特許第5986070号(P5986070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5986070混成ポリエステル−ポリエーテルポリオール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986070
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】混成ポリエステル−ポリエーテルポリオール
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/42 20060101AFI20160823BHJP
   C08G 65/28 20060101ALI20160823BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   C08G63/42
   C08G65/28
   C08G18/42 F
【請求項の数】6
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2013-508099(P2013-508099)
(86)(22)【出願日】2011年4月21日
(65)【公表番号】特表2013-525573(P2013-525573A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】US2011033346
(87)【国際公開番号】WO2011137011
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年4月21日
(31)【優先権主張番号】61/453,152
(32)【優先日】2011年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/329,219
(32)【優先日】2010年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】パベル シュトフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ジムニーズ
(72)【発明者】
【氏名】ハノ ファン デル ワル
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ カサーティ
【審査官】 大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−072525(JP,A)
【文献】 特表2003−504467(JP,A)
【文献】 特開平08−169943(JP,A)
【文献】 特開平03−285906(JP,A)
【文献】 特表2003−511532(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/038678(WO,A1)
【文献】 特開2005−179567(JP,A)
【文献】 特開平10−212348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/42
C08G 65/28
C08G 18/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの製造方法であって、カルボキシル基含有成分とエポキシド成分とを、超酸触媒及び/又は超酸触媒の金属塩と第3級アミン触媒と必要に応じて複金属シアン化物触媒の存在下で、反応によりもたらされる特性として、
室温ゲル浸透クロマトグラフィーにより求められた質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnで定義される多分散指数が1.5未満であり、
ASTM D4671に従って求めた場合の不飽和度が0.01meq/g未満であり、
標準メタノールKOH溶液によるサンプルのメタノール溶液の電位差滴定により求めた場合の酸価が水酸化カリウムとして2.0mg/g未満である、
混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールが形成されるような条件下で反応させることを含み、
前記エポキシド成分が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、1−オクテンオキシド、シクロヘキセンオキシド及びスチレンオキシドからなる群から選択され、
前記第3級アミン触媒が、2−エチルブチルジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ビス(tert−ブチル)メチルアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記超酸触媒及び/又は超酸触媒の金属塩が、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として10〜10,000百万分率の量で存在する、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの製造方法。
【請求項2】
多分散指数が1.3未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カルボキシル基含有成分が、カルボン酸;酸性ハーフエステル;ポリエーテルポリオール、第2級アミン又は第2級若しくは第3級アミノアルコールとポリカルボン酸無水物との混合物又は反応生成物;又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複金属シアン化物触媒が、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として10〜10,000百万分率の量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
超酸触媒がトリフルオロメタンスルホン酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
混成ポリエステル−ポリエーテルポリオール成分が、
(a)2〜40%の、天然及び合成カルボン酸、(ポリエーテル)ポリオール、第2級アミン、第2級及び第3級アミノアルコール、並びにこれらの組み合わせから選択された化合物;及び
(b)2〜85%の、芳香族、脂肪族及び芳香族脂肪族ポリカルボン酸無水物からなる群から選択されたポリカルボン酸無水物か、又は
(c)前記ポリカルボン酸無水物が存在せずに、4〜90%の、天然及び合成カルボン酸から選択された化合物;
と、10〜96%のエポキシド成分;
(百分率は全て、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準とする)
とを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
クロスリファレンスの記述
本願は、引用により本明細書に援用する2010年4月29日に出願された米国仮出願第61/329,219号及び2011年3月16日に出願された米国仮出願第61/453,152号の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、カルボキシル基含有化合物とエポキシドから混成(hybrid)ポリエステル−ポリエーテルポリオールを製造する方法に関する。より具体的には、本発明は、必要に応じて複合金属シアン化物触媒、超酸触媒、超酸触媒の金属塩及び/又は第三級アミン触媒のうちの1又は2種以上を使用して混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは、世界中で大量に生産されている。ポリウレタンは、通常、ポリイソシアネートを、イソシアネート基に対して反応性である少なくとも2つの水素原子を含む化合物、特にポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールと反応させることにより製造される。様々な用途に対して、単一のポリオール中にエーテル基及びエステル基の両方を構築することが、それぞれにより付与される特性を、それらから製造される最終的なポリウレタンに、より都合良く、及び場合によっては、より経済的に活かすために有利である。両方のタイプの基を含むポリオールは、産業界でポリエステル−ポリエーテルポリオールと呼ばれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポリエステル−ポリエーテルポリオールの様々な製造方法が開発されてきたが、多くの欠点がある。これらの欠点としては、ポリオール中に望ましくない残留グリコールが存在すること、広い多分散性、低い収率、及び必要とされる製造温度が150℃を超えることが挙げられる。これらの欠点を減らす又は無くす混成ポリオールの製造方法が当該技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、本発明は、カルボキシル基含有成分とエポキシド成分とを、必要に応じて複金属シアン化物触媒、超酸触媒、超酸触媒の金属塩及び/又は第3級アミン触媒のうちの1又は2種以上の存在下で、反応によりもたらされる特性として、1.5未満である多分散指数、0.01meq/g未満である不飽和度、及び水酸化カリウムとして2.0mg/g未満である酸価を有する混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールが形成されるような条件下で反応させることを含む、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの製造方法を提供する。
【0005】
別の実施形態において、本発明は、カルボキシル基含有成分とエポキシド成分とを、必要に応じて複金属シアン化物触媒、超酸触媒、超酸触媒の金属塩及び/又は第3級アミン触媒のうちの1又は2種以上の存在下で、反応によりもたらされる特性として、1.5未満である多分散指数、0.01meq/g未満である不飽和度、及び水酸化カリウムとして2.0mg/g未満である酸価を有する混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールが形成されるような条件下で反応させることを含む方法により製造された混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールを提供する。
【0006】
さらに別の実施形態において、本発明は、カルボキシル基含有成分とエポキシド成分とを、必要に応じて複金属シアン化物触媒、超酸触媒、超酸触媒の金属塩及び/又は第3級アミン触媒のうちの1又は2種以上の存在下で、反応によりもたらされる特性として、1.5未満である多分散指数、0.01meq/g未満である不飽和度、及び水酸化カリウムとして2.0mg/g未満である酸価を有する混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールが形成されるような条件下で反応させる方法により製造された混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールを含む配合物から製造されたポリウレタンポリマーを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、様々なポリウレタンポリマーの製造における使用及び他の用途に好適な混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールをもたらすカルボキシル基含有成分の1段階又は2段階アルコキシル化を提供する。得られた混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは、望ましくない副生成物を低いレベルで含むことがあり、比較的低い多分散指数を有することがある。さらに、上記方法は、比較的高い収率をもたらすことができることに加えて、処理を、幾つかの実施形態において、150℃未満の温度で行うことができる。
【0008】
本発明の方法のための第1の出発原料は、少なくとも1つのカルボキシル基−COOHを(あるいは、−C(=O)OHとも記載される)を有する少なくとも1種の化合物を含む成分である。かかる原料は、カルボン酸;酸性ハーフエステル;ポリオール、第2級アミン又は第2級もしくは第3級アミノアルコールとポリカルボン酸無水物の混合物又は反応生成物;及びこれらの組み合わせから選択される。第1の出発原料は、幾つかの実施形態において、均質な液体であるか、あるいは予め調製された混成ポリエステル−ポリエーテルポリオール(すなわち、「サワードウ(sourdough)」)又はアセトンなどの溶媒と組み合わされた高融点結晶性カルボキシル基含有材料の不均一分散液であってもよい。好適な酸は、アルカン酸、例えばギ酸(メタン酸)、酢酸(エタン酸)、プロピオン酸(プロパン酸)、酪酸(ブタン酸)、吉草酸(ペンタン酸)、ピバル酸(ネオペンタン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、エナント酸(ヘプタン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、アラキジン酸(エイコサン酸)など;脂肪酸、例えばドコサヘキサン酸及びエイコサペンタン酸など;アミノ酸;ケト酸、例えばアセト酢酸及びピルビン酸など;芳香族酸、例えば安息香酸、マンデル酸、フタル酸、トリメリト酸、テレフタル酸及びサリチル酸など;脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アルダル酸、フマル酸、グルタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸及びタルトロン酸など;トリカルボン酸、例えばクエン酸、イソクエン酸、アコニット酸及びプロパン1,2,3−トリカルボン酸(あるいは、トリカルバリル酸又はカルバリル酸とも呼ぶ)など;α−ヒドロキシル酸、例えばグリセリン酸、グリコール酸、乳酸及び酒石酸など;短鎖不飽和モノカルボン酸、例えばアクリル酸及びメタクリル酸など;ハロゲン化物含有酸、例えばクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸及びトリフルオロ酢酸など;アミノ酸、例えばアミノエタン酸、アミノプロパン酸、アミノブタンジオン酸、アミノペンタンジオン酸及びエチレン−ジアミン四酢酸など;並びにこれらの組み合わせから選択できる。都合良いことに、上記方法は、出発カルボキシル基含有成分の高い含水率(1質量パーセント(%)以下)を許容する。
【0009】
また、天然のカルボキシル基含有化合物も好適である。かかるカルボキシル基含有化合物としては、例えば、熱的に解重合してカルボキシル基含有部分を含むものになるタンパク質及び脂肪、すなわちアミノ酸及び脂肪酸;天然オイルポリオール、例えば、主にリシノール酸であるヒマシ油、及びカルボキシル官能基を導入する様々な方法により酸化又は脱エステル化された他の天然オイルポリオールを含む再生可能な有機供給原料が挙げられる。
【0010】
他の好適なカルボキシル基含有出発原料は、ポリオール、グリコール、アルコール、多価アルコール、第2級又は第3級アミノアルコール、第2級アミン、ポリエステルポリオール、ポリエーテル−ポリエステルポリオール、又はポリエーテルポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジメチロールプロパン、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、ソルビトールの付加物、グリセリン又は水と、プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシド、エタノールメチルアミン、3−プロパノールメチルアミン、2−プロパノールメチルアミン、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、Ν,Ν’−ジメチルエチレンジアミン、Ν,Ν’−ジメチルブチレンジアミン、Ν,Ν’−ジメチルトルエンジアミン又はΝ,Ν’−ジメチルフェニレンジアミン;及びポリカルボン酸無水物、例えばフタル酸、トリメリト酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、ドデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、シトラコン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、アルキルヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物又はクロレンド酸無水物などから製造された少なくとも一つのカルボキシル基を含むハーフ酸エステル又はハーフ酸アミドである。これらの材料のうちの任意のものの組合せも、カルボキシル基含有成分として又はその一部として選択できる。
【0011】
第2の出発原料、すなわち、ここでエポキシド成分と呼ぶアルコキシル化剤は、カルボキシル基−COOHと反応してアルコキソエステル結合−COO−R−OH(式中、Rは、アルキル、アリール−アルキルである)又はエーテル結合ROR’(ここで、R及びR’は両方とも独立にアルキル又はアリールである)を形成することができるエポキシド化合物又はかかる化合物の組み合わせから選択することができる。特定の実施形態において、エポキシド成分は、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド、1−オクテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、グリシジルエーテル、及びそれらの組み合わせから選択される。例えば9〜16個の炭素原子を有する高級エポキシドをこの反応で使用してもよい。
【0012】
本発明の方法のための第3番目の任意材料は複金属シアン化物触媒である。これらの触媒は、しばしば活性が高く、比較的大きな表面積、典型的には50〜200平方メートル毎グラム(m/g)の範囲内の表面積を有し、特に、塩基性(水酸化カリウム,KOH)を使用して製造された他の点では同じポリオールと比較した場合により低い不飽和度を有する。触媒は、ポリエーテル、ポリエステル及びポリエーテル−エステルポリオールを含む様々なポリマー生成物を製造するために使用できる。
【0013】
幾つかの実施形態において、DMC化合物は、水溶性の金属塩と水溶性金属シアン化物塩との反応生成物を含んでよい。水溶性金属塩は、一般式:
M(X) 式I
により表すことができる。ここで、Mは金属であり、Xはアニオンである。MはZn(II)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(IV)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)及びCr(III)から選択できる。幾つかの実施形態において、Mが、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)及びNi(II)から選択されることが望ましい。Xは、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン及び硝酸イオンを含む群から選択されるアニオンであることができる。nの値は1〜3であることができ、Mの原子価状態を満たす。好適な金属塩の例としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛、酢酸亜鉛、アセトニルアセトン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸鉄(II)、臭化鉄(II)、塩化コバルト(II)、チオシアン酸コバルト(II)、ギ酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
水溶性金属シアン化物塩は、一般式:
(Y)M’(CN)(A) 式2
により表すことができる。ここで、M’は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、V(V)、及びこれらの組み合わせから選択することができ、CNはシアン化物イオンである。幾つかの実施形態において、M’が、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)、Ni(II)、及びこれらの組み合わせから選択されることが望ましい。Yがアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、Aがハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアネート、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン及び硝酸イオンからなる群から選択されるイオンであることも望ましい。a及びbの両方が1以上の整数である。さらに、a、b及びcの電荷の合計はM’の電荷と釣り合う。好適な金属シアン化物塩の例としては、ヘキサシアノコバルト酸(III)カリウム、ヘキサシアノ鉄酸(II)カリウム、ヘキサシアノ鉄酸(III)カリウム、ヘキサシアノコバルト酸(III)カルシウム、ヘキサシアノコバルト酸(III)リチウム、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
エポキシドの重合に有用である固体DMC触媒は、一般的に、有機錯化剤を含み、この有機錯化剤は往々にして比較的低分子量のものであり、往々にしてヘテロ原子を含む。幾つかの非限定的な実施形態では、錯化剤が水に可溶であることが望ましい又は必要なことがある。錯化剤は、触媒の調製中及び/又は析出直後に添加することができ、しばしば過剰に使用される。幾つかの好適な錯化剤の例は、米国特許5,158,922号、第3,427,256号、第3,427,334号及び第3,278,459号明細書に詳細に記載されており、それらの全内容を引用により本明細書に援用する。かかる錯化剤としては、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、エステル、アミド、尿素類、ニトリル、スルフィド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。別の実施形態では、錯化剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール及びtert−ブチルアルコールから選択される水溶性脂肪族アルコールが挙げられるが、これらに限定されず、tert−ブチルアルコールが特定の用途で好ましいことがある。別の実施形態では、選択される錯化剤は、グライム(ジメトキシエタン)やジグライムなどのエーテルであることができる。従来の一製造法では、塩化亜鉛の水溶液(過剰量で)とヘキサシアノコバルト酸カリウムの水溶液を単に混合することによって組み合わせることができる。次に、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛の得られた析出物を水性グライムと混合する。得られた活性DMC触媒は、式:
Zn[Co(CN)]xZnClyHOz配位子 式3
により表される。
【0016】
錯化剤の非存在下で調製された複金属シアン化物化合物は、X線回折分析によって示されるように、高結晶性であり、エポキシドの重合のために不活性であるが、それでも、錯化剤を用いて調製された高結晶性DMC化合物と一緒に、本発明の方法において有用であることができる。一部の研究者は、従来のDMC触媒が結晶性成分と非晶性成分の両方を含むことを示した。典型的には、一般的には単純に混合することによって調製されるこれらのDMC触媒は、依然として少なくとも35質量%(wt%)の高結晶性DMC化合物を含む。しかし、高結晶性成分を30質量%未満を含む、エポキシドの重合に有用な幾つかの従来のDMC化合物がある。これらは、引用により本明細書にその全内容を援用する米国特許第5,731,407号明細書に開示されているような、錯化剤の存在下で水溶性金属塩の水溶液と水溶性金属シアン化物塩の水溶液を均質に組み合わせる方法により調製することができる。
【0017】
一般的にエポキシドの重合に有用なDMC化合物の例としては、ヘキサシアノコバルト酸(III)亜鉛、ヘキサシアノ鉄酸(III)亜鉛、ヘキサシアノ鉄酸(III)亜鉛、ヘキサシアノ鉄酸(II)亜鉛、ヘキサシアノ鉄酸(II)ニッケル(II)、ヘキサシアノコバルト酸(III)コバルト(II)などが挙げられる。特定の実施形態において、ヘキサシアノコバルト酸(III)亜鉛を使用することが特に望ましいことがある。さらなる例は、引用によりその全内容を本明細書に援用する米国特許5,158,922号明細書に記載されている。
【0018】
幾つかの実施形態において、固体DMC触媒は、触媒の総量を基準にして5〜80質量%のポリエーテルを含んでよい。例えば、10〜70質量%のポリエーテルを含めることが望ましいことがある。他の実施形態では、15〜約60質量%のポリエーテルを含めることが望ましいことがある。
【0019】
ポリエーテルポリオールは、幾つかの実施形態において、約1〜約8個のヒドロキシル官能基を有することができる(例えば、平均)。幾つかの実施形態において、ポリエーテルポリオールは、200〜10,000の分子量(例えば、数平均分子量)を有することができる。ポリエーテルポリオールは、幾つかの実施形態において、活性水素含有開始剤及び塩基性触媒、ブレンステッド酸触媒又はルイス酸触媒(例えば、DMC触媒)の存在下で、エポキシドを重合することにより製造することができる。ポリエーテルポリオールの例としては、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)、エチレンオキシドキャップトポリ(オキシプロピレン)ポリオール、混合エチレンオキシド/プロピレンオキシドポリオール、ブチレンオキシドポリマー、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとのブチレンオキシドのコポリマー、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエーテルポリオールの例としては、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリコール及びポリ(アルキレングリコール)のモノアルキル及びジアルキルエーテル、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、150〜500の範囲内の数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)及びポリ(エチレングリコール)を使用することができる。幾つかの実施形態に従う有機錯化剤及びポリエーテルを、複金属シアン化物触媒において使用できる。
【0020】
従って、DMC触媒は、幾つかの実施形態において、次式で十分に説明することができる:
[M(CN)(A)]・fM・h(HO)・eL・kP 式4
ここで、MはZn2+、Fe2+、Fe3+、Co3+、Ni2+、Mn2+、Co2+、Sn2+、Pb2+、Mo4+、Mo6+、Al3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+、W6+、Cr2+、Cr3+、Cd2+、Hg2+、Pd2+、Pt2+、V2+、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Cu2+、La3+、Ce3+、Ce4+、Eu3+、Ti3+、Ti4+、Ag、Rh3+、Rh3+、Ru2+及びRu3+からなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンであり;
はFe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Mn2+、Mn3+、V4+、V5+、Cr2+、Cr3+、Rh3+、Ru2+及びIr3+からなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンであり;
A及びXは、それぞれ互いに独立に、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン化物、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、シアン酸イオン、カルボン酸イオン、シュウ酸イオン、硝酸イオン、ニトロシル、硫酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸二水素イオン、リン酸水素イオン及び炭酸水素イオンからなる群から選択されるアニオンであり;
Lは、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、ポリエーテル、エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素類、アミド、第一級、第二級及び第三級アミン、ピリジン窒素を有する配位子、ニトリル、硫化物、リン化物、ホスファイト、ホスファン、ホスホネート及びホスフェートからなる群から選択され;
kはゼロ以上の分数又は整数であり;
Pは有機添加剤であり;
a、b、c、d、g及びnは、式4の化合物が電気的に中性であるように選択され、cは0であることができ;
eは、配位子分子の数であり、0以上の分数又は整数であり;
f及びhは、それぞれ互いに独立に、0以上の分数又は整数である。
【0021】
有機添加剤Pの例としては、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアルキレングリコールソルビタンエステル、ポリアルキレングリコールグリシジルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド−co−アクリル酸)、ポリアクリル酸、ポリ(アクリルアミド−co−マレイン酸)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ(N−ビニルピロリドン−co−アクリル酸)、ポリビニルメチルケトン、ポリ(4−ビニルフェノール)、ポリ(アクリル酸−co−スチレン)、オキサゾリンポリマー、ポリアルキレンイミン、マレイン酸と無水マレイン酸のコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアセテート、イオン性の表面活性及び界面活性化合物、胆汁酸又はそれらの塩、エステル又はアミド、多価アルコールのカルボン酸エステル及びグリコシドが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかのDMC触媒及びそれらの調製の例は、米国特許3,427,334号、第3,941,849号、第4,477,589号、第5,158,922号、第5,470,813号、第5,482,908号及び第7,348,460号明細書に見出される。
【0022】
本発明の方法のための第4番目の任意材料は第3級アミン触媒であり、当該第3級アミン触媒は、任意の有効な第三級アミンから選択することができる。かかる選択肢としては、典型的には、N−アルキルモルホリン、N−アルキルアルカノールアミン、アミノアルコール、N,Ν−ジアルキルシクロヘキシルアミン、アルキルアミン(アルキル基がメチル、エチル、プロピル、ブチル及びそれらの異性体形である)及び複素環式アミンが挙げられる。それらの非限定的な具体例としては、1−メチルイミダゾール、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(2−ジメチル−アミノエチル)エーテル、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルピペラジン、Ν、Ν−ジメチルシクロヘキシル−アミン、N−エチル−モルホリン、メチルトリエチレン−ジアミン、Ν,Ν',N''−トリス(ジメチルアミノプロピル)−sym−ヘキサヒドロトリアジン、及びそれらの組合せが挙げられる。第三級アミンの1つの好ましいグループは、1−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチルブチルジイソプロピルアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ビス(tert−ブチル)メチルアミン及びそれらの組み合わせを含む。
【0023】
特に硬質ポリウレタンを製造するのに適しているポリオールが求められる本発明の別の実施形態では、第5の材料が必要に応じて存在してもよい。この任意材料は、1又は2種以上の超酸触媒である。超酸触媒は、当業者によく知られており、例えば、それらの全内容を引用により本明細書に援用する米国特許6,989,432号及び第5,304,688号明細書を参照されたい。本発明で使用される超酸の超酸性度の測定方法及び定義は、米国特許第5,304,688号明細書に記載されている。好適な超酸触媒としては、フッ素化スルホン酸、例えばマジック酸(FSOH−SbF)及びフルオロスルホン酸(HSOF)、トリフルオロメタンスルホン酸(トリフル酸)(HSOCF)、他のペルフルオロアルキルスルホン酸、フルオロアンチモン酸(HSbF)、カルボラン超酸(HCHB11l1)、過塩素酸(HClO)、テトラフルオロホウ酸(HBF)、ヘキサフルオロリン酸(HPF)、三フッ化ホウ素(BF)、五フッ化アンチモン(SbF)、五フッ化リン(PF)、硫酸化金属オキシヒドロキシド、硫酸化金属オキシシリケート、超酸金属酸化物、担持されたルイス又はブレンステッド酸、及び各種ゼオライト及び不均一系酸触媒、ペルフッ素化イオン交換ポリマー(PFIEP)、例えばNAFION(登録商標)PFIEP製品、すなわち一群のペルフッ素化スルホン酸ポリマー(E.I.du Pont de Nemours and Company(デラウェア州ウィルミントン(以下、DuPont)から入手可能)、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明における使用に特に好適な超酸はプロトン性超酸である。市販のプロトン性超酸としては、トリフル酸としても知られているトリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)、フルオロスルホン酸(FSOH)、及びフルオロアンチモン酸が挙げられ、これらは全て硫酸よりも少なくとも千倍強い。最強のプロトン性超酸は、強いルイス酸と強いブレンステッド酸の2つの成分の組み合わせにより調製される。もし使用される場合には、プロトン性超酸は単独で使用されてもよく(すなわち、他の触媒(例えば、未反応のアルキレンオキシドを含むバッチのフィニッシング(finishing)のため)、又は多段階合成における合成段階のうちの1つで唯一の触媒として、あるいはDMC触媒及び/又は第三級アミン触媒のうちの一方又は両方と組み合わせて使用できる。例えば、本発明の方法において使用される触媒の組み合わせは、(1)超酸と第三級アミン触媒、(2)超酸とDMC触媒、(3)超酸と第三級アミン触媒とDMC触媒、又は(4)複金属シアン化物触媒と超酸触媒と超酸触媒の金属塩のうちの1又は2種以上(ただし第3級アミンは使用されない)であることができる。
【0025】
好ましいプロトン性超酸はトリフルオロメタンスルホン酸である。
使用されるべき超酸の好ましい量は、所望の反応速度、使用されるポリエーテル及びカルボン酸のタイプ、触媒のタイプ、反応温度、及び他の考慮事項を含む多くの因子に依存する。もし本発明において使用される場合には、超酸は、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として、10ppm〜10,000ppmの範囲内で触媒で使用されることが好ましい。もし使用される場合には、超酸は、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として、500ppm未満、好ましくは200ppm未満、より好ましくは50ppm未満、さらに好ましくは25ppm未満の触媒レベルで使用される。もし本発明において使用される場合には、超酸は、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として10〜20ppmの触媒レベルで使用されることが好ましい。使用される超酸のレベルは、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオール中に含まれる塩基性不純物のレベル及び/又は任意のDMC触媒のレベル及び/又は第三級アミン触媒のレベルにより影響を受けることがある。
【0026】
我々は、プロトン性超酸の幾つかの金属塩は、本発明の方法に対して有効な触媒であることも見出した。例えば、本発明において有用な塩は、一般的に、本発明の方法における使用に好適であるとして先に記載したプロトン性超酸から誘導される。強いプロトン性超酸と当該酸の金属塩との混合物を使用することができる。本発明の方法に対して触媒として有用な好ましい金属塩は、トリフル酸、フルオロスルホン酸及びフルオロアンチモン酸の金属塩である。トリフル酸塩が特に好ましい。
【0027】
好ましい金属塩としては、金属が第IIB族、第IB族、第IIIA族、第IVA族、第VA族及び第VIII族から選択されたプロトン性超酸の金属塩が挙げられる。そのため、金属は、例えば、亜鉛、銅、アルミニウム、錫、アンチモン、ビスマス、鉄、ニッケルであることができる。
【0028】
好適な金属塩としては、トリフル酸亜鉛、トリフル酸銅(II)、トリフル酸アルミニウム、トリフル酸錫(II)などが挙げられるが、これらに限定されない。金属塩の混合物を使用できる。代わりに、重金属のトリフル酸塩、例えば、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、錫のトリフル酸塩又はテトラアルキルアンモニウムトリフラートなどを使用できる。例えば、引用によりその全内容を本明細書に援用する米国特許第4,543,430号明細書を参照されたい。
【0029】
超酸の金属塩は、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールを製造するのに有効な量で使用される。使用される金属塩の量は、所望の触媒効果を得るのに十分なものでなければならない。実際には、使用される超酸の金属塩の量は、一般的に非常に少ない。使用される超酸触媒の金属塩のレベルは混成ポリエステル−ポリエーテルポリオール中に含まれる塩基性不純物のレベル及び/又は任意のDMC触媒のレベル及び/又は第三級アミン触媒のレベルによって影響を受けることがある。
【0030】
プロトン性超酸触媒の場合と同様に、使用されるべき超酸触媒の金属塩の好ましい量は、所望の反応速度、使用されるポリエーテル及びカルボン酸のタイプ、触媒のタイプ、反応温度、及び他の因子を含む多くの因子に依存する。もし本発明において使用される場合には、プロトン性超酸の金属塩は、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として、10ppm〜10,000ppmの範囲内の触媒レベルで使用されることが好ましい。一般的には、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として、500ppm未満、好ましくは100ppm未満、より好ましくは50ppm未満、さらに好ましくは25ppm未満の触媒レベルの量のプロトン性超酸触媒の金属塩を使用することが好ましい。好ましくは、もし本発明において使用される場合には、プロトン性超酸の金属塩は、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として、10〜20ppmの触媒レベルで使用される。
【0031】
プロトン性超酸の1つの好ましい金属塩はトリフル酸アルミニウムである。
本発明に従う触媒として使用されるトリフル酸塩は、それ自体ではよく知られている調製方法に従って容易に得ることができる。特に、上記の金属のトリフル酸塩は、これらの金属又は上記金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩に対してトリフル酸を作用させることにより調製することができる。トリフル酸塩の大半は、優れた熱安定性を有し、通常300℃を超える高温を除き、分解しない。
【0032】
本発明の方法を実施する際に、選択した任意のDMC触媒及び/又は任意の第三級アミン触媒及び/又は任意の超酸触媒の存在下で、選択したカルボキシル基含有成分を選択したアルコキシル化剤に接触させる必要がある。この接触は、例えばステンレススチール又はパイレックス二重壁ガラス反応器などの任意の標準的なアルコキシル化オートクレーブ型反応器内で達成することができる。かかる反応器は、バッチ、半バッチ又は連続処理を可能にするように設計されたものであることができ、望ましくは、フレッシュな触媒を添加するための手段に加えて、少なくとも1つ、幾つかの実施形態において2つの供給及び計量手段を含む。触媒とカルボキシル基含有成分とアルコキシル化剤(すなわち、エポキシド成分)の間の接触を最大限に増加させるために、攪拌又は混合する手段、例えば攪拌機、インペラー、回転能力(例えば、ロータリーミキサー)及びモーターなどを具備することが望ましい。最後に、最終的な混成ポリエステル−ポリエーテルについて最適な収量及び品質を得るためにアルコキシル化を容易にし最大限にするために、温度及び圧力の制御能力が望ましい。
【0033】
出発原料の割合は、上記ポリオールが最終的に使用される用途の要件により決定することができる。例えば、硬質ポリウレタンを製造するのに上記ポリオールを使用する場合、カルボキシル基含有成分とエポキシド成分とを、エポキシドの当量とカルボキシル基の当量との比が1.25:1〜3.80:1になるような量で使用することが望ましいことがある。これは、特定のタイプのヒドロキシル官能基(第1級又は第2級)及び/又は特定のヒドロキシル当量(通常100〜1200ダルトン(Da)の範囲内)を有するように生成物であるポリオールを設計することも可能である。
【0034】
1つの具体的であるが非限定的である実施形態において、出発カルボキシル基含有成分は、天然及び合成カルボン酸及びそれらの組み合わせ;反応してカルボキシル基含有化合物を形成する2種以上の化合物;又はそれらの組み合わせから選択された化合物を含むことが望ましいことがある。例えば、これらの2種の反応性化合物としては、ポリカルボン酸無水物、及び(ポリエーテル)ポリオール、第二級アミン、第二級及び第三級アミノアルコール、並びにそれらの組み合わせが挙げられ、それらの現場(in situ)での反応は1又は2種以上の必要なカルボキシル基含有化合物を生成するのに役立つであろう。従って、様々な実施形態において、カルボキシル基含有成分は、(a)2〜40%の、天然及び合成のカルボン酸、(ポリエーテル)ポリオール、第二級アミン、第二級及び第三級アミノアルコール、並びにそれらの組み合わせから選択された化合物、及び(b)2〜85%の芳香族、脂肪族及び芳香族脂肪族ポリカルボン酸無水物からなる群から選択されたポリカルボン酸無水物、のいずれかを含むことができ、あるいはカルボキシル基含有成分は、単に、(c)ポリカルボン酸無水物が存在せずに、4〜90%の天然及び合成カルボン酸から選択された化合物を含むことができる。カルボキシル基含有成分についてのこれらの例示的な実施形態のいずれも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、1−オクテンオキシド、9〜16個の炭素原子を有するエポキシド、及びそれらの組み合わせから選択されたエポキシド化合物を10〜96%含むエポキシド成分と組み合わせることができる。ここで、全ての百分率は最終的な混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準とした質量%である。さらなる特定の実施形態は当業者により容易に決定されるであろう。
【0035】
反応物及び生成物に対して不活性な溶媒、例えばトルエン又はキシレンなどを、反応物と触媒との接触を容易にするために含めることができるが、出発原料の選択に応じて必要とされない場合がある。含まれる場合、かかる溶媒の量は、望ましくは最低限に抑えられ、カルボキシル基含有成分の総質量を基準として、10〜50パーセント(%)、より望ましくは25〜35%であることができる。テトラヒドロフラン(THF)などの反応条件下で反応物及び/又は生成物に対して不活性でない溶媒は、エポキシドと共重合して成長しているポリエステル−ポリエーテル鎖に組み込まれることがある。
【0036】
反応の条件としては、一般的に、50℃〜180℃の温度が挙げられる。より望ましくは、温度は90℃〜140℃であることができ、ある特定の具体的であるが非限定的な実施形態では110℃〜130℃であることができる。圧力は、0.3絶対バール(bar absolute)(bara)〜6絶対バール(30〜600kPa)、より望ましくは、1絶対バール〜4絶対バール(100〜400kPa)であることができ、エポキシド、窒素及び任意に溶媒に由来する部分圧力を含むことがある。反応時間は、1時間(h)〜24時間であり、より望ましくは2〜5h、最も望ましくは2〜3hである。
【0037】
任意のDMC触媒及び/又は任意の超酸触媒/超酸の金属塩の量は、各々独立に、生成物の総質量を基準にして10百万分率(ppm)〜10,000ppmであることができるが、任意のDMC触媒及び/又は任意の超酸触媒/超酸の金属塩は、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として10〜100ppmの非常に低い割合で含まれることが好ましい。両触媒をごく少量だけ使用することの利点は、全プロセスコストの削減である。さらに、混成ポリエステル−ポリエーテルの製造後にフィニッシングプロセスを必要としない実施形態では、残留触媒は生成物中に残ることになるが、望ましくない問題を生じない。任意の第三級アミン触媒が使用のために選択された場合、その量は、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として、10〜10,000百万分率である。
【0038】
反応の動力学(kinetics)は、多くの点で有利である。例えば、エポキシドを反応器内容物の質量が1時間ごとに2倍になるような供給速度で、バッチ式、連続式又は半連続式プロセスで供給することができる。始めに、プロセスが非常に速く且つ発熱的である傾向がある場合には、エポキシド供給速度は、反応器の除熱能力によって制限されることがある。別の律速因子は、試薬の混和性(特に極性親水性ポリカルボン酸が使用される場合)である。反応器内に1バール(100キロパスカル(kPa))の初期窒素圧を存在させてアルコキシル化を実施することが、縮合反応を最低限に抑えることできるために望ましい。高温(例えば100℃超)で真空を適用すると、幾つかの実施形態において、生成物の多分散性を広くする傾向があり、これは一般的に望ましくないため、高温で真空を適用しないことが望ましい(特にスラリー化された出発原料が使用される場合)。
【0039】
カルボン酸の自己触媒アルコキシル化が、酸が触媒種及び基質の両方として作用する二次反応であるため、酸濃度割合が変化すると反応速度は変化し、酸濃度が減少すると反応速度は減少する。さらなる触媒種が存在しない場合、カルボン酸がアルコキソエステルに変換されるため、カルボン酸の自己触媒アルコキシル化は結局停止する。生成物中に初期の酸官能基の1〜10質量%が残留することを招くおそれがある不完全な酸キャッピングが起こることがある。この残留酸性度の正確な量は、反応時間、温度、及び過剰なエポキシドのレベルに依存するが、原因にかかわらず、一般的に可能な限り最終生成物中に残存する酸官能基を低減することが望ましい。
【0040】
この残留酸官能基を低減する1つの方法は、硬質ポリウレタンを製造するのに特に好適なポリオールが求められている場合には、任意の第三級アミン触媒を使用することである。第三級アミン触媒は、エポキシドによる酸キャッピングを促進して必要なエポキシドをより少なくすると同時に、非常に短いポリエーテルブロックを生成させるのに役立ち、必要な総反応時間を短くすることができる。これは、非常に低いレベル(0.5mg/gKOH未満)に残留カルボン酸性度を減少させ、反応したアルキレンオキシド当たりの酸キャッピングの程度を増加させるのに役立つ。このバリエーションでは、第三級アミン触媒のエンドバッチ濃度が10〜10,000ppm、より望ましくは30〜250ppmであることができ、さらなる実施形態では40〜60ppmであることができる。100℃〜140℃の範囲内の温度は、硬質ポリウレタンの製造に使用するためにこれらのポリオールを調製するのに特に有効であることが判った。高い温度は、最低限に抑えられたエポキシド過剰量を使用することを容易にする。
【0041】
対照的に、目標が長いポリエーテルブロックを有するポリオールを製造することである場合、任意のDMC触媒を用いることができる。反応が進行して酸濃度がKOHとして0〜50mg/gのレベルまで減少すると、DMC触媒は、もし十分な量で存在する場合には最終的に活性になることがあり、これは、エポキシドの重合を継続させること及び残留カルボン酸基をヒドロキシル官能基に有効に変換することを可能にする。継続した重合は、ポリエーテルブロックのサイズを増加させ、可撓性ポリウレタンの製造に通常求められる比較的高い当量(たとえば、200ダルトン(Da)超から2000Da超まで)を達成することを容易にする。一般的に、本発明の方法は、2〜200個又はそれより多くのエポキシド単位をカルボキシル基含有成分の各カルボキシル基上に反応させて望み通りの分子量の構築を容易にするのに適する。
【0042】
別のプロセスの実施形態は、エポキシドの消化(digestion)が進むにつれてフレッシュなDMC触媒を幾つかの少量(開始剤の質量を基準として1回の添加当たり15〜50ppm)で低酸生成物に添加することを含む。この目的は、最も費用対効果の高いDMC活性化を確保すること、及び反応が進行してエポキシドが消費されるにつれて触媒が積極的に不活性化するのを回避することである。これは、しばしば、エポキシド成分の当量とカルボキシル含有成分の当量の比が1.8:1より大きい生成物を製造するのに特に望ましい。多くの実施形態において、生成物をさらなるプロセス工程にかけずにKOHとして0.5mg/g未満の酸レベルを得るために、少なくとも2.0:1、より望ましくは2.0:1〜4.0:1である比を使用することが必要である。
【0043】
さらに別のプロセスの実施形態は、スターターのカルボン酸官能基とアルキレンオキシドとの間の自己触媒反応が終了した後に超酸触媒を添加することを含んでもよい。このアプローチは、この時点でバッチ中に含まれる未反応のアルキレンオキシドを、生成物から実際にストリッピングする必要なく、使い果たすことが一般的に必要である場合に、硬質ポリウレタンを製造するのに特に好適である。さらに別のプロセスの実施形態では、特定の生成物仕様を満たすために、ポリエーテルブロックをほんのわずか延長することが必要である場合がある。さらに別のプロセスの実施形態では、ポリオールの分子量を増加させてポリオールをDMC触媒とより適合性が高いものにするために、リジッドなスターターからのより長鎖のポリオールの多段階合成において中間体触媒溶液として超酸触媒を使用することができ、DMC触媒はかかる合成の次工程において触媒として使用できる。
【0044】
さらに別のプロセスの実施形態は、安価で容易に入手可能な出発物質、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどから、かかるアルコキシル化開始剤のさらなるフィニッシングなしに、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールを得るためのアルコキシル化開始剤の現場(in situ)調製のために超酸触媒の使用を含むことができる。アルコキシル化開始剤は、典型的には、始めの単純なポリオールよりも高い分子量を有し、これは、中間の酸性ハーフエステルの調製プロセスに特に都合良く、初期の酸無水物とポリオールの混合工程中に高固形分のスラリーの使用を可能にする。
【0045】
超酸触媒を使用して単純なポリオール及びプロピレンオキシドから調製されたアルコキシル化開始剤は、同様に構成された従来のKOH触媒により得られたポリエーテルポリオールと比べてさらなる利点を有する。かかる超酸触媒により得られた材料は、典型的には、第1級ヒドロキシルのレベルはほとんど10%を超えず、ほとんどの場合において2%を超えない従来のKOH触媒を用いて得られたポリエーテルポリオールとは対照的に、第1級ヒドロキシルを高レベル(40〜60%)で有する。高いレベルの第1級ヒドロキシルは、酸無水物とポリオールの間の反応で中間酸性ハーフエステルの形成を促進する。
【0046】
上記の超酸触媒は、多段階合成における特定のステップのうちの1つのための触媒とは独立に、又は上記の1又は2種以上の触媒と併存させて、DMC触媒及び/又は第三級アミンの一方又は両方と組み合わせて使用できる。例えば、本発明の方法で使用される触媒の組み合わせは、(1)超酸と第三級アミン触媒、(2)超酸とDMC触媒、又は(3)超酸と第三級アミン触媒とDMC触媒であることができる。
【0047】
例えば、第三級アミン又は第三級アミンと任意の超酸触媒の組み合わせを使用することと所定の温度範囲によって、望ましい狭い多分散性及びKOHとして2mg/g未満、より望ましくはKOHとして0.5mg/g未満の酸価を示すポリエステル−ポリエーテルポリオールが生じる。この場合において、エポキシド成分とカルボキシル含有成分の始めの当量比は1.25:1〜1.70:1である。この実施形態においては、酸の不在下では、最も活性の高い立体障害のない第3級アミンは生成したエステル基のエステル交換反応を促進する傾向があり、広い多分散性、副生成物(主に短鎖ジオール)の形成、及び/又は生成物の特性の劣化をもたらすために。反応時間は、望ましい酸のキャッピングを生じるのにちょうど足りるものであればよい。エステル交換反応は、非常に低いレベルの最も活性の高い第3級アミン(イミダゾール、混成ポリエステル−ポリオールの質量を基準として60ppm未満)の使用により抑制することができ、あるいは、比較的嵩高い脂肪族第3級アミン、例えばトリイソプロピルアミン又は2−エチルブチル−ジイソプロピルアミンを共触媒として選択することにより完全に抑制することができる。これは、かかる化合物が、それらの立体障害のために容易にエステル交換反応を誘発することができず、更には、カルボキシル含有成分が反応を完了した後にホフマン(Hofmann)分解で不活性化しうるからである。
【0048】
触媒を使用せずに残留酸性度を減少させる別の方法は、単にエポキシドを過剰に、例えばエポキシドの当量とカルボン酸の当量との比1.8:1〜4.0:1で使用すること、及び温度を上昇させること及び/又は反応時間を長くすること、例えば、14時間超にすることである。
【0049】
真空中でより高い温度で残留カルボン酸をエステル化することも可能である。140℃〜180℃の温度範囲及び2〜8時間の反応時間は、KOHとして0.5mg/g未満の最終的な酸濃度をもたらすことがある。これは、例えばチタンテトラアルコキシドなどのさらなるエステル化触媒を添加することによって、さらに促進することができる。しかし、多くの実施形態において、このアプローチは、官能価の減少、より広い多分散性、及び全体的な生成物の特性の低下をもたらすことがある。
【0050】
別の実施形態において、残留酸性度は、酸捕捉剤を使用することにより減少させることができる。酸捕捉剤の使用は、残留するカルボキシル含有成分を中和する。可能な酸捕捉剤の選択肢としては、エポキシ樹脂及び/又はアミン類が挙げられる。しかし、未反応の酸の量は相当なものであることがあるため、その結果、さらなる、及び往々にして望ましくない副生成物の形成が起こることがある。
【0051】
好ましくは、本発明の方法は、混成ポリエステルポリエーテルポリオール生成物を製造するためにフィニッシング工程を含まない。しかし、一実施形態において、本発明の方法は、例えば、未反応のエポキシド成分及び/又は他の揮発性物質を除去するために真空ストリッピング工程を含んでよい。触媒が使用されない及び/又はアミン触媒のみが使用される別の実施形態では、真空ストリッピング工程が好ましい。さらに別の実施形態では、本発明の方法において、超酸触媒が、単独で使用される、又は1又は2種以上の触媒と組み合わせて使用される場合、必要に応じて中和工程が含まれてもよい。例えば、超酸触媒が使用される場合に、等モル量のKOH、KCO、別の基本的な塩基性塩、アミン等を、超酸を中和するために加えることができる。一般的には、本発明の方法における真空フィニッシング工程を使用することが好ましい。さらに、超酸触媒が使用される場合、等モル量の塩基を添加することを含む中和工程が好ましい。
【0052】
最終的な混成ポリエステル−ポリエーテル生成物は無色であるか、又は出発カルボキシル基含有成分と、使用される場合に第三級アミン共触媒のタイプに応じて、様々に着色していることがある。最終的な混成ポリエステル−ポリエーテル生成物は、往々にして求められる多くの特性を示し、さらなるプロセス工程なしにこれらの特性を得ることの利点をもたらす。すなわち、本発明の反応により特性が「誘導」される(すなわち、本発明の反応の結果として混成ポリエステル−ポリエーテルに生じる)。その多分散指数(PDI、Mw/Mn、質量平均分子量/数平均分子量として定義される)は1.01から4.6までの値をとることができるが、好ましくは1.8未満、より好ましくは1.5未満、より好ましくは1.3未満、最も好ましくは1.25未満であり、一般的に狭い分布をとる。生成物の他の特性としては、低い誘導された不飽和度(好ましく0.005meq/g以下);混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの高い収率(理論値の95〜100%、好ましくは97〜100%、さらに好ましくは99〜100%);エポキシドがプロピレンオキシドである高第1級ヒドロキシル生成物(30〜50%)(エポキシ成分当量とカルボキシル含有成分当量の開始時の比が2未満である);低い残留酸性度(望ましくはKOHとして0.01〜50mg/g、好ましくはKOHとして2mg/g未満、さらに好ましくはKOHとして0.5mg/g未満);低誘導レベルの揮発性副生成物、例えば環状エステル、環状エーテル、アルデヒド及びケトン(生成物の質量を基準として、望ましくは0.5%未満、より好ましくは0.1%未満、さらに好ましくは0.05%未満);低誘導ポリアルキレングリコールジオール形成(生成物の質量を基準として、望ましくは0.5%未満、より好ましくは0.1%未満、さらに好ましくは0.05質量%未満);及び/又は生成した生成物における狭い官能価分布(目標官能価からの偏差で、望ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、更に好ましくは3%未満)が挙げられる。
【0053】
最終的な混成ポリエステル−ポリエーテル生成物は、多くの用途で使用できるが、具体的には、例えばアプライアンス及び構造物などの目的のための絶縁材;エラストマー;及び接着剤などの用途のための可撓性及び硬質フォームなどのポリウレタンフォームを製造するために使用できる。かかるフォームは、例えば、硬質ポリウレタン絶縁フォームの場合に、ヒドロキシル価に基づいて対応する量のポリエステルポリオールに混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールが置き換えられた他の配合では同じ硬質ポリウレタン絶縁フォームと比べて(a)圧縮強さの向上及び(b)離型後膨張の減少から選択される少なくとも1つの特性における25%を超える改善を示すなどの改善を示す。
【実施例】
【0054】
以下の例で使用した材料としては、以下のものが挙げられる:
・PA − 無水フタル酸,純度99.0%,Aldrichから入手可能。
・CA −− クエン酸,純度99.5%超(>),Aldrichから入手可能。
・SA −− コハク酸(1,4−ブタン二酸),純度>99%,Aldrichから入手可能。
・DEG −− ジエチレングリコール(ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル),純度>99.0%,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)から入手可能。
・DPG −− ジプロピレングリコール(ビス(2−ヒドロキシプロピル)エーテル),純度>99.0%,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・グリセリン −− 純度99.8%,Aldrichから入手可能。
・PO −− プロピレンオキシド,純度>99.9%,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・EO −− エチレンオキシド,純度>99.9%,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・PEG200 −− 平均分子量200Daのポリエチレングリコール,純度>99.0%,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・VORANOL RN 482 −− ソルビトール開始オキシプロピレンヘキシトールポリエーテルポリオール,ヒドロキシル価482,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・VORANOL RN 490 −− 平均官能価4.3,ヒドロキシル価490のソルビトール/グリセリン開始オキシプロピレンポリエーテルポリオール,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・VORANOL RA 500 − ヒドロキシル価500のエチレンジアミン開始オキシプロピレンテトロールポリエーテルポリオール,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・VORANOL CP1055 −− 分子量約1000のグリセリン開始オキシプロピレントリオールポリエーテルポリオール,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・VORANOL CP1421 −− グリセリン開始オキシプロピレン/−オキシエチレンポリエーテルポリオール(オキシエチレン75wt%),ヒドロキシル当量1675,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・VORANOL CP 6001 −− グリセリン開始オキシプロピレン/−オキシエチレンポリエーテルポリオール,ヒドロキシル当量2000,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・VORANOL CP260 −− 分子量約255Daのグリセリン開始オキシプロピレントリオールポリエーテルポリオール,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・STEPANPOL(登録商標)PS3152 −− ジエチレングリコール−無水フタル酸に基づくヒドロキシル価315のジオールポリエステルポリオール,Stepan Companyから入手可能。
・VORANATE M 229 −− 平均官能価2.7及びNCO含有量31質量%のポリマーメタンジフェニルジイソシアネート,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・SPECFLEX NE 112 −− ポリマーメタンジフェニルジイソシアネートとモノマーメタンジフェニルジイソシアネートのブレンド,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
・TFA −− トリフルオロメタンスルホン酸(トリフル酸),純度>99%,−14未満のHを有する,Flukaから入手可能。
・DABCO(登録商標)TMR30 −− トリス−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノール,Air Products and Chemicals,Inc.から入手可能な三量化触媒。
・DABCO(登録商標)33 LV −− トリエチレンジアミンの33質量%プロピレングリコール溶液,Air Products and Chemicals,Inc.から入手可能。
・PMDETA −− ペンタメチルジエチレントリアミン,Air Products and Chemicals,Inc.から商品名POLYCAT(登録商標)5で入手可能な触媒。
・NIAX(登録商標)A−l −− 70%のビス(2−ジメチル−アミノエチル)エーテル及び30%のジプロピレングリコール,Momentive Performance Materialsから入手可能。
・DEOA −− ジエタノールアミン,99%,Aldrichから入手可能。
・DMCHA −− N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン,Air Products and Chemicals,Inc.から入手可能な触媒。
・EMI −− 2−エチル−4−メチル−イミダゾール,純度>99.0%,Aldrichから入手可能。
・シクロペンタン −− 純度99%,Haltermannから入手可能な発泡剤。
・TEGOSTAB(登録商標)B 8462 −− Goldschmidt Chemical Companyから入手可能なシリコーン系界面活性剤。
・TEGOSTAB(登録商標)B 8715 LF −− Goldschmidt Chemical Companyから入手可能なシリコーン系界面活性剤。
・CURITHANE 206 −− 酢酸カリウム,33質量%ジエチレングリコール溶液,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能な触媒。
・KLUBER(登録商標)41−203 −− Chem−Trendから入手可能な離型剤。
VORANOL,VORANATE,SPECFLEX及びCURITHANEはザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの登録商標である。]
【0055】
以下の方法に従って試験を行った:
・ヒドロキシル価 −− ASTM D4274 Dのプロトコールに従って水酸化カリウム(KOH)mg/gとして求めた。
・酸価 −− 標準KOHメタノール溶液(0.01N:認証済,Fisher Scientificから入手可能)によるサンプルのメタノール溶液の電位差滴定により水酸化カリウム(KOH)mg/gとして求めた。
・水の質量% −− ASTM E203に従って求めた。
・25℃、50℃、75℃及び100℃での粘度:ASTM D445及びコーン−プレート:ISO 3219に従って求めた。
・全不飽和量 −− ASTM D4671に従ってmeq/gとして求めた。
・pH(1HO+10MeOH) −− 見掛けpH、60mLの中和された水−メタノール(質量で水+メタノールが1+10)溶液に10gのサンプルを加えた後に標準的なpH計を使用して求めた。
・分子量分布 −− サンプルの分子量分布(MWD)は、室温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。このGPCシステムは、VORANOL CP6001とVORANOL CP4100とVORANOL CP2000とVORANOL CP1000(Mn=6000,4100,2000及び1000Daであるトリオールグリセリンに基づくポリプロピレンポリオール)の標準ポリオール混合物に対して較正した。計算は、狭標準法に基づく。
・NMR −− 13C NMRスペクトルを、以下の動作周波数でBruker DPX−400装置により記録した:Hについては400.13MHz及び13Cについては100.62MHz。13C NMR用のポリオールサンプルは、10mmのNMR管内でd−アセトン中で測定した。サンプルは、3gのポリオールと1gの溶媒を混合することにより調製した。逆ゲートプロトンデカップル13C−NMRスペクトル(緩和時間T1=10秒、1024スキャン)及びDEPT135スペクトルを得た。
【0056】
触媒の調製
三口丸底フラスコ内に11.1グラム(g)(0.033mol)のKCo(CN)、453g(25.17mol)のHO及び58.5g(0.789mol)のt−ブタノールを加え、30℃で200回毎分(rpm)超で30分間撹拌することによりDMC触媒を合成した。次に、114g(0.836mol)のZnClと114g(6.33mol)の水(HO)の混合物を5ミリメートル毎分(mL/min)の流量で加えた。活性の低下を防止するために混合中に温度を±4℃の最大範囲内に保った。撹拌をさらに30分間続けた。得られたミルク状分散液を10,000rpmで30分間遠心分離した。10,000rpmで30分間の遠心分離前に、析出物を、153g(2.06mol)のt−ブタノールと84g(4.67mol)のHOの混合物中で激しく撹拌しながら30分間洗浄した。2回目の洗浄は、t−ブタノールとHOの量をそれぞれ214g(2.89mol)及び1.5g(0.083mol)に変えたことを除き、第1回目の洗浄を繰り返すものであった。遠心分離後、析出物を50℃で20〜30ミリバール(mbar)(2〜3kPa)で16時間乾燥させた。次に、塊状物を粉々にするために生成物を乳鉢で摩砕し、約15gの触媒が白色微粉末として得られた。
次に、触媒を、王水分解液中でX線蛍光(XRF)及び誘導結合プラズマ発光分析(ICP−ES)を使用して金属コバルト、カリウム及び亜鉛について分析した。元素組成は以下のとおりであることが判った:カリウム0.31質量%;亜鉛25.2質量%;コバルト11.1028質量%;カリウム/コバルト0.028質量%;及び水7.0489質量%。
【0057】
例1(参考例)
623.4g(6.77mol)のグリセリン及び1503.9g(10.15mol)の無水フタル酸を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を、撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6barのN圧力で120℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器内のN圧力を1.0barに減少させ、撹拌速度を400rpmに増加させた。PO(1651g,28.43mol)を反応器に流量15g/分で110分間供給した。強い発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は5.1bar(510kPa)に達した。反応器温度を130℃に上昇させ、14.5時間のさらなる消化時間(digestion time)をとった。反応器内の全圧力は3.4bar(340kPa)に減少した。残留圧力を解放した。反応混合物を6bar(600kPa)のN圧力で10回フラッシュした。生成物を真空中100℃で2時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:308mg KOH/g;酸価:1.7mg KOH/g;全不飽和量:0.0047meq/g;水:40ppm;全揮発分216ppm;50℃での粘度:5260mPa・s;75℃での粘度:569mPa・s;100℃での粘度:119mPa・s;60℃での密度:1.168g/cm;pH:4.4。13C−NMR:グリセリン+1.5PA+4.0PO,Mn=548Da;第1級OH:全OHの41.3%,第2級OH:全OHの58.7%。GPC:Mn=380g/mol,Mw/Mn=1.13。
【0058】
例2(参考例)
307.4g(3.34mol)のグリセリン及び741.6g(5.01mol)の無水フタル酸を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を、撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6barのN圧力で120℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器内のN圧力を1.0bar(100kPa)に減少させた。DMC触媒(1.549g,生成物の質量を基準として800ppm)を反応器に加えた。反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。撹拌速度を400rpmに増加させ、反応器温度を130℃に上昇させた。PO(887g,15.27mol)を反応器に流量15g/分で60分間供給した。強い発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器は5.8bar(580kPa)に達した。PO供給開始から110分の時点で、発熱を伴う反応器内の急激な圧力減少(両方ともDMC触媒の活性化に典型的)が観測された。さらに0.5時間の消化時間をとった。生成物を真空中100℃で1時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:289mg KOH/g;酸価:0.3mg KOH/g;全不飽和量:0.0052meq/g;水:90ppm;全揮発分96ppm;50℃での粘度:3920mPa・s;75℃での粘度:429mPa・s;100℃での粘度:89mPa・s;60℃での密度:1.159g/cm;pH:6.4;13C−NMR:グリセリン+1.5PA+4.6PO,Mn=580Da;第1級OH:全OHの35.5%,第2級OH:全OHの64.5%。GPC:Mn=400g/mol,Mw/Mn=1.13。
【0059】
例3(参考例)
650.0g(6.13mol)のジエチレングリコール、1814.5g(12.25mol)の無水フタル酸及びDMC触媒(0.036g,生成物の質量を基準として10ppm)を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6bar(600kPa)のN圧力で110℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器内のN圧力を1.0bar(100kPa)に減少させた。撹拌速度を400rpmに増加させ、反応器温度を120℃に増加させた。PO(1189g,20.47mol)を反応器に流量15g/分で60分間供給した。強い発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は4.8bar(480kPa)に達した。6時間のさらなる消化時間をとった。反応器内の全圧力を2.3bar(230kPa)に減少させた。残留圧力を解放し、反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。生成物を真空中100℃で1時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:177mg KOH/g; 酸価:18.4mg KOH/g;全不飽和量:0.002meq/g;水:720ppm;全揮発分52ppm;50℃での粘度:4273mPa・s;75℃での粘度:1220mPa・s;100℃での粘度:105mPa・s;60℃での密度:1.183g/cm;pH:3.6;13C−NMR:DEG+2.0PA+3.2PO,M=587Da;第1級OH:全OHの41%,第2級OH:全OHの59%。GPC:Mn=360g/mol,Mw/Mn=1.17。
【0060】
例4(参考例)
例3(参考例)で得られたポリオール2368.8gを5Lステンレススチールアルコキシル化反応器に入れた。反応器を120℃でサーモスタット制御した。
DMC触媒活性化工程:DMC触媒(0.059g,スターターの質量を基準として25ppm)を反応器に加えた。反応混合物を撹拌しながら6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器に真空を適用して内圧を1mbar(0.1kPa)未満にした。PO(200g,3.44mol)を反応器に流量15g/分で14分間供給した。反応器内容物を1時間撹拌した。DMC触媒活性化は観測されなかった。残留圧力を解放し、反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュし、次に、10分間真空ストリッピングした。
DMC触媒活性化工程を2回上記のように繰り返した。第3の触媒活性化工程の完了後10分後以内に発熱を伴う反応器内の急激な圧力(両方ともDMC触媒の活性化に典型的)が観測された。さらに0.5時間の消化時間をとった。生成物を真空中100℃で1時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:174mg KOH/g;酸価:1.3mg KOH/g;全不飽和量:0.002meq/g;水:230ppm;全揮発分59ppm;50℃での粘度:2054mPa・s;75℃での粘度:860mPa・s;100℃での粘度:76mPa・s;25℃での密度:1.190g/cm;pH:5.1;13C−NMR:DEG+2.0PA+4.4PO,Mn=660Da;第1級OH:全OHの30%,第2級OH:全OHの70%。GPC:Mn=443g/mol,Mw/Mn=1.12。
【0061】
例5(参考例)
3812.8g(35.93mol)のジエチレングリコール及び10643.7g(71.86mol)の無水フタル酸を20Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6bar(600kPa)のN圧力で120℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器温度を130℃に上昇させた。反応器内のN圧力を1.0bar(100kPa)に減少させた。PO(7336g,126.31mol)を反応器に流量95g/分で80分間供給下。強い発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は5.7bar(570kPa)に達した。さらに10時間の消化時間をとった。反応器内の全圧力は3.1bar(310kPa)に減少した。
IKA Ultra Turrax T25 blenderを使用して14000rpmでドライバッグ内で、例4(参考例)で得られたポリオール520.0g中に固体DMC触媒(3.34g)を分散させた。分散液は6500ppmのDMC触媒を含んでいた。反応器を120℃でサーモスタット制御した。上記のように調製した89.8gのDMC触媒分散液を、反応器に接続された加圧ステンレススチールボンベの助けを借りて反応器に注入し、次に、さらに1240gのPOを流量95g/分で供給した。反応器内容物を2時間撹拌した。DMC触媒活性化は観測されなかった。
さらに87.4gの上記DMC触媒の分散液を反応器に注入し、次に、さらに700gのPOを95g/分で注入した。反応器内容物をさらに2時間撹拌した。触媒活性化は観測されなかった。
さらに83.4gのDMC触媒分散液を反応器に注入し、次に、500gのPOを95g/分で供給した。供給の完了から10分間以内で反応器内の圧力低下及び発熱を伴うスムースなDMC触媒活性化が観測された。さらに0.5時間の消化時間をとった。さらに0.5時間の消化時間をとった。生成物を真空中100℃で1時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有する:OH価:169mg KOH/g;酸価:0.16mg KOH/g;全不飽和量:0.006meq/g;水:130ppm;全揮発分88ppm;50℃での粘度:1430mPa・s;75℃での粘度:225mPa・s;100℃での粘度:65mPa・s;60℃での密度:1.143g/cm;pH:7.6;13C−NMR:DEG+2.0PA+4.8PO,Mn=680Da;第1級OH:全OHの23%,第2級OH:全OHの77%。GPC:Mn=460g/mol,Mw/Mn=1.12。
【0062】
例6(参考例)
活性化DMCを含む例5(参考例)で得られた14249.2gのポリオールを20Lステンレススチールアルコキシル化反応器に入れた。反応器を135℃でサーモスタット制御した。反応器の真空を適用して内圧を1mbar(0.1kPa)未満にした。PO(6511g,112.10mol)を反応器に流量90g/分で75分間供給した。この供給の間に反応器内の圧力を1.0bar(100kPa)に保った。さらに0.5時間の消化時間をとった。生成物を真空中100℃で1時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:116mg KOH/g;酸価:0.1mg KOH/g;全不飽和量:0.006meq/g;水:160ppm;全揮発分160ppm;50℃での粘度:507mPa・s;75℃での粘度:113mPa・s;100℃での粘度:36mPa・s;25℃での密度:1.122g/cm;pH:7.9,13C−NMR:DEG+2.0PA+10.1PO,Mn=991Da;第1級OH:全OHの6.3%,第2級OH:全OHの93.7%。GPC:Mn=780g/mol,Mw/Mn=1.08。
【0063】
例7(参考例)
920.0g(8.67mol)のジエチレングリコール、2568.2g(17.34mol)の無水フタル酸、DMC触媒(0.076g,生成物の質量を基準として15ppm)及び2−エチル−4−メチルイミダゾール(1.02g,生成物の質量を基準として200ppm)を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6bar(600kPa)のN圧力で110℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器内のN圧力を1.0bar(100kPa)に減少させ、撹拌速度を400rpmに増加させた。PO(1581g,27.22mol)を反応器に流量15g/分で105分間供給した。強い発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は5.3bar(530kPa)に達した。さらに2時間の消化時間をとった。反応器内の全圧力は4.0bar(400kPa)に減少した。残留圧力を解放し、反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。生成物を真空中100℃で1時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:205mg KOH/g;酸価:0.6mg KOH/g;全不飽和量:0.005meq/g;水:350ppm;全揮発分72ppm;50℃での粘度:3390mPa・s;75℃での粘度:385mPa・s;100℃での粘度:76mPa・s;25℃での密度:1.197g/cm;pH:5.5;13C−NMR:DEG+2.0PA+2.7PO,Mn=560Da;第1級OH:全OHの39%,第2級OH:全OHの61%。GPC:Mn=680g/mol,Mw/Mn=1.06。
【0064】
例8(参考例)
1199.5g(11.30mol)のジエチレングリコール、2525.8g(17.05mol)の無水フタル酸及び2−エチル−4−メチルイミダゾール(0.27g,生成物の質量を基準として50ppm)を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6bar(600kPa)のN圧力で110℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器内のN圧力を1.0bar(100kPa)に減少させた。撹拌速度を400rpmに増加させ、反応器温度を130℃に上昇させた。PO(1998g,34.40mol)を反応器に流量12.5g/分で160分間供給した。発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は5.7bar(570kPa)に達した。さらに2時間の消化時間をとった。反応器内の全圧力は4.9bar(490kPa)に減少した。残留圧力を解放し、反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。無色の粘性液体が得られた。生成物を真空中120℃で1時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:238mg KOH/g;酸価:0.3mg KOH/g;全不飽和量:0.0013meq/g;水:130ppm;全揮発分95ppm;50℃での粘度:1070mPa・s;75℃での粘度:153mPa・s;100℃での粘度:51mPa・s;60℃での密度:1.179g/cm;pH:5.5;13C−NMR:DEG+1.5PA+2.5PO,Mn=474Da;第1級OH:全OHの49%,第2級OH:全OHの51%。GPC:Mn=330g/mol,Mw/Mn=1.12。
【0065】
例9(参考例)
204.4g(1.93mol)ジエチレングリコール,285.3g(1.93mol)無水フタル酸及び2−エチル−ブチル−ジイソプロピルアミン(0.96g,生成物の質量を基準として1400ppm)を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6bar(600kPa)のN圧力で110℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器内のN圧力を1.0bar(100kPa)に減少させた。撹拌速度400rpmに増加させ、反応器温度を130℃に上昇させた。PO(198g,3.41mol)を反応器に流量15g/分で15分間供給した。発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は5.1bar(510kPa)に達した。さらに5.5時間の消化時間をとった。反応器内の全圧力は4.2bar(420kPa)に減少した。残留圧力を解放し、反応混合物反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。生成物を真空中120℃で0.5時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:314mg KOH/g;酸価:0.4mg KOH/g;全不飽和量:0.0011meq/g;水:100ppm;全揮発分76ppm;50℃での粘度:393mPa・s;75℃での粘度:75mPa・s;100℃での粘度:25mPa・s;60℃での密度:1.172g/cm;pH:5.2;13C−NMR:DEG+1.0PA+1.6PO,Mn=348Da;第1級OH:全OHの59%,第2級OH:全OHの41%。GPC:Mn=280g/mol,Mw/Mn=1.08。
【0066】
例10(参考例)
600.0g(3.12mol)のクエン酸無水物、DMC触媒(0.059g,生成物の質量を基準として40ppm)及び1500gのトルエンを20Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を1bar(100kPa)のN圧力で200rpmで撹拌しながら125℃でサーモスタット制御した。PO(1310g,22.55mol)を反応器に流量13g/分で100分間供給した。供給完了時点で反応器内の全圧力は4.8bar(480kPa)に達した。さらに2.5時間の消化時間をとった。次に反応器を30℃に冷却し、生成物をプラスチック容器内に集めた。60℃及び50〜10mbar(5〜1kPa)、次に90℃及び1mbar(0.1kPa)でロータリーエバポレーターにより溶媒を除去した。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:447mg KOH/g;酸価:0.8mg KOH/g;全不飽和量:0.004meq/g;水:160ppm;50℃での粘度:2070mPa・s;pH:6.3;13C−NMR:CA+5.2PO,Mn=494Da;第1級OH:全OHの30.5%,第2級OH:全OHの45.7%,第3級OH:全OHの23.8%。GPC:Mn=362g/mol,Mw/Mn=1.17。
【0067】
例11(参考例)
例10(参考例)で得られた1226.5gのポリオールを5Lステンレススチールアルコキシル化反応器に入れた。反応器を120℃でサーモスタット制御した。
DMC触媒活性化工程:DMC触媒(0.053g,スターターの質量を基準として43ppm)を反応器に加えた。反応混合物を撹拌しながら6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器に真空を適用して内圧を1mbar(0.1kPa)未満に下げた。PO(200g,3.44mol)を反応器に流量15g/分で14分間供給した。反応器内容物を1時間撹拌した。DMC触媒の活性化は観測されなかった。残留圧力を解放し、反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュし、次に10分間真空ストリッピングした。
DMC触媒活性化工程を2回上記のように繰り返した。3回目のDMC触媒活性化工程の最後の1時間にわたって反応器内の圧力の緩やかな減少が観測された。さらなるPO(500g,8.61mol)を反応器に流量15g/分で35分間供給した。さらなる1時間の消化時間をとった。生成物を真空中100℃で1時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:262mg KOH/g;酸価:0.3mg KOH/g;全不飽和量:0.004meq/g;水:100ppm;25℃での粘度:5750mPa・s;50℃での粘度:622mPa・s;pH:8.0;13C−NMR:CA+11.2PO,Mn=843Da;第1級OH:全OHの12.5%,第2級OH:全OHの65.0%,第3級OH:全OHの22.5%。GPC:Mn=830g/mol,Mw/Mn=1.38。
【0068】
例12(参考例)
570.0g(2.97mol)のクエン酸無水物、DMC触媒(0.100g,生成物の質量を基準として65ppm)及び540gのトルエンを5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を1bar(100kPa)のN圧力で200rpmで撹拌しながら120℃でサーモスタット制御した。EO(1110g,25.20mol)を反応器に流量15g/分で70分間供給した。供給完了時点で反応器内の全圧力は5.6bar(560kPa)に達した。さらに12時間の消化時間をとった。反応器を30℃に冷却し、生成物をプラスチック容器内に集めた。60℃及び50〜10mbar(5〜1kPa)、次に90℃及び1mbar(0.1kPa)でロータリーエバポレーターにより溶媒を除去した。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:430mg KOH/g;酸価:1.0mg KOH/g;全不飽和量:0.001meq/g;水:340ppm;pH:6.3。13C−NMR:CA+7.3EO,Mn=515Da;第1級OH:全OHの76%,第3級OH:全OHの24%。GPC:Mn=355g/mol,Mw/Mn=1.20。
【0069】
例13(参考例)
例12(参考例)で得られたポリオール1052.3g及びDMC触媒(0.842g,生成物の質量を基準として500ppm)を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を撹拌しながら6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を1.6bar(160kPa)のN圧力で120℃でサーモスタット制御した。EO(150g,3.40mol)を反応器に流量15g/分で10分間供給した。供給の完了後、反応器内の圧力減少が観測された。さらなるEO(482g,10.94mol)を反応器に流量15g/分で35分間供給した。さらに0.5時間の消化時間をとった。生成物を真空中100℃で1時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:265mg KOH/g;酸価:0.2mg KOH/g;全不飽和量:0.004meq/g;水:270ppm;25℃での粘度:8950mPa・s;40℃での粘度:5600mPa・s;pH:8.5。13C−NMR:CA+14.3EO,Mn=824Da;第1級OH:全OHの77.5%,第3級OH:全OHの22.5%。GPC:Mn=756g/mol,Mw/Mn=3.69。
【0070】
例14(参考例)
500.0g(4.24mol)のコハク酸、DMC触媒(0.103g,生成物の質量を基準として95ppm)及び500gのトルエンを5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を1bar(100kPa)のN圧力で200rpmで撹拌しながら140℃でサーモスタット制御した。PO(600g,10.33mol)を反応器に流量15g/分で40分間供給した。供給完了時点で反応器内の全圧力は4.8bar(480kPa)に達した。さらに6.0時間の消化時間をとった。次に、反応器を30℃に冷却し、生成物をプラスチック容器内に集めた。無色の粘性液体が得られた。60℃及び50〜10mbar(5〜1kPa)、次に90℃及び1mbar(0.1kPa)でロータリーエバポレーターにより溶媒を除去した。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:305mg KOH/g;酸価:7.9mg KOH/g;全不飽和量:0.003meq/g;水:40ppm;25℃での粘度:917mPa・s;pH:4.7;13C−NMR:SA+2.4PO,Mn=255Da;第1級OH:全OHの40.0%,第2級OH:全OHの60.0%。
【0071】
例15(参考例)
800.0g(8.69mol)のグリセリン及び1286.6g(8.69mol)の無水フタル酸を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6bar(600kPa)のN圧力で110℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器温度を130℃に上昇させた.反応器内のN圧力を1.0barに減少させ、撹拌速度を400rpmに増加させた。PO(1917.0g,33.00mol)を反応器に流量15g/分で130分間供給した。発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は6bar(600kPa)に達した。2.5時間のさらなる消化時間をとった。反応器内の全圧力は5.0bar(500kPa)に減少した。反応器の温度を100℃に下げた。トリフル酸の10%エタノール溶液1.00g(生成物の質量を基準として20ppmのTFA)を、反応器に接続された加圧ステンレススチールボンベの助けを借りて反応器に注入した。反応器内の即座の圧力低下と発熱が観測された。さらなる10分間の消化時間をとった。さらなるPO(643.0g,11.08mol)を反応器に流量15g/分で45分間供給した。発熱を伴って即座に反応が開始した。この供給の終了後、15分間のさらなる消化時間を取った。残留窒素圧力を解放し、反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。残留トリフル酸を中和するために炭酸カリウム(0.05g,0.36mmol)を生成物に加えた。生成物を真空中100℃で2時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:310mg KOH/g;酸価:1.1mg KOH/g;全不飽和量:0.0056meq/g;水:180ppm;全揮発分560ppm;25℃での粘度:10800mPa・s;50℃での粘度:835mPa・s;75℃での粘度:122mPa・s;100℃での粘度:36mPa・s;60℃での密度:1.118g/cm;25℃での密度:1.146g/cm;pH:4.7。13C−NMR:グリセリン+1.0PA+5.2PO,Mn=541Da;第1級OH:全OHの61.6%,第2級OH:全OHの37.9%。GPC:Mn=330g/mol,Mw/Mn=1.21。
【0072】
例16(参考例)
190.9g(2.07mol)のグリセリン及び307.1g(2.07mol)の無水フタル酸を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6barのN圧力で110℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器温度を100℃に下げた。トリフル酸の10%エタノール溶液0.55g(生成物の質量を基準として50ppmのTFA)を、反応器に接続された加圧ステンレススチールボンベの助けを借りて反応器に注入した。反応器内のN圧力を1.0barに減少させ、撹拌速度を400rpmに増加させた。PO(610.5g,10.51mol)を反応器に流量15g/分で40分間供給した。強い発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で、反応器内の全圧力は3.0bar(300kPa)に達した。供給完了後、30分間のさらなる消化時間をとった。反応器内の全圧力は1.4bar(140kPa)に減少した。残留トリフル酸を中和するために炭酸カリウム(0.03g,0.22mmol)を生成物に加えた。生成物を真空中100℃で2時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:243mg KOH/g;酸価:48mg KOH/g;全不飽和量:0.006meq/g;水:120ppm;全揮発分329ppm;50℃での粘度:1820mPa・s;75℃での粘度:280mPa・s;100℃での粘度:83mPa・s;60℃での密度:1.124g/cm;25℃での密度:1.151g/cm;pH:3.5。13C−NMR:グリセリン+1.0PA+4.7PO,Mn=514Da;第1級OH:全OHの63.2%,第2級OH:全OHの36.8%。GPC:Mn=330g/mol,Mw/Mn=1.39。
【0073】
実施例17
2000.0g(7.84mol)のVORANOL CP260トリオールポリエーテルポリオール、1161.7g(7.84mol)無水フタル酸及び0.21gの2−エチル−4−メチル−イミダゾール(生成物の質量を基準として50ppmのEMI)を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6barのN圧力で130℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器内のN圧力を1.0barに減少させ、撹拌速度を400rpmに増加させた。PO(1048.6g,18.06mol)を反応器に流量15g/分で70分間供給した。発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は5.7bar(570kPa)に達した。2.5時間のさらなる消化時間をとった。反応器内の全圧力は4.2bar(420kPa)に減少した。反応器温度を100℃に下げた。トリフル酸の10%エタノール溶液6.10g(生成物の質量を基準として145ppmのTFA)を、反応器に接続された加圧ステンレススチールボンベの助けを借りて反応器に注入した。反応器内の即座の圧力低下と発熱が観測された。この供給の終了後、40分間のさらなる消化時間をとった。残留窒素圧力を解放し、反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。残留トリフル酸を中和するために炭酸カリウム(0.28g,2.03mmol)を生成物に加えた。次に、生成物を真空中100℃で2時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:307mg KOH/g;酸価:0.2mg KOH/g;全不飽和量:0.0031meq/g;水:70ppm;全揮発分286ppm;50℃での粘度:954mPa・s;75℃での粘度:154mPa・s;100℃での粘度:47mPa・s;60℃での密度:1.116g/cm;25℃での密度:1.143g/cm;pH:5.8。13C−NMR:グリセリン+2.8PO+1.0PA+2.3PO,Mn=536Da;第1級OH:全OHの34.3%,第2級OH:全OHの65.7%。GPC:Mn=380g/mol,Mw/Mn=1.18。
【0074】
実施例18
500.0g(1.96mol)のVORANOL CP260トリオールポリエーテルポリオール、435.7g(2.94mol)の無水フタル酸及び0.07gの2−エチル−4−メチル−イミダゾール(生成物の質量を基準として50ppmのEMI)を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6barのN圧力で130℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器内のN圧力を1.0barに減少させ、撹拌速度を400rpmに増加させた。PO(358.7g,6.18mol)を反応器に流量15g/分で25分間供給した。発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は5.2bar(520kPa)に達した。2.5時間のさらなる消化時間をとった。反応器内の全圧力は3.2bar(420kPa)に減少した。反応器温度を100℃に下げた。トリフル酸の10%エタノール溶液1.90g(生成物の質量を基準として145ppmのTFA)を、反応器に接続された加圧ステンレススチールボンベの助けを借りて反応器に注入した。反応器内の即座の圧力低下と発熱が観測された。この供給の終了後、30分間のさらなる消化時間をとった。残留窒素圧力を解放し、反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。残留トリフル酸を中和するために炭酸カリウム(0.09g,0.65mmol)を生成物に加えた。次に、生成物を真空中100℃で2時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:249mg KOH/g;酸価:0.7mg KOH/g;全不飽和量:0.0022meq/g;水:120ppm;全揮発分98ppm;50℃での粘度:2520mPa・s;75℃での粘度:316mPa・s;100℃での粘度:87mPa・s;60℃での密度:1.134g/cm;25℃での密度:1.159g/cm;pH:4.8。13C−NMR:グリセリン+2.8PO+1.5PA+3.2PO,Mn=662Da;第1級OH:全OHの38.4%,第2級OH:全OHの61.6%。GPC:Mn=500g/mol,Mw/Mn=1.20。
【0075】
実施例19
300.0g(3.26mol)グリセリン及びトリフル酸の10%エタノール溶液0.21g(生成物の質量を基準として10ppmのTFA)を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器に入れた。反応器を閉じ、1barのN圧力で200rpmで撹拌しながら100℃でサーモスタット制御した。反応器に真空を適用して内圧を1.0mbar未満に減少させた。撹拌速度を400rpmに増加させ、PO(410.5g,7.07mol)を反応器に流量15g/分で30分間供給した。強い発熱を伴って即座に反応が開始した。この供給の終了後、10分間のさらなる消化時間をとった。反応を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。723.9g(4.89mol)の無水フタル酸及び0.12gの2−エチル−4−メチル−イミダゾール(生成物の質量を基準として60ppmEMI)を反応器に加えた。反応混合物を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6barのN圧力で130℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器内のN圧力を1.0barに減少させ、撹拌速度を400rpmに増加させた。PO(596.7g,10.27mol)を反応器に流量15g/分で40分間供給した。発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は4.4bar(440kPa)に達した。2.5時間のさらなる消化時間をとった。反応器内の全圧力は2.5bar(250kPa)に減少した。反応器温度を100℃に下げた。トリフル酸の10%エタノール溶液2.85g(生成物の質量を基準として140ppmのTFA)を、反応器に接続された加圧ステンレススチールボンベの助けを借りて反応器に注入した。反応器内の即座の圧力低下と発熱が観測された。この供給の終了後、15分間のさらなる消化時間をとった。残留窒素圧力を解放し、反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。残留トリフル酸を中和するために炭酸カリウム(0.13g,0.94mmol)を生成物に加えた。次に、生成物を真空中100℃で2時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:258mg KOH/g;酸価:0.9mg KOH/g;全不飽和量:0.0011meq/g;水:340ppm;全揮発分183ppm;50℃での粘度:2750mPa・s;75℃での粘度:332mPa・s;100℃での粘度:87mPa・s;60℃での密度:1.142g/cm;25℃での密度:1.169g/cm;pH:4.4。13C−NMR:グリセリン+2.2PO+1.5PA+3.1PO,Mn=621Da;第1級OH:全OHの49.5%,第2級OH:全OHの50.5%。GPC:Mn=440g/mol,Mw/Mn=1.23。
【0076】
例20(参考例)
590.8g(4.40mol)のDPG及びトリフル酸の10%エタノール溶液0.71g(生成物の質量を基準として18ppmのTFA)を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器に入れた。反応器を閉じ、1bar(100kPa)のN圧力で200rpmで撹拌しながら100℃でサーモスタット制御した。反応器内容物を真空中100℃で0.5時間ストリッピングした。真空ラインを閉じ、撹拌速度を400rpmに増加させ、PO(511.5g,8.81mol)を反応器に流量15g/分で35分間供給した。強い発熱を伴って即座に反応が開始した。この供給の終了後、0.5時間のさらなる消化時間をとった。撹拌速度を50rpmに減少させた。反応器を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。1305.3g(8.81mol)の無水フタル酸及び0.04g(0.29mmol)のKCOを反応器に加えた。反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6barのN圧力で50rpmで撹拌しながら100℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌速度を50rpmから100rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに16時間撹拌した。反応器内のN圧力を1.0barに減少させ、温度を130℃に上昇させ、撹拌速度を400rpmに増加させた。PO(1074.3g,18.50mol)を反応器に流量100g/分で11分間供給した。発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は4.9bar(490kPa)に達した。4.5時間のさらなる消化時間をとった。反応器内の全圧力は2.7bar(270kPa)に減少した。反応器の底部バルブに接続された真空スチールボンベの助けを借りて468.0gのサンプルを採取した。サンプルをガラスフラスコに移し入れ、真空中100℃で撹拌しながら未反応POを0.5時間ストリッピングした。
IKA Ultra Turrax T25 blenderを使用して14000rpmでドライバッグ内で、上記のようにストリッピングしたサンプルから採取した270.0gのポリオール中に固体DMC触媒(0.753g)を分散させた。分散液は2780ppmのDMC触媒を含んでいた。反応器を140℃でサーモスタット制御した。上記のように調製した84.8gのDMC触媒分散液を、反応器に接続された加圧ステンレススチールボンベの助けを借りて反応器に注入し、次に、さらに100gのPOを流量30g/分で供給した。反応器内容物を1時間撹拌した。DMC触媒活性化は観測されなかった。
さらに82.4gのDMC触媒分散液を反応器に注入し、次に、100gのPOを30g/分で供給した。反応器内容物を1時間撹拌した。DMC触媒活性化は観測されなかった。
さらなる84.8gのDMC触媒分散液を反応器に注入し、次に、さらに100gのPOを流量30g/分で供給した。供給の完了から20分間以内で反応器内の圧力低下及び発熱を伴うスムースなDMC触媒活性化が観測された。さらに66gのPOを反応器に30g/分で供給した。さらに1.0時間の消化時間をとった。生成物を真空中120℃で1時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:136mg KOH/g;酸価:0.6mg KOH/g;全不飽和量:0.006meq/g;水:260ppm;全揮発分280ppm;25℃での粘度:12800mPa・s;50℃での粘度:1010mPa・s;75℃での粘度:144mPa・s;100℃での粘度:35mPa・s;60℃での密度:1.100g/cm;25℃での密度:1.129g/cm13C−NMR:DPG+2.0PA+7.5PO,Mn=866Da;第1級OH:全OHの23.3%,第2級OH:全OHの76.7%;GPC:Mn=610g/mol,Mw/Mn=1.18。
【0077】
例21(参考例)
306.7g(3.33mol)のグリセリン及び493.3g(3.33mol)の無水フタル酸を5Lステンレススチールアルコキシル化反応器内で混合した。反応混合物を撹拌せずに6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器を6barのN圧力で110℃でサーモスタット制御した。最初に、固体状の反応器内容物は反応器内で徐々に溶解し、この温度で0.5時間後に大部分は液体になった。撹拌をオンに切り換え、撹拌速度を50rpmから200rpmまで徐々に増加させた。反応器内容物をさらに1.5時間撹拌した。反応器温度を130℃に上昇させた。反応器内のN圧力を1.0barに減少させ、撹拌速度を400rpmに増加させた。PO(773.7g,13.32mol)を反応器に流量100g/分で80分間供給した。発熱を伴って即座に反応が開始した。供給完了時点で反応器内の全圧力は4.8bar(480kPa)に達した。5.0時間のさらなる消化時間をとった。反応器内の全圧力は4.0bar(400kPa)に減少した。反応器温度を100℃に下げた。トリフル酸の10%エタノール溶液0.36g(生成物の質量を基準として9ppmのTFA)を反応器に接続された加圧スチールボンベの助けを借りて反応器に注入した。反応器内の即座の圧力低下と発熱が観測された。この供給の終了後、10分間のさらなる消化時間をとった。
PO(208.0g,3.58mol)を反応器に流量10g/分で25分間供給した。発熱を伴って即座に反応が開始した。供給終了後、15分間のさらなる消化時間をとった。残留窒素圧力を解放し、反応混合物を6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。残留トリフル酸を中和するために、水酸化カリウム(0.40g,0.5mol/lエタノール溶液)を反応器に接続された加圧スチールボンベの助けを借りて反応器に注入した。次に、生成物を真空中120℃で2時間ストリッピングした。無色の粘性液体が得られた。
DMC触媒(0.204g,生成物の質量を基準として50ppm)を反応器に加えた。反応混合物を撹拌しながら6bar(600kPa)の窒素(N)圧力で10回フラッシュした。反応器に真空を適用して内圧を1.0mbar(0.1kPa)未満に減少させた。温度を140℃に上昇させた。PO(200.0g,3.44mol)を、反応器に300rpmで撹拌しながら流量20g/分で10分間供給した。PO供給の完了後10分間以内に発熱を伴う反応器内の急激な圧力減少(両方ともDMC触媒活性化に典型的)が観測された。追加量のPO(2105.0g,36.24mol)を反応器に流量20g/分で110分間供給した。さらに0.5時間の消化時間をとった。無色の粘性液体が得られた。
生成した混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールは以下の特性を有していた:OH価:133mg KOH/g;酸価:0.1mg KOH/g;全不飽和量:0.0029meq/g;水:190ppm;全揮発分160ppm;25℃での粘度:970mPa・s;50℃での粘度:186mPa・s;75℃での粘度:51mPa・s;100℃での粘度:14mPa・s;60℃での密度:1.029g/cm;25℃での密度:1.056g/cm;pH:6.1。13C−NMR:グリセリン+1.0PA+17.2PO,Mn=1240Da;第1級OH:全OHの7.1%,第2級OH:全OHの92.9%。GPC:Mn=1030g/mol,Mw/Mn=l.ll。
【0078】
比較例A及び例22(参考例)
発泡手順及びフォーム特性評価
Afros−Cannon製の高圧射出成形機及び計量分配装置を使用してフォームサンプルを作製した。配合したポリオールと発泡剤を予め混合した。配合したポリオール、発泡剤及びイソシアネートを20±2℃の温度で150±20bar(15000±2000kPa)の混合圧力を使用して高圧射出成形機により処理した。作製したフォームサンプルの全てについて、イソシアネート指数を1.15に一定に保った。フォームサンプルを、反応性、流動性、密度分布、圧縮強さ、熱伝導率及び離型性について評価した。以下のプロトコールに従って特性を求めた:
(1)反応性及びフリーライズ密度:配合物の反応性及びフォームのフリーライズ密度(FRD)を求めるためにフリーライズボックスフォームを作製した。クリーム時間、撹拌時間及び不粘着時間をフォームライズ中に記録した。FRDは、発泡から24時間後に求めた。
(2)フォームの物理的特性:フォームの物理的特性は、角度45°で充填され、即座に垂直位置に起こされるブレット(Brett)金型(200×20×5立方センチメートル(cm))を使用して評価した。この金型を45℃に保った。最小充填密度(MFD)を決定し、110%及び115%のオーバーパッキング(OP)のパネルを作製した。オーバーパックは、成形密度(MD)をMFDで割った値として定義される。MDは、ブレットパネルの質量をその体積で割ることにより計算した。システムフローは、フローインデックス(FI;FI=MFD/FRD)により求めた。平均密度偏差(ADD)は、ブレットに沿って切断された15個の試験片の密度を基準として計算した。
(3)熱伝導度(ラムダ):熱伝導度の測定は、LaserComp Fox 200装置を使用して平均温度10.2℃で実施した。
(4)圧縮強さ:圧縮強さは、ブレットに沿う5個の試験片についてISO 844に従って測定した。
(5)離型性:離型性は、45℃に保たれたジャンボ(Jumbo)金型(70×40×10cm)を使用して決定した。115%のオーバーパック率(OP)で作製されたジャンボパネルを6分間で離型して3分間の硬化時間をとり、7分間で離型して3分間の硬化時間をとった。フォームの後膨張は、離型から24時間後に求めた。20×20×20cmの立方体形の金型も使用した。この立方体形の金型を3分後に離型し、5分間の硬化時間をとった。
表1に示す成分及び割合を使用して2つの硬質ポリウレタンフォームを作製した。一方のフォームは20.0質量部(pbw)のSTEPANPOL(登録商標)PS3152ポリエステルポリオールを含み、他方のフォームは、代わりに、10質量%のPEG200で希釈した同量の例7(参考例)で調製した混成ポリエステル−ポリエーテルを含んでいた(混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールのヒドロキシル価はSTEPANPOL(登録商標)PS3152ポリエステルポリオールのヒドロキシル価よりも低いために、STEPANPOL(登録商標)PS3152ポリエステルポリオールと同じヒドロキシル価になるように混成ポリエステル−ポリエーテルを10質量%のPEG200により希釈した)。次に、各種特性についてフォームを試験し、結果を表2に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表2に示す結果は、圧縮強さ及び熱伝導率を維持しつつ、離型性及び炭化水素混和性の向上を示している。これらの向上は、生産者における生産性及び加工性の向上を可能とする。
【0081】
【表2】
【0082】
比較例B及び例23(参考例)
発泡手順及びフォーム特性評価
例14(参考例)の混成ポリエステル−ポリエーテルポリオール2.00質量部を使用して、表3に示す配合から可撓性ポリウレタンフォームを作製した。例14(参考例)の混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールを含まないことを除き、同じ手順及び条件を使用して第2にフォームを作製した。
反応物をプラスチックカップ内で撹拌機を使用して2,000RPMで5秒間混合し、次に、通気口を備えた300×300×100mmアルミニウム金型内に注ぎ入れ、60℃で加熱した。金型は、離型剤KLUBER(登録商標)41−2038により予め処理した。%CDで報告する圧縮永久歪は、サンプルの厚さ減少分を圧縮下のサンプルの厚さ減少分に対する値であることを意味する。50%歪(CFD)での圧縮力をPeugeot D−41−1003試験法に従って測定した。
表4に示す結果から、連鎖延長剤としての混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの添加が、他の物理的特性、特に圧縮永久歪を維持しつつフォームの引張強さ及び破断点伸びを改善することが判る。これは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)に基づく可撓性フォームの場合に重要である。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
カルボキシル基含有成分とエポキシド成分とを、必要に応じて複金属シアン化物触媒、超酸触媒、超酸触媒の金属塩及び/又は第3級アミン触媒のうちの1又は2種以上の存在下で、反応によりもたらされる特性として、1.5未満である多分散指数、0.01meq/g未満である不飽和度、及び水酸化カリウムとして2.0mg/g未満である酸価を有する混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールが形成されるような条件下で反応させることを含む、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの製造方法。
[態様2]
多分散指数が1.3未満である、上記態様1に記載の方法。
[態様3]
混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールが、(a)1.2未満の多分散指数;(b)0.006meq/g未満の不飽和度;(c)水酸化カリウムとして1.0mg/g未満の酸価;又はこれらの組み合わせから選択される反応によりもたらされる少なくとも1つの特性を示す、上記態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
カルボキシル基含有成分が、カルボン酸;酸性ハーフエステル;ポリエーテルポリオール、第2級アミン又は第2級若しくは第3級アミノアルコールとポリカルボン酸無水物との混合物又は反応生成物;又はこれらの組み合わせから選択される、上記態様1に記載の方法。
[態様5]
酸性ハーフ酸エステルが芳香族又は脂肪族である、上記態様4に記載の方法。
[態様6]
エポキシド成分が、カルボキシル基と反応してアルコキソエステル結合−COO−R−OH(式中、Rはアルキル、アリール−アルキルである)、又はエーテル結合ROR’(ここで、R及びR’は両方とも独立にアルキル又はアリールである)のいずれかを形成することができるエポキシド化合物から選択される、上記態様1に記載の方法。
[態様7]
エポキシド化合物が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、1−オクテンオキシド、9〜16個の炭素原子を有するエポキシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記態様6に記載の方法。
[態様8]
複金属シアン化物錯体触媒が、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として10〜10,000百万分率の量で存在する、上記態様1に記載の方法。
[態様9]
超酸触媒及び/又は超酸触媒の金属塩が、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として10〜10,000百万分率の量で存在する、上記態様1に記載の方法。
[態様10]
複金属シアン化物錯体触媒及び超酸触媒が、独立に、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として10〜10,000百万分率の量で存在する、上記態様1に記載の方法。
[態様11]
超酸触媒がトリフルオロメタンスルホン酸である、上記態様1に記載の方法。
[態様12]
第3級アミン触媒が使用されない、上記態様8〜11のいずれか一つに記載の方法。
[態様13]
混成ポリエステル−ポリエーテルが、カルボキシル含有成分のカルボキシル基1個当たり2〜200個のエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシド単位を含む、上記態様1〜12のいずれか一つに記載の方法。
[態様14]
混成ポリエステル−ポリエーテルが200ダルトン超から2,000ダルトン超の分子量を有する、上記態様13に記載の方法。
[態様15]
第3級アミン触媒が、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として10〜10,000百万分率の量で存在する、上記態様1に記載の方法。
[態様16]
第3級アミン触媒が、2−エチルブチルジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ビス(tert−ブチル)メチルアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された立体障害のあるアミンである、上記態様15に記載の方法。
[態様17]
第3級アミン触媒及び超酸触媒が、独立に、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準として10〜10,000百万分率の量で存在する、上記態様15又は16に記載の方法。
[態様18]
プロトン性酸触媒がトリフルオロメタンスルホン酸である、上記態様17に記載の方法。
[態様19]
前記条件が、下記:
(a)50℃〜180℃の温度;(b)0.3絶対バール〜6絶対バール(30〜600キロパスカル)の圧力;(c)1時間〜24時間の時間;及び(d)1:1〜200:1のエポキシド成分の当量とカルボキシル基含有成分の当量との比、のうちの少なくとも1つを含む、上記態様1に記載の方法。
[態様20]
カルボキシル基含有成分が、天然及び合成カルボン酸及びそれらの組み合わせ;反応してカルボキシル基含有化合物を形成する2種又は3種以上の化合物;又はこれらの組み合わせから選択された化合物を含む、上記態様1に記載の方法。
[態様21]
反応してカルボキシル基含有化合物を形成する2種又は3種以上の化合物が、(a)ポリカルボン酸無水物;及び(b)(ポリエーテル)ポリオール、第2級アミン、第2級及び第3級アミノアルコール、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択された化合物である、上記態様20に記載の方法。
[態様22]
混成ポリエステル−ポリエーテルポリオール成分が、
(a)2〜40%の、天然及び合成カルボン酸、(ポリエーテル)ポリオール、第2級アミン、第2級及び第3級アミノアルコール、並びにこれらの組み合わせから選択された化合物;及び
(b)2〜85%の、芳香族、脂肪族及び芳香族脂肪族ポリカルボン酸無水物からなる群から選択されたポリカルボン酸無水物か、又は
(c)前記ポリカルボン酸無水物が存在せずに、4〜90%の、天然及び合成カルボン酸から選択された化合物;
と、10〜96%の、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、1−オクテンオキシド、9〜16個の炭素原子を有するエポキシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたエポキシド化合物;
(百分率は全て、混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールの質量を基準とする)
とを含む、上記態様1に記載の方法。
[態様23]
上記態様1〜22のいずれか一つに記載の方法により形成された混成ポリエステル−ポリエーテルポリオール。
[態様24]
上記態様1〜23のいずれか一つに記載の混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールを含む配合物から製造されたポリウレタンポリマー。
[態様25]
ポリウレタンポリマーが、ヒドロキシル価に基づいて対応する量のポリエステルポリオールに混成ポリエステル−ポリエーテルポリオールが置き換えられた他の配合では同じ硬質ポリウレタン絶縁フォームと比べて(a)圧縮強さの向上及び(b)離型後膨張の減少から選択される少なくとも1つの特性における25%を超える改善を示す硬質ポリウレタン絶縁フォームである、上記態様24に記載のポリウレタンポリマー。