(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
はじめに、本発明の硬化性シリコーン組成物について詳細に説明する。
(A)成分は、本組成物の主剤であり、平均単位式:
(R
1R
22SiO
1/2)
a(R
32SiO
2/2)
b(R
4SiO
3/2)
c
で表され、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンレジンである。
【0013】
式中、R
1は炭素数2〜12のアルケニル基であり、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。
【0014】
式中、R
2は同じかまたは異なる、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数7〜20のアラルキル基である。R
2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が例示され、好ましくは、メチル基である。R
2のアルケニル基としては、前記R
1と同様の基が例示され、好ましくは、ビニル基である。R
2のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、およびこれらのアリール基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示され、好ましくは、フェニル基、ナフチル基である。R
2のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、アントラセニルエチル基、フェナントリルエチル基、ピレニルエチル基、およびこれらのアラルキル基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。
【0015】
式中、R
3は同じかまたは異なる、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、もしくはフェニル基である。R
3のアルキル基としては、前記R
2と同様のアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。R
3のアルケニル基としては、前記R
1と同様の基が例示され、好ましくは、ビニル基である。
【0016】
式中、R
4は炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基である。R
4のアリール基としては、前記R
2と同様のアリール基が例示され、好ましくは、フェニル基、ナフチル基である。R
4のアラルキル基としては、前記R
2と同様のアラルキル基が例示される。
【0017】
式中、a、b、およびcは、それぞれ、0.01≦a≦0.5、0≦b≦0.7、0.1≦c<0.9、かつa+b+c=1を満たす数であり、好ましくは、0.05≦a≦0.45、0≦b≦0.5、0.4≦c<0.85、かつa+b+c=1を満たす数であり、更に好ましくは、0.05≦a≦0.4、0≦b≦0.4、0.45≦c<0.8、かつ、a+b+c=1を満たす数である。これは、aが上記範囲の下限以上であると、硬化物のガス透過性が低下するからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、硬化物にべたつきが生じ難くなるからである。また、bが上記範囲の上限以下であると、硬化物の硬度が良好となり、信頼性が向上するからである。また、cが上記範囲の下限以上であると、硬化物の屈折率が良好となるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、硬化物の機械的特性が向上するからである。
【0018】
(A)成分は、上記の平均単位式で表されるが、本発明の目的を損なわない範囲で、式:R
73SiO
1/2で表されるシロキサン単位、式:R
8SiO
3/2で表されるシロキサン単位、または式:SiO
4/2で表されるシロキサン単位を有してもよい。式中、R
7は同じかまたは異なる、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数7〜20のアラルキル基である。R
7のアルキル基としては、前記R
2と同様のアルキル基が例示される。R
7のアリール基としては、前記R
2と同様のアリール基が例示される。R
7のアラルキル基としては、前記R
2と同様のアラルキル基が例示される。式中、R
8は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数2〜12のアルケニル基である。R
8のアルキル基としては、前記R
2と同様のアルキル基が例示される。R
8のアルケニル基としては、前記R
1と同様の基が例示される。さらに、(A)成分には、本発明の目的を損なわない範囲で、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のケイ素原子結合アルコキシ基、あるいはケイ素原子結合水酸基を有していてもよい。
【0019】
(B)成分は、一般式:
【化2】
で表されるオルガノポリシロキサンである。
【0020】
式中、R
1は同じかまたは異なる、炭素数2〜12のアルケニル基であり、前記と同様の基が例示され、好ましくは、ビニル基である。
【0021】
式中、R
5は同じかまたは異なる、炭素数1〜12のアルキル基もしくはフェニル基である。R
5のアルキル基としては、前記R
2と同様のアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0022】
式中、R
6は炭素数1〜12のアルキル基であり、前記R
2と同様のアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0023】
式中、mは1〜100の整数、nは0〜50の整数、但し、m≧n、かつ1≦m+n≦100であり、好ましくは、mは1〜75の整数、nは0〜25の整数、但し、m≧n、かつ1≦m+n≦75であり、さらに好ましくは、mは1〜50の整数、nは0〜25の整数、但し、m≧n、かつ1≦m+n≦50である。これは、mが上記範囲の下限以上であると、硬化物の屈折率が高くなるからであり、上記範囲の上限以下であると、組成物の取扱作業性が向上するからである。
【0024】
(B)成分は、上記の一般式で表されるが、本発明の目的を損なわない範囲で、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のケイ素原子結合アルコキシ基、あるいはケイ素原子結合水酸基を有していてもよい。
【0025】
このような(B)成分としては、次のようなオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、Me、Vi、Phは、それぞれ、メチル基、ビニル基、フェニル基を示し、m'は1〜100の整数であり、n'は1〜50の整数であり、但し、m'≧n'、かつ、m'+n'≦100である。
MePhViSiO(MePhSiO)
m'SiMePhVi
MePhViSiO(MePhSiO)
m'(Ph
2SiO)
n'SiMePhVi
Ph
2ViSiO(MePhSiO)
m'SiPh
2Vi
Ph
2ViSiO(MePhSiO)
m'(Ph
2SiO)
n'SiPh
2Vi
【0026】
本組成物において、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、5〜150質量部の範囲内であり、好ましくは、10〜100質量部の範囲内である。これは、(B)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、硬化物に可撓性を付与できるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、硬化物の機械的特性が良好であるからである。
【0027】
(C)成分は、本組成物の架橋剤であり、(C
1)一般式:
HR
5R
6SiO(R
52SiO)
pSiR
5R
6H
で表されるオルガノシロキサン、(C
2)平均単位式:
(HR
5R
6SiO
1/2)
d(HR
62SiO
1/2)
e(R
52SiO
2/2)
f(R
4SiO
3/2)
g
で表されるオルガノポリシロキサン、または前記(C
1)成分と(C
2)成分の混合物である。
【0028】
(C
1)成分において、式中、R
5は同じかまたは異なる、炭素数1〜12のアルキル基もしくはフェニル基である。R
5のアルキル基としては、前記R
2と同様のアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0029】
式中、R
6は同じかまたは異なる、炭素数1〜12のアルキル基であり、前記R
2と同様のアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0030】
式中、pは0〜100の範囲内の整数であり、本組成物の取扱作業性が優れることから、好ましくは、0〜30の範囲内の整数であり、特に好ましくは、0〜10の範囲内の整数である。
【0031】
このような(C
1)成分としては、次のようなオルガノシロキサンが例示される。なお、式中、Me、Ph、Naphは、それぞれ、メチル基、フェニル基、ナフチル基を示し、p'は1〜100の整数であり、p''およびp'''は1以上の整数であり、但し、p''+p'''は100以下の整数である。
HMe
2SiO(Ph
2SiO)
p'SiMe
2H
HMePhSiO(Ph
2SiO)
p'SiMePhH
HMeNaphSiO(Ph
2SiO)
p'SiMeNaphH
HMePhSiO(Ph
2SiO)
p''(MePh
2SiO)
p'''SiMePhH
HMePhSiO(Ph
2SiO)
p''(Me
2SiO)
p'''SiMePhH
【0032】
また、(C
2)成分において、式中、R
4は炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基である。R
4のアリール基としては、前記R
2と同様のアリール基が例示され、好ましくは、フェニル基、ナフチル基である。R
4のアラルキル基としては、前記R
2と同様のアラルキル基が例示される。
【0033】
式中、R
5は同じかまたは異なる、炭素数1〜12のアルキル基もしくはフェニル基である。R
5のアルキル基としては、前記R
2と同様のアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0034】
式中、R
6は同じかまたは異なる、炭素数1〜12のアルキル基であり、前記R
2と同様のアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0035】
式中、d、e、f、およびgは、それぞれ、0.1≦d≦0.7、0≦e≦0.5、0≦f≦0.7、0.1≦g<0.9、かつ、d+e+f+g=1を満たす数であり、好ましくは、0.2≦d≦0.7、0≦e≦0.4、0≦f<0.5、0.25≦g<0.7、かつ、d+e+f+g=1を満たす数である。これは、dが上記範囲の下限以上であると、硬化物のガス透過性が低くなるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、硬化物が適度な硬さを有するからである。また、eが上記範囲の上限以下であると、硬化物の屈折率が向上するからである。また、fが上記範囲の上限以下であると、硬化物が適度な硬さを有し、本組成物を用いて作製した光半導体装置の信頼性が向上するからである。また、gが上記範囲の下限以上であると、硬化物の屈折率が大きくなるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、硬化物の機械的強度が向上するからである。
【0036】
このような(C
2)成分の分子量は特に限定されないが、組成物の取扱作業性および硬化物の機械的強度が良好であることから、そのゲルパーミエーションクロマトグラフによる標準ポリスチレン換算の質量平均分子量が500〜10,000の範囲内であることが好ましく、さらには、500〜2,000の範囲内であることが好ましい。
【0037】
このような(C
2)成分としては、次のようなオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、Me、Ph、およびNaphは、それぞれ、メチル基、フェニル基、ナフチル基を示し、d、e'、f'、およびgは、それぞれ、0.1≦d≦0.7、0<e'≦0.5、0<f'≦0.7、0.1≦g<0.9、かつ、d+e'+f'+g=1を満たす数を示す。
(HMe
2SiO
1/2)
d(PhSiO
3/2)
g
(HMePhSiO
1/2)
d(PhSiO
3/2)
g
(HMePhSiO
1/2)
d(NaphSiO
3/2)
g
(HMe
2SiO
1/2)
d(NaphSiO
3/2)
g
(HMePhSiO
1/2)
d(HMe
2SiO
1/2)
e'(PhSiO
3/2)
g
(HMe
2SiO
1/2)
d(Ph
2SiO
2/2)
f'(PhSiO
3/2)
g
(HMePhSiO
1/2)
d(Ph
2SiO
2/2)
f'(PhSiO
3/2)
g
(HMe
2SiO
1/2)
d(Ph
2SiO
2/2)
f'(NaphSiO
3/2)
g
(HMePhSiO
1/2)
d(Ph
2SiO
2/2)
f'(NaphSiO
3/2)
g
(HMePhSiO
1/2)
d(HMe
2SiO
1/2)
e'(NaphSiO
3/2)
g
(HMePhSiO
1/2)
d(HMe
2SiO
1/2)
e'(Ph
2SiO
2/2)
f'(NaphSiO
3/2)
g
(HMePhSiO
1/2)
d(HMe
2SiO
1/2)
e'(Ph
2SiO
2/2)
f'(PhSiO
3/2)
g
【0038】
(C)成分として、上記(C
1)成分、上記(C
2)成分、あるいは上記(C
1)成分と上記(C
2)成分の混合物を用いることができる。上記(C
1)成分と上記(C
2)成分の混合物を用いる場合、その混合割合は特に限定されないが、好ましくは、上記(C
1)成分の質量:上記(C
2)成分の質量の比が0.5:9.5〜9.5:0.5の範囲内である。
【0039】
本組成物において、(C)成分の含有量は、(A)成分中および(B)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜5モルの範囲内となる量であり、好ましくは、0.5〜2モルの範囲内となる量である。これは、(C)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、組成物が十分に硬化するからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、硬化物の耐熱性が向上し、ひいては、本組成物を用いて作製した光半導体装置の信頼性が向上するからである。
【0040】
また、(D)成分は、本組成物の硬化を促進するためのヒドロシリル化反応用触媒であり、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示される。特に、本組成物の硬化を著しく促進できることから、(D)成分は白金系触媒であることが好ましい。この白金系触媒としては、白金微粉末、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−アルケニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体が例示され、好ましくは、白金−アルケニルシロキサン錯体である。
【0041】
また、本組成物において、(D)成分の含有量は、本組成物の硬化を促進するために有効な量である。具体的には、(D)成分の含有量は、本組成物の硬化反応を十分に促進できることから、本組成物に対して、質量単位で、(D)成分中の触媒金属が0.01〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましく、さらには、0.01〜100ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特には、0.01〜50ppmの範囲内となる量であることが好ましい。
【0042】
本組成物には、硬化途上で接触している基材に対する硬化物の接着性を向上させるため、接着付与剤を含有してもよい。この接着付与剤としては、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を一分子中に少なくとも1個有する有機ケイ素化合物が好ましい。このアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基が例示され、特に、メトキシ基が好ましい。また、この有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等の置換もしくは非置換の一価炭化水素基;3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシシクロヘキシルアルキル基;4−オキシラニルブチル基、8−オキシラニルオクチル基等のオキシラニルアルキル基等のエポキシ基含有一価有機基;3−メタクリロキシプロピル基等のアクリル基含有一価有機基;水素原子が例示される。この有機ケイ素化合物はケイ素原子結合アルケニル基またはケイ素原子結合水素原子を有することが好ましい。また、各種の基材に対して良好な接着性を付与できることから、この有機ケイ素化合物は一分子中に少なくとも1個のエポキシ基含有一価有機基を有するものであることが好ましい。このような有機ケイ素化合物としては、オルガノシラン化合物、オルガノシロキサンオリゴマー、アルキルシリケートが例示される。このオルガノシロキサンオリゴマーあるいはアルキルシリケートの分子構造としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、環状、網状が例示され、特に、直鎖状、分枝鎖状、網状であることが好ましい。このような有機ケイ素化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物;一分子中にケイ素原子結合アルケニル基もしくはケイ素原子結合水素原子、およびケイ素原子結合アルコキシ基をそれぞれ少なくとも1個ずつ有するシロキサン化合物、ケイ素原子結合アルコキシ基を少なくとも1個有するシラン化合物またはシロキサン化合物と一分子中にケイ素原子結合ヒドロキシ基とケイ素原子結合アルケニル基をそれぞれ少なくとも1個ずつ有するシロキサン化合物との混合物、メチルポリシリケート、エチルポリシリケート、エポキシ基含有エチルポリシリケートが例示される。本組成物において、接着付与剤の含有量は限定されないが、硬化途上で接触している基材に対して良好に接着することから、上記(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0043】
本組成物には、本発明の目的を損なわない限り、上記(C)成分以外のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有してもよい。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、一般式:R'
3SiO
1/2で表されるシロキサン単位と一般式:R'
2HSiO
1/2で表されるシロキサン単位と式:SiO
4/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、一般式:R'
2HSiO
1/2で表されるシロキサン単位と式:SiO
4/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、一般式:R'HSiO
2/2で表されるシロキサン単位と一般式:R'SiO
3/2で表されるシロキサン単位または式:HSiO
3/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、およびこれらのオルガノポリシロキサンの二種以上の混合物が例示される。なお、式中のR'は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基である。R'のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が例示される。また、R'のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、およびこれらのアリール基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。また、R'のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、アントラセニルエチル基、フェナントリルエチル基、ピレニルエチル基、およびこれらのアラルキル基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。また、R'のハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基が例示される。
【0044】
また、本組成物には、その他任意の成分として、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、ベンゾトリアゾール等の反応抑制剤を含有してもよい。本組成物において、この反応抑制剤の含有量は限定されないが、上記(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して、0.0001〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
【0045】
また、本組成物には、その他任意の成分として、蛍光材を含有することができる。この蛍光体としては、例えば、発光ダイオード(LED)に広く利用されている、酸化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、酸硫化物系蛍光体等からなる黄色、赤色、緑色、青色発光蛍光体が挙げられる。酸化物系蛍光体としては、セリウムイオンを包含するイットリウム、アルミニウム、ガーネット系のYAG系緑色〜黄色発光蛍光体、セリウムイオンを包含するテルビウム、アルミニウム、ガーネット系のTAG系黄色発光蛍光体、および、セリウムやユーロピウムイオンを包含するシリケート系緑色〜黄色発光蛍光体が例示される。酸窒化物蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するケイ素、アルミニウム、酸素、窒素系のサイアロン系赤色〜緑色発光蛍光体が例示される。窒化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するカルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、ケイ素、窒素系のカズン系赤色発光蛍光体が例示される。硫化物系としては、銅イオンやアルミニウムイオンを包含するZnS系緑色発色蛍光体が例示される。酸硫化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するY
2O
2S系赤色発光蛍光体が例示される。これらの蛍光材は、1種もしくは2種以上の混合物を用いてもよい。本組成物において、この蛍光材の含有量は特に限定されないが、本組成物中、0.1〜70質量%の範囲内であり、さらには、1〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
【0046】
また、本組成物には、本発明の目的を損なわない限り、その他任意の成分として、シリカ、ガラス、アルミナ、酸化亜鉛等の無機質充填剤;ポリメタクリレート樹脂等の有機樹脂微粉末;耐熱剤、染料、顔料、難燃性付与剤、溶剤等を含有してもよい。
【0047】
任意成分として添加する成分のうち、空気中の硫黄含有ガスによる、光半導体装置における銀電極や基板の銀メッキの変色を十分に抑制するためにAl、Ag、Cu、Fe、Sb、Si、Sn、Ti、Zr、および希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を表面被覆した酸化亜鉛微粉末、アルケニル基を有さない有機ケイ素化合物で表面処理した酸化亜鉛微粉末、および炭酸亜鉛の水和物微粉末からなる群より選ばれる、平均粒子径が0.1nm〜5μmである少なくとも一種の微粉末を添加することもできる。
【0048】
酸化物を表面被覆した酸化亜鉛微粉末において、希土類元素としては、イットリウム、セリウム、ユーロピウムが例示される。酸化亜鉛微粉末の表面の酸化物としては、Al
2O
3、AgO、Ag
2O、Ag
2O
3、CuO、Cu
2O、FeO、Fe
2O
3、Fe
3O
4、Sb
2O
3、SiO
2、SnO
2、Ti
2O
3、TiO
2、Ti
3O
5、ZrO
2、Y
2O
3、CeO
2、Eu
2O
3、およびこれらの酸化物の2種以上の混合物が例示される。
【0049】
有機ケイ素化合物で表面処理した酸化亜鉛微粉末において、この有機ケイ素化合物はアルケニル基を有さないものであり、オルガノシラン、オルガノシラザン、ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、およびオルガノシロキサンオリゴマーが例示され、具体的には、トリメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のオルガノクロロシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のオルガノトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のトリオルガノアルコキシシラン;これらのオルガノアルコキシシランの部分縮合物;ヘキサメチルジシラザン等のオルガノシラザン;ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、シラノール基もしくはアルコキシ基を有するオルガノシロキサンオリゴマー、R
9SiO
3/2単位(式中、R
9は、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基等のアリール基で例示されるアルケニル基を除く一価炭化水素基である。)やSiO
4/2単位からなり、シラノール基またはアルコキシ基を有するレジン状オルガノポリシロキサンが例示される。
【0050】
炭酸亜鉛の水和物微粉末は、炭酸亜鉛に水が結合した化合物であり、105℃、3時間の加熱条件における重量減少率が0.1重量%以上であるものが好ましい。
【0051】
酸化亜鉛の含有量は、本組成物に対して、質量単位で1ppm〜10%の範囲内の量であり、好ましくは、1ppm〜5%の範囲内の量である。これは、本成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、硫黄含有ガスによる光半導体装置における銀電極や基板の銀メッキの変色を十分に抑制するからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、得られる組成物の流動性を損なわないからである。
【0052】
また、本組成物には、空気中の硫黄含有ガスによる銀電極や基板の銀メッキの変色をさらに抑制することができることから、任意の成分として、トリアゾール系化合物を含有してもよい。このような成分としては、1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸メチル、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、クロロベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾール、アミノベンゾトリアゾール、シクロヘキサノ[1,2−d]トリアゾール、4,5,6,7−テトラヒドロキシトリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、エチルベンゾトリアゾール、ナフトトリアゾール、1−N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−[(1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル]アミン、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]トリルトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノメチル]トリルトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(1−ブチル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(1−オクチル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−(2',3'−ジ−ヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−(2',3'−ジ−カルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール−6−カルボン酸、1−オレオイルベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−オール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸、1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミド、4−アミノウラゾール、および1,2,4−トリアゾール−5−オンが例示される。このベンゾトリアゾール化合物の含有量は特に限定されないが、本組成物中に質量単位で0.01ppm〜3%の範囲内となる量であり、好ましくは、0.1ppm〜1%の範囲内となる量である。
【0053】
本組成物は室温もしくは加熱により硬化が進行するが、迅速に硬化させるためには加熱することが好ましい。この加熱温度としては、50〜200℃の範囲内であることが好ましい。
【0054】
次に、本発明の硬化物について詳細に説明する。
本発明の硬化物は、上記の硬化性シリコーン組成物を硬化してなることを特徴とする。硬化物の形状は特に限定されず、例えば、シート状、フィルム状が挙げられる。硬化物は、これを単体で取り扱うこともできるが、光半導体素子等を被覆もしくは封止した状態で取り扱うことも可能である。
【0055】
次に、本発明の光半導体装置について詳細に説明する。
本発明の光半導体装置は、上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物により光半導体素子を封止してなることを特徴とする。このような本発明の光半導体装置としては、発光ダイオード(LED)、フォトカプラー、CCDが例示される。また、光半導体素子としては、発光ダイオード(LED)チップ、固体撮像素子が例示される。
【0056】
本発明の光半導体装置の一例である単体の表面実装型LEDの断面図を
図1に示した。
図1で示されるLEDは、LEDチップ1がリードフレーム2上にダイボンドされ、このLEDチップ1とリードフレーム3とがボンディングワイヤ4によりワイヤボンディングされている。このLEDチップ1の周囲には枠材5が設けられており、この枠材5の内側のLEDチップ1が、本発明の硬化性シリコーン組成物の硬化物6により封止されている。
【0057】
図1で示される表面実装型LEDを製造する方法としては、LEDチップ1をリードフレーム2にダイボンドし、このLEDチップ1とリードフレーム3とを金製のボンディングワイヤ4によりワイヤボンドし、次いで、LEDチップ1の周囲に設けられた枠材5の内側に本発明の硬化性シリコーン組成物を充填した後、50〜200℃で加熱することにより硬化させる方法が例示される。
【実施例】
【0058】
本発明の硬化性シリコーン組成物、その硬化物、および光半導体装置を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中、粘度は25℃における値であり、Me、Vi、Ph、Naphは、それぞれ、メチル基、ビニル基、フェニル基、ナフチル基を示す。また、硬化性シリコーン組成物の硬化物の特性を次のようにして測定した。
【0059】
[硬化物の屈折率]
硬化性シリコーン組成物を150℃の熱風循環式オーブン中で2時間加熱することにより硬化物を作製した。この硬化物の25℃、波長633nmにおける屈折率を屈折率計を用いて測定した。
【0060】
[硬化物の透湿度]
硬化性シリコーン組成物をプレスを用いて150℃、2時間で硬化させ、厚み1mmの硬化フィルムを作製した。その硬化フィルムの水蒸気透過率をJIS Z0208のカップ法に準拠して、温度40℃、相対湿度90%の条件で測定した。
【0061】
[参考例1]
反応容器に、フェニルトリメトキシシラン 400g(2.02mol)および1,3−ジビニル−1,3−ジフェニルジメチルジシロキサン 93.5g(0.30mol)を投入し、予め混合した後、トリフルオロメタンスルホン酸 1.74g(11.6mmol)を投入し、撹拌下、水 110g(6.1mol)を投入し、2時間加熱還流を行った。その後、85℃になるまで加熱常圧留去を行った。次いで、トルエン 89gおよび水酸化カリウム 1.18g(21.1mmol)を投入し、反応温度が120℃になるまで加熱常圧留去を行い、この温度で6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、酢酸 0.68g(11.4mmol)を投入し、中和した。生成した塩を濾別した後、得られた透明な溶液から低沸点物を加熱減圧除去して、平均単位式:
(MePhViSiO
1/2)
0.23(PhSiO
3/2)
0.77
で表されるオルガノポリシロキサンレジン 347g(収率:98%)を得た。
【0062】
[参考例2]
反応容器に、1−ナフチルトリメトキシシラン 892.8g(3.6mol)および1,3−ジビニル−1,3−ジフェニルジメチルジシロキサン 372.0g(1.2mol)を投入し、予め混合した後、トリフルオロメタンスルホン酸 6.15g(41mmol)を投入し、撹拌下、水 213.84g(11.88mol)を投入し、2時間加熱還流を行った。その後、85℃になるまで加熱常圧留去を行った。次いで、トルエン 435.6g、水酸化カリウム 3.28g(58.6mmol)を投入し、反応温度が120℃になるまで加熱常圧留去を行い、この温度で6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、酢酸 3.524g(58.7mmol)を投入し、中和した。生成した塩を濾別した後、得られた透明な溶液から低沸点物を加熱減圧除去して、平均単位式:
(MePhViSiO
1/2)
0.40(NaphSiO
3/2)
0.60
で表されるオルガノポリシロキサンレジン 957.4g(収率:94.2%)を得た。
【0063】
[参考例3]
反応容器に、1−ナフチルトリメトキシシラン 50g(201mmol)を投入し、加熱溶融させた後、トリフルオロメタンスルホン酸 0.06g(0.4mmol)を添加した。45〜50℃に加熱しながら、酢酸 9.3g(154.9mmol)を滴下した。滴下終了後、50℃で30分間加熱撹拌した。反応温度が80℃になるまで低沸点物を加熱常圧留去した。その後、室温まで冷却し、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン 24.4g(181.6mmol)を滴下し、反応温度が45℃になるまで加熱した。次いで、酢酸 18gを45℃〜50℃で滴下した。滴下終了後、50℃で30分間加熱撹拌した。空冷または水冷にて60℃以下を保ちながら、無水酢酸 15.5g(151.8mmol)を滴下し、滴下終了後、50℃で30分間加熱撹拌を行った。次に、トルエンと水を投入し、撹拌、静置及び下層抜き出しを繰り返し、水洗を行った。下層のpHが7であることを確認した後、上層であるトルエン層から低沸点物を加熱減圧留去して、平均単位式:
(HMe
2SiO
1/2)
0.60(NaphSiO
3/2)
0.40
で表される、無色透明液状のオルガノポリシロキサン 43g(収率76.0%)を得た。このオルガノポリシロキサンの質量平均分子量(Mw)は660であり、分散度(Mw/Mn)は1.05であり、屈折率は1.548であった。
【0064】
[参考例4]
反応容器に、式:
HO(MePhSiO)
6H
で表されるメチルフェニルポリシロキサン 100g(0.233mol)、トルエン 100g、およびジエチルアミン 25.6g(0.350mol)を投入し、撹拌下、ビニルメチルフェニルクロロシラン 44.6g(0.245mol)を投入した。室温で1時間撹拌した後、50℃に加熱し、3時間攪拌した。その後、メタノール 0.38gを投入し、次いで、水を投入した。水洗後、有機層から低沸物を加熱減圧留去して、式:
MePhViSiO(MePhSiO)
6SiMePhVi
で表される、無色透明なオルガノポリシロキサン(粘度72.5mPa・s、屈折率1.545)を得た。
【0065】
[参考例5]
反応容器に、式:
HO(MePhSiO)
6H
で表されるメチルフェニルポリシロキサン 100g(0.233mol)、トルエン 100g、およびトリエチルアミン 29.7g(0.294mol)を投入し、撹拌下、ビニルジフェニルクロロシラン 59.9g(0.245mol)を投入した。室温で1時間撹拌した後、50℃に加熱し、3時間攪拌した。その後、メタノール 0.38gを投入し、次いで、水を投入した。水洗後、有機層から低沸物を加熱減圧留去して、式:
Ph
2ViSiO(MePhSiO)
6SiPh
2Vi
で表される、無色透明なオルガノポリシロキサン(粘度447.5mPa・s、屈折率1.567)を得た。
【0066】
[参考例6]
反応容器に、環状フェニルメチルポリシロキサン 114g、環状ジフェニルポリシロキサン 166g、メチルフェニルビニルジシロキサン 20.0g、および水酸化カリウム 0.03gを投入し、150℃まで加熱し、150℃に到達後、5時間エージングを行った。酢酸を加えて中和した後、低沸分を減圧除去して、式:
MePhViSiO(MePhSiO)
13(Ph
2SiO)
13SiMePhVi
で表される、無色透明なオルガノポリシロキサン(粘度40Pa・s、屈折率1.585)を得た。
【0067】
[参考例7]
反応容器に、式:
HO(MePhSiO)
6H
で表されるメチルフェニルポリシロキサン 100g(0.233mol)、トルエン 100g、およびジエチルアミン 25.6g(0.350mol)を投入し、撹拌下、ビニルジメチルクロロシラン 30.9g(0.256mol)を投入した。室温で1時間撹拌した後、50℃に加熱し、3時間攪拌した。その後、メタノール 0.38gを投入し、次いで、水を投入した。水洗後、有機層から低沸物を加熱減圧留去して、式:
Me
2ViSiO(MePhSiO)
6SiMe
2Vi
で表される、無色透明なオルガノポリシロキサン(粘度39.8mPa・s、屈折率1.520)を得た。
【0068】
[参考例8]
反応容器に、環状ジフェニルシロキサン 18.4g、ジフェニルビニルシラノール 6.8g、水酸化カリウムの10%水溶液 0.075gを投入し、150℃に加熱し、5時間加熱攪拌した。次に、酢酸を加えて中和した後、低沸分を減圧除去して、式:
Ph
2ViSiO(Ph
2SiO)
6SiPh
2Vi
で表される、白色固体状のオルガノポリシロキサンを得た。
【0069】
[実施例1]
参考例1で調製したオルガノポリシロキサンレジン 56.7質量部、参考例4で調製したオルガノポリシロキサン 20.0質量部、式:
HMe
2SiOPh
2SiOSiMe
2H
で表されるオルガノトリシロキサン 23.3質量部(上記オルガノポリシロキサンレジンと上記オルガノポリシロキサン中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)、および白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンの溶液(白金として0.1質量%含有する溶液) 0.25質量部を混合して、粘度0.78Pa・sの硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物の硬化物の屈折率および水蒸気透過性を評価し、それらの結果を表1に示した。
【0070】
[実施例2]
参考例1で調製したオルガノポリシロキサンレジン 57.0質量部、参考例5で調製したオルガノポリシロキサン 20.0質量部、式:
HMe
2SiOPh
2SiOSiMe
2H
で表されるオルガノトリシロキサン 23.0質量部(上記オルガノポリシロキサンレジンと上記オルガノポリシロキサン中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)、および白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンの溶液(白金として0.1質量%含有する溶液) 0.25質量部を混合して、粘度1.04Pa・sの硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物の硬化物の屈折率および水蒸気透過性を評価し、それらの結果を表1に示した。
【0071】
[実施例3]
参考例1で調製したオルガノポリシロキサンレジン 60.1質量部、参考例6で調製したオルガノポリシロキサン 20.0質量部、式:
HMe
2SiOPh
2SiOSiMe
2H
で表されるオルガノトリシロキサン 19.9質量部(上記オルガノポリシロキサンレジンと上記オルガノポリシロキサン中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)、および白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンの溶液(白金として0.1質量%含有する溶液) 0.25質量部を混合して、粘度5.69Pa・sの硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物の硬化物の屈折率および水蒸気透過性を評価し、それらの結果を表1に示した。
【0072】
[実施例4]
平均単位式:
(Me
2ViSiO
1/2)
0.25(PhSiO
3/2)
0.75
で表されるオルガノポリシロキサンレジン 42.0質量部、参考例5で調製したオルガノポリシロキサン 20.0質量部、式:
HMe
2SiO(Ph
2SiO)
2.5SiMe
2H
で表されるオルガノトリシロキサン 38.0質量部(上記オルガノポリシロキサンレジンと上記オルガノポリシロキサン中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)、および白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンの溶液(白金として0.1質量%含有する溶液) 0.25質量部を混合して、粘度2.38Pa・sの硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物の硬化物の屈折率および水蒸気透過性を評価し、それらの結果を表1に示した。
【0073】
[実施例5]
平均単位式:
(Me
2ViSiO
1/2)
0.25(PhSiO
3/2)
0.75
で表されるオルガノポリシロキサンレジン 57.8質量部、参考例6で調製したオルガノポリシロキサン 20.0質量部、式:
HMe
2SiOPh
2SiOSiMe
2H
で表されるオルガノトリシロキサン 22.2質量部(上記オルガノポリシロキサンレジンと上記オルガノポリシロキサン中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)、および白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンの溶液(白金として0.1質量%含有する溶液) 0.25質量部を混合して、粘度3.46Pa・sの硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物の硬化物の屈折率および水蒸気透過性を評価し、それらの結果を表1に示した。
【0074】
[比較例1]
参考例1で調製したオルガノポリシロキサンレジン 56.0質量部、参考例7で調製したオルガノポリシロキサン 20.0質量部、式:
HMe
2SiOPh
2SiOSiMe
2H
で表されるオルガノトリシロキサン 22.2質量部(上記オルガノポリシロキサンレジンと上記オルガノポリシロキサン中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)、および白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンの溶液(白金として0.1質量%含有する溶液) 0.25質量部を混合して、粘度0.59Pa・sの硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物の硬化物の屈折率および水蒸気透過性を評価し、それらの結果を表1に示した。
【0075】
[比較例2]
平均単位式:
(Me
2ViSiO
1/2)
0.25(PhSiO
3/2)
0.75
で表されるオルガノポリシロキサン 41.0質量部、参考例7で調製したオルガノポリシロキサン 20.0質量部、式:
HMe
2SiO(Ph
2SiO)
2.5SiMe
2H
で表されるオルガノトリシロキサン 39.0質量部(上記オルガノポリシロキサンレジンと上記オルガノポリシロキサン中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)、および白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンの溶液(白金として0.1質量%含有する溶液) 0.25質量部を混合して、粘度0.99Pa・sの硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物の屈折率および水蒸気透過性を評価し、それらの結果を表1に示した。
【0076】
【表1】
【0077】
[実施例6]
参考例2で調製したオルガノポリシロキサンレジン 52.0質量部、参考例5で調製したオルガノポリシロキサン 20.0質量部、式:
HMe
2SiOPh
2SiOSiMe
2H
で表されるオルガノトリシロキサン 14.0質量部、参考例3で調製したオルガノポリシロキサン14.0質量部(上記オルガノポリシロキサンレジンと上記オルガノポリシロキサン中のビニル基の合計1モルに対して、上記オルガノトリシロキサンと本成分中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)、および白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンの溶液(白金として0.1質量%含有する溶液) 0.25質量部を混合して、粘度5.98Pa・sの硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物の硬化物の屈折率および水蒸気透過性を評価し、それらの結果を表2に示した。
【0078】
[実施例7]
参考例2で調製したオルガノポリシロキサンレジン 52.0質量部、参考例4で調製したオルガノポリシロキサン 20.0質量部、式:
HMe
2SiOPh
2SiOSiMe
2H
で表されるオルガノトリシロキサン 14.0質量部、参考例3で調製したオルガノポリシロキサン 14.0質量部(上記オルガノポリシロキサンレジンと上記オルガノポリシロキサン中のビニル基の合計1モルに対して、上記オルガノトリシロキサンと本成分中のケイ素原子結合水素原子の合計が1モルとなる量)、および白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンの溶液(白金として0.1質量%含有する溶液) 0.25質量部を混合して、粘度3.61Pa・sの硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物の硬化物の屈折率および水蒸気透過性を評価し、それらの結果を表2に示した。
【0079】
[比較例3]
参考例2で調製したオルガノポリシロキサンレジン 51.0質量部、式:
ViMe
2SiO(MePhSiO)
6SiMe
2Vi
で表されるオルガノポリシロキサン 20.0質量部、式:
HMe
2SiOPh
2SiOSiMe
2H
で表されるオルガノトリシロキサン 14.5質量部、参考例3で調製したオルガノポリシロキサン 14.5質量部(上記オルガノポリシロキサンレジンと上記オルガノポリシロキサン中のビニル基の合計1モルに対して、上記オルガノトリシロキサンと本成分中のケイ素原子結合水素原子の合計が1モルとなる量)、および白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンの溶液(白金として0.1質量%含有する溶液) 0.25質量部を混合して、粘度2.69Pa・sの硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物の硬化物の屈折率および水蒸気透過性を評価し、それらの結果を表2に示した。
【0080】
【表2】
【0081】
実施例6、7の硬化性シリコーン組成物は、比較例3のものと比較して、屈折率が高く、硬化物のガス透過性が低いことが確認された。