特許第5986048号(P5986048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986048
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   G03G21/00 310
   G03G21/00 318
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-172710(P2013-172710)
(22)【出願日】2013年8月22日
(65)【公開番号】特開2015-41017(P2015-41017A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100183575
【弁理士】
【氏名又は名称】老田 政憲
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(72)【発明者】
【氏名】太田 克哉
(72)【発明者】
【氏名】中井 潤
【審査官】 齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−248865(JP,A)
【文献】 特開2006−259661(JP,A)
【文献】 特開平03−291685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に感光層を有する感光体ドラムと、該感光体ドラムに対向して配置され、該感光体ドラムの周面に当接することにより該周面を帯電させる帯電ローラーと、該帯電ローラーにより帯電した感光体ドラムの周面に露光を行うことで静電潜像を形成する露光装置と、上記感光体ドラムに対向して配置され、該感光体ドラムの周面の静電潜像を現像する現像ローラーと、上記現像ローラーよりもドラム回転方向の下流側に配置され、上記感光体ドラムの周面に当接することにより、該周面の異物を掻き取る第1クリーニング部材と、上記第1クリーニング部材よりもドラム回転方向の下流側で且つ上記帯電ローラーよりもドラム回転方向の上流側に配置されるとともに上記感光体ドラムの周面に当接して、該周面の異物を捕獲する第2クリーニング部材と、上記現像ローラーに連結され、上記感光体ドラムの周面に当接して回転することで該現像ローラー及び上記感光体ドラムの軸間距離を所定距離に保持する間隔保持コロと、上記第1クリーニング部材における上記感光体ドラムとの当接部のドラム軸方向の両端部をそれぞれシールする一対のシール部材と、を備えた画像形成装置であって、
上記一対のシール部材のドラム軸方向の外側端は、上記第1クリーニング部材のドラム軸方向の両端よりも外側に位置しており、
上記第2クリーニング部材のドラム軸方向の両端は、上記一対のシール部材のドラム軸方向の外側端よりも外側に位置し
上記間隔保持コロは、ドラム回転方向において、上記一対のシール部材よりも下流側に配置されているとともに、上記ドラム軸方向において、該間隔保持コロの少なくとも一部が該一対のシール部材の外側端よりも内側で且つ該一対のシール部材の内側端よりも外側に位置するとともに、該間隔保持コロのドラム軸方向の外側端が、上記第2クリーニング部材のドラム軸方向の両端よりも内側に位置するように配置されている、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
上記第2クリーニング部材におけるドラム軸方向の両端は、上記帯電ローラーのドラム軸方向の両端よりも外側に位置している、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、感光体ドラムに付着した残留トナー等の異物を除去するためのクリーニング部材を備えた画像形成装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。この画像形成装置は、図6に示すように、クリーニング部材として、クリーニングブレード131と帯電前クリーニングシート124とを備えている。クリーニングブレード131は、現像ローラー127aよりもドラム回転方向の下流側に配置されている。クリーニングブレード131は、その先端部を感光体ドラム121の周面に当接させることにより、該周面の異物を掻き取る。
【0003】
クリーニングブレード131のドラム回転方向の上流側部分では、シリカや酸化チタン等のトナー外添材が紙粉と合わさって凝集体に成長する。この凝集体は、例えば感光体ドラム121の起動時等にクリーニングブレード131の先端が感光体ドラム121の周面に引きずられて撓むことにより、該ブレード131をすり抜けてドラム回転方向の下流側に漏出する。上記帯電前クリーニングシート124は、この漏出した凝集体を帯電ローラー123aに付着しないように捕獲する役割を果たしている。具体的には、帯電前クリーニングシート124は、クリーニングブレード131よりもドラム回転方向の下流側で且つ帯電ローラー123aよりもドラム回転方向の上流側に配置されている。そして、帯電前クリーニングシート124は、その先端部を感光体ドラム121の周面に当接させることで上記凝集体を捕獲する。
【0004】
上記クリーニングブレード131のドラム軸方向の両端部にはそれぞれ、シール部材135が設けられている。シール部材135は、クリーニングブレード131の両端部から異物が漏出するのを防止する機能を有している。
【0005】
上記現像ローラー127aは、回転シャフト127cに回転一体に連結されている。回転シャフト127cの両端部にはそれぞれ間隔保持コロ127bが支持されている。各間隔保持コロ127bは、感光体ドラム121の周面に当接しながら回転することで、感光体ドラム121と現像ローラー127aとの軸間距離を所定距離に保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−248865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の画像形成装置では、帯電前クリーニングシート124(第2クリーニング部材)により捕獲された凝集体(異物)は、そのドラム軸方向の両端部からドラム回転方向の下流側に漏出する場合がある。漏出した異物はシール部材135のドラム回転方向の上流側部分に達してそこに堆積する。この異物の堆積量が所定量を超えると、異物がシール部材135と感光体ドラム121の周面との間に入り込む。入り込んだ異物は、図6の太線矢印で示すように、クリーニングブレード(第1クリーニング部材)131に堰き止められた後、ドラム軸方向の外側に移動してシール部材135よりもドラム回転方向の下流側に漏出する。この漏出した異物が、現像ローラー127aに連結された間隔保持コロ127bの周面に付着すると、現像ローラー127aと感光体ドラム121との軸間距離が予め設定した設定値よりも大きくなり、延いては、印刷画像の画質が低下するという問題がある。
【0008】
これに対して、間隔保持コロ127bを、シール部材135よりもドラム軸方向の外側に配置することが考えられる。しかしこの場合、間隔保持コロ127bを支持する回転シャフト127bの長さは勿論のこと、間隔保持コロ127bと当接する感光体ドラム121のドラム軸方向長さを増加させる必要がある。このため、装置全体の重量及び製造コストが著しく増加するという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置全体の重量及び製造コストを極力抑制しつつ、第2クリーニング部材のドラム軸方向の両端から漏出した異物が、感光体ドラムと現像ローラーとの間隔を保持する間隔保持コロに付着するのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、周面に感光層を有する感光体ドラムと、該感光体ドラムに対向して配置され、該感光体ドラムの周面に当接することにより該周面を帯電させる帯電ローラーと、該帯電ローラーにより帯電した感光体ドラムの周面に露光を行うことで静電潜像を形成する露光装置と、上記感光体ドラムに対向して配置され、該感光体ドラムの周面の静電潜像を現像する現像ローラーと、上記現像ローラーよりもドラム回転方向の下流側に配置され、上記感光体ドラムの周面に当接することにより、該周面の異物を掻き取る第1クリーニング部材と、上記第1クリーニング部材よりもドラム回転方向の下流側で且つ上記帯電ローラーよりもドラム回転方向の上流側に配置されるとともに上記感光体ドラムの周面に当接して、該周面の異物を捕獲する第2クリーニング部材と、上記現像ローラーに連結され、上記感光体ドラムの周面に当接して回転することで該現像ローラー及び上記感光体ドラムの軸間距離を所定距離に保持する間隔保持コロと、上記第1クリーニング部材における上記感光体ドラムとの当接部のドラム軸方向の両端部をそれぞれシールする一対のシール部材と、を備えている。
【0011】
そして、上記一対のシール部材のドラム軸方向の外側端は、上記第1クリーニング部材のドラム軸方向の両端よりも外側に位置しており、上記第2クリーニング部材のドラム軸方向の両端は、上記一対のシール部材のドラム軸方向の外側端よりも外側に位置し、上記間隔保持コロは、上記ドラム回転方向において、上記一対のシール部材よりも下流側に配置されているとともに、上記ドラム軸方向において、該間隔保持コロの少なくとも一部が該一対のシール部材の外側端よりも内側で且つ該一対のシール部材の内側端よりも外側に位置するとともに、該間隔保持コロのドラム軸方向の外側端が、上記第2クリーニング部材のドラム軸方向の両端よりも内側に位置するように配置されている。
【0012】
この構成によれば、上記第2クリーニング部材のドラム軸方向の両端は、上記一対のシール部材のドラム軸方向の外側端よりも外側に位置している。したがって、第2クリーニング部材のドラム軸方向の両端からドラム回転方向の下流側に漏出した異物が、シール部材のドラム回転方向の上流側部分に堆積するのを防止することができる。延いては、この堆積した異物がシール部材と感光体ドラムの周面との間からドラム回転方向の下流側に漏出して、間隔保持コロの周面に付着するのを防止することができる。よって、感光体ドラムと現像ローラーとの軸間距離を一定に保持して印刷画像の画質を向上させることができる。
【0013】
また、現像ローラーに連結された間隔保持コロを、シール部材よりもドラム軸方向の外側に配置したりする必要もない。よって、間隔保持コロと当接する感光体ドラムの軸方向長さを極力抑制して、延いては、装置全体の重量及び製造コストを抑制することができる。
【0014】
しかも、上記構成によれば、間隔保持コロの少なくとも一部は、ドラム軸方向において、シール部材の内側端よりも外側で且つシール部材の外側端よりも内側に位置している。したがって、間隔保持コロの周面にはシール部材から漏出した異物が付着し易く、かかる構成に対して本発明は特に有用である。そして、この構成によれば、現像ローラーに連結された間隔保持コロを、例えばシール部材よりもドラム軸方向の外側に配置した場合に比べて、間隔保持コロに当接する感光体ドラムの軸方向長さを短縮することができる。よって、装置全体の重量及び製造コストを抑制することができる。
【0015】
尚、本明細書において「異物」とは、画像形成に寄与しない感光体ドラムの周面の付着物を意味する。この異物としては、例えば、用紙に転写されずれに感光体ドラムの周面に残った残留トナーや、残留トナー内に含まれるシリカや酸化チタン等の外添材と紙粉との凝集体等が挙げられる。
【0016】
上記第2クリーニング部材におけるドラム軸方向の両端は、上記帯電ローラーのドラム軸方向の両端よりも外側に位置していることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、帯電ローラーのドラム回転方向の上流側から該帯電ローラーへと向かう異物を、第2クリーニング部材によって確実に捕獲することができる。よって、帯電ローラーの周面に異物が付着するのを防止し、延いては、印刷画像の画質を向上させることができる
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、装置全体の重量及び製造コストを極力抑制しつつ、第2クリーニング部材のドラム軸方向の両端から漏出した異物が、感光体ドラムと現像ローラーとの間隔を保持する間隔保持コロに付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態における画像形成装置としてレーザープリンターを示す前側から見た概略断面図である。
図2】レーザープリンターの画像形成部を示す拡大断面図である。
図3】サイドシールを拡大して示す斜視図である。
図4】感光体ドラム周りに配置されたクリーニング部材及び各種ローラーの配置を示す展開図である。
図5】帯電前クリーニングシートの幅(寸法B)と、両サイドシールのドラム軸方向の外側端同士の離間距離(寸法E)との大小関係を種々変更したときの、間隔保持コロへの異物の付着の有無を調査した結果を示す表である。
図6】従来例におけるレーザープリンターの感光体ドラム周りに配置されたクリーニング部材及び各種ローラーの配置を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
《実施形態1》
−全体構成−
図1は、本実施形態における画像形成装置としてのレーザープリンター1(以下、単にプリンターという)を示している。このプリンター1は、給紙部10、画像形成部20、定着部40、排紙部50、及び筐体60を有している。給紙部10から排紙部50に至る用紙搬送経路Lには、用紙Pを挟持して搬送する複数の搬送ローラー対11〜13が配置されている。
【0022】
上記給紙部10は、筐体60内の下部に配置されている。給紙部10は、シート状の用紙Pが収容される給紙カセット10aと、該給紙カセット10a内の用紙Pを取り出して該カセット外に送り出すためのピックアップローラー10bとを有している。給紙カセット10aよりカセット外に送り出された用紙Pは、搬送ローラー対11を介して画像形成部20に供給される。画像形成部20では、給紙部10より供給された用紙Pに対して所定の画像データに基づくトナー像を転写すると共に、該転写後の用紙Pを定着部40に供給する。定着部40では、画像形成部20より供給される用紙Pを定着ローラー40a及び加圧ローラー40b間で加圧することにより、当該用紙Pにトナー像を定着させる。そして、定着部40にてトナー像が定着された用紙Pは、両ローラー40a,40bにより下流側へと送り出される。定着部40より送り出された用紙Pは、複数の搬送ローラー対12,13によって、上記筐体60の上面部を凹ませてなる排紙部50へと排出される。
【0023】
−画像形成部の詳細−
図2に示すように、上記画像形成部20は、感光体ドラム21と露光装置25とを有している。感光体ドラム21の周囲には、帯電器23、現像器27、転写器29、クリーニング装置30、及び除電器37が、該感光体ドラム21の反時計回り方向にこの順で配置されている。感光体ドラム21における帯電器23のドラム回転方向の下流側近傍には露光位置Xが設定されている。露光装置25はこの露光位置Xに向けて光を照射するように構成されている。
【0024】
上記感光体ドラム21は、その軸心方向の両端部が閉塞された円筒状のドラム本体21aと、該ドラム本体21aの周面に全周に全周に亘って形成された感光層21bとを有している。ドラム本体21aは、例えばアルミニウムにより構成されている。感光層21bは、例えば正帯電型の単層有機感光体や多層無機感光体により構成されている。ドラム本体21aは、不図示のモーターにより図2の反時計回り方向に回転駆動される。
【0025】
上記帯電器23は、帯電ローラー23a及びブラシローラー23bを有している。帯電ローラー23aには帯電バイアスが印加されている。帯電器23aは、帯電ローラー23aを介して感光体ドラム21の周面を均一に帯電させる。帯電ローラー23aの周面は、感光体ドラム21の周面に当接している。帯電ローラー23aは、感光体ドラム21に対して平行に配置されている。帯電ローラー23aは、シャフトの周囲を弾性体で被覆して構成されている。弾性体は、半導電性部材である合成ゴムにより構成されている。
【0026】
ブラシローラー23bは、帯電ローラー23aの周面に接触して回転することにより、該周面に付着したトナー外添材を均一化する。これにより、帯電ローラー23aの周面にトナー外添材が固着するのを防止している。この帯電ローラー23a及びブラシローラー23bは、帯電ケース23c内に収容されている。帯電ケース23cにおけるドラム回転方向の上流側の面には、帯電前クリーニングシート24が固定されている。帯電前クリーニングシート24の詳細については後述する。
【0027】
上記除電器37は、この帯電器23のドラム回転方向の上流側に設けられている。除電器37は、感光体ドラム21の周面に光を照射することにより、上記帯電前の感光体ドラム21の周面の残留電荷を除去する。
【0028】
上記露光装置25は、感光体ドラム21の周面にレーザー光を照射することで、所定の画像データ(例えば、プリンター1が外部端末から受信した画像データ)に応じた静電潜像を形成する。
【0029】
上記現像器27は、現像ローラー27aと、第1及び第2撹拌ローラー27d,27eとを有している。現像ローラー27aは、感光体ドラム21に対向して配置されている。現像ローラー27は、感光体ドラム21に対して平行に配置されている。現像ローラー27の周面と感光体ドラム21の周面との間には隙間が設けられている。この隙間は、後述する間隔保持コロ27bによって一定に保持される。現像ローラー27a及び第1及び第2撹拌ローラー27d,27eは、現像ハウジング27f内に収容されている。現像ハウジング27の上面にはトナーコンテナ28(図1参照)が装着されている。そして、トナーコンテナ28より現像ハウジング27内にトナーが供給されるようになっている。現像ハウジング27内に供給されたトナーは、第1及び第2撹拌ローラー27d,27eにより撹拌されると共に帯電される。現像ローラー27aは、この撹拌されたトナーをその周面に付着させて感光体ドラム21の周面に移行させる。そうして、現像ローラー27aによって、感光体ドラム21の周面の静電潜像がトナー像として顕像化される。
【0030】
現像ローラー27aは、回転シャフト27cに回転一体に支持されている。回転シャフト27cは、不図示の軸受を介して筐体60に回転可能に支持されている。回転シャフト27cの両端部にはそれぞれ、現像ローラー27aよりも大径の間隔保持コロ27bが支持されている。そうして、間隔保持コロ27bは、回転シャフト27cを介して現像ローラー27aに連結されている。この間隔保持コロ27bは、その周面を感光体ドラム21の周面に当接させることにより該感光体ドラム21と現像ローラー27aとの軸間距離(延いては、感光体ドラム21と現像ローラー27aとの隙間)を一定に保持する。
【0031】
上記転写器29は、転写バイアスが印加された転写ローラー29aを有している。上記感光体ドラム21の周面に形成されたトナー像は、用紙Pが感光体ドラム21と転写ローラー29aとの間を通過する際に該用紙Pに転写される。
【0032】
上記クリーニング装置30は、感光体ドラム10に対して現像装置27側とは反対側に配置されている。クリーニング装置30は、クリーニングブレード31、クリーニングローラー32、回収スクリュー33、及びクリーニングケース34を有している。クリーニングローラー32は、感光体ドラム21に所定の圧力で圧接されていて、ドラム21の周面に付着した異物を摩擦研磨により除去する。クリーニングローラー20の周面には、板状のトナー規制板36が当接している。トナー規制板36は、クリーニングローラー20の周面に形成されたトナー層の厚みを所定の厚み以下に規制するために設けられている。
【0033】
クリーニングブレード31は、ドラム軸方向に延びる矩形板をなしている。クリーニングブレード31は、ドラム軸方向から見て、基端部(上端部)がクリーニングケース30に固定され且つ先端部(下端部)がドラム21の周面に当接するように配置されている。クリーニングブレード31の先端部は、感光体ドラム21の周面におけるクリーニングローラー32との当接部よりもドラム回転方向の下流側に位置している。そして、クリーニングブレード31は、感光体ドラム21の周面の異物を掻き取ってクリーニングケース34内に落下させる。クリーニングブレード31によって感光体ドラム21の周面から掻き落とされた異物は、回収スクリュー33によってクリーニング装置30の外部に排出される。排出された残留トナーは、不図示の回収容器に回収される。ここで、異物とは、転写ローラー29によって用紙Pに転写されずに感光体ドラム21の周面に残った残留トナーや、残留トナーに含まれる外添材と紙粉との凝縮体等が含まれる。
【0034】
クリーニングブレード31の両端部にはそれぞれシール部材としてのサイドシール35が設けられている。各サイドシール35は、例えばウレタンフォームやフェルトにより構成されている。詳しくは、各サイドシール35は、図3に示すように、シール本体部35aと第1固定片部35bと第2固定片部35cとを有するT字状部材からなる。シール本体部35aはドラム軸方向に延びる矩形板状に形成されている。シール本体部35aは、クリーニングブレード31の先端部におけるドラム軸方向の両端部をドラム回転方向の上流側から覆うように配置されている。シール本体部35aは、クリーニングブレード31及び感光体ドラム21の双方に当接している。第1及び第2固定片部35b,35cは、シール本体部35aのドラム軸方向の外側端部に連接されている。シール本体部35aは、この第1及び第2固定片部35b,35cを介して筐体60に固定されている。第1固定片部35bは、クリーニングブレード31のドラム軸方向の外側端面に当接している。そして、各サイドシール35は、クリーニングブレード31によって掻き取った異物がそのドラム軸方向の両端から漏出するのを防止する役割を果たしている。
【0035】
ところで、感光体ドラム21の起動時には、クリーニングブレード31の先端部が該ドラム21の周面に引きずられてドラム回転方向の下流側に撓む。このため、クリーニングブレード31によって掻き取った異物(例えば上記凝縮体)が、クリーニングブレード31の先端部と感光体ドラム21の周面との間をすり抜けてドラム回転方向の下流側に漏出する場合がある。この漏出した異物が帯電ローラー23aに付着すると、感光体ドラム21の周面に帯電ムラが生じて印刷画像の画質が低下するという問題がある。この問題を回避するために、帯電ローラー23aのドラム回転方向の上流側には、帯電前クリーニングシート24が設けられている。
【0036】
この帯電前クリーニングシート24は、ドラム軸方向に延びる矩形状のシートである。帯電前クリーニングシート24は、例えば、ウレタン、エステル系ゴム、又は発泡ゴムにより構成されている。帯電前クリーニングシート24の基端側は、帯電器23の帯電ケース23cに固定されている。一方、帯電前クリーニングシート24の先端側は、ドラム回転方向の下流側に撓んだ状態で感光体ドラム21の周面に当接(接触)している。帯電前クリーニングシート24におけるドラム軸方向の両端は、帯電ローラー23aのドラム軸方向の両端よりも外側に位置している。そして、帯電前クリーニングシート24は、クリーニングブレード31をすり抜けた異物(つまり、クリーニングブレード31によって除去できなかった異物)を捕獲する。
【0037】
図4に示すように、クリーニングブレード31、帯電前クリーニングシート24、帯電ローラー23a、及び現像ローラー27aは全て、ドラム軸方向に延びていて、互いに平行に配置されている。クリーニングブレード31、帯電前クリーニングシート24、帯電ローラー23a、及び現像ローラー27aのドラム軸方向の中央位置は、感光体ドラム21の軸方向の中央位置に一致している。現像ローラー27aに連結された両間隔保持コロ27bは、感光体ドラム21のドラム軸方向の中央位置を挟んで対称に配置されている。
【0038】
図4では、帯電ローラー23aのドラム軸方向の長さをAとし、帯電前クリーニングシート24のドラム軸方向の長さをBとし、クリーニングブレード31の感光体ドラム21との当接部のうちシール部材35によりシールされていない部分(以下、有効掻取部31aという)のドラム軸方向の長さをCとし、両間隔保持コロ27b間の離間距離をDとし、両サイドシール35のドラム軸方向の外側端同士の離間距離をEとしている。
【0039】
そして、本実施形態では、A<C<D<E<Bの関係を満たしている。従来例では、図6に示すように、A<C<B<D<Eとなっており、本実施形態では、従来例と比較して寸法B及び寸法Eの大小関係が逆転している。
【0040】
すなわち、帯電前クリーニングシート24におけるドラム軸方向の両端は、従来例では、一対のサイドシール35のドラム軸方向の外側端よりも内側に位置しているのに対し、本実施形態では、一対のサイドシール35のドラム軸方向の外側端よりも外側に位置している。
【0041】
したがって、本実施形態では、帯電前クリーニングシート24のドラム軸方向の両端からドラム回転方向の下流側に漏出した異物が、従来例の如くサイドシール35のドラム回転方向の上流側部分に堆積するのを防止することができる。延いては、この堆積した異物が、サイドシール35と感光体ドラム21の周面との間からドラム回転方向の下流側に漏出して、間隔保持コロ27bの周面に付着するのを防止することができる。よって、感光体ドラム21と現像ローラー27aとの軸間距離を一定に保持して、印刷画像の画質を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態では、上記間隔保持コロ27bは、上記ドラム軸方向において、サイドシール35の外側端よりも内側で且つ該サイドシール35の内側端よりも外側に位置するとともに、該間隔保持コロ27bのドラム軸方向の外側端が、上記帯電前クリーニングシート24のドラム軸方向の両端よりも内側に位置するように配置されている(C<D<E)。
【0043】
この構成によれば、例えば間隔保持コロ27bをサイドシール35よりもドラム軸方向の外側に配置した場合に比べて、間隔保持コロ27bを支持する回転シャフト27cの長さ及び間隔保持コロ27に当接する感光体ドラム21のドラム軸方向の長さを短縮することができる。延いては、プリンター1全体の重量及び製造コストを低減することができる。
【0044】
よって、本実施形態では、プリンター1全体の重量及び製造コストを抑制しながら、帯電前クリーニングシート24のドラム軸方向の両端から漏出した異物が、間隔保持コロ27bに付着するのを防止することができる。
【0045】
《実施例》
上記実施形態の構造で実際に実験を行った。実験に使用したプリンター1の仕様は以下の通りである。
<モノクロプリンター>
感光体ドラム:A−Siドラムφ30mm
線速410mm/s
現像方式 :磁性一成分現像
現像ローラー:外径φ20mm
間隔保持コロ:外径φ20.6mm
転写部材 :外径φ20mmのローラー
φ8金属軸+EPDM発泡体(発泡体厚み6.0mm)
抵抗6.5logΩ
帯電方式 :接触帯電ローラー方式
帯電ローラー:エピクロヒドリンゴム φ12mm(軸φ6mm)
ブラシローラー:φ10mm 6デニール 180KF/inch2 毛長さ2.5mm
<クリーニング装置>
クリーニングブレード:ウレタンゴム 厚さt=2.0mm
クリーニングローラー:EPDMφ14mm(軸φ10mm)
対感光体線速比1.2(順方向回転)
感光体ドラムへの荷重 駆動側15N 従動側9N
トナー規制板 :SUS 厚みt=0.05mm
クリーニングローラーへの食い込み量0.5mm
圧接角:12°
帯電前クリーニングシート:熱可塑性ウレタンシー 厚さt=0.2mm
感光体ドラムへの食い込み量1.3mm
以上のように構成されたプリンター1において、帯電前クリーニングシート24のドラム軸方向の長さ(寸法B)と、両サイドシール35のドラム軸方向の外側端同士の離間距離(寸法E)との大小関係を種々変更して印刷テストを行った。そして、印刷テスト後に、間隔保持コロ27bの周面への異物(本実験では、トナー外添材と紙粉との凝縮体)の付着の有無を調査した。
【0046】
印刷テストでは、2万枚の用紙に対して1枚ごとの間欠印刷を実施した。間欠印刷の場合、感光体ドラム21を停止させた後に起動するという動作を繰り返す。このため、感光体ドラム21が起動する度に、クリーニングブレード31の先端部が感光体ドラム21に引きずられてドラム回転方向に撓む。このとき、クリーニングブレード21の先端縁に堆積した異物がブレード31と感光体ドラム21との間からドラム回転方向の下流側に漏出して、間隔保持コロ27bへの異物の付着の問題が生じ易い。本実験では、このように、間隔保持コロ27bへの異物の付着が生じ易い環境を故意に作り出した上で実験を行った。
【0047】
図5は、その結果を示した表である。表中の「有り」は、間隔保持コロ27bの周面への異物の付着が有ることを示し、「無し」は異物の付着が無いことを示している。この表によれば、B<Eの関係を有する比較例1〜3では、間隔保持コロ27bの周面に異物が付着したのに対し、E<Bの関係を有する実施例1及び実施例2では、間隔保持コロ27bの周面に異物が付着しなかったことが分かる。
【0048】
《他の実施形態》
上記実施形態では、上記現像ローラー27aの周面と感光体ドラムd21の周面との間には隙間が設けられているが、これに限ったものではなく、例えば両者が当接していてもよい。
【0049】
上記実施形態では、間隔保持コロ27b全体が、ドラム軸方向において、サイドシール35の内側端よりも外側で且つサイドシール35の外側端よりも内側に位置している。しかし、これに限ったものではなく、間隔保持コロ27bの少なくとも一部が、ドラム軸方向において、サイドシール35の内側端よりも外側で且つサイドシール35の外側端よりも内側に位置していてもよい。
【0050】
上記実施形態では、一対の間隔保持コロ27bを設けるようにしているが、これに限ったものではなく、間隔保持コロ27bは1つだけであってもよい。
【0051】
上記実施形態では、画像形成装置の一例として、レーザープリンター1について説明したが、画像形成装置は、これに限らず、例えば複写機、スキャナ装置、又は複合機等の他の画像形成装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本発明は、感光体ドラムの周面の異物を除去するためのクリーニング部材を備えた画像形成装置に有用であり、特に、現像ローラーと感光体ドラムとの間隔を所定距離に保持するための間隔保持コロを備えた画像形成装置に有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 プリンター(画像形成装置)
21 感光体ドラム
23a 帯電ローラー
24 帯電前クリーニングシート(第2クリーニング部材)
25 露光装置
27a 現像ローラー
27b 間隔保持コロ
27c 回転シャフト
31 クリーニングブレード(第1クリーニング部材)
35 サイドシール(シール部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6