(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には下記のような課題が存在する。すなわち、上記従来技術では、走行レバーの操作を検出する検出手段として、リミットスイッチ(言い換えれば、接触式スイッチ)を採用しており、リミットスイッチとブロック部材が接触する構成となっている。そのため、その接触部分が経年的に摩耗する虞があり、さらに摩耗を起因とした接触不良が生じる虞がある。
【0007】
そこで、本願発明者らは、リミットスイッチに代えて、非接触式スイッチを採用することを提唱する。しかしながら、非接触式スイッチを採用しても、更なる改善の余地がある。すなわち、上記従来技術では、走行レバーの前側操作時にリミットスイッチで検出される前斜面と、走行レバーの後側操作時にリミットスイッチで検出される後斜面との位置関係が固定されたブロック部材を用いている。そこで、これと同様に、走行レバーの前側操作時に非接触式スイッチで検出される第1の検出部分と、走行レバーの後側操作時に非接触式スイッチで検出される第2の検出部分との位置関係が固定された検出部材を用いることが考えられる。ところが、このような検出部材を採用すると、非接触式スイッチと第1の検出部分との位置関係、及び非接触式スイッチと第2の検出部分との位置関係を個別に調整することができない。そのため、走行レバーの前側操作検出位置及び後側操作検出位置を調整する作業性の点で改善の余地が生じる。
【0008】
本発明の目的は、走行レバーの前側操作検出位置及び後側操作検出位置を個別に且つ容易に調整することができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(
1)上記目的を達成するために、本発明は、走行体を含む車体と、前記走行体を走行させる左走行モータ及び右走行モータと、前記車体に取付けられた作業装置と、前記車体の運転室に設けられた運転席と、前記運転席の前方に配置され、中立位置より前側及び後側に操作可能に設けられ、前記左走行モータの駆動を指示する左走行レバーと、前記運転席の前方に配置され、中立位置より前側及び後側に操作可能に設けられ、前記右走行モータの駆動を指示する右走行レバーと、前記左走行レバーの前側操作及び後側操作を検出可能とし、前側操作及び後側操作のうちのいずれかを検出した場合にオン信号を出力する第1の非接触式スイッチと、前記右走行レバーの前側操作及び後側操作を検出可能とし、前側操作及び後側操作のうちのいずれかを検出した場合にオン信号を出力する第2の非接触式スイッチと、走行注意を促す警報を行う警報部と、前記第1の非接触式スイッチからのオン信号及び前記第2の非接触式スイッチからのオン信号のうちのいずれかに応じて、前記警報部で警報を行わせるコントローラと、を備えた作業機械であって、前記左走行レバーの操作に伴って揺動するように設けられ、その揺動軸方向で前記第1の非接触式スイッチの検出面に対向するように配置された第1のプレート部材と、前記第1のプレート部材に形成されたネジ穴に螺合されて、前記第1の非接触式スイッチの検出面との間隔が調整可能な第1の前側操作検出用ボルトと、前記第1の前側操作検出用ボルトに螺着されて、前記第1の前側操作検出用ボルトの位置を固定する調整ナットと、前記第1のプレート部材に形成されたネジ穴に螺合されて、前記第1の非接触式スイッチの検出面との間隔が調整可能な第1の後側操作検出用ボルトと、前記第1の後側操作検出用ボルトに螺着されて、前記第1の後側操作検出用ボルトの位置を固定する調整ナットと、前記右走行レバーの操作に伴って揺動するように設けられ、その揺動軸方向で前記第2の非接触式スイッチの検出面に対向するように配置された第2のプレート部材と、前記第2のプレート部材に形成されたネジ穴に螺合されて、前記第2の非接触式スイッチの検出面との間隔が調整可能な第2の前側操作検出用ボルトと、前記第2の前側操作検出用ボルトに螺着されて、前記第2の前側操作検出用ボルトの位置を固定する調整ナットと、前記第2のプレート部材に形成されたネジ穴に螺合されて、前記第2の非接触式スイッチの検出面との間隔が調整可能な第2の後側操作検出用ボルトと、前記第2の後側操作検出用ボルトに螺着されて、前記第2の後側操作検出用ボルトの位置を固定する調整ナットと、を備え、
前記第1の前側操作検出用ボルト及び前記第1の後側操作検出用ボルトは、前記左走行レバーが中立位置にある場合に前記第1の非接触式スイッチの検出範囲外にあり、前記第1の非接触式スイッチは、前記左走行レバーの前側操作時に、前記第1の非接触式スイッチの検出面中心に近づいた前記第1の前側操作検出用ボルトを検出してオン信号を出力し、前記左走行レバーの後側操作時に、前記第1の非接触式スイッチの検出面中心に近づいた前記第1の後側操作検出用ボルトを検出してオン信号を出力し、
前記第2の前側操作検出用ボルト及び前記第2の後側操作検出用ボルトは、前記右走行レバーが中立位置にある場合に前記第2の非接触式スイッチの検出範囲外にあり、前記第2の非接触式スイッチは、前記右走行レバーの前側操作時に、前記第2の非接触式スイッチの検出面中心に近づいた前記第2の前側操作検出用ボルトを検出してオン信号を出力し、前記右走行レバーの後側操作時に、前記第2の非接触式スイッチの検出面中心に近づいた前記第2の後側操作検出用ボルトを検出してオン信号を出力する。
【0012】
(
2)上記(
1)において、好ましくは、前記車体に含まれて前記走行体上に旋回可能に設けられ、前記運転室が設けられた旋回体と、前記左走行レバーの操作に応じて前記左走
行モータへの圧油の流れを制御する左走行用コントロールバルブと、前記右走行レバーの操作に応じて前記右走
行モータへの圧油の流れを制御する右走行用コントロールバルブと、を備え、前記左走行用コントロールバルブ及び前記右走行用コントロールバルブを含むコントロールバルブ群は、前記旋回体の前記運転室の床下に設置される。
【0013】
(
3)上記(
2)において、好ましくは、前記第1のプレート部材は、前記旋回体の左右方向における前記左走行レバーの位置とほぼ同じ位置に設けられ
ており、前記第2のプレート部材は、前記旋回体の左右方向における前記右走行レバーの位置とほぼ同じ位置に設けられ
ており、前記第1の非接触式スイッチ及び前記第2の非接触式スイッチは、前記第1のプレート部材と前記第2の
プレート部材の間に位置する支持プレートの左側面及び右側面にそれぞれ取付けられる。
【0014】
(
4)上記(
2)において、好ましくは、前記第1のプレート部材は、前記左走行レバーの操作を前記左走行用コントロール
バルブに伝達する第1のリンク機構の一部を構成し、前記第2のプレート部材は、前記右走行レバーの操作を前記右走行用コントロールバルブに伝達する第2のリンク機構の一部を構成し、前記第1の非接触式スイッチ及び前記第2の非接触式スイッチは、第1のブラケット及び第2のブラケットにそれぞれ取付けられる。
【0015】
(
5)上記(
1)において、好ましくは、前記
第1及び第2の非接触式スイッチは、オフからオンへの切替位置とオンからオフへの切替位置が異なるヒステリシス特性を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、走行レバーの前側操作検出位置及び後側操作検出位置を個別に且つ容易に調整することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、本実施形態における油圧ショベルの要部構成を表す側面図であり、
図2は、
図1中矢視A方向から見た正面図である。なお、以降、油圧ショベルが
図1に示す状態にて運転者が運転席に着座した場合における運転者の前側(
図1中左側)、後側(
図1中右側)、左側(
図1中紙面に向かって手前側)、右側(
図1中紙面に向かって奥側)を、単に前側、後側、左側、右側と称する。
【0020】
図1及び
図2で示すように、本実施形態の油圧ショベルは、機械質量6トン未満のミニショベルである。この油圧ショベルは、クローラ式の走行体1と、この走行体1上に旋回可能に設けられた旋回体2と、この上部旋回体2の前側にスイングポスト3を介して連結された作業装置4とを備えている。なお、走行体1及び旋回体2は、車体を構成している。
【0021】
走行体1は、上方から見て略H字形状のトラックフレーム5を備えている。トラックフレーム5の左側後端には駆動輪(図示せず)が回転可能に支持され、トラックフレーム5の左側前端には従動輪(図示せず)が回転可能に支持され、これら駆動輪と従動輪とで履帯(クローラ)6Aが掛けまわされている。そして、左走行モータ(図示せず)の駆動によって駆動輪が回転し、ひいては履帯6Aが回転するようになっている。
【0022】
同様に、トラックフレーム5の右側後端には駆動輪(図示せず)が回転可能に支持され、トラックフレーム5の右側前端には従動輪(図示せず)が回転可能に支持され、これら駆動輪と従動輪とで履帯(クローラ)6Bが掛けまわされている。そして、右走行モータ(図示せず)の駆動によって駆動輪が回転し、ひいては履帯6Bが回転するようになっている。
【0023】
トラックフレーム5の前側には、排土用のブレード7が上下動可能に設けられている。そして、ブレードシリンダ(図示せず)の駆動によってブレード7が上下動するようになっている。
【0024】
トラックフレーム5の中央部には旋回輪8が設けられ、この旋回輪8を介し旋回体2が旋回可能に設けられている。そして、旋回モータ(図示せず)の駆動によって旋回体2が左右に旋回するようになっている。
【0025】
スイングポスト3は、旋回体2の前側に左右方向に回動可能に設けられている。そして、スイングシリンダ(図示せず)の駆動によってスイングポスト3が左右方向に回動し、ひいては作業装置4が左右にスイングするようになっている。
【0026】
作業装置4は、ブーム9、アーム10、及びバケット11(作業具)を備えている。ブーム9は、スイングポスト3に上下方向に回動可能に連結されており、ブームシリンダ(図示せず)の駆動によって上下方向に回動する。アーム10は、ブーム9に上下方向に回動可能に連結されており、アームシリンダ(図示せず)の駆動によって上下方向に回動する。バケット11は、アーム10に上下方向に回動可能に連結されており、バケットシリンダ(図示せず)の駆動によって上下方向に回動する。
【0027】
旋回体2は、その下部基礎構造をなす旋回フレーム12と、この旋回フレーム12の前方左側に設けられた運転室13とを備えている。旋回フレーム12の後側には、原動機(図示せず)と、この原動機によって駆動する油圧ポンプ(図示せず)が搭載されている。また、旋回フレーム12の前方左側すなわち運転室13の床下にはコントロールバルブ群14が搭載されている。このコントロールバルブ群14は、例えば、油圧ポンプから上述した左走行モータ、右走行モータ、ブレードシリンダ、旋回モータ、スイングシリンダ、ブームシリンダ、アームシリンダ、及びバケットシリンダへの圧油の流れをそれぞれ制御する左走行用コントロールバルブ15A(後述の
図3参照)、右走行用コントロールバルブ15B(後述の
図3参照)、ブレード用コントロールバルブ(図示せず)、旋回用コントロールバルブ(図示せず)、スイング用コントロールバルブ(図示せず)、ブーム用コントロールバルブ(図示せず)、アーム用コントロールバルブ(図示せず)、及びバケット用コントロールバルブ(図示せず)を含んでいる。そして、旋回フレーム12上に搭載された機器の周囲を覆う複数の外装カバー16が取付けられている。
【0028】
運転室13は、運転者の足場となるフロアプレート17と、運転者が着座する運転席(座席)18と、この運転席18を支持する運転席台座19と、運転席18等の上方を覆うキャノピ20とを有している。運転席18の前方には、手又は足で前後方向に操作可能な左右一対の走行レバー21A,21Bが設けられている。走行レバー21A,21Bは、走行体1の走行(詳細には、左走行モータの駆動及び右走行モータの駆動)を指示可能としている。すなわち、運転者が左走行レバー21Aを中立位置から前側又は後側に操作すると、左走行用コントロールバルブ15Aが切換えられて、左走行モータが前方向又は後方向に回転する。また、運転者が右走行レバー21Bを中立位置から前側又は後側に操作すると、右走行用コントロールバルブ15Bが切換えられて、右走行用モータが前方向又は後方向に回転する。これにより、走行体1が走行(詳細には、前進、後進、左折、又は右折)するようになっている。
【0029】
右走行レバー21Bの右側足元部分には、スイングポスト3の動作を指示可能なスイングペダル(図示せず)が設けられている。そして、運転者がスイングペダルを操作すると、スイング用コントロールバルブが切換えられて、スイングシリンダが駆動するようになっている。
【0030】
運転席18の左右両側には、十字操作式の操作レバー22A,22Bが設けられている。操作レバー22A,22Bは、ブーム9の動作、アーム10の動作、バケット11の動作、及び旋回体2の旋回を指示可能としている。すなわち、運転者が操作レバー22Aを中立位置から前側又は後側に操作すると、例えばアーム用コントロールバルブが切換えられて、アームシリンダが駆動する。また、運転者が操作レバー22Aを中立位置から左側又は右側に操作すると、例えば旋回用コントロールバルブが切換えられて、旋回モータが駆動する。また、運転者が操作レバー22Bを中立位置から前側又は後側に操作すると、例えばブーム用コントロールバルブが切換えられて、ブームシリンダが駆動する。また、運転者が操作レバー22Bを中立位置から左側又は右側に操作すると、例えばバケット用コントロールバルブが切換えられて、バケットシリンダが駆動するようになっている。
【0031】
また、運転席18の右側には、ブレード7の動作を指示可能なブレードレバー(図示せず)が設けられている。そして、運転者がブレードレバーを操作すると、ブレード用コントロールバルブが切換えられて、ブレードシリンダが駆動するようになっている。
【0032】
図3は、本実施形態における走行操作系及び走行警報装置の構成を表す図であり、運転室13の床下(すなわち、フロアプレート17と旋回フレーム12との間)の構造を表す正面図を含んでいる。
図4は、
図3中矢視B方向から見た側面図である。
図5は、
図3中C部を拡大した斜視図である。
図6は、
図3中C部を拡大した正面図である。
図7は、
図6中矢視断面D−Dによる断面図であり、左走行レバー21A及び右走行レバー21Bが中立位置にある場合を示す。
【0033】
まず、本実施形態における走行操作系の構成を、
図3等を用いて説明する。
【0034】
旋回フレーム12の前方左側にはベースプレート23が取付けられており、このベースプレート23上には、複数の支持台24を介してコントロールバルブ群14が設置されている。
【0035】
また、ベースプレート23には一対の支持プレート25A,25Bが立設されている。支持プレート25A,25Bは、支持台24及びコントロールバルブ群14より前方に配置されるとともに、互いに左右方向に離間している。揺動軸26は、左右方向に延在して支持プレート25A,25Bを貫通するとともに、支持プレート25A,25Bにそれぞれ設けられた軸受27A,27Bを介して回転可能に支持されている。
【0036】
揺動軸
26の外周側にはパイプ部材28A,28B,28Cが配置されている。パイプ部材28A,28Cは、支持プレート25Aと支持プレート25Bとの間に位置し、パイプ部材28Cが左側(すなわち、支持プレート25A側)に、パイプ部材28Aが右側(すなわち、支持プレート25B側)に位置している。パイプ部材28Bは、支持プレート25Bより右側に位置している。そして、パイプ部材28B,28Cは、それぞれ、締結ボルト29によって揺動軸26に固定されている。これにより、パイプ部材28B,28Cは、揺動軸26と一体になって回転するようになっている。一方、パイプ部材28Aは、揺動軸26に対して回転するようになっている。なお、パイプ部材28Aとパイプ部材28Cとの間には1枚又は複数枚の円環状シム30が挿入されている。これにより、部品寸法公差によるガタツキを避けるようになっている。
【0037】
左走行レバー21Aの下端部は、パイプ部材28Aの上側に溶接接合されている。これにより、左走行レバー21Aは、揺動軸26を中心として前後方向に揺動操作可能となっている。また、パイプ部材28Aの下側には、長方形状のリンク用プレート部材31Aが溶接接合されている。リンク用プレート部材31Aの先端部にはリンク部材32Aの前端側がピン結合され、リンク部材32Aの後端側には左走行用コントロールバルブ15Aのスプールがピン結合されている。これらリンク用プレート部材31A及びリンク部材32Aは、左走行レバー21Aの操作を左走行用コントロールバルブ15Aに伝達するリンク機構を構成している。そして、左走行レバー21Aを前側に操作すると、リンク用プレート部材31Aが後側に揺動して、左走行用コントロールバルブ15Aのスプールが後側にストロークする。また、左走行レバー21Aを後側に操作すると、リンク用プレート部材31Bが前側に揺動して、左走行用コントロールバルブ15Aのスプールが前側にストロークするようになっている。
【0038】
右走行レバー21Bの下端部は、パイプ部材28Bの上側に溶接接合されている。これにより、右走行レバー21Bは、揺動軸26を中心として前後方向に揺動操作可能となっている。また、パイプ部材28B及び揺動軸26と一体になっているパイプ部材28Cの下側には、長方形状のリンク用プレート部材31Bが溶接接合されている。リンク用プレート部材31Bの先端部にはリンク部材32Bの前端側がピン結合され、リンク部材32Bの後端側には右走行用コントロールバルブ15Bのスプールがピン結合されている。これらリンク用プレート部材31B及びリンク部材32Bは、右走行レバー21
Bの操作を右走行用コントロールバルブ15Bに伝達するリンク機構を構成している。そして、右走行レバー21Bを前側に操作すると、リンク用プレート部材31Bが後側に揺動して、右走行用コントロールバルブ15Bのスプールが後側にストロークする。また、右走行レバー21Bを後側に操作すると、リンク用プレート部材31Bが前側に揺動して、右走行用コントロールバルブ15Bのスプールが前側にストロークするようになっている。
【0039】
次に、本実施形態における走行警報装置の構成を、
図3等を用いて説明する。
【0040】
パイプ部材28Aの下側には、長方形状のプレート部材33Aが溶接接合されており、このプレート部材33Aは、旋回体2の左右方向における左走行レバー21Aの位置とほぼ同じ位置に設けられている。そして、左走行レバー21Aを前側又は後側に操作すると、上述したリンク用プレート部材31Aと同様、プレート部材33Aが後側又は前側に揺動するようになっている。また、パイプ部材28Bの下側には、長方形状のプレート部材33Bが溶接接合されており、このプレート部材33Bは、旋回体2の左右方向における右走行レバー21Bの位置とほぼ同じ位置に設けられている。そして、右走行レバー21Bを前側又は後側に操作すると、上述したリンク用プレート部材31Bと同様、プレート部材33Bが後側又は前側に揺動するようになっている。
【0041】
支持プレート25Bは、プレート部材33A,33Bの間に位置しており、支持プレート25
Bの左側面に非接触式スイッチ34Aが取付けられ
、支持
プレート25Bの右側面に非接触式スイッチ34Bが取付けられている。詳細には、取付ネジ35及び取付ナット36を用いて、支持プレート25Bを挟むように非接触式スイッチ34A,34Bが取り付けられている。
【0042】
プレート部材33Aは、揺動軸26の軸方向で非接触式スイッチ34Aの検出面FAに対向するように配置されている。プレート部材33Aには、揺動軸26の軸方向に延在するネジ穴37Aa,37Abが形成されており、前側のネジ穴37Aaに前側操作検出用ボルト38Aaが螺合され、後側のネジ穴37Abに後側操作検出用ボルト38Abが螺合されている。すなわち、前側操作検出用ボルト38Aaの先端部と非接触式スイッチ34Aの検出面FAとの間隔、及び後側操作検出用ボルト38Abの先端部と非接触式スイッチ34Aの検出面FAとの間隔を個別に調整可能としている。また、ボルト38Aa,38Abには調整ナット39Aa,39Abが螺着されている。これにより、ボルト38Aa,38Abの位置を固定するようになっている。
【0043】
同様に、プレート部材33Bは、揺動軸26の軸方向で非接触式スイッチ34Bの検出面FBに対向するように配置されている。プレート部材33Bには、揺動軸26の軸方向に延在するネジ穴37Ba,37Bbが形成されており、前側のネジ穴37Baに前側操作検出用ボルト38Baが螺合され、後側のネジ穴37Bbに後側操作検出用ボルト38Bbが螺合されている。すなわち、前側操作検出用ボルト38Baの先端部と非接触式スイッチ34Bの検出面FBとの間隔、及び前側操作検出用ボルト38Bbの先端部と非接触式スイッチ34Bの検出面FBとの間隔を個別に調整可能としている。また、ボルト38Ba,38Bbには調整ナット39Ba,39Bbが螺着されている。これにより、ボルト38Ba,38Bbの位置を固定するようになっている。なお、本実施形態では、非接触式スイッチ34A,34Bが磁気形の近接スイッチであるため、ボルト38Aa,38Ab,38Ba,38Bbが磁性材料からなる。
【0044】
左走行操作レバー21Aが中立位置にある場合は、
図7で示すように、前側操作検出用ボルト38Aa及び後側操作検出用ボルト38Abは、非接触式スイッチ34Aの検出面FAの中心から十分離れた位置(検出範囲外)にある。なお、プレート部材33Aも非接触式スイッチ34Aの検出面FAから十分離れた位置(検出範囲外)にある。そして、左走行操作レバー21Aが前側に操作されると、プレート部材33Aが後側(
図7中下側)に揺動して、前側操作検出用ボルト38Aaが非接触式スイッチ34Aの検出面FAの中心に近づき、非接触式スイッチ34Aで検出される。すなわち、非接触式スイッチ34Aがオフからオンに切替わり、オン信号を出力するようになっている。また、左走行操作レバー21Aが後側に操作されると、プレート部材33Aが前側(
図7中上側)に揺動して、後側操作検出用ボルト38Abが非接触式スイッチ34Aの検出面FAの中心に近づき、非接触式スイッチ34Aで検出される。すなわち、非接触式スイッチ34Aがオフからオンに切替わり、オン信号を出力するようになっている。
【0045】
同様に、右走行操作レバー21Bが中立位置にある場合は、
図7で示すように、前側操作検出用ボルト38Ba及び後側操作検出用ボルト38Bbは、非接触式スイッチ34Bの検出面FBの中心から十分離れた位置(検出範囲外)にある。なお、プレート部材33Bも非接触式スイッチ34Bの検出面FBから十分離れた位置(検出範囲外)にある。そして、右走行操作レバー21Bが前側に操作されると、プレート部材33Bが後側(
図7中下側)に揺動して、前側操作検出用ボルト38Baが非接触式スイッチ34Bの検出面FBの中心に近づき、非接触式スイッチ34Bで検出される。すなわち、非接触式スイッチ34Bがオフからオンに切替わり、オン信号を出力するようになっている。また、右走行操作レバー21Bが後側に操作されると、プレート部材33Bが前側(
図7中上側)に揺動して、後側操作検出用ボルト38Bbが非接触式スイッチ34Bの検出面FBの中心に近づき、非接触式スイッチ34Bで検出される。すなわち、非接触式スイッチ34Bがオフからオンに切替わり、オン信号を出力するようになっている。
【0046】
コントローラ40は、非接触式スイッチ34Aからのオン信号及び非接触式スイッチ34Bからのオン信号のうちのいずれかに応じて、警報部41で警報を行わせる。これにより、油圧ショベルの周囲の作業者又は運転室13内の運転者に対して走行注意を促すようになっている。なお、警報部41は、例えば、ブザー、音声出力器、又はランプ等で構成されている。
【0047】
次に、非接触式
スイッチ34Aのヒステリシス特性を、
図8及び
図9を用いて説明する。なお、非接触式
スイッチ34Bのヒステリシス特性は、同様であるため、説明を省略する。
【0048】
図8は、本実施形態における非接触式スイッチ34Aの検出面FAと前側操作検出用ボルト38Aa(又は後側操作検出用ボルト38Ab)の先端部との位置関係を表す概略図である。
図9は、本実施形態における非接触式スイッチ34Aのヒステリシス特性を表す図である。
図9の横軸は、揺動軸26の軸方向における非接触式スイッチ34Aの検出面FAから前側操作検出用ボルト38Aa(又は後側操作検出用ボルト38Ab)の先端部までの距離X(
図8参照)である。
図9の縦軸は、プレート部材33Aの揺動方向における非接触式スイッチ34Aの検出面の中心線Lから前側操作検出用ボルト38Aa(又は後側操作検出用ボルト38Ab)の先端部までの距離Y(
図8参照)である。
【0049】
図9では、左走行レバー21Aが中立位置にある場合に距離Yが最大値ymaxとなり、左走行レバー21
Aが最大操作位置で最小値yminとなる場合を例にとって示している。また、前側操作検出用ボルト38Aa(又は後側操作検出用ボルト38Ab)の先端部と非接触式スイッチ34Aの検出面FAとの間隔が調整されて、距離Xが所定値x1に設定された場合を例にとって示している。そして、左走行レバー21Aが中立位置から最大操作位置に操作されて、距離Yが所定値y1以下になると、非接触式スイッチ34Aがオフからオンに切替わる。一方、左走行レバー21Aが最大操作位置から中立位置に戻されて、距離Yが所定値y2(但し、y2>y1)以上になると、非接触式スイッチ34Aがオンからオフに切替わる。したがって、非接触式スイッチ34Aは、オフからオンへの切替位置とオンからオフへの切替位置が異なるヒステリシス特性を有している。
【0050】
以上のように構成された本実施形態においては、左走行用操作レバー21Aの操作を検出する検出手段として、
非接触式スイッチ34Aを採用することにより、スイッチと検出部材が接触しないので、摩耗を防止することができる。また、前側操作検出用部材としてボルト38Aaを採用することにより、この前側操作検出用ボルト38Aaと非接触式スイッチ34Aの検出面FAとの間隔を調整可能にする。これにより、プレート部材33Aの揺動方向における前側操作検出用ボルト38Aaの検出位置、すなわち、左走行レバー21Aの前側操作検出位置を調整可能にする。また、後側操作検出用部材としてボルト38Abを採用することにより、この後側操作検出用ボルト38Abと非接触式スイッチ34Aの検出面FAとの間隔を調整可能にする。これにより、プレート部材33Aの揺動方向における後側操作検出用ボルト38
Abの検出位置、すなわち、左走行レバー21Aの後側操作検出位置を調整可能にする。したがって、油圧ショベルの組立後であっても、左走行レバー21Aの前側操作検出位置及び後側操作検出位置を個別に且つ容易に調整することができる。また、経年変化が生じた場合でも、左走行レバー21Aの前側操作検出位置及び後側操作検出位置を個別にかつ容易に調整することができる。
【0051】
同様に、右走行用操作レバー21Bの操作を検出する検出手段として、
非接触式スイッチ34Bを採用することにより、スイッチと検出部材が接触しないので、摩耗を防止することができる。また、前側操作検出用部材としてボルト38Baを採用することにより、この前側操作検出用ボルト38Baと非接触式スイッチ34Bの検出面FBとの間隔を調整可能にする。これにより、プレート部材33Bの揺動方向における前側操作検出用ボルト38Baの検出位置、すなわち、右走行レバー21Bの前側操作検出位置を調整可能にする。また、後側操作検出用部材としてボルト38Bbを採用することにより、この後側操作検出用ボルト38Bbと非接触式スイッチ34Bの検出面FBとの間隔を調整可能にする。これにより、プレート部材33Bの揺動方向における後側操作検出用ボルト38
Bbの検出位置、すなわち、右走行レバー21Bの後側操作検出位置を調整可能にする。したがって、油圧ショベルの組立後であっても、右走行レバー21Bの前側操作検出位置及び後側操作検出位置を個別に且つ容易に調整することができる。また、経年変化が生じた場合でも、右走行レバー21Bの前側操作検出位置及び後側操作検出位置を個別にかつ容易に調整することができる。
【0052】
そして、左走行レバー21Aの前側操作検出位置及び後側操作検出位置並びに右走行レバー21Bの前側操作検出位置と後側操作検出位置を、容易に合わせることができる。
【0053】
本発明の第2の実施形態を、
図10〜
図12により説明する。なお、本実施形態において、上記第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0054】
図10は、本実施形態における走行操作系及び走行警報装置の構成を表す図であり、運転室13の床下(すなわち、フロアプレート
17と旋回フレーム12との間)の構造を表す正面図を含んでいる。
図11は、
図10中矢視断面E−Eによる断面図である。
図12は、本実施形態における走行操作系及び走行警報装置の構成の一部を表す斜視図である。
【0055】
本実施形態では、パイプ部材28Aの下側には、プレート部材42Aが溶接接合されている。このプレート部材42Aは、上記リンク用プレート部材
31Aと同様、その先端部にリンク部材32Aの前端側がピン結合され、リンク部材32Aの後端側に左走行用コントロールバルブ15Aのスプールがピン結合されている。プレート部材42A及びリンク部材32Aは、左走行レバー21Aの操作を左走行用コントロールバルブ15Aに伝達するリンク機構を構成している。
【0056】
また、パイプ部材28Cの下側には、プレート部材42Bが溶接接合されている。このプレート部材42Bは、上記リンク用プレート部材
31Bと同様、その先端部にリンク部材32Bの前端側がピン結合され、リンク部材32Bの後端側に右走行用コントロールバルブ15Bのスプールがピン結合されている。プレート部材42B及びリンク部材32Bは、右走行レバー21
Bの操作を右走行用コントロールバルブ15Bに伝達するリンク機構を構成している。
【0057】
プレート部材42Aの位置に対応して、ベースプレート23には断面L字状のブラケット43Aが取付けられ、このブラケット43Aに非接触式スイッチ34Aが取付けられている。また、プレート部材42Bの位置に対応して、ベースプレート23には断面L字状のブラケット43Bが取付けられ、このブラケット43Bに非接触式スイッチ34Bが取付けられている。
【0058】
プレート部材42Aは、上記リンク用プレート部材
31Aとは異なり、前方に突出する突出部を有している。プレート部材42Aの突出部は、揺動軸26の軸方向で非接触式スイッチ34Aの検出面に対向するように配置されている。プレート部材42Aの突出部には、揺動軸26の軸方向に延在する2つのネジ穴が形成されており、前側のネジ穴に前側操作検出用ボルト38Aaが螺合され、後側のネジ穴に後側操作検出用ボルト38Abが螺合されている。すなわち、前側操作検出用ボルト38Aaの先端部と非接触式スイッチ34Aの検出面との間隔、及び後側操作検出用ボルト38Abの先端部と非接触式スイッチ34Aの検出面との間隔を個別に調整可能としている。また、ボルト38Aa,38Abには調整ナット39Aa,39Abが螺着されている。これにより、ボルト38Aa,38Abの位置を固定するようになっている。
【0059】
また、プレート部材42Bは、上記リンク用プレート部材
31Bとは異なり、前方に突出する突出部を有している。プレート部材42Bの突出部は、揺動軸26の軸方向で非接触式スイッチ34Bの検出面に対向するように配置されている。プレート部材42Bの突出部には、揺動軸26の軸方向に延在する2つのネジ穴が形成されており、前側のネジ穴に前側操作検出用ボルト38Baが螺合され、後側のネジ穴に後側操作検出用ボルト38Bbが螺合されている。すなわち、前側操作検出用ボルト38Baの先端部と非接触式スイッチ34Bの検出面との間隔、及び後側操作検出用ボルト38Bbの先端部と非接触式スイッチ34Bの検出面との間隔を個別に調整可能としている。また、ボルト38Ba,38Bbには調整ナット39Ba,39Bbが螺着されている。これにより、ボルト38Ba,38Bbの位置を固定するようになっている。
【0060】
以上のように構成された本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様、接触式スイッチ34A,34Bを採用することにより、スイッチと検出部材が接触しないので、摩耗を防止することができる。また、前側操作検出用ボルト38Aa,38Ba及び後側操作検出用ボルト38Ab,38Bbを採用することにより、左走行レバー21Aの前側操作検出位置及び後側操作検出位置並びに右走行レバー21Bの前側操作検出位置及び後側操作検出位置を個別に且つ容易に調整することができる。
【0061】
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、非接触式スイッチ34A,34Bが磁気形の近接スイッチであって、ボルト38Aa,38Ab,38Ba,38Bbが磁性材料からなる場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で変更可能である。例えば非接触式スイッチ34A,34Bが誘導形の近接スイッチであって、ボルト38Aa,38Ab,38Ba,38Bbが導電性材料からなってもよい。また、例えば非接触式スイッチ34A,34Bが静電容量形の近接スイッチであってもよい。これらの場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、上記第1の実施形態においては、好適な適用対象として、機械操作式の走行用コントロールバルブ15A,15Bを備えた油圧ショベル、すなわち、左走行レバー21Aの操作を左走行用コントロールバルブ15Aに伝達するリンク機構(詳細には、リンク用プレート部材31A及びリンク部材32A)と、右走行レバー21Bの操作を右走行用コントロールバルブ15Bに伝達するリンク機構(詳細には、リンク用プレート部材31B及びリンク部材32B)とを備えた油圧ショベルを例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で変更可能である。例えば油圧パイロット式の走行用コントロールバルブを備えた油圧ショベル、すなわち、左走行レバー21Aの操作に応じてパイロット圧を生成し、このパイロット圧を左走行用コントロールバルブに出力する第1のパイロット弁と、右走行レバー21Bの操作に応じてパイロット圧を生成し、このパイロット圧を右走行用コントロールバルブに出力する第2のパイロット弁とを備えた油圧ショベルに適用してもよい。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、適用対象として、作業装置4がスイングポスト3を介し旋回体2に連結された油圧ショベルを例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で変更可能である。例えば作業装置が旋回体の旋回フレームに連結された油圧ショベルに適用してもよい。また、例えばオフセット式の作業装置(詳細には、ロアブーム及びこのロアブームに左右方向に回動可能に連結されたアッパーブームからなるブームを備えたもの)を備えた油圧ショベルに適用しもてよい。これらの場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、適用対象として、クローラ式の走行体1、旋回体2、及び作業装置4を備えた油圧ショベルを例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で変更可能である。例えばホイール式の走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。また、例えば油圧クレーン等のように、走行体、旋回体、及び作業装置を備えた他の作業機械に適用してもよい。また、例えばローダやフォークリフト等のように、旋回体を備えないものの、走行体及び作業装置を備えた他の作業機械に適用してもよい。これらの場合も、上記同様の効果を得ることができる。