(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986019
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】USBコネクタを含む電気コネクタ・システム
(51)【国際特許分類】
H01R 13/652 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
H01R13/652
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-48548(P2013-48548)
(22)【出願日】2013年3月12日
(62)【分割の表示】特願2012-271009(P2012-271009)の分割
【原出願日】2012年12月12日
(65)【公開番号】特開2014-120464(P2014-120464A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】396006309
【氏名又は名称】曽根 利仁
(72)【発明者】
【氏名】曽根 利仁
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−028381(JP,U)
【文献】
特開2011−171036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/652
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通電部(11)、第2通電部(12)および前記第2通電部(12)を内側に配する導電フレーム(14)を備え、
前記第1通電部(11)および前記第2通電部(12)が導通状態になく、
前記第2通電部(12)および前記導電フレーム(14)が導通状態にあり、
前記第2通電部(12)が前記第1通電部(11)よりも先端側にあり、
オス側接続構造(2)を接続した際に、前記導電フレーム(14)の内側に相手方導電フレーム(15)が接触するとともに、前記第2通電部(12)と前記導電フレーム(14)の導通状態が解除され、前記第1通電部(11)と相手方端子(13)が導通状態となることを特徴とするメス側接続構造(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のメス側接続構造(1)を備えることを特徴とする電気コネクタ・ケーブル。
【請求項3】
請求項1に記載のメス側接続構造(1)を備えることを特徴とする物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はUSBコネクタを含む電気コネクタ・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタからエレクトロニクス・システムを構成する回路素子への静電気放電を、コネクタ接続操作だけで確実に防ぐ電気コネクタ・システムが知られている。例えば特開2011−171036号公報に記載の技術は、ハウジングと、信号素子と、接地素子と、コンタクトから構成され、ハウジングは、ハウジングに挿入接続されるケーブルのプラグが挿入される開口部を備え、コンタクトは、プラグがハウジングに挿入された時に、まずプラグが備えるプラグ側コンタクトが接地素子と電気的に接続される電気接続部を備え、電気的解除手段が、次いで、プラグがハウジングに更に挿入されると、コンタクトと接地素子との電気的接続を解除させるようにして設けられ、コンタクトの電気接続部は、続いて、プラグがハウジングに更に挿入されると、プラグ側コンタクトが信号素子と電気的に接続される電気コネクタの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−171036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の電気コネクタ・システムは、導電フレームを備えたコネクタにおいて、一方のコネクタの導電フレームからの他方のコネクタの端子に向けて放電された静電気を該他方のコネクタの導電フレームに逃がす構造となっていないといった問題があった。ここで、静電気が該一方のコネクタに帯電する原因としては、静電気を帯電した人間の指先が該一方のコネクタの導電フレームに触れることにより起こる。静電気放電の被害の一例としては、USBメモリーをパーソナル・コンピュータに接続する場合に、パーソナル・コンピュータの回路素子が静電気放電により破壊される例が挙げられる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、導電フレームを備えたコネクタにおいて、一方のコネクタの導電フレームからの他方のコネクタの端子に向けて放電された静電気を、他方のコネクタの導電フレームに逃がす構造となっている電気コネクタ・システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明の電気コネクタ・システムは、第1通電部(11)、第2通電部(12)および前記第2通電部(12)を内側に配する導電フレーム(14)を備え、前記第1通電部(11)および前記第2通電部(12)が導通状態になく、前記第2通電部(12)および前記導電フレーム(14)が導通状態にあり、前記第2通電部(12)が前記第1通電部(11)よりも先端側にあり、オス側接続構造(2)を接続した際に、前記導電フレーム(14)の内側に相手方導電フレーム(15)が接触するとともに、前記第2通電部(12)と前記導電フレーム(14)の導通状態が解除され、前記第1通電部(11)と相手方端子(13)が導通状態となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気コネクタ・システムは、導電フレームを備えたコネクタにおいて、一方のコネクタの導電フレームからの他方のコネクタの端子に向けて放電された静電気を、他方のコネクタの導電フレームに逃がす構造とすることができる。また、電源路を短絡させることなく、電源路への静電気の侵入を阻止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は実施形態のUSBコネクタの断面図である。例えば、USB(Universal Serial Bus)コネクタは、(a)端子11、端子12、導電フレーム14、及び端子台16を備えたコネクタ1と、端子13、導電フレーム15、端子台17、及びキャップ18を備えたコネクタ2と、から構成され、端子11と端子12が絶縁体の端子台16に固定された部分を備え、端子13が絶縁体の端子台17に固定された部分を備え、端子12の後端側が弾性機能を有した屈曲部を成し、弾性機能を有して導電フレーム14から飛び出した接触部と接触し、端子12と導電フレーム14が導通状態となり、コネクタ1にコネクタ2を接近させた場合に、導電フレーム15から端子12に向けて放電された静電気が導電フレーム14に導かれ、(b)コネクタ1にコネクタ2を接続させた場合に、端子12の屈曲部が端子台17及び端子13に押されて端子12と導電フレーム14の導通状態が解除され、端子11と端子12と端子13が導通状態となることを特徴とする。また、コネクタ1にコネクタ2を接続した場合に、端子12が端子11と接触する構造を採用してもよい。また、(c)コネクタ1と、コネクタ2と、信号線、電力供給線及びシールド線を含むケーブル3とにより、USBケーブルが構成される。
【0011】
また、端子11が自らと導通状態にない端子12よりも後方に配置され、端子12の先端側が端子台16の先端側で固定される。また、コネクタ1とコネクタ2が端子11、端子12及び端子13を夫々4つ備えたUSBのAタイプ・コネクタを構成する。また、4つの端子11が2つの信号路と2つの電源路を成し、端子11の後端側が図示させていないエレクトロニクス・システムを構成した装置(物)のプリント基板(物)に半田付けされ、信号路が該プリント基板の回路素子に接続され、電源路が該プリント基板の電源部に接続される。また、導電フレーム14が該プリント基板に半田付けされ、アース付き商用電源コンセントなどを介して接地される。また、4つの端子13が2つの信号路と2つの電源路を成し、信号路が信号線に接続され、電源路が電力供給線に接続され、導電フレーム15がシールド線に接続される。
【0012】
上記実施形態において、USBコネクタはコネクタ1とコネクタ2の構造をUSBのBタイプ・コネクタの構造に置換えてもよい。また、コネクタ1とコネクタ2の技術的な特徴をUSB3.0規格以降またはUSBコネクタ以外のコネクタに適用してもよい。
【0013】
上記実施形態によれば、電気コネクタは、導電フレームを備えたコネクタにおいて、一方のコネクタの導電フレームからの他方のコネクタの端子に向けて放電された静電気を、他方のコネクタの導電フレームに逃がす構造とすることができる。また、電源路を短絡させることなく、電源路への静電気の侵入を阻止することができる。
【符号の説明】
【0014】
1:2…コネクタ,3…ケーブル,11〜13…端子,14:15…導電フレーム,16:17…端子台,18…キャップ