酸等)の水溶液、必要に応じて触媒第2成分を含む化合物(塩化ビスマス、五塩化アンチモン等)の水溶液、及び必要に応じて触媒第3成分を含む化合物(塩化セリウム、塩化ランタン等)の水溶液の各液中で担体に各触媒成分を吸着させた後、触媒成分の還元処理を行う方法で製造することができる。
【0045】
また、上記の方法にて製造する触媒の形態としては特に限定されないが、上記に挙げた粉状以外の形態としては、例えば、「化学工学便覧 改訂第6版」(丸善株式会社)993ページの表19・5に示されたものが挙げられる。
【0046】
懸濁液における触媒第1成分の貴金属の含有量は、好ましくは反応原料であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量に対して0.001〜2.0質量%であり、より好ましくは0.01〜1.5質量%であり、更に好ましくは0.02〜1.3質量%である。なお、触媒第1成分として複数の元素を含む場合には、上記貴金属の含有量はそれらの総量である。
【0047】
懸濁液における貴金属担持触媒の含有量は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに対する反応性を高める観点から、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは1質量%以上である。一方、その貴金属担持触媒の含有量は、経済性の観点から、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。また、懸濁液における貴金属担持触媒の含有量は、上記観点から、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.5〜15質量%であり、更に好ましくは1〜10質量部である。
【0048】
<水>
懸濁液又は溶液は水を含有する。
【0049】
懸濁液又は溶液における水の含有量は、高い反応性が得られると共に取り扱い性が良好となるという観点から、好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量に対して0.1〜100質量倍であり、より好ましくは0.5〜50質量倍であり、更に好ましくは1〜20質量倍である。
【0050】
なお、懸濁液又は溶液は、反応性を低下させず、且つ洗浄剤等への配合後における発泡を阻害しない範囲で、エタノールなどの低級アルコール等の有機溶媒を含有していてもよい。
【0051】
<アルカリ物質>
懸濁液又は溶液は、アルカリ性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を製造する場合、アルカリ物質を含有することが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化はアルカリ物質存在下で行うことが好ましい。
【0052】
アルカリ物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。これらのうち、高い反応性を得ることができるという観点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、その中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
【0053】
懸濁液又は溶液には、単一種のアルカリ物質のみが含有されていてもよく、また、複数種のアルカリ物質が含有されていてもよい。
【0054】
懸濁液又は溶液におけるアルカリ物質の含有量は、好ましくは懸濁液又は溶液のpHが7〜14となる量であり、より好ましくは9〜14となる量であり、更に好ましくは11〜14となる量である。
【0055】
<任意成分>
懸濁液又は溶液は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸化反応生成物であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を予め含有していてもよく、また、反応性を低下させず、洗浄剤等に配合された際に起泡性を低下させず、及び反応液に含まれる貴金属担持触媒の分離除去を阻害しない範囲で、その他に有機溶剤、無機塩、ポリマー等を含有していてもよい。
【0056】
なお、懸濁液又は溶液は、消泡剤を含有していてもよい。消泡剤としては、例えば、シリコーンオイル、高級アルコール、高級脂肪酸やその塩、プルロニック型コポリマー、テトロニック型コポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。但し、製造するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を洗浄剤用途で用いる場合、洗浄剤組成物の泡立ちを低下させるのを防ぐ観点からは、懸濁液又は溶液は消泡剤を含有していないことが望ましい。
【0057】
<懸濁液又は溶液の性状>
懸濁液又は溶液の酸化反応前、つまり、酸素含有気体の供給開始時点における溶存酸素濃度は、好ましくは3.0mg/L未満であり、より好ましくは1.0mg/L以下である。懸濁液又は溶液の溶存酸素濃度は、隔膜電極式(ポーラログラフ式、ガルバニ電池式)、蛍光式を測定原理とした各種測定装置を用い、測定部センサーを懸濁液又は溶液に浸漬して測定される。
【0058】
懸濁液又は溶液は、粘度が反応率や温度によって変化し、また、与えられるせん断速度が増加すると見かけの粘度が減少する非ニュートン性の擬塑性流体である。このため懸濁液又は溶液の反応開始前の時点(酸素を供給する前の時点)の見かけの粘度は反応性すなわち反応終了時間に影響を及ぼす。従って、生産性の観点から、また、色相等の品質の観点からも、懸濁液又は溶液の反応開始前の時点(酸素を供給する前の時点)の見かけの粘度は、好ましくは1〜10000mPa・sであり、より好ましくは10〜5000mPa・sであり、更に好ましくは20〜1000mPa・sであり、更に好ましくは30〜200mPa・sである。懸濁液又は溶液の粘度は、レオメータ(例えばTA instrument社製 ARES-100TNI)を用い、Couette 34mmを取付け、70℃、せん断速度1s−1の条件において静的粘度として測定される。
【0059】
懸濁液又は溶液のpHは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を製造する場合、反応性および色相等の品質の観点から、上記の通り、好ましくは7〜14であり、より好ましくは9〜14であり、更に好ましくは11〜14である。
【0060】
(酸化反応)
<酸素含有気体>
酸素含有気体中の酸素濃度は、反応速度を高める観点、及び酸素含有気体中の成分であって反応で消費されない成分を低減して懸濁液又は溶液の発泡を低減する観点から、好ましくは50体積%以上であり、より好ましくは80体積%以上であり、更に好ましくは85体積%以上であり、より更に好ましくは90体積%以上である。ここで、高酸素濃度の酸素含有気体を得る手段としては、例えば、空気を原料とした深冷空気分離法、圧力変動吸着法、膜分離法等が挙げられる。これらのうち、製造の容易さや経済性の観点から圧力変動吸着法がよく用いられる。酸素含有気体中の酸素濃度の上限は100体積%であるが、圧力変動吸着法の場合、その原理から大気中のアルゴンを除去することが困難であり、そのため、酸素濃度は最高96体積%程度が限界となる。
【0061】
従って、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の生産性の観点から、酸素濃度は好ましくは96体積%以下であり、より好ましくは92体積%以下である。
【0062】
また、酸素濃度は、上記観点から好ましくは50〜100体積%であり、より好ましくは80〜96体積%であり、更に好ましくは85〜96体積%であり、更に好ましくは90〜96体積%であり、更に好ましくは90〜92質量%である。
【0063】
酸素含有気体中の酸素以外の気体としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸化反応に不活性な窒素、アルゴンなどの希ガス等が挙げられる。
【0064】
<懸濁液又は溶液への酸素含有気体の供給>
懸濁液又は溶液への酸素含有気体の供給は、例えば攪拌槽型反応器内において、懸濁液又は溶液への酸素含有気体の吹き込みにより行う。この懸濁液又は溶液への酸素含有気体の吹き込みは連続的に行ってもよく、また、断続的に行ってもよいが、生産効率の観点から連続的に行うことが好ましい。
【0065】
酸素を懸濁液又は溶液中に拡散させて反応速度を高める観点から、反応原料充填終了時における静止時の懸濁液又は溶液への酸素含有気体の供給位置の液面からの深さ(d)の、懸濁液又は溶液の深さ(D)に対する比率(d/D)は好ましくは0.1〜1であり、より好ましくは0.5〜1であり、更に好ましくは0.9〜1であり、更に好ましくは1である。
【0066】
従来から、懸濁液又は溶液の発泡は、酸素の供給量が懸濁液又は溶液での酸素の消費量を上回り、消費されない酸素により生じることが知られている。このことからは、酸素含有気体の初期の供給速度は低いほど、懸濁液又は溶液の発泡の問題は少ないと考えられた。しかし意外なことに以下の供給速度であることが好ましいことが分かった。従って、本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法における懸濁液又は溶液への酸素含有気体の初期の供給速度は、生産性並びに懸濁液又は溶液の発泡を回避する観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対する酸素の供給速度に換算して10mol%/hより高くなるように、好ましくは11mol%/h以上となるように設定する。
【0067】
好ましい原因は明確ではないが、以下のように考えられる。
【0068】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を含有する水溶液は、その組成によっては静的粘度が高い液晶を形成する。反応時に、懸濁液又は溶液中の液相成分がそのような組成になれば、懸濁液又は溶液のみかけの粘度も高くなる。懸濁液又は溶液に供給された酸素含有気体の中で、反応で消費されなかった気体は見かけの粘度が高くなった懸濁液又は溶液に残存しやすくなる。更に、撹拌により液相に巻き込まれた気体も懸濁液又は溶液から放出されにくくなり、懸濁液又は溶液が発泡する。
【0069】
従って、液相成分の組成が、静的粘度が高い組成領域では、懸濁液又は溶液中の気体の残存を低減させ、発泡を回避する観点から、初期の酸素含有気体の初期の供給速度を上記の範囲にして、速やかに反応を進行させることが好ましいと考えられる。
【0070】
一方、その酸素含有気体の初期の供給速度は、反応速度を維持する観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対して酸素の供給速度に換算して15mol%/h以下となるように設定する。
【0071】
また、懸濁液又は溶液への酸素含有気体の供給速度は、上記観点からポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対して酸素の供給速度に換算して10mol%/hより高く且つ15mol%/h以下となるように、好ましくは11mol%/より高く且つ15mol%/h以下となるように設定する。なお、この酸素含有気体の供給速度は、連続的に上記範囲に含まれていることが好ましいが、本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法による効果を損なわない限りは、一時的に上記範囲から外れてもよい。
【0072】
懸濁液又は溶液への酸素含有気体の供給速度は、反応率が50質量%以上で且つ70%未満の間に低下させる。懸濁液又は溶液への酸素含有気体の供給速度は、懸濁液又は溶液の発泡を抑制する観点から、反応率が50%以上において、より好ましくは53%以上において、更に好ましくは55%以上において低下させる。一方、その酸素含有気体の供給速度は、生産性の観点から、反応率が70%未満において、好ましくは67%以下において、より好ましくは65%以下において低下させる。
【0073】
懸濁液又は溶液への酸素含有気体の供給速度を低下させる操作は、1回だけ行ってもよく、また、反応速度を維持する観点から、複数回に分けて多段階に行ってもよい。
【0074】
懸濁液又は溶液への酸素含有気体の吹き込みは懸濁液又は溶液中に設置したガス吹き込み管の出口を介して行う。ガス吹き込み管の出口としては、例えば、単孔ノズル、多孔ノズル、リング状ノズル等が挙げられる。
【0075】
懸濁液又は溶液への酸素含有気体の供給速度を低下させた後における酸素含有気体の供給速度は、生産性の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対して酸素の供給速度が1mol%/h以上となるように、好ましくは2mol%/h以上となるように、より好ましくは5mol%/h以上となるように設定する。一方、その酸素含有気体の供給速度を低下させた後における供給速度は、反応速度を維持する観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対して酸素の供給速度が10mol%/h以下となるように、好ましくは8mol%/h以下となるように設定する。
【0076】
また、懸濁液又は溶液への酸素含有気体の供給速度を低下させた後における酸素含有気体の供給速度は、上記観点から、好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対して酸素の供給速度が1〜10mol%/hとなるように、より好ましくは2〜8mol%/hとなるように、さらに好ましくは5〜8mol%/hとなるように設定する。
【0077】
懸濁液又は溶液に酸素含有気体を吹き込む際には、攪拌槽型反応器内で懸濁液又は溶液を攪拌翼で撹拌することが好ましい。このとき攪拌効率の指標であるPV値は、好ましくは0.1以上に、より好ましくは0.2以上に、更に好ましくは0.5以上に設定する。ここで、PV値とは、懸濁液又は溶液単位体積当たりの撹拌所要動力を意味し、撹拌機の撹拌動力から攪拌による摩擦損失を差し引いた、即ち真に懸濁液又は溶液に伝えられる攪拌動力(kW)/懸濁液又は溶液の体積(m)で定義される。
【0078】
撹拌に用いる撹拌翼としては、例えば、パドル翼、タービン翼、プロペラ翼等が挙げられる。パドル翼としては、例えば、平板状部材を含んで構成される翼、アンカー翼等が挙げられる。平板状部材を含んで構成されるパドル翼では、撹拌槽型反応器内で液相部が占める領域の鉛直面の最大断面積(S1)と撹拌翼のシャフトの回転軸に対して垂直の方向からみた最大投影面積(S2)との比率(S2/S1)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩又はその塩を効率良く製造できる観点から、好ましくは0.10〜0.90であり、より好ましくは0.20〜0.70である。このような構成の市販の撹拌翼としては、例えば、住友重機械工業社製:マックスブレンド翼、神鋼環境ソリューション社製の商品名:フルゾーン、佐竹化学機械工業社製の商品名:スーパーミックスMR203等が挙げられる。
【0079】
懸濁液又は溶液への酸素含有気体の供給速度及びPV値は、反応速度を維持する観点から、好ましくは反応率の1時間あたりの上昇速度が50%以下となるように、より好ましくは40%以下となるように、更に好ましくは30%以下となるように設定する。
【0080】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う際の懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに対する反応性を高める観点から、好ましくは0mg/L以上に、より好ましくは0.1mg/L以上に、更に好ましくは0.2mg/L以上に、更に好ましくは0.3mg/L以上に維持する。一方、その溶存酸素濃度は、懸濁液又は溶液の発泡を抑制する観点から、好ましくは1.0mg/L以下に、より好ましくは0.9mg/L以下に、更に好ましくは0.8mg/L以下に、更に好ましくは0.7mg/L以下に維持する。懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度の管理制御は、懸濁液又は溶液の溶存酸素濃度を、測定装置を用いて経時的に測定すると共に、その測定結果に基づいて懸濁液又は溶液への酸素含有気体の供給量を増減することにより行うことができる。
【0081】
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う際の懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度は、上記観点から、好ましくは0〜1.0mg/Lに、より好ましくは0.1〜0.9mg/Lに、更に好ましくは0.2〜0.8mg/Lに、更に好ましくは0.3〜0.7mg/Lに維持する。
【0082】
なお、上記の溶存酸素濃度は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う際に上記範囲を逸脱しても構わないが、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに対する反応性を高める観点、及び懸濁液又は溶液の発泡を抑制する観点から、反応時間の50%以上を上記範囲に維持することが好ましく、70%以上を上記範囲に維持することがより好ましく、90%以上を上記範囲に維持することが更に好ましい。
【0083】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う際の反応温度は、好ましくは20℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、更に好ましくは40℃以上であり、一方、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下であり、更に好ましくは80℃以下である。また、反応温度は、上記観点から、好ましくは20〜100℃であり、より好ましくは30〜90℃であり、更に好ましくは40〜80℃である。
【0084】
反応圧力は、酸素の懸濁液又は溶液への溶解度を高める観点及び装置の耐圧性を考慮する観点から、好ましくはゲージ圧力として0(常圧)〜1.0MPaであり、より好ましくは0(常圧)〜0.5MPaであり、更に好ましくは0(常圧)〜0.3MPaである。
【0085】
なお、例えば攪拌槽型反応器へのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、貴金属担持触媒、及び水の供給は、連続的に行ってもよく、また、断続的に行ってもよい。アルカリ物質を供給する場合は、水溶液として供給することが好ましく、また、懸濁液又は溶液のpHが所定の値を維持するように連続的又は断続的に供給することが好ましい。
【0086】
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、貴金属担持触媒、水、アルカリ、及び触媒を、同じ反応の前バッチの生成物が残存している攪拌槽型反応器、又は他のバッチで得られた本願発明に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を含有する生成物がすでに充填されている攪拌槽型反応器に供給して、酸化反応を行ってもよい。この場合、酸化反応開始時における前記式(A)で表される反応率は、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、更に好ましくは40%以上であり、好ましくは50%未満、より好ましくは45%以下である。
【0087】
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩を合わせた量は、好ましくは懸濁液又は溶液の総量に対して1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは15質量%以上であり、一方、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。また、この量は、上記観点から、好ましくは懸濁液又は溶液の総量に対して1〜70質量%であり、より好ましくは5〜40質量%であり、更に好ましくは15〜30質量%である。
【0088】
<酸化反応工程の終了>
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の洗浄基材としての優れた起泡性の観点からポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の純度が高いことが好ましい。従って、酸化反応終了時における反応率は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の洗浄基材としての優れた起泡性の観点から、好ましくは80%以上であり、より好ましくは95%以上であり、更に好ましくは96%以上である。
【0089】
酸化反応終了時のポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩を合わせた量は、好ましくは懸濁液又は溶液の総量に対して1〜100質量%であり、より好ましくは5〜40質量%であり、更に好ましくは15〜30質量%である。
【0090】
ところで、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する懸濁液又は溶液中に酸素を供給すると、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化反応によって酸素が消費される。
【0091】
酸化反応が終了すると懸濁液又は溶液に供給された酸素の消費は停止し、そのため懸濁液又は溶液に供給された酸素が残存することとなり、懸濁液又は溶液に溶存できなくなった酸素により懸濁液又は溶液に著しい発泡が生じる。生じた泡を反応器から抜き出すことは困難であり、更に、反応終了後の製品化工程において貴金属担持触媒を濾過で分離除去する場合、濾過精度、及び濾過速度を低下させる。そのため、泡が消えるまで静置する、或いは、予め懸濁液又は溶液に消泡剤を添加しておく等の措置が必要となるが、静置は生産効率を著しく低下させ、また、消泡剤は反応生成物を洗浄剤として用いるときの起泡性能に影響を及ぼす。それ故、洗浄剤用途の界面活性剤の製造において、生成物を含有する水溶液等の懸濁液又は溶液に気体を吹き込むことは一般的には行われない。
【0092】
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、このような事情に鑑み、酸化反応が終了すると、図1に示すように、懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度が急峻に上昇することから、その溶存酸素濃度の急峻な上昇により酸化反応終了を検出し、そのときに懸濁液又は溶液中への酸素含有気体の供給を停止することで酸化反応終了後における懸濁液又は溶液の発泡を抑制することが好ましい。このとき懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度の急峻な上昇は、懸濁液又は溶液の発泡を抑制する観点から、懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度の上昇速度が0.3〜1000mg/L/minであることが好ましく、1〜500mg/L/minであることがより好ましく、5〜200mg/L/minであることが更に好ましい。
【0093】
酸化反応時における懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度は、好ましくは0〜3.0mg/Lの範囲、より好ましくは0〜0.2mg/Lの範囲、更に好ましくは0〜1.0mg/Lの範囲に維持する。しかしながら、かかる溶存酸素濃度の管理を行っていても、酸化反応が終了すると、その管理を離れて溶存酸素濃度の急峻な上昇が生じる。この場合、懸濁液又は溶液の発泡を回避する観点から、好ましくは懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度が3.0mg/Lを超えたとき、より好ましくは2.0mg/Lを超えたとき、更に好ましくは1.0mg/Lを超えたとき懸濁液又は溶液中への酸素含有気体の供給を停止する。
【0094】
[製品化工程]
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法で、粉状の貴金属担持触媒を含有させた懸濁液で反応を行った場合は、反応終了後の懸濁液を濾過等して貴金属担持触媒を分離除去する。
【0095】
酸性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を製造する場合、貴金属担持触媒の分離除去後の反応液に含まれるカルボン酸をそのまま製品とすることができる。
【0096】
アルカリ性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を製造する場合、貴金属担持触媒の分離除去後の溶液には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸の一部又は全部が塩の形で溶解している。従って、そのpH調整をした後、そのまま界面活性剤溶液として製品とすることができる。また、それを塩酸等の鉱酸で酸型化して抽出工程を経て遊離するカルボン酸を製品とすることもできる。
【0097】
製品中のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計濃度は、好ましくは酸型換算で1〜100質量%であり、より好ましくは5〜40質量%であり、更に好ましくは15〜30質量%である。
【0098】
上述した実施形態に関し、更に以下のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法を開示する。
【0099】
<1>深さが200mm以上であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む懸濁液又は溶液中に酸素を含有する気体を供給することにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させる酸化反応工程を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法であって、
前記酸化反応工程において、下記式(A)で表される反応率が50%以上、好ましくは53%以上、より好ましくは55%以上で、且つ70%未満、好ましくは67%以下、より好ましくは65%以下の間に、酸素を含有する気体の供給速度を、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対する酸素の供給速度に換算して、10mol%/hより高く且つ15mol%/h以下から、1mol%/h以上且つ10mol%/h以下に低下させる、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0100】
反応率(%)=c2×100/(c1+c2) (A)
[式中、c1は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル濃度(mol/L)
c2は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル濃度(mol/L))である。]
【0101】
<2>前記酸化反応工程において、好ましくは酸素を含有する気体の供給速度を低下させた後における酸素を含有する気体の供給速度が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対する酸素の供給速度に換算して1mol%/h以上であり、好ましくは2mol%/h以上であり、より好ましくは5mol%/h以上である、上記<1>に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0102】
<3>前記酸化反応工程において、好ましくは酸素を含有する気体の供給速度を低下させた後における酸素を含有する気体の供給速度が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対する酸素の供給速度に換算して10mol%/h以下であり、より好ましくは8mol%/h以下である、上記<1>又は<2>に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0103】
<4>前記酸化反応工程において、好ましくは酸素を含有する気体の供給速度を低下させた後における酸素を含有する気体の供給速度が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル数に対する酸素の供給速度に換算して1〜10mol%/hであり、好ましくは2〜8mol%/hであり、より好ましくは5〜8mol%/hである、上記<1>に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0104】
<5>ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩を合わせた量が、好ましくは懸濁液又は溶液の総量に対して1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは15質量%以上である、上記<1>乃至<4>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0105】
<6>ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩を合わせた量が、好ましくは懸濁液又は溶液の総量に対して70質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である、上記<1>乃至<5>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0106】
<7>ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩を合わせた量が、好ましくは懸濁液又は溶液の総量に対して1〜70質量%であり、より好ましくは5〜40質量%であり、更に好ましくは15〜30質量%である、上記<1>乃至<4>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0107】
<8>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中に供給する酸素を含有する気体における酸素濃度が、好ましくは50体積%以上であり、より好ましくは80体積%以上であり、更に好ましくは85体積%以上であり、より更に好ましくは90体積%以上である、上記<1>乃至<7>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0108】
<9>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中に供給する酸素を含有する気体における酸素濃度が、好ましくは96体積%以下であり、より好ましくは92体積%以下である上記<1>乃至<8>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0109】
<10>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中に供給する酸素を含有する気体における酸素濃度が、好ましくは50〜100体積%であり、より好ましくは80〜96体積%であり、更に好ましくは85〜96体積%であり、更に好ましくは90〜96体積%であり、更に好ましくは90〜92体積%である上記<1>乃至<7>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0110】
<11>前記酸化反応工程において、反応終了時における反応率が、好ましくは80%以上であり、より好ましくは95%以上であり、更に好ましくは96%以上である、上記<1>乃至<10>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0111】
<12>ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む懸濁液又は溶液が貴金属を担体に担持させた粉状の貴金属担持触媒を含有する、上記<1>乃至<11>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0112】
<13>懸濁液又は溶液における貴金属担持触媒の含有量が、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは1質量%以上である、上記<12>に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0113】
<14>懸濁液又は溶液における貴金属担持触媒の含有量が、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である、上記<12>又は<13>に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0114】
<15>懸濁液又は溶液における貴金属担持触媒の含有量が、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.5〜15質量%であり、更に好ましくは1〜10質量%である、上記<12>に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0115】
<16>貴金属が白金族元素から選ばれる1種以上の元素である、上記<12>乃至<15>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0116】
<17>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中に酸素を含有する気体を供給している間における反応温度が、好ましくは20℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、更に好ましくは40℃以上である、上記<1>乃至<16>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0117】
<18>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中に酸素を含有する気体を供給している間における反応温度が、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下であり、更に好ましくは80℃以下である、上記<1>乃至<17>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0118】
<19>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中に酸素を含有する気体を供給している間における反応温度が、好ましくは20〜100℃であり、より好ましくは30〜90℃であり、更に好ましくは40〜80℃である、上記<1>乃至<16>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0119】
<20>ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩が下記式で表される、上記<1>乃至<19>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0120】
{RO−(AO)n−1−A’−COO}
[式中、Rは炭素数4〜30の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、nはAOの平均付加モル数で1〜100の数、A’は炭素数1〜3のアルキレン基、Mは陽イオン若しくは水素イオン、及びmはMの価数である。]
【0121】
<21>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液の深さが、200mm以上であり、好ましくは210mm以上であり、より好ましくは220mm以上である、上記<1>乃至<20>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0122】
<22>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液の深さが、10000mm以下であり、より好ましくは5000mm以下であり、更に好ましくは1000mm以下である、上記<1>乃至<21>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0123】
<23>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液の深さが、200〜10000mmであり、より好ましくは210〜5000mmであり、更に好ましくは220〜1000mmである、上記<1>乃至<20>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0124】
<24>前記酸化反応工程において、反応原料充填終了時における静止時の懸濁液又は溶液への酸素を含有する気体の供給位置の液面からの深さ(d)の、懸濁液又は溶液の深さ(D)に対する比率(d/D)は好ましくは0.1〜1であり、より好ましくは0.5〜1であり、更に好ましくは0.9〜1であり、更に好ましくは1である、上記<1>乃至<23>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0125】
<25>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度が急峻に上昇したとき、懸濁液又は溶液中への酸素を含有する気体の供給を停止する上記<1>乃至<24>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0126】
<26>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度が急峻に上昇するまでは、懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度を好ましくは0〜3.0mg/Lの範囲、より好ましくは0〜0.2mg/Lの範囲、更に好ましくは0〜1.0mg/Lの範囲に維持する上記<1>乃至<25>のいずれかに記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0127】
<27>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度が急峻に上昇して好ましくは3.0mg/Lを超えたとき、より好ましくは2.0mg/Lを超えたとき、更に好ましくは1.0mg/Lを超えたとき、懸濁液又は溶液中での酸素を含有する気体の供給を停止する上記<1>乃至<26>に記載されたポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0128】
<28>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液中の溶存酸素濃度が急峻に上昇したときの懸濁液又は溶液中の溶損酸素濃度の上昇速度が、好ましくは0.3〜1000mg/L/min、より好ましくは1〜500mg/L/min、更に好ましくは5〜200mg/L/minである上記<1>乃至<27>に記載されたポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法。
【0129】
<29>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液への酸素を含有する気体の供給速度を低下させる操作を複数回に分けて多段階に行う上記<1>乃至<28>に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン又はその酸の製造方法。
【0130】
<30>前記酸化反応工程において、懸濁液又は溶液が懸濁液である上記<1>乃至<29>に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン又はその酸の製造方法。
【0131】
<31>前記酸化反応工程において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、貴金属担持触媒、水、アルカリ、及び触媒の供給は、同じ反応の前バッチの生成物が残存している攪拌槽型反応器、又は他のバッチで得られた本願発明に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を含有する生成物がすでに充填されている攪拌槽型反応器に行う上記<1>乃至<30>に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン又はその酸の製造方法。
【0132】
<31>前記酸化反応工程において、酸化反応開始時における前記式(A)で表される反応率が、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、更に好ましくは40%以上であり、好ましくは50%未満、より好ましくは45%以下である上記<31>に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン又はその酸の製造方法。
【実施例】
【0133】
(カルボン酸塩の製造)
下記の実施例1〜5及び比較例1〜3のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩の製造を行った。それぞれの内容については表1〜3にも示す。なお、反応率及び溶存酸素濃度は以下の方法で測定した。
【0134】
反応率:反応系中の懸濁液から試料を抜き出し、触媒をろ別した。得られたろ液中のカルボキシル基を、滴定装置(METTLERTOLEDO社製 Metrohm 794 BasicTitrino)及び透過度測定装置(METTLERTOLEDO社製 Metrohm 622 Photometer)を用いてEPTON法にて滴定し、試料中のポリオキシアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム(以下「POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム」という。)のモル濃度を求めた。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(以下「POEアルキルエーテル」という。)のモル濃度は、反応開始時におけるPOEアルキルエーテルの充填量から求めたPOEアルキルエーテルのモル濃度と前記POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムのモル濃度の差分から求めた。そして、(A)式に従って反応率に換算した。
【0135】
質量濃度は前記モル濃度に分子量を乗じて算出した。
【0136】
溶存酸素濃度:隔膜電極式の溶存酸素測定計(堀場製作所社製 OM-51、電極9520-10D、測定範囲:0〜19.99mg/L)を大気中で校正した後、試料に電極先端を浸漬して溶存酸素濃度を測定した。
【0137】
<実施例1>
容量300Lの反応槽に、ラウリルアルコールにエチレンオキサイドを平均で4モル付加したPOEアルキルエーテルを17.6kg、そのPOEアルキルエーテルを酸素酸化して反応生成物として得られるPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液(POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの濃度:25.0質量%)48.8kg、48質量%水酸化ナトリウム水溶液4.30kg、担体の活性炭にPd(含有量4質量%)、Pt(含有量1質量%)、及びBi(含有量5質量%)を担持した粉状の貴金属担持触媒(エボニックデグサ社製、含水率57.2質量%)3.50kg、並びに脱イオン水77.1kgを仕込み、大気圧下、それを攪拌翼(住友重機械工業社製 マックスブレンド翼)により攪拌回転数を134rpmとして攪拌すると共にその温度を70℃まで昇温して懸濁液を調製した。この懸濁液の総量は150kgであり、組成は、POEアルキルエーテルが17.6kg(11.7質量%)、POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムが12.1kg(8.1質量%)、水酸化ナトリウムが2.1kg(1.4質量%)、貴金属担持触媒が1.5kg(1.0質量%)、及び水116.7kg(77.8質量%)である。
【0138】
この時、懸濁液の深さは270mmであった。
【0139】
次いで、攪拌及び温度制御を継続しつつ、懸濁液内に窒素ガスを500mL/minの供給速度で16分間バブリング供給し、溶存酸素量を低下させた。
【0140】
窒素ガスの供給を停止した後、続いて、攪拌及び温度制御を継続しつつ、懸濁液中に酸素含有気体(酸素濃度:90体積%、窒素濃度:10体積%)を、反応槽の槽底(深さ270mmの位置)に設けられた直径9.2mmの吹き込み口から5400mL/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度15mol%/h)の供給速度(流量)で供給した。この酸素含有気体を供給開始した時点を反応開始時とした。反応開始時の反応率は42%であった。
【0141】
反応開始1.0時間後、試料を採取、反応率を確認後、酸素含有気体(酸素濃度:90体積%、窒素濃度:10体積%)の供給速度を2700mL/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度7.5mol%/h)に低下させて酸化反応を継続した。反応率は56%であった。
【0142】
反応開始2.0時間後及び3.0時間後の反応率はそれぞれ70%及び83%であった。
【0143】
反応開始3.3時間後、酸素含有気体(酸素濃度:90体積%、窒素濃度:10体積%)の供給速度を1800mL/min(POEアルキルエーテルの及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度5.0mol%/h)にさらに低下させて酸化反応を継続した。
【0144】
反応開始4.0時間後及び5.0時間後の反応率はそれぞれ88%及び95%であった。
【0145】
反応開始6.0時間後、酸素含有気体の供給を停止して反応を終了した。反応率は99%であった。
【0146】
なお、反応開始時から反応終了時までの間に反応槽内の懸濁液の発泡はなかった。
【0147】
<比較例1>
実施例1と同じ条件で酸化反応を開始した。なお、反応開始時の反応率は36%であった。
【0148】
反応開始1.7時間後、反応槽内において懸濁液が激しく発泡して内容物が反応槽から噴出したので、酸素含有気体の供給を停止して反応を中止した。反応率は70%であった。
【0149】
<実施例2>
容量5000Lの反応槽に、POEアルキルエーテルを285.1kg、そのPOEアルキルエーテルを酸素酸化して反応生成物として得られるPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液(POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの濃度:20.0質量%)950.5kg、32質量%水酸化ナトリウム水溶液104.0kg、担体の活性炭にPd(含有量4質量%)、Pt(含有量1質量%)、及びBi(含有量5質量%)を担持した粉状の貴金属担持触媒(エボニックデグサ社製、含水率55.9質量%)53.90kg、並びに脱イオン水1011kgを充填し、大気圧下、それを攪拌翼(佐竹化学機械工業社製 スーパーミックス翼MR205)により攪拌回転数を70rpmとして攪拌すると共にその温度を70℃まで昇温して懸濁液を調製した。この懸濁液の総量は2400kgであり、組成は、POEアルキルエーテルが285.1kg(11.9質量%)、POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムが190.1kg(7.92質量%)、水酸化ナトリウムが33.28kg(1.39質量%)、貴金属担持触媒が23.77kg(0.990質量%)、及び水1868kg(77.8質量%)である。
【0150】
この時、懸濁液の深さは930mmであった。
【0151】
次いで、攪拌及び温度制御を継続しつつ、懸濁液内に窒素ガスを8.6L/minの供給速度で15分間吹き込み、溶存酸素量を低下させた。
【0152】
窒素ガスの供給を停止した後、続いて、攪拌及び温度制御を継続しつつ、懸濁液中に酸素含有気体(酸素濃度:90体積%、窒素濃度:10体積%)を、反応槽の槽底(深さ930mmの位置)に設けられた直径16.1mmの吹き込み口から86.3L/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度15mol%/h)の供給速度(流量)で供給した。この酸素含有気体を供給開始した時点を反応開始時とした。反応開始時の反応率は42%であった。
【0153】
反応開始1.0時間後の反応率は57%であった。
【0154】
反応開始1.6時間後、試料を採取、反応率を確認後、酸素含有気体(酸素濃度:90体積%、窒素濃度:10体積%)の供給速度を43.2L/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度7.5mol%/h)に低下させて酸化反応を継続した。反応率は65%であった。
【0155】
反応開始2.0時間後の反応率は70%であった。
【0156】
反応開始2.6時間後、酸素含有気体(酸素濃度:90体積%、窒素濃度:10体積%)の供給速度を28.8L/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度5.0mol%/h)にさらに低下させて酸化反応を継続した。
【0157】
反応開始3.0時間後、4.0時間後、及び5.0時間後の反応率はそれぞれ78%、84%、及び89%であった。
【0158】
反応開始5.5時間後、酸素含有気体の供給を停止して酸化反応を終了した。
【0159】
反応開始6.0時間後、7.0時間後、及び8.0時間後の反応率はそれぞれ93%、96%、及び98%であった。
【0160】
なお、反応開始時から反応終了時までの間に反応槽内の懸濁液の発泡はなかった。
【0161】
<比較例2>
実施例2と同じ条件で反応を開始した。なお、反応開始時の反応率は40%であった。
【0162】
反応開始2.0時間後、試料を採取し、反応率を確認した。反応率は70%であった。
【0163】
反応開始2.8時間後、酸素含有気体(酸素濃度:90体積%、窒素濃度:10体積%)の供給速度を43.2L/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度7.5mol%/h)に低下させて酸化反応を継続した。
【0164】
反応開始後3.0時間後、反応槽内において懸濁液が激しく発泡して内容物が反応槽から噴出したので、酸素含有気体の供給を停止して反応を中止した。反応率は83%であった。分析用の試料を採集することはできたが、内容物が噴出してしまったので、反応生成物を充分に回収することはできなかった。
【0165】
<実施例3>
容量30Lの反応槽に、ラウリルアルコールにエチレンオキサイドを平均で4モル付加したPOEアルキルエーテルを、その濃度が94質量%になるように水で希釈したPOEアルキルエーテル水溶液2567g、そのPOEアルキルエーテルを酸素酸化して反応生成物として得られるPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液(POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの濃度:21.5質量%)8219g、48質量%水酸化ナトリウム水溶液580.0g、担体の活性炭にPd(含有量4質量%)、Pt(含有量1質量%)、及びBi(含有量5質量%)を担持した粉状の貴金属担持触媒(エボニックデグサ社製、含水率57.2質量%)432g、並びに脱イオン水8351gを充填し、大気圧下、それを撹拌翼(佐竹化学機械工業社製 スーパーミックスMR205)により撹拌回転数を50rpmとして撹拌すると共にその温度を70℃まで昇温して懸濁液を調製した。この懸濁液の総量は20149gであった。懸濁液の組成は、POEアルキルエーテルが2413g(12.0質量%)、POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムが1767g(8.8質量%)、水酸化ナトリウムが278.0g(1.4質量%)、貴金属担持触媒が185g(0.9質量%)、及び水15506g(77.0質量%)であった。
【0166】
この時、懸濁液の深さは226mmであった。
【0167】
次いで、攪拌及び温度制御を継続しつつ、懸濁液内に窒素ガスを67.9mL/minの供給速度で15分間バブリング供給した。
【0168】
窒素ガスの供給を停止した後、続いて、攪拌及び温度制御を継続しつつ、懸濁液中に酸素含有気体(酸素濃度:90体積%、窒素濃度:10体積%)を、反応槽の槽底(深さ226mmの位置)に設けられた直径9.2mmの吹き込み口から722mL/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度15mol%/h)の供給速度(流量)で供給した。この酸素含有気体を供給開始した時点を反応開始時とした。反応開始時の反応率は36.5%であった。
【0169】
反応開始2.0時間後、試料を採取、反応率を確認後、酸素含有気体(酸素濃度:90体積%、窒素濃度:10体積%)の供給速度を481mL/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度10mol%/h)に低下させて酸化反応を継続した。反応率は58%であった。
【0170】
反応開始5.7時間後、酸素含有気体の供給を停止して反応を終了した。反応率は84%であった。
【0171】
なお、反応終了時に若干、泡立ったものの、反応生成物の回収には影響がなかった。
【0172】
<実施例4>
実施例3と同じ条件で反応を開始した。
【0173】
反応開始2.0時間後、試料を採取、反応率を確認後、酸素含有気体(酸素濃度:90体積%、窒素濃度:10体積%)の供給速度を241mL/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度5mol%/h)に低下させて酸化反応を継続した。反応率は56%であった。
【0174】
反応開始10時間後、酸素含有気体の供給を停止して反応を終了した。反応率は91%であった。
【0175】
<実施例5>
反応開始時の酸素含有気体の供給量が548mL/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対するに対する酸素の供給速度11mol%/h)である以外は、実施例3と同じ条件で反応を開始した。
【0176】
反応開始2.0時間後、試料を採取、反応率を確認後、酸素含有気体(酸素濃度:90体積%、窒素濃度:10体積%)の供給速度を361mL/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度7.5mol%/h)に低下させて酸化反応を継続した。反応率は60%であった。
【0177】
反応開始9時間後、酸素含有気体の供給を停止して反応を終了した。反応率は97%であった。
【0178】
なお、反応開始時から反応終了時までの間に反応槽内の懸濁液の発泡はなかった。
【0179】
<比較例3>
反応開始時の酸素含有気体の供給量が241mL/min(POEアルキルエーテル及びPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの合計モル数に対する酸素の供給速度5mol%/h)である以外は、実施例3と同じ条件で反応を開始した。
【0180】
反応開始後4.1時間後、反応液が増大し、撹拌することができなくなり、また、反応槽内において懸濁液が激しく発泡して内容物が反応槽から噴出したので、酸素含有気体の供給を停止して反応を中止した。反応率は55%であった。
【0181】
【表1】
【0182】
【表2】
【0183】
【表3】
【0184】
以上の結果によれば、実施例では、懸濁液が発泡することなく生産を継続でき、それによって目的とするPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムを高収率で生産することができた。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の製造方法について有用である。
図1