(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光検出器は、光学分析システム内の光学分析領域からの光信号を測定するよう構成され、前記測定された光信号は、1つ又はそれ以上の粒子から放出された光に基づく第1の寄与およびバックグラウンド信号に基づく第2の寄与を含み、
プロセッサは前記光検出器に結合し、前記プロセッサは:
前記測定された光信号に対応する複数のピクセル明度値を決定し、前記1つまたはそれ以上の粒子のいずれかの選択された半径内のいずれかのピクセルの明度値を破棄し、
前記第2の寄与の推定を決定し、前記推定は前記ピクセル明度値の選択された割合が前記推定以上であるように決定するように構成されるものであり、前記破棄されたピクセル明度値は、前記推定に寄与しない
ことを特徴とする光学分析システム。
【発明の概要】
【0003】
粒子画像生成デバイスにおける測定精度を向上するための方法を提示する。1つの実施形態では、本方法は、第1の粒子が放射する光を測定すること、及び第2の粒子が放射する光を測定することを含んでよく、測定した第2の粒子からの光は、測定した第1の粒子からの光と、重複領域において少なくとも部分的に重複する。いくつかの実施形態では、本方法は、重複領域における第1の粒子からの光の寄与を決定すること、及び重複領域における第2の粒子からの光の寄与を決定することを含んでよい。その上、本方法は、第1の粒子からの光の寄与から第2の粒子からの光の寄与を差し引くこと、及び第1の粒子が放射する光の明度を決定することを含んでよい。
【0004】
いくつかの実施形態では、第1の粒子及び第2の粒子が放射する光の測定を、2次元CCD検出器を用いて実施してよい。いくつかの実施形態では、光検出器はCMOS検出器又は量子ドット検出器であってよい。また、いくつかの実施形態では、重複領域における第2の粒子からの光の寄与の決定は、第2の粒子からの光のガウス分布を算出することを含んでよい。いくつかの実施形態では、測定した第2の粒子からの光の少なくとも一部分は、第1の粒子から反射される。重複領域における第2の粒子からの光の寄与の決定は、第1の粒子から反射された第2の粒子からの光を算出することを含んでよい。その上、第2の粒子からの光の寄与の決定は、第1の粒子と第2の粒子の間の距離を測定することを含んでよい。測定した第2の粒子からの光の量の決定は、第2の粒子の明度を測定することを含んでよい。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の粒子の測定を破棄することを含んでよい。
【0005】
粒子測定デバイスにおける測定精度を向上するための方法も提示する。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の粒子が放射する光を測定すること、及び第2の粒子が放射する光を測定することを含んでよく、第2の粒子が放射する光の少なくとも一部分は、第1の粒子から反射される。本方法はまた、第1の粒子から反射された第2の粒子からの光の寄与を決定すること、及び/又は第1の粒子の測定を破棄することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の粒子から反射された第2の粒子からの光の寄与が所定の値を超える場合に、第1の粒子の測定を破棄してよい。いくつかの実施形態では、第1の粒子から反射された第2の粒子からの光の寄与の決定は、第1の粒子と第2の粒子との間の距離を測定することを含む。その上、本方法は、2つの粒子間の相対明度を決定することを含んでよい。
【0006】
コンピュータ読み取り可能なコードであって、コンピュータがこのコードを実行することで、コンピュータが操作を実施するようになっているコードを備える、コンピュータ読み取り可能な有形媒体も提示する。いくつかの実施形態では、この操作は、第1の粒子が放射する光を測定すること、及び第2の粒子が放射する光を測定することを含んでよく、ここで、測定した第2の粒子からの光は、測定した第1の粒子からの光と、重複領域において少なくとも部分的に重複する。また、この操作は、重複領域における第1の粒子からの光の寄与を決定すること、及び/又は重複領域における第2の粒子からの光の寄与を決定することを含んでよい。いくつかの実施形態では、この操作は、第1の粒子からの光の寄与から第2の粒子からの光の寄与を差し引くこと、及び第1の粒子が放射する光の明度を決定することを含んでよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の粒子及び第2の粒子が放射する光の測定操作は、CCD検出器、CMOS検出器、及び/又は量子ドット検出器を用いて実施してよい。また、この操作は、重複領域における第2の粒子からの光の寄与を決定することを含んでよく、これは、第2の粒子からの光のガウス分布を算出することを含んでよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、測定した第2の粒子からの光の少なくとも一部分は、第1の粒子から反射される。いくつかの実施形態では、重複領域における第2の粒子からの光の寄与の決定は、第1の粒子から反射された第2の粒子からの光を算出することを含んでよい。第2の粒子からの光の寄与を決定する操作は、第1の粒子と第2の粒子との間の距離を測定することを含んでよい。いくつかの実施形態では、測定した第2の粒子からの光の量の決定操作は、第2の粒子の明度を測定することを更に含んでよい。いくつかの実施形態では、この操作は、第1の粒子の測定を破棄することを含んでよい。
【0009】
光学分析システムも提示する。いくつかの実施形態では、本システムは、第1の粒子が放射する光及び第2の粒子が放射する光を測定するよう構成した光検出器を含んでよく、ここで、測定した第2の粒子からの光は、測定した第1の粒子からの光と、重複領域において少なくとも部分的に重複する。その上、本システムは、光検出器に連結したプロセッサを含んでよく、ここで、プロセッサを、重複領域における第1の粒子からの光の寄与及び重複領域における第2の粒子からの光の寄与を決定するよう構成する。また、プロセッサを、第1の粒子からの光の寄与から第2の粒子からの光の寄与を差し引き、第1の粒子が放射する光の明度を決定するよう構成してもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、光検出器は、CCD検出器、CMOS検出器、及び/又は量子ドット検出器であってよい。また、プロセッサを、第2の粒子からの光のガウス分布を算出して、重複領域における第2の粒子からの光の寄与を決定するよう構成してもよい。その上、プロセッサを、第1の粒子から反射された第2の粒子からの光を算出するよう構成してよく、プロセッサが、重複領域における第2の粒子からの光の寄与を決定する。いくつかの実施形態では、プロセッサを更に、第1の粒子と第2の粒子との間の距離を測定して、第2の粒子からの光の寄与を決定するよう構成してよい。また、プロセッサを、第2の粒子の明度を測定し、測定した第2の粒子からの光の量を決定するよう構成してもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサを、第1の粒子の測定を破棄するよう構成してよい。
【0011】
粒子画像生成デバイスにおける測定精度を向上するための方法も提示する。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の光源を用いて粒子を照明すること、及び第1の光源に応じて粒子が放射する光の第1の測定を光検出器を用いて行うことにより、第1の画像を生成することを含んでよい。本方法はまた、第1の画像を補間することにより、第2の画像を生成することを含んでもよく、ここで、第2の画像は第1の画像より高い解像度を有する。その上、本方法は、第2の画像において粒子の中心を決定することを含んでよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法は第2の画像を統合することにより、粒子の明度を決定することを含んでよい。その上、本方法は、光の第1の測定の分析表示を生成すること、及び分析表示を統合することにより、粒子の明度を決定することを含んでよい。いくつかの実施形態では、本方法は、第2の画像のピクセルと予測分布との差を決定すること、及び、この差が所定の閾値を超える場合に、光の第1の測定を破棄することを含んでよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、予測分布はガウス分布であってよい。本方法はまた、第2の光源を用いて粒子を照明すること、及び第2の光源に応じて粒子が放射する光の第2の測定を光検出器を用いて行うことによって、第3の画像を生成することを含んでもよい。その上、本方法は、第3の画像において粒子の中心を決定すること、及び第2の画像の粒子の中心と第3の画像の粒子の中心の位置の差を決定することを含んでよい。いくつかの実施形態では、本方法は、この差に応じて、第2の画像と第3の画像との間のオフセットを算出することを含んでよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の画像と第3の画像を整列させることを含んでよい。また、本方法は、複数の粒子を用いて、第2の画像と第3の画像との間のオフセットを算出することを含んでもよい。
【0015】
コンピュータ読み取り可能なコードであって、コンピュータがこのコードを実行することで、コンピュータが操作を実施するようになっているコードを備える、コンピュータ読み取り可能な有形媒体も提示する。いくつかの実施形態では、この操作は、第1の光源を用いて粒子を照明すること、及び第1の光源に応じて粒子が放射する光の第1の測定を光検出器を用いて行うことにより、第1の画像を生成することを含んでよい。その上、この操作は、第1の画像を補間することにより、第2の画像を生成することを含んでよく、ここで、第2の画像は第1の画像より高い解像度を有し、また、第2の画像の粒子の中心を決定することを含んでよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、この操作は、第2の画像を統合することにより、粒子の明度を決定することを含んでよい。この操作はまた、光の第1の測定の分析表示を生成すること、及び分析表示を統合することにより、粒子の明度を決定することを含んでもよい。また、この操作は、第2の画像のピクセルと予測分布との差を決定すること、及び、この差が所定の閾値を超える場合に、光の第1の測定を破棄することを含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、予測分布はガウス分布であってよい。また、この操作は、第2の光源を用いて粒子を照明すること、第2の光源に応じて粒子が放射する光の第2の測定を光検出器を用いて行うことにより、第3の画像を生成すること、及び/又は第3の画像において粒子の中心を決定することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、この操作は、第2の画像の粒子の中心と第3の画像の粒子の中心の位置の差を決定すること、及び/又は、この差に応じて、第2の画像と第3の画像との間のオフセットを算出することを含んでよい。いくつかの実施形態では、この操作は、第1の画像と第3の画像を整列させることを含んでよい。また、この操作は、複数の粒子を用いて、第2の画像と第3の画像との間のオフセットを算出することを含んでもよい。
【0018】
光学分析システムも提示する。いくつかの実施形態では、本システムは、第1の光源に応じて粒子が放射する光を測定するよう構成した光検出器、及び光検出器に連結したプロセッサを含んでよい。このプロセッサを、光の第1の測定を行うことにより、第1の画像を生成するよう、及び第1の画像を補間することにより、第2の画像を生成するよう構成してよく、ここで、第2の画像は第1の画像より高い解像度を有する。また、このプロセッサを、第2の画像の粒子の中心を決定するよう構成してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、このプロセッサを、第2の画像を統合することにより、粒子の明度を決定するよう構成してよい。その上、このプロセッサを、光の第1の測定の分析表示を生成するよう、及び分析表示を統合することにより、粒子の明度を決定するよう構成してよい。いくつかの実施形態では、このプロセッサを更に、第2の画像のピクセルと予測分布との差を決定するよう、及び、この差が所定の閾値を超える場合に、光の第1の測定を破棄するよう構成してよい。いくつかの実施形態では、予測分布はガウス分布である。
【0020】
いくつかの実施形態では、このプロセッサを更に、第2の光源を用いて粒子を照明するよう、及び/又は、第2の光源に応じて粒子が放射する光の第2の測定を光検出器を用いて行うことにより、第3の画像を生成するよう、構成してよい。その上、このプロセッサを、第3の画像の粒子の中心を決定するよう、第2の画像の粒子の中心と第3の画像の粒子の中心の位置の差を決定するよう、及び/又は、この差に応じて、第2の画像と第3の画像との間のオフセットを算出するよう、構成してよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、このプロセッサを更に、第1の画像と第3の画像を整列させるよう構成してよい。その上、このプロセッサを更に、複数の粒子を用いて、第2の画像と第3の画像との間のオフセットを算出するよう構成してよい。いくつかの実施形態では、プロセッサを、第1の画像と第3の画像との間のオフセットを算出するよう構成してよい。
【0022】
用語「連結されている(coupled)」は、必ずしも直接的でなくてもよく、また必ずしも機械的でなくてもよい方法で、接続されていることを表すものと定義する。
【0023】
用語「(a及びan)」は、この開示において明らかに別の意味が必要とされない限り、1つ又は複数を表すものと定義する。
【0024】
用語「実質的に(substantially)」及びその変化形は、必ずしも全体でなくともよい大部分が、当業者が理解できる程度に明示されていることを表すものと定義し、1つの非限定的な実施形態では、「実質的に」は10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、最も好ましくは0.5%以内の範囲の明示を意味する。
【0025】
用語「備える(comprise)」(及び「comprises」や「comprising」等のあらゆる形態)、「有する(have)」(及び「has」や「having」等のあらゆる形態)、「含む(include)」(及び「includes」や「including」等のあらゆる形態)、並びに「含有する(contain)」(及び「contains」や「containing」等のあらゆる形態)は、同じような状態を表わす動詞である。よって、1つ又は複数のステップ又は要素を「備える」、「有する」、「含む」又は「含有する」方法又はデバイスは、これら1つ又は複数のステップ又は要素を所有するが、これら1つ又は複数の要素のみを所有すると限定されない。同様に、1つ又は複数の特徴を「備える」、「有する」、「含む」又は「含有する」方法のステップ又はデバイスの要素は、これら1つ又は複数の特徴を持つが、これら1つ又は複数の特徴のみを持つと限定されない。更に、ある方法で構成されたデバイス又は構造は、少なくともその方法で構成されているが、ここに挙げられていない複数の方法で構成されてもよい。
【0026】
他の特徴及び関連する利点は、添付の図面に関連する特定の実施形態に関する以下の詳細な記載を参照すれば明らかになるであろう。
【0027】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、本発明のある態様を更に説明するために含まれるものである。本明細書中の特定の実施形態の詳細な記載と組み合わせて、これらの図面の1つ又は複数を参照することにより、本発明をよりよく理解することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付の図面に図示し、かつ以下に詳細に記載した非限定的な実施形態を参照して、様々な特徴及び有利な詳細をより完全に説明する。公知の出発材料、処理技術、構成要素及び設備は、不必要に本発明の詳細を不明瞭にしてしまわないよう、省略する。しかしながら、詳細な記載及び特定の実施例は、本発明の実施形態を示してはいるものの、単なる説明のためのものであり、限定的なものではないことを理解するべきである。この開示から、本発明の根底にある概念の精神及び/又は範囲内での様々な代替、修正、追加、及び/又は再編成が当業者に明らかとなるであろう。
【0030】
ここでは実施形態を粒子に関して記載するが、ここに記載するシステム及び方法は、微細球、ポリスチレンビーズ、微粒子、金ナノ粒子、量子ドット、ナノドット、ナノ粒子、ナノシェル、ビーズ、ミクロビーズ、ラテックス粒子、ラテックスビーズ、蛍光ビーズ、蛍光粒子、着色粒子、着色ビーズ、組織、細胞、微生物、有機物、無機物、又は当該分野で公知の、他のあらゆる呼び名のついている物質にも用いることができる。適切な粒子の例は、Fultonに付与された米国特許第5736330号、Chandlerらに付与された米国特許第5981180号、Fultonに付与された米国特許第6057107号、Chandlerらに付与された米国特許第6268222号、Chandlerらに付与された米国特許第6449562号、Chandlerらに付与された米国特許第6514295号、Chandlerらに付与された米国特許第6524793号、及びChandlerに付与された米国特許第6528165号に示され、記載されており、これらはその全体を参照することにより本明細に組み込まれるものとする。ここで記載するシステム及び方法は、これらの特許に記載されたいかなる粒子にも用いてよい。加えて、ここで記載する方法及びシステムの実施形態において使用する粒子は、テキサス州オースティンのLuminex Corporation等の製造者から得てよい。用語「粒子」「ビーズ」及び「微細球」は、ここでは可換的に用いられる。
【0031】
加えて、ここで記載するシステム及び方法に適合する粒子のタイプは、粒子の表面に接着した、又は粒子の表面と結びついた蛍光材料を有する粒子を含む。これらのタイプの粒子では、蛍光染料又は蛍光粒子が粒子の表面に直接連結し、それによって蛍光物質としての分類を提供する(即ち、粒子のアイデンティティ又は粒子が属するサブセットを決定するために、蛍光放射を測定及び使用する)が、これらはChandlerらに付与された米国特許第6268222号、Chandlerらに付与された米国特許第6649414号に示され、記載されており、これらはその全体を参照することにより本明細に組み込まれるものとする。ここで記載する方法及びシステムで使用可能な粒子のタイプはまた、粒子の核に組み入れられた蛍光色素又は蛍光染料を有する粒子を含む。
【0032】
ここで記載する方法及びシステムで使用可能な粒子のタイプは更に、1つ又は複数の適切な光源にさらされると、1つ又は複数の蛍光信号を呈する粒子を含む。更に、励起時に粒子が複数の蛍光信号を呈し、その各々は別個にまたは組み合わせて、粒子のアイデンティティを決定するために使用されるよう、粒子を製造してもよい。以下に記載するように、画像データ処理は、特に複数の被検質を含む流体に関しては粒子の分類と、粒子に結合している被検質の量の決定とを含んでよい。レポータ信号は、粒子に結合している被検質の量を表すものであるが、これは典型的には操作中は未知であるため、(1つ又は複数の)分類波長又は(1つ又は複数の)波長帯域だけでなく、レポータ波長又は波長帯域で蛍光を放射する、特別に染色された粒子を、ここで記載する工程に使用してもよい。
【0033】
ここで記載する方法は一般に、粒子の1つ又は複数の画像及び画像から測定した処理データを分析し、粒子の1つ又は複数の特徴、例えば非限定的な例としては、複数の検出波長における粒子の蛍光放射の強度を表す数値などの特徴を決定することを含む。1つ又は複数の数値を用いて、粒子が属する複合サブセットを示すトークンID、並びに/又は粒子の表面に結合している被検質の存在及び/若しくは量を示すレポータ値を決定することなどの、粒子の1つ又は複数の特徴の続く処理は、Fultonに付与された米国特許第5736330号、Chandlerらに付与された米国特許第5981180号、Chandlerらに付与された米国特許第6449562号、Chandlerらに付与された米国特許第6524793号、Chandlerに付与された米国特許第6592822号、Chandlerらに付与された米国特許第6939720号、及び米国特許第2007/0064990号(これらはその全体を参照することにより本明細に組み込まれるものとする)に記載の方法に従って実施することができる。一つの例として、Chandlerらに付与された米国特許第5981180号に記載された技術は、単一のサンプルで複数の被検質を分析できるように粒子をサブセットに分類するための複合スキームにおいて、ここで記載する蛍光測定とともに使用してよい。一つの例として、ここで記載する方法はMagPix分子診断機器で使用することができる。MagPixは、ランダムに分布する数千の磁性ビーズの蛍光明度を測定する、自動化された画像処理ソフトウェアを有する蛍光顕微鏡である。
【0034】
ここで図面を参照すると、
図1は画像生成サイトメトリのためのシステム100を示す。
図1は一定の縮尺で描かれており、システムの詳細を不明瞭にしてしまわないよう、図示されていないシステムの要素もあることに留意されたい。
【0035】
本システムは、1つ又は複数の粒子110を有してよい画像生成チェンバ102を有する。
図1に示すように、粒子110は画像生成チェンバ102に沿って均一に分布していなくてもよく、粒子群112のように密接する粒子が存在することにもなり得る。いくつかの実施形態では、粒子はランダムに分布している。従って、画像生成チェンバ102内に多くの粒子が存在すればするほど、2つの粒子が密接する蓋然性は高くなる。
図1はまた、第1の光源104及び第2の光源106を示し、ここでこれらの光源を、画像生成チェンバ102上で粒子110を照明するよう構成する。いくつかの実施形態では、これらの光源は発光ダイオード(LED)であってよい。第1の光源104は第2の光源106と異なる色(即ち放射する光の波長)を有してよい。光線114は第1の光源104が放射する光を表す。そして、光線114は粒子110を照明してよく、この粒子は蛍光を発する。粒子110が生成した蛍光は次に、光検知器108へと放射されてよい。
図1の光線116は、粒子110が放射する蛍光を表す。
【0036】
光検知器108を、粒子110が放射する蛍光を検出するよう構成する。この光検知器は、CCD検出器、CMOS検出器、量子ドット検出器、又はその他の検出器であってよい。いくつかの実施形態では、光検出器108が低ノイズであり、かつ高い解像度を有すようにすると有益である。CCD検出器は、2次元画像を生成する、2次元のピクセルアレイであってよい。例えば、本出願で使用し得るCCD検出器は、Kodak社製KAI-4021である。
【0037】
いくつかの場合では、2つ又はそれ以上の粒子が密接してもよい。このような場合、光検出器108で測定される光は密接し得、重複さえし得る。従って、2つ又はそれ以上の粒子が密接するこのような場合、2つの異なる粒子からの光を測定するピクセルが存在し得る。システムの測定精度を向上する努力において、2つの異なる粒子からの光の重複は、各粒子の光の寄与を決定するために差し引いてよい。代替として、重複する粒子の計測は、重複が検出された後で破棄することができる。
【0038】
光検出器108は、プロセッサ118に連結されている。このプロセッサを、CCD検出器からの生のデータを受け取り、このデータを処理して、粒子110に関する有用なデータを得るよう構成する。いくつかの実施形態では、このプロセッサは、必要なメモリ、データ格納デバイス、及び入力/出力デバイスを有する専用のプロセッサであってよく、又は、ここで記載する機能を実施するようプログラムしたパーソナルコンピュータであってもよい。プロセッサが使用するデータ格納デバイスは、ハードドライブ、光学ドライブ、又はフラッシュメモリデバイス等の有形格納媒体である。入力/出力デバイスは、ユーザに情報を出力するモニタであってよく、又は、粒子110に関して収集した情報を遠隔地に送信することができる、イーサネット(登録商標)コントローラ等の通信デバイスであってもよい。その上、データを有形形態に出力するためにプリンタを用いてよい。
【0039】
図2Aを参照すると、2つの粒子が放射した光を線で示している。粒子202からの光のピーク、及び粒子204からの光のピークが存在する。この例では、粒子202からの光の明度は、粒子204からの光の明度より有意に高い。しかし、2つの粒子が若干重複し、粒子202からの光が、粒子204から計測される光に寄与している。いくつかの実施形態では、粒子204による光を、粒子202による光から差し引いてよい。従って、粒子202に関する測定は、粒子204が存在しないとした場合の粒子202の測定の結果に近くなり得る。この方法の一つの利点は、より多くの粒子を正確に測定し得、これによってシステム全体の精度が向上することである。
【0040】
図2Bを参照すると、このグラフもまた、密接する2つの粒子が放射する光を示す。しかし、粒子206の明度は、粒子208からの光の明度に比較的類似している。この図に示すように、これら2つの粒子には相当大きな重複があり、粒子208からの光の、粒子206に対する寄与の決定はかなり難しい。このような状況では、粒子に関する2つの測定を破棄してよい。代わりに、測定したピークに基づく標準ガウス分布を用いてこれらの粒子の分布を近似してよく、これらの粒子の傾きは他の粒子によって少なくとも影響を受ける。例えば、粒子206のピーク及び/又は粒子206の左の傾きを、粒子206の予測分布を近似するために使用してよい。次に、予測分布を用いて、粒子206のピークの両側の光(これは粒子208からの光を含む)を測定するのではなく、粒子206が放射する光の明度を決定することができる。同様の(ただし鏡像関係の)工程を粒子208に用いて、粒子206の寄与を除いた粒子208の明度を決定してよい。隣接した粒子の寄与を差し引くことで、より多くの粒子を測定し得、これによってシステムの精度が向上する。
【0041】
図3を参照すると、CCD検出器を用いた複数の粒子の測定を示す。例えば、重複領域306で重複する粒子302及び粒子304が存在する。ここで記載する方法を用いて、粒子302及び304が密接していても、これらの粒子を正確に測定することができる。
【0042】
図3はまた、別の粒子からの光を測定するピクセルへの光に、ある粒子が寄与しているような、別の状況も示す。粒子308及び310は、これらの中心付近の白点から見ると、比較的明るい粒子である。粒子308と粒子310との間に別の粒子312があり、この粒子312はより暗い。粒子312の一つの態様として、その中心が周辺よりも暗い。典型的には、粒子が実質的に丸い場合、測定した光は中心で最も明るくなる。しかし、粒子312では、その縁部が、粒子312の中心より明るい粒子308及び310に極めて近い。粒子312の縁部で測定したこの光は、粒子308及び310からの反射又は屈折によるものである。粒子312が実際に生成する光の正確な測定を得るために、粒子308及び310からの寄与を差し引く必要がある。反射から光の寄与を差し引く一つの方法は、近接する粒子の表面から反射すると予測される光の量を算出することである。いくつかの実施形態では、この予測される光を算出する方法は、近接する粒子の距離を測定することを含む。
図3では、粒子308が粒子312に近ければ近いほど、粒子312の表面からより多くの光が反射すると予測される。また、粒子308が明るければ明るいほど、粒子312の表面からより多くの光が反射すると予測される。懸濁液の媒質又は粒子の材料及びサイズ等、その他のパラメータは、どの程度の量の光が反射するかに影響を与え得るので、粒子の表面から反射すると予測される光の量を算出するのに使用してよい。
【0043】
粒子の表面から反射する光に加えて、光は粒子又は粒子の表面を通して屈折もし得る。粒子と懸濁液の媒質との間で屈折率は異なり得るため、光は、粒子にある角度で入射し、別の角度で出射し得る。従って、粒子308からの光は、実質的に粒子312へ向かって進み、粒子312を通して屈折し、最終的に光検出器108に到達し得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、より高い明度を有する粒子の近くにあるために、ある粒子を破棄してよい。粒子308と粒子312が近接し、かつその明度に比較的大きな差があるために、粒子312を測定において破棄してよい。誤差を有すると分かった測定を破棄することにより、システム全体の精度が向上し得る。いくつかの実施形態では、測定をいつ破棄すべきかを決定するために表を用いてよい。隣接する粒子が遠くにあればあるほど、粒子の測定を破棄する前の近接する粒子はより高い明度となることができる。無指向性ラジエータの放射明度は距離の2乗に比例して低くなるため、隣接する粒子の許容可能な明度は距離の2乗に従って高くなり得る。表1は、粒子をいつ破棄すべきかを決定するために用いることができる、距離と明度の関係の一例である。明度の尺度は単に比較の意味で示したものであり、光の明度の実際の単位を示すものではない。表1における値の関係は、光の予測消散と距離が1/r^2となることに従っている。例えば、20ピクセル離れた粒子を破棄するための閾値は、10ピクセル離れた粒子を破棄するための閾値の4倍である。この表は例として挙げるものであり、限定的なものではない。
【0046】
いくつかの実施形態では、明度と距離の他の関係を、粒子の測定を破棄すべきかどうかを決定するのに用いてもよい。例えば、表2は、測定を破棄するために使用し得る相対明度を示す。この例では、明度(ここでも比較の意味で示している)は経験的に導いてよく、個々のピクセルの差の生の値を示してよい。例えば、6ピクセル離れた粒子上の個々のピクセルの値が、対象となっている粒子のピークのピクセに比べの7000「単位」よりも大きい場合は、隣接する粒子の明度が測定に悪影響を及ぼす可能性があるため、対象となっている粒子を破棄してよい。また、この例では、対象となっている粒子のピークのピクセルから4ピクセル以内の距離にある全ての隣接するピクセルは、対象となっている粒子そのものの範囲内にあると推定されるため、無視される。また、例えば、ピークとピクセルの間が20ピクセル離れている場合は、それらの明度の差に関わらず、いずれのピクセルも破棄すべきでない。
【0048】
いくつかの実施形態では、個々の粒子を測定してよく、また、測定を、測定精度を向上するために処理してよい。
図4Aは、CCD検出器を用いた粒子の測定からの生のデータを示す図である。この図は11ピクセル×11ピクセルであり、1つの粒子を示す。粒子の中心は大まかに判断し得るものの、中心の精度は良くて1ピクセル又は1/2ピクセルであろう。この画像は、粒子を光源104で照明することで生成される。粒子110は、粒子の内部又は粒子の表面に蛍光材料を有してよい。光源104からの光114によって、この蛍光材料に蛍光を発生させ、光116を放出させてよい。次に光116を、光検出器108で検出してよい。光検出器はCCD検出器であってよく、これがプロセッサ118に情報を転送してよい。
図4Aに示す情報は生のデータであり、即ち、光検出器108によって生成された、いかなる処理も受けていない情報である。プロセッサ118はこの生のデータを受け取り、粒子が含有する物質に関する情報等の有用な出力を生成するために、このデータを操作する。いくつかの実施形態では、プロセッサは2つ以上のプロセッサを備えてよい。例えば
図1に示すように、光検出器108は、情報の処理のうち幾分かと、プロセッサ118への通信とを実施するプロセッサを有してよい。プロセッサ118はこの情報を受け取り、有用な出力を生成するためにこれを更に処理してよい。
【0049】
図4Bは、
図4Aの測定した粒子の3次元グラフ表示を示す。
図4Bに見られるように、粒子の明度は粒子の中心で明らかに高く、しかし粒子の実際の位置は容易には測定できない。
【0050】
ある実施形態では、
図4Aの測定を補間して
図5Aの画像を生成することにより、粒子の位置の精度を向上する。
図5Aは、110ピクセル×110ピクセルを有する画像を示す。
図5Aに含有される情報は、
図4Aの情報から補間を用いて算出される。いくつかの実施形態では、使用する補間はスプライン補間である。いくつかの実施形態では、使用する補間は多項式補間である。また、いくつかの実施形態では、粒子の中心に近い領域のみを補間し、システムに必要なリソースを削減してよい。
【0051】
補間を用いる一つの利点は、粒子の中心をより正確に位置決めし得ることである。例えば
図5Aでは、最も明度の高いピクセルを、粒子の中心を決定するのに用いることができる。
図4Aに比べて、粒子の中心を約10倍の正確さで決定し得る。本システムの一つの利点は、検出器を単独で用いて決定できるよりも高い精度で、粒子の中心を決定し得ることである。従って、制限された解像度のCCD検出器は、より向上した解像度を有する出力を与えることができる。これにより、本システムは、安価でノイズが少ない、より低解像度のCCD検出器を備えることができ、又は、本システムは最高解像度のCCD検出器で得られるよりも高い解像度を達成できる場合がある。その上、補間方法は、光学的性質に起因する解像度のロスを補償する助けにもなり得る。いくつかの実施形態では、レンズを用いればシステムをよりコンパクトにすることができるが、測定した粒子の解像度に悪影響を与え得る。補間により、解像度のロスをオフセットしてよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、予測分布が既知であり得るため、粒子の明度を粒子のピーク値から算出してよい。いくつかの実施形態では、粒子の明度を、補間画像を統合することによって測定してよく、これは結果として測定した明度のより高い解像度につながり得る。粒子の測定した明度は、この粒子からの光を受ける全てのピクセルの合計を含む。従って、この明度を求める一つの方法は、全てのピクセルの明度を足し合わせることである。粒子の中心の検出における、より高い解像度と同様、粒子の明度を、補間画像を統合することにより、より高い解像度で検出してよい。特に、
図4Bに示す粒子の明度を、
図4Bの全てのピクセルの高さを足し合わせることにより決定できる。同様に、
図5Bの全てのピクセルの高さを足し合わせて(そして、
図5Bは
図4Bの100倍の点を有するため、100で割って)、向上した解像度で粒子の明度を求めることができる。測定した粒子の明度を、向上した精度で決定できるため、システム全体の精度が向上する。異なる粒子間で明度レベルが異なることが認められ、これにより、異なる粒子間で吸収のレベルが異なることも見いだせる。本システムの目標は蛍光材料の量を測定することであり、蛍光材料の明度の測定精度は本システムの性能に直接的に結びついている。
【0053】
いくつかの実施形態では、粒子の分析表示を、生のデータ画像または補間画像を用いて算出してよい。この実施形態では、ガウス形曲線等の曲線を測定する点に適合させてよい。この曲線の分布は、レンズの点像分布関数から、ガウス分布であってよい。そして、等式又はマトリクスで表してよい予測曲線を用いて、粒子の中心又は粒子の明度を決定してよい。例えば、粒子の中心は、曲線の導関数がゼロに等しくなる点である。導関数がゼロに等しくなる点が2つ以上ある場合、画像は2つ以上の点を含み得る。また、この等式を中心のある半径の周りで統合して、粒子の明度を決定してもよい。
【0054】
粒子の中心からの距離rを有する点pの明度は、等式1によって推定できる。
【0056】
ここで、a及びbは定数である。特に、aは中心のピーク明度値であり、bは減衰率である。値bは、較正時間にN個のデータ点の集合p
1…p
Nから、等式2に示す最小二乗法を用いて推定してよい。
【0058】
ここで、cは粒子の中心である。対数の性質により、小さい値は大きい値よりも誤差に大きく寄与することに留意されたい。これは、粒子の中心に近い値を、粒子の中心から遠い値より強く重み付けする効果がある。半径r
1がr
2に増加すると、円の内部に含まれるピクセルの数は比r
1/r
2の2乗だけ増加するため、この重み付けは適切である。従って、粒子の中心に近い点は、粒子の中心から遠い点よりも重要性が高い。
【0059】
I(p)を、画像中の点pの明度とする。E(p)は、予測明度f(p)からの誤差を意味し、以下のようになっている。
【0061】
ここで、N(r)は正規化関数であり、中心に近いピクセルを中心から遠いピクセルより強く重み付けする役割を果たす。N(r)の一つの特定の選択肢は、以下の通りである。
【0063】
粒子を分類に供するには、以下の式が必要である。
【0066】
ある定数ε
1及びε
2に対して、p
1・・・p
Nは粒子の中心から特定の半径内にある。
【0067】
いくつかの実施形態では、好ましくはサブピクセルの正確なピーク位置について、想定されるガウス分布曲線に対する明度の類似性を粒子が呈するかどうかを定量化するために、粒子識別を実施してよい。粒子のピーク位置qのある特定の半径内にあるピクセルの集合Pについて考えると、理想的に画像化された粒子は、等式1の形式を有するガウス分布曲線をなぞる明度プロフィールを呈すると想定され、ここで、rはPの要素pからqまでのユークリッド距離、aはqにおける明度値、bは負の符号を有する明度減衰パラメータである。粒子を識別するためのアルゴリズムは、あるメトリック下での明度(p)対f(||p−q||)の誤差を測定し、この誤差をP内の全てのピクセルについて累積して、この誤差が手順を進めるにあたって十分に小さいことを確認する。誤差が十分に小さくなければ、更なる手順からこの粒子を破棄することができる。好ましくは、精度をより高めるために、識別をサブピクセル画像の座標空間で行う。
【0068】
図6Aは、複数の粒子を含有する画像の生のデータを示す。
図6Bは、3次元描画における補間された情報を示す。粒子602を正確に測定し、粒子の明度に関する信頼性の高い情報を得てよい。しかし、信頼性の高い情報を提供するには密接しすぎた位置に他の粒子がある場合がある。一つの実施形態では、開示する方法は、粒子をいつ考察し、出力の生成に使用すべきか、及び粒子をいつ破棄すべきかを決定する。一つの実施形態では、粒子のピーク明度及び粒子の既知のサイズをもとに、予測分布を算出する。例えば、全ての粒子がある特定のサイズを有する場合、測定する光のガウス分布を予想することができる。従って、粒子のピーク明度を測定することによって、粒子の残りの部分の形を推定することができる。次に、測定が2つ以上の粒子からの光を含んでいるかどうかを決定するために、推定した形を用いることができる。例えば、予測分布から、粒子の中心から2ピクセル離れたあるピクセルが、中心のピクセルの50%の明度を有することを予想してよい。従って、いずれかの方向に2ピクセル離れたあるピクセルが、中心のピクセルの80%の明度を有する場合、付近に別のピクセルが存在すると推論することができる。このような状況では、明度を決定するためには、粒子を統合するよりも、測定を破棄する方が好ましいと決定してよい。付近に光に寄与するような粒子が存在する場合、測定した明度は不自然に増大しており、これは不正確な測定につながり得る。
【0069】
図7は、光検出器108が測定した、互いに近くに存在する2つの粒子702及び704のグラフを示す。実線は、粒子702及び704の測定した明度を示す。破線は、粒子702の予測分布を示し、これは、粒子702のピーク及び/又は粒子702の左側の傾きによって算出してよい。破線を用いて、粒子702の寄与を差し引いて粒子704の測定を求めることができる。代わりに、破線を用いて、粒子702及び/又は704の測定をいつ破棄するべきかを決定することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、一連の粒子に対して2つ以上の画像を得る。例えば、第2の光源106を用いて第3の画像を得てよく、ここで、第2の光源106は、第1の光源104からの光114と異なる波長の光115を放射する。第2の光源106が異なる波長で光115を放射するため、第2の光源106を、粒子110に存在し得る第2のタイプの蛍光材料を検出するために用いてよい。従って、粒子110が、第2の光源106からの光によって蛍光を発し、かつ第1の光源104からの光によっては蛍光を発しない材料を有する場合、第3の画像は、第1の画像にはない位置に粒子を有し得る。しかし、ある場合において、第1の画像と第3の画像の両方である単一の粒子が測定されてよく、この粒子を用いて第1の画像と第3の画像を整列させることができる。例えば、第1の画像と第3の画像を数ピクセルだけオフセットする場合、第1の画像における粒子の中心が、第3の画像における同じ粒子の中心からオフセットされるようにこれらを整列させることができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の粒子を用いて、異なる画像を整列させてよい。いくつかの実施形態では、画像を整列させるために多くの粒子を用いてよく、ここで、多くの粒子から測定したオフセットを平均する。いくつかの実施形態では、いくつかのオフセットは誤った測定を示すことがあるため、これらを破棄してよく、残りのオフセットを平均してよい。
【0071】
以下の概略的なフローチャートは、一般に論理的フローチャートとして挙げるものである。従って、記載した順序や表示してあるステップは、ここで提示する方法の一つの実施形態を表すものである。図示した方法の1つ若しくは複数のステップ又は部分と、機能、論理、又は効果の点で同等であるような他のステップ及び方法も考えることができる。その上、ここで用いたフォーマット及び記号は、本方法の論理的ステップを説明するために提供したものであり、本発明の範囲を限定するものとは理解されない。様々な種類の矢印や線をフローチャートで用いてよいが、これらは対応する方法の範囲を限定するものとは理解されない。実際、いくつかの矢印又は他の接続記号は、本方法の論理的な流れを示すためにのみ使用され得る。例えば、矢印は、記載した方法の列挙したステップ間の不特定の期間の待ち時間又は監視時間を表してもよい。その上、特定の方法を実施する順序は、図示した対応するステップの順序に強く縛られてもよいし、そうでなくてもよい。
【0072】
図8は、画像生成サイトメトリにおける測定精度を向上するための方法800の一つの実施形態を示す。一つの実施形態では、方法800はステップ802で始まる。ステップ802では、光源104を用いて粒子110を照明し、すると粒子110は蛍光を発して光を放射し、この光を光検出器108で測定する。ステップ804では、第2の粒子からの光を、同じ光検出器108を用いて測定する。いくつかの実施形態では、802と804の測定は同時に達成される。ステップ806では、各粒子からの光の寄与を決定する。いくつかの実施形態では、粒子からの光の寄与を決定するこのステップは、既知のパラメータ及び測定したパラメータに基づいて光の予測分布を算出することを含む。例えば、既知のパラメータは、粒子の半径であってよい。測定したパラメータは、粒子のピーク明度であってよい。既知のパラメータ及び測定したパラメータを用いて、粒子の予測分布を算出してよい。例えば、予測分布は、等式1が表すようなガウス分布であってよい。いくつかの実施形態では、粒子の分析表示を算出することで予測分布を決定してよい。いくつかの実施形態では、予測分布を近似するヒューリスティックを用いてよい。例えば、ピクセルが粒子の中心からどの程度離れるかに依存して、特定の割合でピクセルの明度が減衰する、と近似してよい。ステップ808では、予測分布を用いて、ある粒子の測定から別の粒子の寄与を差し引いてよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、各粒子を各画像チャネルの正しい位置に確実に結びつけるために、画像間整列ステップを実施してよく、ここで、整列誤差は、画像座標のx及び/又はy方向の変換Tであると仮定する。ピーク探索をある画像チャネルで実施できる場合、画像間整列アルゴリズムによって、画像チャネルにわたる検出したピークを整列させる。ピーク探索を、全てではないがいくつかの画像チャネルで実施できる場合、画像間整列アルゴリズムは、ピークが発見された全ての画像チャネルにわたるピーク値の平均位置qを、ピーク探索を実施できないチャネルc内の粒子の位置の初期値として使用する。そして、cにおいてqを1/sサブピクセルステップで、最大+/−rピクセルだけ、両軸に沿って摂動させ、最大光学パラメータを生む摂動値pを得ることにより、この位置qを精緻化する。全ての粒子に関して、画像間粒子変位を、ベクトルq−pとして算出し、このベクトルを記録する。よって、各粒子は好ましい整列変位を選択する。全ての粒子がそれぞれ好ましい整列変位を選択した後、変換Tを満たす、統計的に重要な全体的な変位を、このベクトル票空間における主要クラスタとして見なすことができる。主要クラスタの位置決めを行い、このクラスタの集団の中心を、Tを満たす画像間整列ベクトルとしてコンピュータ処理する。
【0074】
いくつかの実施形態では、画像間整列ステップは、境界正方形又は境界円を用いて、複数の粒子の中心を見つけ出すことを含んでよい。一つの方法によると、特定のサイズ(例えば5ピクセル×5ピクセル)の全ての可能な境界正方形を合計して、所定の値より大きい二乗和の値を有する正方形を、粒子の中心を内包するものと見なす。この技法は、表面染色の分布が粒子の領域にわたって均一でない場合に、単に最大ピクセル強度を見つけ出すよりも正確であり得る。例えば、蛍光染色分子が粒子の表面に不均一に分布している場合、染色から放射される最大の光は、粒子の中心に由来するものではなく、測定した光はガウス分布を有さないことがある。
【0075】
図11A〜11Eは、境界領域法のいくつかの実施形態を示す。記載した第1の実施形態は、辺の長さが変化する境界正方形を用いる方法である。
ある制限Zに従って選んだ最適化パラメータについてピクセル値の合計をとることになる場合、その合計は以下のように合計行列の予備計算を行う事によって効率的に計算しなくてはならない。ここで定数Zは中心が点pであり、一辺の長さが2*w+1である境界正方形の内側のピクセル値を特徴づける値である。
【0076】
L=s*k+rとする。pを中心とした一辺の長さN=2*L+1の境界正方形の内部に属するすべてのピクセルを、一時的な行列Mにコピーする。行列Mは左端境界(最小のx座標)と上端境界(最小のy座標)全体に0をバッファしておいたものである(ステップA)。
【0077】
行列Mの、長さN+1の行Rをとり、左端でR[−1]に0成分が入っているように書く。Mの各Rについて以下のようにする。
【0079】
各整数i(0≦i≦N−1)について、(ステップB0)
【0080】
sumをsum+R[i]に更新する。
【0082】
任意に与えられたkについて、R[k]は、行列Mの行Rを、左端からk番目までの全ての値をk番目も含めて全て合計した値を示すものとする。
【0083】
ここで、行列Mの、長さN+1の列Cをとり、上端でC[−1]に0成分が入っているように書く。Mの各Cについて以下のようにする。
【0085】
各整数i(0≦i≦N−1)について、(ステップC0)
【0086】
sumをsum+C[i]に更新する。
【0088】
ここで、中心の座標がp=<x,y>であり、一辺の長さ2*w+1である境界ボックスに含まれる画像の全ピクセルの合計は以下のように計算できる。
【0089】
sum=M[u1,v1]+M[u0,v0]−M[u1,v0]−M[u0,v1](ステップD0)
【0090】
ただし: u0=(p−q).x+L−w−1、v0=(p−q).y+L−w−1
【0091】
u1=(p−q).x+L+w、v1=(p−q).y+L+w
【0092】
ここで、最大の合計値をとる位置pを効率的に求めることができる。
【0093】
例として、ステップAにおいてピクセル値をコピーした後の、
図11Aに示される行列1102を考える。目標は境界正方形1104の内側にあるピクセルの合計値を求めることである。ステップB0及びC0に記されたとおりに各行及び各列の合計を計算すると、
図11Bに示される、各セルが、
図11Aでの一つのピクセルと対応しており、上側及び左側にある全てのピクセルと自分自身との合計を包含しているようになっている、行列1106を得る。例えば、
図11Bにおいて領域1108には、
図11Aにおける正方形1105の全ピクセルの合計値が入っている。行列1106がすでに計算されていれば、境界正方形の合計を計算するのは迅速になる。例えば、
図11Aにおける境界正方形1104の合計を求めるには、単純に正方形1108から正方形1112の値を減じ、正方形1116の値を減じ、正方形1114の値を加えればよい。この例では10224−5310−4472+2295=2737が、
図11Aにおける境界正方形1104内の全ピクセルの合計値となる。この境界正方形の方法を用いる利点の一つは、あらゆる可能な境界正方形の合計を求めるのが迅速になることであるが、同時にまた、境界正方形を単に最大値を用いるだけで使えるという利点も提供される。
【0094】
別の実施形態では、固定長をもつ境界正方形が用いられる。境界正方形の合計値は、計算してから一つの行列に格納してよい。例えば、pを中心として一辺の長さ2*r+1(ここでrは1以上の固定した整数)の境界正方形内部のピクセルを特徴付ける最適化パラメータへの入力としてピクセルに制限Zがかけられるようにする場合、ステップBは以下のように変形される:
【0095】
行列Mの、長さN+1の行Rをとり、左端でR[−1]に0成分が入っているように書く。Mの新しい行RをR’とする。Mの各Rについて以下のようにする。
【0098】
各整数i(0≦i≦w−1)について、
【0099】
sumをsum+R[i]に更新する。
【0103】
sumをsum+R[i]に更新する。
【0105】
sumをsum−R[i−w]に更新する。
【0106】
ステップCは以下のように変形される:
【0107】
行列Mの、長さN+1の列Cをとり、上端でC[−1]に0成分が入っているように書く。Mの新しい行CをC’とする。Mの各Cについて以下のようにする。
【0110】
各整数i(0≦i≦N−1)について、
【0111】
sumをsum+C[i]に更新する。
【0114】
各整数i(w≦i≦N−1)について、
【0115】
sumをsum+C[i]に更新する。
【0117】
sumをsum−C[i−w]に更新する。
【0118】
ここで、中心の座標がp=<x,y>であり、一辺の長さ2*r+1である境界ボックスに含まれる画像の全ピクセルの合計は以下のように計算できる。
【0119】
sum=M[u1,v1](ステップD1)
【0120】
ただし、u1=(p−q).x+L+r、v1=(p−q).y+L+r
【0121】
例えば、行列1102上でステップB1及びC1が計算された後、
図11Dの行列1120を得る。境界正方形1122に対応するピクセルの合計を求めるには、単純に正方形1124を見ればよい。この方法を用いる利点の一つは、一度行列1120が計算されてしまったあとは、境界正方形の合計を求めるのに、ごくわずかなリソース又は時間しか必要としない点である。
【0122】
第三の実施形態では、直径が変化する境界円を用いてよい。この実施形態では、pを中心として直径2*r+1(ここでrは1以上の固定した整数)の境界正方形内部のピクセルを特徴付ける最適化パラメータへの入力としてピクセルに制限Zがかけられるようにする場合、ステップA及びB0からC0を前述のように実行してよく、
図11Bの行列1106を得る。次に、中心がp=x,yであって直径2*r+1の閉じた円の内側の画像に含まれる全ピクセルの合計を、以下のステップを実行することによって決定することができる:
【0126】
/*中心を通る水平線上のピクセルの寄与を計算*/
【0127】
sumをsum+M[u+r,v]−M[u−r−1,v]に更新する。
【0131】
s=floor(sqrt(r^2−y^2))とする。
【0132】
//中心より下側の水平線の寄与を計算
【0133】
sumをsum+M[u+s,v+y]−M[u−s−1,v+y]に更新する。
【0134】
//中心より上側の水平線の寄与を計算 sumをsum+M[u+s,v−y]−M[u−s−1,v−y]に更新する。
【0135】
さらに別の実施形態では、固定直径をもつ境界円を用いてよい。いくつかの実施形態では、円が粒子のプロファイルによりよい適合を与えるようにしてよい。この実施形態を用い、上記の制限Zに対して直径2*r+1を与える値rが固定されているならば、円と各水平線との交わりは予備計算して表に格納しておくことができる。こうして、ステップDを以下のように書き直すことができる:
【0139】
/*中心を通る水平線上のピクセルの寄与を計算*/
【0141】
sumをsum+M[u+s,v]−M[u−s−1,v]に更新する。
【0142】
各y(1≦y≦Table.Length−1)について、
【0143】
//検索によって直線と円との交点を得る
【0145】
//中心より下側の水平線の寄与を計算
【0146】
sumをsum+M[u+s,v]−M[u−s−1,v]に更新する。
【0147】
//中心より上側の水平線の寄与を計算
【0148】
sumをsum+M[u+s,v−y]−M[u−s−1,v−y]に更新する。
【0149】
ここで、表は初期化段階で以下のステップによって生成される:
【0150】
Table.Length=r+1とする。
【0152】
Table[i]=floor(sqrt(r^2−y^2))
【0153】
図9は、測定した粒子を使用するかどうか、及びどのようにして2つの画像を整列させるかを決定するための方法900の、概略的なブロック図である。ステップ902では、光源104からの照明に応じた粒子110からの光を測定することによって、第1の画像を生成する。ステップ904では、第1の画像を補間して第2の画像を生成する。いくつかの実施形態では、使用する補間はスプライン補間である。ステップ906では、粒子の中心を決定する。粒子の中心を、第2の画像の中で最高値を有するピクセルを見つけ出すことで決定してよい。また、粒子の中心を、粒子の分析表示を生成することで決定してもよい。導関数をゼロに設定してよく、等式を、中心位置を求めるために解く。ステップ908では、粒子の予測分布を決定してよい。いくつかの実施形態では、予測分布はガウス分布であってよい。ステップ908で、絵粒子の測定を予測分布と比較することができる。粒子の測定が予測分布と対応しない場合、この測定を破棄してよい。
【0154】
ステップ912では、第3の画像を生成してよい。第2の光源106で粒子を照明することで第3の画像を生成してよく、第2の光源106は、第1の光源104とは異なる波長の光115を放射する。ステップ914では、第3の画像において、粒子の中心を決定してよい。いくつかの実施形態では、このステップは、第3の画像を補間して、より高い解像度を有する画像を生成することを更に含む。ステップ916では、第2の画像と第3の画像との間のオフセットを算出する。いくつかの実施形態では、このステップは、どちらの画像にも存在する少なくとも1つの粒子を見つけ出し、オフセットを決定することを含む。最後に、第2及び第3の画像を、これらの画像間で算出したオフセットに基づいて整列させる。
【0155】
図10では、バックグラウンド信号を正確に測定することによって、画像生成サイトメトリの精度を向上するための方法1000を記載する。ステップ1002では、CCD検出器等の光検出器108を使用して、光源104からの光に応じた粒子110からの光を測定する。CCD検出器を使用した測定は、粒子の測定とバックグラウンド信号の測定の両方を含んでよい。バックグラウンド信号は、バックグラウンド光を含み得、また、ノイズも含み得る。
【0156】
任意のステップ1004では、測定する粒子の所定の半径内にあるピクセルを破棄する。粒子の中心を上記のようにして決定してよく、半径は固定されていてよい。いくつかの実施形態では、除外されるピクセルの半径は、粒子からの光の強さに従って増大してよい。従って、いくつかの実施形態では、粒子が明るくなればなるほど、多くのピクセルが破棄される。目的はバックグラウンド信号の測定なので、粒子の測定は有用でないことがある。
【0157】
ステップ1006では、バックグラウンド測定を、測定したピクセルの明度の25パーセンタイルとして割り当てる。ある実施形態では、画像中の全てのピクセル(測定したピクセルを含む)をソートして順番に配置する。いくつかの実施形態では、ステップ1004に記載したように、測定する粒子の所定の半径内にあるピクセルを破棄し、残ったピクセルの明度を順番に配置する。ピクセルを順番に配置することにより、より暗いピクセルはリストの一端に配置され、より明るいピクセルはもう一端に配置される。各ピクセルにおける測定がノイズ成分を有していることから、リスト上の最も暗いピクセルは、バックグラウンド信号に負のノイズ信号を加えたものである。リストでより上位にあるピクセルは、ノイズが少ない、又は無い、ただのバックグラウンド信号である。リストの更に上位には、正のノイズ信号が加わったバックグラウンド信号を有するピクセルがある。最後に、リストの最上位には、光源から受けた光を有するピクセルがあり、これは例えば粒子である(これらのピクセルはステップ1004で最小化され得るものの)。そして、25パーセンタイルに属するピクセルの明度を、バックグラウンド信号として割り当てる。例えば、画像が100ピクセルからなるとし、100ピクセル全てがソートされ、リストに入るとする。下から25番目のピクセル(25番目に暗いピクセル)は、バックグラウンドレベルとして割り当てられることになる。25パーセンタイルを使用する一つの利点は、これが下限に比較的近く、粒子等の光源からの光を含まない傾向にあることである。しかし、下げすぎないことによって、測定はノイズをほとんど又は全く含まない。その上、ステップ1006は、ピクセルをソートして1つのピクセルを選択することしか必要としないので、このステップは比較的小さい処理電力とリソースしか必要としない。いくつかの実施形態では、異なるパーセンタイルを使用してよい。例えば、低ノイズのシステムでは、10パーセンタイルで正確なバックグラウンド信号を提供してよい。その他のシステムでは、30パーセンタイルを使用してよい。いくつかの実施形態では、バックグラウンドノイズを算出する方法は、検出器全体より小さい区域についてコンピュータ処理を行ってよい。例えば、検出器領域を6つの異なるセクタに分割して、上記の方法によって、各セクタについて独立してバックグラウンド信号をコンピュータ処理してよい。
【0158】
ステップ1008では、ステップ1006で決定したバックグラウンド信号を全てのピクセルから差し引くことができる。バックグラウンド信号を差し引くことによって、残った信号のみが、粒子の測定信号となる。
【0159】
ここに開示し請求する全ての方法は、本開示に照らして過度の実験を行うことなく、実施し実行することができる。本発明の装置及び方法を、好ましい実施形態について記載したが、ここに記載した方法のステップ又は一連のステップにおいて、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、本方法に変更を適用してよいことは当業者には明らかである。加えて、開示した装置に改変を加えてよく、同一又は同様の結果を達成し得るならば、ここに記載した構成要素に対して、構成要素を削除又は置換してよい。当業者に明らかな全てのこのような置換及び改変は、添付の請求項によって定義される本発明の精神、範囲及び概念に含まれるものとみなす。