特許第5986067号(P5986067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986067
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】バルブシステム
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/08 20060101AFI20160823BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20160823BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20160823BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   F16K31/08
   F16K31/04 A
   F16K37/00 M
   F16K27/02
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-504577(P2013-504577)
(86)(22)【出願日】2012年3月16日
(86)【国際出願番号】JP2012001857
(87)【国際公開番号】WO2012124349
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2015年3月6日
(31)【優先権主張番号】特願2011-59357(P2011-59357)
(32)【優先日】2011年3月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594142311
【氏名又は名称】株式会社ティアンドデイ
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】両角 章夫
(72)【発明者】
【氏名】福田 学
(72)【発明者】
【氏名】二木 真弥
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開平4−10173(JP,U)
【文献】 特開2000−220757(JP,A)
【文献】 実開昭61−173876(JP,U)
【文献】 特開昭60−4684(JP,A)
【文献】 米国特許第5169117(US,A)
【文献】 特開昭62−213864(JP,A)
【文献】 米国特許第3747892(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/08
F16K 27/02
F16K 31/04
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポートの間の流体の流れを制御するバルブ要素を含む本体と、
前記本体に着脱可能な操作ユニットとを有し、
前記本体は、外部から磁力により操作され、前記バルブ要素を直接的または間接的に駆動する永久磁石を含む駆動要素と、
前記バルブ要素および前記駆動要素を収納し、前記複数のポートが配管にそれぞれ接続された状態では水密性の第1のハウジングとを含み、
前記第1のハウジングは、前記駆動要素が内部で上下に動く凸部を含み、
前記操作ユニットは、前記駆動要素を操作する磁場を発生する永久磁石を含む操作要素と、
電池と、
前記電池駆動で前記操作要素を操作する電動アクチュエータと、
前記電動アクチュエータを制御する制御ユニットと、
前記操作要素、前記電池、前記電動アクチュエータおよび前記制御ユニットを収納する第2のハウジングとを含み、
前記第2のハウジングは、前記凸部が挿入される凹部を含み、前記凸部および前記凹部の組み合わせは、前記操作要素と前記駆動要素とが前記凸部の壁体の一部および前記凹部の壁体の一部を介して対向し前記電動アクチュエータにより前記駆動要素に対向する前記操作要素の永久磁石の磁極が変わる部分と、前記凸部の一部が前記凹部に挿入された状態で係合し前記第2のハウジングを前記第1のハウジングに取り付ける部分とを含む、バルブシステム。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のハウジングは、前記複数のポートを除き密閉されている、バルブシステム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記操作ユニットは、表示パネルを含み、
前記操作ユニットは、前記凸部の周りに前記第2のハウジングを任意の角度で回転させた位置で取り付けられる、バルブシステム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記凸部および前記凹部の組み合わせは、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングの少なくともいずれかに対し偏心した位置に設けられている、バルブシステム。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれかにおいて、
前記駆動要素は、流体を介して前記バルブ要素を駆動するパイロットバルブを含む、バルブシステム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、
前記凹部は、多段階に奥側が狭くなるように円筒状に凹んだ部分を含み、入口側に、前記凸部の周りに設けられた爪部が噛み合い係合する、バルブシステム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記操作ユニットは、前記制御ユニットにより前記操作要素を動かすスケジュールをセットする第1の操作部を含む、バルブシステム。
【請求項8】
請求項において、
前記操作ユニットは、さらに、前記制御ユニットにより前記操作要素をマニュアルで操作する第2の操作部を含む、バルブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れを制御するバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
国際公開WO2009/060860号公報には、永久磁石式アクチュエータと直接的または間接的に接続されたバルブが記載されている。永久磁石式アクチュエータは、第1の方向に互いに対向する第1の永久磁石および第2の永久磁石を有し、動作伝達体によりN極とS極とが反転するように第1の永久磁石を回転させて第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に、引力(吸引力)と斥力(反発力)とを交互に発生させ、第2の永久磁石を第1の方向に往復動させることによりバルブを操作する。
【0003】
日本国特開2010−59783号公報には、保守が容易で信頼性が高い自動流水装置を提供することが記載されている。この文献の自動流水装置は、本体を含むトイレ流水装置であって、この本体が、供給ラインに通じる流入口及び流水導管に通じる流出口と、リップシールにおける、柔軟な部材の密閉作用の際に該流入口及び該流出口間の水流を閉鎖し、該流入口から該流出口への流れを制御するように配置されている本体内のバルブアセンブリと、該可動部材の動作を作動させるアクチュエータとを有する。
【0004】
電池式のバルブシステムにおいて、電池交換などのためにアクチュエータが取り外しできるものがある。上記の流水装置においては、バルブ本体に内蔵されたバネ力によりバルブ要素をシートに押しつけて流路への水の流れを阻止するようにしている。しかしながら、バネ力が不足していたり、バルブ要素とシートの密着性が不足しているなどの要因により水漏れが発生することは多い。また、パイロットバルブを使用しているバルブにおいては、パイロットバルブから水漏れが発生することがある。したがって、水漏れの発生がなく、電池交換などのために簡単に操作部分が取り外しできたり、交換できるバルブが要望されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、複数のポートの間の流体の流れを制御するバルブ要素を含む本体と、本体に着脱可能な操作ユニットとを有するバルブシステムである。本体は、バルブ要素を直接的または間接的に駆動する永久磁石を含む駆動要素であって、外部から磁力により操作される駆動要素と、バルブ要素および駆動要素を収納する第1のハウジングであって、複数のポートが配管にそれぞれ接続された状態では水密性の第1のハウジングとを含む。第1のハウジングは、駆動要素が内部で上下に動く凸部を含む。操作ユニットは、駆動要素を操作する磁場を発生する永久磁石を含む操作要素と、電池と、電池駆動で操作要素を操作する電動アクチュエータと、電動アクチュエータを制御する制御ユニットと、操作要素、電池、電動アクチュエータおよび制御ユニットを収納する第2のハウジングとを含む。第2のハウジングは、凸部が挿入される凹部を含み、凸部および凹部の組み合わせは、操作要素と駆動要素とが凸部の壁体の一部および凹部の壁体の一部を介して対向し電動アクチュエータにより駆動要素に対向する操作要素の永久磁石の磁極が変わる部分と、凸部の一部が凹部に挿入された状態で係合し第2のハウジングを第1のハウジングに取り付ける部分とを含む。
【0006】
このバルブシステムは、本体の第1のハウジングが、典型的には、複数のポートを除き密閉型で、バルブ要素および駆動要素を外部から物理的に直に触れられない状態で覆う。したがって、バルブ要素や駆動要素から外部に水漏れする可能性を排除でき、操作ユニットを取り外したときに、本体から水漏れが発生する恐れを排除できる。本体の第1のハウジングがバルブ要素および駆動要素を機械的にはアクセスできない状態で収納するが、本体に操作ユニットを取り付けると、操作要素と駆動要素とが自律的に対向し、操作要素が磁力(磁場)を介して駆動要素を動かす。その結果、本体側では、駆動要素がバルブ要素を動かし、流体の流れを制御できる。
【0007】
第1のハウジングの壁体の一部が凸部で第2のハウジングの壁体の一部が凹部である。
【0008】
操作ユニットが表示パネルを含む場合は、第2のハウジングは、第1のハウジングに対し、位置を決める構造の周りに角度が変わるように取り付けられることが望ましい。第1のハウジングと第2のハウジングとの位置を決める構造の一方が円柱状であれば、その周りを回るように第2のハウジングを第1のハウジングに組み合わせでき、本体に対する表示パネルの位置または向きを調節できる。位置を決める構造を、第1のハウジングおよび第2のハウジングの少なくともいずれかに対し偏心した位置に設けることも有効である。
【0009】
駆動要素の1つは、バルブ要素を、流体を介して駆動するパイロットバルブである。パイロットバルブを介してバルブ要素を制御することにより、操作要素により駆動要素を操作するための力および/または変位量を低減できる。
【0010】
操作ユニットは、駆動要素を一方向に動かす磁場を供給するものであってもよい。操作ユニットを取り付けることによりバルブ要素を開または閉に固定することができる。操作ユニットは、操作要素を駆動する電動アクチュエータと、電動アクチュエータを制御する制御ユニットとを含むことが望ましい。制御ユニットがプログラマブルであれば、操作ユニットを本体から取り外して制御ユニットをプログラムできる。操作ユニットは、制御ユニットにより操作要素を動かすスケジュールをセットする第1の操作部を含むことが望ましい。さらに、操作ユニットは、制御ユニットにより操作要素をマニュアルで操作する第2の操作部を含むことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】バルブシステムの概要を示す斜視図。
図2】本体から操作ユニットを離した状態を示す斜視図。
図3】バルブシステムの概略構成を示す断面図。
図4】バルブシステムの概略構成を示す断面図であり、本体から操作ユニットを離した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、本体10と、本体10に対して着脱可能な操作ユニット20とを有するバルブシステム(バルブ)1の概要を示している。図2にバルブシステム1の本体10から操作ユニット20を取り外した状態を示している。このバルブシステム1は、第1の配管またはホース8と、第2の配管またはホース9とを接続し、それらのホース8および9の間の流体、典型的には水の流れを制御する機能を備えている。
【0013】
図3にバルブシステム1の内部の概略構成を本体10に操作ユニット20が装着された状態で示している。図4にバルブシステム1の内部の概略構成を本体10から操作ユニット20が取り外された状態で示している。
【0014】
バルブシステム1の本体10は、ホース8および9を接続する2つのポート12および13と、ポート12および13を接続する流路14とを形成するバルブハウジング(バルブボディー、第1のハウジング)11と、流路14を開閉するダイアフラム(バルブ要素)15とを含む。バルブハウジング11およびダイアフラム15はPTFEなどの樹脂製である。ダイアフラム15はハウジング11の上部のバルブ室17内を上下に動いてハウジング11内の流路14を開閉する。すなわち、ダイアフラム15が下方に動いて流路14内のパーティション16と接触(密着)するとポート12および13の間の水の流通をオフでき、ダイアフラム15が上方に動いてパーティション16から離れるとポート12よび13の間の水の流通をオンできる。
【0015】
本体10は、さらに、ハウジング11の内部に、ダイアフラム15を流体を介して駆動するパイロットバルブ30を含む。パイロットバルブ30はダイアフラム15の上部のバルブ室17と流路35を介して連通するパイロットバルブ室31と、パイロットバルブ室31内を上下に動いてパイロットバルブ室31とポート13との流路36を開閉するパイロットバルブ要素(パイロット弁体、駆動要素)33とを含む。パイロットバルブ要素33は、N極およびS極を備えた磁性体、典型的には永久磁石(棒磁石)を含み、外部から与えられる磁場によりパイロットバルブ室31の内部を上下に動く。
【0016】
このバルブシステム1においては、ポート12からポート13に流れる流体の圧力を用いてバルブ要素であるダイアフラム15を駆動して流体をオンオフできる。まず、ポート12から流入した流体は、ダイアフラム15またはハウジング11に設けられた流路18を通ってバルブ室17に流入する。パイロットバルブ30が閉じていると、バルブ室17と下流のポート13とは分離されている。このため、バルブ室17に流入した流体の圧力(差圧)によりダイアフラム15がパーティション16に密着して流路14を閉じる。パイロットバルブ30が開いていると、バルブ室17と下流のポート13とはパイロットバルブ30を介して連通している。このため、バルブ室17と下流のポート13との間にダイアフラム15により流路14を締め切る差圧は発生せず、ダイアフラム15がパーティション16から離れて流路14が開く。
【0017】
バルブハウジング11の壁体の一部は、パイロットバルブ要素33を収納する部分が上方に円筒状に突出した凸部11aとなっており、操作ユニット20を凸部11aに着脱できるようになっている。バルブハウジング11の凸部11aの外側には操作ユニット20を取り付ける際のストッパとなる爪部19が取り付けられている。したがって、このバルブシステム1においては、バルブハウジング11の凸部11aおよび後述する操作ユニットのハウジング24の凹部24cが、バルブハウジング11に操作ユニットのハウジング24を取り付ける際の位置を決める構造となっている。
【0018】
本体10に着脱される操作ユニット20は、パイロットバルブ要素33を操作する磁場を形成する磁性体、典型的にはS極およびN極を備えた永久磁石(棒磁石)を含む操作要素21と、操作要素21を適当な角度単位、たとえば180度ピッチで回転してパイロットバルブ要素33を操作する磁場の方向を制御する電動アクチュエータ22と、電動アクチュエータ22を制御する制御ユニット23と、これらを収納した樹脂製のハウジング(第2のハウジング、コントロールボックス)24とを含む。また、操作ユニット20には、バッテリー29が収納されている。
【0019】
電動アクチュエータ22はソレノイドタイプであってもよい。この例では、電動アクチュエータ22は、操作要素である棒磁石21を180度ピッチで回転するゼネバ25と、ゼネバ25を駆動する駆動ピン26aを備えた平歯型の駆動ギア26と、駆動ギア26を駆動するウォームギア27と、ウォームギア27を駆動する電動モーター28とを含む。90度あるいは180度といった適当な角度単位で回転するゼネバ25と、ゼネバ25を適当な輪列を介して駆動する電動モーター28との組み合わせにより、操作要素21の状態、たとえば、オンオフの状態をゼネバ25の動きにより断続的に制御できる。
【0020】
さらに、この電動アクチュエータ22は電動モーター28を動かさない限り状態が変わらない。このため、状態を維持するための電力は消費しない。したがって、ゼネバ25と電動モーター28とを組み合わせることにより、ソレノイドタイプのアクチュエータと比べて、低コストでコンパクトであり、さらに消費電力が非常に小さい電動アクチュエータ22を提供できる。このため、電池駆動で配線が不要であり、たとえば、リチウム電池1本で12カ月間サービスするようなバルブシステム1を提供できる。
【0021】
制御ユニット23は、CPU、メモリなどの汎用のコンピュータハードウェア資源が搭載されたプリント基板41と、ディスプレイ42が搭載された操作パネル43とを含む。操作パネル43は、図1に示しているように、ディスプレイ(表示パネル)42と、操作ボタン(操作部)44および45とを含む。ディスプレイ42は、バルブシステム1の状態、バルブ開閉のプログラムを支援する機能、現在時刻、電池残量などを表示する機能を含む。プリント基板41は、バルブ開閉をプログラム制御する機能を含み、操作ボタン(第1の操作部)44はプログラムを設定する機能を含む。具体的には、操作ボタン44により、バルブを開閉する時刻を設定したり、バルブを開けておいたり閉めておいたりする時間を設定したりことができる。このバルブシステム1においては操作ユニット20の制御ユニット23が操作要素である棒磁石21をプログラム制御し、その結果、バルブ要素であるダイアフラム15がプログラム制御される。したがって、このバルブシステム1を用いることにより、タイマーで潅水開始時間を制御したり、何時間置きまたは何日置きに水やりをするといった制御が可能である。
【0022】
操作ボタン(第2の操作部)45は、ディスプレイ42の表示を切り替えたり、操作ボタン44により設定された数値を決定したりする機能を含む。さらに、操作ボタン45は、長押し(2秒以上)することにより、操作要素の棒磁石21を、ダイアフラム15を開に制御する状態にセットできる。その後、操作ボタン45を再度押すことにより、棒磁石21を、ダイアフラム15を閉に制御する状態にセットできる。
【0023】
したがって、このバルブシステム1においては、本体10を配管またはホースに取り付けた後に、操作ユニット20を本体10から取り外し、操作ボタン44および45を用いてプログラム設定を行うことができる。たとえば、複数のバルブシステム1の操作ユニット20を一か所に集めてタイマーの設定・変更を行うことが可能である。また、本体10に操作ユニット20を取り付けた状態で、操作ボタン45を用いてマニュアルでバルブシステム1をオンオフすることも可能である。
【0024】
さらに、制御ユニット23のプリント基板41には無線モジュールを搭載しており、無線通信により離れた場所からバルブを開閉したり、バルブ開閉のタイマー設定を変更したりすることが可能である。また、操作パネル43に人感センサー、温度センサー、煙センサーなど多種多様なセンサーを搭載可能であり、このバルブシステム1を潅水システムだけではなく、トイレ流水システムや消火システムを含めた多種多様なアプリケーションに使用することができる。
【0025】
操作ユニット20のハウジング24は、ハウジング24の壁体の一部が操作要素21に向かって多段階に狭くなるように円筒状に凹んだ部分(凹部)24aを備えている。凹んだ部分24aにバルブハウジング11の凸部11aを挿入することにより操作ユニット20を本体10に取り付けできる。操作ユニット20のハウジング24の凹んだ部分24aの入口側24bは、奥側24cに対して広く、バルブハウジング11の凸部11aの周囲に設けられた爪部19が入り込んで止まる(係合する)ように外側に広がる階段状になっている。凹部24の入口側24bの内面は凸凹状に加工されており、凸部11aの周囲の爪部19と噛み合い、凸部11aの周りに操作ユニット20を回転させたどの位置でもバルブハウジング11に対して操作ユニット20のハウジング24を取り付けることができる。また、ハウジング24の凹んだ部分24aの奥側24cは、バルブハウジング11の凸部11aが確実に収まるように凸部11aより若干広い程度で凸部11aの外径にほぼ等しい内径の円筒状の凹みとなっている。
【0026】
バルブハウジング11の凸部11aが操作ユニット20のハウジング24の凹んだ部分24に収まると、操作ユニット20の操作要素21がパイロットバルブ要素33とバルブハウジング11の壁体11wの一部および操作ユニット20のハウジング24の壁体24wの一部を介して対峙(対向)する。壁体11wおよび24wは樹脂製で磁界が貫通する。したがって、操作要素21がゼネバ25を介して回転制御され、操作要素21とパイロットバルブ要素33との対向する側が同極になると、磁力によりパイロットバルブ要素33は押し下げられてパイロットバルブ30が閉じ、バルブ要素15により流路14は閉になる。一方、操作要素21がゼネバ25を介して回転制御され、操作要素21とパイロットバルブ要素33との対向する側が異極になると、磁力によりパイロットバルブ要素33は引き上げられてパイロットバルブ30が開き、バルブ要素15により流路14は開になる。
【0027】
このように、本体10および操作ユニット20を含むバルブシステム1においては、パイロットバルブ要素33が操作ユニット20の操作要素21により磁場を介して制御される。したがって、バルブ要素であるダイアフラム15およびダイアフラム15を駆動するパイロットバルブ30の操作を機械的に行う必要がない。このため、バルブ要素であるダイアフラム15およびダイアフラム15を駆動するパイロットバルブ30を、バルブハウジング(第1のハウジング)11により機械的にはアクセスできない状態で密閉収納し、バルブハウジング11に対して着脱できる操作ユニット20でダイアフラム15を操作するバルブシステム1を提供できる。したがって、バルブハウジング11は、両側のポート12および13を除いて水密性の高いハウジングにできる。このため、ポート12および13に配管8および9を接続し、配管8および9に通水した状態でバルブハウジング11から操作ユニット20を取り外したときにバルブハウジング11から水が溢れ出したり、水漏れが発生したりすることを防止できる。
【0028】
さらに、このバルブシステム1においては、バルブハウジング11および操作ユニット20のハウジング24は相互に嵌め込まれる凸部11aおよび凹部24aを含み、バルブハウジング11の凸部11aを操作ユニット20のハウジング24の凹部24aに挿入することにより本体10に操作ユニット20を機械的に取り付けできる。バルブハウジング11の凸部11aには、永久磁石(棒磁石)を含むパイロットバルブ要素33が収納され、操作ユニット20のハウジング24には、凹部24aに面するように、永久磁石(棒磁石)を含む操作要素21が収納されている。したがって、本体10に操作ユニット20を機械的に取り付けるだけで、パイロットバルブ要素33と操作要素21とがハウジング11の壁体11wおよびハウジング24の壁体23wを介して対向する。このため、バルブシステム1においては、操作ユニット20を本体10に取り付けるだけで、操作要素21から磁場を介してパイロットバルブ要素33を制御できる構成が自動的(自律的)に成立する。
【0029】
バルブ本体10の凸部11aと、操作ユニット20の凹部24aは、着脱可能に相互を取り付ける機能と、相互の位置を決める機能を備えている構成である。このため、バルブ本体10から操作ユニット20を簡単に着脱できる。したがって、電池交換の時などに、だれでも簡単に操作ユニット20をバルブ本体10に対して着脱できる。また、バルブシステム1の取り付け位置が操作しにくい場所であれば、操作ユニット20を取り外して、操作しやすい状態でユーザーが操作パネル43を操作してバルブシステム1を設定したり、開閉機能をプログラミングできる。また、バルブ本体10と操作ユニット20とを取り付ける凸部11aおよび凹部24aは円筒または円柱状になっているので、バルブ本体10の凸部11aの周りに、ユーザーが希望する角度で操作ユニット20を取り付けることが可能である。
【0030】
また、バルブ本体10の凸部11aは、バルブ本体10の中心、すなわち、バルブハウジング11の中心ではなく、一方のポート13の方に偏心した位置に設けられている。したがって、バルブ本体10に操作ユニット20を取り付けると、バルブ本体10と操作ユニット20とはシフトした状態で取り付けられる。このため、ヘッダーなどに複数のバルブシステム1を配置する際に操作ユニット20をジグザグに配置して占有するスペースを縮小したり、複数の操作ユニット20を相互に着脱しやすく配置したりすることができる。
【0031】
このバルブシステム1においては、バルブ本体10に凸部11aを設け、操作ユニット20に凹部24aを設けることで、バルブ本体10に操作ユニット20を取り付けると自動的にパイロットバルブ要素33および操作要素21が直線的に配置されるようにしている。この配置は、2極の永久磁石(棒磁石)を操作要素21として用い、操作要素21を回転させることによりパイロットバルブ要素33を動かしてパイロットバルブ30をオンオフするのに適した配置の一例である。この配置の代わりに、凸部と凹部とを逆転させたり、パイロットバルブ要素33と操作要素21とを並列に配置して磁場を介してパイロットバルブ要素33と操作要素21とが同期して動くようにしたりすることも可能である。
【0032】
バルブシステム1は、操作ユニット20の代わりに、リング状のユニットなどを用いて永久磁石を凸部11aに取り付けることによりバルブ本体10の開閉を制御することが可能である。たとえば、パイロットバルブ要素33に対し同極となるように磁石を凸部11aに取り付けることにより、パイロットバルブ30を閉に固定し、それによりバルブシステム1を閉に固定できる。また、操作ユニット20をバルブ本体10から取り外しているときにバルブ本体10を閉に固定してバルブシステム1を通じて水が流れないようにすることができる。パイロットバルブ要素33が、ばねなどの適当な方法によりオンまたはオフの一方の状態に自律的に戻るような構成を採用することも可能である。
【0033】
なお、上記では、パイロットバルブによりバルブ要素であるダイアフラムを動かすバルブシステムを例に本発明を説明しているが、小型のバルブや低圧力の流体を操作するバルブであれば、ダイアフラム15に駆動要素である磁石を取り付けて操作ユニット20から磁場により直にダイアフラム15を駆動するシステムであってもよい。また、バルブ要素はダイアフラムに限定されない。さらに、密閉型のバルブハウジング11および操作ユニット20のハウジング24の例として壁体が樹脂製のハウジングを例に説明しているが、ハウジングを構成する素材は非磁性の素材であればよく、樹脂に限らずセラミックなどであってもよい。また、ハウジング11および24の全てが透磁性でなくてもよく、ハウジング11および24の壁体の一部であって凸部11aおよび凹部24aを構成する部分が透磁性であればよい。また、上記では、2方弁を用いて本発明の実施形態を説明しているが、バルブシステム1は3方弁あるいは4方弁などであってもよい。
図1
図2
図3
図4