(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986112
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】1段階および2段階のウエハ緩衝材
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20160823BHJP
B65D 85/86 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/38 R
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-554410(P2013-554410)
(86)(22)【出願日】2011年4月22日
(65)【公表番号】特表2014-507072(P2014-507072A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】MY2011000037
(87)【国際公開番号】WO2012112023
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2014年4月22日
(31)【優先権主張番号】13/028,945
(32)【優先日】2011年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513206935
【氏名又は名称】テックスチェム アドバンスド プロダクツ インコーポレイテッド スンディリアン ブルハド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ピラント,ジェイムズ,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイバー,アラン,エル.
(72)【発明者】
【氏名】マック,クリストファー,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,デイビッド,エー.
【審査官】
西出 隆二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−043862(JP,A)
【文献】
実開平03−102738(JP,U)
【文献】
特開2002−324835(JP,A)
【文献】
米国特許第02557835(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1段階のウエハ緩衝材であって、前記ウエハ緩衝材は、
連続したリング形状を有する下位の緩衝材であって、前記リング形状は単一の“V”字の断面からなり、“V”字の開口部はVリングの外縁部上で開かれており、前記Vリングはヒンジ留め部分が内径において形成された適応物質で製造される、下位の緩衝材と、
最上位面であって、前記最上位面は、前記最上位面に作用力が加えられるとき、前記ヒンジ部分が屈曲して開かれた外縁部を閉じるように、前記開かれた外縁部の頂部および底部に位置する、最上位面と、
最下位面であって、前記最下位面は、前記最下位面に作用力が加えられるとき、前記ヒンジ部分が屈曲して前記開かれた外縁部を閉じるように、前記開かれた外縁部の頂部および底部に位置する、最下位面と、を備え、
前記ウエハ緩衝材が単一ユニットであり、
前記ウエハ緩衝材が第1段階で部分的に圧迫される、1段階のウエハ緩衝材。
【請求項2】
前記最上位面が、ウエハキャリアの収容部に接触するよう構成される、請求項1に記載の1段階のウエハ緩衝材。
【請求項3】
前記最下位面が、半導体ウエハに接触するよう構成される、請求項1に記載の1段階のウエハ緩衝材。
【請求項4】
作用力が前記開かれた外縁部の頂部および底部に加えられるとき、直線状のばね定数を有して緩衝材が生成される、請求項1に記載の1段階のウエハ緩衝材。
【請求項5】
作用力が前記開かれた外縁部の頂部および底部に加えられるとき、非直線状のばね定数を有して緩衝材が生成される、請求項1に記載の1段階のウエハ緩衝材。
【請求項6】
前記Vリングの少なくとも1つの周縁端部が鋸歯状である、請求項1に記載の1段階のウエハ緩衝材。
【請求項7】
前記開かれた外縁部の頂部および底部が互いに接触して終端するとき、前記内径の厚さより大きい外径の厚さが生成される、請求項1に記載の1段階のウエハ緩衝材。
【請求項8】
1段階および2段階のウエハ緩衝材であって、前記ウエハ緩衝材は、
内径および外径を有する連続したVリングであって、前記Vリングの形状は単一の“V”字の断面を有し、“V”字の開口部は前記Vリングの外縁部上で開かれており、前記内径は第1のアームを有するヒンジ形状を有し、前記第1のアームは前記ヒンジ形状から前記外径へ伸び、前記第1のアームは内側表面および外側の頂部表面を有する、Vリングと、
前記ヒンジ形状から前記外径へ伸びる第2のアームであって、前記第2のアームは、前記外径において前記第1のアームと前記第2のアームとの間の開口部を形成する内側表面および外側の底部表面を有する、第2のアームと、を備え、
前記第1のアームおよび前記第2のアームが前記内径から離間され、
前記ウエハ緩衝材が単一ユニットであり、
前記ウエハ緩衝材が第1段階で部分的に圧迫され、
前記ウエハ緩衝材が第2段階で前記第1段階でよりも圧迫される、1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項9】
前記第1のアームおよび前記第2のアームが、前記ヒンジ形状と前記外径の間にエルボ区域をさらに含む、請求項8に記載の1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項10】
前記エルボ区域が互いへ曲がる、請求項9に記載の1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項11】
作用力が前記第1のアームの外側の頂部表面および前記第2のアームの外側の底部表面に加えられるとき、前記第1のアームおよび前記第2のアームがともに動かされて前記エルボ区域が接触し、それによって第1段階の緩衝材を提供することを可能にする、請求項10に記載の1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項12】
付加的な作用力が前記第1のアームの外側の頂部表面および前記第2のアームの外側の底部表面に加えられるとき、前記第1のアームおよび前記第2のアームが、前記第1段階のばね定数が前記第2段階のばね定数と異なる第2の2段階緩衝材を提供する、請求項11に記載の1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項13】
前記外側の底部表面が、ウエハキャリアの収容部に接触するよう構成される、請求項8に記載の1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項14】
前記外側の頂部表面が、半導体ウエハに接触するよう構成される、請求項8に記載の1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項15】
1段階および2段階のウエハ緩衝材であって、前記ウエハ緩衝材は、
内径および外径を有する連続したVリングであって、前記Vリングの形状は“V”字の断面を有し、“V”字の開口部は前記Vリングの外縁部上で開かれており、前記Vリングは第1の底部表面および第1の頂部表面を有し、前記底部表面は前記内径において平坦な面を有する、Vリングと、
前記内径における平坦な面から第2の底部表面への少なくとも1つの角度の変化であって、前記少なくとも1つの角度の変化は、前記第1の底部表面と前記第1の頂部表面の間に負荷が加えられるときに、第1のばね定数を有する緩衝材を提供する、角度の変化と、を備え、
前記ウエハ緩衝材が単一ユニットであり、
前記ウエハ緩衝材が第1段階で部分的に圧迫され、
前記ウエハ緩衝材が第2段階で前記第1段階でよりも圧迫される、1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項16】
前記平坦な面と前記内径の間に位置し、前記第2の底部表面への曲げられた形状をさらに含む、請求項15に記載の1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項17】
前記曲げられた形状が、前記Vリングが曲がる形状へ圧迫されるとき、第2のばね定数を提供する、請求項16に記載の1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項18】
前記第1の底部表面が、ウエハキャリアの収容部に接触するよう構成される、請求項15に記載の1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項19】
前記第1の底部表面が、前記ウエハキャリアの収容部に接合される、請求項18に記載の1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【請求項20】
前記第1の頂部表面が、半導体ウエハに接触するよう構成される、請求項15に記載の1段階および2段階のウエハ緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ輸送容器内の半導体ウエハのスタックの緩衝のためのクッション装置の改良に関する。とりわけ、本クッション装置は、複合した屈曲、および複合した屈曲と表面が係合するとき量が変動する緩衝を提供する表面で形成されまたはひだを持つリングである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハが輸送容器内に置かれるとき、ウエハのスタックは、向かいあう収容部に対して緩むか圧迫されるかのどちらかである。どちらの場合も、半導体ウエハの輸送により積層ウエハのいくつかまたは全ての磨耗を起こしかねない。半導体ウエハが輸送されるときに、外部の半導体ウエハを緩衝し、衝撃および移動を吸収する分離シート、パッドまたは発泡リングを使用したいくつかの特許が出願されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半径方向の移動を限定して、回路を有するまたは有しないかもしれないプライムウエハの表面の磨耗を防ぐことが、配送時の重要な問題になる。ぶつかったウエハがスペーサリング上に積層しうるかしえないかもまた問題であり、スペーサリングでは、リングはウエハの外周のみに接触して、半径方向にはんだバンプを含む領域内にずれない状態でなければならない。ウエハ緩衝リングの半導体ウエハを保護する能力は、半径方向のウエハのずれを減少させるウエハ容器を使用するとき増強される。
【0004】
硬質のスペーサを使用すると、スペーサはウエハの損傷を起こしかねず、移動を防ぐウエハの十分な把持を提供しないかもしれない。発泡スペーサを使用すると、発泡スペーサは損傷および劣化の影響をうけやすい。これらの機能を開示する、いくつかの製品および特許が出願されてきた。これらの製品におよぶ特許の典型的な例を本明細書中に公開する。
【0005】
S.F.Flynnに1968年7月16日に発行された米国特許第3,392,824号、およびChih−Ching Lin et al.に1994年10月22日に発行された米国特許第5,366,079号の両方は回路ウエハの緩衝に関する梱包システムを開示し、そこで緩衝システムは、Bellvilleタイプの円盤、または円盤の中心から伸びる屈曲した脚部を持つ円盤である。これらの特許はウエハの緩衝システムを開示するが、スペーサが輸送収容部内で破砕するとき、緩衝材はウエハの外表面上を半径方向に摺動する。これは、ウエハの損傷を起こしうる。
【0006】
Gonzlo Amador et al.に2005年8月9日に発行された米国特許第6,926,150号、およびToshitsugu Yajima et al.に2009年5月12日に発行された米国特許第7,530,462号の両方は、硬質のディスクスペースを用いたウエハ緩衝材を開示する。これらの特許は、半導体ウエハ間の、正しくは緩衝および間隙充填を提供するスペーサに、より関連する。多数のケースで、これらのスペーサには、ウエハの表面全体、またはウエハの外縁部のみのどちらかに位置付けられた発泡パッドが補われている。
【0007】
James R.Thomas et alに2008年9月16日に発行された米国特許第7,425,362号、およびMasahiko Fuyumuroに2009年11月3日に発行された米国特許第7,611,766号は波形パッドを開示し、そこではパッドの高低部分がウエハと輸送収容部の間のスペースを埋める。これらのパッドはプラスチックから紙までさまざまな材質で作られ、ウエハと輸送収容部の間のスペースを調節するようさまざまな形状で製造される。
【0008】
Gonzalo Amador et al.に2005年8月9日に発行された米国特許第6,926,150号、Pei−Liang Chiuに2008年1月8日に発行された米国特許第7,316,312号、およびRay G.Brooks et alの2002年10月10日に公開された米国特許出願第2002/0144927号は、梱包内のウエハを緩衝する発泡パッドまたはリングを開示する。発泡パッドにより加えられる作用力の量は、発泡の劣化につれてかなり変動しうる。発泡はまた、発泡セル構造が壊れるとき、混入も起こす。発泡粒子もまた、半導体ウエハのドーピングを妨害する混入物である。一部のケースで、発泡物がウエハの表面全部と接触し、ウエハの変形を起こしうる。
【0009】
必要とされているのは、半導体ウエハの頂部および下部の小さな変形を調節するよう緩衝量を変動する緩衝リングである。申請中の設計は、1段階および2段階ウエハ緩衝材でこの解決を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ウエハキャリアの底部とキャリア内に置かれたウエハの頂部の両方に緩衝材が置かれた、ウエハキャリアとともに作動することが、1段階および2段階のウエハ緩衝材の目的である。緩衝材は、ウエハの厚さの変動およびキャリア収容部の変動を調節するよう、膨張および折りたたむ。個々のウエハの厚さの変動は小さいかもしれないが、変動が重なるとき、間隙は所望より大きくなりうる。緩衝材はウエハおよび収容部上の作用力を最小にして、収容部を開けやすくし、さらにウエハキャリア内のウエハの移動を限定する。
【0011】
ウエハキャリアの収容部内で適合するように製造することが、1段階および2段階のウエハ緩衝材の目的である。緩衝材の形状はひだ形成リングであり、ひだは外径で開いている。リングの外縁部のみがウエハの外縁部と接触するように、リングの外側縁部は、最大に拡張する。これはウエハとの接触領域を最小化して、ウエハの外縁部表面にあらゆる軸方向の負荷を置き、そこではウエハは、通常ウエハの内表面への損傷の最小化、およびウエハの中心の屈曲の最小化のため、セパレータディスク上に置かれる。
【0012】
衝撃がウエハスタックに伝えられる前に屈曲しあらゆる衝撃を吸収することが可能な物質で製造することが、1段階および2段階のウエハ緩衝材の他の目的である。その物質を成形、熱成形、鋳造または加硫することが可能である。
【0013】
断面の形状が”V”字の半分のみを有し、カバーが”V”字の失われた半分の限定する機能を提供するように、リングが頂部およびまたは底部カバーに接合またはクリップ留めされて製造することが、1段階および2段階のウエハ緩衝材の他の目的である。この設計は、1段階または2段階バージョンを有することが可能であろう。この設計は、1段階または複数のアームまたは”Vリング”を積層して、ボックス内の過剰なスペースを取ることを可能にする。
【0014】
非吸収性物質から製造することが、1段階および2段階のウエハ緩衝材の他の目的である。これは砕片または混入物がウエハ緩衝材内に埋め込まれるのを防ぎ、またウエハ緩衝材からの脱落を防ぐ。
【0015】
2段階ウエハに対し、1段階の第1段階のヒンジとして縁部ヒンジ、および第2の全長の中央のヒンジの両方を使用することが、1段階および2段階のウエハ緩衝材のさらに他の目的である。この2段階設計は、作用力がウエハ緩衝材の外表面に加えられる圧迫の量とともにライナである1段階設計の使用とは対照的に、2つの明らかに異なる緩衝作用力を提供する。
【0016】
本発明の種々の目的、機能、態様、および利点が、本発明の望ましい実施形態の後述の詳細な記載と添付の図からより明らかになる。添付の図では、同一の番号が同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】1段階および2段階のウエハ緩衝材の等角図を示す。
【
図2】1段階および2段階のウエハ緩衝材の等角断面図を示す。
【
図3】第2の望ましい実施形態の、1段階および2段階のウエハ緩衝材の等角断面図を示す。
【
図4】第3の望ましい実施形態の、1段階および2段階のウエハ緩衝材の等角断面図を示す。
【
図5】ウエハ輸送容器の頂部収容部が取り付けられていない、半導体ウエハのスタック上の1段階および2段階のウエハ緩衝材の等角図を示す。
【
図6】ウエハ輸送容器の頂部収容部が取り付けられた、半導体ウエハのスタック上の1段階および2段階のウエハ緩衝材の等角図を示す。
【
図7】ウエハ緩衝材が圧迫されていない状況の、1段階および2段階のウエハ緩衝材の側面断面図を示す。
【
図8】ウエハ緩衝材が最初に圧迫された、1段階および2段階のウエハ緩衝材の側面断面図を示す。
【
図9】ウエハ緩衝材が部分的に圧迫された、1段階および2段階のウエハ緩衝材の側面断面図を示す。
【
図10】ウエハ緩衝材がより十分に圧迫された、1段階および2段階のウエハ緩衝材の側面断面図を示す。
【
図11】第4の望ましい実施形態の、1段階および2段階のウエハ緩衝材の等角断面図を示す。
【
図12】第4の望ましい実施形態の、ウエハがウエハ緩衝材上に取り付けられていない、底部収容部に接合された1段階および2段階のウエハ緩衝材の等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は1段階および2段階ウエハ緩衝材20の等角図を示し、
図2は1段階および2段階ウエハ緩衝材20の等角断面図を示す。
図1の1段階および2段階ウエハ緩衝材20は、基本的にリング状の緩衝材を示し、ウエハ緩衝材20の内側は開いている。望ましい実施形態で、2つの1段階および2段階ウエハ緩衝材20が、
図2に示されたように半導体ウエハ40のスタックに置かれる。この図の半導体ウエハのスタックは、それぞれの半導体ウエハ40の間に置かれたスペーサリング50を有する。スペーサ50が、最終製品または外部の回路との相互の電気接続に使用される小さなはんだボールとともに、”ぶつかった”ウエハ基板の積層化を可能にする。ぶつかったウエハスタックは通常、ウエハ間の、固定の高さの調節不可能なスペーサリング50とともに使用され、はんだボール(隆起)が近接した基板40と接触することで損傷されるのを防ぐ。
【0019】
この第1の望ましい実施形態は、2段階のばね定数または変動するばね定数で設計されたリングである。2段階版20は、輸送容器の頂部カバー(図示せず)の容易な装填および閉鎖のための1つのばね定数を有し、一方でばねの第2段階が、輸送容器が落ちまたは使用ミスの場合にエネルギーを吸収するようより固いばね定数を提供し、よってウエハスタックまたは基板スタックを保護する。
【0020】
”Vリング”として構成された緩衝材で、断面は”V”字状の形状で、ウエハに対してばね、または緩衝をもたらす。この設計は自身に、V字状の断面に、注入成形プロセス、加硫または他の製造方法を加える。V字の先端部23は、ウエハおよび輸送容器への接点をもたらす。複数の積層化”Vリング”を使用して、ウエハ輸送容器内部の過剰なスペースを取るケースもある。”V”字形状の1つの利点は、リングが周辺付近でウエハ40上の小さいゾーン23および34のみで接触するのを可能にすることである。ぶつかったウエハに関して、ウエハの周辺から内側に伸びる回路またははんだバンプのために、通常3mm幅の除外ゾーンがある。我々の望ましい実施形態は、ウエハ接触点で半径にわずかに隆起したゾーンを有するが、この特徴を持つ必要はない。”V”字の先端部でわずかに隆起した領域は、”排除”ゾーン近辺のあらゆるはんだバンプに付加的な隙間を可能にする。
図2は、下位の緩衝材が全てのウエハ40の下のウエハキャリア21内に置かれた、2つの分離したウエハ緩衝材を示す。下位の緩衝材の外径縁部23は、ウエハキャリア21内で、ウエハキャリア21支持部の底部で支持された下位の底部表面22と適合する大きさである。
【0021】
ウエハ40および支持リング50の重量は少なくとも下位のウエハ緩衝材に部分的にかかり、それによって、ウエハ緩衝材の第1段階または内径30ヒンジ31が少なくとも部分的にウエハ緩衝材を圧迫するように、少なくとも部分的に下位の緩衝材を圧迫する。
図2から、第1段階が圧迫されるとき、第2の緩衝材の間隙は中心面32の内側および外側の両方でなお視認可能であることを留意すべきである。
図2はさらに、第1段階が接触のみをしたとき、外径縁部34は、半導体ウエハ40の外縁部および半導体ウエハの上のウエハ緩衝材”浮遊物”の内径表面の残りと、半導体ウエハの表面と接触することなく、接触することを示す。ウエハキャリアの頂部収容部(図示せず)が設置されるとき、頂部収容部は上部ウエハ緩衝材の頂面35を圧迫し、下位のウエハ緩衝材に負荷をかけ、それによって頂部および底部のウエハ緩衝材の間の均一な緩衝を提供する。
【0022】
図3は、第2の望ましい実施形態の1段階および2段階ウエハ緩衝材の等角断面図を示す。この実施形態では、ウエハ緩衝材20は、ヒンジ65に付加的な強度をもたらし、ウエハ緩衝材20をより容易に除去する把持面も提供する内側リップ60を有する。外径64は、ウエハキャリア内でウエハ緩衝材を中央におくのに十分な大きさである。ウエハ緩衝材20の頂部表面61および底部表面62は、半導体ウエハの外縁部頂面または底表面のみとの接触を維持するわずかな半径方向の湾曲を有する。緩衝材の部分66が破損、鋸歯状になる、または内径ヒンジ65から独立して屈曲した複数のフィンガ部分を生じるよう形成されることがさらに考えられる。示された実施形態で、空洞領域66が上位および下位のリップまたはアームを貫通して存在するが、また、1つの緩衝材の脚部のみを貫通して存在するよう形成され、それによって他の脚部を連続した状態に残すこともありうる。圧迫の第1段階において、ウエハ緩衝材の内側の外表面64は接触し、内側のヒンジ領域65から外表面へ空隙を残し、第2段階の緩衝を提供する。
【0023】
図4は、第3の望ましい実施形態の1段階および2段階ウエハ緩衝材20の等角断面図を示す。この第3の望ましい実施形態を、この図で簡潔に記載し、
図5〜
図10で詳細をさらに記載する。この実施形態は、内径ヒンジ領域70および75から伸びる複数の柔軟なアームを有する。最上位面および最下位面71は、ウエハ緩衝材がウエハキャリア内に設置されるとき、半導体ウエハの外側の最上位面および最下位面と接触する。最外径73は、ウエハキャリア内に適合しウエハキャリア内でわずかに移動または全く移動しない状態に充分な大きさである。ウエハ緩衝材は、拡大され、
図5および
図6のウエハキャリア内で第1段階が圧迫された段で示されている。
【0024】
図5は、ウエハ輸送容器の頂部収容部が設置されていない、半導体ウエハのスタック上の1段階および2段階ウエハ緩衝材の等角図を示し、
図6は、ウエハ輸送容器の頂部収容部が設置された、半導体ウエハのスタック上の1段階および2段階ウエハ緩衝材の等角図を示す。
図5および
図6では下位の緩衝材が圧迫され、下位のリップ22が底部収容部21と接触し、上位リップ23が最下位の半導体ウエハ40と接触している。半導体ウエハ40のスタックはそれぞれ分離され、ウエハセパレータ50がそれぞれの半導体ウエハ40の間に置かれる。
図5で、上位ウエハ緩衝材が圧迫されずに示され、そこでは第1または1段階の緩衝材は圧迫されず、伸びたアームの中間は全長の中央76および77で接触しない。72でのウエハ緩衝材の底部面は、頂部半導体ウエハ40の外側の頂面と接触している。ウエハ緩衝材71の正接アーチ状の頂面は、通常、半導体ウエハ40および頂部25収容部または底部21収容部と直線状のポイントで接触するのみである。緩衝材の外縁部74および78は、半導体ウエハ40の外径に近似する。
【0025】
頂部収容部25がウエハ緩衝材上に下げられたとき、アームは内側半径70からヒンジ状に動くので、ともに接近する。収容部21および25が固定されたとき、頂部収容部は頂部ウエハ緩衝材の外縁部26を押し、アームの中央部分77が接触して緩衝の第1段階を形成する。
【0026】
図7はウエハ緩衝材が圧迫されない状態の1段階および2段階のウエハ緩衝材の側面断面図を示し、
図8はウエハ緩衝材が最初に圧迫された1段階および2段階のウエハ緩衝材の側面断面図を示し、
図9はウエハ緩衝材が部分的に圧迫された1段階および2段階のウエハ緩衝材の側面断面図を示し、
図10はウエハ緩衝材がより十分に圧迫された1段階および2段階のウエハ緩衝材の側面断面図を示す。
図7で開始すると、ウエハ緩衝材20は、作用力100および101のいずれも緩衝材を圧迫させない自然の圧迫されない状態である。ヒンジ70および75は湾曲し、アームを開いた”U”字または”V”字構成に保つ。ウエハ緩衝材の頂部表面71および底部表面72は、最大の大きさである。外側リップ74および78は基本的に同一の大きさであるが、同様に異なる半径で存在してもよいと考えられる。アームの中央76および77またはアームの第2段階(2段階)は開いており、接触していない。
【0027】
図8では、作用力100および101はアームを圧迫させ、内部領域は圧縮し始める。両方の端部70、73および中間部のエルボ、形状またはヒンジ76および77は、作用力が増加するにつれて、
図9に示されたようにアームの内側表面が接触するまで屈曲する。作用力100および101は、第1の負荷またはばね定数形状を生じる。
【0028】
この段階で、緩衝を提供する抵抗バネ力は、レバーアームの長さが短縮されたので変化する。示された実施形態でアーム区域間の接触はおよそ全長の中央においてであるが、中央の接触は、異なる緩衝の作用力形状を生むよう、アームの全長のあらゆるポイントで行なうことができると考えられる。
図9に示された形状は、収容部が閉じられ正常な輸送モードにある状態を示す。
図9と
図10の100/101詩102/103で示された間で付加的に加えられた作用力は、
図7から
図9で加えられた負荷またはばね定数と異なる第2の負荷またはばね定数を提供する。ばね定数は、ヒンジおよびまたは脚部の形状、角度および一定または変動する厚さに基き、直線状または非直線状に動くことが可能である。
【0029】
図10は、ウエハキャリアが落とされまたはぶつかったときに起こりうる衝撃負荷状況を示す。作用力102および103は、アームの最端部を押し続ける。アームの外側長は、その長さに沿って圧迫されている。この負荷状況でさえ、空隙79がなおいくぶんのさらなる緩衝を提供し、緩衝材の内側がなお半導体ウエハ上に置かれうる構成要素の除去のためのスペースを提供することに注目すべきである。
【0030】
図11は、第4の望ましい実施形態内の1段階および2段階ウエハ緩衝材29の等角断面図を示し、
図12は、ウエハをウエハ緩衝材上に設置しない、底部収容部に接合された、第4の望ましい実施形態の1段階および2段階ウエハ緩衝材の等角図を示す。
【0031】
”片面リング”−前述の緩衝リングの1つのバージョンは、断面が”V”字の半分のみの形状のリングで、カバーが”V”字の失われた半分の限定する機能を提供するように、リングが頂部カバーまたは底部カバーに取り付けられる(接合またはクリップ留めされる)であろう。この設計は、1段階または2段階バージョンを有することが可能であろう。この設計は、複数の”Vリング”を積層してボックス内の過剰なスペースを取ることを可能にする。この緩衝材90の底部を、下位の収容部21(または25)に接合可能である。この片面リングは1つのアームのみを有するが、アームは、内側ヒンジ領域91および92、全長の中央のエルボ93で同様の構成を有し、緩衝材の第1段階と第2段階の間に境界を形成する。外縁部95は、自由な移動および屈曲を提供する収容部21壁の隙間をもたらす大きさである。ウエハ緩衝材の頂縁部96は、ウエハセパレータまたは半導体ウエハ(図示せず)の外縁部のみが接触するよう構成される。下位の半径94は、ウエハスタックがウエハ緩衝材29の大部分を平坦化するときに、付加的な衝撃緩衝をもたらす。
【0032】
望ましい実施形態で、ウエハ緩衝材はショアD硬度10から70の間の硬度を有する適合した物質で製造されるが、緩衝される物質および緩衝されるスタックの高さ/重量に基き、他の硬度が考えられる。また、ウエハ輸送容器内で使用される上位および下位のウエハ緩衝材は、重量に基き異なる特性および構成を有することが可能であること、または半導体ウエハがウエハ緩衝材の上方または下方に存在する事実が考えられる。中央ヒンジから外側の接触ポイントへの形状は、湾曲され、または変動する断面、または複数の段面、形状、エルボまたは屈曲を有して、非直線状の緩衝作用力または複数段階のウエハ緩衝材を得ることが可能である。
【0033】
よって、1段階および2段階のウエハ緩衝材の特定の実施形態が開示された。しかし当業者には、記載されたもの以外のより多くの改良が、本明細書の発明の概念から逸脱することなく可能であることが明らかであるはずである。本発明の主題は、従って添付の請求項の趣旨を除いて限定されない。