特許第5986267号(P5986267)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5986267補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5986267
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/50 20100101AFI20160823BHJP
   B62M 3/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   B62M6/50
   B62M3/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-118220(P2015-118220)
(22)【出願日】2015年6月11日
【審査請求日】2015年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】514283021
【氏名又は名称】モーティブ パワー インダストリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MOTIVE POWER INDUSTRY CO. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シン−リン
(72)【発明者】
【氏名】テン,チン−チュン
【審査官】 森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−189136(JP,A)
【文献】 特開2002−19683(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103675337(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/50
B62M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受座、スリーブユニット、クランク軸、2つのペダルクランク及び踏力センサユニットを備えるとともに、自転車のフレームに配設され、駆動制御システムと接続される補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造であって、
前記受座は、第1の開口及び第2の開口を有し、
前記スリーブユニットは、前記受座内に配設されるとともに、第1のスリーブ及び第2のスリーブを含み、前記第1のスリーブは、前記第1の開口中に取り付けられ、前記第2のスリーブは、前記第2の開口中に取り付けられ、
前記クランク軸は、前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブに嵌合され、回動自在に前記受座内に配設され、
前記ペダルクランクは、前記クランク軸の両端にそれぞれ結合され、互いに反対方向へ延びて前記クランク軸に対して略垂直に取り付けられるとともに、ペダルを有し、前記ペダルが漕ぐ力を受けると前記クランク軸が回転し、
前記踏力センサユニットは、前記クランク軸の上方に位置するように前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブ上にそれぞれ配設された複数の圧電片を含むことを特徴とする補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造。
【請求項2】
前記踏力センサユニットは、4つの圧電片を含み、
前記圧電片は、前記クランク軸の上方及び下方に対をなすように前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブ上にそれぞれ配設されることを特徴とする請求項1に記載の補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造。
【請求項3】
前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブ中には、軸受がそれぞれ配設され、
前記クランク軸は、前記軸受によりそれぞれ受け止められることを特徴とする請求項1又は2に記載の補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造。
【請求項4】
前記圧電片とそれぞれ分離されて前記第1のスリーブ上に配設された回転速度センサをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造。
【請求項5】
前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブの外側には、前記受座内に係合される凸縁がそれぞれ設けられることを特徴とする請求項4に記載の補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造に関し、特に、自転車のフレーム上に設置し、ライダーが電動自転車のペダルを漕ぐ際に補助動力を供給し、自転車の走行をアシストする、補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車は、ペダル構造と、車輪軸心に結合されたギア群と、ペダル構造と車輪のギア群とを接続するチェーンと、を含むのが一般的である。ペダル構造は、クランク軸と、クランク軸に接続されたスプロケットと、クランク軸の両端に接続されたクランクとを含み、ライダーがクランクに設けられた左右のペダルを漕いでクランク軸を回転させると、チェーンにより車輪が回転する。
【0003】
ライダーが小さな力で自転車を漕げるように、モータと、モータのコントローラとを備え、モータによりクランク軸を回転させる補助動力を供給する自転車が開発されている。従来の自転車のペダル構造の補助動力技術では、ペダル構造のクランク軸上に設置されたセンサにより、クランク軸の回転速度、トルクなどを検出し、コントローラによりモータの起動又は調整を行う。
【0004】
従来技術ではクランク軸上にセンサが設置され、センサは、クランク軸の回転に伴って回転するとともに、スリップリングと接触する方式により接続されて電気信号を伝達する。しかし、このような方式では、センサとスリップリングとの間で接触不良を起こして電気信号の伝達が不安定となる欠点がある上、全体の構造が複雑となり、容易に損壊する虞もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、構造を簡素化して部品点数を低減し、補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、受座、スリーブユニット、クランク軸、2つのペダルクランク及び踏力センサユニットを備えるとともに、自転車のフレームに配設され、駆動制御システムと接続される補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造であって、前記受座は、第1の開口及び第2の開口を有し、前記スリーブユニットは、前記受座内に配設されるとともに、第1のスリーブ及び第2のスリーブを含み、前記第1のスリーブは、前記第1の開口中に取り付けられ、前記第2のスリーブは、前記第2の開口中に取り付けられ、前記クランク軸は、前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブに嵌合され、回動自在に前記受座内に配設され、前記ペダルクランクは、前記クランク軸の両端にそれぞれ結合され、互いに反対方向へ延びて前記クランク軸に対して略垂直に取り付けられるとともに、ペダルを有し、前記ペダルが漕ぐ力を受けると前記クランク軸が回転し、前記踏力センサユニットは、前記クランク軸の上方に位置するように前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブ上にそれぞれ配設された複数の圧電片を含むことを特徴とする補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造が提供される。
【0007】
前記踏力センサユニットは、4つの圧電片を含み、前記圧電片は、前記クランク軸の上方及び下方に対をなすように前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブ上にそれぞれ配設されることが好ましい。
【0008】
前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブ中には、軸受がそれぞれ配設され、前記クランク軸は、前記軸受によりそれぞれ受け止められることが好ましい。
【0009】
前記圧電片とそれぞれ分離されて前記第1のスリーブ上に配設された回転速度センサをさらに備えることが好ましい。
【0010】
前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブの外側には、前記受座内に係合される凸縁がそれぞれ設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造は、踏力センサユニットが回転しないスリーブユニット上に設置されるため、ライダーが漕いで自転車が前進する際、踏力センサユニットは、クランク軸の回転に伴って回転することはなく、回路構成及び部品構成を簡素化するとともに、損壊することを防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造を示す断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造を示す斜視図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造を別の角度から見たところを示す斜視図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造のペダルをライダーが漕いでクランク軸に力が加わる状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0014】
本発明の一実施形態に係る補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造は、自転車のフレーム(図示せず)上に配設され、駆動制御システム(図示せず)と接続される。駆動制御システムは、コントローラ及び駆動モータを含む。コントローラは、駆動モータを制御し、補助動力として用いる出力トルクを供給する。ライダーがペダルを漕いでいることを検出すると、コントローラにより駆動モータを駆動するか、駆動モータの出力を変化させ、自転車のペダル構造へデジタルモジュール化補助動力を伝達し、自転車を前進させる動力の一部又は全部として用いる。
【0015】
図1及び図2を参照する。図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態に係る補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造は、少なくとも受座10、スリーブユニット20、クランク軸30、2つのペダルクランク40及び踏力センサユニット50から構成されてなる。受座10は、第1の開口11及び第2の開口12を有する。スリーブユニット20は、受座10中に配設されるとともに、第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22を含む。第1のスリーブ21は、第1の開口11中に取り付けられる。第2のスリーブ22は、第2の開口12中に取り付けられる。クランク軸30は、第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22に嵌合され、回動自在に受座10内に配設される。2つのペダルクランク40は、クランク軸30の両端にそれぞれ結合され、互いに反対方向へ延びてクランク軸30に対して略垂直に取り付けられるとともに、ペダルを有し、ペダルが漕ぐ力を受けるとクランク軸30が回転する。踏力センサユニット50は、クランク軸30の上方に位置するように第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22上にそれぞれ配設された複数の圧電片51aを含む。
【0016】
図1を参照する。図1に示すように、受座10は、収容空間を有するハウジングである。第1の開口11及び第2の開口12は、対をなして自転車の両側に形成される。受座10は、自転車のフレームを取り付ける第3の開口13を有する。
【0017】
図2を参照する。図2に示すように、スリーブユニット20は、受座10中に配設される。第1のスリーブ21は、第1の開口11中に取り付けられる。第2のスリーブ22は、第2の開口12中に取り付けられる。第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22は、クランク軸30の両端に隣接した箇所に嵌合される。第1のスリーブ21中には、軸受23が配設される。第2のスリーブ22中には、軸受24が配設される。クランク軸30は、各軸受23,24によりそれぞれ受け止められ、受座10内にクランク軸30が回動自在に設けられる。
【0018】
本実施形態の踏力センサユニット50は、少なくとも2つの圧電片51aを含む。圧電片51aは、第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22上に配設され、クランク軸30の上方に位置する。また、図3及び図4に示すように、踏力センサユニット50は、4つの圧電片51a,51bを含んでもよい。圧電片51a,51bは、クランク軸30の上方及び下方に対をなすように第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22上にそれぞれ配設される。即ち、自転車のペダル構造1を有する自転車が路面を走行する際、第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22上に配設された各圧電片51aは路面から最も離れて位置し、第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22上に配設された圧電片51bは路面から最も近くに位置する。図2に示すように、第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22の外側には、凸縁25,26がそれぞれ設けられている。各凸縁25,26は、周縁を介して受座の内壁に係合され、第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22は受座10内に係合される。
【0019】
また、自転車のペダル構造1は、回転速度センサ60をさらに含む。回転速度センサ60は、第1のスリーブ21上に配設されるとともに、各圧電片51a,51bと分離して配設されている。例えば、回転速度センサ60からクランク軸30の中心点までの直線と、圧電片51a又は圧電片51bからクランク軸30の中心点までの直線とにより形成される角度は90度である。回転速度センサ60は、クランク軸30の回転速度を検出するホールセンサなどである。
【0020】
図5を参照する。図5に示すように、本実施形態において、ライダーが各ペダル41を漕ぐと、各ペダルクランク40によりクランク軸30が回転され、各ペダル41が下向きの踏力を受けると、踏力がペダルクランク40を介してクランク軸30へ伝達される。クランク軸30は、力を受けると曲げ撓んで第1のスリーブ21が変形する。第1のスリーブ21上のクランク軸30の上下に対をなすように設けられた圧電片51a,51bが変形すると電圧が変化し、接続された駆動制御システムへ電気信号が伝送され、駆動制御システムをトリガしてデジタルモジュール化補助動力を出力する。このように補助動力によりクランク軸30を回転させることにより踏力をアシストし、ライダーの脚にかかる負担を減らすことができる。
【0021】
上述したことから分かるように、本発明の補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造1は、踏力センサユニット50が回転しないスリーブユニット20上に設置されているため、ライダーがペダルを漕いで自転車を前進させても、踏力センサユニット50がクランク軸30の回転に伴って回転することがなく、回路構成及び部品構成を簡素化することができる上、損壊することを防ぐこともできる。
【0022】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0023】
1 自転車のペダル構造
10 受座
11 第1の開口
12 第2の開口
13 第3の開口
20 スリーブユニット
21 第1のスリーブ
22 第2のスリーブ
23 軸受
24 軸受
25 凸縁
26 凸縁
30 クランク軸
40 ペダルクランク
41 ペダル
50 踏力センサユニット
51a 圧電片
51b 圧電片
60 回転速度センサ

【要約】
【課題】構造を簡素化して部品点数を低減し、補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造を提供する。
【解決手段】補助動力トリガ機能を有する自転車のペダル構造1は、受座10、スリーブユニット20、クランク軸30、2つのペダルクランク40及び踏力センサユニット50を備える。受座10は、第1の開口11及び第2の開口12を有する。スリーブユニット20は、受座10内に配設されるとともに、第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22を含む。クランク軸30は、第1のスリーブ21及び第2のスリーブ22に嵌合され、回動自在に受座10内に配設される。ペダルクランク40は、クランク軸30の両端にそれぞれ結合され、互いに反対方向へ延びてクランク軸30に対して略垂直に取り付けられるとともにペダル41を有し、ペダル41が漕ぐ力を受けるとクランク軸30が回転する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5