特許第5985986号(P5985986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5985986改善された視力の質を提供する多焦点矯正具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985986
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】改善された視力の質を提供する多焦点矯正具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20160823BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20160823BHJP
   G02C 7/06 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   A61F2/16
   G02C7/04
   G02C7/06
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-527949(P2012-527949)
(86)(22)【出願日】2010年8月30日
(65)【公表番号】特表2013-503700(P2013-503700A)
(43)【公表日】2013年2月4日
(86)【国際出願番号】US2010047138
(87)【国際公開番号】WO2011028659
(87)【国際公開日】20110310
【審査請求日】2013年8月12日
(31)【優先権主張番号】61/238,774
(32)【優先日】2009年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512051387
【氏名又は名称】アーサー ブラッドリー
(73)【特許権者】
【識別番号】512051398
【氏名又は名称】ピート エス.コルバウム
(73)【特許権者】
【識別番号】512051402
【氏名又は名称】ラリー エヌ.ティボス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】アーサー ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】ピート エス.コルバウム
(72)【発明者】
【氏名】ラリー エヌ.ティボス
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−536685(JP,A)
【文献】 特表2006−517676(JP,A)
【文献】 特表2003−531677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
G02C 7/04
G02C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の眼のパワーで動作し且つ使用者の眼のパワーを変化させるようになっている矯正光学レンズであって、
第1のパワーを有する、径方向に延在する第1近方光学区域であって、前記第1のパワーは、該径方向に延在する第1近方光学区域の半径が増大するにつれて増大するようになっている、径方向に延在する第1近方光学区域と、
第2のパワーを有する、径方向に延在する第2遠方光学区域であって、前記第2のパワーは、該径方向に延在する第2遠方光学区域の半径が増大するにつれて減少するようになっている、径方向に延在する第2遠方光学区域とを具備し、
前記第1のパワーが前記第2のパワーよりも大きく、
前記径方向に延在する第1近方光学区域が正の球面収差を含み、前記径方向に延在する第2遠方光学区域が負の球面収差を含み、
前記径方向に延在する第1近方光学区域及び第2遠方光学区域のサイズ及びパワーが前記使用者のデフォーカス光に対する可視性を弱めるようになっている、矯正光学レンズ。
【請求項2】
前記径方向に延在する第1近方光学区域が前記径方向に延在する第2遠方光学区域から径方向において隔てられる、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項3】
前記第1のパワーが屈折光学部又は回折光学部のうちの少なくとも一つを用いて少なくとも部分的に実現される、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項4】
前記第2のパワーが屈折光学部又は回折光学部のうちの少なくとも一つを用いて少なくとも部分的に実現される、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項5】
当該矯正光学レンズが二焦点レンズを具備する、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項6】
当該矯正光学レンズが三焦点レンズを具備する、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項7】
当該矯正光学レンズが多焦点レンズを具備する、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項8】
当該矯正光学レンズがコンタクトレンズ(CL)を具備する、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項9】
当該矯正光学レンズが眼内レンズ(IOL)を具備する、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項10】
当該矯正光学レンズが角膜上レンズを具備する、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項11】
当該矯正光学レンズが角膜内レンズを具備する、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項12】
前記径方向に延在する第1近方光学区域が第1の直径まで径方向外側に延在し、前記径方向に延在する第2遠方光学区域が、少なくとも前記第1の直径と同じ大きさである第2の直径から径方向外側に延在する、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項13】
前記径方向に延在する第2遠方光学区域が第1の直径まで径方向外側に延在し、前記径方向に延在する第1近方光学区域が、少なくとも前記第1の直径と同じ大きさである第2の直径から径方向外側に延在する、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項14】
前記径方向に延在する第1近方光学区域又は第2遠方光学区域のうちの少なくとも一つが略環形状を画成する、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項15】
前記径方向に延在する第1近方光学区域又は第2遠方光学区域を横切るパワー変化の量が、直径6mmの瞳孔について約0.1〜0.4μmのRMSの大きさを有する波面に比例する波面によって定義されうる、請求項1に記載の矯正光学レンズ。
【請求項16】
使用者の第1の眼及び第2の眼のパワーで動作し且つ使用者の第1の眼及び第2の眼のパワーを変化させるようになっているシステムであって、
前記使用者の第1の眼と共に使用されるための第1矯正光学レンズであって、第1のパワーを有する、径方向に延在する第1近方光学区域を含み、前記第1のパワーは、前記径方向に延在する第1近方光学区域の半径が増大するにつれて増大するようになっている、第1矯正光学レンズと、
前記使用者の第2の眼と共に使用されるための第2矯正光学レンズであって、第2のパワーを有する、径方向に延在する第2遠方光学区域を含み、前記第2のパワーは、前記径方向に延在する第2遠方光学区域の半径が増大するにつれて減少するようになっている、第2矯正光学レンズとを具備し、
前記第1のパワーが前記第2のパワーよりも大きく、
前記径方向に延在する第1近方光学区域が正の球面収差を含み、前記径方向に延在する第2遠方光学区域が負の球面収差を含み、
前記径方向に延在する第1近方光学区域及び第2遠方光学区域のサイズ及びパワーが前記使用者のデフォーカス光に対する可視性を弱めるようになっている、システム。
【請求項17】
一つ以上のパワーを有するように光学レンズを適合させる方法において、
使用者の眼のパワーを得るステップと、
第1のパワーを有するように、前記レンズの径方向に延在する第1近方光学区域を形成するステップであって、前記第1のパワーは、前記使用者の眼のパワーと組み合わされるとき、前記径方向に延在する第1近方光学区域の半径が増大するにつれて増大する第1の正味のパワーをもたらすようになっている、ステップと、
第2のパワーを有するように、前記レンズの径方向に延在する第2遠方光学区域を形成するステップであって、前記第2のパワーは、前記使用者の眼のパワーと組み合わされるとき、前記径方向に延在する第2遠方光学区域の半径が増大するにつれて減少する第2の正味のパワーをもたらすようになっている、ステップと、
前記第1の正味のパワーが前記第2の正味のパワーよりも大きくなり、前記径方向に延在する第1近方光学区域が正の球面収差を含み、前記径方向に延在する第2遠方光学区域が負の球面収差を含むように、前記径方向に延在する第1近方光学区域及び第2遠方光学区域を適合させるステップと、
前記使用者のデフォーカス光に対する可視性を弱めるように、前記径方向に延在する第1近方光学区域及び第2遠方光学区域のサイズ及びパワーを適合させるステップと
を含む、方法。
【請求項18】
前記光学レンズが角膜上レンズ又は角膜内レンズを具備する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記使用者のデフォーカス光に対する可視性を弱めるように、前記径方向に延在する第1近方光学区域及び第2遠方光学区域のサイズ及びパワーを適合させる前記ステップが、更に、
前記レンズの光学プロファイルを成形するステップと、
前記レンズにおける分離の区域を操作するステップと、
前記レンズの屈折率を操作するステップと
のうちの少なくとも一つのステップを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年9月1日に出願された米国仮特許出願第61/238774号明細書の優先権の利益を主張し、米国仮特許出願第61/238774号明細書は参照によって全体として本明細書の一部を構成する。
【0002】
本発明は、概して眼科光学矯正及び外科的な視力矯正の分野に関し、特に、老眼及び他の視覚疾患を治療し且つ老眼、他の視覚疾患、及び/又はこれらと均等のものの治療のための処方(prescription)を開発するための方法、装置及びシステムを提供する。
【背景技術】
【0003】
人間の眼は加齢するにつれて、種々の距離における物体を結像すべく眼のパワーを変化させる能力が衰える。この衰えは「老眼」と呼ばれて全ての人間に影響を及ぼす。眼の水晶体の光学パワーを調整する能力の同様な喪失が、(例えば白内障手術後に)人工レンズによって生来の水晶体が置き換えられた患者において起こる。その後、老眼の人が直面する複数の距離において見ることの挑戦が偽水晶体によって共有される。現在のところ、老眼のための治療はなく、当業者が「調節」と呼ぶこの全範囲の視力を回復させる完全な光学的治療も存在しない。見ることができる距離の範囲(被写界深度)を増大するように設計される代用の光学装置及びストラテジー(strategy)が開発されてきた。斯かる装置は、「偽調節」として知られているものを生成する。すなわち、これらは眼自体のパワーを変化させることなく被写界深度を増大する。これら装置及びストラテジーの全ては、通常の調節よりも劣っており、老眼患者による妥協を必要とする。老眼の視力の質を高めるべく改善された装置及びストラテジーを開発する必要性が明確に存在する。
【0004】
老眼の被写界深度を増大するためのいくつかの確立されたストラテジーが存在する。最も単純なものは小さな(「ピンホールの」)瞳孔のいくつかの形態を実施することを含み、このことは下部の光学部の光学的特徴を変化させることなく被写界深度を増大する。斯かるストラテジーは、低い光レベルにおいて機能せず、且つ視野の大きさをひどく制限しうる。より典型的なものは、種々の距離に配置された目標物から網膜上に光の焦点を合わせるいくつかの光学レンズ又は光学装置を積極的に実施するストラテジーである。斯かる一つのストラテジーは二つの眼において異なるパワーの標準的な単焦点レンズを用い、これは「モノビジョン」と称される。しかしながら、最も多いストラテジーは、一つ以上のパワーの二焦点レンズ、三焦点レンズ又は多焦点レンズを含むレンズを用いる。
【0005】
眼鏡レンズとして実施されるとき、二焦点、三焦点又は多焦点において存在する種々のパワーは眼鏡レンズを横切って分配され、患者は、頭と眼との動作の組合せによって、種々の距離にある目標物について、網膜上に焦点が合わされた像(ひいては高品質の視力)を提供する眼鏡レンズの領域を選択することができる。眼及び頭の動作によって種々のパワーを選択するこのアプローチは、レンズ又は角膜矯正が眼とともに動作するので、ソフトコンタクトレンズ(CL)、眼内レンズ(IOL)、又は屈折矯正手術を介して角膜内に若しくは角膜上に作り出された矯正について作用しないであろう。このため、注視方向に関係なく、患者は常に同一の光学部を通して見ている。
【0006】
従って、眼とともに動作する、老眼の人のための二焦点光学矯正具、三焦点光学矯正具及び多焦点光学矯正具(角膜内矯正具又は角膜上矯正具(角膜内レンズ又は角膜上レンズ、他の屈折矯正手術)、CL及びIOL)が、網膜像に両方とも寄与する光学装置又はストラテジーの同一の又は近接した領域内に複数の光学パワーを含まなければならない。すなわち、患者が最も適切な光学パワーの物理的なレンズ配置を連続して選択する老眼眼鏡のレンズ矯正とは異なり、CL、IOL又は屈折矯正手術における老眼の矯正を備えた患者は種々の光学パワーを同時に用い、このため、これら装置及びストラテジーは「同時視力(simultaneous vision)」レンズ又は「同時視力」矯正具と称される。
【0007】
増大された被写界深度を老眼患者に提供することを目標とするCL、IOL及び屈折矯正手術の矯正が直面する核心的な問題がここでは存在する。同時視力矯正では、光学パワーのうちの一つによって網膜上にうまく焦点が合わされる光に加えて、他のパワーによって結像される焦点外れの光が同時に存在する。このため、網膜像の質(ひいては患者の視力)は、焦点が合わされた光とデフォーカス光とのこの組合せによって決定される。改善された光学的な矯正を老眼の人に提供するための眼科産業の努力のほとんどが、この光の焦点が合わされた部分を操作し且つ高めることを中心としてきた。本願において記述される発明は、光のデフォーカス部分の影響力を低減することによって老眼の人の視力を改善するように設計される。
【0008】
老眼のための全ての同時視力矯正の核心的な光学的特徴は、提供される増大された被写界深度である。増大された被写界深度の主な決定因子は光学装置又は屈折矯正手術における光学パワーの範囲である。広範囲のストラテジーを使用してレンズ(又は屈折矯正手術)においてパワーを分配する、老眼の人のための非常に多くの老眼矯正具が販売されてきたが、それでもなお他の老眼矯正具が発明されてきた。非常に簡単に言えば、斯かる光学矯正具は二つのパワー(二焦点)、三つのパワー(三焦点)又は複数のパワー(多焦点)を有するように設計されうる。多焦点レンズを作り出すための一つのストラテジーは中心から縁に向かってレンズのパワーを漸進的に変化させることである。このことは、レンズの中心よりもレンズの周囲のパワーを小さくさせうる大きな量の球面収差(SA)をレンズに導入することによって実現されうる(負のSA、米国特許第7261412号、2007年8月28日、及び米国特許出願第0051876号明細書、2009年参照)。このレンズは、その中心において最大のパワーを有し、このため「中心−近方(center-near)」設計と称され、この設計では、増大されたパワーが近方の目標物の焦点を合わせるのに必要とされる。代替的に、同様のストラテジーが、レンズに正のSAを加えることによって「中心−遠方(center-distance)」設計を発生させる(米国特許第5089024号、1992年2月18日参照)。これらストラテジーの両方を用いて、存在するパワーの範囲を増大し、ひいては被写界深度を増大すべくレンズ設計においてSAが操作される。
【0009】
レンズを横切ったパワーの漸進的な変化よりもむしろ、離散的な光学パワー例えば二つのパワーを有する二焦点又は三つのパワーを有する三焦点を用いる別の一般的なストラテジーが存在する。斯かる設計では、光学部のうちの一つの焦点が合っているときに生成される網膜像の光学的品質が、人間の眼内に存在する球面収差(SA)について完全な矯正(例えば米国特許第5220359号、1993年6月15日、及び国際特許出願第2005/019906号明細書)又は部分的な矯正(例えば米国特許第7118214号、2006年10月10日)を各区域内に含むことによって高められうる。人間の眼は典型的には正のSAを有するので、これらレンズは負のSAを導入することによってこの正のSAを矯正する。しかしながら、いくつかの眼が負のSAを有することがあるので、これらレンズは負のSAを矯正すべく正のSAを導入するであろう。多くの斯かる発明では、SAはいくつかの形態の波面収差測定装置(aberrometer)を使用して最初に測定される。
【0010】
制御されたレベルのSAがレンズに導入されるとき、このレンズは「非球面」として記述されることがある。同時視力老眼矯正のための第3の一般的な設計ストラテジーでは、SA及び/又は他の径方向の対称な非球面性が、種々のパワーの区域間の移行を制御するのに用いられる。すなわち、空間的に離散した移行を有する代わりに、パワーはレンズの移行領域を横切って漸進的に変化せしめられる。パワーにおけるこの漸進的な変化は非球面性又はSAと称されることが多い。いくつかの発明は斯かる非球面性を用いる(例えば米国特許第6457826号、国際特許出願第2007/015001号明細書、国際特許第0221194号)。
【0011】
老眼矯正又は偽水晶体矯正の一部としてSA又は他の径方向の対称な非球面性を用いる他の二つのストラテジーが実施されてきた。第1に、焦点が合わされた像の質を改善すべく種々の光学区域内においてSA矯正を用いる設計に反して、一つのストラテジーでは、目標の増大する被写界深度を有する種々の区域内にSAを導入することができる(例えば米国特許第0176572号、2006年)。また、増大された被写界深度は、小さな非球面性を光学部に加えることによって単焦点矯正を有するように設計されるものに導入されうる(米国特許第0230299号、2004年)。
【0012】
SA又は同様の非球面性を用いる上記設計の全ては、同時視力矯正における焦点が合わされた像の質を改善し又は同じタイプの矯正において被写界深度を増大するように設計される。一つの発明は、デフォーカス像の可視性を低減すべく同時視力レンズにおいてSA制御を用いようとした(国際特許出願第2010/014767号明細書)。このストラテジーは、単純であり、すなわち眼のSAについて矯正するであろう二焦点矯正に特定のSAを導入し、ひいては光の焦点が合わされた部分の質を最大にする。光の焦点が合わされた部分が実際にうまく焦点が合わされたとき、(「ゴースト」像と称されることが多い)デフォーカス像の可視性が低減されるであろうということをこの発明は(サポートする証拠を有することなく)主張した。当然のことながら、二焦点においてSA矯正を既に用いた非常に多くの前述の特許が付与されてきた(上記参照)。我々は、二焦点、三焦点又は多焦点の老眼矯正によって発生せしめられた焦点外れの「ゴースト」像の可視性を最小にすべく、制御されたSA(又は同様の非球面性)を用いるための新規なストラテジーを発明してきた(下記の詳細な記述を参照)。
【発明の概要】
【0013】
概して記述すると、一つの態様において、本発明は、球面収差の符号又は他の非球面性の領域固有の制御を通して、老眼矯正において存在するゴースト像の可視性を取り除き又は最小にするためのレンズ、設計ストラテジー、装置、方法及びシステムを提供する。以前の技術はレンズパワーとSAの符号(上記参照)との間の関係を考慮することなく球面収差を矯正し又は無闇に生じさせてきた。斯かるアプローチは、老眼又は偽水晶体の眼の被写界深度を増大することに様々に成功しうるが、非常に目立ち且つ視覚的に受け入れられないデフォーカスされたゴースト像を生成する。斯かるゴースト像はこれら老眼矯正の全体的な成功を弱める。現行の技術は、ゴースト像の可視性を最小にしつつ被写界深度を最大にすべく具体的には二焦点の最大の正のパワー(又は最小の負のパワー)の領域に正のSAを結合させ且つ最小の正のパワー(又は最大の負のパワー)を有する個々の光学領域に負のSAを導入することを目標とする点において全ての以前の技術とは明確に異なる。別の言い方では、我々の発明は、近方光学部に正のSAを導入し且つ二焦点、三焦点若しくは多焦点のCL、IOL又は屈折矯正手術の遠方光学部に負のSAを導入することを目標とする。具体的には我々の発明は遠方矯正及び近方矯正が互いに反対符号のSAすなわち遠方矯正における負のSA及び近方矯正における正のSAを含むことを必要とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1a図1aは、ゼロの球面収差(C40=0)を有するレンズによって遠方の物体から光線の焦点を合わせることを描写する光線の略図である。
図1b図1bは、正の球面収差(C40>0)を有するレンズによって遠方の物体から光線の焦点を合わせることを描写する光線の略図である。
図1c図1cは、負の球面収差(C40<0)を有するレンズによって遠方の物体から光線の焦点を合わせることを描写する光線の略図である。各々の場合、鉛直方向の点線は最良の焦平面を表す(マイナスのRMS、最小錯乱円)。最も左側の鉛直方向の点線はレンズに近い平面を表し、レンズに近い平面は、レンズが有する合焦パワー(focusing power)よりも大きな合焦パワーを必要とし、ひいては負のデフォーカス又は負のC20を発生させる。最も右側の鉛直方向の点線はレンズから遠い平面を表し、レンズから遠い平面は、レンズが有する合焦パワーよりも小さな合焦パワーを必要とし、ひいては正のデフォーカス又は正のC20を発生させる。
図2a図2aは、球面収差を含まないレンズを通した光の進路を描写する光線の略図である。
図2b図2bは、正の球面収差を含むレンズを通した光の進路を描写する光線の略図である。
図2c図2cは、負の球面収差を含むレンズを通した光の進路を描写する光線の略図である。(b)では物体が遠方にあり、一方(c)では物体が近方にある。このため、2(b)ではC40が正であるので、網膜においてデフォーカスが存在する。2(c)ではC40が負であるので、網膜においてデフォーカスが存在する。
図3図3は、高コントラストの文字Dのシミュレートされた網膜像を示す。像が所定の範囲のデフォーカスレベルについて算出され、正のデフォーカスが右側に位置し、負のデフォーカスが左側に位置する。SAの三つのタイプ、すなわちゼロのSA、+0.21DeqのSA及び+0.50DeqのSAがモデル化される。
図4図4は、同一符号のデフォーカス及び球面収差を用いて発生せしめられた二焦点矯正の眼のシミュレートされた網膜像を示す。
図5図5は、反対符号のデフォーカス及び球面収差を用いて発生せしめられた二焦点矯正の眼のシミュレートされた網膜像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の模範的な実施形態と、本発明を作り且つ使用する態様及び工程と、本発明を作り且つ使用する実施を可能とすることとを明確に簡潔に且つ正確に記述する目的のために、以下、図において示された模範的な実施形態が参照され、特定の言葉が同じものを記述するのに使用される。それにも拘わらず、本発明の範囲がこれによって限定されることなく、本発明が関係する技術分野における当業者が気付くように、示された実施形態及び本明細書において示され且つ記述された実施形態の斯かる更なる用途に対する斯かる置換及び修正を本発明は含み且つ保護することが理解されるであろう。
【0016】
いくつかの模範的な実施形態は、同時視力コンタクトレンズ、IOL、角膜内レンズ、角膜上レンズ、レーシック矯正のような外科的な眼科処方及び他のレンズ又は他の矯正処方のためのレンズ、設計ストラテジー、装置、システム及び方法、並びにこれらと均等のものを含み、これらは、全ての形態のモノビジョン、又は修正モノビジョンと称されることもあるモノビジョンの変形を含んで組み合わされた遠方矯正及び近方矯正を用いる。同時視力レンズに対する参照が前述の矯正処方及び他の矯正処方を含むことを理解されたい。同時視力レンズは、二焦点レンズ、三焦点レンズ、他の多焦点レンズ、及びモノビジョン処方において用いられる単焦点レンズの使用を含む。所定の模範的な実施形態はこれら同時視力レンズ及び他の同時視力レンズにおけるエラーを取り除き又は最小にする。
【0017】
模範的な実施形態は、同時視力レンズ及びモノビジョン矯正において存在する像のデフォーカス部分の可視性を制御するための収差制御を含む。像のデフォーカス部分は模範的な同時レンズストラテジー及びモノビジョンレンズストラテジーにおいて不可避であり、像におけるデフォーカス光の可視性が、斯かるレンズストラテジーによって提供される光学的な質及び視覚的な経験(visual experience)を損なう。像における光の可視的なデフォーカス部分は患者及び臨床医によってゴースト像又はゴースト発生と称されることが多い。本明細書において記述される実施形態は、斯かるゴーストの可視性を取り除き又は最小にするためのレンズ、設計ストラテジー、装置、方法、及びシステムを含む。斯かるゴーストに関する光学的な原理及び斯かるゴーストの低減又は除去が、以下、図1a、1b、1c、2a、2b及び2cに関連して記述される。
【0018】
上記図1aは、正のパワー及びゼロの球面収差(すなわちゼルニケ係数C40=0)を有するレンズによる遠方の物体からの光線の合焦を描写する。図1aでは、光線は遠視デフォーカス(C20<0)の平面及び近視デフォーカス(C20>0)の平面において一様に離間され、このことは、これら平面において形成された錯乱円が一様に照明された光のディスクであることを暗に意味する。上記図1bは正の球面収差の効果を描写し、この効果のために周辺光線が上の略図よりも大きく屈折され、中心の光線は上の略図よりも小さく屈折される。結果では、遠視デフォーカスの平面において一対の高強度の小さな錯乱円に光が圧縮されるが、近視デフォーカスの平面においてぼやけた縁を有する低強度のより一様な大きな錯乱円に光が拡大される。上記図1cは負の球面収差の効果を描写し、この効果のために周辺光線が上の略図よりも小さく屈折され、中心の光線は上の略図よりも大きく屈折される。結果では、遠視デフォーカスの平面において一対の高強度の小さな錯乱円に光が圧縮されるが、近視デフォーカスの平面において低強度の一様な大きな錯乱円に光が拡大される。低強度の一様な大きな錯乱円の利点は、二焦点コンタクトレンズによって生成される厄介なデフォーカス像のコントラストのより大きな減退である。一対の高強度の小さな錯乱円の欠点は複視又は環状のハローであり、複視又は環状のハローのために、煩わしい高コントラストのゴースト像又はハローが網膜上に形成される。
【0019】
上記図2a、2b及び2cは光学的なメカニズムを示し、この光学的なメカニズムは、本明細書において開示される模範的な実施形態についての基礎である。二焦点コンタクトレンズは各物体の二つの網膜像を形成する。これら像のうちの一方は他方よりもデフォーカスされ、本発明の意図は、デフォーカスのコントラスト及び全体的な可視性を低減することによって大きなデフォーカスを有する像の顕著性を低減することである。光線の略図は点光源の像のデフォーカス部分のみを描写する(例えば、物体が遠方にあるときの高パワーの近方付加光学部(near add optic)についての光線、及び物体が近方にあるときの低パワーの遠方光学部からの光線)。上記図2aは、ゼロの球面収差の場合について近方の処方を実施する二焦点のその部分によって形成された遠方の物体のデフォーカス像を描写する。眼はこの場合過剰なパワーを有するので、デフォーカス係数はC20>0である。網膜上の錯乱円は一様に照明される。上記図2bの略図は、同一の条件を描写するが、正の球面収差(C40>0)を有するレンズについて描写する。結果は、拡大された低強度のより一様に照明された錯乱円であり、この錯乱円はそのコントラストを低減することによってぼやけた像の強調を抑制する。上記図2cは処方の遠方成分による近方の目標物からの光の結像を描写する。デフォーカス係数C20がこの例では負であるので、球面収差係数C40の符号は、一様に照明された低強度の大きな錯乱円の所望の結果を実現すべく負である必要がある。二焦点コンタクトレンズの中心部分が遠方処方を提供し且つ二焦点コンタクトレンズの周囲部分が近方処方を提供し、又は二焦点コンタクトレンズの中心部分が近方処方を提供し且つ二焦点コンタクトレンズの周囲部分が遠方処方を提供するかに拘わらず、論理的根拠は同一であることに留意されたい。正のデフォーカスは正のSAと結合されるべきであり、負のデフォーカスは負のSAと結合されるべきである。
【0020】
所定の模範的な実施形態は、全ての二焦点矯正、多焦点矯正及びモノビジョン矯正に適用され、二焦点同時視力レンズを用いる患者の例を使用して容易に理解されうる。斯かるレンズにおける遠方矯正は遠方の物体の焦点を合わせるが近方の物体を見るときにはデフォーカスを生成するであろう。逆に、レンズの近方の付加パワーは近方の物体の焦点を合わせるが遠方の目標物を見るときにはデフォーカス像を生成するであろう。本明細書において開示された所定の模範的な実施形態はこれらデフォーカス像(ゴースト)の可視性を取り除き又は最小にする。
【0021】
二焦点レンズ又は複数の二焦点レンズを使用する患者は正又は負の球面収差(「SA」)を経験しうる。(患者は正のSAを経験することが多いが、高パワーの負のレンズを備えたいくつかの眼及び何人かの患者は負のSAを有することがある。)所定の模範的な実施形態は(レンズの遠方パワーによって作り出された)近方の物体のデフォーカス像又は(レンズの付加パワーによって作り出された)遠方の目標物のデフォーカス像がSAの符号と同一の符号で同時に起きることを確実なものとする。所定の実施形態は、遠方の目標物及び近方の目標物の両方のデフォーカス像の望まれない効果を最小にすべく、遠方光学部及び近方光学部において球面収差の独立した制御を提供する。いくつかの実施形態は、フォーカス外れのゴーストの可視性を最小にする同時視力レンズを含む。これら実施形態及び他の実施形態が、患者が経験する視力矯正における改善を与えることが示されてきた。
【0022】
所定の模範的な実施形態は、遠方光学部及び近方光学部において反対符号のSAを用いる二焦点タイプのレンズ、モノビジョンタイプのレンズ又は屈折矯正手術を含む。具体的には、近方の付加部によってもたらされたデフォーカスが、遠方の目標物を見るときに正のデフォーカス(超過パワー)のせいで生じるので、近方の付加部が正のSAを含み、一方遠方の光学部が負のSAを含む。逆に、遠方矯正は、遠方矯正によってもたらされたデフォーカスが目標物が近方にあるときに負(不十分なパワー)であるので、負のSAを含むであろう。このことは、全体の矯正のために正又は負のSAを有するレンズ及び光学部又は移行領域における非球面性を生成する現行技術とは異なり、所定の模範的な実施形態は近方矯正及び遠方矯正のために反対符号のSAを確保する。
【0023】
いくつかの模範的なレンズ設計は、二焦点/多焦点コンタクトレンズ、眼内レンズ(IOL)及び他のレンズ設計を作り出すのに患者の球面収差の知識を用い、これらレンズ設計ではフォーカス外れのゴースト像の可視性が最小にされる。同時視力二焦点で矯正された眼における像の質は、同時に存在する焦点が合わされた像の質とデフォーカス像の特徴とによってモデル化されうる。この反対符号のSAの発明の設計又は実施に眼のSAを含めることができる。
【0024】
いくつかの実施形態は、HOAのレベル及びタイプの関数としてデフォーカス像を改善することによって同時視力を改善する。図3では、正のSAを有する眼、すなわち正のデフォーカス(超過のパワー)を有する眼の網膜像が負のデフォーカス(不十分なパワー)で発生せしめられた像とは非常に異なることが見られうる。前者は低コントラストのぼやけた縁ひいては貧弱な可視性を有し、一方、後者は高コントラストを有し且つ像における位相変化のせいで空間的に歪められうる。同時視力二焦点についての模範的な設計目標はデフォーカス像が低い視認性を有するようにすることである。このため、典型的なレベルの正のSAを有する眼について、新しいレンズ設計が、近方の光学区域(遠方の目標物を見るときにパワーの超過によってデフォーカスされる区域)が眼の上にあるときに正のSAを有することを確実なものとするであろう。また、レンズの遠方部分は、(近方の目標物を見るときに不十分なパワーのせいで)デフォーカスされるとき、眼の上にあるときに負のSAを有するであろう。眼とレンズとの組合せにおけるSAのレベルは、眼によって寄与されるSAとレンズによって寄与されるSAとの合計である。
【0025】
コンピュータの光学ツールを使用して、発明者は、模範的な二焦点光学部で眼のシミュレートされた網膜像を発生させてきた。図4及び図5において示された二つの例の比較が、デフォーカス及びSAの符号が同一であるとき(図4)の二焦点の像の質と、デフォーカス及びSAの符号が反対であるとき(図5)の二焦点の像の質との差を示す。図4は、同一符号のデフォーカス及び球面収差を用いて発生せしめられた二焦点の眼のシミュレートされた網膜像を示す。デフォーカスされたゴーストが最小にされてほとんど不可視である。図5は、反対符号のデフォーカス及び球面収差を用いて発生せしめられた二焦点の眼のシミュレートされた網膜像を示す。デフォーカスされたゴーストが明確に可視できることに留意されたい。図5において示されるゴーストの可視性は、CL、IOL、屈折矯正手術又は移植が瞳孔に対して中心がずらされるとき、更に増大されるであろう。
【0026】
遠方光学領域及び近方光学領域においてSAを制御することによって所定の模範的な実施形態はデフォーカス及びSA(又は他の同様な径方向の対称な非球面性)が常に同じ符号を有することを確実なものとし、このため、ゴーストが、反対符号のデフォーカス及びSAで実現されうるゴーストよりも不可視に(又は少なくとも著しく見えにくく)なるであろう。このことは十分な負のSAを遠方矯正に導入し且つ近方矯正において十分な正のSAが存在することを確実なものとすることによって実現される。遠方矯正及び近方矯正におけるそれぞれの負のSA及び正のSAは、眼の上にあるときに実現され、このため必要に応じて設計に眼の生来のSAを取り込むことができる。結果として生じる正のSA及び負のSAのレベルは、直径6mmの瞳孔を横切って小さな値(例えば0.1μm)から大きな値(例えば0.4μm)へ変化しうるが、任意の瞳孔サイズに合わせて調整され且つゴースト像の所要の可視性を実現すべくレベルが調整されうる。この文書では、用語SAは、レンズ又は瞳孔を横切った光学パワーにおける径方向の対称的な変化を記述するのに使用される。SAの例は、ザイデルSA、ゼルニケSA、又はレンズ中心又は瞳孔中心からの距離の関数としてのパワーにおける他の任意の漸進的な変化である。斯かる変化は、光学表面の形状、屈折率の操作、並びに回折二焦点における区域分離及びプロファイルの操作によって生成されうる。一つの実施形態では、このSAの符号は、パワーが中心からの距離で正になる場合に正として定義され、パワーが中心からの距離で負となる場合に負として定義される。
【0027】
所定の模範的な実施形態は、低減され又は最小にされたゴースト発生を含む多焦点レンズ設計を含む。いくつかの実施形態はコンタクトレンズを含む。いくつかの実施形態はIOLを含む。いくつかの実施形態は、別体の矯正レンズよりもむしろ外科的な眼科処方を含む。いくつかの実施形態はレーシック矯正のような外科的な屈折矯正を含む。いくつかの実施形態は、モノビジョン矯正と、修正モノビジョンと称されることが多いこの形態の処方の変形とを含む。
【0028】
所定の模範的な実施形態は、低減され又は最小にされたゴースト発生を含む多焦点処方を決定する方法を含む。いくつかの実施形態は眼鏡レンズを含む。いくつかの実施形態はコンタクトレンズを含む。いくつかの実施形態はIOLを含む。いくつかの実施形態は別体の矯正レンズよりもむしろ外科的な眼科処方を含む。いくつかの実施形態はレーシック処方を含む。
【0029】
図及び前述において詳細に示され且つ記述された発明の実施形態は例示的なものであり且つ制限的な又は限定的なものではない。現在のところ好ましい実施形態のみが示され且つ記述されてきたが、本発明の範囲内にある全ての変化及び修正が保護されるべきである。上述された実施形態の様々な特徴及び態様が必須ではなく、同一のものを欠く実施形態も保護されることが理解されるべきである。請求項を読む場合、「一つの」、「少なくとも一つの」又は「少なくとも一つの部分」のような用語が使用されるとき、請求項において具体的に反対のことが述べられていない限り、請求項を一つのみの品目に限定することは意図されていない。「少なくとも部分」及び/又は「部分」といった言葉が使用されるとき、品目は、具体的に反対のことが述べられていない限り、部分及び/又は全体の品目を含むことができる。
【0030】
本発明は、全瞳孔又は個々の光学区域を横切って正又は負のSAを導入することによってSAを増大させ又は減少させる以前の全ての発明とは明確に異なる。本発明は、具体的には、遠方矯正及び近方矯正が互いに反対符号のSAすなわち遠方矯正における負のSA及び近方矯正における正のSAを含むことを必要とする。
【0031】
本発明が好ましい実施形態及び例示的な実施形態を参照して記述されてきたが、様々な修正、付加及び削除が以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲内であることが当業者によって理解されるであろう。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5