特許第5985984号(P5985984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985984
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】固液分離装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/12 20060101AFI20160823BHJP
   B01D 29/01 20060101ALI20160823BHJP
   B01D 39/08 20060101ALI20160823BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20160823BHJP
   B01D 25/12 20060101ALI20160823BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   C02F11/12 DZAB
   B01D29/04 510D
   B01D29/04 510E
   B01D29/04 510B
   B01D29/04 530D
   B01D39/08 Z
   B01D29/38 520Z
   B01D29/38 510A
   B01D25/12 A
   B01D29/12 A
   B01D29/10 530D
   B01D29/10 510F
   B01D29/10 510A
   B01D29/10 510E
   B01D29/10 520Z
【請求項の数】2
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-519361(P2012-519361)
(86)(22)【出願日】2011年6月3日
(86)【国際出願番号】JP2011062840
(87)【国際公開番号】WO2011155415
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2014年2月7日
(31)【優先権主張番号】特願2010-129671(P2010-129671)
(32)【優先日】2010年6月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】國谷 正
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−334221(JP,A)
【文献】 実開昭61−204612(JP,U)
【文献】 特開平07−124600(JP,A)
【文献】 特開昭53−123558(JP,A)
【文献】 特開2001−137617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/12
B01D 25/00−38、29/00−48、33/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾布、及び前記濾布によって内部が仕切られた濾過器本体を有し、前記濾布の一方の面側の空間であるとともに濾液が排出される空間である2次側空間及び前記濾布の他方の面側の空間であるとともに汚泥が供給される空間である1次側空間が形成された濾過器と、
前記2次側空間を減圧することができる減圧手段と、
前記1次側空間に汚泥を供給することができる汚泥供給手段と、
前記1次側空間に供給する汚泥を加圧することができる汚泥加圧手段と、
前記汚泥加圧手段に接続され、汚泥の加圧を段階的に上昇させることができる圧力調整手段と、
前記1次側空間に供給された汚泥が前記濾布によって濾過されたときに前記濾布の前記1次側空間側の面である1次側の面に付着した濃縮汚泥を、圧搾することができる汚泥圧搾手段とを備え、
前記濾布が、モノフィラメントにより形成された濾布であり、
前記濾過器の前記濾過器本体は、内部が前記2次側空間となる2つの濾液排出槽を有し、前記濾液排出が間隔を開けて配置され、更に、前記濾過器本体は、前記2つの濾液排出槽に挟まれるように配置されるとともに内部が1次側空間となる濃縮槽を有し、
前記濾過器が、2つの前記濾液排出槽のそれぞれと前記濃縮槽との境界に前記濾布を1枚ずつ備えるとともに、2つの前記濾液排出槽内に、前記濾布を支えるように濾液透過部材を備え、
前記汚泥圧搾手段が、前記2つの濾液排出槽が前記1次側空間を狭めて互いに近づくように移動し、前記2枚の濾布のそれぞれの前記1次側の面に付着した濃縮汚泥を、前記2つの濾液排出槽の間に挟んで圧搾する手段である固液分離装置。
【請求項2】
前記濾布が、ポリアミド樹脂のモノフィラメントにより形成された濾布である請求項1に記載の固液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固液分離装置に関し、さらに詳しくは、固形分1質量%程度の汚泥を濃縮して、固形分40質量%以上の汚泥とすることが可能な固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場では、凝集沈殿等の方法を用いて、取水した原水から固形分を除去して飲料用水等を製造している。このとき、原水中の固形分は、固形分濃度0.1〜1.0質量%程度の汚泥として排出される。
【0003】
従来、この固形分濃度0.1質量%程度の汚泥を、自然沈降等により固形分濃度1〜2質量%程度に濃縮し、その後、濾過装置及び脱水装置を用いて固形分濃度40質量%以上に濃縮し、得られた高濃度の汚泥を廃棄又は再利用していた。更に具体的には、固形分濃度1〜2質量%程度に濃縮された汚泥を、サイホン式濾過濃縮装置等(例えば、特許文献1を参照)により固形分濃度3〜5質量%程度に濃縮し、得られた濃縮汚泥を、加圧脱水装置等(例えば、特許文献2を参照)により固形分濃度40質量%以上に濃縮していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭61−57043号公報
【特許文献2】特開平7−124412号公報
【発明の概要】
【0005】
一般的に、加圧脱水装置等は原水濃度が低くなるにつれて処理性能が悪化し、例えば、原水濃度2%の場合の濾過速度(単位時間当たりの乾燥固形分量)は、原水濃度5%の場合の濾過速度の3分の1程度である。更に、原水濃度1%以下の場合は、性能が著しく低いため処理が困難となる。また、焼却などの乾燥方式等の場合は、原水濃度が低くなるにつれて燃焼に必要なエネルギーが増加し、コスト増や排ガス量増加を招く。そこで濾過濃縮装置等を用いて適正な濃度に調整した後に脱水、乾燥を行うことが一般的であった。つまり、従来は1%以下の汚泥を加圧脱水機で処理するというのは現実的ではなかった。
【0006】
このため、従来の汚泥の処理方法においては、固形分濃度1質量%程度の汚泥を、固形分濃度40質量%以上に濃縮するためには、濾過装置と脱水装置の2つの装置を必要としていた。つまり、固形分濃度1質量%程度の汚泥を、1つの装置によって固形分濃度40質量%以上に濃縮することはできなかった。
【0007】
更に詳細に説明すると、従来の、濾過装置と脱水装置との2つの装置を用いて行う汚泥の処理方法においては、濾過装置で用いる濾布はモノフィラメントによって形成された開口径の大きなものであり、脱水装置で用いる濾布はマルチフィラメントによって形成された開口径の小さなものであった。特に、濾過装置においては、目詰まり防止、剥離性の向上等の観点から、ナイロン等から作製されたモノフィラメントによって形成された濾布を使用し、脱水装置によって汚泥を脱水する際には、高い圧力で脱水を行うため、固形分の捕捉効率の向上、強度の向上、耐久性の向上等の観点から、ポリエステル等から作製されたマルチフィラメントによって形成された濾布を使用していた。尚、濾過装置を用いて汚泥の濾過を行う場合には、濾布に付着した濃縮汚泥の固形分濃度が低いため、付着した濃縮汚泥の剥離性が低下する傾向にあるが、モノフィラメントによって形成された濾布を使用することにより、濃縮汚泥の剥離性を向上させることができる。ここで、本明細書において、濾過装置は、濾布を用いて1.0MPa以下の圧力(1次側空間の圧力)で固液分離を行う装置であり、脱水装置は、濾布を用いて1.0MPaを超える圧力(1次側空間の圧力)で固液分離を行う装置である。
【0008】
このように、濾過装置と脱水装置とでは、使用できる濾布の種類が異なる。仮に、濾過装置に使用される濾布を脱水装置に使用すると、当該濾布がモノフィラメントで形成されているため、高い圧力で脱水を行う脱水装置では、脱水を行う際に固形分が濾布を通過するという問題が生じる。また、仮に、脱水装置に使用される濾布を濾過装置に使用すると、当該濾布がマルチフィラメントで形成されているため、濾過を行う際に濾布が目詰まりし易く、更に濾布に付着した濃縮汚泥が剥離し難くなるという問題が生じる。
【0009】
上記のように、濾過装置と脱水装置とでは、異なる濾布を使用する必要があるため、汚泥を濃縮する際には、濾過装置と脱水装置という2つの装置を使用することが一般的であった。このため、二つの装置を設置するためのスペースが必要となるだけでなく、両装置間の汚泥移動作業なども必要となっていた。また、両装置では脱水速度が異なるため、連続作業が困難であった。つまり、脱水装置による脱水時間が、濾過装置による濾過時間より短いため、脱水、濾過工程全体の時間が、濾過装置による濾過時間によって、制約されていた。さらには、両装置間で時間調整のために、汚泥一時保管場所が必要となっていた。
【0010】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、固形分1質量%程度の汚泥を濃縮して、固形分40質量%以上の汚泥とすることが可能な固液分離装置を提供することを目的とする。
【0011】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下の固液分離装置を提供する。
【0012】
[1] 濾布、及び前記濾布によって内部が仕切られた濾過器本体を有し、前記濾布の一方の面側の空間であるとともに濾液が排出される空間である2次側空間及び前記濾布の他方の面側の空間であるとともに汚泥が供給される空間である1次側空間が形成された濾過器と、前記2次側空間を減圧することができる減圧手段と、前記1次側空間に汚泥を供給することができる汚泥供給手段と、前記1次側空間に供給する汚泥を加圧することができる汚泥加圧手段と、前記汚泥加圧手段に接続され、汚泥の加圧を段階的に上昇させることができる圧力調整手段と、前記1次側空間に供給された汚泥が前記濾布によって濾過されたときに前記濾布の前記1次側空間側の面である1次側の面に付着した濃縮汚泥を、圧搾することができる汚泥圧搾手段とを備え、前記濾布が、モノフィラメントにより形成された濾布であり、前記濾過器の前記濾過器本体は、内部が前記2次側空間となる2つの濾液排出槽を有し、前記濾液排出が間隔を開けて配置され、更に、前記濾過器本体は、前記2つの濾液排出槽に挟まれるように配置されるとともに内部が1次側空間となる濃縮槽を有し、前記濾過器が、2つの前記濾液排出槽のそれぞれと前記濃縮槽との境界に前記濾布を1枚ずつ備えるとともに、2つの前記濾液排出槽内に、前記濾布を支えるように濾液透過部材を備え、前記汚泥圧搾手段が、前記2つの濾液排出槽が前記1次側空間を狭めて互いに近づくように移動し、前記2枚の濾布のそれぞれの前記1次側の面に付着した濃縮汚泥を、前記2つの濾液排出槽の間に挟んで圧搾する手段である固液分離装置。
【0013】
[2] 前記濾布が、ポリアミド樹脂のモノフィラメントにより形成された濾布である[1]に記載の固液分離装置。
【0015】
本発明の固液分離装置によれば、濾布がモノフィラメントであるため、1つの固液分離装置(本発明の固液分離装置)を用いて、固形分1質量%程度の汚泥を濃縮して、固形分40質量%以上の汚泥(圧搾汚泥)としたときに、濾布によって捕集した(濾布に付着した)固形分(圧搾汚泥)を、容易に剥離させることができる。
【0016】
また、2次側空間を減圧することができる減圧手段と、1次側空間に汚泥を供給することができる汚泥供給手段と、1次側空間に供給する汚泥を加圧することができる汚泥加圧手段と、濾布の1次側の面に付着した濃縮汚泥を圧搾することができる汚泥圧搾手段とを備えるため、2次側空間を減圧しながら汚泥を濾過して、濾布の1次側の面に濃縮汚泥を付着させ(吸引濾過工程)、その後、1次側空間内の汚泥を加圧しながら濾過することにより、上記「濾布の1次側の面に付着した濃縮汚泥」の上から更に濃縮汚泥を付着させ(加圧濾過工程)、段階的に加圧することにより新たな付着層を形成しながら旧付着層(吸引濾過工程において生成した付着層及び先の加圧により形成された付着層)を圧縮して緻密化し、最後に、濾布の1次側の面に付着した濃縮汚泥を圧搾して圧搾汚泥を得る(圧搾工程)ことができる。そして、このように、モノフィラメントから形成された濾布に、吸引濾過により汚泥(濃縮汚泥)を付着させ、当該「濾布に付着した濃縮汚泥」の上から更に加圧濾過により濃縮汚泥を付着させる(加圧濾過工程)ため、モノフィラメントから形成された濾布を用いた状態で、1次側空間を加圧しながら汚泥の濾過を行う(加圧濾過工程)ことができる。これは、濾布に付着した濃縮汚泥が、濾布と共に、汚泥中の固形分を捕集する機能を有するためである。これにより、固形分1質量%程度の汚泥から、固形分40質量%以上の汚泥(圧搾汚泥)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の固液分離装置の一の実施形態を示す模式図である。
図2A】本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器の断面を示す模式図である。
図2B】本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器を模式的に示す側面図である。
図3】本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器の断面を示すとともに、吸引濾過工程において、濾布の1次側の面に汚泥が付着している状態を示す模式図である。
図4】本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器の断面を示すとともに、加圧濾過工程において、濾布の1次側の面に汚泥が付着している状態を示す模式図である。
図5】本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器の断面を示すとともに、圧搾工程において、濃縮汚泥が圧搾される状態を示す模式図である。
図6】本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器の断面を示すとともに、排出工程において、圧搾汚泥を排出する様子を示す模式図である。
図7】本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器の断面を示す模式図である。
図8】本発明の固液分離装置の他の実施形態における濾過器及び減圧手段の断面を示す模式図である。
図9】実施例3,4の固液分離方法における、濾過時間と濾液量との関係を示すグラフである。
図10】実施例1で用いられる濾過器の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0019】
(1)固液分離装置:
本発明の固液分離装置の一の実施形態は、図1に示すように、「濾布1及び「濾布1によって内部が仕切られた濾過器本体2」を有し、濾布1の一方の面(2次側の面7)側の空間であるとともに濾液19が排出される空間である2次側空間5及び濾布1の他方の面側の空間であるとともに汚泥16が供給される空間である1次側空間4が形成された」濾過器3と、「2次側空間5を減圧することができる」減圧手段11と、「1次側空間4に汚泥16を供給することができる」汚泥供給手段12と、「1次側空間4に供給する汚泥16を加圧することができる」汚泥加圧手段13と、「1次側空間4に供給された汚泥16が濾布1によって濾過されたときに濾布1の1次側空間4側の面である1次側の面6に付着した濃縮汚泥を、圧搾することができる」汚泥圧搾手段とを備えるものであり、濾布1は、モノフィラメントにより形成された濾布である。図1は、本発明の固液分離装置の一の実施形態を示す模式図(フロー図)である。尚、図1において、汚泥貯留槽12aは、内部に貯留されている汚泥16が透けて見えるように表現されている。また、濾過器3は、断面を示すように表現されている。また、濾液貯留槽14は、内部に貯留されている濾液19が透けて見えるように表現されている。
【0020】
このように、本実施形態の固液分離装置100は、濾布がモノフィラメントであるため、濾布によって捕集した(濾布に付着した)固形分(圧搾汚泥)を、容易に剥離させることができる。
【0021】
尚、汚泥貯留槽12aと濾過器3の濃縮槽62とが配管で繋がれ、濾過器3の濾液排出槽61と濾液貯留槽14とが配管で繋がれている。各配管及び装置には、必要に応じて、バルブ、計器類が装備されていることが好ましい。
【0022】
また、濾過器3の2次側空間5を減圧することができる減圧手段11と、1次側空間4に汚泥16を供給することができる汚泥供給手段12と、1次側空間4に供給する汚泥16を加圧することができる汚泥加圧手段13と、濾布1の1次側の面6に付着した濃縮汚泥を圧搾することができる汚泥圧搾手段とを備えるため、2次側空間5を減圧しながら汚泥16を濾過して、濾布1の1次側の面6に濃縮汚泥を付着させ(吸引濾過工程)、その後、1次側空間内の汚泥(1次側空間に供給された汚泥)を加圧しながら濾過することにより、上記「濾布1の1次側の面6に付着した濃縮汚泥」の上から更に濃縮汚泥を付着させ(加圧濾過工程)、最後に、濾布1の1次側の面6に付着した濃縮汚泥を圧搾して圧搾汚泥を得る(圧搾工程)ことができる。そして、このように、モノフィラメントから形成された濾布1に、吸引濾過により汚泥(濃縮汚泥)を付着させ、当該「濾布1に付着した濃縮汚泥」の上から更に加圧濾過により濃縮汚泥を付着させる(加圧濾過工程)ため、モノフィラメントから形成された濾布1を用いた状態で、1次側空間4を加圧しながら汚泥16の濾過を行う(加圧濾過工程)ことができる。これは、濾布1に付着した濃縮汚泥が、濾布1と共に、汚泥中の固形分を捕集する機能を有するためである。これにより、固形分1質量%程度の汚泥から、固形分40質量%以上の汚泥(圧搾汚泥)を得ることができる。
【0023】
(1−1)濾過器;
本実施形態の固液分離装置100において、濾過器3は、図1図2A及び図2Bに示すように、濾布1及び「濾布1によって内部が仕切られた濾過器本体2」を有するものである。そして、濾布1の一方の面側の空間であるとともに濾液19が排出される空間である2次側空間5及び濾布1の他方の面側の空間であるとともに汚泥16が供給される空間(汚泥16が流入する空間)である1次側空間4が形成されている。更に、本実施形態の固液分離装置100における濾過器3は、濾過器本体2が、内部が2次側空間5となる2つの濾液排出槽61,61を有し、前記濾液排出61,61が間隔を開けて配置され、更に、濾過器本体2は、2つの濾液排出槽61,61に挟まれるように配置されるとともに内部が1次側空間4となる濃縮槽62を有するものである。そして、濾過器3は、2つの濾液排出槽61,61のそれぞれと濃縮槽62との境界に濾布1を1枚ずつ備えるとともに、2つの濾液排出槽61,61内に、濾布1,1を支えるように濾液透過部材63,63を備えるものである。図2Aは、本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器3の断面を示す模式図である。図2Bは、本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器3を模式的に示す側面図である。
【0024】
2つの濾液排出槽61,61は、互いに対向する壁65,65に開口部65a,65aが形成されるとともに内部が中空に形成された四角柱(筒)状の槽であり、当該開口部65a,65aを塞ぐように濾布1,1が配設されたものである。そして、濃縮槽62は、「2つの濾液排出槽61,61の互いに対向する壁65,65及び濾布1,1」と、「2つの濾液排出槽61,61の間の空間(1次側空間4)を囲むように「2つの濾液排出槽61,61の互いに対向する壁65,65」の外縁に沿って配設された胴体部64」とにより形成されている。従って、2つの濾液排出槽61,61の互いに対向する壁65,65及び濾布1,1は、濃縮槽62の一部にもなっている。また、濃縮槽62には、汚泥16を内部に流入させるための流入口71が形成され、流入口71には流入ノズル71aが配設されている。そして、濾液排出槽61には、濾液19を外部に流出させるための流出口72が形成されて、流出口72には流出ノズル72aが配設されている。
【0025】
濾液排出槽61内に配設されている濾液透過部材63は、内部を濾液が透過する構造物である。濾液透過部材63は、加圧に対して大きな変形を生じることが無い程度の剛性を有しつつ、濾液を容易に通過させることができるものである。濾液透過部材63としては、ステンレス鋼等の金属線により3次元的に形成された金網、「セラミック、合成樹脂等」から形成され「厚さ方向に複数の貫通孔が形成された」板など、を用いることができる。
【0026】
また、濃縮槽62の外周を形成する胴体部64は筒状に形成されており、一方の端部が一方の濾液排出槽61の上記「対向する壁65」に接合され、他方の端部が他方の濾液排出槽61の上記「対向する壁65」に接合されて、内部に1次側空間4が形成されている。更に、胴体部64は、2つの濾液排出槽61,61を近づけるように移動させたり、2つの濾液排出槽61,61を遠ざけるように移動させたりすることができるように、伸縮可能に形成されている。また、図2A図2Bに示すように、筒状の胴体部64の中心軸が水平方向を向くようにして、濾過器3が配置された場合における、胴体部64の鉛直方向下側に、開閉部73が形成されている。開閉部73は、吸引濾過工程、加圧濾過工程及び圧搾工程においては、閉じた状態であるが、排出工程において、2つの濾液排出槽61,61を遠ざけるように移動させて胴体部64を伸ばしたときに、開口する部分である。そして、排出工程において、圧搾汚泥が「開口した開閉部73」より排出される。開閉部73は、胴体部64に形成された「切り込み」であることが好ましい。
【0027】
本実施形態の固液分離装置100においては、流入口71から汚泥16が濃縮槽62内(1次側空間4)に流入し、汚泥16が濾布1によって濾過されて、濾液19が濾液排出槽61内(2次側空間5)に流入し、固形分(濃縮汚泥)は、濾布1の1次側の面6に付着し、濾液排出槽61内(2次側空間5)に流入した濾液19は、流出口72から外部に流出する。固液分離を行う汚泥は、浄水場において上水(水道水)を作製する時に排出される汚泥であって、固形分濃度が0.7〜2.0質量%であることが好ましい。
【0028】
本実施形態の固液分離装置100においては、濾布1が、ポリアミド樹脂のモノフィラメントにより形成された濾布であることが好ましく、ナイロンのモノフィラメントにより形成された濾布であることが更に好ましく、ナイロン6のモノフィラメントにより形成された濾布であることが特に好ましい。濾布1を、ポリアミド樹脂のモノフィラメントにより形成されたものとすることにより、圧搾汚泥の剥離性が良好になり、目詰まりを抑制することができる。
【0029】
また、濾布の通気度は、20〜90(cm/(cm・秒))であることが好ましい。通気度が、20(cm/(cm・秒))より小さいと、濾液が透過し難くなることがある。通気度が、90(cm/(cm・秒))より大きいと、汚泥中の固形分が通過し易くなることがある。濾布の通気度は1次側から2次側に向かって濾布を通過する、単位面積、単位時間当りの空気量を測定した値である。濾布1の編み方は、特に限定されないが、例えば、朱子織が好ましい。朱子織にすることにより、圧搾汚泥の剥離性が良好になり、目詰まりを抑制することができる。
【0030】
図2A図2Bに示される、本実施形態の固液分離装置100を構成する濾過器3の大きさは、特に限定されず、工業的な使用に際しては、浄水場や下水処理場における処理量に対応する大きさであることが好ましい。また、濾液排出槽61の材質は特に限定されず、ステンレス鋼等を好適に用いることができる。濃縮槽62の胴体部64の材質は、伸縮可能な材質であることが好ましく、具体的には、ゴム、合成樹脂、金属等が好ましい。また、2つの濾液排出に配設された2枚の濾布を、「当該2枚の濾布が繋げられた状態」の1枚の濾布又は「当該2枚の濾布を含む(構成要素とする)袋状」の濾布とし、当該濾布の一部によって、胴体部の一部又は全部が形成されるようにしてもよい。また、濾過器3は、耐圧構造であることが好ましい。
【0031】
本実施形態の固液分離装置100においては、2つの濾液排出槽61を有するが、濾液排出槽は1つであってもよい。その場合、図2Aに示す濾過器3の構造としては、例えば、2つの濾液排出槽61の一方が、他方の濾液排出槽61の濾布1を押圧することができる圧搾用の板であることが好ましい。そして、この場合、濾布1も一枚になる。
【0032】
(1−2)減圧手段;
本実施形態の固液分離装置100において、減圧手段11は、2次側空間を減圧することができるものであり、図1に示すように、真空ポンプ11aを用いている。減圧手段としては、真空ポンプ以外に、サイホン管等のサイホンの原理を用いて減圧する装置等を挙げることができる。
【0033】
本実施形態の固液分離装置100においては、図1に示すように、減圧手段11は濾液貯留槽14に接続され、濾液貯留槽14を介して濾過器3の2次側空間5を減圧するように構成されている。
【0034】
減圧手段11によって、濾過器3の2次側空間5は、−0.08〜−0.02MPa(ゲージ圧)の圧力に減圧できることが好ましい。
【0035】
減圧手段としては、図8に示されるような、サイホン管74を用いてもよい。図8に示される濾過器3aは、減圧手段11としてサイホン管74を用い、サイホンの原理によって、濾過器3aの2次側空間5を減圧するものである。また、減圧手段として、真空ポンプとサイホン管の2つを備え、各工程に合わせて、使い分ける(より好ましいものを使用する)ようにしてもよい。図8は、本発明の固液分離装置の他の実施形態に用いる濾過器3a及び減圧手段11(サイホン管74)の断面を示す模式図である。
【0036】
(1−3)汚泥供給手段;
図1に示すように、本実施形態の固液分離装置100において、汚泥供給手段12は、1次側空間4に汚泥を供給することができるものである。そして、汚泥供給手段12は、濾過器3の鉛直方向上方に配置された汚泥貯留槽12aである。これは、濾過器3の鉛直方向上方に汚泥貯留槽12aを配置することにより、重力により汚泥貯留槽12aから濾過器3に汚泥16を供給するものである。
【0037】
また、汚泥供給手段は、図1に示すような、上記「濾過器3の鉛直方向上方に配置された汚泥貯留槽12a」であってもよいが、「汚泥貯留槽12a」と、汚泥貯留槽12a内の汚泥を濾過器3に送液するための「ポンプ等」とから構成されるものであることが、より好ましい。汚泥供給手段が、「汚泥貯留槽12a」と、「汚泥貯留槽12a内の汚泥を濾過器3に送液するための「ポンプ等」」とから構成される場合、汚泥貯留槽12aからポンプ等を用いて汚泥を濾過器3に供給することができる。このとき、加圧ポンプを用いて、汚泥を加圧しながら濾過器3に供給することが好ましい。
【0038】
また、汚泥供給手段は、汚泥貯留槽12aと後述する汚泥加圧手段13とから構成されるものであることも好ましい態様である。この場合、汚泥加圧手段13は、汚泥加圧手段であるとともに、汚泥供給手段の一部でもあることになる。これにより、汚泥加圧手段13によって汚泥貯留槽12a内(汚泥貯留槽12a内の汚泥)を適当な圧力で加圧し、汚泥加圧手段13の加圧によって汚泥貯留槽12a内の汚泥を濾過器3に供給することができる。
【0039】
汚泥貯留槽12aの大きさは、特に限定されず、処理すべき汚泥の量等によって、適宜決定することができる。また、汚泥貯留槽12aの材質は、特に限定されないが、ステンレス鋼、塩化ビニル等を好適に用いることができる。汚泥供給手段が、「濾過器3の鉛直方向上方に配置された汚泥貯留槽12aである場合」、及び「汚泥貯留槽12aと汚泥加圧手段13とから構成される場合」には、汚泥排出口12cに接続された配管が、直接、濾過器3に接続されることになる。また、汚泥供給手段が、「汚泥貯留槽12a」と、「汚泥貯留槽12a内の汚泥を濾過器3に送液するためのポンプ等」とから構成される場合、汚泥排出口12cに接続された配管が、「ポンプ等」を介して濾過器3に接続されることになる。尚、汚泥貯留槽12a内に汚泥を供給する際には、汚泥は、汚泥受入口12bから供給されることが好ましい。また、汚泥貯留槽12aは、耐圧構造であり、気密性が高いことが好ましい。これにより、汚泥貯留槽12a内を加圧して、汚泥を濾過器3に供給することができる。ここで、耐圧構造とは、原液(汚泥)を濾過器3に供給する際の圧力に耐え得る構造のことである。
【0040】
(1−4)汚泥加圧手段;
図1に示すように、本実施形態の固液分離装置100において、汚泥加圧手段13は、1次側空間4に供給する汚泥を加圧することができるものである。汚泥加圧手段13としては、空気、「窒素等の不活性ガス」等のボンベ、空気圧縮装置(コンプレッサー)等を用いることができる。
【0041】
汚泥加圧手段13は、汚泥16を濾過器3の1次側空間4内に供給する際に、汚泥16を加圧した状態で1次側空間4内に供給しながら濾過(加圧濾過)を行うために用いるものである。汚泥16を加圧手段13により加圧する際には、図1に示すように、加圧手段13によって「汚泥が貯留された汚泥貯留槽12a」内を加圧することにより、汚泥貯留槽12a内の汚泥16を加圧することが好ましい。この場合、加圧手段13から、加圧された「空気、窒素等の加圧媒体」が、汚泥貯留槽12aに送られることにより、汚泥貯留槽12a内(汚泥貯留槽12a内の汚泥)が加圧される。
【0042】
加圧濾過工程においては、図1に示すように、「加圧手段13によって、濾過器3の1次側空間4に供給する汚泥16を加圧する」際に、圧力調整手段13aによって、汚泥の圧力を段階的に上昇させることが好ましい。圧力調整手段13aとしては、圧力調整弁を挙げることができる。圧力調整手段13aは、加圧手段13と汚泥貯留槽12aとを繋ぐ、配管に設けられていることが好ましい。また、圧力調整手段13aは、加圧手段13の下流側に設けることにより、汚泥貯留槽12aに供給されるガスの圧力を、段階的に加圧することができるもの(調整弁等)であることが好ましい。
【0043】
(1−5)圧搾手段;
本実施形態の固液分離装置100において、汚泥圧搾手段は、「1次側空間に供給された汚泥が濾布によって濾過されたときに濾布の1次側空間側の面である1次側の面に付着した」濃縮汚泥を、圧搾することができるものである。本実施形態の固液分離装置100においては、汚泥圧搾手段は、2つの濾液排出槽61,61が1次側空間4を狭めて互いに近づくように移動し、2枚の濾布1,1のそれぞれの1次側の面6,6に付着した濃縮汚泥を、2つの濾液排出槽61,61の間に挟んで圧搾する手段(機構)である。
【0044】
圧搾手段により、固形分濃度9〜16質量%の濃縮汚泥から、固形分濃度40〜45質量%の圧搾汚泥を得ることができる。
【0045】
濾布1に付着した濃縮汚泥は、2枚の、「2次側の面7側が濾液透過部材63で支えられた濾布1」に、挟まれて圧搾される。濃縮汚泥の圧搾により排出される濾液は、濾布1を透過して1次側空間4に流入し、流出口72から排出される。また、2枚の濾布1,1に挟まれて水分(濾液)が搾り出された濃縮汚泥は、圧搾汚泥18(図5参照)になる。
【0046】
本実施形態の固液分離装置100においては、濾過器3は、濾液排出槽61を移動させる構造を有していることが好ましい。濾液排出槽61を移動させる構造としては、例えば、図7に示すように、各濾液排出槽61に配設された支持部77と、支持部77の先端が移動可能に取り付けられたガイド部76とを備える移動機構75を挙げることができる。移動機構75の個数及び取り付け位置は、特に限定されないが、各濾液排出槽61を安定して支えることができる本数及び位置であることが好ましい。図7に示すように、各濾液排出槽61に2本ずつの支持部77を、それぞれ対向する壁(2次側空間を間に挟む2つの壁)に取り付けることも好ましい態様である。また、支持部77を取り付ける「対向する壁」は、鉛直方向上側の壁と、鉛直方向下側の壁であることが好ましい。濾液排出61に、上記のような移動機構75が配設されていると、支持部77の先端がガイド部76に沿って移動することにより、支持部77が取り付けられた濾液排出61は支持部77と共に移動することができる。図7は、本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器53の断面を示す模式図である。
【0047】
支持部77の形状は、特に限定されないが、例えば、棒状又は板状の部材の先端に車輪が配設されたもの等を挙げることができる。支持部77の材質は、特に限定されないが、ステンレス鋼等挙げることができる。ガイド部76の形状は、特に限定されないが、支持部77の先端に車輪が配設されている場合、当該車輪によって支持部77が移動できるようなレールを有する形状であることが好ましい。
【0048】
また、圧搾手段は、汚泥を加圧しながら、汚泥表面(濾布表面)上を移動する「ローラー」であってもよい。
【0049】
尚、圧搾手段により濃縮汚泥を圧搾して圧搾汚泥を形成した後に、「圧搾汚泥を濾布から剥がして排出する」、排出手段を有していることが好ましい。本実施形態の固液分離装置100においては、濾過器3の濾液排出61を図6に示すように、互いに離れる方向に移動させる機構が排出手段となる。濾液排出61を図6に示すように、互いに離れる方向に移動させることにより、圧搾汚泥が、濾布から剥れて、開口した開閉部73から外部に排出される。このような排出手段を用いて、圧搾汚泥を濾過器3の外部に排出する工程を排出工程と称する。また、濾液排出61を互いに離れる方向に移動させた後に(及び/又は、移動させながら)、2次側空間から1次側空間に向かって(濾布1を通過するように)圧縮空気を流し、当該圧縮空気によって圧搾汚泥18を濾布1から剥離させることも好ましい態様である。そのため、本発明の固液分離装置は、ボンベ、コンプレッサ等により、圧縮空気を、2次側空間に供給できるように構成されていることが好ましい。図6は、本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器3の断面を示すとともに、排出工程において、圧搾汚泥を排出する様子を示す模式図である。
【0050】
また、本発明の固液分離装置における濾過器としては、下記実施例において使用した、図10に示す濾過器83を用いることができる。
【0051】
(2)固液分離方法:
次に、上記本発明の固液分離装置の一の実施形態を用いて汚泥を固液分離する方法である、固液分離方法について説明する。
【0052】
本発明の固液分離装置の一の実施形態を用いた固液分離方法は、図1〜2Bに示される固液分離装置100を用いて固液分離を行う方法であり、「濾布1の一方の面(2次側の面7)側の空間である2次側空間5を減圧しながら、上記濾布1の他方の面側の空間である1次側空間4に汚泥を供給して、上記濾布1によって汚泥を濾過し、上記濾布1の上記「他方の面」である1次側の面6に濃縮汚泥(初期濃縮汚泥)を付着させる」吸引濾過工程と、「上記2次側空間5を減圧するとともに、上記1次側空間6に、汚泥を供給するとともに加圧して、上記濾布1によって汚泥を濾過し、上記濾布1の1次側の面6に付着した濃縮汚泥(初期濃縮汚泥)の上から更に汚泥を加圧供給して、初期濃縮汚泥の表面に濃縮汚泥(2層目濃縮汚泥)を付着させる」加圧濾過工程と、「上記濾布1の1次側の面6に付着した濃縮汚泥を圧搾して圧搾汚泥を得る」圧搾工程と、「圧搾汚泥を上記濾布1から剥離させる」排出工程とを有するものであることが好ましい。尚、「1次側空間に、汚泥を供給するとともに加圧する」とは、1次側空間に、「汚泥を加圧しながら供給する」か、又は「汚泥を供給した後に汚泥を加圧する」ことを意味する。また、「汚泥を加圧しながら供給する」場合も、「汚泥を供給した後に汚泥を加圧する」場合も、1次側空間内が加圧され、その圧力により濾液が濾布を通過して2次側空間に押し出される状態となる。
【0053】
このように、吸引濾過工程において、濾布1の1次側の面6に濃縮汚泥を付着させ、加圧濾過工程において、上記「濾布1の1次側の面に付着した濃縮汚泥」の上から更に濃縮汚泥を付着させ、最後に、圧搾工程において、濾布1の1次側の面6に付着した濃縮汚泥を圧搾して圧搾汚泥を得るため、1つの固液分離装置を用いて、固形分1質量%程度の汚泥を濃縮して、固形分40質量%以上の汚泥とすることが可能である。
【0054】
本発明の固液分離装置の一の実施形態(固液分離装置100(図1参照))を用いた固液分離方法について、工程毎に説明する。
【0055】
(2−1)吸引濾過工程;
吸引濾過工程は、図1〜3に示すように、「濾布1の一方の面(2次側の面7)側の空間である2次側空間5を減圧しながら、上記濾布1の他方の面側の空間である1次側空間4に汚泥を供給して、上記濾布1によって汚泥を濾過し、上記濾布1の上記「他方の面」である1次側の面6に濃縮汚泥(初期濃縮汚泥)を付着させる」工程であることが好ましい。吸引濾過工程においては、図1に示すように、汚泥16を汚泥供給手段12に供給し、汚泥供給手段12から濾過器3の1次側空間4に汚泥16を供給している。そして、濾過器3の2次側空間5は、濾液貯留槽14を介して減圧手段11によって減圧されている。これにより、濾布1によって、汚泥16中の固形分が濃縮汚泥17として捕集され、濾布1を透過した濾液19が、2次側空間5を通過して、濾液貯留槽14に送られて貯留される。更に具体的には、濾布1を透過した濾液19は、流出口72から排出され、流出ノズル72a及び配管を通じて、濾液貯留槽14に送られ、濾液貯留槽14に貯留される。ここで、図3は、本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器3の断面を示すとともに、吸引濾過工程において、濾布1の1次側の面6に汚泥(初期濃縮汚泥17a)が付着している状態を示す模式図である。
【0056】
このように、本発明の固液分離装置の一の実施形態を用いた固液分離方法は、まず、吸引濾過工程において、濾布1の1次側の面6に、初期濃縮汚泥17aを付着させるため、次の加圧濾過工程において、濾過器3の1次側空間4に「濾布1を加圧しながら」汚泥を供給しても、汚泥中の固形分が濾布1を透過して2次側空間5に漏れ出すことを抑制することができる。これは、濾布1に付着した初期濃縮汚泥17aが、濾布1と共に、汚泥中の固形分を捕集する機能を有するためである。これにより、吸引濾過工程において、通常使用される、「モノフィラメントによって形成された濾布」を備えた装置(濾過器3)を使用した場合においても、吸引濾過工程において使用した当該装置(濾過器3)を用いて、加圧濾過工程における加圧濾過を行うことができる。つまり、吸引濾過と加圧濾過とを、1つの濾過器3(固液分離装置100)で行うことができる。
【0057】
吸引濾過工程において、2次側空間5に流出する濾液の固形分濃度が、0.02〜0.04質量%なったところで、加圧濾過工程を開始することが好ましい。0.02質量%より低いと、初期濃縮汚泥17aが十分に形成されず、加圧濾過工程における加圧力によって、初期濃縮汚泥17a自体が、濾布1を通過して2次側空間5に漏れ出すことがある。0.04質量%より高いと、吸引濾過工程の時間が長くなるため、汚泥を固液分離する全体時間が長くなることがある。
【0058】
吸引濾過工程における濾過時間が短すぎると、初期濃縮汚泥17aが十分に濾布1に付着せず、加圧濾過工程における加圧力によって初期濃縮汚泥17a自体が濾布1を通過して2次側空間5に流れ出ることがある。濾布1によって汚泥を濾過する時間が長いと、濾過時間全体が延びるという不具合を生じる。
【0059】
吸引濾過工程において、2次側空間5を減圧するときの圧力(減圧された2次側空間5の圧力)は、浄水場の汚泥を原料とする場合、−0.08〜−0.02MPa(ゲージ圧)であることが好ましい。−0.08MPaより低いと、固形分が濾布面で留まること無く通過して2次側空間5に流出し、濾布1の1次側の面6に初期濃縮汚泥17aが付着しない場合がある。−0.02MPaより高いと、吸引濾過工程に長時間を要することがある。尚、「ゲージ圧」とは、大気圧を「0MPa」とした圧力計に表示される圧力である。
【0060】
吸引濾過工程において、濾過器3の2次側空間5を減圧する減圧手段11としては、真空ポンプ等を用いることができる。また、減圧手段11としては、サイホンの原理によって濾過器3の2次側空間5を減圧する手段も好ましい態様である。尚、濾過器3の2次側空間5を減圧する減圧手段11として真空ポンプを用いた場合には(図1参照)、加圧濾過工程及び圧搾工程においても、濾過器3の2次側空間5を減圧するための減圧手段としては、吸引濾過工程において用いた減圧手段11を用いることが好ましい。また、濾過器3の2次側空間5を減圧する減圧手段11としてサイホンの原理による減圧手段を用いた場合には、加圧濾過工程においては、サイホンの原理による減圧手段を用いても真空ポンプを用いてもよく、圧搾工程においては、真空ポンプを用いることが好ましい。
【0061】
(2−2)加圧濾過工程;
加圧濾過工程は、図1図4に示すように、2次側空間5を減圧するとともに、1次側空間4に、汚泥16を「加圧しながら」供給し、濾布1によって汚泥16をさらに濾過する工程である。2次側空間5は、減圧することが好ましいが、減圧しなくてもよい。本工程の前段の吸引濾過工程において、濾布上に濃縮汚泥が付着するため、濾液の濁度は低下するが、濾液の流量は減少することとなる。そこで、加圧濾過工程は、加圧して濾液の処理流量を確保するための工程である。これに加えて本工程では、濾布1の1次側の面6に付着した濃縮汚泥17(初期濃縮汚泥17a)の上から更に濃縮汚泥17(2層目濃縮汚泥17b)を付着させるとともに、初期濃縮汚泥17aを圧縮してその密度を高めて(緻密化して)、濾布とこれに付着した濃縮汚泥により濾過機能を高める工程でもある。濾布1を透過した濾液19は、排出口24aから排出され、排出ノズル24b及び配管を通じて、濾液貯留槽14に送られ、濾液貯留槽14に貯留される。1次側空間4に、汚泥を「加圧しながら」供給する際には、汚泥16によって濾布1の「1次側の面6」の全面を加圧することが好ましい。図4は、本発明の固液分離方法の一の実施形態に用いる濾過器3の断面を示すとともに、加圧濾過工程において、濾布1の1次側の面6に汚泥(濃縮汚泥17(初期濃縮汚泥17a及び2層目濃縮汚泥17b))が付着している状態を示す模式図である。
【0062】
このように、加圧濾過工程は、濾布1に初期濃縮汚泥17aが付着した状態で、汚泥を加圧濾過するため、濾布1が汚泥によって加圧されるとともに、初期濃縮汚泥17aも圧縮されて、初期濃縮汚泥17aの緻密化の程度に応じた濾過機能を果たす。これにより、濾布1がモノフィラメントであっても、固形分の漏れを防止しながら加圧濾過を行うことが可能となる。また、加圧濾過工程において、例えば、2次側空間5を減圧した場合には、固形分濃度9〜16質量%の濃縮汚泥を得ることができる。
【0063】
濾布1に初期濃縮汚泥17aが付着した状態で、汚泥を加圧濾過する際に、供給する汚泥の圧力が急激に変化する(上昇する)と、濾布表面に形成された濃縮汚泥が濾布を通過して2次側空間に流出することがある。その場合、固形分の回収が不十分になるとともに、濃縮汚泥による固液分離が十分に行えなくなる。そのため、濾布1に初期濃縮汚泥17aが付着した状態で、汚泥を加圧濾過する際には、一回の昇圧における圧力変化を小さくし、段階的に複数回昇圧することが好ましい。これにより、固形分が2次側空間に漏れだすことを防止しながら、濾布1に付着した濃縮汚泥を緻密化することができ、最終的に高い圧力で濾過を行うことが可能となる。そして、濃縮汚泥を緻密化することが可能であるため、最終的に得られる(排出する)濃縮汚泥の固形分濃度を高くすることができる。
【0064】
加圧濾過工程においては、汚泥を加圧する圧力を、0.2〜0.4MPa(ゲージ圧)(最小濾過圧力)から、0.6〜1.5MPa(ゲージ圧)(最大濾過圧力)まで、断続的に上げていくことが好ましい。これにより、汚泥中の固形分が濾布を透過して濾液側に流出することを、より効果的に防止することができる。ここで、「最小濾過圧力」とは、加圧濾過工程において、汚泥を加圧するときの、最初(最初の段階)の圧力であって最も低い圧力のことである。「最大濾過圧力」とは、汚泥を加圧するときの、最後(最後の段階)の圧力であって最も高い圧力のことである。最小濾過圧力が、0.2MPaより低いと、固液分離にかかる時間が長くなることがある。最小濾過圧力が、0.4MPaより高いと、加圧濾過を行う際に、固形分が濾布を透過し易くなることがある。また、最大濾過圧力が、0.6MPaより低いと、固液分離にかかる時間が長くなることがある。最大濾過圧力が、1.5MPaより高いと、固形分が濾布を透過し易くなることがある。尚、「汚泥を加圧する圧力を断続的に上げる」とは、汚泥を加圧する圧力を階段状に上昇させることであり、「一定圧力の状態(一定圧力の維持)」と「昇圧している状態(昇圧操作)」とを交互に繰り返しながら汚泥を加圧する圧力を上げることである。また、加圧濾過工程においては、汚泥によって濾布を加圧するため、汚泥で濾過器3の1次側空間4を満たし、1次側空間内の汚泥の圧力(1次側空間内の圧力)を上記所定の圧力とすることが好ましい。従って、汚泥を、上記所定の圧力で、濾過器3の1次側空間4に供給することが好ましい。
【0065】
また、加圧濾過工程において、1次側空間内の圧力(汚泥を加圧する圧力)を、最小濾過圧力から最大濾過圧力まで断続的に昇圧する場合、一回の昇圧(昇圧操作)において上昇させる圧力は、0.2〜0.7MPa(上昇幅)であることが好ましく、0.2〜0.4MPaであることが更に好ましい。これにより、より効果的に、濾布に付着した濃縮汚泥を緻密化し、濾布からの固形分の漏れを抑制することができる。一回の昇圧で上昇させる圧力が、0.2MPaより小さいと、固液分離に要する時間が長くなることがある。一回の昇圧で上昇させる圧力が、0.7MPaより大きいと、固形分が、濾布から漏れ易くなることがある。また、一回の昇圧で上昇させる圧力は、一定の値であってもよいし、昇圧の段階によって異なってもよい。また、昇圧操作における昇圧速度(MPa/分)は、特に限定されないが、濾液に固形分が混入しない程度の速度とすることが好ましい。昇圧速度を速くし過ぎると、濾液に固形分が混入することがあり、また、濾布に付着した濃縮汚泥の層が崩れる可能性もあるため、好ましくない。昇圧速度としては、例えば、0.5〜2分が好ましい。このような昇圧速度の範囲内において、「濾液に固形分が混入したり、濾布に付着した濃縮汚泥の層が崩れたり」することがないように、適宜、昇圧速度を調整することが好ましい。
【0066】
そして、加圧濾過工程において、1次側空間内の圧力(汚泥を加圧する圧力)を、最小濾過圧力から最大濾過圧力まで断続的に上げる場合、「一定圧力の状態」から「昇圧している状態」への切り替えは、濾液の状況を確認して行うこととなる。
【0067】
具体的には、昇圧直後、濾液の濁度は上昇する。この濁度は時間経過とともに減少していく。この濁度低下は、初期濃縮汚泥17aの緻密化および、初期濃縮汚泥17aの上に新たな濃縮汚泥の層(2層目濃縮汚泥17b)が形成されることにより、これらの「初期濃縮汚泥17a及び2層目濃縮汚泥17b」が濾布1とともに濾過機能を果たし、新たな(高い)圧力においても汚泥を良好に濾過することができるような、汚泥の濾過に適した状態になったことを示す。したがって、この濁度低下により、初期濃縮汚泥17aの緻密化および、初期濃縮汚泥17aの上に新たな濃縮汚泥の層が形成されたと判断することができる。
【0068】
昇圧後の初期濃縮汚泥17aの緻密化および、新たな濃縮汚泥の層の形成のための時間、すなわち濁度が所定の値に低下するまでの時間は、処理すべき汚泥の組成や濃度などによって異なる。したがって、初期濃縮汚泥17aの緻密化状況や、新たな濃縮汚泥の層形成が十分であるか否かの判断は、濾液の濁度、濃度を計測して判断する。また、濁度計により濁度を計測し、濁度が一定値以下になった場合に上記判断を下してもよい。
【0069】
また、初期濃縮汚泥17aの緻密化および、新たな濃縮汚泥の層の形成に伴い、昇圧直後の濾液流量も変化するため、この流量変化により、初期濃縮汚泥17aの緻密化状況や、新たな濃縮汚泥の層が形成されたことの判断を行うことも可能である。これらの判断のために、一時的に濾液を濾液貯留槽14の槽外に取り出すようにしても良い。また、濁度が高い濾液が発生する時間は短く、当該濁度が高い濾液の量は、濾液全体から見ると微量であるためそのまま濾液貯留槽14に流入させても良い。
【0070】
また、通常の吸引濾過においては、濾過の進行に伴い濾布面への汚泥の付着が進み、濾過流量が低下し、汚泥の処理量が減少する。しかし、本発明の加圧濾過工程の段階的な昇圧により、付着した濃縮汚泥を濾布の一部として機能させつつ、汚泥処理量を確保できるため、従来の吸引濾過を主体とした濾過濃縮工程より短時間で所定量の汚泥を濃縮することができる。
【0071】
また、本発明における加圧濾過工程においては、汚泥を加圧しながら濾過を行うため、汚泥が濾布に供給される状態を維持しつつ、新な汚泥を、「濾布面に先に付着している汚泥」上に付着するとともに、「先に付着している汚泥」が圧縮されながら、濾過が行なわれる。特に、汚泥が濾布に供給される状態を維持することは、汚泥が濾布に供給されずに、濾布に付着した濃縮汚泥を機械的に加圧(構造物を押し付けて加圧)して、濃縮汚泥中の水分を搾り取る「圧搾工程」とは異なる点である。
【0072】
加圧濾過工程においては、1次側空間4を加圧する(1次側空間4内の濾液を加圧する)とともに、2次側空間5を減圧することが好ましいが、2次側空間5を減圧するときの圧力(減圧された2次側空間5の圧力)は、−0.08〜−0.02MPa(ゲージ圧)が好ましい。−0.02MPaより高いと、最終的に得られる圧搾汚泥の濃度が40質量%未満となることがあり、また、圧搾汚泥の濃度を40質量%以上に上げようとすると、長時間を要することがある。
【0073】
加圧濾過工程においては、図1に示すように、濾過器3の1次側空間4に供給する汚泥16を、汚泥加圧手段13によって加圧する。汚泥加圧手段13としては、空気、「窒素等の不活性ガス」等のボンベ、空気圧縮装置(コンプレッサー)等を用いる方式や、油圧等によりピストンで直接汚泥を圧縮する機械的な加圧方式を採用することができる。さらに、ポンプと圧力逃し弁などを組み合わせた汚泥加圧手段13も考えられえる。汚泥16を汚泥加圧手段13により加圧する際には、図1に示すように、汚泥加圧手段13によって「汚泥が貯留された汚泥貯留槽12a」内の汚泥を加圧し、加圧された汚泥貯留槽12a内の汚泥を濾過器3の1次側空間4に送ることが好ましい。この場合、汚泥加圧手段13から、加圧された「空気、窒素等の加圧媒体」が、汚泥貯留槽12aに送られることにより、汚泥貯留槽12a内が加圧される。
【0074】
加圧濾過工程においては、図1に示すように、汚泥加圧手段13によって、濾過器3の1次側空間4に供給する汚泥16を加圧する際に、圧力調整手段13aによって、汚泥の圧力を調整することが好ましい。圧力調整手段13aとしては、圧力調整弁を挙げることができる。圧力調整手段13aは、汚泥加圧手段13と汚泥貯留槽12aとを繋ぐ、配管に設けられていることが好ましい。
【0075】
(2−3)圧搾工程;
圧搾工程は、図5に示すように、濾布1の1次側の面6に付着した濃縮汚泥(初期濃縮汚泥及び2層目濃縮汚泥)を圧搾して圧搾汚泥18を得る工程である。加圧濾過の操作(加圧濾過工程)が終了した後、濾過器内に残留する汚泥を除去した後に濃縮汚泥の圧搾(圧搾工程)を行う。1次側空間4に残留する汚泥を排出する際には、2つの濾液排出槽61,61を、互いに遠ざける方向に移動させ、濃縮槽62の胴体部64の開閉部73を開口させて、当該開口した開閉部73から排出することが好ましい。濾過器内に残留する汚泥を除去した際には、濾過器から取り出した汚泥は、再度汚泥貯留槽に戻し、固液分離を行うことが好ましい。図5は、本発明の固液分離装置の一の実施形態における濾過器の断面を示すとともに、圧搾工程において、濃縮汚泥が圧搾される状態を示す模式図である。
【0076】
また、加圧濾過の操作(加圧濾過工程)により、汚泥が濾過器内に残留しない状態になる場合には、加圧濾過工程を完了させた後に、残留する汚泥を除去する操作等を行わずに、圧搾工程を開始することができる。
【0077】
図5に示すように、圧搾工程において用いられる汚泥圧搾機構は、2つの濾液排出槽61,61が1次側空間4を狭めて互いに近づくように移動し、2枚の濾布1,1のそれぞれの1次側の面6,6に付着した濃縮汚泥を、2つの濾液排出槽61,61の間に挟んで圧搾する機構である。濃縮汚泥は、2枚の、「2次側の面7側が濾液透過部材63で支えられた濾布1」に、挟まれて圧搾される。濃縮汚泥の圧搾により排出される濾液は、濾布1を透過して1次側空間4に流入し、流出口72から排出される。また、2枚の濾布1,1に挟まれて水分(濾液)が搾り出された濃縮汚泥は、圧搾汚泥18になる。
【0078】
圧搾工程において、「濃縮汚泥を圧搾する」とは、汚泥を濾布に供給せずに、濾布に付着した濃縮汚泥を機械的に加圧(構造物を押し付けて加圧、又は構造物で挟んで加圧)して、濃縮汚泥中の水分を搾り取ることを意味する。
【0079】
圧搾工程においては、濃縮汚泥を圧搾するときの圧力は、0.2〜1.8MPa(ゲージ圧)であることが好ましい。更に、上記圧力範囲内において、濃縮汚泥を圧搾するときの圧力を断続的に上げながら濃縮汚泥を圧搾することが好ましい。断続的に昇圧する際には、加圧濾過工程における「最大濾過圧力」より高い圧力から昇圧を開始することが好ましい。濃縮汚泥を圧搾するときの圧力が、0.2MPaより低いと、圧搾汚泥の固形分濃度が高くならないことがあり、圧搾工程に長時間を要することがある。濃縮汚泥を圧搾するときの圧力が、1.8MPaより高いと、濃縮汚泥(又は圧搾汚泥)の一部が、濾布を透過することがある。ここで、「濃縮汚泥を圧搾するときの圧力を断続的に上げる」とは、濃縮汚泥を圧搾する圧力を階段状に上昇させることであり、「一定圧力の状態(一定圧力の維持)」と「昇圧している状態(昇圧操作)」とを交互に繰り返しながら、濃縮汚泥を圧搾する圧力を上げることである。
【0080】
また、圧搾工程において、濃縮汚泥にかける圧力を、上記のように断続的に上げる場合、加圧濾過工程における「最大濾過圧力」より0.2〜0.4MPaだけ高い圧力(最小圧搾圧力)から、加圧濾過工程における「最大濾過圧力」より0.7〜1.0MPaだけ高い圧力(最大圧搾圧力)まで、断続的に上げていくことが好ましい。これにより、濾布1に付着した濃縮汚泥の層を壊すことなく、それらを濾過膜として機能させた脱水を行うことが可能となる。すなわち濃縮汚泥中の固形分が濾布を透過して濾液側に流出することを、より効果的に防止することができる。ここで、「最小圧搾圧力」とは、圧搾工程において、濃縮汚泥を加圧するときの、最初(最初の段階)の圧力であって最も低い圧力のことである。「最大圧搾圧力」とは、濃縮汚泥を加圧するときの、最後(最後の段階)の圧力であって最も高い圧力のことである。最小圧搾圧力が、「加圧濾過工程における最大濾過圧力より0.4MPaだけ高い圧力」より高いと、濃縮汚泥を加圧する際に、固形分が濾布を透過し易くなることがある。また、本実施形態の固液分離方法においては、圧搾工程において濾過器3を上記のような高い圧力にまで昇圧するため、濾過器3は、耐圧構造であることが好ましい。また、圧搾工程において、最終的に濃縮汚泥にかける圧力を、1.5〜1.8MPaとすることが、好ましい態様である。
【0081】
また、圧搾工程において、濃縮汚泥にかける圧力を、最小圧搾圧力から最大圧搾圧力まで断続的に上げる場合、一回の昇圧(昇圧操作)において上昇させる圧力は、0.2〜0.4MPa(上昇幅)であることが好ましい。これにより、より効果的に、濾布からの固形分の漏れを抑制しながら、固形分濃度の高い圧搾汚泥を得ることができる。一回の昇圧で上昇させる圧力が、0.2MPaより小さいと、固液分離に要する時間が長くなることがある。一回の昇圧で上昇させる圧力が、0.4MPaより大きいと、固形分が、濾布から漏れ易くなることがある。また、一回の昇圧で上昇させる圧力は、一定の値であってもよいし、昇圧の段階によって異なってもよい。また、昇圧操作における昇圧速度(MPa/分)は、特に限定されないが、濾液に固形分が混入しない程度の速度とすることが好ましい。昇圧速度を速くし過ぎると、濾液に固形分が混入することがあり、また、濾布に付着した濃縮汚泥の層が崩れる可能性もあるため、好ましくない。昇圧速度としては、例えば、0.5〜2分が好ましい。このような昇圧速度の範囲内において、「濾液に固形分が混入したり、濾布に付着した濃縮汚泥の層が崩れたり」することがないように、適宜、昇圧速度を調整することが好ましい。
【0082】
そして、圧搾工程において、濃縮汚泥にかける圧力を、最小圧搾圧力から最大圧搾圧力まで断続的に上げる場合、「一定圧力の状態」から「昇圧している状態」への切り替えは、濾液の流量が、「一定圧力の状態」における初期の流量に対して15〜25%となったときに行うことが好ましい。
【0083】
圧搾工程においては、濃縮汚泥を加圧するとともに、2次側空間5を減圧することが好ましい。濃縮汚泥を加圧するとともに、2次側空間5を減圧することにより、圧搾汚泥の表面(特に、濾布に接する面)付近の濾液19が迅速に排出されるため、その表面がより乾燥した状態となり、圧搾汚泥を濾布から剥離させるときに、より容易に剥離させることができるようになる。2次側空間5を減圧するときの圧力(減圧された2次側空間5の圧力)は、−0.08〜−0.02MPa(ゲージ圧)が好ましい。−0.02MPaより高い場合、特に、2次側空間5を減圧していない場合には、圧搾汚泥の表面が乾燥し難いことがある。
【0084】
圧搾工程おいて得られる圧搾汚泥の固形分濃度は、40〜45質量%であることが好ましい。圧搾汚泥の固形分濃度が、40質量%より低いと、圧搾汚泥を燃焼廃棄するときに、燃焼炉の負荷が大きくなることがある。圧搾汚泥の固形分濃度は高いほど好ましいが、本実施形態の固液分離方法では、45質量%程度が上限となる。
【0085】
(2−4)排出工程;
排出工程は、図6に示すように、圧搾汚泥18を濾布1から剥離させる工程であり、濾布1から剥離させた圧搾汚泥18は、濾過器3から排出される。
【0086】
本発明の固液分離装置の一の実施形態を用いた固液分離方法における排出工程においては、2つの濾液排出槽61,61を遠ざけるように移動させて胴体部64を伸ばし、濃縮槽62の胴体部64の鉛直方向下側に形成された開閉部73を開口させ、当該「開口した開閉部73」から圧搾汚泥18を排出する。開閉部73は、胴体部64に形成された「切り込み」であることが好ましい。
【0087】
排出工程においては、2次側空間から1次側空間に向かって(濾布1を通過するように)圧縮空気を流し、当該圧縮空気によって圧搾汚泥18を濾布1から剥離させることが好ましい。
【実施例】
【0088】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0089】
(実施例1)
図1に示される固液分離装置100において「濾過器として図10に示すような濾過器83を用いた」、固液分離装置を作製した。濾過器83は、凹部88aが形成された第1枠体82a(直方体に凹部が形成された形状)及び凹部88bが形成された第2枠体82b(直方体に凹部が形成された形状)を有する濾過器本体82と、「第1枠体82aの、凹部88aが形成された面」と「第2枠体82bの、凹部88bが形成された面」とにより挟まれた袋状の濾布81と、を備えるものである。袋状の濾布81は、外周(外縁)が、「第1枠体82aの、凹部88aが形成された面(外縁)」と「第2枠体82bの、凹部88bが形成された面(外縁)」とにより挟まれることにより、中央部に閉じた空間を形成している(尚、気体及び液体が濾布を通過して移動することは可能である)。また、第1枠体82aの凹部88aの開口部の形状、及び第2枠体82bの凹部88bの開口部の形状は、同じ大きさの円形とした。そして、第1枠体82aの凹部88aの開口部の円形と、第2枠体82bの凹部88bの開口部の円形とが、ずれずに重なり合うようにして、第1枠体82aと第2枠体82bとが配置されるようにした。第1枠体82aの凹部88aの開口部の直径を180mmとし、第2枠体82bの凹部88bの開口部の直径を180mmとした。また、第1枠体82aの凹部88aの深さ(最も深い位置の深さ)を、50mmとし、第2枠体82bの凹部88bの深さ(圧搾用ゴム膜86までの深さ)を、50mmとした。図10は、実施例1で用いられる濾過器83の断面を示す模式図である。
【0090】
そして、第1枠体82aには、汚泥導入管87が配設され、汚泥加圧手段13(図1参照)と圧力調整手段13a(図1参照)を有する汚泥供給手段12(図1参照)から供給された汚泥が、流入口Cから汚泥導入管87内に流入し、汚泥導入管87を通って袋状の濾布1内に供給されるように形成されている。この供給圧力を増加させて、汚泥を加圧することにより、加圧濾過工程における汚泥加圧が行われる。
【0091】
また、第2枠体82bの凹部88b内には、圧搾用ゴム膜86が配設され、圧搾用ゴム膜86によって、凹部88bによる空間を、凹部88bの凹部底側の空間88baと、凹部88bの開口部側(凹部88bが形成される面側)の空間88bbとに分割した状態になっている。
【0092】
濾過器83は、濾布81と第1枠体82aの凹部88aとにより形成される空間と、濾布81と第2枠体82bの凹部88bの開口部側の空間88bbとにより形成される空間とが、2次側空間85となる。また、袋状の濾布81の袋内の空間が1次側空間84となる。
【0093】
また、濾過器83は、第1枠体82aと第2枠体82bとの接合面が、水平面に対して直交するように配置して使用した。濾過器83をこのように配置したときに、「濾布81と第1枠体82aの凹部88aとにより形成される空間(1次側空間85)」を減圧し、濾液を排出するために、第1枠体82aの鉛直方向下側に、1次側空間85と外部とを通じさせる「流出口A」が形成されている。更に、「濾布81と第2枠体82bの凹部88bの開口部側の空間88bb(1次側空間85)」を減圧し、濾液を排出するために、第2枠体82bの鉛直方向下側に、1次側空間85と外部とを通じさせる「流出口B」が形成されている。流出口A及び流出口Bは、濾液貯留槽14(図1参照)に繋がっている。
【0094】
また、圧搾工程において濾布81内の汚泥を圧搾するために、第2枠体82bの凹部88bの底側の空間88baに加圧ガスを導入するための「加圧口D」が、第2枠体82bの鉛直方向上側に形成されている。圧搾工程においては、第2枠体82bの加圧口Dから凹部88bの底側の空間88baに加圧ガスを導入し、凹部88bの底側の空間88ba内を加圧して圧搾用ゴム膜86を外側に向かって膨れさせ、圧搾用ゴム膜86によって汚泥が入った濾布81を押圧し、汚泥を圧搾する。加圧口Dは、汚泥加圧手段13(図1参照)に繋がっている。
【0095】
汚泥加圧手段13(図1参照)としては、窒素ボンベを使用した。圧力調整手段13a(図1参照)としては、減圧弁を用いた。汚泥貯留槽12a(図1参照)としては、鉄により形成された25リットルのタンクを用いた。濾液排出槽61は鉄により形成した。濾布81としては、ナイロン製のモノフィラメントを朱子織して形成した濾布を用いた。濾液貯留槽14としては、透明な塩化ビニルにより形成されたタンクを用いた。濾液貯留槽14内を減圧するための減圧手段11(図1参照)としては、真空ポンプを用いた。
【0096】
得られた固液分離装置を用いて、浄水場において排出された固形分0.74質量%の汚泥を用いて、固液分離を行った。
【0097】
吸引濾過工程においては、「−0.033MPa(ゲージ圧)」で2次側空間を減圧しながら、汚泥を、1次側空間に60分間供給した(60分間、吸引濾過を行った)。
【0098】
加圧濾過工程においては、2次側空間を「−0.033MPa(ゲージ圧)」で減圧しながら、汚泥を0.4MPa(ゲージ圧)で加圧し、1次側空間に10分間供給した。この昇圧操作は1回実施した。
【0099】
圧搾工程においては、2次側空間を「−0.033MPa(ゲージ圧)」で減圧しながら、第2枠体82bの加圧口Dから凹部88bの底側の空間88baに、汚泥加圧手段13(図1参照)からの加圧ガスを導入した。そして、導入された加圧ガスによって、第2枠体82bの凹部88bの底側の空間88ba内を加圧して、圧搾用ゴム膜86を外側に向かって膨れさせ、圧搾用ゴム膜86によって汚泥が入った濾布81を押圧し、汚泥を圧搾した。圧搾の圧力は1.5MPa(ゲージ圧)であり、圧搾の時間は10分間とした。
【0100】
排出工程においては、第1枠体82aと第2枠体82bとを分離し、濾過器本体82内の圧搾汚泥を内部に有する濾布81を取り出し、圧搾汚泥を濾布から剥離させて取り出した。
【0101】
得られた圧搾汚泥の固形分濃度を以下の方法で測定した。結果を表1に示す。表1において、「吸引濾過工程」の「圧力」の欄は、減圧している2次側空間の圧力を示し、「時間」の欄は減圧濾過の時間を示す。また、「加圧濾過工程」の「圧力」の欄は、加圧している1次側空間の圧力を示し、「時間」の欄は、加圧濾過の時間を示す。また、「圧搾工程」の「圧力」の欄は、濃縮汚泥の圧搾に際して、濃縮汚泥に加える圧力を示し、「時間」の欄は、圧搾の時間を示す。また、「固形分濃度」の欄は、圧搾汚泥の固形分濃度を示す。尚、比較例1の「固形分濃度」の欄は、吸引濾過工程により得られた濃縮汚泥の固形分濃度を示す。
【0102】
(固形分濃度)
乾燥前の測定対象物(圧搾汚泥又は濃縮汚泥)の質量(乾燥前質量)を測定し、乾燥機で乾燥させた後の測定対象物の質量(乾燥後質量)を測定し、乾燥前質量から乾燥後質量を差し引いた値を乾燥前質量で除算した値を100倍した値を固形分濃度(質量%)とする。測定対象物の乾燥は、110℃、8時間の条件で行った。
【0103】
【表1】
【0104】
(実施例2)
加圧濾過工程及び圧搾工程における「圧力(ゲージ圧)」及び「時間」を表1に示すように変化させた以外は実施例1と同様にして、汚泥の固液分離を行った。実施例1の場合と同様にして、上記方法で、圧搾汚泥の「固形分濃度」の測定を行った。結果を表1に示す。表1において、「加圧濾過工程」の「圧力」の欄の「0.2−0.8」は、−0.033MPaから0.2MPaまで1分間で昇圧し、0.2MPaで9分間保持し、その後0.2MPaから0.4MPaまで1分間で昇圧し、0.4MPaで9分間保持し、その後0.4MPaから0.6MPaまで1分間で昇圧し、0.6MPaで4分間、その後0.6MPaから0.8MPaまで1分間で昇圧し、0.8MPaで4分間保持する、という昇圧パターンで、連続して1次側空間を加圧したことを示す。そして、「加圧濾過工程」の「時間」の欄の「30」は、上記1次側空間を加圧する時間(加圧濾過を行う時間)が、合計で30分であることを示す。また、「圧搾工程」の「圧力」の欄の「1.5−1.8」は、0.8MPaから1.5MPaまで1分間で昇圧し、1.5MPaで4分間保持し、その後1.5MPaから1.8MPaまで1分間で昇圧し、1.8MPaで5分間保持するという昇圧パターンで、連続して濃縮汚泥を圧搾(加圧)したことを示す。そして、「圧搾工程」の「時間」の欄の「10」は、上記濃縮汚泥を圧搾する時間が、合計で10分であることを示す。
【0105】
(比較例1)
加圧濾過工程及び圧搾工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、汚泥の固液分離を行った。実施例1の場合と同様にして、上記方法で、圧搾汚泥の「固形分濃度」の測定を行った。結果を表1に示す。
【0106】
表1より、実施例1の固液分離方法により、1つの固液分離装置を用いて、固形分濃度0.74質量%(1質量%程度)の汚泥から、固形分濃度45質量%の圧搾汚泥が得られたことがわかる。また、実施例2の固液分離方法により、吸引濾過工程の吸引濾過時間を10分と短くし、加圧濾過工程及び圧搾工程において、段階的に各「圧力」を上昇させたことにより、固液分離の合計時間が大幅に短縮されたことが分かる。また、比較例1の固液分離方法により、吸引濾過工程だけでは、濃縮汚泥の固形分濃度は、あまり上がらないことがわかる。
【0107】
(実施例3)
固液分離に使用する汚泥の固形分濃度を1.2質量%とし、吸引濾過工程、加圧濾過工程及び圧搾工程の条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、汚泥の固液分離を行った。吸引濾過工程においては、2次側空間の圧力を「−0.025MPa(ゲージ圧)」とし、濾過時間を10分とした(吸引濾過工程の条件)。加圧濾過工程においては、2次側空間の圧力を「−0.025MPa(ゲージ圧)」で維持するとともに、1次側空間を「0.20MPa(ゲージ圧)」で30分間加圧した後に「0.39MPa(ゲージ圧)」で20分間加圧した(加圧濾過工程の条件)。圧搾工程においては、2次側空間の圧力を「−0.025MPa(ゲージ圧)」で維持するとともに、1次側空間を「1.5MPa(ゲージ圧)」で10分間加圧した(圧搾工程の条件)。濾過時間と2次側空間に排出された濾液量との関係を図9に示す。図9は、実施例3,4の固液分離方法における、濾過時間と濾液量との関係を示すグラフである。
【0108】
(実施例4)
固液分離に使用する汚泥の固形分濃度を1.2質量%とし、吸引濾過工程、加圧濾過工程及び圧搾工程の条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、汚泥の固液分離を行った。吸引濾過工程においては、2次側空間の圧力を「−0.025MPa(ゲージ圧)」とし、濾過時間を90分とした(吸引濾過工程の条件)。加圧濾過工程においては、2次側空間の圧力を「−0.025MPa(ゲージ圧)」で維持するとともに、1次側空間を「0.39MPa(ゲージ圧)」で10分間加圧した(加圧濾過工程の条件)。圧搾工程においては、2次側空間の圧力を「−0.025MPa(ゲージ圧)」で維持するとともに、1次側空間を「1.5MPa(ゲージ圧)」で16分間加圧した(圧搾工程の条件)。濾過時間と2次側空間に排出された濾液量との関係を図9に示す。
【0109】
図9より、実施例3の固液分離方法では、70分程度で3.5kgの濾液を排出しているのに対し、実施例4の固液分離方法では、110分程度で3.5kgの濾液を排出していることが分かる。これより、本発明の固液分離方法では、吸引濾過工程を10分程度と短くして、加圧濾過工程に切り替えることにより、短時間で汚泥の固液分離を行うことができることが分かる。実施例3と実施例4との違いは、主として、実施例3においては、10分間の吸引濾過の後に40分間の加圧濾過を行ったところ(合計50分)で濾液量が3kgに達しているのに対し、実施例4においては、吸引濾過を90分間行ったところで濾液量が3kgに達した点である。つまり、吸引濾過工程を長時間続けるよりも、吸引濾過工程を短時間で終了させて、加圧濾過工程に切り替えるほうが、濾過時間を大幅に短縮できるのである。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の固液分離装置は、浄水場から排出される固形分濃度1質量%程度の汚泥を処理するために、好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1:濾布、2:濾過器本体、3,3a:濾過器、4:1次側空間、5:2次側空間、6:1次側の面、7:2次側の面、11:減圧手段、11a:真空ポンプ、12:汚泥供給手段、12a:汚泥貯留槽、12b:汚泥受入口、12c:汚泥排出口、13:汚泥加圧手段、13a:圧力調整手段、14:濾液貯留槽、16:汚泥、17:濃縮汚泥、17a:初期濃縮汚泥、17b:2層目濃縮汚泥、18:圧搾汚泥、19:濾液、61:濾液排出槽、62:濃縮槽、63:濾液透過部材、64:胴体部、65:対向する壁、65a:開口部、71:流入口、71a:流入ノズル、72:流出口、72a:流出ノズル、73:開閉部、74:サイホン管、75:移動機構、76:ガイド部、77:支持部、81:濾布、82:濾過器本体、82a:第1枠体、82b:第2枠体、83:濾過器、84:1次側空間、85:2次側空間、86:圧搾用ゴム膜、87:汚泥導入管、88a:(第1枠体の)凹部、88b:(第2枠体の)凹部、88ba:底側の空間、88bb:開口部側の空間、A,B:流出口、C:流入口、D:加圧口、100:固液分離装置。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10