(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属粉体は、前記他方の外部端子の形成素材と同種の素材、もしくは、前記他方の外部端子の形成素材との溶接性に優れ且つ該他方の外部端子の形成素材と異種の素材からなることを特徴とする請求項1に記載の角形二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る角形二次電池の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
[実施形態1]
図1は、本発明に係る角形二次電池の実施形態1の外観を示したものである。
【0016】
図示する角形二次電池100は、電池缶101と電池蓋102を備えている。ここで、電池缶101と電池蓋102の形成素材としては、例えばアルミニウムやアルミニウム合金などが挙げられる。
【0017】
電池缶101の内部には、蓄電要素である扁平捲回群170(
図2参照)が収納され、電池缶101の上部開口が、矩形平板状の電池蓋102によって封止されて密閉されている。なお、電池缶101と電池蓋102はレーザ溶接等によって溶接されている。
【0018】
また、電池蓋102には、正極外部端子141と負極外部端子151とガス排出弁103が設けられている。ガス排出弁103は、プレス加工等により電池蓋102を部分的に薄肉化することによって形成され、このガス排出弁103には、開裂時に大きな開口が形成されるように開裂溝が形成されている。角形二次電池100が過充電等により発熱してガスが発生し、二次電池内の圧力が上昇して所定圧力に到達すると、このガス排出弁103が開裂して二次電池内からガスが外部へ排出されることによって、二次電池内の圧力が低下する。また、電池蓋102には、二次電池内に電解液を注入するための注液孔106a(
図2参照)を封止する注液栓106bがレーザ溶接等によって溶接されている。
【0019】
また、負極外部端子151の上面には、負極外部端子151の形成素材と異種の素材であって正極外部端子141の形成素材との溶接性に優れた素材からなる金属粉体が堆積された接続層151aが形成されている。ここで、接続層151aを構成する金属粉体と負極外部端子151とは、その界面で金属結合により結合されている。また、接続層151aの上面には、隣接する角形二次電池100同士を接続するバスバーBを溶接するために表面粗さを低減する表面加工処理が施されている。
【0020】
上記する角形二次電池100は、正極外部端子141と負極外部端子151に形成された接続層151aにバスバーB、Bを溶接し、隣接する角形二次電池100同士をバスバーB、Bを介して直列に接続することによって、組電池とすることができる。ここで、一般に、正極外部端子141の形成素材としては、アルミニウムやアルミニウム合金が挙げられ、負極外部端子151の形成素材としては、銅や銅合金が挙げられ、バスバーBの形成素材としては、正極外部端子141と同種のアルミニウムやアルミニウム合金が挙げられ、接続層151aを構成する金属粉体の形成素材としては、正極外部端子141やバスバーBと同種のアルミニウムやアルミニウム合金が挙げられる。
【0021】
図2は、
図1に示す角形二次電池を分解して示したものである。
【0022】
図示するように、電池缶101は、一対の幅広面101aと一対の幅狭面101bと底面101cとを有し、上面が開口された矩形箱状に形成されている。蓄電要素である扁平捲回群170は、絶縁ケース108に覆われた状態で電池缶101に収容されている。絶縁ケース108は、ポリプロピレン等の絶縁性を有する樹脂から形成されており、この絶縁ケース108によって電池缶101の内面と扁平捲回群170とは電気的に絶縁されている。
【0023】
電池蓋組立体107は、主として、電池蓋102と、電池蓋102に設けられた一対の貫通孔102hのそれぞれに取り付けられた正極外部端子141および負極外部端子151と、正極外部端子141および負極外部端子151のそれぞれに電気的に接続される正極集電体180および負極集電体190と、電池蓋102と正極外部端子141および負極外部端子151との間に介在される一対のガスケット130と、電池蓋102と正極集電体180および負極集電体190との間に介在される一対の絶縁部材160と、を備えている。
【0024】
電池蓋組立体107の正極集電体180と負極集電体190はそれぞれ、扁平捲回群170の正極電極174と負極電極175に接続され、正極外部端子141が正極集電体180を介して正極電極174に電気的に接続され、負極外部端子151が負極集電体190を介して負極電極175に電気的に接続されている。これにより、正極外部端子141と負極外部端子151を介して外部負荷に電力が供給され、あるいは、正極外部端子141と負極外部端子151を介して扁平捲回群170に外部発電電力が供給されて角形二次電池100が充電される。ここで、正極外部端子141と正極集電体180の形成素材としては、例えばアルミニウム合金が挙げられ、負極外部端子151と負極集電体190の形成素材としては、例えば銅合金が挙げられる。また、絶縁部材160やガスケット130は、ポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂等の絶縁性を有する樹脂から形成される。
【0025】
また、電池蓋102には、電池缶101内に電解液を注入するための注液孔106aが穿設されている。この注液孔106aは、電池缶101内に電解液を注入した後、シール材106cが挿入され、注液栓106bをシール材106cに圧入し、その注液栓106bをレーザ溶接等によって溶接して封止される。ここで、電池缶101内に注入される電解液としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を用いることができる。
【0026】
なお、電池蓋組立体107を構成する負極外部端子151の上面には予め接続層151aが形成されており、接続層151aの上面には、表面粗さを低減するための表面加工処理が施されている。
【0027】
図3は、
図2に示す扁平捲回群を一部を展開した状態で示したものである。なお、
図3は、正極電極及び負極電極の未塗工部を正極集電体180や負極集電体190に接続する前の状態を示している。
【0028】
図示するように、蓄電要素である扁平捲回群170は、長尺状の正極電極174と負極電極175がセパレータ173を介在させて捲回軸W周りに扁平状に捲回された積層構造を有している。
【0029】
正極電極174は、正極活物質に結着剤(バインダ)を配合した正極活物質合剤が正極箔171の両面に塗工されて形成された正極活物質合剤層176を有している。また、負極電極175は、負極活物質に結着剤(バインダ)を配合した負極活物質合剤が負極箔172の両面に塗工されて形成された負極活物質合剤層177を有している。正極活物質合剤層176の正極活物質と負極活物質合剤層177の負極活物質との間では、充放電が行われる。
【0030】
ここで、正極箔171は、厚さが20〜30μm程度のアルミニウム合金箔であり、負極箔172は、厚さが15〜20μm程度の銅合金箔である。また、セパレータ173は、例えば多孔質のポリエチレン樹脂から形成される。また、正極活物質合剤層176を形成する正極活物質は、例えばマンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属複酸化物であり、負極活物質合剤層177を形成する負極活物質は、例えばリチウムイオンを可逆に吸蔵、放出可能な黒鉛等の炭素材である。
【0031】
扁平捲回群170の幅方向(捲回方向に直交する捲回軸W方向)の両端部は、一方の端部が、正極活物質合剤層176の形成されていない未塗工部(正極箔171の露出部)が積層された部分とし、他方の端部が、負極活物質合剤層177の形成されていない未塗工部(負極箔172の露出部)が積層された部分としている。正極電極174側の未塗工部の積層体および負極電極175側の未塗工部の積層体はそれぞれ、上記するように、電池蓋組立体107の正極集電体180および負極集電体190と超音波接合等によって接続され、絶縁ケース108によって扁平捲回群170全体を覆った状態で該扁平捲回群170が電池缶101へ収容され、電池缶101と電池蓋102とがレーザ溶接等によって溶接される(
図2参照)。
【0032】
次に、
図4A〜
図4Cは、
図1に示す角形二次電池の接続層を形成する工程を模式的に説明した部分拡大図であって、
図4Aは、外部端子の表面に金属粉体を堆積させる工程を説明したものであり、
図4Bは、外部端子の表面に金属粉体を堆積させた状態を説明したものであり、
図4Cは、外部端子の表面に堆積させた金属粉体の表面に表面加工処理を施した状態を説明したものである。なお、この接続層は、例えば外部端子を電池蓋に取り付ける前に当該外部端子の表面に形成される。
【0033】
図4Aに示すように、接続層151aは、コールドスプレー法を使用し、所定温度の金属粉体400(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金からなる粉体)を圧縮ガスG(例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、空気等)と共に加圧して加速し、略円柱状の負極外部端子151の表面のうち上面151bに固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって形成される。その際、負極外部端子151の上面151bに衝接する金属粉体400は、所定温度及び所定速度を有しており、負極外部端子151と金属結合により結合する。すなわち、負極外部端子151の上面151b上に堆積された金属粉体400と負極外部端子151とは、その界面で金属結合により結合している。
【0034】
上記するコールドスプレー法を使用して金属粉体400を堆積させた接続層151aの上面151cおよび側面151dは、
図4Bに示すように、吹き付けられる金属粉体400の大きさに応じた表面粗さを有している。また、接続層151aの上面151cと側面151dとは、同程度の表面粗さを有している。例えば、金属粉体400の平均粒径が数百μmの場合、上面151cと側面151dの表面粗さは、金属粉体400の平均粒径の半分程度になる。また、コールドスプレー法を使用して金属粉体400を堆積させた接続層151aの上面151cの表面粗さが、バスバーBの溶接面Ba(
図5参照)の表面粗さよりも大きく、この接続層151aの上面151cとバスバーBの溶接面Baとを溶接にて接合した場合、溶接強度の確保が難しい。
【0035】
そこで、
図4Cに示すように、接続層151aの上面151c全体に、表面粗さを低減するための表面加工処理を施し、接続層151aの上面151cに、例えばバスバーBの溶接面Baの表面粗さ以下の溶接面(上面)151eを形成する。ここで、表面粗さを低減するための表面加工処理としては、例えば切削加工処理、研磨加工処理、溶融加工処理などが挙げられる。そして、溶接面151eを形成した接続層151aを備えた負極外部端子151等を電池蓋102に取り付けて電池蓋組立体107を作製し、電池蓋組立体107の正極集電体180および負極集電体190に扁平捲回群170の正極電極174および負極電極175を接続し、この扁平捲回群170を電池缶101に収容し、電池缶101と電池蓋102とをレーザ溶接等によって溶接することによって、角形二次電池100を作製することができる。なお、バスバーBと溶接されない接続層151aの側面151dには、表面粗さを低減するための表面加工処理が施されていない。
【0036】
図5は、
図1に示す角形二次電池にバスバーを溶接する工程を説明した部分拡大図であり、
図6は、角形二次電池の接続層とバスバーの溶接箇所を拡大して示したものである。
【0037】
図5に示すように、電池蓋102には、正極外部端子141と接続層151aが形成された負極外部端子151がガスケット130を介して突設されている。複数の角形二次電池100を直列に接続して組電池とする場合には、各角形二次電池100の正極外部端子141の溶接面(上面)141bと負極外部端子151の上面151bに形成された接続層151aの溶接面(上面)151eにバスバーBの溶接面Baを溶接し、隣接する角形二次電池100の正極外部端子141と負極外部端子151をバスバーBを介して接続する。なお、略同じ外形を有する角形二次電池100をバスバーBを介して直列に接続する場合には、隣接する角形二次電池100の正極外部端子141の溶接面(上面)141bの高さと負極外部端子151の上面151bに形成された接続層151aの溶接面(上面)151eの高さとが略同等となるように、予め負極外部端子151の上面151bの高さを正極外部端子141の溶接面(上面)141bの高さよりも低く設定することが好ましい。
【0038】
一般に、正極外部端子141はアルミニウムやアルミニウム合金から作製され、バスバーBは正極外部端子141と同種のアルミニウムやアルミニウム合金から作製されており、正極外部端子141とバスバーBとの溶接強度は容易に確保することができる。一方で、負極外部端子151は銅または銅合金から作製され、バスバーBはアルミニウムやアルミニウム合金から作製されており、この負極外部端子151とバスバーBを直接溶接すると、負極外部端子151とバスバーBとの溶接強度を確保することが難しい。本実施形態では、負極外部端子151の上面151bに形成された接続層151aが、例えばアルミニウムやアルミニウム合金からなる金属粉体400から形成され、この接続層151aとバスバーBとが溶接され、接続層151aを介して負極外部端子151とバスバーBが接続されるため、正極外部端子141と負極外部端子151の形成素材が異なる場合であっても、負極外部端子151におけるバスバーBの溶接の信頼性を高めることができる。
【0039】
なお、金属粉体400を吹き付けて堆積させた接続層151aと負極外部端子151との金属結合による接合強度は、負極外部端子151とバスバーBとを直接溶接した際の溶接強度よりも大きい。
【0040】
また、負極外部端子151の上面151bに形成された接続層151aにバスバーBを溶接する際には、
図6に示すように、溶融部500の先端部501が負極外部端子151に到達しないように、すなわち、接続層151aの溶融深さdが接続層151aの厚さDよりも小さくなるように溶接条件が調節されている。これにより、銅や銅合金からなる負極外部端子151の溶接時の溶融を抑止しながら、接続層151aと負極外部端子151との間の金属結合の損傷を抑制することができ、負極外部端子151とバスバーBとの溶接強度の低下を抑制して、負極外部端子151におけるバスバーBの溶接の信頼性をより一層高めることができる。
【0041】
ここで、正極外部端子141とバスバーB、負極外部端子151の上面151bに形成された接続層151aとバスバーBを溶接する溶接方法としては、例えばレーザ溶接、抵抗溶接、アーク溶接等を適用することができる。また、その溶接方式としては、
図6に示す重ね合わせ溶接の他、突き合わせ溶接やすみ肉溶接等を適用することができる。
【0042】
[実施形態2]
図7Aは、本発明に係る角形二次電池の実施形態2の接続層を拡大して示す部分拡大図であって、接続層にバスバーを溶接する前の状態を示したものであり、
図7Bは、接続層にバスバーを溶接した後の状態を示したものである。
図7A、Bに示す実施形態2は、
図1〜
図6に示す実施形態1に対して、接続層の構成が相違しており、その他の構成は実施形態1と同様である。したがって、
図1〜
図6に示す実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0043】
図7Aに示す角形二次電池100Aでは、負極外部端子151Aの上面151bAに形成された接続層151aAの上面151cAの一部、具体的には、接続層151aAの上面151cAの中央部に表面粗さを低減する表面加工処理が施され、バスバーBを溶接する溶接面151eAが形成されている。
【0044】
このように接続層151aAの上面151cAの一部に溶接面151eAを形成した場合、接続層151aAとバスバーBとを接合する際に相対的に大きな表面粗さを有する接続層151aAの上面151cAとバスバーBとが接触することを回避する必要がある。そこで、接続層151aAと溶接されるバスバーBの下面は、図示するように、接続層151aAの上面と相補的な形状、具体的には、その中央部が突出した凸形状を呈しており、その凸部Bbの下面が、接続層151aAの溶接面151eAと溶接される溶接面Baを形成している。また、バスバーBの凸部Bbの高さ(突出量)Hは、表面加工処理が施された接続層151aAの溶接面151eAから上面151cAの最大高さまでの距離hよりも大きくなっている。
【0045】
このような構成により、
図7Bに示すように、接続層151aAの溶接面151eAとバスバーBの溶接面Baとを溶接して接続層151aAとバスバーBとを接合した際に、相対的に大きな表面粗さを有する接続層151aAの上面151cAとバスバーBとが接触することを確実に回避することができ、接続層151aAの上面151cAに施す表面加工処理の範囲を最適化しながら、負極外部端子151AにおけるバスバーBの溶接の信頼性を確保することができる。
【0046】
[実施形態3]
図8Aは、本発明に係る角形二次電池の実施形態3の外部端子と接続層を拡大して示す部分拡大図であって、外部端子の表面に金属粉体を堆積させた状態を示したものであり、
図8Bは、
図8Aの縦断面図である。また、
図9Aは、
図8Aに示す外部端子と接続層を拡大して示す部分拡大図であって、外部端子の表面に堆積させた金属粉体の表面に表面加工処理を施した状態を示したものであり、
図9Bは、
図9Aの縦断面図である。
図8A〜
図9Bに示す実施形態3は、
図1〜
図6に示す実施形態1に対して、外部端子と接続層の構成が相違しており、その他の構成は実施形態1と同様である。したがって、
図1〜
図6に示す実施形態1と同様の構成についてはその詳細な説明は省略する。
【0047】
図8Aおよび
図8Bに示す角形二次電池100Bでは、負極外部端子151Bの上面151bBの中央部に横断面が略円形かつ凹状の窪み151fBが形成されており、圧縮ガス(例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、空気等)と共に加圧して加速した所定温度の金属粉体(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金からなる粉体)をその窪み151fBに固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって、接続層151aBが形成されている。ここで、
図8Bに示すように、金属粉体を堆積させた接続層151aBは、その上面151cBが負極外部端子151Bの上面151bBよりも突出するように形成されている。
【0048】
そして、接続層151aBの上面151cB全体に、表面粗さを低減するための表面加工処理を施すことによって、
図9Aおよび
図9Bに示すように、接続層151aBの表面に、例えば負極外部端子151Bの上面151bBと略面一な溶接面(上面)151eBが形成される。
【0049】
このように、負極外部端子151Bの上面151bBに形成された窪み151fBに接続層151aBを形成することによって、負極外部端子151Bの上面151bBに形成される接続層151aBの大きさを最適化しながら、負極外部端子151Bにおけるバスバーの溶接の信頼性を確保することができる。また、略同等の外形を有する角形二次電池をバスバーを介して直列に接続する場合に、予め負極外部端子151Bの上面151bBの高さを調整することなく、隣接する角形二次電池の正極外部端子の溶接面(上面)の高さと負極外部端子151Bの上面151bBに形成された接続層151aBの溶接面(上面)151eBの高さとを略同等に形成することができ、負極外部端子151Bにおけるバスバーの溶接の信頼性を更に高めることができる。
【0050】
なお、本実施形態3では、負極外部端子151Bの上面151bBに横断面が略円形かつ凹状の窪み151fBを形成する形態について説明したが、当該窪みの平面視での形状は、例えば三角形以上の多角形や星形等、適宜の形状に変更することができる。
【0051】
[実施形態4]
図10Aは、本発明に係る角形二次電池の実施形態4の外部端子と接続層を拡大して示す部分拡大図であって、外部端子の表面に金属粉体を堆積させた状態を示したものであり、
図10Bは、
図10Aの縦断面図である。また、
図11Aは、
図10Aに示す外部端子と接続層を拡大して示す部分拡大図であって、外部端子の表面に堆積させた金属粉体の表面に表面加工処理を施した状態を示したものであり、
図11Bは、
図11Aの縦断面図である。
図10A〜
図11Bに示す実施形態4は、
図1〜
図6に示す実施形態1に対して、外部端子と接続層の構成が相違しており、その他の構成は実施形態1と同様である。したがって、
図1〜
図6に示す実施形態1と同様の構成についてはその詳細な説明は省略する。
【0052】
図10Aおよび
図10Bに示す角形二次電池100Cでは、負極外部端子151Cの上面151bCの外縁を含む部分(例えば、組電池の隣接する角形二次電池の正極外部端子に近接する部分)に段差部151fCが形成されており、圧縮ガス(例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、空気等)と共に加圧して加速した所定温度の金属粉体(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金からなる粉体)を段差部151fCに固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって、接続層151aCが形成されている。ここで、
図10Bに示すように、金属粉体を堆積させた接続層151aCは、その上面151cCが負極外部端子151Cの上面151bCよりも突出するように形成されている。
【0053】
そして、接続層151aCの上面151cC全体に、表面粗さを低減するための表面加工処理を施すことによって、
図11Aおよび
図11Bに示すように、接続層151aCの表面に、例えば負極外部端子151Cの上面151bCと略面一な溶接面(上面)151eCが形成されている。なお、バスバーと溶接されない接続層151aCの側面151dCには、表面粗さを低減するための表面加工処理が施されていない。
【0054】
このように、負極外部端子151Cの上面151bCに形成された段差部151fCに接続層151aCを形成することによって、負極外部端子151Cの上面151bCに形成する接続層151aCの大きさを最適化しながら、負極外部端子151Cにおけるバスバーの溶接の信頼性を確保することができる。また、略同形状の角形二次電池をバスバーを介して直列に接続する場合に、予め負極外部端子151Cの上面151bCの高さを調整することなく、隣接する角形二次電池の正極外部端子の溶接面(上面)の高さと負極外部端子151Cの上面151bCに形成された接続層151aCの溶接面(上面)151eCの高さとを略同等に形成することができる。さらに、金属粉体を固相状態のままで吹き付けて堆積させる際に、接続層151aCの内部のガス(例えば、圧縮ガスや空気)の残留を抑制することができるため、負極外部端子151Cにおけるバスバーの溶接の信頼性をより一層高めることができる。
【0055】
なお、本実施形態4では、接続層151aCの上面151cCに表面粗さを低減する表面加工処理を施し、負極外部端子151Cの上面151bCと略面一な溶接面151eCを形成する形態について説明したが、
図12Aに示すように、接続層151aCの溶接面151eCを負極外部端子151Cの上面151bCよりも低く形成してもよいし、
図12Bに示すように、接続層151aCの溶接面151eCを負極外部端子151Cの上面151bCよりも高く形成してもよい。
図12A、
図12Bに示す例では、バスバーBの下面を、負極外部端子151Cの上面151bC及び接続層151aCの溶接面151eCと相補的な形状とすることによって、バスバーBと接続層151aCとを溶接する際、負極外部端子151C及び接続層151aCに対するバスバーBの位置決めを簡便に行うことができる。
【0056】
[実施形態5]
図13は、本発明に係る角形二次電池の実施形態5の外観を示したものである。
図13に示す実施形態5は、
図1〜
図6に示す実施形態1に対して、接続層の配置および素材が相違しており、その他の構成は実施形態1と同様である。したがって、
図1〜
図6に示す実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0057】
上記する実施形態1〜4では、複数の角形二次電池をバスバーを介して接続して組電池を作製した際に組電池全体の重量を軽量化するために、バスバーBが正極外部端子と同種のアルミニウムやアルミニウム合金から作製される形態について説明した。一方、本実施形態5では、組電池を構成する角形二次電池同士の導電性を高めるために、バスバーCが負極外部端子と同種の銅や銅合金から作製される形態について説明する。
【0058】
上記するように、一般に、負極外部端子151は銅または銅合金から作製されており、負極外部端子151とバスバーCとの溶接強度は容易に確保することができる。一方で、正極外部端子141はアルミニウムやアルミニウム合金から作製されており、この正極外部端子141とバスバーCを直接溶接すると、正極外部端子141とバスバーCとの溶接強度を確保することが難しい。
【0059】
本実施形態5では、コールドスプレー法を使用し、所定温度の金属粉体(例えば、銅や銅合金からなる粉体)を圧縮ガス(例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、空気等)と共に加圧して加速し、略円柱状の正極外部端子141の上面141bに固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって、正極外部端子141の上面141bに接続層141aDを形成する。そして、金属粉体を堆積させた接続層141aDの表面に表面粗さを低減する表面加工処理を施して溶接面(上面)141eDを形成し、接続層141aDの溶接面(上面)141eDとバスバーCの溶接面Caとを溶接し、接続層141aDを介して正極外部端子141とバスバーCとを接続する。
【0060】
これにより、例えばバスバーCが正極外部端子141と異種の銅や銅合金から作製される場合であっても、銅や銅合金からなる金属粉体から形成される接続層141aDを介して正極外部端子141とバスバーCが接続されるため、正極外部端子141と負極外部端子151の形成素材が異なる場合であっても、正極外部端子141におけるバスバーCの溶接の信頼性を高めることができる。
【0061】
なお、上記する実施形態1〜5では、バスバーがアルミニウムやアルミニウム合金から作製される場合に、負極外部端子の上面にアルミニウムやアルミニウム合金からなる金属粉体からなる接続層が形成され、バスバーが銅や銅合金から作製される場合に、正極外部端子の上面に銅や銅合金からなる金属粉体からなる接続層が形成される形態について説明したが、負極外部端子や正極外部端子の上面に形成される接続層は、アルミニウムやアルミニウム合金、及び銅や銅合金との溶接性に優れたニッケルやニッケル合金等からなる金属粉体から形成してもよい。
【0062】
また、上記する実施形態1〜5では、バスバーがアルミニウムやアルミニウム合金もしくは銅や銅合金から作製される形態について説明したが、バスバーの形成素材は、負極外部端子や正極外部端子の形成素材、負極外部端子や正極外部端子の表面に形成される接続層の形成素材に応じて適宜選択することができる。
【0063】
また、上記する実施形態1〜5では、接続層の溶接面とバスバーの溶接面との溶接強度を確保するために、接続層の溶接面がバスバーの溶接面の表面粗さ以下である形態について説明したが、バスバーの形成素材は接続層との溶接性に優れた素材を適宜選択することができるため、接続層の溶接面は、少なくとも表面粗さを低減する表面加工処理が施されていればよい。
【0064】
なお、本発明は上記した実施形態1〜5に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施形態1〜5は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。