特許第5986038号(P5986038)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986038
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】フィラメントワインディング装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/16 20060101AFI20160823BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20160823BHJP
【FI】
   B29C67/14 C
   B29K105:08
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-111420(P2013-111420)
(22)【出願日】2013年5月28日
(65)【公開番号】特開2014-231145(P2014-231145A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2015年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100102989
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 佳知
(72)【発明者】
【氏名】八田 健
(72)【発明者】
【氏名】谷川 元洋
(72)【発明者】
【氏名】中村 大五郎
【審査官】 井上 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−143087(JP,A)
【文献】 特開2008−174333(JP,A)
【文献】 特開2009−078495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/16
B29K 105/08
B65H 67/00−67/08
B65H 69/00−69/08
B65H 49/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維巻回対象物に繊維を巻回する繊維巻回部を有するフィラメントワインディング装置であって、
前記繊維巻回部に供給される繊維を中空の芯材に巻き取り済みの複数の繊維ボビンと、
該複数の繊維ボビンごとの前記芯材にシャフトを貫通して、前記複数の繊維ボビンをシャフト回りに回転可能に前記シャフトに並べて保持するボビンユニットとを備え、
隣り合う前記繊維ボビンにおいて、一方の前記繊維ボビンの前記芯材の側の繊維巻き取り開始端と、他方の前記繊維ボビンの最外周の繊維巻き取り終端とを接着固定し、前記シャフトにおける繊維ボビンの並びの一端側の前記繊維ボビンから、前記繊維巻回部に繊維を供給すると共に、一方の前記繊維ボビンの前記芯材と他方の前記繊維ボビンの前記芯材とは、前記シャフト回りの回転を伝達可能に係合する
フィラメントワインディング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィラメントワインディング装置であって、
前記ボビンユニットは、前記芯材を貫通して前記複数の繊維ボビンを保持した前記シャフトを、シャフト軸芯に沿って前後退可能に備え、前記一端側の前記繊維ボビンから前記繊維巻回部への繊維供給が完了すると、前記シャフトを後退させて、前記繊維供給が完了した前記繊維ボビンの前記芯材を前記シャフトから取り除く
フィラメントワインディング装置。
【請求項3】
繊維巻回対象物に繊維を巻回する繊維巻回部を有するフィラメントワインディング装置であって、
前記繊維巻回部に供給される繊維を中空の芯材に巻き取り済みの複数の繊維ボビンと、
該複数の繊維ボビンごとの前記芯材にシャフトを貫通して、前記複数の繊維ボビンをシャフト回りに回転可能に前記シャフトに並べて保持するボビンユニットとを備え、
隣り合う前記繊維ボビンにおいて、一方の前記繊維ボビンの前記芯材の側の繊維巻き取り開始端と、他方の前記繊維ボビンの最外周の繊維巻き取り終端とを接着固定し、前記シャフトにおける繊維ボビンの並びの一端側の前記繊維ボビンから、前記繊維巻回部に繊維を供給し、
前記ボビンユニットは、前記芯材を貫通して前記複数の繊維ボビンを保持した前記シャフトを、シャフト軸芯に沿って前後退可能に備え、前記一端側の前記繊維ボビンから前記繊維巻回部への繊維供給が完了すると、前記シャフトを後退させて、前記繊維供給が完了した前記繊維ボビンの前記芯材を前記シャフトから取り除く
フィラメントワインディング装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のフィラメントワインディング装置であって、
前記繊維巻回部として、前記繊維巻回対象物に繊維をフープ巻きするフープ巻部と、前記繊維巻回対象物に繊維をヘリカル巻きするヘリカル巻部とを備え、
前記ボビンユニットで前記シャフトにより保持した前記繊維ボビンの繊維を前記ヘリカル巻部に供給する
フィラメントワインディング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメントワインディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィラメントワインディング装置(以下、適宜、FW装置と略称する)は、高圧ガスタンクのコアであるライナー等の繊維巻回対象物に繊維を巻回するものとして、広く普及している。FW装置では、複数の繊維巻回対象物を連続的に繊維巻回に処すことから、繊維を巻き取り済みの繊維ボビンの交換が不可欠となるので、ボビン交換の自動化を図る手法が提案されている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−66917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のボビン交換手法によれば、巻き取り済み繊維をほぼ使い切った旧ボビンと新ボビンの交換と、これに伴う新旧ボビン繊維の繋ぎとを自動化し、繊維繋ぎに要する時間における繊維供給をバッファ装置にて図ることで、交換効率を向上させている。この場合、新旧ボビン交換は、旧ボビンに巻き取り済み繊維の末端が所定の繋ぎ箇所に到達した状況でしか実行できないことから、ボビン交換に時期的な制約を受け、新ボビンからの繊維供給への切替に支障が起き得る。また、バッファ装置にて繊維のバッファ供給が可能な時間内で、新旧ボビンの交換と繊維繋ぎとを完了させることが求められるので、新旧ボビンの繊維の接合と樹脂による繊維固着とが不十分なまま、新ボビンから繊維が供給されてしまうことが危惧される。或いは、新旧ボビンの繊維の接合と樹脂による繊維固着とに必要な繊維交換時間の確保のため、バッファ装置の大型化が危惧される。この他、上記の繊維交換時間の短縮のため、繊維繋ぎ機構の構造の複雑化も危惧される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、フィラメントワインディング装置が提供される。このフィラメントワインディング装置は、繊維巻回対象物に繊維を巻回する繊維巻回部を有するフィラメントワインディング装置であって、前記繊維巻回部に供給される繊維を中空の芯材に巻き取り済みの複数の繊維ボビンと、該複数の繊維ボビンごとの前記芯材にシャフトを貫通して、前記複数の繊維ボビンをシャフト回りに回転可能に前記シャフトに並べて保持するボビンユニットとを備え、隣り合う前記繊維ボビンにおいて、一方の前記繊維ボビンの前記芯材の側の繊維巻き取り開始端と、他方の前記繊維ボビンの最外周の繊維巻き取り終端とを接着固定し、前記シャフトにおける繊維ボビンの並びの一端側の前記繊維ボビンから、前記繊維巻回部に繊維を供給する。
【0007】
上記形態のフィラメントワインディング装置では、ボビンユニットに繊維ボビンを保持するに当たり、複数の繊維ボビンごとの芯材にシャフトを貫通させて、複数の繊維ボビンをシャフト回りに回転可能にシャフトに並べて保持し、繊維巻回部には、シャフトにおける繊維ボビンの並びの一端側の繊維ボビン(以下、当初繊維ボビンと称する)から繊維を供給する。この当初繊維ボビンからの繊維供給の間、当初繊維ボビンと当該ボビンの隣の繊維ボビン(以下、予備繊維ボビンと称する)とは、一方の繊維ボビン(当初繊維ボビン)の芯材側の繊維巻き取り開始端と他方の繊維ボビン(予備繊維ボビン)の最外周の繊維巻き取り終端とが接着固定されていることから、当初繊維ボビンの回転を来す力が予備繊維ボビンにも及ぶので、シャフト回りに同期して回転し、当初繊維ボビンから繊維巻回部に繊維が供給される。当初繊維ボビンからの繊維供給が進み、当該繊維ボビンの芯材の側の繊維巻き取り開始端の繊維の供給タイミングとなると、当初繊維ボビンの隣の予備繊維ボビンからの繊維供給が開始される。つまり、それまで予備繊維ボビンであった繊維ボビンが新たに上記の当初繊維ボビンとなり、繊維供給対象ボビンが円滑に入れ替わる。シャフトに並べて保持した繊維ボビンが三つ以上であれば、予備繊維ボビンからの繊維供給の開始後では、それまで予備繊維ボビンであった繊維ボビンが新たに上記の当初繊維ボビンとなり、予備繊維ボビンの隣の繊維ボビンが新たに予備繊維ボビンとなるように繊維供給対象ボビンの入れ替わりが円滑に起き、各繊維ボビンからの繊維供給が継続される。その一方、隣り合う繊維ボビンのうちの一方の繊維ボビンの芯材側の繊維巻き取り開始端と、他方の繊維ボビンの最外周の繊維巻き取り終端との接着固定は、繊維供給対象ボビンの入れ替わりのタイミングとは別に実行可能となる。よって、上記形態のフィラメントワインディング装置によれば、シャフトに並べて保持された隣り合う繊維ボビンにおける繊維巻き取り開始端と繊維巻き取り終端との接着固定を、ボビン交換の時に制約されないで実行できるので、予備繊維ボビンから支障なく繊維を円滑に供給できる。
【0008】
また、上記形態のフィラメントワインディング装置によれば、適宜な時期、例えば、繊維供給開始前の段取りの時期や繊維供給先の繊維巻回部の休止時期に、隣り合う繊維ボビンにおける繊維巻き取り開始端と繊維巻き取り終端との接着固定を予め図ることできる。このため、上記形態のフィラメントワインディング装置によれば、繊維巻き取り開始端と繊維巻き取り終端との繊維同士の接合固着が十分且つ確実に起きた状態で、繊維の継続供給が可能となるので、繊維巻回品質の維持或いは向上を図ることができる。この場合、当初繊維ボビンからの繊維供給に伴うこの当初繊維ボビンと予備繊維ボビンとのシャフト軸回りの回転が低速であれば、当初繊維ボビンからの繊維供給の間においても、隣り合う繊維ボビンにおける繊維巻き取り開始端と繊維巻き取り終端との接着固定を予め図ることできる。しかも、上記形態のフィラメントワインディング装置によれば、隣り合う繊維ボビンにおける繊維巻き取り開始端と繊維巻き取り終端との接着固定を図る間の繊維のバッファ供給が不要となるので、装置の小型化や構成の簡略化を図ることができる。
【0009】
(2)上記した形態のフィラメントワインディング装置において、隣り合う前記繊維ボビンにおいて、一方の前記繊維ボビンの前記芯材と他方の前記繊維ボビンの前記心材とは、前記シャフト回りの回転を伝達可能に係合するようにできる。こうすれば、当初繊維ボビンからの繊維供給の間における当初繊維ボビンと予備繊維ボビンとのシャフト回りの同期回転が確実に起きるので、予備繊維ボビンからの不用意な繊維の巻き取り解除やこれに伴う繊維の垂れ下がり等の事象が起きないようにできる。
【0010】
(3)上記したいずれかの形態のフィラメントワインディング装置において、前記ボビンユニットは、前記芯材を貫通して前記複数の繊維ボビンを保持した前記シャフトを、シャフト軸芯に沿って前後退可能に備え、前記一端側の前記繊維ボビン(当初繊維ボビン)から前記繊維巻回部への繊維供給が完了すると、前記シャフトを後退させて、前記繊維供給が完了した前記繊維ボビン(当初繊維ボビン)の前記芯材を前記シャフトから取り除くようにできる。こうすれば、シャフトには、繊維供給が完了した当初繊維ボビン芯材を残さないので、シャフトのその後の前進により、当初繊維ボビンの隣の予備繊維ボビンを当初繊維ボビンの位置に置くことが可能となる。これにより、繊維供給の軌跡を元に戻すことができる。
【0011】
(4)上記したいずれかの形態のフィラメントワインディング装置において、前記繊維巻回部として、前記繊維巻回対象物に繊維をフープ巻きするフープ巻部と、前記繊維巻回対象物に繊維をヘリカル巻きするヘリカル巻部とを備え、前記ボビンユニットで前記シャフトにより保持した前記繊維ボビンの繊維を前記ヘリカル巻部に供給するようにできる。フープ巻部とヘリカル巻部とは、交互に繊維巻回のために駆動するので、フープ巻部により繊維巻回対象物に繊維をフープ巻きしている間において、ヘリカル巻部は休止または停止している。よって、上記形態のフィラメントワインディング装置によれば、フープ巻部により繊維巻回対象物に繊維をフープ巻きしている間のヘリカル巻部の休止または停止の期間において、隣り合う繊維ボビンにおける繊維巻き取り開始端と繊維巻き取り終端との接着固定を予め図ることできるので、フープ巻部に続きヘリカル巻部によるヘリカル巻きを、支障なく開始して継続できる。
【0012】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、ライナーに繊維を巻回した高圧ガスタンクの製造装置や製造方法として構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態としてのFW装置100の概略構成を模式的に示す説明図である。
図2】繊維供給ユニット200の概略構成を模式的に示しつつボビン間の樹脂含浸カーボン繊維Wの繋ぎの様子を合わせて示す説明図である。
図3】第1繊維ボビンB1からの繊維供給が進んで第2繊維ボビンB2からの繊維供給に推移する様子を第2繊維ボビンB2からの繊維供給の継続の間におけるボビン補充の様子と合わせて示す説明図である。
図4】繊維供給ユニット200によるボビン保持の他の実施形態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。本実施形態のフィラメントワインディング装置(FW装置)は、最終製品としての高圧ガスタンクを製造する際に使用され、ライナー10に樹脂含浸カーボン繊維Wを巻回する。図1は本発明の実施形態としてのFW装置100の概略構成を模式的に示す説明図である。本実施形態では、高圧ガスタンクを、高圧水素を貯蔵する高圧水素タンクとした。
【0015】
FW装置100は、水素ガスに対するガスバリア性を有する樹脂製容器のライナー10を繊維巻回対象物とする。ライナー10は、半径が均一である略円筒形状のシリンダー部10aと、シリンダー部両端に設けられた凸曲面形状のドーム部10bを有する。ドーム部10bは、等張力曲面によって構成されており、その頂点に、外部配管等と接続するための口金14を有する。本実施形態では、樹脂容器として、ナイロン系樹脂からなる樹脂製容器を用いるものとした。樹脂容器として、水素ガスに対するガスバリア性を有すれば、他の樹脂からなる樹脂容器を用いるものとしてもよい。
【0016】
FW装置100は、ライナー軸支シャフト112と、ヘリカル巻きユニット100Hと、フープ巻きユニット100Fと、繊維供給ユニット200と、繊維案内ユニット300とを有する。ライナー軸支シャフト112は、ライナー両端の口金14に挿入され、ライナー両端からシャフトを出した状態で図示しないシャフト保持機構にて保持され、ライナー10を水平に軸支する。こうしてライナー10を軸支した後、FW装置100は、ヘリカル巻きユニット100Hとフープ巻きユニット100Fとにより、ライナー10の外周に樹脂含浸カーボン繊維Wを巻回して、繊維強化樹脂層を形成する(繊維強化樹脂層形成工程)。この繊維強化樹脂層形成工程により、ライナー10の外周に樹脂硬化前の繊維強化樹脂層を有する中間生成品タンクが得られ、この中間生成品タンクを、図示しない誘導加熱装置等を用いて熱処理することで、最終製品としての高圧ガスタンクが得られる。
【0017】
ヘリカル巻きユニット100Hは、ライナー10を取り囲む環状体とされ、ライナー両端のドーム部10bの湾曲外表面領域に樹脂含浸カーボン繊維Wを掛け渡してヘリカル巻きを図るべく、ライナー10の軸芯に沿ってドーム部10bの外側を含む所定範囲に亘りライナー10に対して相対的に往復動する。繊維供給ユニット200は、後述するように第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2とを備え、これらボビンから繊維案内ユニット300を経てヘリカル巻きユニット100Hに樹脂含浸カーボン繊維Wを供給する。繊維案内ユニット300は、繊維供給ユニット200からの樹脂含浸カーボン繊維Wをヘリカル巻きユニット100Hに案内しつつ送り出す。この場合、ライナー10が軸芯に沿って往復動するのであれば、繊維案内ユニット300は、その位置を変えることなく樹脂含浸カーボン繊維Wをヘリカル巻きユニット100Hに送り出し、ヘリカル巻きユニット100Hが往復移動するのであれば、ヘリカル巻きユニット100Hの相対的な往復動に合わせて移動しつつ、樹脂含浸カーボン繊維Wを送り出す。こうして樹脂含浸カーボン繊維Wの供給を受けるヘリカル巻きユニット100Hは、樹脂含浸カーボン繊維Wの巻回軌跡がタンク中心軸に対して低角度の繊維角(例えば、約11〜25°)で交差する低角度のヘリカル巻きにて、樹脂含浸カーボン繊維Wを巻回する。この樹脂含浸カーボン繊維Wは、複数本のスライバー状のカーボン繊維を揃え、スライバー繊維表面および繊維間にエポキシ樹脂等の熱硬化樹脂を含む多給糸である。
【0018】
フープ巻きユニット100Fは、ライナー10を取り囲む環状体とされ、シリンダー部10aの外周に樹脂含浸カーボン繊維Wをフープ巻きすべく、ライナー10の軸芯に沿ってほぼシリンダー部10aの長さに相当する所定範囲に亘りライナー10に対して相対的に往復動する。フープ巻きユニット100Fは、ライナー10に対する相対的な往復動の過程において、ユニット内蔵の複数の図示しない繊維ボビンから樹脂含浸カーボン繊維Wを繰り出し、樹脂含浸カーボン繊維Wの巻回軌跡がタンク中心軸に対してほぼ垂直に近い巻き角度(繊維角:例えば約89°)で交差するフープ巻きにて、樹脂含浸カーボン繊維Wを巻回する。
【0019】
次に、繊維供給ユニット200の構成について説明する。図2は繊維供給ユニット200の概略構成を模式的に示しつつボビン間の樹脂含浸カーボン繊維Wの繋ぎの様子を合わせて示す説明図である。図示するように、繊維供給ユニット200は、スタンドプレート210と、プレート凸部211と、一対のスタンド枠212と、ボビンシャフト214と、供給側ボビンプレート216と、エンド側ボビンプレート218とを備え、第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2とをボビンシャフト214に並べて保持する。スタンドプレート210は、プレート凸部211および供給側ボビンプレート216にてボビンシャフト214を支え、エンド側ボビンプレート218と協働して、ボビンシャフト214をほぼ水平に保持する。一対のスタンド枠212は、供給側ボビンプレート216とエンド側ボビンプレート218とを保持することで、間接的にボビンシャフト214を保持する。エンド側ボビンプレート218は、スタンド枠212から取り外し可能とされ、後述のボビン補充の際には、スタンド枠212から取り外された後、スタンド枠212に再装着される。
【0020】
第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2の両繊維ボビンは、ヘリカル巻きユニット100Hに供給される樹脂含浸カーボン繊維Wを、中空の芯材Bcに予め巻き取り済みであり、ヘリカル巻きユニット100Hへの繊維供給に先立つ段取りの状況下で、繊維供給ユニット200に保持される。この際、繊維供給ユニット200は、ボビンシャフト214を上記の両繊維ボビンの芯材Bcを貫通させて、第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2の両繊維ボビンをボビンシャフト214の回りに回転可能にボビンシャフト214に並べて保持する。こうして並べて保持された第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2の両繊維ボビンは、隣り合い、第1繊維ボビンB1の芯材Bcの側の樹脂含浸カーボン繊維Wの巻取開始端Wceと、第2繊維ボビンB2における最外周の樹脂含浸カーボン繊維Wの巻取終端Wseとを接着固定している。この接着固定は、隣り合う第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2との間の繊維固定部位Wtにて、次のようになされる。
【0021】
図2の下段は、繊維固定部位Wtでの繊維接着固定の様子を示しており、まず、第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceを占める樹脂含浸カーボン繊維Wと、第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseを占める樹脂含浸カーボン繊維Wとを、繊維束の状態を解きつつ重ね合わせる。次いで、図示しない返し付のニードル等にて、第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceを占める樹脂含浸カーボン繊維Wと、第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseを占める樹脂含浸カーボン繊維Wとを繊維同士が絡み合うようにし、この状態で、繊維接着固定範囲Wreに熱硬化性樹脂Reを滴下或いは塗布等して、温風加熱処理し樹脂を硬化させる。これにより、第1繊維ボビンB1の樹脂含浸カーボン繊維Wと第2繊維ボビンB2の樹脂含浸カーボン繊維Wとは、繊維接着固定範囲Wreにおいて、繊維同士で接着固定される。こうした接着固定により、繊維接着固定範囲Wreでは、樹脂含浸カーボン繊維Wの引出に伴う力に抗することができる。この場合の熱硬化性樹脂Reは、樹脂含浸カーボン繊維Wにおける熱硬化性樹脂と同等の性状とできるほか、硬化剤を多く配合して硬化性を高めた樹脂としてもよい。この場合、繊維接着固定範囲Wreでの繊維同士の接着固定が樹脂含浸カーボン繊維Wの引出に伴う力に抗するようにできるのであれば、樹脂含浸カーボン繊維Wに含浸済みの熱硬化性樹脂だけで接着してもよい。
【0022】
こうして繊維固定部位Wtでの繊維の接着固定が完了すると、繊維供給ユニット200は、ボビンシャフト214における繊維ボビンの並びの一端側の第1繊維ボビンB1から、繊維案内ユニット300を経てヘリカル巻きユニット100Hに樹脂含浸カーボン繊維Wの供給を図る。この繊維供給は、ヘリカル巻きユニット100Hによるヘリカル巻きの開始のタイミングに合わせて実行される。つまり、フープ巻きユニット100Fによるフープ巻きの実行期間には、ヘリカル巻きユニット100Hが停止していることから、この間には、第1繊維ボビンB1からの繊維供給はなされない。第1繊維ボビンB1からの繊維供給が開始されると、第1繊維ボビンB1は、ヘリカル巻きユニット100Hの繊維引出力を受けて、ボビンシャフト214の回りに回転する。こうして第1繊維ボビンB1が回転すると、第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceもボビンシャフト214の回りに回転するので、ヘリカル巻きユニット100Hの繊維引出力は、第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceと接着固定した巻取終端Wseの樹脂含浸カーボン繊維Wを介して第2繊維ボビンB2にも及ぶ。よって、第2繊維ボビンB2は、第1繊維ボビンB1と同期して、ボビンシャフト214の回りに回転することになる。こうした回転状況下で、第1繊維ボビンB1からヘリカル巻きユニット100Hへの繊維供給が継続される。
【0023】
次に、第1繊維ボビンB1からヘリカル巻きユニット100Hへの繊維供給が開始された以降の繊維供給の様子とボビン補充の様子について説明する。図3は第1繊維ボビンB1からの繊維供給が進んで第2繊維ボビンB2からの繊維供給に推移する様子を第2繊維ボビンB2からの繊維供給の継続の間におけるボビン補充の様子と合わせて示す説明図である。
【0024】
図3に示すように、第1繊維ボビンB1からの繊維供給が進んで、第1繊維ボビンB1に巻き取り済みの樹脂含浸カーボン繊維Wが全て繊維案内ユニット300を経てヘリカル巻きユニット100H(図1参照)に供給されると、繊維固定部位Wtが繊維案内ユニット300を経てヘリカル巻きユニット100Hに引き出される。そうすると、繊維固定部位Wtにて第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceの樹脂含浸カーボン繊維Wと接着固定された巻取終端Wseの樹脂含浸カーボン繊維Wを経て、上記の引出力が第2繊維ボビンB2に直接掛かる。これにより、繊維固定部位Wtがヘリカル巻きユニット100Hに引き出されたタイミングで、当初に樹脂含浸カーボン繊維Wを供給していた第1繊維ボビンB1の隣の第2繊維ボビンB2からの繊維供給が円滑に開始される。つまり、それまでは第1繊維ボビンB1に同期して回転していた第2繊維ボビンB2が、ヘリカル巻きユニット100Hへの繊維供給の対象の繊維ボビン(第1繊維ボビンB1)となる。そして、ボビンシャフト214には、巻き取り済み繊維を全て供給した第1繊維ボビンB1の芯材Bcが残る(図3(B))。
【0025】
繊維供給ユニット200は、第2繊維ボビンB2からの繊維供給の開始当初、或いは繊維供給が継続されている間において、図3(C)に示すように、ボビンシャフト214を第2繊維ボビンB2の側にシャフト軸芯に沿って後退させる。このシャフト後退により、ボビンシャフト214に残っていた第1繊維ボビンB1の芯材Bcは、ボビンシャフト214から脱落して取り除かれる。このシャフト後退の際、第2繊維ボビンB2は、エンド側ボビンプレート218に支えられるので、当初位置のままである。
【0026】
繊維供給ユニット200は、芯材Bcの取り除きに続き、ボビンシャフト214を、プレート凸部211に当接して供給側ボビンプレート216にて保持されるまで前進復帰させる(図3(D)。このシャフト復帰により、第2繊維ボビンB2は、シャフトと共に前進して、当初の第1繊維ボビンB1の位置を取り、これ以降は、繊維供給を継続する第1繊維ボビンB1となる。このボビン移動により、第1繊維ボビンB1の隣にはボビンがない状態となり、ボビン補充が可能となる。
【0027】
繊維供給ユニット200は、ボビン補充が可能となった以降であって、第1繊維ボビンB1からの繊維供給が継続されている間に、次のようにボビン補充を実行する。即ち、図3(E)に示すように、エンド側ボビンプレート218をスタンド枠212から取り外し、新たなボビンである第2繊維ボビンB2をボビンシャフト214に装着して保持し、エンド側ボビンプレート218をスタンド枠212に係合させる。その上で、繊維供給中の第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceと補充された第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseとを繊維接着固定範囲Wreにおいて接着固定する。この繊維接着を経てボビン補充が完了し、これ以降は、第1繊維ボビンB1からの繊維供給継続と第2繊維ボビンB2からの繊維供給開始(図3(A))、芯材Bcの取り除き(図3(C))、第2繊維ボビンB2の位置移動(図3(D))、およびボビン補充(図3(E))が繰り返される。なお、図3(E)に示すエンド側ボビンプレート218の取り外しの際には、ボビンシャフト214および第1繊維ボビンB1は、図示しない支持機構により、元の姿勢のまま保持される。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の繊維供給ユニット200を用いたFW装置100では、繊維供給ユニット200に二つの第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2とを保持するに当たり、両繊維ボビンごとの芯材Bcにボビンシャフト214を貫通させて、両繊維ボビンをシャフト回りに回転可能にボビンシャフト214に並べて保持した上で、第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceと第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseとを繊維接着固定範囲Wreにおいて接着固定する。そして、FW装置100は、ヘリカル巻きユニット100Hに、ボビンシャフト214における繊維ボビンの並びの一端側の第1繊維ボビンB1から、繊維案内ユニット300を経て樹脂含浸カーボン繊維Wを供給する。この第1繊維ボビンB1からの繊維供給の間、この第1繊維ボビンB1とその隣の第2繊維ボビンB2とは、共に繊維の引出力を受けて、ボビンシャフト214のシャフト回りに同期して回転し、第1繊維ボビンB1からはヘリカル巻きユニット100Hに樹脂含浸カーボン繊維Wが供給される。
【0029】
第1繊維ボビンB1からの繊維供給が進み、第1繊維ボビンB1の芯材Bcの側の巻取開始端Wceの供給タイミングとなると、第1繊維ボビンB1の隣の第2繊維ボビンB2からの繊維供給が開始される。これにより、それまでは繊維供給に関与していなかった第2繊維ボビンB2が新たに繊維供給対象の第1繊維ボビンB1となるように繊維供給対象ボビンの入れ替わりが円滑に起き、繊維供給が継続される。その一方、第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceと第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseとの繊維接着固定範囲Wreにおける接着固定は(図2参照)、繊維供給対象ボビンの入れ替わりのタイミングとは別に実行可能となる。よって、本実施形態の繊維供給ユニット200を用いたFW装置100によれば、ボビンシャフト214に並べて保持した隣り合う繊維ボビンにおける第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceと第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseとの接着固定を図る時期を、ボビン交換の時に制限しないようにできる。
【0030】
本実施形態の繊維供給ユニット200を用いたFW装置100によれば、適宜な時期、例えば、ヘリカル巻きユニット100Hへの繊維供給開始前の段取りの時期や、フープ巻きユニット100Fにてライナー10へのフープ巻きがなされているためにヘリカル巻きユニット100Hによるヘリカル巻きが休止されている時期に、隣り合う繊維ボビンにおける第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceと第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseとの接着固定を予め図ることできる。このため、本実施形態の繊維供給ユニット200を用いたFW装置100によれば、繊維接着固定範囲Wreにおける繊維同士の接合固着を十分且つ確実に図った状態で、樹脂含浸カーボン繊維Wの継続供給が可能となることから、ヘリカル巻きの巻き品質の維持或いは向上を図ることができる。本実施形態の繊維供給ユニット200を用いたFW装置100は、ヘリカル巻きユニット100Hによるライナー10へのヘリカル巻きを、低速で行うので、樹脂含浸カーボン繊維Wの送り出しに伴う第1繊維ボビンB1のシャフト回りの回転速度は、5〜10m/分程度の低速度となる。このため、図3(E)に示したボビン補充の際に、第1繊維ボビンB1が繊維送り出しに伴い回転していても、その回転速度が上記のように低速であることから、回転している第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceを、補充された第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseに接着固定することが可能である。よって、第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceと第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseとを、高い自由度で確実に接着固定できる。
【0031】
本実施形態の繊維供給ユニット200を用いたFW装置100によれば、第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceと第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseとの接着固定を図る間の繊維のバッファ供給が不要となる。よって、FW装置の小型化や構成の簡略化を図ることができる。
【0032】
本実施形態の繊維供給ユニット200は、芯材Bcを貫通して第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2を保持したボビンシャフト214を、シャフト軸芯に沿って前後退可能に備える。その上で、本実施形態の繊維供給ユニット200は、第1繊維ボビンB1からヘリカル巻きユニット100Hへの繊維供給が完了すると、ボビンシャフト214を後退させて、繊維供給が完了した第1繊維ボビンB1の芯材Bcをボビンシャフト214から取り除き、ボビンシャフト214には、繊維供給が完了した第1繊維ボビンB1の芯材Bcを残さない。よって、本実施形態の繊維供給ユニット200によれば、ボビンシャフト214のその後の前進により、第2繊維ボビンB2を第1繊維ボビンB1の位置に置くようにして、樹脂含浸カーボン繊維Wの供給軌跡を元に戻すことができるので、供給軌跡の相違によるヘリカル巻きの巻き品質への影響を低減できる。これに加え、新たな第2繊維ボビンB2をボビンシャフト214に保持するよう補充できるので、樹脂含浸カーボン繊維Wの連続供給を図る上でも有益となる。
【0033】
本実施形態の繊維供給ユニット200を用いたFW装置100は、ライナー10に樹脂含浸カーボン繊維Wをフープ巻きするフープ巻きユニット100Fと、ライナー10に樹脂含浸カーボン繊維Wをヘリカル巻きするヘリカル巻きユニット100Hとを備え、繊維供給ユニット200でボビンシャフト214により保持した第1繊維ボビンB1および第2繊維ボビンB2の樹脂含浸カーボン繊維Wをヘリカル巻きユニット100Hに供給する。フープ巻きユニット100Fとヘリカル巻きユニット100Hとは、交互に繊維巻回のために駆動するので、フープ巻きユニット100Fによりライナー10に樹脂含浸カーボン繊維Wをフープ巻きしている間において、ヘリカル巻きユニット100Hを休止または停止させる。よって、本実施形態の繊維供給ユニット200を用いたFW装置100によれば、フープ巻きユニット100Fによりライナー10へのフープ巻きを実行している間のヘリカル巻きユニット100Hの休止または停止の期間において、隣り合う第1繊維ボビンB1と第1繊維ボビンB1における巻取開始端Wceと巻取終端Wseとの接着固定を予め確実に実行できるので、フープ巻きユニット100Fに続くヘリカル巻きユニット100Hによるヘリカル巻きを、支障なく速やかに開始して継続できる。
【0034】
図4は繊維供給ユニット200によるボビン保持の他の実施形態を模式的に示す説明図である。図示するように、この実施形態では、第1繊維ボビンB1および第2繊維ボビンB2の芯材Bcは、その両端に係合部Crを有する。よって、隣り合う第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2において、一方の繊維ボビンの芯材Bcと他方の繊維ボビンの芯材Bcとを、係合部Crの係合により、ボビンシャフト214のシャフト回りの回転伝達が可能に係合できる。このため、この実施形態の繊維供給ユニット200によれば、第1繊維ボビンB1からの繊維供給の間における第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2とのシャフト回りの同期回転を確実に起こすので、第2繊維ボビンB2からの不用意な繊維の巻き取り解除やこれに伴う繊維の垂れ下がり等の事象が起きないようにできる。
【0035】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0036】
上記の実施形態では、高圧ガスタンクのコア材であるライナー10を繊維巻回対象物としたが、ライナー以外の繊維巻回対象物に繊維を巻回するようにしてもよい。また、上記の実施形態では、第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2の両繊維ボビンに樹脂含浸カーボン繊維Wを巻き取り済みとしたが、熱硬化性樹脂の未含浸のカーボン繊維を巻き取るようにしてもよい。この場合には、既述した第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceを占める樹脂未含浸のカーボン繊維と、第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseを占める樹脂未含浸のカーボン繊維との絡み合わせと、熱硬化性樹脂Reによる熱硬化を図ることになる。そして、繊維案内ユニット300への繊維送り出しの際に、樹脂槽にカーボン繊維を沈め込む等して、樹脂含浸カーボン繊維Wとすればよい。
【0037】
上記の実施形態では、繊維供給ユニット200にて第1繊維ボビンB1と第2繊維ボビンB2の二つの繊維ボビンをボビンシャフト214にて保持するようにしたが、三つ以上の繊維ボビンをボビンシャフト214にて保持してもよい。
【0038】
上記の実施形態では、フープ巻きユニット100Fとヘリカル巻きユニット100Hとを有するFW装置100において、繊維供給ユニット200からヘリカル巻きユニット100Hに樹脂含浸カーボン繊維Wを供給したが、ヘリカル巻きユニット100Hのみを有するFW装置100に繊維供給ユニット200を適用できる。この場合には、第1繊維ボビンB1の巻取開始端Wceと第2繊維ボビンB2の巻取終端Wseとの接着固定は、繊維供給に先立つ段取りの時期、或いは、低速度での第1繊維ボビンB1の回転中に行えばよい。
【符号の説明】
【0039】
10…ライナー
10a…シリンダー部
10b…ドーム部
14…口金
100…FW装置(フィラメントワインディング装置)
100F…フープ巻きユニット
100H…ヘリカル巻きユニット
112…ライナー軸支シャフト
200…繊維供給ユニット
210…スタンドプレート
211…プレート凸部
212…スタンド枠
214…ボビンシャフト
216…供給側ボビンプレート
218…エンド側ボビンプレート
300…繊維案内ユニット
W…樹脂含浸カーボン繊維
Wt…繊維固定部位
Wce…巻取開始端
Wre…繊維接着固定範囲
Wse…巻取終端
B1…第1繊維ボビン
B2…第2繊維ボビン
Bc…芯材
Re…熱硬化性樹脂
Cr…係合部
図1
図2
図3
図4