(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チューインガムベースは、前記(c)成分を炭酸カルシウムに置き換えたこと以外は前記チューインガムベースと同じ組成である対照チューインガムベースよりも低い密度を有し、かつ、前記対照チューインガムベースよりも高い水吸収レベルを有する、請求項1から4のいずれかに記載のチューインガムベース。
前記チューインガムベースは、前記対照チューインガムベースの80%〜90%である密度を有し、かつ、前記対照チューインガムベースよりも少なくとも2倍大きい水吸収レベルを有する、請求項5に記載のチューインガムベース。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、典型的に使用される合成の物質の置き換え物として、または合成の物質の補完物としての少なくとも1つの天然成分を含むことの利点を提供するチューインガム組成物に関する。本発明は、消費者にとって心地よい見かけ、食味および感触を有するチューインガム製品を提供する。本発明は、費用効率が高いチューインガム製品をさらに提供する。驚くべきことに本発明者らによって見出されたとおり、特定の天然成分をチューインガムにおいて使用することで、現実に、より低い密度を有する製品が提供される。当業者には理解されうるとおり、より低い密度を有する消費者製品、特にチューインガム、によって、製造業者は、より少ない物質で同じサイズの製品を調製し流通させることが可能になる。これは、製造業者および流通業者にとって経費削減となり、同時に、同じサイズのピースのチューインガムを受け取ることになる消費者に悪影響を及ぼさない。
【0009】
流通業者がその製品を「天然原料から製造された」、「天然(の)」、または「天然食品(all−natural)」として適正に表示してもよいように、十分な量の天然成分を組み込むことが望ましい場合がある。このような表示は、1以上の政府の規制当局によって統制されている場合があり、政府の規制当局は、特定百分率の天然成分が「天然原料から製造された」、「天然(の)」、または「天然食品」と考えられることを要求する。従って、1つの実施形態では、本発明は、「天然(の)」製品であること、または他の類似の表示を有することに関する、連邦政府によって規制されている表示の基準を遵守する製品に関する。本願明細書で使用する場合、用語「天然(の)」および「天然成分」は、合成の成分から製造されていない製品を指す。いくつかの実施形態では、用語「天然(の)」および「天然成分」は、特定の物質を含まない成分を指す場合があり、例えば、その成分は、石油化学製品を含まない場合がある。
【0010】
本願明細書で使用する場合、用語「慣用的(な)」、「慣用的なチューインガムベース」および「非天然成分から製造される慣用的なチューインガムベース」は、一般に、天然成分を含まないチューインガムベースを指す。用語「本発明のチューインガムベース」および「天然チューインガムベース」は、一般に、非天然成分の置き換え物として、または非天然成分と組み合わせて、少なくとも1つの天然成分を含むチューインガムベースを指す。
【0011】
本発明は、本発明のチューインガムベースを、慣用的なチューインガムベースと比較する。本発明のチューインガムベースとの比較として使用されるとき、用語「慣用的な」および「慣用的なチューインガムベース」は、比較の本発明のチューインガムベースが少なくとも1つの天然成分を含むことを除いて、本発明のチューインガムベースと同じ成分を含むチューインガムベースを指す。例えば、天然の充填剤を含む本発明のチューインガムベースが、非天然充填剤から製造される慣用的なチューインガムベースと比較されるとき、「本発明のチューインガムベース」および「慣用的なチューインガムベース」は、その充填剤以外は同じ成分を含むと理解される。この例では、本発明のチューインガムベースは天然の充填剤を含み、慣用的なチューインガムベースは天然の充填剤を含まない。
【0012】
本願明細書で使用する場合、移行句「含む(comprising)」(「comprises」なども)は、「包含する(including)」、「含有する(containing)」、または「を特徴とする(characterized by)」と同義であり、これは、包括的またはオープンエンド型であり、請求項の前提部または本体部での使用によらず、付加的な、記載されていない要素または方法の工程を排除しない。
【0013】
本願明細書で使用する場合、用語「風船ガム」および「チューインガム」はほとんど同義で使用され、ともに、あらゆるガム組成物を包含することが意図されている。
【0014】
本願明細書に記載される実施形態は、少なくとも1つの天然成分を有するガムベースを含んでもよいチューインガム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、この天然成分は充填剤であってもよく、少なくとも1つのセルロース繊維を含んでもよい。
【0015】
チューインガムベース
当該チューインガム組成物は、チューインガムが調製されるもととなるガムベースを含んでもよい。このガムベースは、チューインガムの技術分野で公知のいずれの成分を含んでもよい。このような成分は、水溶性、水不溶性、またはこれらの組み合わせであってもよい。典型的には、ガムベースは、エラストマー、増量剤、ワックス、エラストマー溶剤、乳化剤、可塑剤、充填剤およびこれらの混合物を含んでもよい。慣用的には、これらのガムベース成分の各々は、合成の物質から製造される。本発明は、少なくとも1つの天然成分を含むガムベースを提供しうる。この天然成分は、合成の成分の置き換え物として組み込まれてもよい。あるいは、この天然成分は、合成の成分の補完物として組み込まれてもよい。複数の天然成分が、本発明に含まれてもよい。例えば、当該ガムベースは、合成のエラストマー、増量剤、および他の成分を含みつつ、天然の可塑剤および天然の充填剤を含んでもよい。
【0016】
当該ガムベースで用いられるエラストマー(ゴムとも呼ばれる)は、所望のガムベースのタイプ、所望のガム組成物の粘稠度、および最終のチューインガム製品を製造するためにこの組成物で使用される他の成分などの種々の要因に依存して大きく変わることになろう。このエラストマーは、当該技術分野で公知のいずれの水に不溶性のポリマーであってもよく、チューインガムおよび風船ガムについて利用されるガムポリマーを包含する。ガムベースの中の好適なポリマーの具体例としては、天然および合成のエラストマーの両方が挙げられる。例えば、ガムベース組成物において好適なポリマーとしては、チクル、天然ゴム、クラウンガム、ニスペロ(nispero)、ロシジンハ(rosidinha)、ジェルトング(jelutong)、ペリーロ(perillo)、ニガーグッタ(niger gutta)、ツヌ(tunu)、バラタ(balata)、ガッタパーチャ、レチカプシ(lechi capsi)、ソルヴァ(sorva)、グッタカイ(gutta kay)、など、およびこれらの混合物などの(植物由来の)天然の物質が挙げられるが、これらに限定されない。合成エラストマーの例としては、スチレン−ブタジエンコポリマー(SBR)、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレンコポリマー、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニルなど、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
当該ガムベースは、少なくとも1つの天然成分をエラストマーとして含んでもよい。このような天然のエラストマー成分としては、例えば、天然ゴムラテックス(商標名Vytex NRLで販売されている天然ゴムラテックスが挙げられる)を挙げてもよい。天然のエラストマーとしては、商標名Guayuleでユーレックス・コーポレーション(Yulex Corporation)によって販売されているグアユール固形ゴムを挙げてもよい。グアユール低木に由来する天然ゴムラテックス産物は、高分子量および低タンパク質含有量を有する低アレルギー性の産物である。
【0018】
当該ガムベースで用いられるエラストマーの量は、使用されるガムベースのタイプ、所望のガム組成物の粘稠度、および最終のチューインガム製品を製造するためにこの組成物で使用される他の成分などの種々の要因に依存して大きく変わってもよい。一般に、このエラストマーは、約10重量%〜約60重量%、望ましくは約35重量%〜約40重量%の量でガムベースに存在することになろう。
【0019】
いくつかの実施形態では、当該ガムベースはワックスを含んでよい。ワックスは、エラストマーを軟化させるために使用されてもよいし、かつガムベースの弾性を改善するために使用されてもよい。天然ワックスが好ましく、例としては、ビーズワックス、パームワックス、および米糠ワックスが挙げられる。存在するとき、用いられるワックスは、約60℃未満、好ましくは約45℃〜約55℃の融点を有してもよい。1つの有用な低融点ワックスは、パラフィンワックスであってもよい。この低融点ワックスは、ガムベースの約6重量%〜約10重量%、好ましくは約7重量%〜約9.5重量%の量でガムベースに存在してよい。
【0020】
低融点ワックスに加えて、ガムベースの約5重量%までの量で、より高融点を有するワックスがガムベース中で使用されてもよい。このような高融点ワックスとして、植物性ワックス、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ほとんどの石油ワックスなど、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0021】
上に示した成分に加えて、当該ガムベースは、様々な他の成分、例えばエラストマー溶剤、軟化剤、乳化剤、可塑剤、充填剤、およびこれらの混合物から選択される成分を含んでもよい。
【0022】
当該ガムベースは、エラストマー成分の軟化を補助するエラストマー溶剤を含有してもよい。このようなエラストマー溶剤として、当該技術分野で公知のエラストマー溶剤、例えば、α−ピネンまたはβ−ピネンのポリマーなどのテルピネン樹脂、ロジンのメチル、グリセロールおよびペンタエリスリトールエステルならびに水素化、二量化および重合ロジンなどの変性されたロジンおよびガム、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。本発明での使用に適切なエラストマー溶剤の例として、部分的に水素化したウッドおよびガムロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドおよびガムロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドロジンのグリセロールエステル、部分的に二量体化したウッドおよびガムロジンのグリセロールエステル、重合したウッドおよびガムロジンのグリセロールエステル、トール油ロジンのグリセロールエステル、ウッドおよびガムロジンならびに部分的に水素化したウッドおよびガムロジンのグリセロールエステル、ならびにウッドおよびロジンの部分的に水素化したメチルエステルなど、ならびにそれらの混合物を挙げてもよい。エラストマー溶剤は、ガムベースの約2重量%〜約15重量%、好ましくは約7重量%〜約11重量%の量でガムベースの中で用いてもよい。
【0023】
当該ガムベースは、非混和性の成分を単一安定系へと分散させる補助をする乳化剤をも含んでもよい。本発明で有用な乳化剤としては、グリセリルモノステアレート、レシチン、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、プロピレングリコールモノステアレートなど、およびこれらの混合物が挙げられる。この乳化剤は、ガムベースの約2重量%〜約15重量%、より特定すれば約7重量%〜約11重量%の量で用いてよい。
【0024】
当該ガムベースはまた、様々な望ましい質感と粘稠特性をもたらすように、可塑剤または軟化剤をも含んでよい。これらの原料が低分子量であることから、可塑剤および軟化剤はガムベースの基本構造に侵入でき、これを可塑性、かつ低粘度にする。有用な可塑剤および軟化剤としては、ラノリン、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、グリセリルトリアセテート、グリセリルレシチン、グリセリルモノステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、アセチル化モノグリセリド、グリセリンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。ワックス、例えば、天然および合成のワックス、ポリウレタンワックス、ポリエチレンワックスなどの石油ワックス、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、脂肪ワックス、ソルビタンモノステアレート、獣脂、プロピレングリコール、それらの混合物なども、ガムベースに組み込んでよい。いくつかの実施形態では、硬化植物油が可塑剤または軟化剤として使用されてもよく、ガムベースの中へと組み込まれてもよい。可塑剤および軟化剤は、一般に、ガムベースの約20重量%までの量、より特定すればガムベースの約9重量%〜約17重量%の量でガムベースに用いられる。
【0025】
可塑剤としては、硬化植物油も挙げられてもよく、これには大豆油および綿実油が含まれ、これらは、単独でまたは組み合わせて用いてよい。これらの可塑剤により、ガムベースに良好な質感(テキスチャ)および柔らかい噛感特性がもたらされる。これらの可塑剤および軟化剤は、一般に、ガムベースの約5重量%〜約14重量%の量、より特定すれば約5重量%〜約13.5重量%の量で用いられる。
【0026】
当該ガムベースは1以上の天然の軟化剤を含んでもよく、この天然の軟化剤は、上記の軟化剤に加えて、または上記の軟化剤の置き換え物として使用されてもよい。このような天然の軟化剤としては、噴霧乾燥された植物ステロールおよび植物ステロールエステルならびに噴霧乾燥されていない植物ステロールおよび植物ステロールエステル、例えば、コグニス(Cognis)によって商標名Vegapureで販売されているもの(例えば、Vegapure F 40およびVegapure F 90など)、フィトステロール、噴霧乾燥したフィトステロールエステル、ラノリン(ファンコア(Fancor)によって販売されているものなど)、コレステロール NF、ダマール樹脂(Damar ABCとして販売されている)、コーパル樹脂(Copal PWSまたはCopal Scrapedとして販売されている)、サンダラック樹脂、マスチック樹脂、マスチック粉末、ウルソール酸(Ursoleとして販売されている)、およびリコピンが挙げられる。当該チューインガムベースで使用されてもよい他の天然の軟化剤としてはスクアレンが挙げられる。このような天然の軟化剤は、他の軟化剤についてこれまでに示された量を含んで、いずれの所望の量でガムベースに組み込まれてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、このガムベースは、充填剤および質感付与剤(textural agent)としての役割を果たすことができる無機質アジュバントなどの、有効量の増量剤も含むことができる。有用な無機質アジュバントとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウムなど、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの充填剤またはアジュバント(佐剤)は、種々の量でガムベース組成物において使用することができる。好ましくは、使用されるとき、充填剤の量は、ガムベースの約15%〜約40重量%、望ましくは約20%〜約30重量%の量で存在することになろう。
【0028】
いくつかの実施形態では、当該ガムベースは、少なくとも1つの天然成分を含む充填剤を含んでもよい。このような天然の充填剤は、上で示された他の充填剤に加えて、または上で示された他の充填剤の完全な置き換え物として使用されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、当該チューインガムベースで使用される充填剤は、タルクおよび少なくとも1つの天然の充填剤の混合物を含んでもよい。好ましくは、当該ガムベースで使用される充填剤の全量は、ガムベースの約15%〜約40%、最も好ましくはガムベースの約20%〜約30%である。
【0029】
天然の充填剤としては、例えば、セルロースに由来する天然の充填剤、例えばセルロース繊維、および木質リグニンが挙げられる。天然の充填剤としては、セルロースおよびサイリウム(psillium)の組み合わせ、例えば商標名CreaSplendで販売されているもの(クリアフィル・ファイバー・コーポレーション(CreaFill Fibers Corporation)によって販売されている)を挙げてもよい。例えば、約90%セルロース繊維および約10%サイリウムである充填剤を使用することが望ましい場合がある。
【0030】
望ましくは、天然の充填剤としては、例えば竹材および他の木材などの天然ソースに由来するセルロース繊維が挙げられる。特に有用な充填剤としては、クリアフィル・ファイバー・コーポレーションによって販売されている商標名CreaFibeで販売されているセルロース繊維が挙げられる。このような有用なセルロース繊維としては、すべてクリアフィル・ファイバー・コーポレーションによって販売されている、Creafibe QC40、Creafibe QC90、Creafibe QC150、Creafibe QC200、Creafibe QC750、Creafibe SC 40、Creafibe SC90、Creafibe SC900、およびCreafibe TC750が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、有用なセルロース繊維は、約7%、および望ましくは7%未満の水分含量、および約5〜約7.5のpH値を有する。
【0031】
本発明で有用なセルロース繊維は、いずれの所望の等級および所望の粒径であってもよい。例えば、有用なセルロース繊維は、200g/l超のメートル法によるゆるみ密度(loose density metric)、約30ミクロン(30μm)の平均繊維長さ、および50ミクロン(50μm)までの粒径を有する、低等級であってもよい。有用なセルロース繊維の第2の等級は、170g/l超のメートル法によるゆるみ密度、約60ミクロン(60μm)の平均繊維長さ、および90ミクロン(90μm)までの粒径を有してもよい。有用なセルロース繊維の第3の等級は、160g/l超のメートル法によるゆるみ密度、約115ミクロン(115μm)の平均繊維長さ、および160ミクロン(160μm)までの粒径を有してもよい。有用なセルロース繊維のなお別の等級は、130g/l超のメートル法によるゆるみ密度、約120ミクロン(120μm)の平均繊維長さ、および160ミクロン(160μm)までの粒径を有してもよい。有用なセルロース繊維の別の等級は、55g/l超のメートル法によるゆるみ密度、約145ミクロン(145μm)の平均繊維長さ、および200ミクロン(200μm)までの粒径を有してもよい。有用なセルロース繊維の第6の等級は、30g/l超のメートル法によるゆるみ密度、約550ミクロン(550μm)の平均繊維長さ、および800ミクロン(800μm)までの粒径を有してもよい。
【0032】
当然、様々な等級のセルロース繊維が、組み合わされて、本発明における充填剤として使用されてもよいということは理解されよう。例えば、本発明で有用なセルロース繊維は、約30g/l〜約200g/lのメートル法によるゆるみ密度を有してもよい。本発明で有用なセルロース繊維は、約30ミクロン(30μm)〜約550ミクロン(550μm)の平均繊維長さをさらに有してもよい。最後に、有用なセルロース繊維は、32ミクロン(32μm)超、50ミクロン(50μm)超、90ミクロン(90μm)超、106ミクロン(106μm)超、160ミクロン(160μm)超、200ミクロン(200μm)超、300ミクロン(300μm)超、または800ミクロン(800μm)超の平均粒径分布を有してもよい。粒径および分布は、天然チューインガムベースを提供しつつ、適切かつ有益な口あたりを提供するように選択されてもよい。
【0033】
非天然成分を含む慣用的なチューインガムベースよりも低い密度を有するガムベースを提供する、少なくとも1つの天然成分を充填剤として含むチューインガムベースを提供することが望ましい場合がある。本願明細書で使用する場合、用語「慣用的な充填剤」または「慣用的な充填剤から製造される慣用的なチューインガムベース」は、それぞれ、タルクまたは炭酸塩などの非天然充填剤、およびタルクまたは炭酸塩などの非天然充填剤から製造されるチューインガムベースを指す。当然、チューインガムベースの密度は、ガムベースを形成するために使用される特定の成分に依存して変わる可能性があるということは理解されるであろう。いくつかの実施形態では、慣用的な充填剤から製造される慣用的なチューインガムベースは、約1.25g/ccの密度を有する可能性があるが、他方で、同じ物質から(しかし、天然の充填剤成分を用いて)製造される本発明のチューインガムベースは、約1.01〜1.02g/ccの密度を有する可能性がある。他の実施形態では、慣用的な充填剤から製造される慣用的なチューインガムベースは、約1.01g/ccの密度を有する可能性があるが、同じ物質から(しかし、天然の充填剤成分を用いて)製造される本発明のチューインガムベースは、約0.92〜0.94g/ccの密度を有する可能性がある。
【0034】
従って、少なくとも1つの天然の充填剤成分、例えばセルロース繊維、を含む本発明のチューインガムベースは、慣用的な充填剤から製造される慣用的なチューインガムベースの約80%である密度を有する可能性があり、または慣用的な充填剤から製造される慣用的なチューインガムベースの約90%である密度を有する可能性がある。望ましくは、本発明のチューインガムベースは、慣用的な充填剤から製造される慣用的なチューインガムベースの密度の約75%〜約95%である密度を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明のチューインガムベースは、慣用的な充填剤から製造される慣用的なチューインガムベースよりも高いレベルの水吸収を有してもよい。約14日間にわたって、慣用的な充填剤から製造される慣用的なチューインガムベースの少なくとも2倍多い水を受け取るチューインガムベースを提供することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、本発明のチューインガムベースは、約14日間にわたって、慣用的な充填剤から製造される慣用的なチューインガムベースの少なくとも3倍多い水を受け取ってもよい。
【0036】
香料および着色剤、抗酸化物質、防腐剤などの、様々なさらなる成分が、有効量で、任意にこのガムベースの中に含まれてもよい。例えば、二酸化チタン、ならびにF.D.&C.染料として公知の食品、薬物および化粧品用途に好適な他の染料を利用してもよい。ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミン Eおよびこれらの混合物などの抗酸化物質も含めてよい。チューインガム技術の当業者に公知の他の従来のチューインガム添加物も、ガムベースに用いてよい。チューインガムの技術分野の当業者に公知の他の従来のチューインガム添加物も、当該ガムベースにおいて使用することができる。
【0037】
チューインガム組成物
本発明は、さらに、上記のチューインガムベースなどのチューインガムベースを組み込むチューインガム組成物に関する。このチューインガム組成物は、甘味剤、可塑剤、軟化剤、乳化剤、ワックス、充填剤、増量剤(担体、エクステンダー、増量甘味料)、無機質アジュバント、香料および着色剤、抗酸化物質、酸味料、増粘剤、医薬、米国特許第7,641,892号(これは、参照によりその全体を本願明細書に援用したものとする)に記載されている再石灰化剤、抗微生物剤および歯白色化剤などの口腔ケア活性物など、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される特定量の従来の添加物を含んでもよい。これらの添加物のうちのいくつかは複数の目的を果たすことができる。例えば、シュガーレスチューインガム組成物では、マルチトールまたは他の糖アルコールなどの甘味料は、増量剤としても機能することができる。
【0038】
増量甘味料としては糖類、シュガーレス増量甘味料など、またはこれらの混合物が挙げられる。増量甘味料は、一般に、チューインガム組成物の約5%〜約99重量%の量で存在する。
【0039】
好適な糖甘味料としては、一般に、スクロース(砂糖)、デキストロース、マルトース、デキストリン、キシロース、リボース、グルコース、ラクトース(乳糖)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(果糖)、転化糖、フラクトオリゴ糖シロップ、部分的に加水分解したデンプン、コーンシロップ固形物、イソマルチュロースおよびこれらの混合物など(これらに限定されない)の単糖類、二糖類および多糖類が挙げられる。
【0040】
好適なシュガーレス増量甘味料としては、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、マルチトール、水素化されたイソマルチュロース(イソマルト)、ラクチトール、エリスリトール、水素化デンプン加水分解物、ステビアおよびこれらの混合物など(これらに限定されない)糖アルコール(またはポリオール)が挙げられる。
【0041】
好適な水素化デンプン加水分解物として、米国特許第4,279,931号に開示されたもの、ならびに種々の水素化グルコースシロップおよび/またはソルビトール、マルチトール、水素化二糖、三糖以上の水素化多糖、もしくはそれらの混合物を含有する粉末が挙げられる。水素化デンプン加水分解物は、主に、コーンシロップの制御された接触水素化によって調製される。得られる水素化デンプン加水分解物は、単糖、二糖、および多糖の混合物である。これらの異なる糖類の比によって、異なる特性の異なる水素化デンプン加水分解物が得られる。フランスのロケット(Roquette Freres)製造の市販品LYCASIN(登録商標)、およびデラウェア州、ニューカッスルのエスピーアイ・ポリオール(SPI Polyols,Inc.)製造の市販品HYSTAR(登録商標)などの、水素化デンプン加水分解物の混合物も有用である。
【0042】
いくつかの実施形態では、高甘味度甘味料が使用されてもよい。特定の甘味料に限定されず、代表的なカテゴリーおよび代表例としては、以下のものが挙げられる:
(a)ジヒドロカルコン、モネリン、ステビア、ステビオシド、レバウディオシド(rebaudioside)A、グリチルリジン、ジヒドロフラベノール、およびソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコール、およびL−アミノジカルボン酸アミノアルケン酸エステルアミドで、米国特許第4,619,834号(この開示は、参照により本願明細書に援用したものとする)に開示のものなど、ならびにこれらの混合物などの水溶性甘味剤;
(b)可溶性サッカリン塩、すなわちナトリウムまたはカルシウムサッカリン塩、シクラメート塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム、アンモニウムまたはカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルファム−K)、サッカリンの遊離酸形態、およびこれらの混合物などの水溶性人工甘味料;
(c)L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、および米国特許第3,492,131号に記載の物質、L−α−アスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物(アリテーム)、N−〜−(3,3−ジメチルブチル)−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン 1−メチルエステル(ネオテーム)、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリンおよびL−アスパルチル−L−2,5−ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン;L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニン、およびこれらの混合物などのL−アスパラギン酸由来甘味料などのジペプチド系甘味料;
(d)普通の砂糖(ショ糖、スクロース)の塩素化誘導体、例えば、スクラロースの品名で知られている、例えばクロロデオキシスクロースまたはクロロデオキシガラクトスクロースの誘導体などといったクロロデオキシ糖誘導体などの天然由来の水溶性甘味料から誘導される水溶性甘味料;クロロデオキシスクロースおよびクロロデオキシガラクトスクロースの誘導体の例として、限定しないが、以下のものが挙げられる:1−クロロ−1’−デオキシスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−α−D−フルクトフラノシド、または4−クロロ−4−デオキシガラクトスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1−クロロ−1−デオキシ−β−D−フルクトフラノシド、または4,1’−ジクロロ−4,1’−ジデオキシガラクトスクロース;1’,6’−ジクロロ−1’,6’−ジデオキシスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシド、または4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−6−クロロ−6−デオキシ−β−D−フルクトフラノシド、または4,6,6’−トリクロロ−4,6,6’−トリデオキシガラクトスクロース;6,11,6’−トリクロロ−6,1’,6’−トリデオキシスクロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクト−ピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシド、または4,6,1’,6’−テトラクロロ−4,6,1’,6’−テトラデオキシガラクト−スクロース;および4,6,1’,6’−テトラデオキシ−スクロース、ならびにこれらの混合物;
(e)タウマッコスダニエリ(thaumaoccous danielli)(タウマチンIおよびII)ならびにタリンなどのタンパク質系甘味料;
(f)甘味料モナチン(2−ヒドロキシ−2−(インドール−3−イルメチル)−4−アミノグルタル酸)およびその誘導体;ならびに
(g)甘味料 羅漢果(Lo han guo)(「Lo han kuo」とも呼ばれることがある)。
【0043】
これらの強化甘味剤は、当該技術分野で周知の多くの異なる物理的形態で用いて、甘味の初期噴出および/または甘味の感覚の長期化を提供するようにしてよい。限定しないが、このような物理的形態には、遊離型、(例えば、スプレードライ型、粉末型)、ビーズ型、封入型、およびこれらの混合形態が含まれる。
【0044】
一般に、強化甘味料の有効量を利用して、所望の甘味のレベルを与えてもよく、この量は、選択される甘味料とともに変わる可能性がある。この強化甘味料は、使用される甘味料または甘味料の組み合わせに応じて、チューインガム組成物の約0.001重量%〜約3重量%の量で存在することができる。各種類の甘味料についての量の正確な範囲は、当業者が選択することができる。
【0045】
当該チューインガム組成物で使用されてもよい香料(香味物質(flavoring)または香料(flavor agent))としては、当業者に公知の香料、例えば天然香料および人工香料が挙げられる。これらの香料は、合成香味油および香味のある芳香物質ならびに/または植物、葉、花、果実など由来の油、オレオレジンおよびエキス、ならびにこれらの組み合わせから選択されてもよい。限定を意図しない代表的な香味油としては、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリーンの油(サリチル酸メンチル)、ペパーミント油、和種はっか油、チョウジ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ニクズクの油、オールスパイス、セージの油、メース、クヘントウの油、およびケイヒ油が挙げられる。また、有用な香料は、バニラ、および柑橘油(レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、ヤム、スダチが挙げられる)、ならびにフルーツエッセンス(リンゴ、西洋ナシ、モモ、ブドウ、ブルーベリー、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、スイカ、アプリコット、バナナ、メロン、アプリコット、ウメ、サクランボ、ラズベリー、ブラックベリー、トロピカルフルーツ、マンゴー、マンゴスチン、ザクロ、パパイヤなどが挙げられる)などの人工の、天然のならびに合成のフルーツ香料である。可能性がある他の香料として、ミルクフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、クリームフレーバー、およびヨーグルトフレーバー;バニラフレーバー;緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、紅茶フレーバー、ココアフレーバー、チョコレートフレーバー、およびコーヒーフレーバーなどのティまたはコーヒーフレーバー;ペパーミントフレーバー、スペアミントフレーバー、および和種はっかフレーバーなどのミントフレーバー;アサフェティーダフレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー、アンゼリカフレーバー、フェンネルフレーバー、オールスパイスフレーバー、シナモンフレーバー、カモミールフレーバー、マスタードフレーバー、カルダモンフレーバー、キャラウェーフレーバー、クミンフレーバー、チョウジフレーバー、コショウフレーバー、コリアンダーフレーバー、サッサフラスフレーバー、セイボリーフレーバー、山椒フレーバー、エゴマフレーバー、ジュニパーベリーフレーバー、ショウガフレーバー、スターアニスフレーバー、セイヨウワサビフレーバー、タイムフレーバー、タラゴンフレーバー、ディルフレーバー、トウガラシフレーバー、ナツメグフレーバー、バジルフレーバー、マジョラムフレーバー、ローズマリーフレーバー、ベイリーフフレーバー、およびワサビ(日本ワサビ)フレーバーなどの香辛料フレーバー;ワインフレーバー、ウィスキーフレーバー、ブランディフレーバー、ラムフレーバー、ジンフレーバー、およびリキュールフレーバーなどのアルコールフレーバー;フローラルフレーバー;ならびに、オニオンフレーバー、ガーリックフレーバー、キャベツフレーバー、ニンジンフレーバー、セロリフレーバー、マッシュルームフレーバー、およびトマトフレーバーなどの野菜フレーバーが挙げられる。これらの香料は、液体または固体形状で用いてよく、個々にまたは混合物として用いてもよい。一般に用いられる香料として、ペパーミント、メントール、スペアミントなどのミント、人工バニラ、シナモン誘導体、および様々なフルーツフレーバーが挙げられ、個々にまたは混合物として用いられる。特にミントフレーバーなどの香料はまた、冷感剤と組み合わせて用いると呼気清涼化特性ももたらすことがある。
【0046】
他の有用な香味物質としては、酢酸シンナミル、シンナムアルデヒド、シトラールジエチルアセタール、酢酸ジヒドロカルビル、ギ酸オイゲニル、p−メチルアミソール(methylamisol)などの、アルデヒドおよびエステルが挙げられる。一般に、全米科学アカデミー(National Academy of Sciences)によるChemicals Used in Food Processing、刊行物1274、63−258頁に記載のもののような、香味物質または食品添加物のいずれも用いてよい。この刊行物は、参照により本願明細書に援用したものとする。
【0047】
アルデヒド香料のさらなる例として、限定しないが、アセトアルデヒド(リンゴ)、ベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、アニスアルデヒド(カンゾウ、アニス)、シンナムアルデヒド(シナモン)、シトラール、すなわちα−シトラール(レモン、ライム)、ネラール、すなわちβ−シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、エチルバニリン(バニラ、クリーム)、ヘリオトロープ、すなわちピペロナール(バニラ、クリーム)、バニリン(バニラ、クリーム)、α−アミルシンナムアルデヒド(スパイシーなフルーツ様の香味)、ブチルアルデヒド(バター、チーズ)、バレルアルデヒド(バター、チーズ)、シトロネラール(変性、多くの型)、デカナール(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−8(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−9(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−12(シトラスフルーツ)、2−エチルブチルアルデヒド(ベリーフルーツ)、ヘキセナール、すなわちトランス−2(ベリーフルーツ)、トリルアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、ベラトルアルデヒド(バニラ)、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、すなわち、メロナール(メロン)、2,6−ジメチルオクタナール(緑色フルーツ)、および2−ドデセナール(シトラス、マンダリン)、サクランボ、ブドウ、ストロベリーショートケーキ、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0048】
いくつかの実施形態では、この香料は液体形態および/または乾燥された形態で使用することができる。乾燥された形態で使用される場合、油を噴霧乾燥するなどの好適な乾燥手段が使用されてもよい。あるいは、この香料は、例えばセルロース、デンプン、糖、マルトデキストリン、アラビアガムなどの水溶性物質へと吸収されてもよいし、または封入されてもよい。このような乾燥された形態を調製するための実際の技法は、周知である。
【0049】
いくつかの実施形態では、これらの香料は、当該技術分野で周知の様々な異なる物理的形態で用いて、香味の初期噴出および/または香味の感覚の長期化を提供するようにしてよい。限定しないが、このような物理的形態には、遊離型、(例えば、スプレードライ型、粉末型)、ビーズ型、封入型、およびこれらの混合形態が含まれる。
【0050】
チューインガム組成物では、香料は、一般に、組成物の約0.02重量%〜約5重量%、より特定すれば約0.1重量%〜約4重量%、さらにより特定すれば約0.8重量%〜約3重量%の量で存在してもよい。
【0051】
着色剤は、所望の色を生成するのに有効な量で使用されてもよい。着色剤は色素を含むことができ、これを組成物の約6重量%までの量で組み込むことができる。例えば、二酸化チタンは、当該組成物の約2重量%まで、好ましくは約1重量%未満の量で組み込むことができる。この着色料は、食品、薬物、および化粧品用途に好適な天然の食品着色料および染料も含むことができる。これらの着色料はF.D.&C.染料およびレーキとして公知である。上記の使用のために許容できる物質は、水溶性であることが好ましい。例証となる、限定を意図しない例としては、5,5−インジゴチンジスルホン酸の二ナトリウム塩であるF.D.&C. Blue No.2として公知のインジゴイド染料が挙げられる。同様に、F.D.&C. Green No.1として公知の染料は、トリフェニルメタン染料を含み、4−[4−(N−エチル−p−スルホニウムベンジルアミノ)ジフェニルメチレン]−[1−(N−エチル−N−p−スルホニウムベンジル)−δ−2,5−シクロヘキサジエンイミン]の一ナトリウム塩である。F.D.&C.着色料、およびそれらの対応する化学構造のすべての完全な詳説は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第5巻、857〜884頁に見出すことができ、この本文は、参照により本願明細書に援用したものとする。
【0052】
いくつかの実施形態では、当該チューインガム組成物は生理的冷感剤を含んでもよい。様々な周知の冷感剤が用いられてもよい。例えば、有用な冷感剤の中には、とりわけ以下のものが含まれる:キシリトール、エリスリトール、デキストロース、ソルビトール、メンタン、メントン、ケタール、メントンケタール、メントングリセロールケタール、置換p−メンタン、非環状カルボキシアミド、グルタル酸モノメンチル、置換シクロヘキサンアミド、置換シクロヘキサンカルボキシアミド、置換尿素およびスルホンアミド、置換メンタノール、p−メンタンのヒドロキシメチルおよびヒドロキシメチル誘導体、2−メルカプト−シクロ−デカノン、2〜6個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸、シクロヘキサンアミド、酢酸メンチル、サリチル酸メンチル、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド(WS−23)、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキシアミド(WS−3)、イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(l−メントキシ)−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−2,3−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、6−イソプロピル−9−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−2−メタノール、コハク酸メンチルおよびそのアルカリ土類金属塩、トリメチルシクロヘキサノール、N−エチル−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキシアミド、和種はっか油、ペパーミント油、3−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、3−(l−メントキシ)ブタン−1−オール、l−メンチル酢酸N−エチルアミド、4−ヒドロキシペンタン酸l−メンチル、3−ヒドロキシ酪酸l−メンチル、N,2,3−トリメチル−2−(1−メチルエチル)−ブタンアミド、n−エチル−t−2−c−6 ノナジエンアミド、N,N−ジメチルメンチルスクシンアミド、置換p−メンタン、置換p−メンタン−カルボキシアミド、2−イソプロパニル−5−メチルシクロヘキサノール(久光製薬株式会社製、以下「イソプレゴール」);メントングリセロールケタール(FEMA 3807、商品名FRESCOLATO タイプ MGA);3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール(Takasago製、FEMA 3784);および乳酸メンチル;(ハーマン・アンド・ライマー(Haarman & Reimer)製、FEMA 3748、商品名FRESCOLATO タイプ ML)、WS−30、WS−14、ユーカリエキス(p−メンタ−3,8−ジオール)、メントール(その天然もしくは合成の誘導体)、メントールPGカーボネート、メントールEGカーボネート、メントールグリセリルエーテル、N−tertブチル−p−メンタン−3−カルボキシアミド、P−メンタン−3−カルボン酸グリセロールエステル、メチル−2−イソプロピル−ビシクロ(2.2.1)、ヘプタン−2−カルボキシアミド;およびメントールメチルエーテル、およびメンチルピロリドンカルボキシレート。これらおよび他の好適な冷感剤は、以下の米国特許(それらのすべては、参照によりその全体を援用したものとする)にさらに記載されている:米国特許第4,230,688号;米国特許第4,032,661号;米国特許第4,459,425号;米国特許第4,136,163号;米国特許第5,266,592号;米国特許第6,627,233号。
【0053】
いくつかの実施形態は温感剤を含んでもよく、この温感剤は、個々の使用者に温感の感覚信号をもたらすことが知られている多種多様な化合物から選択されてもよい。これらの化合物は、特に口腔内で暖かみを認知する感覚を与え、香料、甘味料、およびその他の感覚受容性成分の知覚を増強することが多い。有用な温感剤としては、口腔内の受容体に結合しうる少なくとも1種のアリルビニル成分を有するものが挙げられる。好適な温感剤の例としては、高砂香料工業株式会社、日本、東京により供給されるバニリルアルコールn−ブチルエーテル(TK−1000)、バニリルアルコールn−プロピルエーテル、バニリルアルコールイソプロピルエーテル、バニリルアルコールイソブチルエーテル、バニリルアルコールn−アミノエーテル、バニリルアルコールイソアミルエーテル、バニリルアルコールn−ヘキシルエーテル、バニリルアルコールメチルエーテル、バニリルアルコールエチルエーテル、ジンゲロール、ショウガオール、パラドール、ジンゲロン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、エタノール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコール、ベンジルアルコール、グリセリン、クロロホルム、オイゲノール、シナモン油、ケイ皮アルデヒド、これらのリン酸誘導体、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
刺激剤は、使用者に刺激を与える、刺痛を与えるまたは麻痺する知覚をもたらすのに用いてもよい。刺激剤としては、有効成分がスピラントールであるジャンブーオレオレジンまたはパラクレス(Spilanthes sp.);サンショオール−I、サンショオール−IIおよびサンショーアミドとして知られる成分を含有するサンショウエキス(Zanthoxylum peperitum);有効成分カビシンおよびピペリンを含有する黒コショウエキス(piper nigrum);エキナセアエキス;キタサンショウ(Northern Prickly Ash)エキス;ならびに赤コショウオレオレジンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ジャンブーまたはサンショオールなどの物質から抽出したアルキルアミドが含まれてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、感覚は発泡に起因して生み出すことができる。このような発泡性は、アルカリ性物質を酸性物質と合わせることによって生み出される。これらの物質のいずれかまたは両方は、封入されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ性物質として、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩およびそれらの混合物を挙げることができる。いくつかの実施形態では、酸性物質として、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、酪酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、グリコン酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸およびそれらの組み合わせを挙げることができる。「刺激」型感覚剤の例としては、米国特許第6,780,443号明細書に開示されるものを挙げることができ、この特許文献の内容全体は、参照により、あらゆる目的のために本願明細書に援用したものとする。刺激剤は、Nakatsuらの米国特許第6,780,443号、McLaughlinらの米国特許第5,407,665号、Johnsonらの米国特許第6,159,509号およびNakatsuらの米国特許第5,545,424号(これらの各々は、参照により、その全体を本願明細書に援用したものとする)に記載されている。
【0055】
使用されてもよい適切な口腔ケア剤としては、当業者に公知の活性物、例えば界面活性剤、呼気清涼化剤、抗微生物剤、抗菌剤、歯石予防剤、プラーク予防剤、口臭制御剤、フッ素化合物、第四級アンモニウム化合物、再石灰化剤、およびこれらの組み合わせ(これらに限定されない)が挙げられる。
【0056】
ガムベースでの使用に好適であるものとして上に記載した天然成分を含めて、これまでに論じた可塑剤、軟化剤、無機質アジュバント、ワックスおよび抗酸化物質もまた、当該チューインガム組成物で使用してよい。使用してよい他の従来の添加物の例として、レシチンおよびグリセリルモノステアレートなどの乳化剤、単独でまたは他の軟化剤と組み合わせて用いられる、メチルセルロース、アルギネート、カラギーナン、キサンタンガム、ゼラチン、イナゴマメ、トラガント、ローカストビーン、およびカルボキシメチルセルロースなどの増粘剤、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、およびそれらの混合物などの酸味料、ならびに、無機質アジュバントの分類で上で論じたものなどの充填剤が挙げられる。
【0057】
市販の米国薬局方(USP)等級などの無水グリセリンもまた、チューインガム組成物における軟化剤として用いてよい。グリセリンは、甘く好ましい味のシロップ状の液体であり、甘蔗糖の約60%の甘味を有する。グリセリンは吸湿性であるため、無水グリセリンはチューインガム組成物の調製の間じゅう、無水条件下に維持されてもよい。
【0058】
チューインガムの技術分野の当業者に公知の他の従来のガム添加物も、当該チューインガム組成物において使用されてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態は、チューインガム製品を調製する方法に及ぶ。この製品は、当業者に公知の標準的な技法および設備を使用して調製されてもよく、そのプロセスは、一般に、ガムベースを溶融させること、撹拌しながら所望の原料を組み込むこと、およびそのバッチを個々のチューインガムピースへと形成することと伴う。本願明細書に記載される実施形態に従って有用な装置としては、チューインガム製造の技術分野で周知の混合加熱装置が挙げられ、それゆえ特定の装置の選択は当業者には明らかであろう。一般的なチューインガム調製プロセスについては、Hopkinsらの米国特許第4,271,197号、Cherukuriらの同第4,352,822号、およびCherukuriらの同第4,497,832号(これらの各々は、参照によりその全体を本願明細書に援用したものとする)を参照。
【0060】
個々のチューインガムピースは、チューインガムの技術分野で公知の標準的な技法を使用して形成されてもよい。例えば、チューインガムピースは、厚板、ペレット、板ガム、中心充填部ガム、デポジットタイプの(deposited)、圧縮されたチューインガムまたはいずれかの他の好適な様式の形態で調製されてもよい。
【0061】
例えば、中心充填部チューインガムの実施形態は、中心充填部領域(これは液体または粉末もしくは他の固体であってもよい)と、ガム領域とを含んでもよい。いくつかの実施形態は、外側のガムコーティングまたはシェル(殻)を含んでもよく、この外側のガムコーティングまたはシェルは、典型的には、最初に噛まれたときに、ピースにクランチ質を与える。この外側コーティングまたはシェルは、ガム領域を少なくとも部分的に取り囲んでもよい。中心充填部チューインガムおよびその調製方法は、ともに発明の名称「液体充填チューインガム組成物(Liquid−Filled Chewing Gum Composition)」である2010年1月5日に発行された譲受人の米国特許第7,641,926号、および譲受人の同時係属中の、2005年8月24日出願の米国特許出願第1 11210,954号(両方の内容は、参照により本願明細書に援用したものとする)に、より十分に記載されている。
【0062】
いくつかの他のチューインガムの実施形態は、例えば、圧縮粒ガムなどの圧縮ガムの様式であってもよい。このような実施形態は、圧縮性ガムベース組成物および錠剤化粉末(tableting powder)を含んでいてもよい微粒子状チューインガムベースを含んでいてよい。圧縮チューインガムは、内容を参照により本願明細書に援用したものとする、2005年11月8日出願の、発明の名称「圧縮ガムシステム(Compressible Gum System)」の、譲受人の同時係属中の米国仮出願第601734,680号に、より十分に記載されている。
【0063】
いくつかの実施形態では、当該チューインガムは、当該チューインガムの上にコーティングを有してもよい。このようなコーティングされたチューインガムは、通常、ペレットガムと呼ばれる。外側コーティングは、硬質、またはクランチ質であってよい。当業者に公知の任意の好適なコーティング物質を用いてよい。典型的には、この外側コーティングは、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトール、および他の結晶性ポリオールを含んでいてよく、スクロースもまた使用することができる。さらには、コーティング自体を通してチューインガム組成物が見えなくなるように、コーティングは何層かの不透明層を含んでもよく、これらを審美的、質感的および保護目的でさらなる1以上の透明層で任意に被覆することもできる。外側コーティングはまた、少量の水およびアラビアガムを含有してもよい。このコーティングはさらに、ワックスでコーティングできる。コーティングは、コーティング溶液の連続的な施用により、各コーティングの間で乾燥しながら従来法にて適用してよい。コーティングが乾燥するにつれ、それは通常不透明になり、普通は白色であるが、他の着色剤が添加されてもよい。ポリオールコーティングはさらに、ワックスでコーティングされてもよい。このコーティングは、さらに着色された薄片または斑点を含むことができる。当該組成物がコーティングを含む場合、1以上の口腔ケア活性物をコーティング全体にわたって分散させることができるということが可能である。1以上の口腔ケア活性物が単一相組成物の中でその活性物の別のものと非相溶性である場合に、この構成はとりわけ好ましい。さらに独特の製品特性を得るために、香料も加えられてよい。
【0064】
所望の特性を実現するために、他の物質がこのコーティングに加えられてもよい。これらの物質としては、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系物質、ゼラチン、キサンタンガムおよびアラビアガムを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0065】
当該コーティング組成物は、上記の方法を含めて当該技術分野で公知のいずれかの方法によって施されてよい。コーティング組成物は、全チューインガムピースの約2重量%〜約60重量%、より特定すれば約25重量%〜約45重量%の量で存在してよい。
【0066】
本願明細書に記載されるチューインガムベースおよびチューインガム組成物は、いずれの所望の手段によって形成されてもよい。1つの実施形態では、チューインガムベースは、二部混合プロセスで製造されてもよい。この実施形態では、天然の充填剤(複数可)(例えば、セルロース繊維を含む)は、他のチューインガムベース成分と一緒に、他のチューインガムベース成分とは別々に、他のチューインガムベース成分から離れて混合されてもよい。別々に、チューインガムベース成分(例えば、エラストマーを含む)は一緒に合わされて、充填剤を含まないチューインガムベースが形成されてもよい。次いで、天然の充填剤およびこの充填剤を含まないチューインガムベースが、例えば、加熱されたケトルの中で合わされて混合されてもよい。別の実施形態では、天然の充填剤および他の成分を含む、チューインガムベース成分が、例えば、加熱されたケトルの中で、1つのバッチの中で合わされ、そして混合されてもよい。少なくとも1つの天然成分を含むチューインガムベースは、ケトルの中で、他の慣用的なチューインガム成分(例えば、香料、甘味料、着色料、および上記の他の成分が挙げられる)と合わされてもよい。
【0067】
香料は、いずれの所望の方法で当該チューインガムベースおよび/または組成物に加えられてもよい。1つの実施形態では、天然の充填剤(複数可)をチューインガムベースに合わせる前に、その天然の充填剤(複数可)に香料を加えることが所望される場合がある。例えば、チューインガムベースを形成するプロセスでは、当該天然の充填剤(複数可)は、少なくとも1つの香料と別々に合わされて、風味付きの充填剤が与えられてもよい。次に、この風味付きの充填剤は、残りのチューインガムベース成分と合わされて、風味付きのチューインガムベースが与えられてもよい。この実施形態では、香料は充填剤(複数可)に「固定され」る可能性があり、それゆえ、得られるチューインガム組成物に長期の香味放出を与える可能性がある。1つの実施形態では、風味付きの充填剤(上記のとおり)を用いて製造されたチューインガム組成物は、噛んだ後、約10〜約15分間の長期の香味放出を有する可能性がある。いくつかの実施形態では、この香味放出は、噛んだ後、15分間よりも長い時間に及んでもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明の天然の充填剤を含むチューインガムは、低下した脂肪負荷を与える可能性がある。チューインガムベースに組み込まれる当該天然の充填剤、例えばセルロース繊維、は、慣用的なガムベース(タルクおよび炭酸塩などの充填剤を含む)と比べて、低下した脂肪負荷を有するチューインガム組成物を与える可能性がある。このような本発明のチューインガムは、脂肪含有成分、例えば、チョコレートまたは他の脂肪含有の菓子類もしくは成分と合わせてもよい。このように、この実施形態では、本発明は、少なくとも1つの天然の充填剤成分を含み、かつチョコレートなどの脂肪含有成分を含有するチューインガム組成物を提供する可能性がある。
【0069】
本発明の特徴および利点は、以下の実施例によってさらに十分に示される。それらの実施例は、説明の目的のために提供されており、本発明を限定するとは決して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0070】
実施例1:セルロース繊維を含むチューインガムベース
異なる等級のセルロース繊維(天然の充填剤)を含む種々のチューインガムベースを作成し、アトマイト(atomite)またはタルクのいずれか(慣用的な、非天然充填剤)を含むチューインガムベースと比較した。これらのチューインガムベースは、成分を、ブラベンダーミキサーの中で、およそ50〜70rpmで、90℃の温度で約5〜10分間混合することにより調製した。チューインガムベースを、下記の表1に示すとおりに調製した。
【0071】
【表1】
【0072】
a − QC200は、>55g/lのメートル法によるゆるみ密度、145ミクロン(145μm)の平均繊維長さ、および32ミクロン(32μm)〜200ミクロン(200μm)の粒径分布を有する、竹材由来のセルロース繊維である。b − SC200は、>40g/lのメートル法によるゆるみ密度、155ミクロン(155μm)の平均繊維長さ、および32ミクロン(32μm)〜200ミクロン(200μm)の粒径分布を有するセルロース繊維である。c − TC750は、>30g/lのメートル法によるゆるみ密度、550ミクロン(550μm)の平均繊維長さ、および32ミクロン(32μm)〜800ミクロン(800μm)の粒径分布を有するアルファセルロース繊維である。
【0073】
実施例2:水の中での浸液後の、セルロース繊維を含むチューインガムベースの密度
実施例1の組成物(A〜E)を、初期の密度レベルについて測定した。次いで、これらの試料を1時間のあいだ水の中に置き、1時間の時点で、密度測定を行った。次いで、これらの試料を、さらに17日間、水の中に戻し、再び密度測定を行った。結果を、下記の表2に要約する。
【0074】
【表2】
【0075】
水に沈めて水和させる前には、試料C〜Eは油(鉱油)に浮くことが判明していたということを留意した。
【0076】
密度測定の結果を、
図1に、グラフによって示す。
図1で分かるように、3つの本発明の試料(C〜E)は、最初は、対照試料(A〜B)の初期の密度よりも有意に低い密度を有していた。これは、本発明のガムベースから製造される製品が、慣用的なチューインガムよりも低い密度を有するであろうということを示す。平均で、本発明のチューインガムベースは、慣用的なチューインガムベース(すなわち、タルクおよび炭酸塩などの慣用的な充填剤を含むチューインガムベース)よりも約6%〜約11%低い初期密度を有していた。
【0077】
加えて、時間とともに(17日間)、本発明の試料は、対照試料よりも多くの水を取り込むことが判明した。分かるとおり、対照のチューインガムベースA〜Bは、17日後に3.56%および3.29%の密度の増加を経験しただけであった。本発明のチューインガムベースC〜Eは、17日後に、それぞれ7.96%、9.01%および11.06%の増加を経験した。
【0078】
このデータは、すべてのガムベースが、時間の経過とともに水を受け取ることができるとは言え、本発明のチューインガムベースは、最も効果的な水吸収を経験するということを示唆する。各々、タルクおよび炭酸塩などの慣用的な充填剤を、セルロース繊維を含めた本発明の天然の充填剤で置き換えたすべての3つの本発明の試料は、17日間にわたって、慣用的なガムベースが経験したよりも有意に高いレベルの水吸収を経験した。
【0079】
実施例3:セルロース繊維を含むチューインガムベース
実施例1に概要を示した方法に従って、6つのさらなるチューインガムベースを調製した。対照のチューインガムベース(組成物F)は、充填剤として炭酸塩を含んでいた。本発明のチューインガムベースは、様々な等級のセルロース繊維を充填剤として含んでいた。1つの本発明のチューインガムベースは、セルロースおよびサイリウム(90110)の組み合わせを充填剤として含んでいた。1つの本発明の組成物(J)は、非天然グリセロールエステル成分に加えて、天然樹脂成分としてマスチック樹脂を含んでいた。これらのチューインガムベース(F〜K)の組成を、下記の表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】
a − QC200は、>55g/lのメートル法によるゆるみ密度、145ミクロン(145μm)の平均繊維長さ、および32ミクロン(32μm)〜200ミクロン(200μm)の粒径分布を有する、竹材由来のセルロース繊維である。
【0082】
b − SC200は、>40g/lのメートル法によるゆるみ密度、155ミクロン(155μm)の平均繊維長さ、および32ミクロン(32μm)〜200ミクロン(200μm)の粒径分布を有するセルロース繊維である。
【0083】
c − TC750は、>30g/lのメートル法によるゆるみ密度、550ミクロン(550μm)の平均繊維長さ、および32ミクロン(32μm)〜800ミクロン(800μm)の粒径分布を有するアルファセルロース繊維である。
【0084】
d − CreaSplend(クリアフィル・ファイバー・コーポレーション(CreaFill Fibers Corp.)製)として市販されているセルロース/サイリウム 90110
【0085】
e − エラストマーは、30グラムのブチルゴム、200グラムのポリ酢酸ビニルおよび200グラムのポリイソブチレンの混合物である。
【0086】
チューインガムベース(F〜K)の初期の密度測定を行った。密度測定値を下記の表4に示す。
【0087】
【表4】
【0088】
分かるとおり、本発明のチューインガムベースの各々は、各々、対照のチューインガムベースよりも有意に低い密度を有していた。本発明のチューインガムベースは、対照のチューインガムベースの80.7%〜82.5%である密度を有していた。加えて、また、天然の軟化剤に加えて天然の充填剤成分を含んでいたチューインガムベースは、対照のチューインガムベースよりもはるかに下の密度を有するチューインガムベースを与えた(本発明の組成物J)。
【0089】
このデータは、天然の充填剤から製造される本発明のチューインガムベースが、非天然充填剤から製造される対照物天然チューインガムベースの密度から有意に下の密度を与えるという事実を実証する。本発明の組成物は、炭酸塩および/またはタルクなどの非天然充填剤から製造される慣用的なチューインガムベースの約80%〜約83%の密度を有するチューインガムベースを与える可能性がある。
【0090】
実施例4:セルロース繊維を含むチューインガムベースから製造されるチューインガム
次に、天然チューインガムベースから製造されるチューインガムの密度を試験した。実施例3のチューインガムベース(対照F、および本発明のG〜K)をチューインガムへと配合した。それらのチューインガムは、当業者に公知の慣用的な方法および成分を使用して製造した。これらのチューインガムを密度について測定した。これらのチューインガムの密度結果を下記の表5に示す。
【0091】
【表5】
【0092】
実施例3に示したチューインガムベースと同様に、これらのベースから製造したチューインガムは、対照のチューインガム組成物の密度よりも低い密度を有する。本発明のチューインガム組成物および対照のチューインガム組成物の密度の差は本発明のチューインガムベースおよび対照チューインガムベースの密度の差よりも有意に低くはなかったが、この実施例は、本発明のチューインガムベースから製造されるチューインガムが、慣用的なチューインガムよりも低い密度の製品を与えるということを、なお実証する。本発明の生成物から製造されるチューインガムの異なる配合物は、さらにより低い密度の製品を与える可能性がある。ここでも、より低い密度は、市販のチューインガム製品を調製するためのより効率的で費用効率が高い手段を提供する可能性がある。
【0093】
実施例5:30分間の咀嚼後の、セルロース繊維を含むチューインガムベースから製造されるチューインガムの密度
実施例4のチューインガムが、噛んだ後の密度を測定するために、実験室設定において、数人によって30分間のあいだ噛まれた。(1)ガムベース、(2)噛む前のチューインガム組成物、および(3)30分間噛んだ後のチューインガム、の密度測定を行った。結果を
図2に示す。
【0094】
分かるように、チューインガム組成物の形成の前に、本願明細書に記載される天然成分を含むチューインガムベースは、およそ1.00〜1.05g/cm3の密度を有していた。対照のチューインガムベース(炭酸塩充填剤を含む)は、約1.25g/cm3という初期密度を有していた。
【0095】
チューインガムへの形成(すなわち、チューインガムベースを慣用的なチューインガム成分と合わせること)の後、すべての6つのガムの密度は、より高くなった。本発明のチューインガムは1.25g/cm3よりもわずかに小さい密度を有していたが、対照のチューインガムは約1.275g/cm3の密度を有していた。
【0096】
しかしながら、これらのチューインガム組成物を30分間噛んだ後は、密度測定は、非常に驚くべきで予想外の結果を示した。当該チューインガム組成物は、噛んでいる間の口腔中での特定の成分の除去のため、その密度のいくらかを失うであろうということを予想したが、得られた結果は、対照のチューインガム組成物と本発明のチューインガム組成物との間の有意差を示した。対照のチューインガム組成物は、約1.20g/cm3の、30分間噛んだ後の密度を有していた。しかしながら、本発明の天然チューインガム組成物の各々は、約1.05g/cm3の、噛んだ後の密度を有していた。30分間の咀嚼後の密度の低下は、本発明のチューインガム組成物の、噛んでいる間に、対照チューインガム組成物におけるよりも多くの上記チューインガム成分を放出する能力を示す。
【0097】
実施例6:噛んだ後の、セルロース繊維を含むチューインガムベースから製造されるチューインガムの密度
アトマイトを含むチューインガム(対照)およびSC40 セルロース繊維を含むチューインガム(本発明)を調製し、数人が、実験室設定において、種々の時間間隔のあいだ、それらのチューインガムを噛んだ。これらのチューインガムは、0秒、30秒間、2分間、5分間、10分間、および30分間噛まれた。噛んだ後、チューインガムの食塊(ボーラス)を集め、分析した。集めた各食塊について密度を測定した。結果を下記の表6に示し、
図3に図示する。
【0098】
【表6】
【0099】
対照および実験的なガムの両方の密度は、同様の時間スケールにおいて低下し、およそ5分間で横ばい状態になった。しかしながら、分かるとおり、本発明の試料の測定した密度の低下は、より急激であった(下記の表7を参照)。
【0100】
【表7】
【0101】
実施例6:セルロース繊維を含むチューインガムの咀嚼パネルによる検討
ガムベースの中にセルロースを充填剤として組み込むいくつかの実験的なガムを噛んで評価するために、6人のパネリストのチームを集めた。アトマイトを充填剤として含むチューインガム(530)、QC200(セルロース繊維)を充填剤として含むチューインガム(53 1)、およびSC40(セルロース繊維)を充填剤として含むチューインガム(535)を調製し、およそ3ヶ月間保存した。試料を10分間噛み、注目した特質は、質感、香味、甘味、冷感、および食塊サイズであった。0分、0.5分、2分、5分、および10分の時間間隔で各特質について、等級づけを得た。本検討の結果を
図4〜
図8に示す。
【0102】
図4で分かるとおり、当該チューインガムの冷却感覚は、QC200を含む試料については着実に増加しており、10分において、冷却感覚は依然として上昇途上にあったということが分かる。10分後、アトマイトを含むチューインガムの冷却感覚は、これら3つの試料の中で最も低かった。質感は、試料間でかなり類似しており(
図5)、SC40を含む試料は、噛んでいる時間全体にわたって最も柔らかいものであることを示した。チューインガムの甘味を測定した。それを
図6に図示する。分かるとおり、これらの3つのチューインガムは、初期の咀嚼および30秒の時には類似の甘味の送達を有していたが、しかしながら本発明のチューインガムの両方は、3分の時点以降から、対照の甘味の知覚よりも低い甘味の知覚を有していた。しかしながら、SC40を含む試料の香味の知覚は、試験した他の2つの試料よりも有意に強かった(
図7)。この香味の知覚は、噛んでいる期間全体で明らかであった。最後に、食塊サイズを試験し、データ収集の期間では、試料間でかなり同様であることが判明した(
図8を参照)。
【0103】
パネリストたちに、咀嚼パネルのチームの結論時に、どの試料が自分にとって全体として一番好みであったかを記録するように依頼した。6人の参加者のうち4人が、自分は、SC40を含む試料が全体として一番好みであったと指摘した。これは、より高い香味強度と組み合わせて、より柔らかい質感が、SC40セルロース誘導体充填剤によってもたらされる心地よい特性であったということを示唆する。
【0104】
実施例7:WICS(湿式室内コンクリート板(Wet Indoor Concrete Slab))試験
コンクリート板を入手し、水の中に数日沈めて、表面を洗浄/中和した。この洗浄段階の間、この水のpHをモニターして、中性に近い(約pH 7)かどうかをチェックした。数日が経過すると、板の表面のpHが中性であることが判明した。この水を流し出し、板の上面まで、新しい水道水を再び満たした。
【0105】
対照の充填剤(アトマイト)を含むガム試料および種々の本発明の充填剤(種々のタイプのセルロース誘導体繊維を含む)を含むガム試料が、試験を開始する前に、ボランティアによって30分間噛まれた。食塊を集め、手作業の手による圧力を使用して、上記コンクリート板の表面上に置いた。この食塊を、この濡れた板の上に一週間置いたままにし、レベルが板の上面の高さにあるように、毎日、水を加えた。この時間の間のあらゆる変化を書きとめ、この一週間の期間の終わりに、へらを使用して試料を取り除き、板への接着についてチェックし、次いで、各試料の密度を測定し、これらの食塊を捨てた。
【0106】
この試験についての設定の間、濡れたコンクリート板にあまりよく接着しないことに加えて、セルロース誘導体の食塊は、水に浮く傾向もあるということに留意した。接着しない試料は実験から除外し、このコンクリート板に適正に接着する試料で置き換えた。
【0107】
板への初期接着の後、試料の各々は、一様な色および粘稠度を有していることが認められた。しかしながら、3日後、それらの試料において目立つ色の差があった。対照試料は、まだ一様な色および粘稠度を有していることが認められた。しかしながら、本発明の試料は、各々、目立つ染料の移動を有していることが判明し、試料の外側はより白く(より少ない染料)、試料の中心領域はより多くの着色料を有していた。これらの結果は、本発明のチューインガム試料が、噛んだ後でさえも、時間とともに水を取り込む能力を有していた(増加した水吸収)ということを実証する。この増加した食塊水和は、とりわけ、対照チューインガムと比べての、本発明のチューインガムの、高められたコンポスト化可能性および/または生分解性を実証する可能性がある。
【0108】
実施例8:水和されたガム厚板試験
4つのバッチの10個のガム厚板試料を調製し、ニュージャージー州ホイッパニー(Whippany)からの水道水で80%満たした、琥珀色のねじ式キャップの広口瓶の中に入れた。これら4つのバッチは、対照バッチ(アトマイトを充填剤として使用する)、および3つの本発明のバッチ(QC200;マスチック樹脂を伴うQC200;およびCreaSplend)を含んでいた。キャップをもとに戻し、試料を3日間浸した。3日後、本発明の試料は水に浮いていることが判明したのに対して、対照試料は水に浮いていなかった。
【0109】
最初は、これらの試料はすべて広口瓶の底に沈んでいたが、水溶性の物質が3日間にわたって滲み出すにつれて、実験的なセルロース誘導体の厚板は、水よりも密度が小さくなり、浮き始めた。CreaSplend(90%/10% QC200/サイリウム)を含む試料は、その試料は他の本発明の試料よりもわずかに密度が高かったという点で、いくらか独特の挙動を呈した。この試料は、依然として水に浮くことが判明したが、2つの他の本発明のバッチほどには容易ではなかった。加えて、この広口瓶からの厚板だけは、その厚板の上にぬるぬるしたコーティングを有していることが判明した。
【0110】
3日間の浸液の後、いくつかの試料を各広口瓶から取り出し、いくつかの方法で密度について試験した:(1)取り出しおよび直接の濡れたままの密度測定(短時間だけ、ナプキンで軽くたたいて乾かす)、(2)試料を、測定前に数分間、ナプキンの上に置いたままにして乾かす、(3)試料を、全室真空を使用するが熱を加えないで、真空オーブンの中で一晩真空乾燥する、および最後に(4)真空オーブン乾燥した試料を取り出して、真空によって作られた気泡を取り除くために、最初に試料を砕く。最初の厚板、ガムベース、および噛まれた食塊とともに、試料の密度は、
図9で見ることができる。真空オーブン乾燥の後に砕いた場合を除き、すべての場合で、実験的なガムは非常に近いことが認められた。対照のガムは、ほぼ常に、実験的なガムよりも高密度であることが判明した。