特許第5986031号(P5986031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5986031発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986031
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/00 20060101AFI20160823BHJP
   H02K 7/00 20060101ALI20160823BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   H02K5/00 Z
   H02K7/00 Z
   E02F9/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-74774(P2013-74774)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-200146(P2014-200146A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2015年12月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】菊池 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山中 真先
(72)【発明者】
【氏名】杉口 貴志
【審査官】 沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/110242(WO,A1)
【文献】 特開2011−088607(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/133308(WO,A1)
【文献】 特開2012−213281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00
E02F 9/00
H02K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに接続されて配置された発電機モータと、
前記発電機モータの上部に搭載されるディーゼル酸化触媒装置と、
前記発電機モータと前記ディーゼル酸化触媒装置との間に設けられ、前記ディーゼル酸化触媒装置を前記発電機モータから上方に離隔配置させるブラケットと、
発電機モータハウジングの前記エンジンとは反対側の上部側部と、前記ブラケットの前記エンジンとは反対側の下部とに取り付けられ、前記エンジンとは反対側と前記エンジン側とを隔てる隔壁として機能する隔壁ブラケットと、
を備え、
発電機モータハウジングの上部には、上方に向けて立設されたネジ穴付きボスが形成され、
前記ブラケットの下部は、前記ネジ穴付きボスにボルト締めされ
前記隔壁ブラケットは、前記発電機モータハウジングの上部外周に設けたネジ穴付き管筒に対して側方からボルト締めされるとともに、前記ブラケットの底板とボルト締めされることを特徴とする発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造。
【請求項2】
前記ネジ穴付きボスの基部には、冷却油取入口を含む冷却油路が形成され、
前記ネジ穴付きボスのネジ穴は、前記冷却油路に干渉しないことを特徴とする請求項1に記載の発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造。
【請求項3】
前記ブラケットに取り付けられ、前記ディーゼル酸化触媒装置の排気取入配管を支持する配管支持ブラケットを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造。
【請求項4】
前記排気取入配管は、一部、蛇腹配管を用いることを特徴とする請求項に記載の発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造。
【請求項5】
エンジンに接続されて配置された発電機モータと、
前記発電機モータの上部に搭載されるディーゼル酸化触媒装置と、
前記発電機モータと前記ディーゼル酸化触媒装置との間に設けられ、前記ディーゼル酸化触媒装置を前記発電機モータから上方に離隔配置させるブラケットと、
発電機モータハウジングの前記エンジンとは反対側の上部側部と、前記ブラケットの前記エンジンとは反対側の下部とに取り付けられ、前記エンジンとは反対側と前記エンジン側とを隔てる隔壁として機能する隔壁ブラケットと、
を備え、
前記発電機モータハウジングの上部には、上方に向けて立設されたネジ穴付きボスが形成され、前記ブラケットの下部は、前記ネジ穴付きボスにボルト締めされ、前記ネジ穴付きボスの基部には、冷却油取入口を含む冷却油路が形成され、前記ネジ穴付きボスのネジ穴は、前記冷却油路に干渉しないように形成され、
前記隔壁ブラケットは、前記発電機モータハウジングの上部外周に設けたネジ穴付き管筒に対して側方からボルト締めされるとともに、前記ブラケットの底板とボルト締めされることを特徴とする発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンと油圧ポンプとの間に配置された発電機モータの上部にディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)装置を搭載する場合における発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンと油圧ポンプとの間に発電機モータを搭載したハイブリッド型の建設機械が開発されている。この発電機モータは、エンジンの出力軸と油圧ポンプの入力軸とに接続され、エンジンの駆動力によって発電を行う。発電機モータによって発電された電気エネルギーは、キャパシタなどの蓄電装置に蓄えられる。そして、建設機械が大きなエンジン出力を必要とする場合に、蓄電装置に蓄えられた電気エネルギーによって発電機モータを駆動し、エンジン出力をアシストする。
【0003】
ここで、特許文献1では、発電機モータの上部に、マフラーマウント部を介してマフラーが配置されている。そして、マフラーは、その外周面に巻きかけられたワイヤーによってマフラーマウント部上に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−211469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、発電機モータの上部に設けられる従来のマフラー搭載構造は、マフラーマウント部(ブラケット)を介して取り付けられていた。このブラケットは、例えば、発電機モータハウジング上部に設けられたネジ穴に対してボルトで共締めされていた。
【0006】
ここで、マフラーに替えてDOC装置を発電機モータハウジング上部に搭載する場合、DOC装置は、マフラーに比べて、2倍程度の重量があり、かつ、400〜500℃程度の高温となる。このDOC装置の重量増大により、DOC装置を搭載支持するブラケットの発電機モータハウジング上部への取付強度を増す必要がある。この取付強度の増大のために、ボルト径及びネジ穴径を大きくする必要がある。一方、発電機モータは、発電機モータのコイル温度上昇を防ぐために、発電機モータハウジング下部に設けた油溜め部の冷却油を冷却して発電機モータハウジング上部の冷却油取入口から発電機モータハウジング内に循環させている。したがって、ボルト径及びネジ穴径を大きくしようとすると、発電機モータハウジング上部の冷却油取入口を含む冷却油路とネジ穴とが干渉してしまい、ボルト径及びネジ穴径を大きくすることができず、ブラケットの取付強度の増大が困難なものとなる。
【0007】
また、DOC装置は、上述したように高温装置であるため、発電機モータから離隔する必要がある。DOC装置を発電機モータから離隔しないと、発電機モータの温度上昇が高まり、発電機モータのコイル温度を上昇させてしまうからである。なお、発電機モータのコイル温度上昇を防ぐために、DOC装置を離隔させず、冷却油による冷却機能を増大することも考えられる。しかし、冷却機能を増大すると、冷却機能部の大型化によって発電機モータ自体の構造が大きくなってしまう。なお、DOC装置を発電機モータから離隔させる場合、この離隔によっても、ブラケット自体の強度及び発電機モータハウジング上部への取付強度を増大させる必要がある。
【0008】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、発電機モータハウジング上部にブラケットを介してDOC装置を搭載する場合、発電機モータの冷却機能に影響を与えず、重量の大きいDOC装置を搭載するブラケットの発電機モータハウジング上部への取付強度を大きくすることができる発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造は、エンジンと油圧ポンプとの間に配置された発電機モータと、前記発電機モータの上部に搭載されるディーゼル酸化触媒装置と、前記発電機モータと前記ディーゼル酸化触媒装置との間に設けられ、前記ディーゼル酸化触媒装置を前記発電機モータから上方に離隔配置させるブラケットと、を備え、発電機モータハウジングの上部には、上方に向けて立設されたネジ穴付きボスが形成され、前記ブラケットの下部は、前記ネジ穴付きボスにボルト締めされることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造は、上記の発明において、前記ネジ穴付きボスの基部には、冷却油取入口を含む冷却油路が形成され、前記ネジ穴付きボスのネジ穴は、前記冷却油路に干渉しないことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造は、上記の発明において、前記発電機モータハウジングの前記油圧ポンプ側の上部側部と、前記ブラケットの前記油圧ポンプ側下部とに取り付けられ、前記油圧ポンプ側と前記エンジン側とを隔てる隔壁として機能する隔壁ブラケットを設けたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造は、上記の発明において、前記ブラケットに取り付けられ、前記ディーゼル酸化触媒装置の排気取入配管を支持する配管支持ブラケットを設けたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造は、上記の発明において、前記排気取入配管は、一部、蛇腹配管を用いることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造は、上記の発明において、前記隔壁ブラケットは、前記発電機モータハウジングの上部外周に設けたネジ穴付き管筒に対して側方からボルト締めされるとともに、前記ブラケットの底板とボルト締めされることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造は、エンジンと油圧ポンプとの間に配置された発電機モータと、前記発電機モータの上部に搭載されるディーゼル酸化触媒装置と、前記発電機モータと前記ディーゼル酸化触媒装置との間に設けられ、前記ディーゼル酸化触媒装置を前記発電機モータから上方に離隔配置させるブラケットと、発電機モータハウジングの前記油圧ポンプ側の上部側部と、前記ブラケットの前記油圧ポンプ側下部とに取り付けられ、前記油圧ポンプ側と前記エンジン側とを隔てる隔壁として機能する隔壁ブラケットと、を備え、前記発電機モータハウジングの上部には、上方に向けて立設されたネジ穴付きボスが形成され、前記ブラケットの下部は、前記ネジ穴付きボスにボルト締めされ、前記ネジ穴付きボスの基部には、冷却油取入口を含む冷却油路が形成され、前記ネジ穴付きボスのネジ穴は、前記冷却油路に干渉しないように形成され、前記隔壁ブラケットは、前記発電機モータハウジングの上部外周に設けたネジ穴付き管筒に対して側方からボルト締めされるとともに、前記ブラケットの底板とボルト締めされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ブラケットによってディーゼル酸化触媒装置を発電機モータから上方に離隔配置され、発電機モータハウジングの上部には、上方に向けて立設されたネジ穴付きボスが形成され、ブラケットの下部が、前記ネジ穴付きボスにボルト締めされるようにしているので、発電機モータの冷却機能に影響を与えず、重量の大きいDOC装置を搭載するブラケットの発電機モータハウジング上部への取付強度を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、この発明の実施の形態にかかる発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造を有したエンジンユニットが搭載される作業機械の一例であるハイブリッド油圧ショベルの全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、エンジンユニットの斜視図である。
図3図3は、エンジンユニットの正面図である。
図4図4は、エンジンユニットの左側面図である。
図5図5は、エンジンユニットの平面図である。
図6図6は、油圧ポンプ側からみたDOC装置搭載構造の分解斜視図である。
図7図7は、エンジン側からみたDOC装置搭載構造の分解斜視図である。
図8図8は、ネジ穴付きボスのネジ穴と冷却油路との位置関係を示す発電機モータハウジング上部の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0019】
[ハイブリッド油圧ショベル]
まず、図1は、この発明の実施の形態にかかる発電機モータへのディーゼル酸化触媒装置搭載構造を有したエンジンユニットが搭載される作業機械の一例であるハイブリッド油圧ショベル101の全体構成を示す斜視図である。このハイブリッド油圧ショベル101は、下部走行体102と、旋回台103と、作業機104と、カウンタウェイト105と、機器室106と、車体部107と、キャブ108とを有する。ハイブリッド油圧ショベル101は、駆動源として、エンジン2を備えている。エンジン2の出力軸には、エンジン2によって駆動される発電機モータ1及び油圧ポンプ3が直列的に接続されている(図3参照)。
【0020】
下部走行体102は、進行方向における左右両端部分に巻き掛けられた履帯Pを回転させることで、ハイブリッド油圧ショベル101を前進あるいは後進させる。また、下部走行体102の上面には、旋回台103が搭載されている。旋回台103は、下部走行体102に対して任意の方向に旋回可能である。旋回台103の上面には、作業機104、カウンタウェイト105、機器室106、車体部107、キャブ108が搭載される。また、旋回台103は、発電機モータ1あるいは蓄電器からの電力供給によって駆動される旋回用電動モータによって旋回する。なお、この旋回電動モータは、旋回台103の旋回動作の減速時に回生によって発電する。この発電で得られた電気エネルギーは、キャパシタに蓄電される。
【0021】
作業機104は、ブーム111と、ブーム111の先端に取り付けられたアーム112と、アーム112の先端に取り付けられたバケット113とを有する。作業機104は、図示しない油圧回路に含まれる各油圧シリンダ111a,112a,113aなどを油圧ポンプ3が吐出する圧油により駆動することによって、ブーム111、アーム112、バケット113などを動作させる。ハイブリッド油圧ショベル101は、これらブーム111、アーム112、バケット113などを動作させることによって、掘削作業などを行う。
【0022】
カウンタウェイト105は、例えば、鋼板を組み立てて形成した箱の中に屑鉄やコンクリートなどを入れて固めたものである。このカウンタウェイト105は、採掘作業時等において車体のバランスをとるために、旋回台103の後方に設けられている。
【0023】
機器室106は、カウンタウェイト105に隣接する位置に配置される。機器室106内部には、図3に示すように、エンジン2、発電機モータ1、油圧ポンプ3を軸方向において一体化したエンジンユニット4などを収納するエンジンルーム110を有している。エンジンルーム110は、開閉可能なエンジンフード114によって覆われている。機器室106は、図示しない作動油タンク、エンジンルーム110とキャブ108との間に設けられた仕切り部材、車両の左右後部側面に設けられた開閉カバー、カウンタウェイト105、エンジンフード114などによって囲まれた空間となる。機器室106内には、エンジン2、発電機モータ1、及び油圧ポンプ3が、それぞれカウンタウェイト105に沿って並設される。
【0024】
車体部107は、作業機104の後方に配置される。車体部107は、図示しない燃料タンク、作動油タンク、及び操作弁などを収容する。
【0025】
キャブ108は、ハイブリッド油圧ショベル101のオペレータが昇降する室内空間を有する。キャブ108は、作業機104の先端部を見通せるように、旋回台103上に配置された作業機104の側方となる左側前部に配置されている。
【0026】
[エンジンユニット]
図2は、エンジンユニット4の斜視図である。また、図3は、エンジンユニット4の正面図である。また、図4は、エンジンユニット4の左側面図である。また、図5は、エンジンユニット4の平面図である。エンジンユニット4は、上述したように、エンジンルーム110内に収納される。以下、図2図5を用いて説明するが、主に図3を中心に説明する。図3に示すように、エンジンユニット4は、発電機モータ1、エンジン2、油圧ポンプ3、及びDOC装置5などを有する。発電機モータ1は、エンジン2と油圧ポンプ3との間に配置される。発電機モータ1は、エンジン2の出力軸と油圧ポンプ3の入力軸とに接続される。発電機モータ1の上部には、ブラケット6を介してDOC装置5が搭載される。ブラケット6は、高温状態となるDOC装置5を、発電機モータ1から上方に離隔配置させる機能を有する。エンジンユニット4は、図2図4図5にも示すように、発電機モータ1の左右側方に設けたマウントM1及びエンジン2の左右側方に設けたマウントM2による4点で車体フレームに支持され、エンジンルーム110内に収納される。
【0027】
[発電機モータ]
発電機モータ1は、3相12極のSR(switched reluctance)モータである。発電機モータ1は、円環状のステータの内周側にロータが挿入される。円環状のステータの突起にはコイルが巻回される。発電機モータ1は、発電機モータハウジング11によって保護され、発電機モータハウジング11の内側にステータが装着される。
【0028】
発電機モータ1は、発電機モータハウジング11の下部に、冷却及び潤滑のための冷却油を溜めておく油溜め部12を有する。また、発電機モータ1は、発電機モータハウジング11の下部で油圧ポンプ3側にオイルクーラ13を有する。発電機モータ1は、コイルの温度上昇による発電機モータ1の劣化を防ぐため、油溜め部12の冷却油をオイルクーラ13によって冷却し、この冷却油を、冷却油配管14を介して発電機モータハウジング11の上部から発電機モータハウジング11内に注入する。
【0029】
[エンジン]
エンジン2は、ディーゼルエンジンである。エンジン2は、EGRクーラ21、可変ターボ過給機を有する。可変ターボ過給機の排気タービン22とDOC装置5とは、排気取入配管9を介して接続される。排気取入配管9は、DOC装置5が発電機モータ1から離隔配置され、かつ、DOC装置5の端部下方から排気ガスを供給する構造であることから、下方に屈曲した配管となっている。また、排気取入配管9の排気タービン22側は、蛇腹配管9aを用いている。これは、排気タービン22からDOC装置5の端部下方までの距離が長くなるため、振動によって配管強度が保てない場合があるからである。このため、一部、蛇腹配管9aとすることによって、排気取入配管9に対する振動を吸収しやすくしている。この結果、排気取入配管9の耐振性を向上させることができる。
【0030】
[油圧ポンプ]
油圧ポンプ3は、作業機104などに圧油を供給するポンプである。また、油圧ポンプ3には、オイルフィルタ31が配置される。オイルフィルタ31は、エンジン2の潤滑に用いるエンジンオイルの汚れを除去する。
【0031】
[DOC装置]
DOC装置5は、コーティングされた酸化触媒の作用によって400〜500℃以上の高温となる。DOC装置5は、排ガス中の未燃焼ガスを酸化する。未燃焼ガスは、主に炭化水素HC、一酸化炭素CO、窒素酸化物NOxなどである。
【0032】
上述したように、ブラケット6は、DOC装置5を、発電機モータ1から上方に離隔配置する。ブラケット6は、下部に、発電機モータハウジング11上部に固定される平面を有する。また、ブラケット6は、上部に、円柱状のDOC装置5の側面を当接させ、DOC装置5の側面の外径形状にならうような凹状の受け部を有する。
【0033】
受け部に当接配置されたDOC装置5は、図2に示すように、2本のワイヤー51によってブラケット6に固定される。また、DOC装置5の上部には、保護部材52がDOC装置5を覆うように設けられる。この保護部材52は、DOC装置5周りの放熱性を向上させるために複数の抜き孔が設けられており、ブラケット6の上部に固定される。
【0034】
隔壁ブラケット7は、発電機モータハウジング11の油圧ポンプ3側の上部側部と、ブラケット6の油圧ポンプ3側下部とに取り付けられ、油圧ポンプ3側とエンジン1側とを隔てる。このため、隔壁ブラケット7は、油圧ポンプ3側の油圧系統が失陥して油が飛散しても、エンジン2などの高温機器への飛散を防止する機能を有する。また、隔壁ブラケット7は、発電機モータハウジング11上部の狭い回転中心軸方向の幅を広げ、ブラケット6の支持強度を増大させる機能を有する。
【0035】
ブラケット6の側部には、配管支持ブラケット8が設けられる。配管支持ブラケット8は、排気取入配管9を支持する。DOC装置5が発電機モータ1の上部に離隔配置されて排気取入配管9が長くなったため、配管支持ブラケット8は、排気取入配管9の取付強度を補強する。
【0036】
[発電機モータへのDOC装置搭載構造]
図6は、油圧ポンプ3側からみたDOC装置搭載構造の分解斜視図である。また、図7は、エンジン2側からみたDOC装置搭載構造の分解斜視図である。図6及び図7に示すように、発電機モータハウジング11の油圧ポンプ3側の上部側部には、隔壁ブラケット7が取り付けられる。発電機モータハウジング11の上部外周の油圧ポンプ3側には、4つのネジ穴付き管筒15が外周に沿うように形成されている。隔壁ブラケット7は、発電機モータハウジング11の側方から4つのネジ穴付き管筒15に向けて4本のボルトを締結することによって固定される。隔壁ブラケット7を発電機モータハウジング11に取り付ける際、ネジ穴付き管筒15を用いているので、ネジ穴径及びボルト径を大きくすることができる。この結果、隔壁ブラケット7の発電機モータハウジング11への取付強度を大きくすることができる。
【0037】
一方、発電機モータハウジング11の上部には、2つの立設されたネジ穴付きボス16が所定の距離、離間して形成されている。ネジ穴付きボス16には、それぞれ2つのネジ穴が形成され、合計4つのネジ穴を有する。ブラケット6の発電機モータハウジング11への固定は、このネジ穴付きボス16が形成する上端平面に対して、ブラケット6の底板平面を当接させ、4つのネジ穴に対してボルト締めすることによって行われる。
【0038】
ここで、ネジ穴付きボス16は、発電機モータハウジング11上部で互いに離間して立設されているため、ネジ穴付きボス16間に空隙が生じる。すなわち、ブラケット6と発電機モータハウジング11上部との間に熱放出のための空間ができ、空冷が可能となる。したがって、上部に搭載される高温のDOC装置5からの発電機モータ1への熱伝導が小さくなる。
【0039】
なお、隔壁ブラケット7は、断面がL字形状であり、発電機モータハウジング11に固定された状態で、上部に取付平面が形成される。この取付平面は、このネジ穴付きボス16が形成する上端平面と同一平面であり、油圧ポンプ3側に形成される。したがって、ブラケット6の取付平面は、発電機モータハウジング11の回転中心軸方向の幅を超えて、広くなる。この結果、ブラケット6自体の強度を増すことが可能となる。なお、ブラケット6の固定は、ネジ穴付きボス16に対するボルト締めのみでなく、隔壁ブラケット7の取付平面に対して6箇所のボルト締めがなされる。
【0040】
図8に示すように、ネジ穴付きボス16の基部には、冷却油配管14が接続される冷却油取入口14aを含む冷却油路14bが形成される。ここで、ネジ穴付きボス16のネジ穴16aは、冷却油路14bに到達しない深さとなっている。したがって、ネジ穴付きボス16のネジ穴16aと冷却油路14bとは干渉しない。このため、ネジ穴16aの径を大きくすることができ、ブラケット6の発電機モータハウジング11上部への取付強度を大きくすることができる。また、ネジ穴付きボス16のネジ穴16aと冷却油路14bとは、上下方向に配置されるため、発電機モータハウジング11の回転中心軸方向の幅を広げる必要がない。
【0041】
ブラケット6の側部であって、排気取入配管9側には、排気取入配管9を支持する配管支持ブラケット8が設けられている。配管支持ブラケット8は、ブラケット6側に配置される第1ブラケット8aと排気取入配管9側に配置される第2ブラケット8bとを有する。排気取入配管9には、下方に向いた垂直フランジ9bが設けられている。この垂直フランジ9bを第2ブラケット8bにボルト締めすることによって、排気取入配管9がブラケット6に固定される。
【0042】
DOC装置5の円柱側面は、ブラケット6の受け部6aに当接する。その後、図3に示した2つのワイヤー51の各両端部をブラケット6に取り付けることによって、DOC装置5をブラケット6に固定する。
【0043】
この実施の形態では、発電機モータ1の上部に、ブラケット6を介して高温のDOC装置5を離隔配置している。この結果、DOC装置5から発電機モータ1への熱伝導を小さくでき、発電機モータ1の冷却機能に影響を及ぼさない。また、ネジ穴付きボス16間に形成される空間によって、DOC装置5から発電機モータ1への熱伝導をさらに小さくすることができる。
【0044】
また、この実施の形態では、ネジ穴付きボス16及び隔壁ブラケット7を用いてブラケット6を取り付けているので、ブラケット6の取付強度を大きくすることができる。また、ブラケット6の取付面積も大きくなるので、ブラケット6自体の強度も大きくすることができる。この結果、発電機モータ1の冷却機能に影響を与えずに、重量の大きいDOC装置5の取付強度を大きくすることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 発電機モータ
2 エンジン
3 油圧ポンプ
4 エンジンユニット
5 DOC装置
6 ブラケット
6a 受け部
7 隔壁ブラケット
8 配管支持ブラケット
8a 第1ブラケット
8b 第2ブラケット
9 排気取入配管
9a 蛇腹配管
9b 垂直フランジ
11 発電機モータハウジング
12 油溜め部
13 オイルクーラ
14 冷却油配管
14a 冷却油取入口
14b 冷却油路
15 ネジ穴付き管筒
16 ネジ穴付きボス
16a ネジ穴
21 EGRクーラ
22 排気タービン
31 オイルフィルタ
51 ワイヤー
52 保護部材
M1,M2 マウント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8