(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記目標加速率より前記現在加速率が小さければ、前記燃料流量を増加させ、前記目標加速率より前記現在加速率が大きければ、前記燃料流量を減少させる請求項14に記載のガスタービンの制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
始動時にガスタービンの回転数を所望の水準まで到達させられる始動時のガスタービンの制御方法を提供する。
【0008】
具体的には、始動時にガスタービンの始動時間に影響を与える大気圧力および大気温度などの運転条件にかかわらず、HangやSurgeのような不安定現象なく安定してガスタービンの回転数を目標とする水準まで到達させる。
【0009】
あるいは、始動時に迅速に内部温度を目標とする水準まで到達させられる始動時のガスタービンの制御方法を提供する。
【0010】
あるいは、始動時にガスタービンの過熱または消炎に備えることのできる始動時のガスタービンの制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によるガスタービンの回転速度を基準始動速度まで上昇させる始動時のガスタービンの制御方法は、ガスタービンの回転数を測定するステップと、測定された回転数に応じてガスタービンの目標加速率を決定するステップと、測定された回転数に基づいてガスタービンの現在加速率を算定するステップと、現在加速率と目標加速率との差によってガスタービンに供給される燃料流量を、予め格納された最大燃料流量と最小燃料流量との間で決定するステップと、決定された燃料流量によって燃料を供給するステップとを含む。
【0012】
ここで、燃料を供給するステップの後、排気ガス温度をモニタリングするステップをさらに含むことができる。
【0013】
ここで、目標加速率を決定するステップでは、一軸がガスタービンの回転数で、かつ他軸が目標加速率であるグラフ、または回転数と目標加速率に関するテーブルから目標加速率を決定することができる。
【0014】
ここで、燃料流量を決定するステップでは、目標加速率から現在加速率を引いた値と決定された燃料流量は、n次(n:正の実数)方程式の形態で比例することができる。
【0015】
ここで、排気ガス温度をモニタリングするステップは、ガスタービンの排気ガス温度を測定するステップと、測定された排気ガス温度が所定の上限警告値を超えていなければ、モニタリングを終了し、ガスタービンの回転数測定ステップに戻るステップと、測定された排気ガス温度が所定の上限警告値を超え、かつ所定の上限危険値を超えていなければ、ガスタービンに供給される燃料流量を維持させたまま、排気ガス温度を測定するステップに戻るステップと、測定された排気ガス温度が所定の上限警告値を超えると、ガスタービンを非常停止させるステップとを含むことができる。
【0016】
ここで、排気ガス温度をモニタリングするステップは、測定された排気ガス温度が所定の下限危険値に達していなければ、ガスタービンを非常停止させるステップを含むことができる。
【0017】
ここで、排気ガス温度をモニタリングするステップは、決定された燃料流量から期待される排気ガスの期待温度を算定するステップと、ガスタービンの排気ガス温度を測定するステップと、算定された期待温度と測定された排気ガス温度との差が所定の基準値を超えると、ガスタービンを非常停止させ、超えていなければ、ガスタービンの回転数測定ステップに戻るステップとを含むことができる。
【0018】
ここで、期待温度を算定するステップでは、一軸が燃料流量で、かつ他軸が排気ガスの期待温度であるグラフ、または燃料流量と期待温度に関するテーブルから期待温度を決定することができる。
【0019】
本発明の他の側面による始動時のガスタービンの制御装置は、ガスタービンの回転数を測定する回転感知部と、ガスタービンに適用する目標加速率データを格納する格納部と、目標加速率データと測定された回転数から始動中のガスタービンに供給する燃料流量を予め格納された最大燃料流量と最小燃料流量との間で決定し、決定された流量で燃料を供給する制御部とを含むことができる。また、ガスタービンに供給される燃料の流量を調節する燃料流量調節部を備えることができる。また、ガスタービンの排気ガス温度を測定する排気温度測定部を備え、制御部は、始動中にモニタリングされる排気ガス温度によってガスタービンを非常停止するか否かを決定することができる。
【0020】
ここで、制御部は、目標加速率データから現在時点の目標加速率を決定し、ガスタービンの回転数に応じた現在加速率を算出し、現在加速率と目標加速率との差によって燃料流量を決定することができる。
【0021】
ここで、目標加速率データは、一軸がガスタービンの回転数で、かつ他軸が目標加速率であるグラフ形式のデータ、または回転数と目標加速率に関するテーブル形式のデータであることができる。
【0022】
ここで、制御部は、測定された排気ガス温度が所定の上限警告値を超え、かつ所定の上限危険値を超えていなければ、ガスタービンに供給される燃料流量を維持させ、測定された排気ガス温度が所定の上限危険値を超えると、ガスタービンを非常停止させることができる。
【0023】
ここで、制御部は、測定された排気ガス温度が所定の下限危険値に達していなければ、ガスタービンを非常停止させることができる。
【0024】
ここで、格納部は、一軸が燃料流量で、かつ他軸が排気ガスの期待温度であるグラフ形式の期待温度データ、および燃料流量と期待温度に関するテーブル形式の期待温度データの少なくとも一方を格納することができる。
【0025】
ここで、制御部は、少なくとも一方の期待温度データから、決定された燃料流量から期待される排気ガスの期待温度を算定し、算定された期待温度と測定された排気ガス温度との差が予め格納された基準値を超えると、ガスタービンを非常停止させることができる。
【発明の効果】
【0026】
このような構成による始動時のガスタービンの制御方法を実施すれば、ガスタービンの始動時にガスタービンの回転数および/または内部温度を所望の水準まで到達させられる利点がある。
【0027】
具体的には、ガスタービンの始動時間に影響を与える大気圧力および大気温度などの運転条件にかかわらず、ハング(Hang)やサージ(Surge)のような不安定現象なく安定してガスタービンを始動させることができる。したがって、高い始動信頼度を確保するだけでなく、ガスタービンの設計寿命を保障することができる利点がある。
【0028】
あるいは、始動時のガスタービンの制御方法は、ガスタービンの始動時にガスタービンの過熱または消炎に備えることができる利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0031】
下記の説明において、始動は、停止状態でガスタービンを動作させた後、ガスタービンの回転数、温度などの変数が安定化された値を有するまで、ガスタービンを加速させる過程を意味することができる。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態にかかる始動時のガスタービンの制御方法を示すフローチャートである。
【0033】
図1に示されているように、本発明の一実施形態にかかる始動時のガスタービンの制御方法は、ガスタービンの回転速度を基準始動速度まで上昇させるガスタービンの制御方法であって、ガスタービンの回転数を測定するステップS110と、前記ガスタービンの回転数に応じて目標加速率を決定するステップS120と、現在加速率を算定するステップS140と、現在加速率と目標加速率との差によって燃料流量を決定するステップS160と、決定された流量で燃料を供給するステップS180とを含むことができる。
【0034】
また、前記S180ステップの後、排気ガス温度をモニタリングして、温度によって必要な措置を行うステップS200をさらに含むことができる。
【0035】
S110ステップにおいて、ガスタービンの回転数は、予め設定された単位時間でのガスタービンの回転数(例:1分あたりの回転数、1秒あたりの回転数)を意味する。前記ガスタービンの回転数測定ステップS110では、ガスタービンのブレード軸に設けられた速度感知センサの感知値を単位時間の間にカウントする方式でガスタービンの回転数を測定することができる。
【0036】
ガスタービンの初期稼働中(すなわち、始動時)には、目標とするガスタービンの回転数に到達するまで、できるだけ迅速にガスタービンを動作させる。その理由は、ガスタービンを効率的に稼働させるためである。
【0037】
前記目標加速率決定ステップS120では、前記S110ステップで測定されたガスタービンの回転数に応じて目標加速率を決定することができる。このために、前記S120ステップでは、経験的または実験的に得られたガスタービンの回転数に応じた目標加速率データを参照して、目標加速率を決定することができる。ガスタービンの制御装置は、このために前述の加速率データを格納する格納装置を備えることができる。加速率データは、ガスタービンのガスタービン仕様(設計特性)によって異なって設定されて格納される。データの形態は、一軸がガスタービンの回転数で、かつ他軸が目標加速率であるグラフやテーブル形態であってよい。
【0038】
前記現在加速率を測定するステップS140では、S110ステップで測定されたガスタービンの回転数に基づいて現在加速率を算定することができる。ガスタービンの加速率は、時間あたりのガスタービンの回転数を意味するため、S110ステップで測定された単位時間あたりのガスタービンの回転数によって現在加速率が算定される。
【0039】
前記燃料流量を決定するステップS160では、前記燃料流量を、予め設定された最大燃料流量および最小燃料流量の間で決定することができる。より詳細に説明すれば、ガスタービンの始動時、ハング(Hang)およびサージ(Surge)回避のために燃料の最小および最大量を制限する。そして、ガスタービンが決定された目標加速率に追従するように、燃料流量をPID(Proportinal Integral Differential)制御する。また、ガスタービンの始動制御システムは、ガスタービンの運転条件に大きく関係なく始動安定性を確保できるように、閉ループ(closed loop)をなすことが好ましい。
【0040】
PID制御は、制御変数と基準入力値との間の誤差に基づいて系統の出力が基準電圧を維持するようにするフィードバック制御の一種で、比例(Proportional)制御、比例積分(Proportional−Integral)制御、比例微分(Proportional−Derivative)制御を組み合わせる。
【0041】
本実施形態において、目標加速率より現在加速率が小さく、かつ現在加速率を比例的に増加させることができる場合、現在加速率が大きくなるほど、燃料流量も増加するように制御する(比例制御)。目標加速率より現在加速率が大きく、かつ現在加速率を比例的に増加させることができない場合、比例積分または比例微分制御を適用して燃料流量を設定する。
【0042】
すなわち、前記燃料流量決定ステップS160では、まず、前記S120ステップで決定された目標加速率と、前記S140ステップで算定された現在加速率とを比較する。一般的に現在加速率が目標加速率より小さいので、前記目標加速率から現在加速率を引いた値によって燃料流量を決定する。この時、現在加速率が大きくなるほど、燃料流量を増加させても構わないので、ガスタービンの加速率が増加するに伴って燃料流量も増加させることができる。例えば、前記目標加速率から現在加速率を引いた値と前記決定された燃料流量は、n次(n:正の実数)方程式の形態で比例することができる。
【0043】
現在加速率が前記目標加速率よりも大きければ、燃料流量を、現在加速率が目標加速率より小さい時より低い値に決定することができる。この場合は、前記現在加速率から目標加速率を引いた値が予め設定された基準値より大きいか否かで確認することができる。
【0044】
仮に、現在加速率が前記目標加速率よりはるかに大きく、現在加速率から目標加速率を引いた値が予め設定された基準値と大きな差があった場合、異常な場合と判断して、ガスタービンを非常停止させることができる。
【0045】
前記燃料供給ステップS180において、ガスタービンの制御装置は、燃料流量バルブなどを調節して、前記S160ステップで決定された流量で燃料を供給する。
【0046】
前記排気ガス温度モニタリングステップS200では、ガスタービンの排気口側に設けられた温度センサの感知値を受信することができる。前記S200ステップでは、前記受信した温度値から前記ガスタービンの正常/異常を判断して、必要な措置を行うことができる。
【0047】
図2は、
図1の排気ガス温度モニタリングステップS200の一実施形態を示すフローチャートであり、
図1の燃料流量調節ステップS180の実施後に行われる過程である。
【0048】
図示の実施形態において、
図1の排気ガス温度モニタリングステップS200は、ガスタービンの排気ガス温度を測定するステップS220と、前記測定された排気ガス温度が予め設定された上限警告値を超えていなければ、モニタリングを終了し、
図1のガスタービンの回転数測定ステップS110に戻るステップS250と、前記測定された排気ガス温度が予め設定された上限警告値を超え、かつ予め設定された上限危険値を超えていなければ(S260)、前記ガスタービンに供給される燃料流量を維持させ(S280)、前記S220ステップに戻るステップと、前記測定された排気ガス温度が予め設定された上限危険値を超えると、前記ガスタービンを非常停止させるステップとを含むことができる。
【0049】
ガスタービンの制御装置は、前記S250ステップおよびS260ステップで利用される前記上限警告値および上限危険値を予め格納している。前記上限警告値は、ガスタービンの保護のために、ガスタービン制御に変化を与えるべきガスタービンの回転数である。前記上限危険値は、直ちにガスタービンを停止させるべきガスタービンの回転数である。
【0050】
前記測定された排気ガス温度が上限警告値を超え、かつ上限危険値を超えていなければ(S260)、前記ガスタービンに供給される燃料流量を維持させる(S280)。その後、前記S220ステップに戻るステップにおいて、ガスタービンの過熱警告メッセージを担当者や運転者に視覚的および/または聴覚的な方法で出力することができる。
【0051】
図面の前記S280ステップでは、ガスタービンに供給される燃料流量を変化させず、前の時点で決定されたガスタービンの流量を維持させると説明した。しかし、ガスタービンをより安定して駆動するために、PID制御を適用して燃料流量を低減することもできる。
【0052】
前記非常停止する過程は、一般的なガスタービン運転中の非常停止過程と類似し、必要な時、非常停止メッセージを担当者や運転者に視覚的および/または聴覚的な方法で出力することができる。
【0053】
図示の過程は、ガスタービンの始動中、ガスタービン保護のために、Over−EGT(排気ガス温度制限)方法を適用したものである。すなわち、前記S250ステップでの上限警告値(Alarm limit)に到達すれば、それ以下に低下するまで、燃料流量を増加させずに維持しながらモニタリングする。燃料流量を増加させない状態で、排気ガス温度が上昇し続けて、前記S260ステップでの上限危険値(Trip limit)を超えると、ガスタービンを非常停止(ESD)させる。
図3は、
図1の排気ガス温度モニタリングステップS200の他の実施形態を示すフローチャートであり、
図1の燃料流量調節ステップS180の実施後に行われる過程である。
【0054】
図示の実施形態において、
図1の排気ガス温度モニタリングステップS200は、ガスタービンの排気ガス温度を測定するステップS420と、前記測定された排気ガス温度が予め設定された下限危険値に達していなければ、前記ガスタービンを非常停止させるステップS430と、前記測定された排気ガス温度が予め設定された上限警告値を超えていなければ、モニタリングを終了し、
図1のガスタービンの回転数測定ステップS110に戻るステップS450と、前記測定された排気ガス温度が上限警告値を超え、かつ予め設定された上限危険値を超えていなければ(S460)、前記ガスタービンに供給される燃料流量を維持させ(S480)、前記S420ステップに戻るステップと、前記測定された排気ガス温度が上限警告値を超えると、前記ガスタービンを非常停止させるステップとを含むことができる。
【0055】
前記上限警告値および上限危険値に対するモニタリングおよび措置過程は、前記
図2の場合と類似するので、重複する説明を省略する。
【0056】
ガスタービンの制御装置は、前記S430ステップで利用される前記下限危険値を予め格納している。
【0057】
前記下限危険値は、始動中のガスタービン保護のために、消炎(Flame−out)保護ロジッグを適用するためのものである。前記下限危険値は、予め設定された基準温度とされていてもよく、前の時点で測定された温度との比較値であってよい。後者の場合、前記下限危険値は、前の時点で測定された温度値であるか、この値から若干(摂氏10度前後)の値を引いた温度値であってよい。これは、火炎が消えた場合、排気ガスの温度増加が行われないか、むしろ下がるのを反映したものである。
【0058】
図3のフローチャートでは、測定された排気ガス温度が前記下限危険値と前記上限警告値との間にあれば、
図1のガスタービンの回転数測定ステップS110に戻る。測定された排気ガス温度が前記下限危険値に達していないか、前記上限危険値を超えると、ガスタービンを非常停止させる。測定された排気ガス温度が上限危険値と前記上限警告値との間にあれば、燃料流量を維持した状態で、前記S420ステップに戻る。
【0059】
前述の実施形態において、ガスタービンを非常停止した状況や燃料流量を維持した状況で、これに対するメッセージを視覚的および/または聴覚的な方法で担当者および/または運転者に出力することができる。
【0060】
図4は、
図1の排気ガス温度モニタリングステップS200のさらに他の実施形態を示すフローチャートであり、
図1の燃料流量調節ステップS180の実施後に行われる過程である。
【0061】
図示の実施形態において、
図1の排気ガス温度モニタリングステップS200は、前記S160ステップで決定され、前記S180ステップで供給された燃料流量から期待される排気ガスの期待温度を算定するステップS610と、ガスタービンの排気ガス温度を測定するステップS620と、前記算定された期待温度と前記測定された排気ガス温度との差が予め設定された基準値を超えると、ガスタービンを非常停止させ(S630)、超えていなければ、
図1のガスタービンの回転数測定ステップS110に戻るステップとを含むことができる。
【0062】
図示しないが、
図2および
図3の場合と類似して、上限警告値および上限危険値に対するモニタリングおよび措置過程を、前記S630ステップの後に追加的に行うこともできる。
【0063】
前記S630ステップでの非常停止は、始動中のガスタービン保護のために、消炎(Flame−out)保護ロジッグを適用するためのものである。ガスタービンの制御装置は、前記S160ステップで決定した燃料流量から期待される排気ガス温度に到達したかを確認し、温度に達していない時に消炎を判断して、ガスタービンを非常停止させることができる。前記S610ステップでの前記期待温度は、一軸が燃料流量で、かつ他軸が排気ガスの期待温度であるカーブ(グラフ)やテーブル形態のデータを参照して決定できる。
【0064】
前記基準値は、前記測定された排気ガス温度が前記期待温度に及ばなくても、わずかな差を有する場合、非常停止せずにガスタービンの始動を維持し続けるためのものである。仮に、前記カーブやテーブルにすでにわずかな差を反映した場合には、前記基準値は0近くに設定されてよい。
【0065】
ガスタービンの制御装置は、前記S630ステップで利用される前記基準値、および/または前記S610ステップで利用される前記基準カーブ(テーブル)を予め格納している。
【0066】
前述の実施形態において、ガスタービンを非常停止した状況では、これに対するメッセージを視覚的および/または聴覚的な方法で担当者および/または運転者に出力することができる。
【0067】
図5は、本発明の一実施形態にかかるガスタービンの制御装置を示す。
【0068】
図示のガスタービンの制御装置100は、ガスタービン20の回転数を測定する回転感知部と、始動時のガスタービンに適用する目標加速率データを格納する格納部160と、ガスタービン20に供給される燃料の流量を調節する燃料流量調節部と、ガスタービン20の排気ガス温度を測定する排気温度測定部と、制御部200とを含むことができる。制御部200は、始動中の前記目標加速率データと前記測定されたガスタービンの回転数から前記ガスタービン20に供給する燃料流量を決定し、決定された流量で燃料を供給する。また、制御部200は、始動中にモニタリングされる前記排気ガス温度によってガスタービンを非常停止させる。
【0069】
前記回転感知部は、前記ガスタービン20のガスタービン軸などに設けられた回転感知センサからセンシング信号を受信する回転感知センサ入力端で実現できる。前記排気温度測定部は、前記ガスタービン20の排気口側に設けられた温度感知センサからセンシング信号を受信する温度センサ入力端で実現できる。前記回転感知センサ入力端および温度センサ入力端は、図示のように、センサ入力端140として統合実現できる(図面には、便宜上、統合実現されたセンサ入力端140だけを示している)。
【0070】
前記制御部200は、前記ガスタービンに供給する燃料流量を調節するために、制御信号出力端120の動作を制御することができる。制御信号出力端120は、前記ガスタービン20と燃料供給装置10との間に設けられたバルブを制御する。
【0071】
前記格納部160は、前記制御装置100の内部に装着された揮発性および/または不揮発性メモリーであるか、前記制御装置100の外部のデータベース装置であってよい。
【0072】
前記制御部200は、本発明の実施形態にかかる始動時のガスタービンの制御方法を行う単一のプロセッサまたは複数のプロセッサを含むことができる。
【0073】
例えば、前記制御部200は、前記目標加速率データから現在時点の目標加速率を決定し、累積測定された前記ガスタービンの回転数から現在加速率を算出することができる。その後、制御部200は、現在加速率と目標加速率との差によって燃料流量を決定し、決定された流量に燃料流量を調節することができる。ここで、前記目標加速率データは、一軸がガスタービンの回転数で、かつ他軸が目標加速率であるグラフやテーブル形態のデータであって、前記格納部160に格納されたものであってよい。
【0074】
また、前記制御部200は、前記測定された排気ガス温度が予め設定された上限警告値を超え、かつ予め設定された上限危険値を超えていなければ、前記ガスタービンに供給される燃料流量を維持させる。前記測定された排気ガス温度が上限危険値を超えると、前記ガスタービンを非常停止させることができる。
【0075】
あるいは、前記制御部200は、前記測定された排気ガス温度が予め設定された下限危険値に達していなければ、前記ガスタービンを非常停止させることができる。
【0076】
前記制御部200は、予め設定された期待温度データから、前記決定された燃料流量から期待される排気ガスの期待温度を算定することもできる。前記算定された期待温度と前記測定された排気ガス温度との差が予め設定された基準値を超えると、制御部200は、ガスタービンを非常停止させることができる。このために、前記格納部160には、一軸が燃料流量で、かつ他軸が排気ガスの期待温度であるカーブやテーブル形態の期待温度データが格納されてよい。
【0077】
図6に示す部分は、
図5のガスタービンの制御装置の制御部200においてPID制御を行う過程だけを示すものである。
【0078】
図6に示されているように、PID制御を燃料流量制御に適用するために、まず、ガスタービン加速率の上限または下限を算定するために、予め設定されたガスタービンの目標加速率設定値dN
target、ガスタービンの最大加速率設定値dN
max、ガスタービンの最小加速率設定値dN
minが反映される。前述の設定値によって、ガスタービンと燃料供給装置との間に設けられたバルブの開度率制限値が決定される。バルブの開度率制限値は、予め格納されたガスタービンの加速率によるバルブの開度変化率設定値ROC
setによって決定できる。
【0079】
このようにガスタービン加速率の上限または下限およびバルブの開度率制限値が算定されると、実際の加速率dN
actual,nと目標加速率dN
targetとの誤差E
nを算出し、算出された値E
nを利用してPID制御を行う。
【0080】
すなわち、変化する現在のガスタービンの加速率ごとに算出された誤差値E
n、E
n−1、E
n−2、比例定数K
G、積分時間T
i、微分時間T
dを燃料流量に反映させて、ガスタービン加速率制御値の増加分dCVを算出する。ガスタービン加速率制御値の増加分dCVだけ、現在時間でのガスタービン加速率制御に反映した制御値CV
nを算出し、ガスタービン加速率制御値CV
nによってバルブの開度を制御する。
【0081】
ガスタービン加速率制御値の増加分dCVおよび現在時間でのガスタービン加速率制御値CV
nは、下記のように算出できる。
【0082】
[数1]
dCV=K
p(E
n−E
n−1)+K
i*E
n+K
d((E
n−E
n−1)−(E
n−1−E
n−2))
=K
G[(E
n−E
n−1)+ScanRate/T
i*E
n+T
d/ScanRate((E
n−E
n−1)−(E
n−1−E
n−2))]
【0083】
[数2]
CV
n=CV
n−1+dCV
(時間t
n(current scan)でのガスタービン加速率制御値(燃料バルブの開度の程度を制御する))
前述の各変数の定義は、次の通りである。
【0084】
dN
target:ガスタービンのガスタービン目標加速率設定値
dN
max:ガスタービンのガスタービン最大加速率設定値
dN
min:ガスタービンのガスタービン最小加速率設定値
ROC
set:燃料流量調節バルブ(fuel control valve)の開度変化率(Rate of Change)設定値
dN
actual,n:現在(時間t
n)のガスタービンのガスタービン実際加速率
E
n=(dN
target−dN
actual/t
n):時間t
n(current scan)での目標加速率と現在加速率との差による誤差
E
n−1=(dN
target−dN
actual,/t
n−1):時間t
n−1(previous scan)での目標加速率と現在加速率との差による誤差
E
n−1=(dN
target−dN
actual,/t
n−2):時間t
n−2(2steps previous scan)での目標加速率と現在加速率との差による誤差
K
G:Proportional gain(=K
p)
T
i:Integral time
T
d:Derivative time
K
i:Integral gain(=K
G*ScanRate/T
i)
K
d:Differential gain(=K
G*T
d/ScanRate)
ScanRate=scan rate of control algorithm
dP=Proportional portion of control algorithm
dI=Integral portion of control algorithm
dD=Derivative portion of control algorithm
燃料流量は、前記燃料流量上限設定部220および下限設定部240によって設定された最大燃料流量および最小燃料流量の間で決定される。前記最大燃料流量および最小燃料流量は、固定された値であるか、または、目標加速率または現在加速率によって決定される値を有することができる。
【0085】
図面は、後者の場合を実現した場合であって、図示の燃料流量上限設定部220および下限設定部240は、目標加速率または現在加速率によって最大加速率および最小加速率を決定する加速率上/下限設定部220と、前記決定された最大加速率および最小加速率によって最大燃料流量および最小燃料流量を決定して制御する燃料流量設定/制御部240とを含むことができる。
【0086】
一方、前記ガスタービンに対する最大加速率と最小加速率は、前記目標加速率または現在加速率によって決定される値を有することができる。このために、各目標加速率(または現在加速率)とこれに割り当てられる最大加速率および最小加速率が記載された最大/最小加速率データが前記格納部160に格納されて利用可能である。
【0087】
図示の制御部200の一部ブロックは、決定された加速率と実際加速率との差を求めるための減算用合算器260と、誤差を反映したガスタービン加速率制御値の増加分dCVを求めるための合算器246とを備えることができる。
【0088】
ここで、前記合算器246で算出されるガスタービン加速率制御値の増加分dCVは、下記の数1および数2の通りである。
【0089】
[数1]
dCV=K
p(E
n−E
n−1)+K
i*E
n+K
d((E
n−E
n−1)−(E
n−1−E
n−2))
=K
G[(E
n−E
n−1)+ScanRate/T
i*E
n+T
d/ScanRate((E
n−E
n−1)−(E
n−1−E
n−2))]
【0090】
[数2]
CV
n=CV
n−1+dCV
(時間t
n(current scan)でのガスタービン加速率制御値(燃料バルブの開度の程度を制御する))
上記の実施形態は、その説明のためのものであり、その制限のためではないことに注意しなければならない。また、本発明の技術分野における通常の専門家であれば、本発明の技術思想の範囲で多様な実施形態が可能であることを理解することができる。