【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様では、
第一及び第二の表面、ここで、前記第一及び第二の表面のそれぞれは、その上にポリマー被覆;
前記織物層の前記第一の表面上の前記ポリマー被覆に接着された第一のポリマー層;及び
前記織物層の前記第二の表面上の前記ポリマー被覆に接着された第二のポリマー層;
を有する織物層、
ここで、前記織物層の第一及び第二の表面上の前記ポリマー被覆は、それぞれ、
下記式(I)
【化1】
(式中、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、(CR
7R
8)
n又はCR
9R
10、CR
7R
8CR
9R
10若しくはCR
9R
10CR
7R
8の基から選択され、ここで、nは、0、1又は2であり、R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素、ハロ又はヒドロカルビルから選択され、R
9又はR
10のいずれか一方は、水素であり、且つもう一方は電子吸引基であるか、又はR
9及びR
10は、共に電子吸引基を形成し;
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、CH、又はCR
11から選択され、ここで、R
11は電子吸引基であり、
点線は、結合の存在又は非存在を示し、X
1は、CX
2X
3基であり、この場合、前記点線の結合が結合する先は存在せず、また、CX
2基であり、この場合、前記点線の結合が結合する先は存在する、Y
1は、CY
2Y
3基であり、この場合、前記点線が結合する先は存在せず、また、CY
2基であり、この場合、前記点線の結合が結合する先は存在する、X
2、X
3、Y
2及びY
3は、それぞれ独立して、水素、フッ素又は他の置換基から選択され、
R
1は、水素、ハロ、ニトロ、ヒドロカルビル、任意選択的に官能基で置換若しくは介在されたもの、又は、下式
【化2】
であり、
R
13は、C(O)又はS(O)
2である)
の基を含むポリマー前駆体
を重合させることによって形成される、
を含むことを特徴とする、複合部材
が提供される。
【0007】
本発明により提供されるポリマー前駆体は、好適には、ほとんど又は全く溶媒又は他のVOCを用いずに使用されるため、本発明の環境への影響が最小限となる。織物層と広範なポリマー層との間の優れた接着を達成することができる。
【0008】
疑念を避けるために、「ポリマー前駆体」という用語は、モノマー、及び1種又は複数種のモノマーの部分又は半重合により得られるプレポリマーを指すことを含む。
【0009】
有利には、第一及び第二のポリマー層は、エラストマー層である。
【0010】
いかなる特定の理論に束縛されることを望まないが、低表面エネルギーエラストマー基材に対する結合に関する問題の少なくとも一部は、第一に接触させる層が基材の表面エネルギーの表面張よりも低い表面張力を有する必要があることである。性質上十分に疎水的であるか、さもなければ低表面エネルギー基材に対して接着するのに適しているが、にもかかわらず、対応するポリマー前駆体が、二重結合又は諸結合を、生じ得る重合に関して十分に活性化することが可能な、式(I)の化合物を重合させることによって、ポリマー前駆体を製造することができる。更に、本発明のポリマー被覆はアラミド等の織物に対して接着させることができる。
【0011】
好適な実施形態では、複合部材は、ホースの形状であり、ここで、織物層、及び第一及び第二のエラストマー層は、円筒形状であり、また、第一のエラストマー層は、織物層に関して外側であり、且つ、第二のエラストマー層は、織物層に関して内側である。このタイプのホースは、例えば、使い捨てマフラー及びターボチャージャーホース等の自動車の応用等、多様な目的に用いることができる。
【0012】
他の好適な実施形態では、複合部材は、ベルト、タイヤ又はエアクッションである。ベルトは、エンドレスベルト、好適には、コンベヤーベルト又は伝動ベルトの形状とすることができる。
【0013】
疑念を避けるために、「エラストマー」及び「エラストマー層」という用語は、天然及び合成ゴムを指すこと、並びに熱可塑性エラストマーを指すことを含む。好適には、第一及び第二のエラストマー層の少なくとも一つは、ゴム、最も好適には、加硫ゴムである。織物層は、従来接着させることが困難であった様々なエラストマーとすることができる。従って、第一及び第二のエラストマー層の少なくとも一つは、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリプロピレンゴム又は水素化ニトリルゴムとすることができる。更なる代替物は、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びニトリルブタジエンゴム(NBR)を含む。
【0014】
第一のエラストマー層は、第二のエラストマー層とは異なる材料から形成されてよい。一実施形態では、複合部材はホースであり、ここで、第一のエラストマー層は、シリコーンゴムから形成され、且つ、第二のエラストマー層は、フルオロシリコーンゴム等の耐油性ゴムから形成される。他の組み合わせは当業者に自ずと示唆される。
【0015】
代わりに、第一のエラストマー層は、第二のエラストマー層と同じ材料から形成されてもよい。
【0016】
第一及び第二のポリマー層は、エラストマー以外のポリマー材料から形成されてよい。例えば、第一及び第二のポリマー層は、熱硬化性エポキシ樹脂又はポリウレタン等の熱硬化性ポリマーから形成されてよい。代わりに、第一及び第二のポリマー層は、熱可塑性ポリオレフィン等の熱可塑性材料から形成されてよい。幾つかの実施形態では、第一及び第二のポリマー層は、低表面エネルギー材料から形成されるが、本発明はこの点に限定されない。第一及び第二のポリマー層が熱硬化性エポキシ樹脂である実施形態は、ポリマー材料が低表面エネルギーでない実施形態の例である。有利には、本発明により提供されるポリマー被覆は、低表面エネルギー及び非低表面エネルギー材料の両方に良好に接着することができる。
【0017】
織物層は、広範な材用の、繊維、リボン又はラメラから形成されてよい。幾つかの実施形態では、織物は、少なくとも一部がポリマー繊維から形成され、ここで、繊維は、合成繊維としてよい。好適には、織物層は、アラミド又はポリエステル繊維を包含する。極めて有利には、アラミド織物層は、従来アラミドに対して結合させることが困難であったため、本発明を用いることで複合部材中に良好に導入することができる。また、高性能を有する高品質の複合部材を製造することができる。織物繊維は、アラミド繊維のみを含んでよく、又はアラミド繊維と少なくとも1つの他の種の繊維との混合物を含んでもよい。アラミド繊維は、メタ−アラミド繊維、及び/又はパラ−アラミド繊維とすることができる。適したアラミド繊維は、ノメックス(Nomex)(RTM)、コネックス(Conex)(RTM)、ケブラ(Kevla)(RTM)、カーメル(Kermel)(RTM)、及びトワロン(Twaron)(RTM)である。
【0018】
織物層中に天然の繊維を用いることも、本発明の範囲に含まれる。
【0019】
織物層は、無地、無色の織物繊維、又は前着色の織物繊維としてよい。
【0020】
幾つかの実施形態では、織物層は、少なくとも一部は金属から形成される。「金属」という用語は、合金も含むと理解される。金属は、鋼鉄又は形状記憶合金とすることができる。例えば、鋼鉄リボンを用いることができる。織物層は、金属構造のみからなるものとしてもよく、又は、織物層は、織物又は他の金属性の繊維若しくはフィラメント成分、及びポリマー繊維等の非金属成分等の、金属含有物としてもよい。
【0021】
一般的に、織物層の第一及び第二の表面の上のポリマー被覆は、共通のポリマー前駆体を重合させることによって形成される。しかしながら、原理的に、織物層の第一及び第二の表面の上で、異なるポリマー被覆を形成するために、異なるポリマー前駆体を用いることもできる。
【0022】
複合部材は、1つ又は複数の更なる層を含むことができる。言い換えれば、本発明は、3層構造に限定されない。例えば、幾つかの複合部材は、2つの外側層を用いて製造してよく、各層は、ポリマー層に対して接着されている。いかなる更なる層も、本願明細書に記載されるタイプのポリマー被覆を介して、又は別の接着剤により、ポリマー層に対して接着することができる。更なる層は、更なる織物層、又は、他の種類の層、例えば、金属層とすることができる。
【0023】
本発明の第二の態様では、
第一及び第二の表面を有する織物層を提供する、ステップと;
下記式(I)
【化3】
(式中、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、(CR
7R
8)
n又はCR
9R
10、CR
7R
8CR
9R
10若しくはCR
9R
10CR
7R
8の基から選択され、ここで、nは、0、1又は2であり、R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素、ハロ又はヒドロカルビルから選択され、R
9又はR
10のいずれか一方は、水素であり、且つもう一方は電子吸引基であるか、又はR
9及びR
10は、共に電子吸引基を形成し;
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、CH、又はCR
11から選択され、ここで、R
11は電子吸引基であり、
点線は、結合の存在又は非存在を示し、X
1は、CX
2X
3基であり、この場合、前記点線の結合が結合する先は存在せず、また、CX
2基であり、この場合、前記点線の結合が結合する先は存在する、Y
1は、CY
2Y
3基であり、この場合、前記点線が結合する先は存在せず、また、CY
2基であり、この場合、前記点線の結合が結合する先は存在する、X
2、X
3、Y
2及びY
3は、それぞれ独立して、水素、フッ素又は他の置換基から選択され、
R
1は、水素、ハロ、ニトロ、ヒドロカルビル、任意選択的に官能基で置換若しくは介在されたもの、又は、下式
【化4】
であり、
R
13は、C(O)又はS(O)
2である)
の基を含むポリマー前駆体
の少なくとも一つを提供する、ステップと;
前記ポリマー前駆体を重合させ、前記織物層の前記第一及び第二の表面のそれぞれの上にポリマー被覆を形成する、ステップと;
第一のポリマー層を、前記織物層の前記第一の表面上の前記ポリマー被覆に接着させる、ステップと;
第二のポリマー層を、前記織物層の前記第二の表面上の前記ポリマー被覆に接着させる、ステップと;
を含むことを特徴とする、複合部材を製造する方法
が提供される。
【0024】
その全ての内容は参照により本願明細書に組み入れられる、国際公開WO00/06610、WO00/06533、WO00/06658、WO01/36510、WO01/40874及びWO01/74919、WO2007/012860、WO2008/001102、及びWO2009/063211は、1つ又は複数のジエニル基を有する多数の化合物の重合により得られるポリマーのクラスを開示する。出願人の同時に係属中の英国特許出願第1012954.2号、及び第1016664.3号は、本願明細書に記載されるモノマーのクラスの幾つかの例の合成及び重合に関して更なる詳細を提供する。
【0025】
好適には、ポリマー前駆体は、紫外線照射への露出により重合させる。代わりの重合方法は、必要に応じて、化学開始剤等の他の種の開始剤の適用による、又は電子ビームを用いた開始による、開始剤の存在下、加熱すること(IR照射の形式とすることもできる)を含む。本願明細書で用いられる「化学開始剤」という表現は、当該技術分野でよく知られた、フリーラジカル開始剤、及びカチオン性又はアニオン性開始剤等のイオン性開始剤等の、重合を開始することができる化合物を指す。
【0026】
好適な実施形態では、ポリマー前駆体は、紫外線照射への露出により、重合され、重合は、自発的に、又は適切な開始剤の存在下のいずれかで生じる。適切な開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN);ベンゾフェノン、特にアセトフェノン等の芳香族ケトン;ジ−又はトリ−クロロアセトフェノン等の塩素化アセトフェノン;ジメトキシアセトフェノン(品名「イルガキュア(Irgacure)651」の市販品)等のジアルコキシアセトフェノン;ジメチルヒドロキシアセトフェノン(品名「ダロキュア(Darocure)1173」の市販品)等のジアルキルヒドロキシアセトフェノン;下式
【化5】
(式中、R
yは、アルキル、特に2、2−ジメチルエチルであり、R
xは、ヒドロキシル又はクロロ等のハロゲンであり、R
p及びR
qは、それぞれ独立して、アルキル又はクロロ等のハロゲンから選択される(この例は、品名「ダロキュア(Darocure)1116」及び「トリゴナル(Trigonal)P1」の市販品))
の化合物等の置換ジアルキルヒドロキシアセトフェノンアルキルエーテル;1−ベンゾイルシクロヘキサノール−2(品名「イルガキュア(Irgacure)184」の市販品);ベンゾイン又はベンゾインアセテート、特にベンゾインブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル等の誘導体;ジメトキシベンゾイン又デオキシベンゾイン等のジアルコキシベンゾイン;ジベンジルケトン;アシルオキシムのメチル又はエチルエステル(品名「クオンタキュア(Quantaqure)PDO」の市販品)等のアシルオキシムエステル;アシルホスフィンオキシド;ジアルキルアシルホスフォネート、例えば、下式
【化6】
(式中、Rzは、アルキルであり、Arは、アリール基である)
のケトスルフィドア等のシルホスフォネート;4、4’−ジアルキルベンゾイルジスルフィド等のジベンゾイルジスルフィド;ジフェニルジチオカーボネート;ベンゾフェノン;4、4’−ビス(N、N−ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン;フルオレノン;チオキサントン;ベンジル;又は下式
【化7】
(式中、Arは、フェニル等のアリール基であり、Rzは、メチル(品名「スピードキュア(Speedcure)BMDS」の市販品)等のアルキルである)
又は品名「イルガキュア(Irgacure)127」の市販品のタイプの開始剤
が挙げられる。
【0027】
本願明細書で用いられる、「アルキル」という用語は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を指し、好適には20個以下、更に好適には6個以下の炭素原子を含む。「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、不飽和の直鎖又は分岐鎖を指し、例えば、2〜20個の炭素原子、例えば、2〜6個の炭素原子を含む。鎖は、それぞれ1つ又は複数の二〜三重結合を含んでいてよい。更に、「アリール」という用語は、フェニル又はナフチル等の芳香族基を指す。
【0028】
本願明細書で用いられる、「ヒドロカルビル」という用語は、炭素原子及び水素原子を含むあらゆる構造を指す。例えば、これらは、アルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル又はナフチルのようなアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルとしてもよい。好適には、これらは、20個以下、好適には10個以下の炭素原子を含む。「ヘテロシクリル」という用語は、例えば、4〜20個、好適には5〜10個の環原子を有し、そのうち少なくとも1個が、酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子である、芳香族又は非芳香族の環を含む。このような基の例には、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ベンズチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチエニル又はベンゾフリルが含まれる。
【0029】
「官能基」という用語は、例えば、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、C(O)
nR
a、OR
a、S(O)
tR
a、NR
bR
c、OC(O)NR
bR
c、C(O)NR
bR
c、OC(O)NR
bR
c、−NR
7C(O)
nR
6、−NR
aCONR
bR
c、−C=NOR
a、−N=CR
bR
c、S(O)
tNR
bR
c、C(S)
nR
a、C(S)OR
a、C(S)NR
bR
c又は−NR
bS(O)
tR
a、式中、R
a、R
b及びR
cは、水素若しくは任意に置換されたヒドロカルビル基からそれぞれ独立に選択するか、又はR
b及びR
cは共に、S(O)
s、酸素、窒素等の更なるヘテロ原子を任意選択的に含む任意選択的に置換された環を形成し、nは、1又は2の整数、tは、0又は1〜3の整数である、等の反応性の基を指す。特に、官能基は、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、C(O)
nR
a、OR
a、S(O)
tR
a、NR
bR
g、OC(O)NR
bR
c、C(O)NR
bR
c、OC(O)NR
bR
c、−NR
7C(O)
nR
6、−NR
aCONR
bR
c、−NR
aCSNR
bR
c、−C=NOR
a、−N=CR
bR
c、S(O)
tNR
bR
c又は−NR
bS(O)
tR
aの反応基とする。R
a、R
b及びR
c、式中、n及びtは、上記定義の通りである、等の基である。
【0030】
本願明細書で用いられる、「ヘテロ原子」という用語は、酸素、窒素又は硫黄原子等の非炭素原子を意味する。窒素原子が存在する場合は、それらは、一般的にアミノ残基の一部として存在しており、例えば、水素又はアルキルにより置換されているであろう。
【0031】
「アミド」という用語は、一般的に、式:C(O)NR
aR
b(式中、R
a及びR
bは、水素又は任意選択的に置換されたヒドロカルビル基である)の基を指すと理解される。同様に、「スルホンアミド」という用語は、式:S(O)
2NR
aR
bの基を指す。好適なR
a基としては、水素又はメチル、特に水素が含まれる。
【0032】
特定の場合に用いられる、電子求引基又はアミン部分に付加される基の性質は、その化合物内の他の官能基の性質だけでなく、活性化される必要のある二重結合に対する位置にも依存する。「電子求引基」という用語は、その範囲に、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ等のハロ等の原子の置換基、更にニトリル、トリフルオロメチル、アセチル等のアシル、ニトロ又はカルボニル等の分子の置換基も含まれる。
【0033】
R
11は、電子吸引基であり、適切には、アセチル、ニトリル又はニトロ等のアシルである。
【0034】
好適には、R
7及びR
8は、それぞれ独立して、フルオロ、クロロ又はアルキル若しくはHから選択される。アルキルの場合には、メチルが最も好適である。
【0035】
好適には、X
2、X
3、Y
2及びY
3は、全てハロゲンである。
【0036】
少なくとも1つの、可能ならば全ての、X
2、X
3、Y
2及びY
3は、水素又はフッ素以外の置換基とすることができ、例えば、好適には、少なくとも1つの、可能ならば全ての、X
2、X
3、Y
2及びY
3は、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基である。このような実施形態では、少なくとも1つの、可能ならば全ての、X
2、X
3、Y
2及びY
3は、任意選択的に置換されたアルキル基である。特に好適な例は、C
1〜C
4のアルキル基、特に、メチル又はエチルである。代わりに、少なくとも1つの、好適には全ての、X
2、X
3、Y
2及びY
3は、アリール及び/又は、ピリジル、ピリミジニル又はピリジン若しくはピリミジンを含む基等のヘテロ環基である。
【0037】
好適な実施形態では、R
1は、
【化8】
であり、X
1及びY
1は、それぞれCX
2X
3基及びCY
2Y
3基であり、点線は、結合の非存在を示す。これらの実施形態では、重合は、環化重合により行ってよい。
【0038】
ポリマー前駆体の好適な基は、構造(II)
【化9】
の化合物及び、特に構造(III)
【化10】
の化合物
(式中、rは、1又はそれ以上の整数であり、R
6は、1つ又は複数の結合基、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基、パーハロアルキル基、シロキサン基、アミド又は繰り返し単位を含む部分重合鎖である)
【0039】
式(II)及び(III)の化合物において、rが1の場合、化合物は、容易に重合し、R
6基の性質に依存して、様々なポリマーのタイプを形成することができる。実施形態では、rは、1又は2が最も好適である。
【0040】
式(II)の化合物において、rが1よりも大きい場合、重合によりポリマーネットワークが生じ得る。これらの化合物の重合の際には、ネットワークが形成され、その特性は、R
6基の細かな性質、存在する連鎖反応停止剤の量及び用いた重合条件に依存して、選択することができる。架橋基のいくつかの例は、WO00/06610に見出すことができる。
【0041】
好適には、rは、1、2、3又は4である。
【0042】
好適には、R
6は、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビルであり、任意選択的に環状基で介在される、を含む。有利には、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビルは、アミン部分、C(O)若しくはCOOHの1つ又は複数で介在又は置換される。
【0043】
いくつかの実施形態では、ポリマー前駆体は、R
6は、アミン部分で介在された、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル、又は前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーである。このタイプのポリマー前駆体は、織物繊維のエラストマー材料に対する接着性を向上させるのに極めて有利となり得る。好適には、モノマーは、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、任意選択的に環状基で介在される。特に、好適な実施形態では、モノマーは、下記式(IV)
【化11】
(式中、R
14は、H又はC
sH
2s+1であり、pは、1〜10であり、qは、0〜10であり、sは、1〜10である)
の化合物である。
【0044】
他の好適な実施形態では、モノマーは、下記式(V)
【化12】
(式中、t及びuは、それぞれ独立して、1〜10であり、R
14は、H又はC
sH
2s+1であり、ここで、sは、1〜10である)
の化合物である。
【0045】
他の好適な実施形態では、ポリマー前駆体は、R
6は、COOH末端基で置換された、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル、又はモノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーである。モノマーは、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、任意選択的に環状基で介在される。有利には、モノマーは、下記式(VI)
【化13】
(式中、vは、1〜20である)
の化合物である。
【0046】
代わりの実施形態では、ポリマー前駆体は、R
6は、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又はモノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーである。このタイプのポリマー前駆体は、織物繊維のポリマー材料に対する接着性を向上させるのに極めて有利となり得る。
【0047】
更に他の実施形態では、ポリマー前駆体は、R
6は、部分的に又は過剰にハロゲン化された、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーである。好適には、アルキル基は、パーハロゲン化されている。好適には、アルキル基は、フルオロ化されており、更に好適には、パーフルオロ化されている。
【0048】
更に他の実施形態では、ポリマー前駆体は、R
13は、COであり、且つ、R
6は、1つ又は複数のアミン部分で終端して、尿素構造を形成するか、又は、前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーである。
【0049】
更なる他の実施形態では、前記ポリマー前駆体は、構造(VII)
【化14】
(式中、R
6は、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル基であり、任意選択的に基で介在され、ここで、rは、2又はそれ以上の整数であるか、又は、前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである)
のモノマーである。好適には、rは、2又は3である。このタイプのポリマー前駆体は、織物繊維のエラストマー材料に対する接着性を向上させる、染料の織物繊維に対する接着性を向上させるのに有利に用いることができる。
【0050】
ポリマー前駆体を重合するステップでは、ホモポリマーを得ることができる。
【0051】
代わりに、ポリマー前駆体を、1つ又は複数の他のポリマー前駆体と混合して、ポリマー前駆体を重合するステップにより、コポリマーを得ることができる。他のポリマー前駆体は、本願明細書に記載される式のいずれかによるものとすることができる。代わりに、コモノマーは、異なるクラスの化合物とすることができる。ポリマー前駆体は、クロスリンカーと共重合することができる。これらの実施形態では、ポリマー前駆体は、下式(VIII)
【化15】
(式中、R
1、R
2、R
4、R
13及びX
1は、式(I)に関して定義した通りであり、rは、2又はそれ以上の整数であり、R
6は、価数rの架橋基又は結合である)
の化合物と反応させることができる。
【0052】
好適には、rは2である。ポリマー前駆体が、下式
【化16】
の基を含まない場合、式(XIII)の化合物を用いることが、特に好適である。しかしながら、下式
【化17】
の基を含むポリマー前駆体の実施形態は、式(XIII)の化合物と反応させることもできる。
【0053】
クロスリンカーは、下記式(IX)
【化18】
の化合物とすることができる。
【0054】
クロスリンカーの他の例は、N、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミド、及び2、2、2’、2’’、2’’’−(エタン−1、2−ジイルビス(アザネトリイル)テトラキス(N、N−ジアリルアセトアミド)である。
【0055】
好適な実施形態では、ポリマー前駆体は:N、N−ジアリルヘキサンアミド、N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド、ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミド、若しくは、2、2、3、3、4、4、5、5、6、6、7、7、8、8、8−ペンタデカフルオロ−N、N−ジ(2−プロペン−1−イル)オクタンアミド;又は、N、N−ジアリルヘキサンアミド、N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド、ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミド、若しくは、2、2、3、3、4、4、5、5、6、6、7、7、8、8、8−ペンタデカフルオロ−N、N−ジ(2−プロペン−1−イル)オクタンアミドを含むコモノマー混合物である。代わりに、ポリマー前駆体は、これらの物質のいずれかの半重合により得られるプレポリマーとすることができる。好適なコモノマー混合物は、:N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド/N、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミド;N、N−ジアリルヘキサンアミド/N、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミド;ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミド/2、2、2’、2’’、2’’’−(エタン−1、2−ジイルビス(アザネトリイル)テトラキス(N、N−ジアリルアセトアミド);及びN、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド/ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミド/2、2、3、3、4、4、5、5、6、6、7、7、8、8、8−ペンタデカフルオロ−N、N−ジ(2−プロペン−1−イル)オクタンアミドを含む。
【0056】
モノマー又はコモノマーは、半重合して、プレポリマーを得ることができる。一般的に、熱開始剤が用いられ、半重合は、常温以上の昇温条件で行われる。
【0057】
一般的に、第一及び第二のポリマー層は、高い温度及び圧力の条件下でポリマー被覆に接着される。有利には、第一及び第二のエラストマー層は、加硫ゴムから形成され、第一及び第二のエラストマー層は、高い温度及び圧力の加硫条件下でポリマー被覆に接着される。
【0058】
本発明によれば、ポリマー材料と結合した織物を備える複合構造を形成してもよい。織物繊維は、ポリマー材料で形成されたハウジング又はベルトに対して接着してもよい。強化ゴムの圧力ハウジングを製造してもよい。他の応用として、タイヤ及びエアクッションの製造も含まれる。
【0059】
本発明は、上記したが、上記又は明細書、図面若しくは請求項に説明される特徴の部分組み合わせの組み合わせによるいかなる発明にも及ぶ。例えば、本発明の第一の態様の要素は、本発明の第二の態様の要素と組み合わせることができる。