(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986027
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】レーザ・アブレーション中に光学構成部品を保護するシステム
(51)【国際特許分類】
H01J 37/317 20060101AFI20160823BHJP
B23K 26/36 20140101ALI20160823BHJP
B23K 26/12 20140101ALI20160823BHJP
【FI】
H01J37/317 D
B23K26/36
B23K26/12
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-63136(P2013-63136)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-214513(P2013-214513A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年5月25日
(31)【優先権主張番号】61/618,772
(32)【優先日】2012年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501419107
【氏名又は名称】エフ・イ−・アイ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・ストロー
【審査官】
鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−527639(JP,A)
【文献】
特開昭57−047594(JP,A)
【文献】
特開2004−090060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/317
H01J 37/28
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空室と、
前記真空室内で試料を処理する荷電粒子ビーム・カラムと、
前記真空室内でレーザ・アブレーションを実行するレーザ・アセンブリと、
透明な導電材料から形成された取替え可能な保護スクリーンと、
を備え、
前記レーザ・アセンブリは、
ナノ秒からフェムト秒のパルス・レーザビームの源であるレーザ光源と、
前記レーザ光源から集束レーザ・ビームを生成する集束光学部品とを有し、
前記集束光学部品が、前記真空室内の前記試料上に前記パルス・レーザビームを集束させる対物レンズを含み、
前記集束レーザ・ビームが前記取替え可能な保護スクリーンの前記透明な導電材料を通過し、前記試料のレーザ・アブレーション中に前記対物レンズに向かって放出された破片が、前記取替え可能な保護スクリーンに衝突するように、前記取替え可能な保護スクリーンが、前記試料と前記対物レンズの間に配置された
レーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項2】
前記試料室内の真空を中断することなく前記保護スクリーンを取り替えることができる、請求項1に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項3】
前記対物レンズを覆っている前記取替え可能な保護スクリーンの部分を通過する前記集束レーザ・ビームが所定のしきい値を超えて遮られたときに、前記取替え可能な保護スクリーンの塞がれていない部分が前記対物レンズを覆うように、前記取替え可能な保護スクリーンを再配置することができる、請求項1または2に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項4】
前記試料室内の真空を中断することなく前記取替え可能な保護スクリーンを再配置することができる、請求項3に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項5】
前記透明な導電材料が、透明な導体の層で被覆された非導電材料を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項6】
前記非導電材料がガラスを含み、前記透明な導体が、酸化インジウムスズまたはフッ素がドープされた酸化スズを含む、請求項5に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項7】
前記透明な導電材料が、グラフェン、ドープされた酸化亜鉛またはポリマー・ベースのフィルムを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項8】
前記透明な導電材料が、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、PEDOT:ポリスチレンスルホナート(PEDOT:PSS)またはポリ(4,4−ジオクチルシクロペンタジチオフェン)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項9】
前記非導電材料がオプチカル・フラットを含む、請求項5に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項10】
前記取替え可能な保護スクリーンによって覆われた面積が前記対物レンズの面積よりも大きく、前記対物レンズを覆っていない透明なスクリーンの部分のうちの少なくとも一部を覆う遮蔽物をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項11】
前記対物レンズを覆っている前記透明なスクリーンの部分が破片によって塞がれたときに、それまで前記遮蔽物によって覆われていた前記透明なスクリーンの塞がれていない部分が前記対物レンズを覆うように配置されるよう、前記取替え可能な保護スクリーンを回転させることができる、請求項10に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項12】
前記取替え可能な保護スクリーンの前記透明な導電材料が、前記対物レンズよりも大きな表面積を有し、前記取替え可能な保護スクリーンが、前記対物レンズと前記試料の表面の間でスクロールすることができる透明で柔軟な材料のロールを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項13】
前記対物レンズを覆っている前記透明なスクリーンの部分が破片によって塞がれたときに、前記透明なスクリーンの塞がれていない部分を繰り出し、その部分を、前記対物レンズを覆うように配置することができるように、前記対物レンズにわたって前記取替え可能な保護スクリーンをスクロールすることができる、請求項12に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項14】
前記対物レンズと前記取替え可能な保護スクリーンが共に、前記真空室内に配置された、請求項1から13のいずれか一項に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項15】
前記対物レンズが前記真空室の外側に位置し、前記パルス・レーザビームが、前記真空室の壁の透明な窓を通して試料上に集束し、前記取替え可能な保護スクリーンが前記真空室内に位置し、レーザ・アブレーション中に放出される破片から前記透明な窓を保護する、請求項1から13のいずれか一項に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項16】
前記集束レーザ・ビームの強度を測定するために前記真空室内に配置された検出器をさらに備える、請求項1から15のいずれか一項に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項17】
前記集束レーザ・ビームの一部を前記検出器に向かって導くために前記集束レーザ・ビームの経路上に配置されたビーム・スプリッタをさらに備える、請求項16に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項18】
測定のために前記検出器を前記集束レーザ・ビームの経路上へ移動させることができ、試料処理のために前記検出器を前記集束レーザ・ビームの経路外へ移動させることができる、請求項16または17に記載のレーザ/荷電粒子ビームの統合システム。
【請求項19】
レーザ/荷電粒子ビーム統合システムの真空室内での試料のレーザ・アブレーションの間、光学構成部品を保護する方法であって、
前記試料とレーザの前記光学構成部品の間に透明な導電材料を配置するステップと、
集束レーザ・ビームを使用して、前記試料をアブレーションにより切削するステップと
を含み、
前記集束レーザ・ビームが前記透明な導電材料を通過し、前記透明な導電材料が、レーザ・アブレーション中に放出された破片が前記レーザの前記光学構成部品に到達することを妨げる役目を果たし、
前記方法が、
前記アブレーション・プロセスを監視するために、荷電粒子ビームを使用して前記試料を画像化するステップと、
前記透明な導電材料上における破片の蓄積がレーザを遮るに十分なものになったときに、前記真空室内の真空を中断することなしに、塞がれた前記透明な導電材料に代えて、塞がれていない透明な導電材料を配置するステップと
を含む方法。
【請求項20】
塞がれた前記透明な導電材料を取り替えるべき時期を決定するため、レーザ検出器を使用して、アブレーションを実行している前記レーザを定量化するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
荷電粒子ビームを生成して平行にし、前記真空室内で前記試料に衝突させることをさらに含む方法であって、前記透明な導電材料が、前記荷電粒子ビームの性能を低下させる帯電の影響を打ち消す、請求項19または20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビームの近くでレーザ・アブレーションが実行されているときに光学構成部品を保護することに関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム・システムは、集積回路、磁気記録ヘッド、フォトリソグラフィ・マスクなどの小型デバイスの製造、修復および検査を含むさまざまな用途で使用されている。荷電粒子ビームはイオン・ビームおよび電子ビームを含む。
【0003】
集束ビーム中のイオンは一般に、表面から材料を物理的に追い出すことによって微小機械加工するのに十分な運動量を有する。電子はイオンよりもはるかに軽いため、電子ビームは一般に、エッチング剤蒸気と基板の間の化学反応を誘起することによる材料の除去に限定される。イオン・ビームも電子ビームも共に、最も高性能の光学顕微鏡によって達成することができる倍率および分解能よりも大きな倍率および高い分解能で表面を画像化するために使用することができる。
【0004】
画像化、ミリング、付着および分析を高い精度で実行することができるため、ガリウム液体金属イオン源(LMIS)を使用するイオン・ビーム・システムは製造工程において幅広く使用されている。例えばガリウムLMISを使用する集束イオン・ビーム(FIB)システム内のイオン・カラムは、5から7ナノメートルの横方向分解能を提供することができる。イオン・ビームは、たとえ画像化目的で使用されたときでも試料の表面を傷つける傾向を有するため、イオン・ビーム・カラムはしばしば電子ビーム・カラムと組み合わされて、デュアル・ビーム・システムを構成する。このようなシステムはしばしば、ターゲットに対する最小限の損傷で高分解能画像を提供することができる走査電子顕微鏡(SEM)と、加工物を改変するためおよび画像を形成するために使用することができる集束ビーム・システム、成形ビーム・システムなどのイオン・ビーム・システムとを含む。LMIS FIBと電子ビームとを含むデュアル・ビーム・システムはよく知られている。このようなシステムには例えば、本発明の譲受人である米オレゴン州HillsboroのFEI Companyから入手可能なQuanta 3D FEG(商標)Systemが含まれる。このイオン・ビームを使用して例えば集積回路にトレンチを切削により形成することができ、次いで電子ビームを使用して、露出したトレンチの壁の画像を形成することができる。
【0005】
残念なことに、高精度のミリングまたは試料除去を実行するためにはしばしばいくつかの代価が必要である。LMIS FIBの処理速度はビーム中の電流によって制限される。電流を大きくすると、ビームを小さなスポットに集束させることが困難になる。ビーム電流を小さくすればより高い分解能を得ることができるが、ミリング速度が低下し、したがって製造用途および実験室における処理時間が長くなる結果になる。ビーム電流を増大させることによって処理速度を増大させると処理精度が低下する。
【0006】
また、いくつかの微小機械加工用途に関しては、ビーム電流を大きくしたとしても、集束イオン・ビーム・ミリングの速度が依然として受け入れがたいほどに低いことがある。フェムト秒レーザを用いた機械加工など他の技法を使用して材料をより高速に除去することもできるが、それらの技法の分解能は、一般的なLMIS FIBシステムよりもはるかに低い。レーザは一般に、荷電粒子ビームよりもはるかに大きな速度で基板にエネルギーを供給することができ、そのため、レーザの材料除去速度(一般に1kHzのレーザ・パルス繰返し数で動作している1ワットのレーザで最大7×106μm3/s)は一般に、荷電粒子ビームの材料除去速度(一般にガリウムLMIS FIBで0.1から3.0μm3/s)よりもはるかに大きい。レーザ・システムは、小さな体積にエネルギーを急速に供給することによって基板から原子を爆発的に放出させる、レーザ・アブレーションを含む異なるいくつかの微小機械加工機構を使用する。本明細書では、レーザ・ビームを使用して基板から材料を迅速に除去するこのような全ての方法をひとまとめにしてレーザ・ビーム機械加工と呼ぶ。
【0007】
図1は、アブレーションによって表面を切削している先行技術のレーザの略
図10である。レーザ・ビーム13を生成している高パワー・パルス・レーザ12を、ステージ15によって支持されたターゲット材料14上に集束させ、レーザ・フルエンス(laser fluence)が、その材料のアブレーションしきい値を超えると、ターゲット材料中の化学結合が切れ、材料は破砕されて、一般に中性原子、分子およびイオンの混合物である高エネルギーの砕片となり、材料表面の上方にプラズマ・プルーム(plume)16を形成する。材料は、高エネルギーのプラズマ、ガスおよび固体破片の混合物として反応ゾーンを出るため、アブレーション・プロセスは、レーザ・ビーム13が集束する点から上方へ材料砕片18を押し上げる材料の爆発物蒸発に似ている。
【0008】
荷電粒子ビーム処理と比べると、レーザ・アブレーションは、Ga LMIS FIBの材料除去速度の106倍超の材料除去速度で、比較的に大量の材料を非常に迅速に除去することができる。しかしながら、レーザ・ビーム中の光の波長は荷電粒子ビーム中の荷電粒子の波長よりもはるかに長い。ビームを集束させることができるサイズは、1つには、ビーム波長によって制限されるため、レーザ・ビームの最小スポット・サイズは一般に荷電粒子ビームの最小スポット・サイズよりも大きい。したがって、荷電粒子ビームは一般にレーザ・ビームよりも高い分解能を有し、極めて小さな構造物を微小機械加工することができるが、ビーム電流は限定され、微小機械加工工程の速度は受け入れがたいほどに低くなることがある。一方、レーザ微小機械加工は一般にはるかに高速であるが、回折のため分解能は劣る。
【0009】
残念なことに、レーザ・アブレーションでは、大量の破片が生み出されるため、その破片がレーザ対物レンズを徐々に被覆する傾向があり、それにより最終的にはレーザの性能が低下する。大気中で実行されるレーザ・アブレーションでは一般に、レンズから破片を取り除くために表面にわたってガスが吹きつけられる。さらに、取替え可能なガラス製のカバー・ガラスを使用してレンズを覆うこともある。しかしながら、荷電粒子ビーム/レーザの統合システムではこれらの技法を容易に使用することはできない。荷電粒子ビームが機能するためには試料室内が真空でなければならないため、ガスの使用は実用的でない。カバーを取り替えるために試料室を大気にさらす必要があり、また、ガラスは非常に望ましくない帯電の影響を受けるため、ガラス・カバーの使用も実用的ではない。帯電は、荷電粒子ビームの機能、特に画像化目的での荷電粒子ビームの機能を低下させる。
【0010】
荷電粒子システム内でのレーザ・アブレーション中の破片の蓄積からレーザ光学部品を保護し、破片の蓄積の結果起こるレーザ・ビーム強度の緩やかな低下を防ぐ方法および装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願第2011/0248164号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、荷電粒子ビーム・システムの真空室内でレーザ・アブレーションを実行し、同時に、レーザを集束させるために利用する装置の光学構成部品が、アブレーション・プロセスの結果生じた破片で被覆されることを防ぐ方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、透明な保護スクリーンを使用してレーザ光学構成部品を保護する。好ましいスクリーンは、試料室内の真空を中断することなく取り替えたりまたは再配置したりすることができ、望ましくない帯電の影響をそれほど受けないと考えられる。
【0014】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり広く概説した。以下では、本発明の追加の特徴および利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の同じ目的を達成するために他の構造を変更しまたは設計するベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の趣旨および範囲に記載された本発明の範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0015】
次に、本発明および本発明の利点のより完全な理解のため、添付図面に関して書かれた以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】アブレーションによって表面を切削している先行技術のレーザの略図である。
【
図2】本発明の好ましい一実施形態に基づくSEMおよびレーザの併用の略図である。
【
図3A】共焦点レーザを備えるデュアル・ビームFIBおよびSEMの併用の略図である。
【
図3B】試料がレーザに対して垂直に傾けられており、レーザが試料表面をアブレーションによって切削している、
図3Aのシステムを示す図である。
【
図3C】本発明の好ましい一実施形態に基づく保護スクリーン・アセンブリを含む
図3Aのシステムを示す図である。
【
図4A】回転可能な透明スクリーンによってレンズが保護された本発明の好ましい一実施形態の拡大図である。
【
図4B】本発明の好ましい一実施形態に基づく、レーザ・レンズ・アセンブリに取り付けられた保護スクリーン・アセンブリのクローズアップ図である。
【
図5】レーザ対物レンズの面にわたって透明な導電材料をスクロールする、本発明の他の実施形態の拡大図である。
【
図6】荷電粒子が生成され、平行にされ、試料室に入り、アブレーションによってレーザが試料を切削しているすぐ近くで試料に衝突する、本発明の好ましい一実施形態の略図である。
【
図7】対物レンズを覆っている透明なスクリーンの部分を本発明の好ましい一実施形態に従って清浄に維持するために、ビーム・スプリッタおよび検出器を使用して、保護スクリーン・アセンブリの透明スクリーンを動かすべき時期または取り替えるべき時期を決定する、本発明の好ましい一実施形態の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面は、本発明の理解を助けることが意図されており、特に明示しない限り、原寸に比例して示されていない。これらの図面では、さまざまな図に示されている同一の構成要素またはほぼ同一の構成要素が、同様の符号によって示されている。見やすくするため、全ての図面の全ての構成要素に符号が付けられているわけではない。
【0018】
真空室内でのレーザ・アブレーションの使用には、レーザ光学部品の表面に破片が蓄積するという困難な問題が伴うことを本出願の出願人は見出した。この問題は、大気中でのレーザ・アブレーションでは見られないものである。真空室内で実行されるアブレーションに対しては、破片の蓄積を軽減するための一般的な方法は上で論じたとおり実際的ではなく、加えて、実際には、この問題は、真空で実行されるアブレーションに対してより重大になる。なぜなら、大気中のガス分子との衝突によって破片の速度が低下しないため、実際には破片がより遠くへ飛ぶからである。
【0019】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、レーザ・アブレーションの間、レーザ光学構成部品を保護する目的に使用することができる透明な保護スクリーンを提供する。好ましい実施形態は、試料室内の真空を破壊することなく容易に取り替えられるべきであり、または容易に再配置可能であるべきである。
【0020】
図2は、荷電粒子ビーム・カラム201とレーザ204の組合せを有するデュアル・ビーム・システムを示す。このようなデュアル・ビーム・システムは、本出願の譲受人に譲渡された、参照によって本明細書に組み込まれるMarcus Straw他の「Combination Laser and Charged Particle Beam System」という名称の米国特許出願第2011/0248164号明細書に記載されている。
図2の略図に示されているように、レーザ204からのレーザ・ビーム202は、真空室208内に位置するレンズ206によって集束して収束レーザ・ビーム220となる。レーザ・ビーム202は窓210から室に入る。
図2の実施形態では、荷電粒子ビーム212に隣接して配置された単一のレンズ206または一群のレンズ(図示せず)を使用して、(荷電粒子ビーム集束カラム201によって生成された)荷電粒子ビーム212が位置216において試料214に衝突するときに、レーザ・ビーム220が荷電粒子ビーム212と一致し共焦点を結ぶか、または荷電粒子ビーム212に隣接した位置に集束するような態様で、レーザ・ビーム220を集束させる。
【0021】
図3Aおよび3Bは、材料を迅速に除去するための(レーザ302によって生成された)集束レーザ・ビーム306を、材料をさらに処理するための(FIBカラム308によって生成された)集束イオン・ビーム307および材料除去プロセスを監視するための(SEMカラム310によって生成された)電子ビーム309と組み合わせるシステム300を示す。米国特許出願第2011/0248164号明細書にはこのようなシステムも記載されている。レーザ302は、ミラー312に向かってレーザ・ビーム303を導き、ミラー312は、レーザ・ビーム303を反射して反射ビーム304を形成し、反射ビーム304は、透明な窓314を通して真空室340内へ導かれる。「透明」は、使用している特定のタイプのレーザの波長に対して窓が透過性であることを意味する。レンズ316は、反射レーザ・ビーム304(実質的に平行なビームとすることができる)を集束させて集束レーザ・ビーム306とする。集束レーザ・ビーム306は、試料320の表面または試料320の表面付近に焦点を結ぶ。試料320は、
図3Bに示されているように、試料表面が集束レーザ・ビーム306に対して垂直になるように傾けられる。
【0022】
ミラー312(または同種の反射要素)を使用して、試料320上における集束レーザ・ビーム306の位置を調整することもできる。集束レーザ・ビーム306は、機械加工されている試料320中の材料のアブレーションしきい値よりも大きなフルエンスで機能することができることが好ましい。基板材料をアブレーションによって切削する目的には一般に、ナノ秒からフェムト秒の短パルス・レーザが使用されるが、他のタイプのレーザを使用することもできる。
【0023】
アブレーションしきい値は基板材料の固有の特性であり、当業者は、さまざまな材料のアブレーションしきい値を経験的にまたは文献を参照することによって容易に決定することができる。例えば、シリコン基板の単一パルス・アブレーションしきい値は約170mJ/cm
2であり、そのため、本発明の好ましい実施形態に従ってシリコンを微小機械加工するためにはレーザ・フルエンスがこの値よりも少しだけ大きいことが好ましい。アブレーションにより材料を迅速に切削するのに適したレーザ・ビームは、50nJから1mJの範囲のエネルギーおよび0.1J/cm
2から100J/cm
2の範囲のフルエンスを有することができる。
【0024】
レーザの動作中に、集束レーザ・ビーム306が衝突することによって試料320の表面から中性原子、分子、電子およびイオンの混合物が放出され、試料表面320の上方にプラズマ・プルーム326が形成される。それらの材料は、高エネルギーのプラズマ、ガスおよび固体破片の混合物として反応ゾーンを出るため、このアブレーション・プロセスは材料の爆発物蒸発に似ており、このプロセスは、集束レーザ・ビーム306が集束する点から上方へ材料砕片を押し上げる。多数の電子およびイオン(プラズマ・プルーム)のこの突然の発生は、レーザの焦点を中心にして全ての方向へ破片をまき散らす傾向を有する。(例えば一方または両方の荷電粒子ビームを使用してアブレーション・プロセスを監視することができるように)試料室の内部は真空であるため、放出された破片は、破片の速度を低下させるガス分子がより多く存在するより高圧の場合よりも遠くへ飛散する。矢印330によって示されているように、放出された破片の何割かは最終的にレーザ集束レンズ316の表面に付着する。破片の分布は強い垂直成分を有する。これは、
図3Bに示すように(ビームを表面に対して垂直にして)レーザを使用したときに、さらに大部分の破片がレーザ集束レンズ316へ導かれることを意味する。レンズ上の破片の量が徐々に増大するにつれてレーザの性能は低下する。最終的には、レーザが試料表面をもはや適正には切削しなくなるだけの十分な量のレーザ光が遮られる。
【0025】
実際に必要なレーザ透過率は与えられた用途によって異なる。本明細書で使用するとき、用語「塞がれた」は、破片の蓄積によって、透過レーザ光の量が特定の用途に対して十分ではない程度まで低下したレンズ(またはレンズと後述する保護スクリーンの組合せ)を記述するために使用される。用語「塞がれていない」は、破片が全く蓄積していないレンズ(もしくはレンズと後述する保護スクリーンの組合せ)、または透過レーザ光の量が特定の用途に対して十分である程度に蓄積が十分に小さいレンズ(もしくはレンズと後述する保護スクリーンの組合せ)を記述するために使用される。
【0026】
図3Cは、本発明の好ましい一実施形態に基づく保護スクリーン・アセンブリを含む
図3Aおよび3Bのシステムを示す。
図4は、破片の蓄積からレーザ・レンズを保護する目的に使用することができる保護スクリーン・アセンブリ400の好ましい一実施形態の拡大図を示す。
図4Bは、レーザ・レンズ・アセンブリに取り付けられた、本発明の好ましい一実施形態に基づく保護スクリーン・アセンブリのクローズアップ図である。
図3C、4Aおよび4Bの実施形態では、一般的なオプチカル・フラット(optical flat)から透明なスクリーン451を形成することができる。オプチカル・フラットは、一方または両方の面が極めて平らになるように研磨された石英または他の透明材料の光学等級の円板であり、他の光学表面の平面度を干渉によって決定するために単色光と共に使用される。
【0027】
しかしながら、本出願の出願人はさらに、大気中でのレーザ・アブレーションに対して一般的に使用されているガラス・カバーのような透明な絶縁材料は、荷電粒子ビーム・システム内で使用されたときに問題を引き起こすことを見出した。ガラスまたは他の絶縁材料は、荷電粒子ビーム・システムの動作中に電荷を蓄積する傾向を有する。帯電は、電子またはイオン・ビームの照射中に試料から2次電子もしくは後方散乱電子が放出される結果として、またはレーザ・アブレーション中に試料から光電子が放出される結果として起こる。ガラスなどの絶縁材料でできた表面にこれらの荷電粒子が到達すると、それらの荷電粒子は動かなくなる(すなわち金属などの導電材料でできた表面にあるときとは違って別の場所へ伝導されなくなる)。時間の経過と共にますます多くの電子が表面に集積するため、大きな電場が出現する。この電場は、1次荷電粒子ビームと相互作用して1次荷電粒子ビームの形状を歪め、試料上における1次荷電粒子ビームの位置を変位させ、最終的にはシステムの性能を低下させる。
【0028】
長い作動距離を可能にする大開口数のレンズを使用することが望ましいため、レーザ・ビームを集束させる目的に使用されるレンズの表面における電荷の蓄積は、荷電粒子ビーム・システムにおいて特に問題になる。荷電粒子ビーム真空室内の空間はこのように貴重であるため、試料からできるだけ遠ざけて配置することができ、それにもかかわらず依然としてレーザ・ビームを十分に分解することができるレンズを使用してレーザ・ビームを集束させることが非常に望ましい。そのようなレンズのガラス・レンズ表面は、他のレーザ集束レンズに比べて比較的に大きい傾向がある。当然ながら、これにより、帯電が起こりうる低導電率の表面の面積ははるかに大きくなる。本発明の好ましい実施形態によれば、この帯電の影響を打ち消すために、透明なスクリーンの荷電粒子ビームに面する面を、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)などの透明な導体で被覆することができる。本発明の他の好ましい実施形態では、透明なスクリーンの全体を、グラフェンなどの透明な導体材料から形成することができる。
【0029】
図4Aのアセンブリでは、透明なスクリーン451が、ロッド452と一緒にまたはロッド452から取り外すことができるような態様でロッド452に取り付けられている。さらに
図4Bを参照すると、ロッド452は、やはりレンズ・アセンブリに取り付けられたブラケット454によって支持され、モータ460によって動作することが好ましい。モータ460を使用してロッド452を回転させることができ、ロッド452が回転すると透明なスクリーン451も回転する。対物レンズ456の寸法を有する窓を備える固定された(すなわち回転しない)遮蔽物458(分かりやすくするため図では半透明として示されている)を、その窓の上に配置して、ビームが通過する透明なスクリーンの領域である開口459内を除く透明なスクリーンの全ての部分を事実上覆い隠すことができる。遮蔽物458は例えば、ステンレス鋼などの金属から、または導電性ポリマーなどの他の適当な材料から形成することができる。したがって、アブレーション中に放出された破片は、遮蔽物458と、開口459によって露出した透明なスクリーンの部分の両方に衝突する。これによって、その時点においてビームが通過しているエリアを除く全ての場所において透明なスクリーンの透明性が維持される。
【0030】
レーザ・アブレーションの間、透明なスクリーンは、アブレーションによって切削された材料によってますます被覆される。破片の被覆が厚くなるにつれて、試料に届くレーザのパワーは低下する。好ましい一実施形態では、試料をミリングしているときにレーザのパワーを定期的に測定することができる。レーザ・ビームのパワーが所定のしきい値よりも低下したときには、透明なスクリーンの被覆されていない新たな領域によってレンズ開口が覆われるように、透明なスクリーンを回転させることができる。
【0031】
本発明の他の実施形態を
図5に示す。上で論じたようにオプチカル・フラットを使用して対物レンズを保護する代わりに、例えばカメラのフィルム巻上げシステムに見られるものと同様のモータ駆動式のローラー・システムを使用して、透明な導電フィルムを含む透明なカバー501を対物レンズの面にわたってスクロールすることができる。適切な透明導電フィルムには、グラフェン、ドープされた酸化亜鉛、ポリマー・ベースのフィルムなどがあり、適当なポリマー・ベースのフィルムには、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、PEDOT:ポリスチレンスルホナート(PEDOT:PSS)、ポリ4,4−ジオクチルシクロペンタジチオンなどがある。透明な導電フィルムのロールを1つの円筒502から別の円筒504まで張り渡すことができる。ビームのパワーが所定のしきい値よりも低下したときに、好ましくは真空室を開けなくても動作するモータ駆動式のアセンブリによって、塞がれていないフィルムを円筒502から繰り出し、円筒504において集める。通常の使用時には、フィルムが被覆されることを円筒502が防ぐため、金属の遮蔽物は必要ない。これは、巻かれフィルムは円筒内にあり、そこではフィルムが、アブレーションによって生じた破片にさらされないためである。全てのフィルムが使用されたときに、円筒502、円筒504およびフィルムからなるアセンブリの全体を容易に取り替えることができることが好ましい。
【0032】
本発明の他の実施形態を
図6に示す。荷電粒子ビーム生成システム602によって荷電粒子が生成され、平行にされ、試料室612に入って試料610に衝突する。レーザ発振器またはレーザ増幅器604によってレーザ・ビームが生成され、集束光学部品606によって集束する。レーザ・ビームは、透明で導電性の保護窓608を通過して試料室612内の試料610に衝突する。
図7に関して後にさらに説明するが、試料室内にレーザ検出器614を配置し、所定の位置へ定期的に回動させて、生成されている入来レーザ・ビームのパワーを測定することができる。導電性の保護窓608は取り替えることができる。好ましいいくつかの実施形態では、前述の実施形態と同様に窓608を摺動可能とすることもでき、または、真空を中断することなく真空室の外側から取り替えることができる。
【0033】
本発明の他の実施形態を
図7に示す。
図7の好ましい実施形態では、真空室内の集束レーザ・ビーム706の経路上にビーム・スプリッタ714が配置され、その位置で、ビーム・スプリッタ714は、レーザ光の小さな部分(例えば約10%)を分離して、その部分を検出器712へ導く。この検出器によってレーザ・ビームの強度を測定することができ、レーザ・ビームの強度があるしきい値よりも低下したときには、そのことによって、透明なスクリーンの清浄な部分が対物レンズを覆うように保護スクリーン・アセンブリを移動させるべきであること、またはさもなければ保護スクリーン・アセンブリを取り替えるべきであることを指示することができる。好ましいいくつかの実施形態では、予め設定されたしきい値に到達したときに、透明なスクリーンを自動的に移動させる(例えば回転させまたは繰り出す)ことができる。レーザ・ビームの出力の小さな部分がビーム・スプリッタによって分離されるが、ほとんどの場合に、レーザの出力をわずかに増大させて、分離されるビームの分を補うことができる。あるいは、
図6に示すように、移動可能なまたは後退可能なアーム上に検出器614を配置し、集束ビーム経路上へ定期的に移動させて、レーザ・ビーム強度を測定することもできる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、アブレーションの間、光学構成部品を保護する装置は、光源および集束光学部品を有し、集束レーザ・ビームを生成するレーザ・アセンブリを備え、集束光学部品は、真空室内の試料上にレーザ・ビームを集束させる対物レンズを含み、この装置は、透明な材料から形成された取替え可能な保護スクリーンを備え、保護スクリーンは、集束レーザ・ビームが保護スクリーンの透明な導電材料を通過し、試料のレーザ・アブレーション中に対物レンズに向かって放出された破片が、対物レンズではなく保護スクリーンに衝突するように、試料と対物レンズの間に配置されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、試料室内の真空を中断することなく保護スクリーンを取り替えることができる。いくつかの実施形態では、対物レンズを覆っている保護スクリーンの部分を通過するレーザ光の経路が所定のしきい値を超えて遮られたときに、保護スクリーンの塞がれていない部分が対物レンズを覆うように、保護スクリーンを再配置することができる。いくつかの実施形態では、記試料室内の真空を中断することなく保護スクリーンを再配置することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、レーザ・アセンブリが試料処理システムの一部であり、その試料処理システムが荷電粒子ビーム・システムをさらに含む。いくつかの実施形態では、透明な導電材料が、透明な導体の層で被覆された非導電材料を含む。いくつかの実施形態では、非導電材料がガラスを含み、透明な導体が、酸化インジウムスズまたはフッ素がドープされた酸化スズを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、透明な導電材料が、グラフェン、ドープされた酸化亜鉛またはポリマー・ベースのフィルムを含む。いくつかの実施形態では、透明な導電材料が、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、PEDOT:ポリスチレンスルホナート(PEDOT:PSS)またはポリ4,4−ジオクチルシクロペンタジチオンを含む。いくつかの実施形態では、非導電材料がオプチカル・フラットを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、保護スクリーンによって覆われた面積が光学レンズの面積よりも大きく、この装置が、対物レンズを覆っていない透明なスクリーンの部分のうちの少なくとも一部を覆う遮蔽物をさらに備える。いくつかの実施形態では、対物レンズを覆っている透明なスクリーンの部分が破片によって塞がれたときに、それまで遮蔽物によって覆われていた透明なスクリーンの塞がれていない部分が対物レンズを覆うように、保護スクリーンを回転させることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、保護スクリーンの透明な導電材料が、光学レンズよりも大きな表面積を有し、保護スクリーンが、対物レンズと試料の表面の間でスクロールすることができる透明で柔軟な材料のロールを含む。いくつかの実施形態では、対物レンズを覆っている透明なスクリーンの部分が破片によって塞がれたときに、塞がれていない部分を繰り出し、その部分を、対物レンズを覆うように配置することができるように、対物レンズにわたって保護スクリーンをスクロールすることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、レーザ対物レンズと保護スクリーンが共に、荷電粒子ビーム・システムの真空室内に配置される。いくつかの実施形態では、レーザ対物レンズが真空室の外側に位置し、レーザが、真空室の壁の透明な窓を通して試料上に集束し、保護スクリーンが真空室内に位置し、レーザ・アブレーション中に放出される破片から透明な窓を保護する。
【0041】
いくつかの実施形態では、この装置が、レーザ光の一部を検出器に向かって導くためにレーザ・ビームの経路上に配置されたビーム・スプリッタをさらに備える。いくつかの実施形態では、測定のために検出器をレーザ・ビームの経路上へ移動させることができ、試料処理のために検出器をビーム経路外へ移動させることができる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、レーザ/荷電粒子ビームの統合システムの真空室内での試料のレーザ・アブレーションの間、光学構成部品を保護する方法は、試料とレーザの光学構成部品の間に透明な導電材料を配置するステップと、集束レーザ・ビームを使用して、試料をアブレーションにより切削するステップとを含み、レーザ・ビームは透明な導電材料を通過し、透明な導電材料は、レーザ・アブレーション中に放出された破片がレーザの光学構成部品に到達することを妨げる役目を果たし、この方法はさらに、アブレーション・プロセスを監視するために、荷電粒子ビームを使用して試料を画像化するステップと、透明な導電材料上における破片の蓄積がレーザを遮るに十分なものになったときに、真空室内の真空を中断することなしに、塞がれた透明な導電材料に代えて、塞がれていない透明な導電材料を配置するステップとを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、この方法が、塞がれた透明な導電材料を取り替えるべき時期を決定するため、レーザ検出器を使用して、アブレーションを実行しているレーザを定量化するステップをさらに含む。
【0044】
以上の本発明の説明は主に装置を対象としているが、特許請求の範囲に記載の装置を使用する方法も本発明の範囲に含まれることを認識すべきである。さらに、本発明の実施形態は、コンピュータ・ハードウェアもしくはコンピュータ・ソフトウェア、またはコンピュータ・ハードウェアとコンピュータ・ソフトウェアの組合せによって実現することができることも認識すべきである。本発明の方法は、標準プログラミング技法を使用した、本明細書に記載された方法および図に基づくコンピュータ・プログラムとして実現することができ、このコンピュータ・プログラムには、コンピュータ・プログラムを含むように構成されたコンピュータ可読の記憶媒体が含まれ、そのように構成された記憶媒体は、コンピュータを、事前に決定された特定の方式で動作させる。コンピュータ・システムと通信するため、それぞれのプログラムは、高水準手続き型プログラミング言語またはオブジェクト指向プログラミング言語で実現することができる。しかしながら、所望ならば、それらのプログラムを、アセンブラ言語または機械語で実現することもできる。いずれにせよ、その言語は、コンパイルまたは解釈される言語とすることができる。さらに、そのプログラムは、そのプログラムを実行するようにプログラムされた専用集積回路上で実行することができる。
【0045】
さらに、方法論は、限定はされないが、荷電粒子ツールもしくは他の画像化装置とは別個の、荷電粒子ツールもしくは他の画像化装置と一体の、または荷電粒子ツールもしくは他の画像化装置と通信するパーソナル・コンピュータ、ミニコンピュータ、メインフレーム、ワークステーション、ネットワーク化されたコンピューティング環境または分散コンピューティング環境、コンピュータ・プラットホームなどを含む、任意のタイプのコンピューティング・プラットホームで実現することができる。本発明の諸態様は、取外し可能であるか、またはコンピューティング・プラットホームと一体であるかを問わない、ハードディスク、光学式読取りおよび/または書込み記憶媒体、RAM、ROMなどの記憶媒体上または記憶装置上に記憶された機械可読コードであって、プログラム可能なコンピュータが、本明細書に記載された手順を実行するために、その記憶媒体または記憶装置を読み取ったときにそのコンピュータを構成し、動作させるために、そのコンピュータが読み取ることができるように記憶された機械可読コードとして実現することができる。さらに、機械可読コードまたは機械可読コードの一部を、有線または無線ネットワークを介して伝送することができる。本明細書に記載された発明は、マイクロプロセッサまたは他のデータ処理装置と連携して上述の諸ステップを実現する命令またはプログラムを含む、これらのさまざまなタイプのコンピュータ可読記憶媒体、およびその他のさまざまなタイプのコンピュータ可読記憶媒体を含む。本発明はさらに、本明細書に記載された方法および技法に従ってプログラムされたコンピュータを含む。
【0046】
入力データに対してコンピュータ・プログラムを使用して、本明細書に記載された機能を実行し、それによって入力データを変換して出力データを生成させることができる。この出力情報は、表示モニタなどの1つまたは複数の出力装置に出力される。本発明の好ましい実施形態では、変換されたデータが物理的な実在する物体を表し、これには、その物理的な実在する物体の特定の視覚的描写を表示画面上に生成することが含まれる。
【0047】
本発明は幅広い適用可能性を有し、上記の例において説明し、示した多くの利点を提供することができる。本発明の実施形態は、具体的な用途によって大きく異なる。全ての実施形態が、これらの全ての利点を提供するわけではなく、全ての実施形態が、本発明によって達成可能な全ての目的を達成するわけでもない。
【0048】
以上の議論および特許請求の範囲では、用語「含む(including)」および「備える(comprising)」が、オープン・エンド(open−ended)型の用語として使用されており、したがって、これらの用語は、「...を含むが、それらだけに限定はされない(including,but not limited to)」ことを意味すると解釈すべきである。本明細書では用語「荷電粒子ビーム」が、イオン光学部品によって集束させたビームおよび整形されたイオン・ビームを含む、電子ビームまたは平行イオン・ビームを指すために使用される。本明細書では用語「デュアル・ビーム」が、組合せFIB/SEMを含む、試料を処理するための2つのビームを含む任意の組合せシステム、またはレーザ・ビームと同じ位置もしくはレーザ・ビームの近くに集束する荷電粒子ビームに言及するために使用される。本明細書で特に定義されていない場合、その用語は、その通常の一般的な意味で使用されることが意図されている。添付図面は、本発明の理解を助けることが意図されており、特に明記しない限り、原寸に比例して示されていない。
【0049】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0050】
201 荷電粒子ビーム・カラム
202 レーザ・ビーム
204 レーザ
206 レンズ
208 真空室
210 窓
214 試料