(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜3のいずれか一項記載の白血球測定デバイス、前記白血球による呈色反応のための試薬、及び/又は洗浄液、及び/又は希釈液を含むことを特徴とする試薬キット。
【背景技術】
【0002】
白血球は、血液に含まれる成分の一つであり、外部から体内に侵入した異物を排除する働きを有している。細菌感染又はウイルス感染が生じた場合、人体はいずれも発熱症状を示す。細菌感染の場合には、白血球数が増加し、ウイルス感染の場合には、白血球数は正常のまま或いは低下するが、リンパ球が増加する。したがって、白血球の測定を行うことで細菌感染かウイルス感染かを鑑別することが可能となっている。
【0003】
従来、白血球の測定には、電気抵抗法を利用した自動血球カウンタが用いられてきた(例えば特許文献1参照)。しかしながら、自動血球カウンタは大型で特殊な装置であるため、中小病院や診療所等の外来診察時やベッドサイドでのPOC(Point of care)検査を実施可能とする白血球測定デバイスが望まれている。
【0004】
このような白血球測定デバイスとしては、例えば多孔質膜などの担体を用いたものがある。例えば特許文献2では、白血球(特に顆粒球)内のミエロペルオキシダーゼによるペルオキシダーゼ活性を測定する白血球測定デバイスが開示されている。この白血球測定デバイスでは、白血球を溶解又は破壊してミエロペルオキシダーゼを放出させた後、多孔質膜上の酸化感受性色素供与染料の色の変化によってミエロペルオキシダーゼによる過酸化水素分解反応促進を検出している。
【0005】
また、例えば特許文献3では、エステラーゼ活性を指標とする白血球測定デバイスが開示されている。この白血球測定デバイスでは、多孔質膜上の3−アセチルインドキシル等の色素基質の呈色によってエステラーゼによる加水分解活性を検出している。この白血球測定デバイスを用いる場合、被験者の血液を全血のままデバイスに滴下して白血球を捕捉し、洗浄液によって赤血球等の他の血液成分をフロースルーによって下方向に透過させて除去した後、エステラーゼ活性の測定を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献2の白血球測定デバイスでは、赤血球や血漿といった他の血液成分もペルオキシダーゼを含有していることに加え、赤血球中のヘモグロビンもペルオキシダーゼ様活性を有するため、正確な白血球測定を行うには、測定の前に白血球を他の血液成分から完全に分離するための煩雑な前処理が必要となる。
【0008】
一方、特許文献3の白血球測定デバイスでは、煩雑な前処理は不要であるが、被験者の血液をデバイスに滴下したにもかかわらず、血液中の白血球数が少ない場合や、担体の不良等によって測定が適正に行われなかった場合に、デバイスが使用済みであるか否かを簡易に判別する手段がないという問題があった。したがって、測定者が使用済みの白血球測定デバイスを誤って再使用してしまうおそれがあった。
【0009】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、簡易な構成で測定者の過誤による再使用を防止できる白血球測定デバイス及び試薬キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の解決のため、本発明に係る白血球測定デバイスは、血液由来試料を滴下する開口部が設けられた筐体と、筐体内に収容され、開口部から滴下される血液由来試料が含有する成分のうち、白血球を滴下位置の近傍で捕捉し、他の成分を所定の方向に展開させる担体と、を備え、筐体には、開口部から他の成分の展開方向に離間した位置に、担体を外部から視認可能とする展開確認窓が設けられていることを特徴としている。
【0011】
この白血球測定デバイスでは、担体における血液由来試料のラテラルフローによる展開方向に沿って開口部から離間した位置に、担体を外部から視認可能とする展開確認窓が設けられている。血液由来試料が開口部から滴下されると、血液由来試料に含有される白血球が担体によって滴下位置の近傍で捕捉され、赤血球及び/又はヘモグロビン等は、担体中を滴下位置から所定の方向に展開する。したがって、この白血球測定デバイスでは、滴下位置から展開した赤血球及び/又はヘモグロビンの色を展開確認窓から確認することにより、使用済みであるか否かを判別することができ、簡易な構成で測定者の過誤による再使用を防止できる。
【0012】
また、展開確認窓は、展開方向に沿って一以上設けられていることが好ましい。展開確認窓が一以上設けられている場合、赤血球及び/又はヘモグロビンの展開状態をより確実に確認することができる。
【0013】
また、担体の試料滴下位置には、白血球による呈色反応のための試薬の一部又は全部が含漬していることが好ましい。開口部の色と展開確認窓の色とをそれぞれ確認することにより、白血球測定デバイスが使用済みであるか否かの判別と、白血球の測定(定性又は定量)とを同時に行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る試薬キットは、上記白血球測定デバイス、白血球による呈色反応のための試薬、及び/又は洗浄液、及び/又は希釈液を含むことを特徴としている。
【0015】
この試薬キットでは、担体における血液由来試料のラテラルフローによる展開方向に沿って開口部から離間した位置に、担体を外部から視認可能とする展開確認窓が設けられている。血液由来試料が開口部から滴下されると、血液由来試料に含有される白血球が担体によって滴下位置の近傍で捕捉され、赤血球及び/又はヘモグロビン等は、担体中を滴下位置から所定の方向に展開する。したがって、滴下位置から展開した赤血球及び/又はヘモグロビンの色を展開確認窓から確認することにより、使用済みであるか否かを判別することができ、簡易な構成で測定者の過誤による再使用を防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る白血球測定デバイス及び試薬キットによれば、簡易な構成で測定者の過誤による再使用を防止できる。また、コントロール発色用の試薬を必要とせずに、測定が適正に行われたか否かの判断が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る白血球測定デバイス及び試薬キットの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
図1は、本発明に係る白血球測定デバイスの一実施形態を示す斜視図である。また、
図2は、
図1における白血球測定デバイスを蓋部を取り除いて示す斜視図である。
図1及び
図2に示すように、白血球測定デバイス1は、本体部3及び蓋部4とを備える扁平な略直方体形状の筐体2と、筐体2内に配置された短冊状の担体5とによって構成されている。この白血球測定デバイス1は、血液由来試料S(
図3参照)中に含まれる白血球を測定するためのデバイスであり、筐体2内の担体5に血液由来試料Sを滴下することにより、滴下位置5aで白血球を捕捉する一方で、赤血球等の他の血液成分を担体5中で展開させて分離する。
【0020】
測定対象となる血液由来試料Sは、少なくとも赤血球と白血球とを含む試料である。すなわち、血液由来試料Sは、全血であってもよく、全血を希釈液で希釈したものであってもよく、赤血球と白血球とを選択的に含む試料であってもよい。希釈液としては、等張の溶液であればよく、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などを用いることができる。被験者への負担を軽減する観点からは採血量を抑えることが好ましく、測定の正確さを担保する観点からは血液由来試料Sを十分に確保することが好ましい。
【0021】
このことから、血液由来試料Sの量は、全血の場合では、1μl〜100μl程度であることが好ましく、3μl〜50μl程度であることがより好ましく、5μl〜10μl程度であることが更に好ましい。また、希釈血液の場合では、後述する担体5中での赤血球及び/又はヘモグロビンの移動距離を考慮して、100μl〜350μl程度であることが好ましい。赤血球と白血球とを選択的に含む試料の場合では、3μl〜350μl程度であることが好ましく、5μl〜100μl程度であることが好ましい。
【0022】
また、血液由来試料Sの滴下後、更に反応試薬液又は洗浄液を滴下し、白血球と赤血球との分離の促進や赤血球の展開の促進を図るようにしてもよい。この方法は、血液由来試料Sが微量の場合(特に、全血を用いるために試料が微量しか得られない場合)に有効である。洗浄液は、白血球測定の反応に影響しないものであれば特に限定はないが、コスト及び白血球の測定への影響の観点から、例えば生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。この他、サポニン、Triton(登録商標)X−100、ドデシル硫酸ナトリウム等の界面活性剤を含有する溶液を用いることができる。
【0023】
反応試薬液は、白血球による反応のための試薬、すなわち、白血球内部の酵素や蛋白質或いは表面抗原等に基づく呈色反応のための試薬を含む溶液である。反応試薬液は、白血球測定方法に応じて適宜用意すればよいが、例えば後述する実施例4に示すミエロペルオキシダーゼのPOD活性測定を行う場合は、過酸化水素水と3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)を含むTMB Solution(和光純薬社製)を用いることができる。また、例えば後述する実施例5に示す白血球エステラーゼ活性測定を行う場合は、pH8.6の0.1Mホウ酸バッファを用いることができる。ただし、エステラーゼ基質である3−(N−トシル−L−アラニロキシ)インドールは、予め担体に含浸して乾燥させておく。さらに、例えば後述する実施例6に示す酵素免疫法を行う場合は、150mM NaClを含むpH7.2の10mMリン酸緩衝液で酵素標識抗体(ALP標識抗好中球抗体)を希釈した溶液、及びBCIP/NBT Phosphatase Substrate(キルケガード・アンド・ペリー・ラボラトリーズ社製)を用いることができる。
【0024】
蒸留水、精製水、界面活性剤を含有する溶液などの等張でない洗浄液、又は反応試薬液の滴下を行うと、赤血球や白血球は溶解するが、白血球の溶解によって内部の酵素などが放出され、結果として白血球測定反応が促進される効果が得られる。また、赤血球の溶解によってヘモグロビンが流出し、赤血球と同様に担体5中を展開することとなる。さらに、試料、洗浄液、反応試薬液の滴下後、更に反応停止液を滴下して反応の進行を停止させることもできる。この場合、測定結果を判別するまでの時間にとらわれず、簡易に白血球の測定を行うことが可能となる。
【0025】
以下、白血球測定デバイス1の構成要素について詳述する。筐体2は、主として測定者への感染や測定環境への汚染防止の目的で担体5を覆う非透明又は半透明の部材である。筐体2の本体部3は、一面側が開口する有底容器となっており、本体部3の底部の内面には、担体5の位置決めのためのガイド6が複数設けられている。また、蓋部4は、本体部3に対して着脱自在に設けられている。ガイド6によって本体部3に担体5をセットした状態で蓋部4を本体部3に装着することにより、白血球の測定が可能な状態となる。なお、本体部3と蓋部4とは、ヒンジを介して連結されていてもよい。
【0026】
筐体2の材料は、測定に支障をきたすものでなければ特に限定はされないが、例えばABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、熱可塑性ポリウレタン、ポリメチレンメタクリレート、ポリオキシエチレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、アセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂、或いはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂が用いられる。
【0027】
筐体2の蓋部4には、
図1に示すように、血液由来試料Sを滴下するための円形の開口部11と、担体5における血液由来試料Sの展開状態を確認するための矩形の展開確認窓12とが形成されている。開口部11は、蓋部4の外壁側から内壁側に向かって径が徐々に小さくなるようなテーパ状をなしており、担体5側への血液由来試料Sの流れ易さが確保されている。
【0028】
展開確認窓12は、開口部11から見て、担体5の長手方向に所定の距離だけ離間しており、この位置で筐体2内の担体5が露出するようになっている。開口部11と展開確認窓12との間の距離は、血液由来試料Sの滴下量、担体5を構成する繊維フィルタ(後述する)の孔径・膜厚・幅などにより適宜変更可能である。
【0029】
この距離は、血液由来試料Sの滴下量が多いほど距離を長くすることが好ましく、滴下量が少ないほど距離を短くすることが好ましい。また、繊維フィルタの孔径が大きいほど距離を長くすることが好ましく、孔径が小さいほど距離を短くすることが好ましい。繊維フィルタの膜厚が薄いほど距離を長くすることが好ましく、膜厚が厚いほど距離を短くすることが好ましい。さらに、担体5の幅が狭いほど距離を長くすることが好ましく、幅が広いほど距離を短くすることが好ましい。また、この距離は、白血球測定デバイス1の使い易さやコスト等を考慮して、5mm以上であることが好ましい一方で、100mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましい。
【0030】
また、展開確認窓12の形状は、上述した矩形以外に円形、楕円形、多角形、星形などであってもよい。さらに、開口部11と展開確認窓12とを異なる形状にしておくか、展開確認窓12を開口部11に比べて小さい寸法としておくことが好ましい。この場合、測定者が誤って展開確認窓12に血液由来試料Sを滴下してしまうことを防止できる。展開確認窓12は、担体5を筐体2の外部から視認可能とするものであればよく、開口部であってもよく、開口部に透明性を有するフィルム等を設けたものであってもよい。また、展開確認窓12の位置で筐体2を透明とするような態様であってもよい。さらに、展開確認窓12は、筐体2の長手方向に沿って細長く伸びた形状であってもよい。この展開確認窓12のほか、筐体2には、血液由来試料Sの展開を促進するための通気孔が設けられていてもよく、同様の目的で、筐体2内に吸収パッドが配置されていてもよい。
【0031】
なお、筐体2の色は、開口部11及び展開確認窓12から見える担体5の色の識別を測定の前後で妨げないような色を選択することが好ましい。例えば赤血球及び/又はヘモグロビンの色は、担体5への滴下直後は赤色であるが、時間の経過と共に茶褐色へと変色する。したがって、筐体2の色としては、赤〜茶褐色を避けることが好ましい。
【0032】
国際照明委員会(CIE)のYxy表色系におけるxy色度図(CIE1931)に基づいて筐体2の色の好ましい値を表すと、Yの値に限定はないが、xの値は0.6以下であることが好ましい。また、xの値が0.5以上である場合には、yの値は0.3以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましい。xの値が0.4以上である場合には、yの値は0.2以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましい。xの値が0.32以上である場合には、yの値は0.15以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。xの値が0.32未満である場合には、yの値は特に限定されない。Yxy表色系においては、Yの値は明度に対応する反射率であり、xyは色度である。
【0033】
担体5は、血液由来試料Sが含有する白血球を捕捉・分離する部材である。担体5の大きさは、血液由来試料の量や担体5のコスト等を考慮して適宜設定可能であるが、白血球測定デバイス1のように筐体2が扁平な略直方体形状をなす場合、例えば幅3mm〜7mm程度、長さ20mm〜150mm程度、厚さ0.3mm〜1.2mm程度の短冊状となっている。赤血球、ヘモグロビンや他の液体成分をラテラルフローによって展開させるためには、担体5の膜厚を0.3mm〜1.2mmとすることが好ましく、0.7mm〜1.0mmとすることがより好ましい。この場合、筐体2の大きさは、例えば幅3mm〜20mm程度、長さ20mm〜160mm程度とすることができる。また、筐体2の厚みは、0.5mm〜15mmであることが好ましく、1mm〜8mmであることがより好ましい。なお、筐体2の大きさ及び厚みは、本発明に係る白血球測定デバイスの構成、使い易さ、コスト、及び担体5の大きさ・厚み等を考慮し、適宜設定可能である。担体5は、上述した短冊状以外に矩形や円形などの形状を採り得るが、矩形の場合には、一辺20mm〜50mm程度とすることが好ましく、円形の場合には、直径20mm〜50mm程度とすることが好ましい。また、担体5が矩形の場合には、筐体2の一辺を20mm〜60mm程度とすることが好ましく、担体5が円形の場合には、筐体2の直径を20mm〜60mm程度とすることが好ましい。
【0034】
担体5の材料は、白血球を均一に捕捉することができる材料であれば特に限定されないが、例えばポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等の合成繊維、ガラス繊維等の無機繊維、セルロース、綿、絹、羊毛等の天然繊維などを用いた繊維フィルタが用いられる。
【0035】
また、繊維フィルタの孔径は、白血球の捕捉・分離に適合するように、例えば3μm〜10μm程度となっている。なお、白血球捕捉効率を向上させるため、繊維フィルタの表面がプラスの表面電荷を有しているものや、ヒドロキシエチルメタクリレートとジエチルアミノエチルメタクリレートとの共重合体といった白血球選択付着性物質をコーティングしたものを用いてもよい。
【0036】
この担体5は、本体部3のガイド6により、
図2に示すように、平面視において開口部11及び展開確認窓12に重なるように位置決めされた状態で筐体2内に配置されている。担体5において、開口部11に重なる部分は、血液由来試料Sが滴下される滴下位置5aとなる。滴下位置5aには、白血球による呈色反応のための試薬の一部又は全部を予め含浸させておいてもよい。
【0037】
試薬は、白血球の測定方法に応じて適宜選択される。白血球の測定方法は、白血球内部の酵素や蛋白質或いは白血球表面抗原に基づくものであれば、特に限定されない。白血球の測定方法として、例えば白血球エステラーゼ、エラスターゼ、ミエロペルオキシダーゼ等の白血球由来酵素活性に基づく呈色の測定、又はエラスターゼ、ミエロペルオキシダーゼ、ラクトフェリン、好中球、CD4等の免疫法による測定結果を白血球数に換算する方法などが挙げられるが、白血球数の測定以外では、白血球内部の酵素活性等の測定方法も白血球測定デバイス1で実施可能である。各測定は、定性測定及び定量測定のいずれであってもよい。呈色の測定は、所定の光学装置又は目視により行われる。
【0038】
以上の構成を有する白血球測定デバイス1では、
図3に示すように、開口部11から担体5に血液由来試料Sを滴下すると、血液由来試料Sが含有する成分のうち、白血球のみが血液由来試料Sの滴下位置5aの近傍で捕捉される。一方で、赤血球及び/又はヘモグロビンといった他の成分は、毛細管現象によって液体成分と共に繊維フィルタを通過し、主として担体5の長手方向に展開する。滴下位置5aでは、試薬と白血球内部の酵素や蛋白質或いは白血球表面抗原との反応に起因する呈色が起こり、この呈色状態に基づいて白血球の定性測定(白血球の正常・異常の判定)、白血球数の定量測定、白血球内部の酵素活性の定性測定又は定量測定等が行われる。
【0039】
一方、白血球測定デバイス1では、担体5における血液由来試料Sの展開方向に沿って開口部11から離間した位置に、担体5を露出させる展開確認窓12が設けられている。したがって、滴下位置5aから展開した赤血球及び/又はヘモグロビンの色を展開確認窓12から確認することにより、白血球測定デバイス1が使用済みであるか否かを判別することができ、簡易な構成で測定者の過誤による再使用を防止できる。なお、展開確認窓12の位置まで展開した赤血球及び/又はヘモグロビンは、測定終了後もその位置にとどまる。このため、時間が経過しても、白血球測定デバイス1が使用済みであるか否かを判別することが可能である。
【0040】
上記白血球測定デバイス1は、反応試薬及び/又は洗浄液及び/又は希釈液とセットにした試薬キットとすることができる。また、反応試薬を液状試薬として白血球測定デバイス1内の空間に備える構成とした試薬キットとすることもできる。さらに、この試薬キットには、反応停止液、白血球による呈色を判定するための色調表、採血用の穿刺器などを含めることもできる。
【0041】
白血球測定デバイス1を使用する場合の開口部11と展開確認窓12における白血球による試薬呈色、赤血球及び/又はヘモグロビンによる着色と白血球の測定結果の適否との関係は、
図4に示すとおりである。同図に示すように、開口部11で白血球による試薬呈色が確認され、展開確認窓12で赤血球及び/又はヘモグロビンによる着色が確認された場合(ケース1)、測定結果は適正であり、再測定の必要はない。開口部11で白血球による試薬呈色と共に赤血球及び/又はヘモグロビンによる着色が確認されたが展開確認窓12では赤血球及び/又はヘモグロビンによる着色が確認されない場合(ケース2)、測定結果は不適正であり、再測定の必要がある。開口部11で白血球による試薬呈色が確認されなかったが展開確認窓12で赤血球及び/又はヘモグロビンによる着色が確認された場合(ケース3)、測定結果は適正であり、再測定の必要はない。開口部11で白血球による試薬呈色が確認されず、展開確認窓12で赤血球及び/又はヘモグロビンによる着色が確認されなかった場合(ケース4)、測定結果は不適正であり、再測定の必要がある。以上のように、白血球測定デバイス1では、開口部11から血液由来試料Sを滴下してから一定時間の経過後、展開確認窓12にて赤血球及び/又はヘモグロビンによる着色の有無を確認することにより、測定が適正に行われたか否かを判断できる。
【0042】
展開確認窓12で赤血球及び/又はヘモグロビンによる着色が確認された場合は、開口部11における白血球による試薬呈色の程度を所定の測定法において設定した基準に照らして「白血球が正常の範囲である」「白血球が高値である」といった判定や白血球数への換算等を行うこととなる。また、展開確認窓12で赤血球及び/又はヘモグロビンによる着色が確認できない場合は、白血球の分離が良好に行われず、白血球以外の血液成分が滴下位置5aに留まって白血球測定反応に影響を与えた可能性が高い。また、白血球以外の成分は、呈色を抑制する可能性もあり、反応を促進する可能性もある。このため、開口部11での白血球による試薬呈色の有無にかかわらず、測定結果が不適正と判断して再測定を行う必要がある。
【0043】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態では、筐体2の蓋部4に開口部11と展開確認窓12とが設けられているが、例えば
図5に示す白血球測定デバイス21のように、筐体2の蓋部4に開口部11を設け、本体部3に展開確認窓12を設けるようにしてもよい。また、例えば
図6に示す白血球測定デバイス31のように、開口部11を蓋部4の長手方向の一方端側に設け、この開口部11から蓋部4の他方端側に向かって担体5の長手方向に沿うように複数の展開確認窓12を設けてもよい。この場合、赤血球及び/又はヘモグロビンの展開状態をより詳細に確認することができる。
【0044】
また、上述した実施形態では、短冊状の担体5を用いているが、例えば
図7に示す白血球測定デバイス41のように、正方形状の担体45を用いてもよい。この場合、筐体42は、担体45の形状に合せて、平面視で正方形状となる形状とすればよい。
図7に示す例では、筐体42の蓋部44の上面の中央に開口部11が設けられており、展開確認窓12は、開口部11の周りで担体45の四隅に対応して4箇所に設けられている。この例では、担体45に血液由来試料Sが滴下されると、滴下位置45aから放射状に赤血球及び/又はヘモグロビンが展開することとなる。したがって、上記の位置に展開確認窓12を設けることで、赤血球及び/又はヘモグロビンの展開状態を容易に確認することができる。
【0045】
また、筐体2は、必ずしも本体部3と蓋部4とによって構成されていなくてもよく、例えば
図8に示す白血球測定デバイス51のように、担体5と同様に短冊状をなす上板52及び下板53で担体5を挟む構成としてもよい。この場合、例えば上板52に開口部11及び展開確認窓12を設けるようにすればよい。また、
図9に示す白血球測定デバイス61のように、筐体2の幅と担体5とをほぼ等しくし、筐体2に対して隙間なく担体5を配置するようにしてもよい。さらに、開口部11は、必ずしもテーパ状に設ける必要はなく、
図10に示す白血球測定デバイス71のように、径が一定の断面円形状の開口部72としてもよい。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0047】
実施例1では、担体としてGEヘルスケア社製GF/DVAを幅4mm、長さ110mmに裁断し、これを幅20mm、長さ120mmの筐体にセットして白血球測定デバイスを構成した。筐体には、長手方向の端部に開口部を設けると共に、開口部から5mm離れた位置、50mm離れた位置、及び100mm離れた位置にそれぞれ展開確認窓(以下、開口部から近い順に展開確認窓A〜Cとする)を設けた。この白血球測定デバイスに開口部から5μlの血液を滴下した後、生理食塩水を100μl滴下した。この結果、白血球は滴下位置で捕捉され、赤血球と一部溶血したヘモグロビンとは担体の長手方向に展開し、展開確認窓Aにおいて赤色を確認することができた。
【0048】
実施例2では、実施例1と同様の白血球測定デバイスを用い、開口部から50μlの血液を滴下した。この結果、白血球は滴下位置で捕捉され、赤血球は担体の長手方向に展開し、展開確認窓Aにおいて赤色を確認することができた。この後、開口部に蒸留水200μlを滴下したところ、展開確認窓Bにおいて赤色を確認することができた。さらに、開口部に蒸留水300μlを滴下したところ、展開確認窓Cにおいて赤色を確認することができた。
【0049】
実施例3では、担体としてGEヘルスケア社製GF/DVAを1辺20mmの正方形に裁断し、これを一辺30mmの正方形の筐体にセットして白血球測定デバイスを構成した。筐体には、中央に開口部を設けると共に、担体の四隅に対応するように開口部から5mm離れた位置に4つの展開確認窓(以下、展開確認窓A〜Dとする)を設けた。この白血球測定デバイスに開口部から50μlの血液を滴下した後、生理食塩水を100μl滴下した。この結果、白血球は滴下位置で捕捉され、赤血球と一部溶血したヘモグロビンとは滴下位置から放射状に展開し、展開確認窓A〜Dの全てにおいて赤色を確認することができた。
【0050】
実施例4では、担体としてGEヘルスケア社製VFEを幅4mm、長さ70mmに裁断し、これを幅16mm、長さ80mmの筐体にセットして白血球測定デバイスを構成した。筐体には、中央に開口部を設けると共に、開口部から8mm離れた位置に1つの展開確認窓(以下、展開確認窓Aとする)を設けた。この白血球測定デバイスに開口部から5μlの血液を滴下した後、蒸留水を50μl滴下した。さらに、過酸化水素と、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)を含むPOD活性測定用の反応試薬液(和光純薬社製TMB Solution)を50μl滴下した。この結果、開口部において、白血球のPOD活性による青色の呈色が確認できた。また、赤血球と一部溶血したヘモグロビンとは滴下位置から担体の長手方向に展開し、展開確認窓Aにおいて赤色を確認することができた。
【0051】
実施例5では、担体としてGEヘルスケア社製GF/DVAを幅4mm、長さ70mmに裁断し、担体の中央に設定した滴下位置に、反応試薬として10mgの3−(N−トシル−L−アラニロキシ)インドールを溶かしたエタノール溶液を50μl滴下し、60℃にて10分間乾燥させた。そして、この担体を実施例4と同様の筐体にセットして白血球測定デバイスを構成した。この白血球測定デバイスに開口部から5μlの血液を滴下した後、pH8.6の0.1Mホウ酸バッファを100μl滴下し、反応を開始させた。この結果、開口部において、白血球のエステラーゼ活性によるインディゴの青色の呈色が確認できた。また、赤血球と一部溶血したヘモグロビンとは滴下位置から担体の長手方向に展開し、展開確認窓Aにおいて赤色を確認することができた。
【0052】
実施例6では、実施例1と同様の白血球測定デバイスを構成した。この白血球測定デバイスに開口部から5μlの血液を滴下した後、150mMNaClを含むpH7.2の10mMリン酸緩衝液で酵素標識抗体(ALP標識抗好中球抗体)を希釈した溶液50μlを滴下した。また、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシルホスフェート(BCIP)と、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)を含む発色試薬であるキルケガード・アンド・ペリー・ラボラトリーズ社製BCIP/NBT Phosphatase Substrate100μlを開口部から滴下した。この結果、未反応の酵素標識抗体は洗い流され、開口部において、白血球と結合した酵素標識抗体のALP活性による紫色の呈色が確認できた。また、赤血球と一部溶血したヘモグロビンとは担体の長手方向に展開し、展開確認窓Aにおいて赤色を確認することができた。