特許第5986219号(P5986219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986219
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】方向ポペット弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/044 20060101AFI20160823BHJP
   F16K 11/22 20060101ALI20160823BHJP
   F16K 11/24 20060101ALI20160823BHJP
   F16K 11/14 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   F16K11/044 Z
   F16K11/22 Z
   F16K11/24 Z
   F16K11/14 Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-547730(P2014-547730)
(86)(22)【出願日】2012年11月21日
(65)【公表番号】特表2015-500969(P2015-500969A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】EP2012004824
(87)【国際公開番号】WO2013091760
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年8月5日
(31)【優先権主張番号】102011122349.9
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500580909
【氏名又は名称】ハイダック フルイドテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】フランク シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ビル
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭34−002179(JP,Y1)
【文献】 国際公開第2011/090855(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ハウジング(12)内に配置された、複数の流体接続端(A、B、P、T)を制御するための弁ピストン(16−22)を有し、
少なくとも1つの操作装置によって弁ピストン(16−22)の、弁ハウジング(12)内のそれぞれの位置が変化可能であり、かつ
流体接続端(A、B、P、T)が弁ピストン(16−22)の位置に従って交互に互いに接続され、あるいは互いから分離される、方向ポペット弁(10)において、
弁ピストン(16−22)が弁ハウジング(12)内で、少なくとも1つの軸(R)に沿って、相前後して、かつ/又は少なくとも部分的に互いに入り組んで配置されており、
弁ピストン(16−22)が、それぞれ2つのシート(17−23)の間に、配置されており、かつそれぞれの復帰装置(34A、34B)によって互いに対して、それぞれのシート(17−23)の方向に、移動可能であり、
前記復帰装置(34A、34B)は、環状のシール装置(36A、36B)によって前記流体接続端(A、B、P、T)からシールされた室内に受容されている、ことを特徴とする方向ポペット弁。
【請求項2】
弁ピストン(16−22)及び/又は対応づけられたシート(17−23)が、それぞれ実質的に軸(R)に対して回転対称に形成されている、ことを特徴とする請求項に記載の方向ポペット弁。
【請求項3】
流体接続端として、少なくとも1つのタンク接続端(T)、少なくとも1つの供給接続端(P)及び少なくとも1つの利用接続端(A、B)が設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方向ポペット弁。
【請求項4】
それぞれの操作装置が、少なくとも1つの弁ピストン(16−22)に作用し、かつ/又はそれに少なくとも部分的に嵌入作用する、軸(R)に沿って、あるいはそれに対して平行に向けられた、操作ロッド(24A、24B)を有している、ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の方向ポペット弁。
【請求項5】
それぞれの操作ロッド(24A、24B)が、それぞれの弁ピストン(16−22)内で案内されており、かつそれぞれの操作ロッド(24A、24B)に、少なくとも1つの弁ピストン(16−22)に作用して前記少なくとも1つの弁ピストン(16−22)を第1〜第4シート(17−23)から離隔させる、少なくとも1つの連動子(26−32)が配置されている、ことを特徴とする請求項に記載の方向ポペット弁。
【請求項6】
それぞれの弁ピストン(16−22)に対応づけられた操作ロッド(24A、24B)が、弁ハウジング(12)内で少なくとも部分的に互いに入り組んで配置されている、ことを特徴とする請求項又はに記載の方向ポペット弁。
【請求項7】
それぞれの操作ロッド(24A、24B)が、それぞれの弁ピストン(16−22)内で案内されており、かつそれぞれの操作ロッド(24A、24B)に、少なくとも1つの弁ピストン(16−22)に作用して前記少なくとも1つの弁ピストン(16−22)を第1〜第4シート(17−23)から離隔させる、少なくとも1つの連動子(26−32)が配置されており、
それぞれの弁ピストン(16−22)に対応づけられた操作ロッド(24A、24B)が、弁ハウジング(12)内で少なくとも部分的に互いに入り組んで配置されており、
操作ロッド(24A)に、第1シート(17)第3のシート(21)から第1の弁ピストン(16)と第3の弁ピストン(20)を離隔させるための第1の連動子(26)と第3の連動子(30)が設けられており、
逆方向の他の操作ロッド(24B)に、第2のシート(19)第4のシート(23)から第2の弁ピストン(18)と第4の弁ピストン(22)を離隔させるための第2の連動子(28)と第4の連動子(32)が設けられており、
対をなして互いに入り組む第1の弁ピストン(16)と第2の弁ピストン(18)のための対向する第1のシート(17)と第2のシート(19)の間に、第1の利用接続端(A)が設けられており、
対をなして互いに入り組む第3の弁ピストン(20)と第4の弁ピストン(22)のための対向する第3のシート(21)と第4のシート(23)の間に、第2の利用接続端(B)が設けられており、
第2のシート(19)と第3のシート(21)の間に、供給接続端(P)及びタンク接続端(T)の中の一方が設けられており、かつ
第1のシート(17)及び第4のシート(23)と弁ハウジング(12)のそれぞれの端部との間に、それぞれ供給接続端(P)及びタンク接続端(T)の中の他方が設けられている、こと請求項に記載の方向ポペット弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁ハウジング内に配置された、複数の流体接続端を制御するための弁ピストンを有する、方向ポペット弁であって、弁ピストンは少なくとも1つの操作装置によってそれぞれ弁ハウジング内のその位置を変更可能であり、かつ流体接続端が弁ピストンの位置に従って交互に互いに接続され、あるいは互いから分離される、方向ポペット弁に関する。
【背景技術】
【0002】
方向ポペット弁は、様々な構造的様式で知られている(例えば、特許文献1参照。)。既知の方向ポペット弁においては、ポペット弁容器は完全に力を補償できず、それがパフォーマンス損失をもたらし、かつ高い操作力を必要とする。時として、既知の方向ポペット弁の構造的様式は、操作のための複雑な操作機構とブロック内の複雑な孔推移が実現されなければならないように複雑であり、かつ故障を生じやすい。さらに、制御エッジの定められた開口及び制御エッジの正又は負の重なりは、極めて困難であり、あるいはまったく不可能である。さらに、既知の方向ポペット弁においては、流体圧は、供給接続端内のポンプ圧がそれぞれの利用接続端内の負荷圧を、かつこの負荷圧がまたタンク接続端内のタンク圧を上回るように、選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第1750092号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、簡単なやり方で、かつわずかな操作力によって操作可能な、できる限る力補償する、改良された制御機能を有する方向ポペット弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、その全体において特許請求項1の特徴を有する方向ポペット弁によって解決される。本発明に係る方向ポペット弁は、弁ピストンがいわゆるインライン構造で少なくとも1つの軸に沿って相前後して、かつ/又は少なくとも部分的に互いに入り組んで、弁ハウジング内に配置されていることを特徴としている。
【0006】
弁ハウジング内で少なくとも1つの軸に沿って延びるピストン室内に、本発明によれば2つ又はそれより多い弁ピストンが配置されており、かつそれぞれの軸に沿って移動可能ないし変位可能である。そのために設けられているそれぞれの操作装置は、電気的に、たとえば電磁石として、あるいはステッピングモータないしリニアモータとして、機械的に、あるいは手動操作として形成することができる。さらに、本発明に係る方向ポペット弁を比例磁石及び/又は切替え磁石によって駆動すること、換言するとそのようにそれぞれの弁ピストンを操作することが、考えられる。
【0007】
弁ピストンの本発明に基づく配置によって、本発明に係る方向ポペット弁の簡単な製造とコンパクトな構造が得られる。それぞれ複数の、典型的には2つの、弁ピストンが少なくとも部分的に入り組むことによって、組み込み空間、より正確には弁ハウジング内に設けられるピストン室は、従来の解決に比較して縮小して形成することができる。それぞれ本発明に係る方向ポペット弁の使用目的に応じて、この方向ポペット弁は、たとえば3/2方向ポペット弁として、4/2方向ポペット弁として、あるいは4/3方向ポペット弁として形成することができる。それぞれの弁ピストンの比較的短い調節ないし操作距離によって、それぞれの、たとえば3つ又は4つの流体接続端は、所望の切替え位置に応じて流体を案内するように互いに接続し、あるいは流体密に互いから分離することができる。
【0008】
本発明に係る方向ポペット弁の好ましい実施形態において、弁ピストンは対をなして入り組むように、好ましくはそれぞれ2つのシートの間に、配置されており、かつそれぞれの復帰装置によって互いに対して、好ましくはそれぞれのシートの方向へ、移動可能である。この実施形態の利点は、弁ピストンが組み込み空間を節約するように、軸方向に見て短いピストン室内に配置できることにある。復帰装置によって、弁ピストンは互いに対して、ないしは互いから離れるように移動されるので、操作されない状態において、すなわちそれぞれの操作装置による操作力がもたらされることなしで、弁ピストンはそれぞれのシートに添接する。復帰装置によって、それぞれのシートにおけるそれぞれの弁ピストンの圧接力ないし圧接圧が予め与えられる。
【0009】
好ましくは、弁ピストン及び/又は対応づけられたシートは、軸に対してそれぞれ実質的に回転対称に形成されている。弁ピストンは、それぞれ円錐ピストンとして形成することができる。そこから、本発明に係る方向ポペット弁が特にコスト的に好ましく実現される利点が生じる。特に好ましくは、それぞれの弁ピストンのためのシートが、軸に対して横方向に、好ましくは垂直に配置された環状面として形成されており、その環状面に、それぞれの弁ピストンの対応づけられた端面が、典型的にはそれぞれの復帰装置によってもたらされる圧接力によって、添接することができる。
【0010】
弁接続端として、少なくとも1つのタンク接続端、少なくとも1つの供給接続端及び少なくとも1つの利用又は負荷接続端を設けることができる。流体接続端は、弁ピストンを包囲するピストン室と流体を案内するように接続されており、かつ典型的に、弁ハウジング内の少なくとも1つの透孔として形成されている。好ましくは、流体接続端ないし透孔は、軸に対して径方向に延びるように配置されており、そのことが本発明に係る方向ポペット弁の単純な構造的組立と簡単な製造を保証する。
【0011】
本発明に係る他の好ましい実施形態において、それぞれの操作装置は、少なくとも1つの弁ピストンに作用する、かつ/又は少なくとも部分的にそれに嵌入作用する操作ロッドを有している。特に簡単かつコンパクトな構造は、少なくとも1つの操作ロッドが軸に沿って、あるいは軸に対して平行に延びているので、複雑な構造の操作機構を省くことができる場合に、得られる。それぞれの操作ロッドを介して操作力がそれぞれの弁ピストンへ伝達されて、弁ピストンは選択された方向に従って軸に沿って線形に移動する。このような操作において、1つ又は複数の該当する弁ピストンがそれぞれのシートから離隔されて、それに応じた流体接続が解放される。典型的に、それぞれのシートの方向へ移動させるためにそれぞれの復帰装置によってそれぞれの弁ピストンへもたらされる復帰力が克服される。操作の完了後に、弁ピストンはそれぞれの、たとえばばね部材として形成されている、復帰装置からもたらされる復帰力によって、それぞれのシートへ戻るように、かつそれと添接するように案内される。
【0012】
好ましくは、それぞれの操作ロッドはそれぞれの弁ピストン内で案内されており、それぞれの操作ロッドには、少なくとも1つの弁ピストンに作用する少なくとも1つの連動子が配置されている。本発明に係る方向ポペット弁のこの種の形態は、特に、複数の、たとえば2つの、弁ピストンが共通の操作ロッドを介して操作される場合に、効果的である。2対の弁ピストンが対をなして入り組んでいる場合に、典型的に、操作ロッドは2つの弁ピストンを通して案内されており、第1ないし前方の連動子と第2ないし後方の連動子とを有しており、それら連動子がそれぞれ弁ピストンに対する操作ロッドの移動方向に応じて、対の、ないしはそれぞれの弁ピストンの、第1の側ないし前側又は第2の側ないし後側に添接する。連動子は、操作ロッドの固定位置に固定されており、ないしはそれと結合されているので、連動子を介して操作ロッドから操作力をそれぞれの弁ピストンへ伝達することができる。
【0013】
本発明の他の好ましい実施形態において、それぞれの弁ピストンに対応づけられた操作ロッドは、弁ハウジング内で少なくとも部分的に入り組んで配置されている。特に好ましくは、1つの操作ロッドには、第1のシートないし第3のシートから第1の弁ピストンと第3の弁ピストンを離隔させるための第1の連動子と第3の連動子が設けられており、逆方向の他の操作ロッドには、第2のシートないし第4のシートから第2の弁ピストンと第4の弁ピストンを離隔させるための第2の連動子と第4の連動子が設けられており、対をなして入り組む第1の弁ピストンと第2の弁ピストンのための対向する第1のシートと第2のシートの間に、第1の利用接続端が設けられており、対をなして入り組む第3の弁ピストンと第4の弁ピストンのための対向する第3のシートと第4のシートの間に、第2の利用接続端が設けられており、第2のシートと第3のシートの間に、供給接続端又はタンク接続端が設けられており、かつ、第1のシートないし第4のシートと弁ハウジングのそれぞれの端部との間には、それぞれタンク接続端又は供給接続端が設けられている。
【0014】
この実施形態において、複数の弁ピストンのための操作ロッドが次のように、すなわち該当する操作ロッドが移動した場合にそれぞれ2つの弁ピストンが移動され、ないしは走行し、方向弁のそれに応じた切替え位置が調節されるように、一緒に結合され、ないしは互いに接するように結合されている。すなわち、1つの操作ロッドが操作された場合に、供給接続端から第2の利用接続端への流体接続と、第1の利用接続端からタンク接続端への他の流体接続が解放される。同様に、他の操作ロッドが操作された場合には、供給接続端から第1の利用接続端への流体接続と第2の利用接続端からタンク接続端への他の流体接続が解放される。なお、タンク接続端と供給接続端は、互いに交換することができる。比較可能な配置において、3つ及びそれより多い利用接続端がタンク接続端及び供給接続端と接続可能とすることができ、それぞれの流体接続端ないし流体接続に対応づけられた弁ピストンに作用する操作ロッドが使用される。
【0015】
本発明の他の利点と特徴が、図及び図面の以下の説明から明らかにされる。上述した特徴と後述する特徴は、本発明に従ってそれぞれ単独で、あるいは互いに任意に組み合わせて実現することができる。図に示されている特徴は、純粋に図式的であって、縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る方向ポペット弁の実施例を示す断面図である。
図2図1に示す模範的な方向ポペット弁の切替えシンボルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、弁ハウジング12を有する方向ポペット弁10を断面で示しており、そのピストン室14内に第1の弁ピストン16、第2の弁ピストン18、第3の弁ピストン20及び第4の弁ピストン22が配置されている。細長く形成されているピストン室14は、軸Rの方向へ延びており、その軸は同時にそれぞれのピストン16−22のための回転軸を表している。4つの弁ピストン16−22は、軸Rに沿ってインライン構造で配置されており、第1の弁ピストン16と第2の弁ピストン18と第3のピストン20と第4のピストン22は、それぞれ対をなして互いに入り組むように配置されている。それぞれ2つの弁ピストン16、18;20、22からなる2対は、ピストン室14内で軸Rに沿って相前後して配置されている。
【0018】
各弁ピストン16−22には、シート17−23が対応づけられており、各シート17−23は軸Rに対して回転対称に形成された環状面として形成されており、かつ、第1の弁ピストン16と第2の弁ピストン18からなる一方の対ないし第3の弁ピストン20と第4の弁ピストン22からなる他方の対を収容するための、ピストン室14のそれぞれの収容部分をそれぞれ前側で画成している。図示の操作されない状態において、弁ピストン16−22はそれぞれのシート17−23に添接している。そのために必要な圧接力は、それぞれの復帰装置34A、34Bによってもたらされ、その復帰装置はそれぞれ対をなして互いに入り組んだ弁ピストン16、18;20、22の内部に配置されて、それらをそれぞれの弁シート17、19;21、23に対して互いに近づくように、かつ互いに対するように案内する。対をなして互いに結合されている弁ピストン16、18;20、22の間に、それぞれ環状のシール装置36A、36Bが配置されている。
【0019】
弁ピストン16−22を移動させるために、2本の操作ロッド24A、24Bが設けられており、それらはピストン室14内で軸Rに沿って、かつピストン室14の領域内に互いに入り組んで配置されている。2本の操作ロッド34A、24Bは、それぞれそれ以上図示されていない操作装置の一部であって、その操作装置がそれぞれ、それぞれ1つの方向へ向けられた操作力FA、FBをそれぞれの操作ロッド24A、24Bへもたらす。操作ロッド24A、24Bから操作力FA、FBをそれぞれのピストン16−22へ伝達するために、両方の操作ロッド24A、24Bに連動子26−32が次のように、すなわちそれぞれの弁ピストン16−22の前側に作用して、それによってそれらをそれぞれの弁シート17−23から離隔させるように、設けられている。図1に示す実施形態において、2対の弁ピストン16、18;20、22は、ピストン室14ないし弁ハウジング12の(図示されない)中心平面に対して対称に次のように、すなわち図1において右へ向けられた操作力FAを介して第1の弁ピストン16が第1の連動子26によって第1のシート17から、そして第3の弁ピストン20が第3の連動子30によって第3の弁シート21から離隔可能であるように、配置されている。同様に、逆に向けられた、図1において左向きの操作力FBにおいては、第2の弁ピストン18が第2の連動子28によって第2の弁シート16から、そして第4の弁ピストン22が第4の連動子32によって第4のシート23から離隔可能である。第1の連動子26と第3の連動子30が、図1内で左に示す操作ロッド34Aに、そして第2の連動子28と第4の連動子32が図1内で右に示す他の操作ロッド24Bに配置されるように、注意される。
【0020】
弁ハウジング12内には、ピストン室14に沿って、図1において、左から右へ、タンク接続端T、利用接続端A、供給接続端P、第2の流体接続端B及び再びタンク接続端Tが次々と形成されている。第1のタンク接続端Tと第1の流体接続端Aは、第1の弁ピストン16と第2の弁ピストン18からなる対によって制御され、同様に第2の利用接続端Bと第2のタンク接続端Tは、第3の弁ピストン20と第4の弁ピストン22からなる他の対によって制御される。2つの対の間の中央に配置された供給接続端Pは、隣接する第2と第3の弁ピストン18、20によって制御される。図1に示される操作されない状態ないしは方向ポペット弁10の該当する切替え位置において、全ての弁ピストン16−22はそれぞれのシート17−23に添接し、それによって流体接続端A−Tは、ほぼ漏れなしで流体密に互いから分離されている。弁ピストン16−22、弁シート17−23及び復帰装置34A、34Bないしそれぞれの復帰力の対称、同種の形成によって、弁配置は操作されない状態において力補償されている。方向ポペット弁10の操作されない切替え位置が、図の切替えシンボルにおいて中央に示されている。
【0021】
図1内で左に示す操作ロッド24Aが操作力FAに従って操作され、ないしは移動した場合に、第1の弁ピストン16と第3の弁ピストン20が第1のシート17ないし第3のシート21から離隔し、従って第1の利用接続端Aからタンク接続端Tへの流体接続と供給接続端Pから第2の利用接続端Bへの他の流体接続が解放される。操作ロッド24Aの操作ないし移動によって、復帰装置34A、34Bが再び圧縮され、それによって第2のシート19ないし第4のシート23における第2の弁ピストン28と第4の弁ピストン22のそれぞれの圧接力がそれに応じて増大されるので、供給接続端Pから第1の利用接続端Aへの流体接続及び第2の利用接続端Bからタンク接続端Tへの他の流体接続は阻止されたままとなる。操作力FAによって達成可能な方向ポペット弁10の切替え位置が、図2の左に示されている。操作力FAの供給の終了後に、2つの第1の弁ピストン18と第3の弁ピストン20は復帰装置23A、34Bによって戻るように、かつ第1のシート17ないし第3のシート21に添接するように案内される。同様の操作ロッド24A、24Bが連動子26−32と共に再びその、操作されない状態におけるそれぞれの位置ないしポジションを占める。
【0022】
図1の右に示す他の操作ロッド24Bが操作ないし移動された場合に、第2の弁ピストン18と第4の弁ピストン22が第2のシート19ないし第4のシート23から離隔し、従って供給接続端Pから第1の利用接続端Aへの流体接続及び第2の利用接続端Bからタンク接続端Tへの他の流体接続が解放される。他の操作ロッド24Bの操作によって、復帰装置34A、34Bが圧縮され、従って第1のシート17ないし第3のシート21における第1の弁ピストン16と第3の弁ピストン20のそれぞれの圧接圧が増大されて、それに応じた利用接続端Aからタンク接続端Tへの流体接続及び供給接続端Pから第2の利用接続端Bへの他の流体接続が遮断される。他の操作力FBによる操作ロッド24Bの操作に相当する方向ポペット弁10の切替え位置が、図2の右に示されている。図2から容易に読み取ることができるように、方向ポペット弁10は、4つの流体接続端A、B、P、Tの間の流体接続のための3つの切替え位置を有する4/3方向ポペット弁である。他の操作力FBの供給の終了後に、2つの第2の弁ピストン18と第4の弁ピストン22は復帰装置34A、34Bによって戻るように、かつ第2のシート19ないし第4のシート23に添接するように案内される。従って操作ロッド24A、24Bは連動子26−32と共に再びその、操作されない状態におけるそれぞれの位置ないしポジションを占める。
【0023】
図1に示す方向ポペット弁10は、直接制御される弁である。本発明に係る方向ポペット弁10のパイロット制御される形態も、考えられる。対をなして互いに入り組む弁ピストン16−22、互いに入り組むないしは入れ子の操作ロッド24A、24B及びそれ以上示されていない操作装置の内部には、典型的に、供給接続端Pに生じる流体圧が印加される。連動子26−32の位置に従って、制御エッジの正又は負の重なりを実現することができる。さらに、連動子26−32によって、操作されない状態において、表現を変えると中央位置において、全ての弁ピストン16−22がそれぞれのシート17−23に添接し、それに応じた流体接続を遮断するように、誤差補償を達成することができる。必要に応じて、弁ピストン16−22に他のシール装置を形成することができる。図示の実施例において、一方の操作ロッド25Aは他の操作ロッド24Bを、ピストン室14の反対側の端部におけるロッド端部25Aまで把持している。従って他の操作ロッド24Bは、一方の操作ロッド24A内へ突出しており、該当するロッド端部は、図1には示されていない。
図1
図2