(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャップに連結されるバッグバルブであって、前記リザーバ内への流体の流れを可能にし、且つ前記バッグバルブを通って前記リザーバから出る流れを阻止するバッグバルブをさらに備える、請求項1に記載の流体ディスペンサ。
前記流体継手部分を通る前記流体源からの流体の流れは、前記流体継手部分の前記部分的に開いた位置で阻止され、流体は前記流体継手部分から流出することが可能である、請求項3に記載の流体ディスペンサ。
前記第1の止め部及び前記第2の止め部の間の少なくとも1つの中間の場所において、前記第2の方向への前記ピストンの移動を選択的に阻止するように移動可能である歯止めをさらに備える、請求項5に記載の流体ディスペンサ。
前記歯止めは、前記第1の止め部及び前記第3の止め部の間の少なくとも1つの中間の場所において、前記第2の方向への前記ピストンの移動も選択的に阻止する、請求項6に記載の流体ディスペンサ。
前記ピストンの移動は、前記ピストンが前記第1の止め部、前記第2の止め部及び前記第3の止め部に達すると反転可能であり、前記第1の止め部、前記第2の止め部及び前記第3の止め部の中間の位置範囲では反転可能ではない、請求項6に記載の流体ディスペンサ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のいかなる実施形態も詳細に説明する前に、本発明はその用途において、以下の説明に記載されているか又は添付図面に示されている構成要素の構成及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。また、本明細書で使用される語法及び用語は、説明のためのものであり、限定するものとみなされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む」、「備える」、又は「有する」及びそれらの変形形の使用は、その後に列挙される要素(item)とそれらの要素の均等物と追加の要素とを包含するように意図されている。別途指定又は限定されない限り、用語「取り付けられる」、「接続される」、「支持される」及び「連結(結合)される」、並びにそれらの変形形は、広範に使用され、直接及び間接の両方の取り付け、接続、支持及び連結を包含する。さらに、「接続される」及び「連結される」は物理的又は機械的な接続又は連結に限定されない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による流体ディスペンサ10を示す。流体ディスペンサ10は、ボトル15と、ピストン35を有するポンプ20とを含む。幾つかの実施形態では、流体供給装置10はまた、ハンドル25、及び/又は
図1〜
図4に一例として示すような任意の所望の形状である注ぎ口30を含む。
図1に示される流体ディスペンサはまた、ピストン35の作動時に供給される流体の量を選択するためのユーザ操作可能な制御部40を含む。本発明の他の実施形態は、必ずしもユーザ操作可能な制御部40を有する必要はないが、そのような制御部は、以下でより詳細に説明するように、流体ディスペンサ10の自由度を高める。
【0012】
図面に示されている他の流体ディスペンサ10と同様に、
図1〜
図4に示されている流体ディスペンサ10は持ち運び可能であり、或る場所で流体を供給する必要に応じて、場所から場所へ移動可能であることが意図される。流体ディスペンサ10はまた、誤った配置若しくは盗難を防止し、且つ/又は供給動作のための中心にある特定された制御場所を提供するために、壁のラック又は補充ステーションに取り付けることができる。ディスペンサ10は、米国特許第5,827,486号、同第5,908,l43号及び同第6,568,438号に記載されているディスペンサの特徴のいずれも有することができ、これらの全内容は、これらが流体ディスペンサ、流体ディスペンサ構成要素、及び流体ディスペンサを取り付けることができる方法に関する限り、参照によって本明細書に援用される。
【0013】
図1〜
図4に示される流体ディスペンサ10は、ポンプ20のピストン35を第1の方向へ作動させることによってボトル15内部から流体を引き出すと共に、ピストン35を第2の方向へ作動させることによって特定量の流体(すなわち所定の、計量された、又は供与量)を注ぎ口30を通して供給するように動作可能である。例えば洗浄化学薬品、殺菌剤、床及び他の表面の処理流体、食用流体、ボディースプレー、油、冷却剤、並びに他の自動車、熱交換及び/又は潤滑用の流体、化学添加物、塗料、着色剤等の、任意のタイプの流体を流体ディスペンサ10内に保持すると共にここから供給することができる。
【0014】
多くの用途では、ボトル15の内部へのアクセスは、(ボトル15の補充目的であれボトル15内の流体へのアクセス目的であれ)望ましくない。また、多くの用途では、ボトル15を取り外して同じか又は異なるタイプの別のボトルと交換することができることは望ましくない。実際には、ボトル15の使用寿命に安全マージンを加えてポンプ20を設計することによって、ポンプ20は寿命が有限となり最終的には故障することになり、ポンプ20の潜在的な危険、及び使用を失敗するというユーザの不満を防ぐことが可能である。したがって、幾つかの実施形態では、ポンプ20は、ボトル15に取り外し不能に接続される。幾つかの実施形態では、この接続は流体密であり、例えばスピン溶接、振動溶接若しくは任意の他の方法の溶接、接着剤若しくは粘着性結合剤、歯によるか、据え込み若しくは不可逆的なねじ込みロック係合等による解放不能な機械的接続、又はこれらの組合せ及び他のタイプの解放不能な接続による、多くの異なる方法で確立することができる。ポンプ20とボトル15とのこれら及び他のタイプの解放不能な接続のいずれもが可能であり、ボトル15の一部(例えば首部、周囲リップ、又はボトル15の開口に隣接するか若しくはこれを画定する他のフィッティング若しくは特徴部)と、ポンプ20の一部(例えばキャップ、カバー、管、シャント、又はポンプ20の他のフィッティング若しくは特徴部)との間に画定することができる。もっぱら例として、
図1〜
図4に示される解放不能なフィッティングは、そのボトルとポンプとの接続及び接続方法の教示に関して参照によって本明細書に援用される米国特許第6,772,914号に詳細に説明され示されている。これに関して、雌ねじ14を有する図示のキャップ12が、雄ねじ18を有するボトル15の首部16にねじ込まれる(但し、雌ねじ14/雄ねじ18の位置は、他の実施形態では逆であってもよい)。図示の実施形態では、キャップ12はポンプ本体22の一部の内部に受容され、キャップ12をそこに締め付けるためにポンプ本体22及びボトル15に対して回転することができる。他の実施形態では、ポンプ20は、例えば流体密である可逆的なねじ接続、スナップ嵌め接続等の任意の方法でボトル15に解放可能に接続される。
【0015】
ボトル15及びポンプ20(並びに以下でより詳細に説明されるポンプ構成要素)は、任意の弾性材料、又は例えばプラスチック、エラストマー、繊維ガラス、複合材料、アルミニウム、鋼又は他の金属等の材料の組合せから作製することができる。また、ボトル15及びポンプ20は、射出成形、ブロー成形、回転成形、鋳込み、機械、打ち抜き又は他の好適な製造プロセスによって形成することができる。幾つかの実施形態では、材料(複数可)は、軽量であり、且つ/又はディスペンサ10内に保持されていると共にここから供給される複数のタイプの流体(複数可)への暴露に対して耐食性であるように選択される。ボトル15は、任意の所望の形状を有することができ、幾つかの実施形態では、ボトル15が水平面上に実質的に直立することを可能にするような形状である。もっぱら例として、図示のボトル15は概ね立方体の形状であり、底面の4つの角部それぞれに球状部を有する。しかし、その代わりに、所望に応じてボトルの他の形状、材料及び構成を使用することができる。他の図示していない実施形態では、袋、パウチ又は他の可撓性容器が流体を収容し、袋の構造的な支持を提供することができる箱又は他の容器内に少なくとも部分的に収容されるように、ボトル15の代わりにバッグインボックスの構成が用いられる。バッグインボックスの構成は当該技術分野において既知であるため、本明細書ではより詳細には説明しない。
【0016】
上述したように、
図1〜
図4に示されるディスペンサ10は、ユーザがディスペンサ10を持ち上げるか又は保持することを可能にするハンドル25を含む。図示のハンドル25は、ポンプ20から概ね半径方向外方に延び、ユーザがディスペンサ10を持ち上げているか又は搬送している間に手がハンドル25から滑ることを阻止するように下方へ湾曲している端部を含む。しかし、他の実施形態では、ハンドル25は、フック、ループ又は他の湾曲した形状、ポンプ20に対して任意の角度で延びる実質的に平坦な形状等を含む、任意の他の所望の形状を有することができる。幾つかの代替的なハンドルの実施形態が
図23〜
図26及び
図29〜
図32に示されており、これらは全て(
図1〜
図4に示されるものも含めて)、本明細書に記載され且つ/又は示されている流体ディスペンサの実施形態のいずれとも一緒に使用することができる。ハンドル25は、例えばポンプ本体22と一体であるものとしてポンプ20の一体部分として含まれることができる。代替的には、ハンドル25は、例えば溶接、はんだ付け若しくはろう付け、接着剤若しくは粘着性結合剤、1つ又は複数のねじ、釘、ピン、留め金、支柱、クランプ若しくは他の締結具、ハンドル25とポンプ20との相互係合要素(例えばねじ接続、相互係合フィンガ、スナップ特徴部、若しくは他の嵌合部品)等による任意の方法で、ポンプ20(例えばポンプ本体22)に永久的又は解放可能に取り付けられる別個の部品であり得る。他の図示しない実施形態では、ハンドル25は、ボトル15によって画定されるか若しくはこれに接続され、又は、ボトル及びポンプ20の両方によって画定されるか若しくはこれらに接続される。
【0017】
図1〜
図4に示されている実施形態を引き続き参照すると、注ぎ口30は、ポンプ20から離れるように半径方向に延び、概ね下向きの方向に延びるような形状である。ハンドル25のように、注ぎ口30は、ポンプ本体20と一体形成することができるか、又は(上述したハンドルの接続タイプのいずれも含む)任意の好適な方法でポンプ本体20に取り付けられる別個の構成要素とすることができる。注ぎ口30は、(以下でより詳細に説明する)ポンプチャンバ24から流体を受け取る導管45と流体連通している。導管45は任意の長さを有することができ、この機能を行うのに好適な任意の方向へ延びることができる。例えば
図1〜
図4に示されている実施形態では、導管45はポンプチャンバ24の底部から注ぎ口30まで延び、一方で他の実施形態では、導管45は任意の他の場所からポンプチャンバ24に沿って注ぎ口30まで延びる。幾つかの場合に、ポンプチャンバ24の底部まで延びてそこに接続されるポンプ導管は、ポンプ20の作動時に供給される流体の品質に関してより高度の制御を提供することができる。導管45は、注ぎ口30と、ポンプチャンバ24を少なくとも部分的に画定するポンプシリンダ85とに接続される1つ又は複数の管及びフィッティングによって画定することができるか、又はポンプ20の別の部分(例えばポンプシリンダ85の一部)によって全体的若しくは部分的に画定することができる。
【0018】
図1〜
図4に示されている実施形態のポンプ20は、中にピストン35を受容する開口50を含む。ピストン35は、ボトル15に対して移動可能であり(例えばボトル15に出入り可能である)、ピストン35と、中でピストン35が移動するポンプシリンダ85との間の漏れのない関係を確実にするために、ピストンシール55によってポンプチャンバ24に対してシールされる。したがって、ピストン35が
図1〜
図4の上方向に移動するにつれて、ピストンシール55はポンプシリンダ85内に真空力を生成し、ボトル15内からの流体をポンプシリンダ85内へ(例えば幾つかの実施形態では管42又は他の導管によって)引き込む。また、次いでピストン35が
図1〜
図4の下方向に移動するにつれて、ピストンシール55はポンプシリンダ85内に大きい流体圧力を生成し、流体をポンプシリンダ85から導管45及び注ぎ口30を通して吐出させる。幾つかの実施形態では、ピストン35は、ばね60又は他の付勢要素によって外方に(すなわち
図1〜
図4では上方に)付勢される。図示の実施形態では、ピストン35をボトル15から外方に付勢するためにコイルばね60が設けられる。他の実施形態では、同様の付勢力を提供するために、コイルばねの両端をポンプシリンダの上部及びピストン35の底部に取り付けできる。さらに他の実施形態では、同じ機能を行うために、シール及び加圧されているチャンバを、ピストン35に付勢力を加えるように位置決めすることができる。代替的には、そのようなばね又は他の付勢機構を使用することなくピストン35を付勢し、この場合、ユーザがピストン35を外方へ移動させることができる。
【0019】
幾つかの実施形態では、ポンプの作動(すなわちピストン35の移動)によって供給される流体の量は、少なくとも部分的にピストン35の移動量に応じて変わる。例えば、
図1〜
図4に示されている実施形態においてより多いか又は少ない量の流体を供給チャンバ24から供給するには、ピストン35をそれぞれより多いか又は少ない量だけ上方及び下方に移動させる。したがって、流体の量は、ポンプシリンダ85に対するピストン35の移動量を制限するか又は他の方法で制御することによって制御することができる。この機能は、ピストン35と、ポンプ20の1つ又は複数の他の部分との間の移動可能な接続によって行うことができる。幾つかの実施形態では、この移動可能な接続は、ポンプ20の隣接する部分にある1つ又は複数の開口(例えば溝、スロット、チャネル、細長いリセス等)に沿って移動可能なピストン35の1つ又は複数の突起(例えばピン、支柱、バンプ、壁等)を含む。幾つかの実施形態では、この移動可能な接続は、さらに又はそれに代えて、ポンプ20の隣接する部分の1つ又は複数の突起(例えばピン、支柱、バンプ、壁等)が中で移動するピストン35の1つ又は複数の開口(例えば溝、スロット、チャネル、細長いリセス等)を含む。
【0020】
例えば、また
図1〜
図4に示されている実施形態を再び参照すると、ピストン35には、ポンプ20の隣接する部分に位置する突起61が中を進む2つの軸方向に延びる開口62、63が設けられる。この実施形態では、突起61は、ピストン35を囲むカラー26上に位置する。カラー26は、ポンプ本体22と一体形成されるか、又はこれに任意の好適な方法で接続される別個の部品である。他の実施形態では、突起61は、ピストン35に隣接するポンプ20の別の部分に位置する(例えばピストンを必ずしも囲むわけではない壁、開口50の別の内面等から延びる)。ピストン35をポンプ20の残りの部分内へ容易に組み付けることを可能にするために、
図1〜
図4の実施形態に示される突起61は、ポンプ本体22の可撓性部分に位置する。特に、カラー26は、突起61が延びるカンチレバーをその間に画定する2つの開口28(
図3を参照)を含む。代替的には、突起61は、このためにポンプ本体22の任意の他の半可撓性部分から延びることができる。
【0021】
図1〜
図4の実施形態の突起61は、ピストン35の軸方向に延びる開口62、63内に係合すると共にこれらの中に延びるように位置決めされる。第1の開口62は、ピストン35が、突起61に対する第1の開口62の移動によって少なくとも一部決定される第1の距離を移動することを可能にする。第2の開口63は、ピストン35が、突起61に対する第2の開口63の移動によって少なくとも一部決定される第2の距離を移動することを可能にする。第2の距離は、第2の開口63が第1の開口62よりも長いことに起因して第1の距離よりも長い。各開口62、63は、突起61がピストン35のさらなる後退を防止する少なくとも1つの下限部(limit)又は止め部(stop)を有する。幾つかの実施形態では、開口62、63のいずれか又は両方は、ピストン35のさらなる押下を防止する上限部又は止め部を有する。
【0022】
図3に最良に示すように、ポンプ20のピストン35は、それ自身の軸32を中心に回転可能であり、したがってポンプ20の残りの部分(例えばカラー26、ポンプ本体22及びポンプシリンダ85)に対して異なる外周位置までユーザが捻ることができる。このように、第1の開口62及び第2の開口63と突起61との位置関係は、突起61を開口62、63の所望のものと位置合わせするか又は実質的に位置合わせすることができるように変えることができる。この位置合わせは、2つの開口62、63が合流する、
図1〜
図4に示されるピストン35の上部等、ピストン35に沿う1つ又は複数の位置で行うことができる。
【0023】
幾つかの実施形態では、ピストン35の開口62、63の1つ又は複数は、ピストン35の供給方向(すなわち
図1〜
図4に示されている実施形態では下方向)への移動を妨げる部分36を有する。ピストン35は、突起61がこのロック部分36に位置する位置まで回転することができるため、上述したように、ピストン35が移動して流体を供給することを防止する。これら及び他の実施形態では、このロック部分36は、供給方向とは反対の方向(すなわち
図1〜
図4に示されている実施形態では上方向)へのピストン35の移動を防止するように位置する。したがってピストン35は、そのような実施形態では、突起61がこのロック位置に位置する位置まで回転することができるため、ピストン35が流体をポンプシリンダ85内へ引き込むように移動することを防止する。この第2のタイプのロック部分36を用いて、例えば出荷又は保管中にポンプ20をコンパクトな状態に保持することができる。さらに、開口62、63の上部セクション間に収束角を形成することができ、それによって、ピストン35を、ポンプ動作の第1のセクションにある中央の角度位置まで自然に戻らせ、ポンプ20の各通常動作の後に、突起61がロック部分36と位置合わせされるようにする。この位置合わせによって、使用後にポンプ20を保管位置にあるままにし、ユーザに各供給動作に必要な用量サイズを意識的に選択させることを促し、且つ次の供給動作においてユーザが所望しない呼び水レベルまでポンプ20が(供給後に)補充されることを防止する。
【0024】
ユーザは、ピストン35が供給すべき流体の量を供給するように適切な距離を移動する、突起と開口との位置関係に対応する所望の回転設定までピストン35を捻ることによって、ディスペンサ10から供給すべき流体の量を設定することができる。幾つかの実施形態では、ポンプ20は、ピストン35のどの外周位置がどの流体供給量(すなわち対応する突起及び開口の組合せ)に対応するかを示す1つ又は複数の指示部を含む。これらの指示部は、英数字でなくてもよいか(例えば記号又は図形)、及び/又は英数字であってもよく、幾つかの実施形態では、ピストン35のユーザ操作可能な制御部40、及び/又はピストン35に隣接するカラー26、注ぎ口30若しくはポンプ本体22に位置する。例えば、
図1〜
図4に示されるユーザ操作可能な制御部40は、表示34を上部に有するノブを画定する。幾つかの実施形態では、表示34は、流体を供給する容器、レセプタクル、表面又は他の場所のタイプを表し、したがって、そのような用途に推奨されるか若しくは通常使用される流体の量、及び/又はピストン35の各回転位置に関して供給される流体の相対的なサイズを表し得る。例えば、
図1〜
図4に示されるピストン35は3つの表示、ピストン35の第1の開口62に対応するスプレーボトルの形状の第1の指示部、ピストン35の第2の開口63に対応するバケットの形状の第2の指示部、並びに第1の開口62及び第2の開口63間のロック部分36に対応する南京錠の形状の第3の指示部、を有する。
【0025】
図1〜
図4に示されるピストン35は、時計回り方向に回転して突起61と第1の開口62とを位置合わせさせる。ピストン35は、反時計回りの矢印A2の方向に回転して、
図3に示されるように突起61と第2の開口63とを位置合わせさせる。
【0026】
異なるタイプの(すなわち量の)流体を供給するためのピストン35の回転位置は、少なくとも部分的にピストン35の開口62、63の場所によって決まるため、表示34の外周位置も、少なくとも部分的に開口62、63の場所によって決まる。
【0027】
図1〜
図4に示されるポンプ20は、ピストン35の2つの異なる回転位置(したがって2つの異なるピストン開口62、63に対する突起61の位置関係)に基づいて、2つの異なる所定量の流体を供給する。しかし、ピストン35は、ピストン35の作動時に供給される流体の異なる所定の量に対応する任意の数の異なる長さを有する任意の数の異なる開口62、63を有することができる。そのような開口62、63は、任意の所望の回転位置に配置することができ、異なる所定量の流体を供給するために任意の相対的な長さを有することができる。
【0028】
幾つかの実施形態では、ピストン35の開口62、63は、ピストン35に成形、鋳込み又は機械加工等することによって、ピストン35と一体形成される。しかし、他の実施形態では、開口62、63は、ピストン35に永久的又は解放可能に取り付けることができるピストン35の別個の構成要素64に画定される。そのように、単に所望の構成要素64を選択して取り付けることによって2つ以上の異なるタイプのピストン35を提供することができるため、ピストン35の異なる供給量及び回転位置に対応する異なる数の開口、異なる開口長さ、並びに/又は異なる開口位置を有するピストン35が提供される。開口62、63を画定するピストン構成要素64を選択又は交換することによりピストン35及び結果として生じる供給特性を変えることができることによって、流体ディスペンサ10の異なる流体及び用途への適合性をかなり高めることができる。そのような実施形態では、表示34を有するポンプ20の部分(複数可)(例えばユーザ操作可能な制御部40又はピストン35の他の部分、カラー26等)を、選択又は交換される構成要素64に対応するように選択又は交換することができることに留意されたい。
【0029】
そのような別個のピストン構成要素64の一例は、
図3及び
図4に示されるようなプレートである。上述のように、幾つかの実施形態では、ユーザが特定の化学薬品及び用途のために供給される流体量の異なる組合せを選択することができるように、複数の異なるプレートをピストン35上で交換可能に用いることができる。
【0030】
図1〜
図4に示されるポンプ20は、上述したように開口62、63に嵌まる(riding with)1つの突起61を有する。しかし、ピストン35は、任意の他の数の開口62、63内へ移動可能な任意の数のさらなる突起61を有することができ、この場合、2つ以上の突起61が協働して、上述した方法と同様の方法でピストン35の可能な移動の量を画定することができることに留意されたい。
【0031】
また、幾つかの実施形態では、ピストン35のフルストロークで単一のショットサイズのみを供給することができる流体ディスペンサをもたらすためには、単一の開口62、63のみが設けられることに留意されたい。
【0032】
図1〜
図4に示されている実施形態を引き続き参照すると、ポンプ20は2つの一方向弁37、38を有する。各弁37、38はボール弁であるが、僧帽弁(mitril valve)、ダックビル弁、アンブレラ弁又は任意の他のタイプの一方向弁を所望に応じて代わりに使用してもよい。第1の弁37は、(例えば流体を流体チャンバ24から供給するためにポンプ20を作動するときに)流体チャンバ24からボトル15へ戻る流体の逆流を防止し、ポンプシリンダ85の端を少なくとも部分的に画定する弁プレートに接続するか又はこれに着座することができる。第2の弁38は、(例えば流体をボトル15から流体チャンバ24へ引き込むためにポンプ20を作動するときに)空気が流体チャンバ24内へ引き込まれることを防止し、上述した弁プレートに接続するか若しくはこれに着座することができるか、又は所望に応じて導管45若しくは注ぎ口30に位置することができる。
【0033】
図5〜
図8Aは、本発明による流体ディスペンサ110の別の実施形態を示す。この実施形態は、
図1〜
図4と関連して上述した流体ディスペンサ10の実施形態と同じ構造を多く採用していると共にそれらと同じ特性を多く有している。したがって、以下の説明は、
図1〜
図4と関連して上述した実施形態とは異なる構造及び特徴に主に焦点を当てる。
図5〜
図8Aに示され、また後述する流体ディスペンサ110の構造及び特徴、並びにこれらの構造及び特徴のあり得る代替形態に関するさらなる情報については、
図1〜
図4と関連する上記説明を参照されたい。
図1〜
図4と関連して上述した実施形態の特徴及び要素に対応する
図5〜
図8Aの実施形態の特徴及び要素には、100番台の参照符号が付してある。
【0034】
図1〜
図4の実施形態と関連して上述したように、幾つかの実施形態では、ピストン135とポンプ120の隣接する部分との移動可能な接続は、ピストン135の1つ又は複数の突起(例えばピン、支柱、バンプ、壁等)を含み、ピストン135の複数の突起は、ポンプ120の隣接する部分にある1つ又は複数の開口(例えば溝、スロット、チャネル、細長いリセス等)に沿って移動可能である。この突起及び開口の配置の例が
図5〜
図8Aに示されている。そのような実施形態では、ピストン135の1つ又は複数の突起165は、ピストン135から半径方向外方に延び、以下でより詳細に説明するように、ポンプ120の隣接する部分にある開口175、180内で移動可能である。例えば、
図5〜
図8Aに示されるピストン135は、ピストン135の底部に近接してピストン135の対向する側に2つの突起165を有する。突起165は、ピストン135と一体形成してもよく、その代わりに、
図1〜
図4の実施形態と関連して上述したハンドル接続の方法を含む任意の好適な方法でピストン135に接続される別個の要素であってもよい。突起165がピストン135に接続される別個の要素である場合、突起165を、ピストン135に別々に接続してもよく、又はそれ自体がピストン135に接続される別個の要素(例えばリング、カラー又は他の要素)によって保持してもよい。
【0035】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数の突起165の位置は、ピストン135に沿うか又はこの周りにある2つ以上の可能な位置から所望に応じて選択することができ、それによって、組立者又はユーザが、ピストン135をピストン移動の異なる量及びタイプに適合することができる。さらに他の実施形態では、
図12A及び
図13Aに最良に示すように、突起165を、ピストン135の周りに位置決めされる別個の構成要素に位置決めしてもよい。
【0036】
ここで
図6を参照すると、図示のポンプ120は、突起165を受容する開口175、180が画定されるインサート170を有する。インサート170は、ポンプ及びボトルの材料並びに製造方法と関連して上述した材料及び方法のいずれかによって作製することができる。インサート170は、任意の数の部品(すなわち単一の部品又は任意の数のさらなる部品)によって画定することができ、図示の実施形態では2つの部品によって画定されている。インサート170は、開口175、180を少なくとも部分的に画定するのに好適な任意のサイズ及び形状を有することができ、図示の実施形態では、インサート170の2つの半体がピストン135を実質的に囲む2部品スリーブである。この2つの部品は、別個のものであってもよく、又は
図1〜
図4の実施形態と関連して上述したハンドル取り付けの方法のいずれかを含む任意の好適な方法で接合することができる。
【0037】
幾つかの実施形態では、インサート170は、ポンプシリンダ185内で自由に回転しないように固定される。これは、ハンドル取り付けに関して
図1〜
図4の実施形態と関連して上述した方法のいずれかでインサート170をポンプシリンダ185に接続することによって達成することができる。しかし、幾つかの実施形態では、インサート170を取り外して交換することが望ましい。したがってそのような実施形態では、そのような取り外し及び交換を可能にする接続方法を使用することができる。例えば、インサート170及びピストンシリンダ185は、依然としてインサートの取り外し及び交換は可能にしつつも、相対回転を防止するためにキー溝による(keyed)又は他の嵌合による係合を有することができる。キー溝による又は他の嵌合による係合によって、異なるバージョン又はサイズのインサート170及びピストンシリンダ185を組み立てる際の自由度及びストック効率性が可能となる。図示の実施形態では、インサート170の突起144はポンプシリンダ185の開口146内に受容されるが、これらの突起144及び開口146の場所は逆にしてもよく、これらの突起144及び開口146の形状及びサイズを変えることができるがなお同じ機能を果たす。
【0038】
図示のインサート170の各半体は、ピストン135に沿って軸方向に延びる開口175、180をそれぞれ一つ含む。スロット状の開口175、180は、ピストン135をインサート170に沿ってガイドするために上述のように突起165を受容する。
図1〜
図4に示されている実施形態における突起65及び開口62、63の関係と同様の方法で、開口175、180は、ピストンチャンバ124内のピストン135の移動を制限することによって、ポンプ120を作動すると供給される流体の量を画定する。開口175、180は、ユーザが、ピストン135の回転位置に基づいて、ピストン135をインサート170に沿って少なくとも2つの異なる長さを移動させることができるように異なる長さを有し得る。幾つかの実施形態では、異なる長さは、ピストン135を作動するとピストンチャンバ124に引き込まれてそこから吐出される流体の異なる量に対応する。
【0039】
ポンプシリンダ185は、
図1〜
図4に示されている実施形態に関して上述した方法のいずれかでボトル(
図5〜
図8Aには図示せず)に接続することができる。
図5〜
図8Aに示されている実施形態では、ポンプシリンダ185は、ポンプシリンダ185の頂部付近に、ピストンシール155及び幾つかの実施形態ではインサート170のシールシート195を受容する、リップ190を有する。この構成では、ピストン135は、静止ピストンシール155と移動ピストン135との間に流体密シールを保持しながら、ポンプシリンダ185内で移動して流体を引き込んでそこから流体を吐出することができる。
【0040】
ピストン135をインサート170及びポンプシリンダ185内の異なる回転位置に捩ることによって、ピストン135が有する突起165が、各開口175、180(開口175、180は、軸方向に延びる長さが異なる各U字の脚部を有する実質的にU字形である)の軸方向に延びる2つの脚部の一方と位置合わせ又は実質的に位置合わせするまで各開口175、180の下方の周方向に延びる部分内に移動することができる。次いで、ピストン135を(上述したように)ユーザが引く且つ/又はばね又は他の付勢要素によって移動させて、突起165が移動する開口の脚部の上限部(複数可)又は止め部(複数可)に突起165が達するまでポンプシリンダ185に流体を引き込むことができる。その後、ピストン135を押下して、突起165を各開口の脚部に下方に戻すことで、ポンプチャンバ124内の流体圧力を増加させるようにすることができる。このようにして、流体は、
図1〜
図4と関連して上述した導管45よりも高い高さでポンプシリンダ185に接続される導管を通じてポンプチャンバ124から吐出される。導管とポンプシリンダとの接続場所は、所望に応じてポンプシリンダ185に沿ったいずれもの箇所とすることができることが理解されるであろう。このため、導管に接続された注ぎ口130を通じて液体が供給される。
【0041】
図5〜
図8Aに示されている実施形態における開口175、180の下方の周方向に延びる部分は、その形状及び場所によってピストン135がポンプシリンダ185に対して上昇することを防止し、それによって、開口175、180のロック部分及びピストン135のロック状態を画定する。開口(複数可)175、180の1つ又は複数の周方向に延びる部分が、開口175、180の長さに沿って任意の他の場所に位置して、ポンプシリンダ185に対するピストン135の異なるロック位置を画定することができることが理解されるであろう。開口175、180のこれらのロック位置のいずれかでは、開口175、180は1つ又は複数のリセスを有することができるか、又は突起165をかかる位置内の所定位置に維持するような形状とすることができる。
【0042】
図5〜
図8Aに示されている実施形態のピストン135はユーザ操作可能な制御部140を有し、この制御部140は、ピストン135と一体であるか又は任意の好適な方法でピストン135に接続することができる。ユーザ操作可能な制御部140は、上述したように、ユーザがピストン135を把持して捩ることでポンプ120の異なる供給量を選択することができる場所を提供する。また、ユーザ操作可能な制御部140は、
図1〜
図4の実施形態に関して上述したように、表示134の場所を提供する。
図5〜
図8Aの実施形態はまた、流体供給表示134がポンプ120の他の箇所(例えば、
図7及び
図8に最良に示すようにユーザ操作可能な制御部140上)に位置することができる方法の例を提供する。
【0043】
図1〜
図4に示されている実施形態と同様に、ピストン135は所望の少なくとも2つの異なる量の流体の供給に対応する2つ以上の異なる回転位置を有することができ、幾つかの実施形態ではロック位置も含む。図示の実施形態では、ピストン135の第1の回転位置は、スプレーボトルに補充するための位置であり、第2の回転位置はバケット又はシンクに補充するための位置であり、第3の回転位置はピストン135を完全に押下された軸方向位置にロックするための位置である。
【0044】
より詳細には、
図7〜
図8Aを参照すると、ピストン135の第1の回転位置P1は各U字形開口175、180の第1の短い脚部と対応することができ、また、ピストン135の第2の位置P2は各U字形開口175、180の長い第2の脚部と対応することができる。ピストン135が回転して突起165を各開口175、180の第1の脚部内で移動させると、ピストン135が回転して突起165を各開口175、180の長い第2の脚部脚部内のより大きな量L2を移動させるよりも少ない量L1のピストン移動が可能となる。
【0045】
図7及び
図7Aは、第1の回転位置P1にあり、インサート170及びポンプシリンダ185内を第1の長さL1だけ上方に移動したピストン135を示す。第1の量の流体が、ピストン135によって先に占められていたポンプチャンバ124の容積を充填する。
図8及び
図8Aは第2の回転位置P2にあり、インサート170及びポンプシリンダ185内を上方に第2の長さL2だけ移動したピストン135を示す。
図7A及び
図8Aに示すように、L2はL1よりも長い。第2の量の流体が、ピストン135によって先に占められていたポンプチャンバ124の容積を充填する。第1の長さL1及び第2の長さL2は製造プロセスの際に又はユーザによって(例えば、以下に説明するようにインサート170を取り外して交換することによって)確定することができる。ピストン135は、第3の位置(ユーザ操作可能な制御部140の錠形の表示に対応する)に回転することもでき、この位置では、ピストン135はインサート170及びポンプシリンダ185に対して軸方向位置に固定される。
【0046】
上述したように、幾つかの実施形態では、インサート170は取り外して交換することができる。このような交換ができることによって、ユーザ又は製造業者が、同じポンプを異なる所定量の流体及び/又はかかる所定の流体量の異なる組合せを供給するように適合させるために異なる数の開口175、180、異なる配置の開口175、180及び異なるタイプの開口175、180(例えば、異なる長さ、形状等を有する開口)を有するインサート170を設置することが可能となる。このような機能は、ディスペンサ110に有意な適合性を付加するが、幾つかの実施形態では、代わりに開口175、180がポンプシリンダ185内に画定される。
【0047】
図9〜
図17Bは、本発明による流体ディスペンサ210の別の実施形態を示す。この実施形態は、
図1〜
図8Aと関連して上述した流体ディスペンサ10、110の実施形態と同じ構造を多く採用していると共にそれらと同じ特性を多く有している。したがって、以下の説明は、
図1〜
図8Aと関連して上述した実施形態とは異なる構造及び特徴に主に焦点を当てる。
図9〜
図17Bに示され、また後述するディスペンサ210の構造及び特徴、並びにこれらの構造及び特徴のあり得る代替形態に関するさらなる情報については、
図1〜
図8Aと関連する上記説明を参照されたい。
図1〜
図8Aと関連して上述した実施形態の特徴及び要素に対応する
図9〜
図17Bの実施形態の特徴及び要素には、200番台の参照符号が付してある。
【0048】
幾つかの実施形態では、ポンプ220によって供給される流体の量は、ピストン235の回転を必要とせずに変えることができる。これに関して、この変更は、ピストン235に対してポンプ220の要素を移動させることで、ピストン235が移動する方法及び/又はピストン235の移動範囲を変えることによってなされ得る。もっぱら例として、
図9〜
図17Bに示すポンプ220はユーザ操作可能な制御部240を含み、これは、該制御部240がピストン235と係合する方法を変えるようにユーザが動かすことができる。より詳細には、制御部240は、ピストン235内の開口275、280に対して出入り可能な2つの突起265を含む。制御部240の第1の位置P4では、第1の突起265が第1の開口275内に受容され、第2の突起265が第2の開口280から係合解除される。(例えば、任意の他の方法で
図9〜
図11の制御部を摺動させるか又は操作することによって)第1の位置P4から半径方向に位置する制御部240の第2の位置P5では、第1の突起265が第1の開口275から係合解除され、また、第2の突起265が第2の開口280内に係合する。開口275、280は、
図1〜
図4の実施形態に示された開口62、63又は
図5〜
図8Aの実施形態における開口162、163と関連して、上述した形態及び形状のいずれかをとることができ又は上述の方法のいずれかで位置決めされることができる。
【0049】
したがって、制御部240が第1の位置P4にある場合、ピストン235は第1の長さL4を移動可能である一方、制御部240が第2の位置P5にある場合、ピストン235はより長い第2の長さL5を移動可能である。表示234は制御部240上に又は制御部240に隣接して設けることができ、ユーザが制御部240の位置及びポンプ220の対応する動作状態を確認することができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、ピストン235の不完全な引き込み及び/又はピストン235の不完全な押下、それに続くピストンの逆移動等、ポンプ220の不完全な作動を防止することが望ましい。
図9〜
図17Bに示すポンプ220及び
図17〜
図17Bに示す代替的なポンプ構成要素(以下に説明する)は、そのような不完全な作動を防止又は阻止するポンプ特徴の例を示す。
【0051】
図9〜
図17Bに示されているポンプ220は、ラチェット機構267を有するピストン235を含む。図示のラチェット機構267はピストン235上に半径方向外方に延びる複数の歯272を含む。幾つかの実施形態では、ピストン235の直径が縮小していると共にピストンに歯のない、ピストン235の長さに沿った1つ又は複数の場所がある。これらの部分は、上述したユーザ操作可能な制御部240の異なる位置に対応し得る。ラチェット機構267はまた歯止め277も含むことができ、この歯止め277は、ピストン235が歯止め277を越えるにつれてピストン235の歯272と係合するように半径方向内方に延びる1つ又は複数のシム278を有する。幾つかの実施形態では、歯止め277はピストン235及びポンプ220の残りの部分に対して所定位置に固定される。また、幾つかの実施形態では、歯止め277は1つ又は複数のシム278がかかる係合のために位置決めされている環状要素であるが、かかる係合のために位置決めされる1つ又は複数のシムを有する任意の他の要素も可能であり、それらの要素は本発明の精神及び範囲内にある。シム278は歯272と係合するように動作可能であり、そのため、シム278は歯2725との接触に応じて屈曲する。シム278は、可撓性の弾性ポリマー又は他の可撓性の弾性材料から作製することができ、ピストン235の歯無し部分と位置合わせされている場合は屈曲しない状態又は実質的に屈曲しない状態でかかる部分内に受容されるような寸法である。
【0052】
図16〜
図16F及び
図17〜
図17Bは、歯付きピストン235が歯止め277を越えて移動する種々の段階を示す。ピストン235が有する歯272(
図16〜
図16Fを参照)は反対方向に向いており、そのため、ピストン235の一方の側の歯272Aは上向きに角度が付いており、また、ピストン235のもう一方の側の歯272Bは下向きに角度が付いている。
図17〜
図17Bの歯272は全て下向きに角度が付いている。
図16〜
図16F及び
図17〜
図17Bの実施形態は、もっぱら例として示されている。歯272の他の配置及び構成が可能であり、本発明の精神及び範囲内にあると考えられることが理解されるであろう。
【0053】
歯止め277のシム278がピストン235の歯のない縮径部分と位置合わせされるか又は実質的に位置合わせされる軸方向の場所にピストン235が移動すると、シム278は
図16、
図16A、
図16E及び
図17Aに示すように曲がっていない状態又は実質的に曲がっていない状態に戻る。しかし、
図16B〜
図16D及び
図17に示すように、ピストン235(及びラチェット機構267)が歯無し縮径部分を越えて引き上げられるにつれて、シム278は歯272と接触することによって屈曲する。ピストン235(及びラチェット機構267)は、シム278が歯272による屈曲から解放されてピストン235の別の歯無し縮径部分に延びることができるようになるまで引き上げ続けることができる。したがって、シム278が屈曲から解放されないうちに(すなわち、ピストン235がシム278とピストン235の別の歯無し縮径部分との位置合わせに対応する位置に十分に移動していないうちに)ユーザがラチェット機構267をシリンダ270、285に押し戻す場合、シム278は歯272A、272Bによって所定位置に保持され、かかる移動に抵抗することになる。したがって、歯272は、不完全な量の流体が流体ディスペンサ210から供給されることを阻止する。しかし、シム278がピストン235の歯無し縮径部分の1つにおいて屈曲から解放された後では、ラチェット機構267の移動方向が反転することができるため、
図16F及び
図17Bに示すようにシム278が歯272に対して反対方向に屈曲する。
【0054】
図16〜
図16Fに示すピストン235が有する反対方向の歯272A、272Bによって、上述のピストンの制限された移動はピストン移動の両方向(すなわち、流体の引き込み及び流体の吐出)において生じる。しかし、ピストン移動の一方向のみ(すなわち、流体の引き込み又は流体の吐出)においてそのようなピストン移動を制限するように一方向のみが尖る(point)ように歯を選択することができることが理解されるであろう。かかる実施形態の一例は
図17〜
図17Bに示す。
【0055】
図1〜
図17Bに示す実施形態のそれぞれでは、図示のポンプ20、120、220のピストン235は作動しているが、ポンプシリンダ85、185、285はボトル15、115、215に対して静止した状態のままである。ピストン35、135、235、ポンプシリンダ85、185、285及びボトル15、115、215間のこのような関係は、流体ディスペンサ10、110、210を棚、床又は他の表面に配置することができ、静止した状態のままとすることができるが、ピストン35、135、235は作動すること、及び、ディスペンサ10、110、210はまた、供与されるスプレーボトル、バケット、シンク又は他のレセプタクルに対して静止した状態のままであることができることで、人間工学性、安全性及び流体供給の精度がより高くなることが可能となることに起因して有意な利点を提示し得る。
【0056】
図18〜
図20は、本発明による流体ディスペンサ310の別の実施形態を示す。この実施形態は、
図1〜
図17Bと関連して上述した流体ディスペンサ10、110、210の実施形態と同じ構造を多く採用していると共にそれらと同じ特性を多く有する。したがって、以下の説明は、
図1〜
図17Bと関連して上述した実施形態とは異なる構造及び特徴に主に焦点を当てる。
図18〜
図20に示され、また後述する流体ディスペンサ310の構造及び特徴、並びにこれらの構造及び特徴のあり得る代替形態に関するさらなる情報については、
図1〜
図17Bと関連する上記説明を参照されたい。
図1〜
図17Bと関連して上述した実施形態の特徴及び要素に対応する
図18〜
図20の実施形態の特徴及び要素には、300番台の参照符号が付してある。
【0057】
図18〜
図20に示されている流体ディスペンサ310は、ポンプ320、注ぎ口330、ポンプ本体322及びボトル315に接続されるキャップ312、並びにポンプ320及び注ぎ口330に接続されるハンドル325を含む。流体ディスペンサ310はまた、ピストンの用量サイズ又は位置を示す表示334(
図18〜
図20では見えない)を含むユーザ操作可能な制御部340を含み得る。幾つかの実施形態では、穿孔ロック補充ポート(puncture lock refill port)を用いて、ユーザが流体ディスペンサ310を任意の回数補充することを可能にすることができる。本発明の実施形態による穿孔ロック補充ポートは
図18〜
図20に示され、全体を348で表されている。
【0058】
図18〜
図20に示されている実施形態における穿孔ロック補充ポート348は、ポンプ320の中空シャフト368上に配置される。
図18は、突出しているシャフト368上に穿孔ロック補充ポート348を挿入することによって流体ディスペンサ310に設けられる穿孔ロック補充ポート348を示す。他の実施形態では、穿孔ロック補充ポート348は、キャップ312上、ポンプ本体322上、又はボトル315上等、流体ディスペンサ310の任意の部分に接続されることができる。穿孔ロック補充ポート348は、本明細書に説明され且つ/又は示されている他の流体ディスペンサの実施形態のいずれかと共に使用することができる。穿孔ロック補充ポート348の流体ディスペンサ310上への設置は、流体ディスペンサ310の製造中、流体ディスペンサ310の製造後であるが市販される前及び/又は流体ディスペンサ310の使用前、又は流体ディスペンサ310の商業的使用の際に行うことができる。
【0059】
図19及び
図20に示す穿孔ロック補充ポート348は、ボトル315又はポンプ本体322に配置されるシール等、流体ディスペンサ310の一部を通じて穿孔するように動作可能な鋭利な先端(sharp point)352を含む。図示の穿孔ロック補充ポート348は、流体ディスペンサ310にセルフタッピングして、穿孔ロック補充ポート348を流体ディスペンサ310に固定して穿孔作用に至らせることができるねじ山351を含む。しかし、他の実施形態では、かかるねじ山は用いられず、その場合では、穿孔ロック補充ポート348が、クリンピングによって、歯付き特徴部へのスナップ嵌合によって、又は任意の他の好適な方法で流体ディスペンサ310の固定位置に保持されることができる。
【0060】
図19及び
図20に示されている穿孔ロック補充ポート348は、設置されると流体ディスペンサ310から外れないように、流体ディスペンサ310と係合するように動作可能な複数の歯353をさらに含む。図示の穿孔ロック補充ポート348は、流体ディスペンサ310に補充するように穿孔ロック補充ポート348に挿入される管又は導管とシール係合する、Oリングシール354等のシールをさらに含む。穿孔ロック補充ポート348はまた、導管又は管がポート348に挿入されていない場合は流体ディスペンサ310から流体が逆流しないように動作可能であると共に、管又は導管がポート348内に挿入されている場合は依然として流体を流すことを可能にする、内部弁(例えばボール弁、内側付勢フラップ等)を有することができる。幾つかの実施形態では、穿孔ロック補充ポート48は、流体ディスペンサ310がひっくり返っている場合であっても漏れを阻止するように動作可能である。
【0061】
図21〜
図28は、本発明による流体ディスペンサ410の別の実施形態を示す。この実施形態は、
図1〜
図20と関連して上述した流体ディスペンサ10、110、210、310の実施形態と同じ構造を多く採用していると共に同じ特性を多く有している。したがって、以下の説明は、
図1〜
図20と関連して上述した実施形態とは異なる構造及び特徴に主に焦点を当てる。
図21〜
図28に示され、また後述する流体ディスペンサ410の構造及び特徴、並びにこれらの構造及び特徴のあり得る代替形態に関するさらなる情報については、
図1〜
図20と関連する上記の説明を参照されたい。
図1〜
図20と関連して上述した実施形態の特徴及び要素に対応する
図21〜
図28の実施形態における特徴及び要素には、400番台の参照符号が付されている。
【0062】
上述したように、幾つかの実施形態では、ユーザが供給すべき流体をボトル415に充填することが望ましい。
図21〜
図28に示す流体ディスペンサ410は、流体源(例えば補充パウチ466又は他の流体リザーバ)と流体ディスペンサ410の間で解放可能な流体接続を通じて充填される。先に
図21及び
図22を参照すると、図示の流体ディスペンサ410は、流体ディスペンサ410と補充パウチ466との間に流体連通を確立する流体継手の部分456、458間の異なる係合段階で示されている。この継手構造は、本明細書に説明され且つ/又は示されている流体ディスペンサの実施形態のいずれかと共に使用することができることに留意されたい。
【0063】
引き続き
図21を参照すると、流体継手456、458は、補充パウチ466と流体ディスペンサ410との間に流体連通が確立されている完全な係合状態で示されているが、
図22では、流体継手部材456、458は、かかる流体連通が確立されていない部分的な係合状態で示されている。図示の流体継手456、458は2つの段階で接続可能且つ接続解除可能である。第1の段階では、流体継手の一方の部分458(例えば
図23に最良に示されるような雄部分458)は、もう一方の部分456(例えば雌部分456)と完全に係合し、カム457が
図21に示すような第1の回転位置にある。第2の段階では、カム457は、継手部分456、458が
図22に示すように互いと少なくとも部分的に係合解除している別の回転位置に回転する。雄継手部分及び雌継手部分を用いる他の実施形態では、雄継手部分及び雌継手部分の場所は
図21〜
図28に示されている実施形態に図示の位置とは逆となり得ることに留意されたい。
【0064】
図示の実施形態における継手部分456、458を接続解除するには、ユーザはカム457を
図21に示す位置から
図22に示す位置に(例えばカム457のレバー部分を押下することによって)回転させ、それによって継手の第1の部分456の表面に対してカム457の一部をカム動作させることで、継手部分456、458を互いに離す。幾つかの実施形態では、その結果として位置が離れることにより、雌継手部分456から雄継手部分458を部分的に係合解除し、継手456、458の付近のいかなる残りの流体も、継手456、458から逃げてユーザ又は周囲環境に垂れ落ちる可能性なく、ディスペンサ410に流出されることを可能にする。次いで、ユーザは、流体ディスペンサ410を完全に分離させるように継手の部分456、458を引き離すことができる。図示の実施形態におけるカム457は流体ディスペンサ410に回転可能に取り付けられて示されているが、他の実施形態では、カム457は補充パウチ466又は他の流体源に関連する流体継手の部分456に、又は流体ディスペンサ410に充填するのに解放可能に接続される任意の他の要素に回転可能に取り付けられる。
【0065】
図21〜
図25に示すように、継手456、458は、流体ディスペンサ410が補充パウチ466と解放可能に係合することを可能にし、それによって、継手456、458が流体ディスペンサ410と完全に係合したときに流体を補充パウチ466から流体ディスペンサ410に送る。図示の補充パウチ466は可撓性バッグであり、そのため、流体が流体ディスペンサ410に移されると補充パウチ466は潰れる。他の非図示の実施形態では、流体源はバッグインボックス、剛性ボトル又は或る量の流体を保持する他の好適な流体リザーバとすることができる。図示の実施形態に示す継手456、458及び補充パウチ466に関するさらなる情報(並びにそれらに関する代替的な実施形態の情報)は、流体継手及び補充パウチに関する限り本明細書に参照により援用される米国特許第5,967,379号に示されている。
【0066】
次に
図23〜
図25を参照すると、図示のポンプ本体422はユーザが把持可能なハンドル425と、カラー426とを含む。ハンドル425は、
図1〜
図20に示されている実施形態に関して上述した形態のいずれかをとることができる。カラー426はピストン435(
図26〜
図28に示されている)と係合し、以下においてより詳細に説明される。
【0067】
幾つかの実施形態では、流体ディスペンサ410には1つ又は複数の開口が設けられ、流体ディスペンサ410に流体が充填されるにつれて、流体ディスペンサ内(例えばボトル415内)の空気又は他のガスが開口を通じて流体ディスペンサ410から出ることができる。したがって、かかる開口(複数可)は通気口として作用し、ボトル415の上部、ポンプ本体422の中といった、流体ディスペンサ410のいかなる場所にも配置することができる。もっぱら例として、
図21〜
図28に示されている実施形態のポンプ本体422には単一の通気口417が配置される。
【0068】
充填作業が行われた後、幾つかの実施形態では、いずれもの通気口に栓をするか又はそれらを閉じること等によって、かかる開口を通じて流体ディスペンサ410から流体が逃げないようにすることが望ましい。
図21〜
図28に示されている実施形態を再び参照すると、栓413がカム457に隣接して突出し、ポンプ本体422の開口417と係合及び係合解除するように移動可能である。幾つかの実施形態では、栓413は流体ディスペンサ(例えばポンプ本体422)に回転可能に接続され、開口417と係合及び係合解除するように回転可能である。例えば、図示の実施形態のカム457及び継手の部分458は、栓413を開口417に挿入するように軸419を中心に枢動可能であり、したがって、流体ディスペンサ410が逆さになった場合でも流体ディスペンサ410から流体がこぼれることを阻止する。幾つかの代替的な実施形態では、開口417は、閉じるように押すことができるか若しくは調整することができる固定栓(図示せず)によって栓をされるか、又はフロート弁によって自動的に閉じることができるが、他の実施形態では開口417は存在しない。
【0069】
栓413は、ポンプ本体422と同じ又は異なる材料から作製することができる。例えば、幾つかの実施形態では、栓413は2ショット成形法(two-shot mold)で作製することができ、それによって、栓413が、ポンプ本体422に接続される(且つ、そこから栓413が延びる)流体フィッティングの残りの部分よりも軟らかく且つ/又はより多く弾性変形可能な材料から成ることで、開口417に改善された流体密シールを提供する。
【0070】
図24は、カム457及び継手部分458が取り外されており、充填動作中に流体が流体ディスペンサ410に流れ込むのに通る開口411が露呈している、ポンプ本体422を示す。
【0071】
次に
図25を参照すると、幾つかの実施形態では、流体ディスペンサ410には、該流体ディスペンサに(例えば補充パウチ466から)入る流体が通過する一方向弁が設けられている。かかる弁の使用により流体ディスペンサ410からの流体の逆流又は逃げを防止することができる。図示の実施形態では、例えばバッグバルブ(bag valve)421がポンプ本体422内の開口411の概ね下側に設けられ、継手426、428と流体連通する。バッグバルブ421は、通常はバッグバルブ421の閉位置に互いに隣接している2つの側部分を有する可撓性ポリマー部材を含み得る。バッグバルブ421は、流体が開口411を通じて流体ディスペンサ410に入ると開くが、他の状態では通常は閉じている。流体ディスペンサ410が逆さになったとしても、流体ディスペンサ410内の流体がバッグバルブ421を押して閉め、漏れを阻止する。
【0072】
さらに
図25を参照すると、幾つかの実施形態では、流体ディスペンサ410には流体ディスペンサの注ぎ口430内に又は流体ディスペンサの注ぎ口430に関連した一方向弁(例えば図示の実施形態では僧帽弁)が設けられる。かかる弁の使用によりディスペンサの注ぎ口430からの流体の垂れ落ちを防止することができ、且つ/又は注ぎ口430を通じて空気が流体ディスペンサ410に入らないようにすることができる。例えば、図示の実施形態における僧帽弁423は、通常は付勢されて閉じているが流体が注ぎ口430を通じて供給されると開くスリットを含む。僧帽弁423に加えて又はその代わりに、網状フォーム等、或る量のフォームを注ぎ口430の端に隣接して位置決めすることができる。網状フォームは、流体を保持して漏れを阻止すると共に流体ディスペンサ410のポンプに呼び水をした状態に保つことができる開口を含む。網状フォームはさらに、僧帽弁423を通る流体を減速することで、僧帽弁423を介して流体が横方向に又は横に逸れて飛び散ることを阻止することができる。網状フォームは、僧帽弁423の代わりに又はこれに隣接して配置されると、注ぎ口430から出る流体の速度をさらに減速することによって、注ぎ口430から流体が横方向に又は横に逸れて飛び散ることを阻止することができる。
【0073】
流体は、(開口411を通じて又は任意の他の方法で)流体ディスペンサ410に入った後、最終的にピストン435によってポンプチャンバ424に引き込まれる。幾つかの実施形態では、流体は導管442を通じてポンプチャンバ424に引き込まれる。導管442は先に説明した実施形態の場合のように実質的に鉛直方向に下方に延び得るが、
図21〜
図28に示されている実施形態における導管442は代わりにポンプシリンダ485から下方に斜めに角度を付けられている。これに関して、本明細書に説明され且つ/又は示される流体ディスペンサの実施形態のいずれかにおいて、流体は実質的に鉛直の導管を通じて又は(水平面に対して)斜め方向に延びる導管を通じてポンプチャンバ424に供給することができることに留意されたい。導管442が斜角で延びるこれらの実施形態では、角度は水平面に対して30度〜90度とすることができる。例えば、1.5Lボトル415を含む実施形態では、導管442は水平面に対して下方に斜めに配向されることができる(例えば
図25を参照)が、5Lボトル415を含む実施形態では、入口442は実質的に鉛直方向に下方に延びることができる。導管442はボトル415の底面に実質的に触れるように角度が付けられていることで、ボトル415から液体のほとんど又は全てを空にすることができる。
【0074】
本発明の他の実施形態の場合のように、ピストン435の上方向の移動により、ポンプチャンバ424内に結果として生じる吸引力によってポンプチャンバ424に流体が引き込まれる。ピストン435が移動する際にこの吸引力を維持することができるように、ピストン435のピストンシール455はポンプシリンダ485に対して流体密シールを提供することができる。ピストンシール455のサイズは流体ディスペンサ410、ポンプシリンダ485、及びピストン435のサイズに従って選択されることができることに留意されたい。例えば、流体ディスペンサがより小型の実施形態(例えば最大約40mLのポンプチャンバ容積を有するポンプを用いる、1.5Lボトルの実施形態)の場合、より大型の流体ディスペンサの実施形態(例えば、最大75mL又はそれ以上のポンプチャンバ容積を有するポンプ)の場合にインサートと共に用いられる大きなピストンシール455に比して、より小さなピストンシール455をライナ(図示しないが
図6及び
図10に示されているインサート170又はインサート270と同様である)内に使用することができる。ライナが先に説明されたように用いられるこれらの実施形態では、ライナは射出成形されることができ、底部及び頂部の両方をシールして確実に漏れなく適切な用量を達成することができる。ライナ及びより小さなピストンシール455をより小さなショットサイズに用いることができ、呼び水の確実性及び用量の精度を上げることができる。ライナはいずれものサイズのボトルとも共に用いることができる。
【0075】
次に
図26を参照すると、示されているピストンシール455は、スナップ嵌合又は他の永久接続若しくは半永久接続によってピストン435に結合される。上述した吸引を生じさせる機能を果たすことの他に、ピストンシール455は搬送中にボトル415からの流体の漏れを阻止することができる。幾つかの実施形態では、ピストンシール455に隣接したピストン435の部分が一方向弁437のボール482と接触すると共にそれを保持して弁座と係合して弁を閉じるようにすることができるか、又はボトル415とポンプチャンバ424との間に用いられる任意の他のタイプの弁と係合してこれを閉じることができる。このような閉鎖はさらに、流体がポンプチャンバ424に(その後、流体ディスペンサ410の他の領域に)入ることを防止することができ、それによって、搬送中又は流体ディスペンサ410が使用されていないときに流体の漏れを阻止する。
【0076】
同様に
図26は、特に、上述した流体ディスペンサ410を、ポンプ本体422、カラー416、カラーインサート427、ピストン435、及び歯止め477と共に示す。ピストン435はカラー426及びカラーインサート427を通じて流体ディスペンサ410に出入り可能であるが、カラー426及びカラーインサート427は流体ディスペンサ410に対して移動はしない。ピストン435は
図1及び
図2におけるユーザ操作可能な制御部40と同様のユーザ操作可能な制御部440を含むが、本明細書中の実施形態のいずれかに記載されている形態のいずれかをとることができる。カラーインサート427はピン429を中心とした回転のために歯止め477を支持するが、他の実施形態では、歯止め477はカラー426、又は流体ディスペンサ410のうちピストン435に隣接した他の部分に回転可能に取り付けられる。
【0077】
図示の実施形態を続けて参照すると、歯止め477は弾性の変形可能な支持体431に隣接して取り付けられており、この支持体431は歯止め477が受ける剪断荷重下で(例えば、より大きな力がユーザによってピストン435にかけられる場合)変形する。(カラーインサート427又はカラー426の)変形可能な支持体431を歯止め477に隣接して用いることによって、ピストン435にかかる過剰な荷重がピン429を剪断する可能性が低くなるか、又は歯止め477を損傷させる若しくは歯止め477の枢着を損ねる可能性が低くなる。変形支持体431の弾性が、より詳細に以下に説明するように歯止め477を中立又は実質的に水平の位置に付勢して方向反転を補助することができる。幾つかの実施形態では、第1の及び第2の変形可能な支持体431が歯止め477の各頂部及び底部に位置決めされて歯止め477を実質的に水平位置に付勢する。
【0078】
幾つかの実施形態では、例として
図27に示すように、カラーインサート427は弾性変形可能な止め部433を支持することができ、この弾性変形可能な止め部433は
図1〜
図4の実施形態におけるカラー26の突起61と関連して上述した形態のいずれかをとることができる。止め部433はピストン435と係合可能であり、それによって止め部433は、ディスペンサ410へのピストンの挿入を可能にすると共にピストンが挿入されるとピストンがカラー426から外れないように、変形することができる。
【0079】
上述したように、本発明の幾つかの実施形態による流体ディスペンサは、ラチェット機構(すなわち、包括的に本明細書中で「歯止め」と呼ばれる隣接要素によって選択的に係合可能な歯)を用いてピストン移動を制限又は制御する。
図21〜
図28に示されている実施形態における流体ディスペンサ410は、かかるラチェット機構の別の例を示す。
図26〜
図28を特に参照すると、示されているピストン435は複数の半径方向に延びる歯472及び少なくとも1つの止め部439A、439Bを有するラチェット機構467を含む。上述したように、ラチェット機構467及び止め部(複数可)439A、439Bにより供与制御(dosing control)を行って流体の供与の過不足を阻止することができる。ラチェット機構467(及びその代替形態)の複数の特徴は、
図9〜
図17Bのラチェット機構に多くの点で類似している。したがって、
図9〜
図17Bに示されている実施形態におけるラチェット機構267と、
図21〜
図28に示されている実施形態との主要な相違点のみを次に説明する。ラチェット機構467及びその代替形態のより完全な説明のために、
図9〜
図17Bに関連する本発明の実施形態に関する上記の説明の参照を行う。
【0080】
上述したように、
図21〜
図28に示されている実施形態における歯止め477は、弾性変形可能であるのではなく、ピン429を中心に回転可能であるが、他の実施形態ではこれらの特徴の組合せも可能である。示されている歯止め477は、ピストン435の歯472に押し当たると枢動する。幾つかの実施形態では、歯止め477は細長いティアドロップ形状を有し、歯止め477の狭い方の端はピストン435の歯472と係合する。他の実施形態では、歯止め477はこの機能を果たすことが可能な任意の他の形状をとることができる。示されている歯止め477は、弾性変形可能な支持部材431によってピストン435の歯472の方へ付勢される。
【0081】
示されている止め部439Aは概して楔形状であり、ピストン435から半径方向に突出しており、弾性止め部433が止め部439Aと係合したときにカラーインサート427を通るピストン435の移動を阻止する。他の実施形態では、この機能を果たすことが可能な止め部439Aの他の形状及び形態も可能であり、それらの他の形状及び形態は本発明の精神及び範囲内にある。
【0082】
図27及び
図28は、
図21〜
図28の実施形態に示されているピストン435の対向する側部を示す。
図27及び
図28に最良に示すように、ピストン435は第1の止め部439A及び第2の止め部439B、並びに半径方向に延びる第1の列の歯472A及び第2の列の歯472Bを有する。第1の止め部439Aは、第1の列の歯472Aが歯止め477と係合すると弾性止め部433と一直線上に位置決めされる。
【0083】
図27及び
図28に示されているピストン435を用いて、流体ディスペンサ410から2つの異なる用量サイズの流体を供給することができる。カラー426、カラーインサート427及び歯止め477に対するピストン435の1つの回転位置では、ピストン435は、弾性止め部433と第1の止め部439Aとが係合する前に第1の距離だけ引き上げることができ、その引き上げ時間中、ピストン移動の反転をピストン435の歯との歯止めの係合によって妨げる。より詳細には、弾性止め部433が第1の止め部439Aに当接すると、歯止め477はピストン435の第1の歯無し部分441A内に位置決めされる。上述したように、歯472はピストン435が上方に移動すると歯止め477を上方に枢動させ、したがって、歯止め477が第1の歯無し部分441Aに直面するまでピストン435の下方移動を阻止する。歯止め477は第1の歯無し部分441Aの水平位置の方へ逆回転することが可能となり、それによって、ピストン435が下に押されてディスペンサ410に入ることができる。したがって、歯止め477及び歯472は供給中に流体の不完全な供与を阻止する。
【0084】
カラー426、カラーインサート427及び歯止め477に対するピストン435の別の回転位置では、ピストン435は、弾性止め部433と第2の止め部439Bとの係合前により大きな第2の距離だけ引き上げることができ、この引き上げ時間中に、ピストン移動の反転がピストン435の歯472Bとの歯止めの係合によって妨げられる。より詳細には、弾性止め部433が第2の止め部439Bと当接すると、歯止め477はピストン435の第2の歯無し部分441B内に位置決めされる。歯472Bはピストン435が上方に移動すると歯止め477を上方に枢動させ、そのため、歯止め477が第2の歯無し部分441Bに直面するまでピストン435の下方移動を阻止する。歯止め477は第2の歯無し部分441B内の水平位置の方へ逆回転することが可能となり、それによって、ピストン435が下に押されてディスペンサ410に入ることができる。したがって、歯止め477及び歯472Bは供給中の流体の不完全な供与を阻止する。幾つかの実施形態では、第1の回転位置でのピストン435の各ストロークについて供給される流体の量は、第2の回転位置でのピストン435の各ストロークについて供給される量の約1/10である。他の比も可能であり、それらは本発明の精神及び範囲内にあることが理解されるであろう。
【0085】
さらに、止め部433及び439並びにラチェット機構467が供給中の流体の不完全な供与又は過剰供与を阻止する。これらの構成要素は協働してピストン435の所与の位置での流体の適切な供与を確実にする。
【0086】
幾つかの実施形態では、ピストン435上の歯472A、472B、歯無し部分441A、441B、及び止め部439A、439Bは、1つ又は複数の要素(例えば、異形ストリップ、トラック等)をピストン435に接続することによって調整及び/又は設定されることができる。幾つかの実施形態では、これらの要素は金属から作製されるが、他の実施形態では、これらの要素はプラスチック、セラミック又は他の材料から作製される。これらの要素はピストン435に対して接続される及び外されることでピストン435の移動長さを変更することができ、それによって、単一のピストン435が複数対の供与量のために用いられることが可能となるか、又は1つのトラックを排除することによって異なる単一の供与量を有することが可能となる。これらの及び他の実施形態では、ピストン435は、取り外され且つ異なる形状を有する別のピストン435と交換され、ピストン435の異なるストローク長を画定してピストン435の作動によって供給され得る流体の量を変えることができる。
【0087】
図29〜
図33は、本発明による流体ディスペンサ510のさらに別の実施形態を示す。この実施形態は、
図1〜
図28と関連して上述した流体ディスペンサ10、110、210、310及び410の実施形態と同じ構造を多く採用していると共にそれらと同じ特性を多く有している。したがって、以下の説明は、
図1〜
図28と関連して上述した実施形態とは異なる構造及び特徴に主に焦点を当てる。
図29〜
図33に示され、また後述するディスペンサ510の構造及び特徴、並びにこれらの構造及び特徴のあり得る代替形態に関するさらなる情報については、
図1〜
図28と関連する上記説明を参照されたい。
図1〜
図28と関連して上述した実施形態の特徴及び要素に対応する
図29〜
図33の実施形態の特徴及び要素には、500番台の参照符号が付してある。
【0088】
図29〜
図33は、上述され
図21〜
図28において示されている流体ディスペンサ410に多くの点で類似している流体ディスペンサ510を示す。示されている流体ディスペンサ510は、注ぎ口530に隣接してポンプ本体522に枢着されているアーム559を介して補充されることができる。アーム559の端は、上述のように且つ
図21、
図22及び
図25に示されるように補充パウチ内に、又は任意の他の適合性のある流体容器内に挿入され得る。例として、示されているアーム559は、補充容器内で弁(例えばボール弁のボール)を弁座から外す一対の延長部569を含む。
図21〜
図29の実施形態と同様に、アーム559及び延長部569は補充中の流体の漏れを阻止することができる。
【0089】
図29〜
図33に示されている流体ディスペンサ510は、充填動作等の際に流体ディスペンサ510から空気又は他のガスを通気する、又は流体ディスペンサ510から流体を供給した後で空気を通気するボタン571(
図29及び
図31を参照)を含む。ボタン571はユーザがディスペンサ510から空気を流出させるように選択的に押下されることができるが、ボタン571が押下されない場合は流体ディスペンサ510からの流体の漏れを阻止することができる。ボタン571は、先に示されている実施形態の開口417と共に用いることができるか、又は開口417の代わりに用いることができる。幾つかの実施形態では、ボタン571の代わりにボール弁又はねじ切り栓を用いることができる。
【0090】
本明細書に説明され且つ/又は示されている他の実施形態の場合のように、ピストン535は単一片の材料から作製されることができる。しかし、
図29〜
図33に示される流体ディスペンサの実施形態のピストン535は、2つの主要な部分:ユーザ操作可能な制御部540及び歯572Aを含む第1の部分535Aと、第2の部分535Bの第1の部分535Aへの挿入を可能にするがその後の第1の部分535Aから第2の部分535Bの引き抜きを阻止するロック部材573を含む第2の部分535Bとを有する。2つのロック部材573が
図29〜
図33の実施形態に示されているが、代わりに、同じ機能を果たす同じ又は他の形状を有する任意の数のそのようなロック部材573を用いることができる。
図29〜
図33の実施形態の多部品ピストン構造(multi-portion piston construction)は、ピストン535の製造についての利点、並びに異なる流体用量サイズ及び数へのピストン535の適合性を提供することができる。
【0091】
図29〜
図33の実施形態に示されているピストン535は、カラーインサート527の一部によって画定されている歯止め577(
図33を参照)と係合する歯572A(
図30を参照)を含む。歯止め577は、ピストン535及び歯572Aが流体ディスペンサ510に下方に移動することを可能にするが、歯572Aとの歯止めの係合によって流体ディスペンサ510から上方に移動することを阻止する。対照的に、ピストン535は、歯572Aよりも小さいものとすることができると共に下向きに角度が付いている第2の組の歯572Bを含む。歯572Bが第2の歯止め579と係合すると、ピストン535は流体ディスペンサ510から上方に移動することは可能となるが、流体ディスペンサ510へ向かって下方に移動することは阻止される。したがって、
図32及び
図33に示されるピストン535の回転位置では、ピストン535は、流体ディスペンサ510へ押すこともディスペンサ510から引くこともできない。したがって、ピストン535のこの回転位置はロック位置であり、
図30では536で示す。
【0092】
流体ディスペンサ510をロック解除して流体ディスペンサ510からの流体を供給するには、ピストン535をユーザ操作可能な制御部540によって回転させ、それによって、歯止め577が軸方向開口562と係合して第1の量の流体を供給するか、又は軸方向開口563と係合して第2の量の流体を供給するようにする。ピストン535が上方向に引かれると、歯止め577が歯572Aと係合するのではなく第2の歯止め579が歯572Bと係合する。軸方向開口562及び563は、ピストン535が供給すべき流体を引き込むのに十分に上方向に引かれた後、歯止め577が歯無し部分541に向けられるような形状である(例えば、湾曲するか或いは1つ又は複数の脚部又は傾斜(angled)部を有する)。歯止め577が歯無し部分541内に位置決めされると、第2の歯止め579はもはや歯572Bと係合しない。したがって、歯止め577、579の一方だけがピストン535のロック位置536から外れて所与の時点でピストン535の歯と係合することで、不完全な供与を阻止する。
【0093】
図29〜
図33に示されている流体ディスペンサ510は、ユーザの手にフィットする人間工学的な形状であるハンドル525を含む。ハンドル525は
図29、
図31及び
図32に示すように、サムグリップ部549を含むことができる。流体ディスペンサの先の説明した他の実施形態は、所望であれば、同様のサムグリップ部を含むことができる。
【0094】
図34及び
図35は、本発明による流体ディスペンサ610の別の実施形態を示す。この実施形態は、
図1〜
図33と関連して上述した流体ディスペンサ10、110、210、310、410及び510の実施形態と同じ構造を多く採用していると共にそれらと同じ特性を多く有している。したがって、以下の説明は、
図1〜
図33と関連して上述した実施形態とは異なる構造及び特徴に主に焦点を当てる。
図34及び
図35に示され、また後述するディスペンサ610の構造及び特徴、並びにこれらの構造及び特徴のあり得る代替形態に関するさらなる情報については、
図1〜
図33と関連する上記説明を参照されたい。
図1〜
図33と関連して上述した実施形態の特徴及び要素に対応する
図34及び
図35の実施形態の特徴及び要素には600番台の参照符号が付してある。
【0095】
図34及び
図35に示されている流体ディスペンサ610は、キャップ612、ボトル615、ポンプ620、ポンプ本体622、ハンドル625、注ぎ口630、及びユーザ操作可能な制御部640を含む。これらの要素に関するさらなる情報については、本発明の先に説明された実施形態の参照を行う。示されている流体ディスペンサ610はさらに、補充のためにボトル615に流体を流入させるようにボトル615に位置決めされている補充ポート643を含む。補充ポート643は所望の任意のサイズを有することができ、幾つかの実施形態では、ボトル615の迅速な充填を可能にするために比較的大きな直径を有する。
【0096】
補充ポート643は、栓、カバー、弁又は他の好適な任意の流体阻止機構によって閉じられ得る。
図34及び
図35に示されるように、示されている補充ポート643はハンドル625のノブ647によって閉じられる。幾つかの実施形態では、このためにハンドル625がキャップ612を中心に枢動する。他の実施形態では、ハンドル624は、ノブ647を補充ポート643に挿入することを可能にするようにキャップ612から取り外し可能である。他の実施形態では、別個の栓、カバー、弁又は他の好適な流体阻止機構を流体ディスペンサ610に接続することができ、補充ポート643と係合することでそこを通る流体の流れを選択可能に許可及び阻止することができる。
【0097】
図36は、本発明による流体ディスペンサ710の別の実施形態を示す。この実施形態は、
図1〜
図35と関連して上述した流体ディスペンサ10、110、210、310、410、510及び610の実施形態と同じ構造を多く採用していると共にそれらと同じ特性を多く有する。したがって、以下の説明は、
図1〜
図35と関連して上述した実施形態とは異なる構造及び特徴に主に焦点を当てる。
図36に示され、また後述するディスペンサ710の構造及び特徴、並びにこれらの構造及び特徴のあり得る代替形態に関するさらなる情報については、
図1〜
図35と関連する上記説明を参照されたい。
図1〜
図35と関連して上述した実施形態の特徴及び要素に対応する
図36の実施形態の特徴及び要素には、700番台の参照符号が付してある。
【0098】
図36に示されている流体ディスペンサ710は、キャップ712、ボトル715、ポンプ720、ポンプ本体722、ハンドル725、注ぎ口730及びユーザ操作可能な制御部740を含む。ハンドル725は上に補充ポート743を含む形状である。補充ポート743は、本発明の他の実施形態のいずれかと関連して上述した機構のいずれかによって選択的に覆われる又は閉じられ得る。もっぱら例として、
図36に示されているように、補充パウチ766は補充ポート743に挿入可能な流体継手756を有することができる。補充パウチ766は
図21及び
図22に示されている実施形態において説明した補充パウチと同様のものとすることができる。同様の補充パウチ766は、
図34及び
図35に示されている実施形態に関して利用することもできる。継手部材756は同様に
図21及び
図22と関連して上述したように補充ポート743と係合することができる。
【0099】
図37A〜
図40Cは、本明細書に説明され且つ/又は示されている流体ディスペンサの実施形態のいずれかに関して用いることができる第1の代替的な歯止め機構を示す。この代替的な歯止め機構を、本明細書に開示されている流体ディスペンサのいずれかからの流体の不完全な供与を防止又は阻止するのに用いることができ、これらはもっぱら例として示されている。他の機構を、不完全な供与を防止又は阻止するのに用いることができ、これは本発明の精神及び範囲内にある。また、
図37A〜
図40Cに示す機構を、不完全な供与を防止又は阻止する他の特徴と組み合わせて又はそのいずれかの代わりに上述の実施形態のいずれかに利用することができる。
【0100】
図37A〜
図40Cに示されている歯止め機構877は、流体ディスペンサからの不完全な用量の供給を阻止又は防止する突起61、165及び歯止め277、477及び579と同様の機能を果たす。本明細書中で使用されるように、且つ添付の特許請求の範囲において、「歯止め」という用語は、少なくとも1つの状態又は位置において対象の部品又は構造の反転移動を防止する任意の要素又は機構を指すのに本明細書中で使用される。
【0101】
示されている歯止め877は、ピン829を中心に共に枢動するように連結された第1のアーム874及び第2のアーム876を有する。示されている歯止め877はスリーブ(インサート870等)に結合され、ラチェット機構867に位置決めされている複数の第1のラチェット歯872A及び複数の第2のラチェット歯872Bと選択的に係合する。複数の歯872A、872Bは、例えば、流体ディスペンサのピストンに配置され得る。
【0102】
弾性突起881が、第1のアーム874及び第2のアーム876の一方又は双方に結合することができる。別の突起883がインサート870に結合することができ、
図37A〜
図40Cに示すように弾性突起881と係合することができる。突起883は、弾性突起881と係合して第1のアーム874及び第2のアーム876を付勢し、第1のラチェット歯872A及び第2のラチェット歯872Bとそれぞれ係合させることができる。ラチェット機構867が上方に(矢印Bの方向に)移動すると、第1のアーム874は、
図37Aに示すように複数の第1のラチェット歯872Aと係合する。ラチェット機構867が下方に(矢印Cの方向に)移動すると、第2のアーム876は、
図37Bに示すように複数の第2のラチェット歯872Bと係合する。
【0103】
図38A〜
図38Cは、ラチェット機構867が矢印Bの方向に上方に移動するにつれて第1のアーム874が複数の第1のラチェット歯872Aの1つを越える様子を示す。
図38Aは、ラチェット歯872Aの1つと嵌合した状態の第1のアーム874を示す。示されている実施形態では、第1のアーム874の端は、
図38A及び
図38Cに示すように、第1のラチェット歯872Aと噛合する形状となっている。他の実施形態では、ラチェット歯872A及び第1のアーム874の他の形状が可能であり、それらの形状は本発明の精神及び範囲内にある。
図38Bに示されるように、ラチェット機構867が矢印Bの方向に移動すると、弾性突起881がピン829を中心に枢動し、突起883に押し当たって第1のアーム874がラチェット歯872Aの1つを越えることを可能にする。
図38Cに示すように、第1のアーム874がラチェット歯872Aを越えると、弾性突起881が突起883に押し当たって第1のアーム874が次のラチェット歯872Aと係合する。
【0104】
図39A〜
図39Cは、ラチェット機構を越えて複数の第1のラチェット歯872Aから係合解除する第1のアーム874を示す。
図39Aは、複数の第1のラチェット歯874の最後の歯を越えた後であり、そのためランプ884と係合している第1のアーム874を示す。
図39Bに示すように、第1のアーム874が矢印Bの方向に上方にさらに移動するにつれて、第1のアーム874はランプ884を上って、鉛直面886に移動する。鉛直面886はラチェット歯872Aよりもピン829の近くに位置決めされており、そのため、鉛直面886は第1のアーム874に押し当たる。
図39Cに示すように、弾性突起881が突起883に押し当たって屈曲することで、弾性突起881は突起883を越えることができる。
【0105】
弾性突起881が突起883の他方の側に移った後、ラチェット機構867は、反対方向に、例えば
図40A〜
図40Cに示す矢印Cの方向に下方に移動することができる。
図40Aは、複数のラチェット歯872Bの1つとの係合の際の第2のアーム876を示しており、そのため、第2のアーム876の端がラチェット歯872Bの1つのプロファイルと噛合するプロファイルを有している。他の実施形態では、ラチェット歯872B及び第2のアーム876の他のプロファイルが可能であり、それらのプロファイルは本発明の精神及び範囲内にある。ラチェット機構867が矢印Cの方向に下方に移動するにつれて、第2のアーム876はピン829を中心に枢動してラチェット歯872Bの1つ分ずつラチェット機構867から離れ、弾性突起881が突起883に当接して変形する。
図40Cに示すように、第2のアーム876がラチェット歯872Bの1つを越えると、弾性突起881が突起883に押し当たって第2のアーム876が次のラチェット歯872Bと係合する。示されてはいないが、ラチェット機構876は、ラチェット歯872Bに隣接するランプ884及び鉛直面886と同様の、ラチェット歯872Bに隣接するランプ及び鉛直面を有することで、ラチェット機構876が矢印Cの方向に十分な距離移動すると弾性突起881が突起883の他方の側と係合することができる。
【0106】
幾つかの実施形態では、ラチェット歯872A、872Bの位置と第1のアーム874及び第2のアーム876との位置は逆にすることができ、そのため、ラチェット歯872A、872Bはインサート870に結合され、静止状態のままとなり、第1のアーム874、第2のアーム876はラチェット機構867と結合し、ラチェット機構867と共に移動する。
【0107】
図41〜
図44は、不完全な供与を防止又は阻止する、本明細書に説明され且つ/又は示されている流体ディスペンサの実施形態のいずれかと共に用いることができる第2の代替的な歯止め機構を示す。この第2の代替的な機構はもっぱら例として示されている。他の機構を、不完全な供与を防止又は阻止するのに用いることができ、これらの機構は本発明の精神及び範囲内にある。
図41〜
図44に示す機構は、不完全な供与を防止又は阻止する他の特徴のいずれかと組み合わせて又はその代わりに、上述の実施形態のいずれかにおいて利用することができる。
図41〜
図44に示されている歯止め機構977は、不完全な用量の供給を阻止又は防止する突起61、165並びに歯止め277、477、579及び877と同様の機能を果たす。
【0108】
図41〜
図44に示されている歯止め機構977は、複数の第1の歯972A及び複数の第2の歯972Bを含むラチェット機構967、ボールハウジング987、及びボール988を有する。ラチェット機構967は、ボールハウジング987に対して移動可能である。ボール988は、ラチェット機構967とボールハウジング987との双方と係合するようにそれらの間に位置する。
【0109】
ボールハウジング987は、リセス989と、どちらも該リセス989内に少なくとも部分的に位置決めされる第1の弾性傾斜部分991A及び第2の弾性傾斜部分991Bとを有する。ボール988は、ラチェット機構967が矢印Dに沿って上方に移動すると第1の弾性傾斜部分991Aと係合し、ラチェット機構967が下方に(図示せず)移動すると第2の弾性傾斜部分991Bと係合する。
【0110】
図42は、複数の第1の歯972Aとの係合から複数の第2の歯982Bとの係合へのボール988の遷移を示す。ボールハウジング987は、ボール988並びに複数の第1の歯982A及び複数の第2の歯982Bをよりはっきり示すために
図42には示されていない。
図41〜
図44に示されている実施形態は、ボール991がラチェット機構967に沿って所定の長さを移動するまで、リッジ992の一方の側にボール991を保持するように、歯982A、982B間に位置決めされるリッジ992を含む。ラチェット機構967に沿って所定長さ移動した後、ボール991は、実質的に平面とすることができる歯無し部分993を越える。歯無し部分993は、
図42の矢印E及び矢印Fによって示されるように、ボール991が複数の第1の歯982Aとの係合から複数の第2の歯982Bとの係合に移ることを可能にする。特に示されていないが、少なくとも1つの他の歯無し部分をラチェット機構967に沿った種々の場所に位置決めすることができ、ボール988が複数の第1の歯982Aとの係合と複数の第2の歯982Bとの係合の間を移動できる。
【0111】
図43A〜
図43Dは、ボール988が複数の第1の歯972Aの1つを越える様子を示す。ボール988は、
図43Aにおいて第1の弾性傾斜部分991Aとラチェット機構967と係合した状態で示されている。
図43Bに示すように、ラチェット機構967が矢印Dに沿って上方に移動するにつれて、複数の歯972Aの1つが矢印Gの方向に第1の弾性傾斜部分991Aに沿ってボール988を上方に移動させる。複数の歯982Aの1つは、
図43Cに示すように、ボール988をリセス989内で矢印Hに沿ってさらに上方に移動させる。
図43Cに示されているボール988は、ラチェット機構967が矢印Dの方向に移動するにつれて、第2の弾性傾斜部分991Bに隣接するが直接接触はしない。複数の歯972Aの1つがボール998のそばを通過した後、ボール998は、
図43Dに示すように、矢印Iの方向に且つ重力下で第1の弾性傾斜部分991A及び複数の歯972Aの隣接する歯に対して下方に下げられる。矢印Dの方向での移動のみを示して説明しているが、矢印Dと反対の方向での移動もほとんど同様に本質的に動作する。ラチェット機構967の移動の上端又は下端において、ボール988は、
図42に示すように、反対方向に向いている歯と係合するように移動する。したがって、矢印Dと反対の方向への移動は、ボール988との間で係合を生じさせ、複数の第2のラチェット歯972B及び第2の弾性傾斜部分991Bは、上述した動作と同様に動作するであろう。
【0112】
図44は、ラチェット機構967が矢印Dと反対方向に、特に矢印Jに沿ってボール988に押し当たっている様子を示す。この方向への移動を防止するために、歯972Aは、ボール988と係合して矢印Kの方向にボール988を第1の弾性傾斜部分991Aに押し当てる平らなリッジ994Aを含む。平らなリッジ994Aはこれによって矢印Jの方向への移動を防止し、ボール988は
図44に示すように第1の弾性傾斜部分991Aと係合する。示されていないが、ボール988が第2の弾性傾斜部分991Bと係合すると、上述したと共に
図44に示した平らなリッジ994Aと同様に、平らなリッジ994B(
図41を参照)は移動方向とは反対の方向への移動を防止する。
【0113】
上述の実施形態のいずれかでは、2つ以上の量の流体を流体ディスペンサから供給することができる。幾つかの実施形態では、2つの量は約10:1の比を有し得る。もっぱら例として、所与の実施形態では、ピストンをディスペンサ内へ約4mm〜5mm移動させることによって供給される流体の第1の量は約7mLであり、ピストンをディスペンサ内へ約150mm移動させることによって供給される流体の第2の量は約75mLであり得る。他の量、比及び距離も可能であり、これらの量、比及び距離は本発明の精神及び範囲内にある。
【0114】
ディスペンサを作動させるのに水又は他の流体の供給源を必要とすることなく、本明細書に説明され且つ/又は示される流体ディスペンサのそれぞれから流体を供給することができることに留意することが重要である。種々の開示された流体ディスペンサの動作の際に、作動流体も、かかる流体の速度、衝突、重量又は質量も必要とされない。
【0115】
上述の流体ディスペンサの実施形態のいずれかでは、(上述の表示が提供する視覚的確認に加えて)聴覚的確認を用いて、供給される流体用量のサイズを或るユーザ及び/又はディスペンサ10の付近のユーザに示すことができる。例えば、聴覚的確認は、より小さな供給サイズの場合には短い発信音、より大きな供給サイズの場合にはより長い発信音、異なる供給サイズの場合には低い発信音及び高い発信音、又は流体供給量に対応する(例えば、開示されているラチェット機構の1つでの歯止めの音を生成するいずれかの方向でのピストン移動により生じる)多数回のカチッという音とすることができる。
【0116】
上述の実施形態のいずれかでは、ディスペンサ10からの流体の過剰供給を阻止することに時間遅延選択肢が含まれ得る。時間遅延ディスペンサの特徴は、かかる特徴の開示に関して参照により援用される米国特許第5,908,163号に開示されている。
【0117】
上述したと共に図面に示されている実施形態は、例としてのみ提示され、本発明の概念及び原理に対する限定として意図されていない。したがって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、複数の要素と、それらの要素の構成及び配置との様々な変更が可能であることを、当業者は理解するであろう。
【0118】
本発明の様々な特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲内に記載されている。