特許第5986320号(P5986320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986320
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】自己巻取り式スタイレット針デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/04 20060101AFI20160823BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20160823BHJP
   A61B 10/02 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   A61B10/04
   A61M25/01 510
   A61B10/02 110Z
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-537025(P2015-537025)
(86)(22)【出願日】2013年10月16日
(65)【公表番号】特表2016-500531(P2016-500531A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】US2013065212
(87)【国際公開番号】WO2014062784
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2015年4月8日
(31)【優先権主張番号】61/716,002
(32)【優先日】2012年10月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン,ナサニエル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】クランシー,マイケル・エス
(72)【発明者】
【氏名】マクグラス,ダラチ
(72)【発明者】
【氏名】トーミー,シアラン
(72)【発明者】
【氏名】リーヒ,ローナン
(72)【発明者】
【氏名】キーディ,フィオナン
【審査官】 宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05944701(US,A)
【文献】 国際公開第2011/109792(WO,A1)
【文献】 特開2012−080902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 10/02 − 10/04
A61B 17/00
A61M 25/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタイレットを備えた医療チューブ通過システムであって、
医療チューブデバイスであって、前記医療チューブデバイスの長さ全体にわたる延在する少なくとも1つの長手方向の通路を含む医療チューブデバイスと、
チューブデバイスよりも直径の大きい基端側スタイレットの終端部から基端側スタイレットの終端部がチューブデバイスの終端部と接触した際、前記チューブデバイスの先端と整列する先端側スタイレットの端まで計測されるチューブデバイスの全長と等しいかそれよりも小さいスタイレット本体全長を有する、前記少なくとも1つの長手方向の通路内で少なくとも部分的に除去可能に配置された、長尺状の単線型スタイレット本体であって、前記スタイレット本体全長は、
非自己巻取り式基端側スタイレット長さと、
内腔から除去する際に自己巻取りするスタイレットを配置した自己巻取り式形状記憶材料スタイレット中間長さと、
略直線で非自己巻取り式最先端側スタイレット長さと、
を含む、全長を有する長尺状の単線型スタイレット本体と、
を含み、
前記自己巻取り式形状記憶材料スタイレット中間長さは、チューブデバイスの内腔の外において、前記スタイレット本体の初期垂下長さを、同一ではあるが前記自己巻取り式形状記憶材料スタイレット中間長さのないスタイレットと比較して有効に制限し、前記自己巻取り式形状記憶材料スタイレット中間長さの固有の力のモーメントが、前記スタイレットの自己巻取り力に抵抗する前記チューブデバイスに固有の力のモーメントよりも小さい、システム。
【請求項2】
前記医療チューブデバイスが医療用内視鏡検査針を含み、前記スタイレットが前記医療用内視鏡検査針の長手方向の内腔を通じて配置され、前記自己巻取り式形状記憶材料スタイレット長さは、前記スタイレットを、針内腔から除去されると自身で巻き取られるようにし、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記医療チューブデバイスが可撓性カテーテル又は可撓性針として構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記形状記憶材料が、PEEK,ポリウレタン、ポリエチレン、PTFE、ナイロンから選択されるポリマー、ニッケルーチタン、ニッケルーチタンーコバルト、ニッケルーチタンークロム、ニッケルーチタンーニオブ、ニッケルーチタンーハフニウム、ニッケルーチタンーパラジウム、ニッケルーチタンー白金、ニッケルーチタンー鉄、希土類元素を添加したニッケルーチタン、鉄ーマンガンーケイ素、鉄ー白金、鉄ーニッケル、鉄ーニッケルーコバルト、鉄ーニッケルーコバルトーアルミニウムースズータンタル、ステンレス鋼、ばね鋼から選択される金属材料、並びに前記ポリマー及び/又は金属材料の任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記自己巻取り式形状記憶材料スタイレット中間長さが7cm〜30cmの外径を有する1つ又は複数のコイルを形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
略直線の非自己巻取り式先端側長さが前記全長の4%以上10%以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記自己巻取り式形状記憶材料スタイレット中間長さが前記全長の80%から95%含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
180cmの全長、2cm〜20cmの略直線の先端側長さ、及び5cm〜14cmの略直線の基端側長さを有するスタイレットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記スタイレットが針の先端を補完する組織穿通先端部先端を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記先端部先端が鋭利な斜端である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記針よりも直径の大きい前記基端側のスタイレット終端部が、前記スタイレットの長手方向の軸線にほぼ垂直な少なくとも1つの部分を含むループを形成するような形状の基端部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ループが基端側スタイレトハンドルとしての使用のために構成され、且つ前記ループが前記針の基端部に接触すると前記先端側スタイレット端部が先端側針端部と揃うようにスタイレット先端部から離して配置される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記自己巻取り式形状記憶材料スタイレット中間長さが、拘束されていない場合、各コイルがほぼ同じ外径を有する螺旋のような複数のコイルを形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記自己巻取り式形状記憶材料スタイレット中間長さが、拘束されていない場合、各コイルがより基端側に隣接するコイルよりも小さな外径を有し、前記コイル直径により、前記非拘束のスタイレット長さの絡まり又は結束の可能性を低下する、螺旋のような複数のコイルを形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記自己巻取り式形状記憶材料スタイレット中間長さの少なくとも1つのコイルが、拘束されていない場合、楕円形、略楕円、略卵形又は略長楕円形のような形状の少なくとも1つのコイルを形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのコイルに直に隣接するコイルが前記少なくとも1つのコイルに対してわずかなピッチで配置されるか、少なくとも1つの寸法において異なるコイル直径を含むか、これらの任意の組み合わせである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
非自己巻取り式基端側スタイレット長さと、
自己巻取り式スタイレット中間長さと、
略直線であり、非自己巻取り式先端側スタイレット長さと、
を含む全長を有する長尺状の単線形状記憶合金本体を含み、
前記自己巻取り式スタイレット中間長さが前記全長の95%以下を含み、拘束されていない場合、形状記憶合金によりかけられる力のモーメントによる初期設定によって5cm〜30cmの外径を有する少なくとも2つのコイルが形成される、
スタイレット。
【請求項18】
前記先端側スタイレット長さの先端部先端が、組織に穿孔するための鋭利な/外傷性端部又は略丸形の実質的に非外傷性の先端により構成されている、請求項17に記載のスタイレット。
【請求項19】
前記自己巻取り式スタイレット中間長さの少なくとも1つのコイルが、拘束されていない場合、略円形、略楕円、略卵形、略長楕円又は別の略丸形のような形状の少なくとも1つのコイルを形成する、請求項17に記載のスタイレット。
【請求項20】
前記形状記憶合金が、ニッケルーチタン、ニッケルーチタンーコバルト、ニッケルーチタンークロム、ニッケルーチタンーニオブ、ニッケルーチタンーハフニウム、ニッケルーチタンーパラジウム、ニッケルーチタンー白金、ニッケルーチタンー鉄、希土類元素を添加したニッケルーチタン、鉄ーマンガンーケイ素、鉄ー白金、鉄ーニッケル、鉄ーニッケルーコバルト、鉄ーニッケルーコバルトーアルミニウムースズータンタル、コバルトークロム、ステンレス鋼、ばね鋼及びこれら任意の組み合わせから選択される合金を含む、請求項17に記載のスタイレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年10月19日出願の米国仮特許出願第61/716,002号明細書の優先権を主張する非仮特許出願であり、その全体を参照により本明細書中に組み込む。
【0002】
本明細書中に開示される実施形態は、概して、医療用内視鏡針及びスタイレットシステムに関する。特に、開示される実施形態は自己巻取り式スタイレットに関する。
【背景技術】
【0003】
細針吸引(FNA:fine needle aspiration)及び細針生検は患者体内の標的部位から検体を得るために使用される診断的生検法である。細針(例えば19ゲージ〜25ゲージ)を標的部位に案内し、針の内腔の基端部に吸引を適用してその先端部から細胞を吸引する。この手法は、一般に、(例えば、疑いのある乳房腫瘤又は皮下病変を採取するため)経皮的に実施される場合であっても(例えば、疑いのある胆管癌を十二指腸内視鏡により採取するため)内視鏡的に実施される場合であっても他の生検法と比較するとはるかに侵襲性が低い。更に、内視鏡超音波(EUS:endoscopic ultrasound)技術の発展は、切開、又は大口径針及び/又は経皮的トロカールの使用を必要とすることなく医師が標的部位から物質の検体を得るため生検針を視覚化する能力を高めることで医師及び患者の助けとなっている。
【0004】
これら小口径検体採取針の望ましい押し込み性及び追跡性を提供するため、並びに1つ又は複数の先端側針開口部における偶発的な(例えば、早期及び/又は晩期の)組織の採取を防止するため、一般に、針内腔の長さ全体にわたりスタイレットを提供する。針の先端部開口部を十二指腸内視鏡又は他の低侵襲内視鏡デバイスなどの医療用内視鏡により標的位置に誘導したのち、スタイレットを引き抜き、検体物質を針の先端部開口部内に引き込むことによって検体採取を容易にするために針内腔内に真空を発生させるため、シリンジ又は他の種類の物を基端側針端部に取り付ける。このような処置中におけるスタイレット管理には困難が伴う場合がある。
【0005】
具体的には、内視鏡検体採取を実施する医師を補助する看護師又は他の者は、一般に、スタイレットを針内腔から引き抜くのに両手を使用しなければならない。スタイレットは長さがほぼ2メートルある場合があり、患者内に入れられた後は非無菌となることから、通常、スタイレットはそれが引き抜かれる際に看護師により巻き取られる。しかしながら、既存のスタイレットの初期構成/配向は略直線である、つまり、それらの初期構成は全長手方向の面が非曲線に沿って配置されるというものである。したがって、巻き出された状態になるためにスタイレットは付勢される。これにより、スタイレットが巻き取られた位置状態から緩められて撓む際に鋭利な先端側先端による鋭利器材損傷のリスクが生じるおそれがある、及び/又はスタイレットが他の非無菌表面に接触することにより汚染するおそれがある。このため、看護師は、多くの場合、巻き取ったスタイレットを留めるかそうでなければ固定しなければならない。スタイレットを針内に再導入しなければならない場合、看護師は両手で巻き戻りを制御し、且つ先端側スタイレット部分を針内腔内に再度送ることが求められる。巻き取られたスタイレットがクリップ又は他の拘束物から外れた場合、床又は別の汚染表面に接触し、無菌スタイレットと交換する必要が生じる場合があり、処置時間及び費用が増加する。
【0006】
したがって、処置時間を低減し、内視鏡検体採取(例えば、FNA(fine needle aspiration:細針吸引)、FNB(fine needle biopsy:細針生検))などのスタイレット/針処置時に必要とされる手動操作を低減し、且つこのような処置中におけるスタイレット制御の欠如に伴う他のリスクを低減するスタイレット構成を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の要求は、本明細書に記載し且つ請求する発明の特定実施形態により満足される。一態様においては、本明細書中に開示される実施形態は、針内腔内に配置された単線形状記憶合金スタイレットを含む医療用内視鏡検査検体採取システム、及びこのシステムを使用する方法を含む。別の態様においては、本明細書中に開示される実施形態は、自己巻取り式中間長さを有する単線形状記憶合金スタイレットを含んでもよい。加えて、特定の実施形態においては、自己巻取り式単線形状記憶合金スタイレットは、絡まりを防止し、デバイス操作の容易性を高める自己巻取りの特定パターンを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】自己巻取り式単線本体スタイレット実施形態を示す。
図1A】自己巻取り式単線本体スタイレット実施形態を示す。
図1B】自己巻取り式単線本体スタイレット実施形態を示す。
図1C】自己巻取り式単線本体スタイレット実施形態を示す。
図1D】自己巻取り式単線本体スタイレット実施形態を示す。
図1E】自己巻取り式単線本体スタイレット実施形態を示す。
図1F】自己巻取り式単線本体スタイレット実施形態を示す。
図1G】自己巻取り式単線本体スタイレット実施形態を示す。
図1H】自己巻取り式単線本体スタイレット実施形態を示す。
図2】自己巻取り式単線本体スタイレットを針/スタイレットシステム実施形態の一部として示す。
図3A】自己巻取り式単線本体の基端部構成の実施形態を示す。
図3B】自己巻取り式単線本体の基端部構成の実施形態を示す。
図3C】自己巻取り式単線本体の基端部構成の実施形態を示す。
図4A】垂下長さ測定図を示す。
図4B】形状硬化測定図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、同様の要素を全般的に同様の参照符号で示す図面を参照して種々の実施形態を記載する。以下の詳細な説明を参照することによって実施形態の種々の要素の関係及び機能をより良く理解することができる。しかしながら、実施形態は図面に示されるものに限定されない。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、特定の例においては、例えば、従来の製造及び組立などの、本明細書中に開示される実施形態の理解に必要ない詳細は省略されていることを理解すべきである。
【0010】
本発明は特許請求の範囲により定義され、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書中に記載する実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これら実施形態は、本開示が徹底的且つ完全であり、可能な開示を当業者に完全に伝えるように提供される。本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、別段の明確な指示のない限りは、単数形「a」、「an」及び「the」は複数形の指示対象を含む。本明細書中において用語「基端側」及び「先端側」は、それらがそれぞれ、デバイス又は関連物体のハンドル/医師側端部、並びにデバイス又は関連物体のツール/患者側端部を意味するという使用常識において使用される。
【0011】
本明細書で使用する場合、用語「力のモーメント」は、物体を巻く、ねじる又は回転させる及び/又は巻き、ねじり又は回転に抵抗する力の傾向を意味する。具体的には、この用語は、形状記憶合金スタイレットの、その長さにおける自己巻取り力について述べるため、及びその自己巻取り力に対する、針の、その対応する長さにおける抵抗について述べるために使用される。用語「単線」は、その先端側動作長手方向長さに、1つの長手方向のワイヤのみを含み、他の平行する、同軸の又は他のワイヤがない構造(例えば、ガイドワイヤ、カテーテル本体及び他のワイヤベース構造に使用される、編み込まれた、同軸上に巻かれた、及び他のワイヤ構造とは区別される)を意味する。本明細書に開示されるスタイレット及びシステムの多くの好適な実施形態では、スタイレット(巻く傾向を付与される)の自己巻取り式形状記憶材料部分の力のモーメントは、(巻取りに抵抗する)針、カテーテル又は他のデバイスなどの医療用管状デバイスの力のモーメントよりも小さい。したがって、及び特定の構成に応じて、ある実施形態においては、自己巻取り式スタイレット部分は医療チューブデバイスにほとんど湾曲を付与しない一方で、他の実施形態においては、それよりも大きな湾曲の度合いではあるが、拘束されていない場合のスタイレットよりも依然大幅に少ない湾曲をチューブデバイスに付与する。
【0012】
スタイレット100を示す図1を参照して自己巻取り式スタイレットの一実施形態を記載する。スタイレット100は、基端側スタイレット長さ102と、少なくとも1つの巻取られたループ(複数の巻取られたループを含んでもよい)を含む自己巻取り式スタイレット中間長さ104と、略直線であり、且つ非自己巻取り式の先端側スタイレット長さ106と、を含む全長を有する長尺状の単線形状記憶合金(又は他の形状記憶材料)本体により構成されている。先端部先端108は鋭利な、組織穿通用の斜端幾何学的形状で構成されている。他の実施形態においては、穿通用先端は円錐形であってもよく、そうでなければ組織を貫通する及び/又は切る/切開するように構成されてもよい。更に他の実施形態においては、先端には丸みがあり非外傷性であってもよいが、好適な実施形態は、針の先端側穿通/貫通先端を補完するように構成されている及び/又は針本体を越えて延在し、先端表面を形成する。特に、特定の他の図面と同様に、図1は均一の縮尺でなく、多くの実施形態において自己巻取り式ループ104の相対的なサイズは示されるものよりも(非巻取り端部長さに対して)かなり大きく、スタイレット厚さ/直径は示されるものよりも(長さに対して)かなり小さいことに留意すべきである。
【0013】
記憶材料は、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリウレタン、ポリエチレン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、又はナイロンなどの1つ又は複数の形状記憶ポリマーを含んでもよく、記憶材料が金属を含む場合、ニッケル−チタン、ニッケル−チタン−コバルト、ニッケル−チタン−クロム、ニッケル−チタン−ニオブ、ニッケル−チタン−ハフニウム、ニッケル−チタン−パラジウム、ニッケル−チタン−白金、ニッケル−チタン−鉄、希土類元素を添加したニッケル−チタン、鉄−マンガン−ケイ素、鉄−白金、鉄−ニッケル、鉄−ニッケル−コバルト、鉄−ニッケル−コバルト−アルミニウム−スズ−タンタル、コバルト−クロム、ステンレス鋼、ばね鋼から選択される合金、並びにポリマー及び/又は金属の任意の組み合わせを含む、これらの任意の組み合わせを含んでもよい。1つの好適な実施形態は、超弾性ニッケル−チタン(ニチノール)ワイヤを含む。熱硬化の方法又はそれ以外の、形状記憶合金及び形状記憶ポリマーに「記憶」形状を施す方法は当技術分野において周知であり、当業者であれば、本開示及び現代の知識により、スタイレットを本明細書で請求される発明の実施形態に沿うものに構成することが可能であろう。自己巻取り式スタイレット中間長さ104は、円形、卵形、楕円、長楕円及び/又は他の丸みのある幾何学的形状を有する1つ又は複数の平行及び/又は螺旋状/同心状のループを形成するように構成されてもよい。この自己巻取り式スタイレット中間長さは、スタイレットの垂下長さを、同一ではあるが自己巻取り式長さのないスタイレットに比べて効果的に低減する。換言すると、自己巻取り式スタイレット中間長さの存在はスタイレットの初期垂下長さを効果的に制限する。初期垂下長さは、スタイレットの固定した上端部から、重力により垂下させたその下端部までの、非拘束とした場合の直線長さであり、この長さは、一般に、標準的なスタイレットの全長とほぼ同じかそれをほんのわずかに下回るものである。
【0014】
自己巻取り式スタイレット中間長さ104は、好ましくは、特定の実施形態では約5cm〜約30cmの外径であり、いくつかの実施形態では約7cm〜約20cmのループ外径が好適である1つ又は複数のループを形成する。これにより、内視鏡検査手術室において一般に使用されるカート/トロリーの1つの表面上に容易に保管される、処置中の人の動きを邪魔することのない、必要な場合/必要に応じた再使用のため依然便利にアクセス可能な巻取り式スタイレットが提供される。
【0015】
異なるスタイレット実施形態の正確な寸法及び比率は様々であってもよい。例えば、長さ及び(単線本体の横断面の)スタイレット外径は特定の針との適合性のために構成及び/又は選択される。25ゲージ針において使用されるスタイレットは19ゲージ又は22ゲージ針のものとは異なる外径を有する。一般的な長さは約160cm〜約190cmである。約850mm〜約1850mmの範囲のスタイレット長さに対し、スタイレット200の外径は約0.012インチ(約0.3mm)〜約0.036インチ(約0.9mm)の範囲であってもよい。
【0016】
1つの例示的な実施形態は約0.035インチ(約0.89mm)の外径を有する長さ170cmのスタイレットである。このサンプルスタイレット実施形態は約154cmの自己巻取り式中間長さを含む。このサンプルスタイレット実施形態は、また、鋭利な/貫通斜端において終端する約16cmの先端側直線長さを含み、その基端側長さは直線ではないが、自己巻取り式中間長さの基端側部分と共辺(co−terminal)である。この構成は、独特な自己巻取り設計の機能的利点と、(例えば、その所望の操舵性/操縦性の機能のために必要な少なくともわずかな先端部湾曲を有するガイドワイヤの非一様な挙動とは対照的に)予想通り且つ一様に挙動する非自己巻取り式先端側長さの提供との間の望ましいバランスを提供する。他の実施形態においては、例示的なスタイレットの基端側長さは直線であってもよい。
【0017】
特定の好適な実施形態においては、略直線の先端側スタイレット長さは全スタイレット長さの約10%以下である。特定の好適な実施形態においては、自己巻取り式中間長さは全スタイレット長さの約95%以下を含んでもよい。いくつかの実施形態では、自己巻取り式長さは全スタイレット長さの約80%〜約92%であってもよく、全長の約4%〜約9%が実質的に直線の先端側長さであり、残り(もしあれば)が実質的に直線の基端側長さである。
【0018】
巻取られる際、自己巻取り式長さはその長手方向において実質的に同一平面上にあってもよい。つまり、任意の長手方向の重なりにおいてわずかなオフセットがある以外は、スタイレット100の特定の好適な実施形態のほぼ全長が1つの面に沿って配置され、このわずかなオフセットはスタイレット本体の厚さ/外径に直接関係している(すなわち、スタイレットは自身で交差することができないため必要に応じて)。この実施形態及び他の実施形態では、自己巻取り式長さにおいて実質的に同一平面上にあるという記載は、平坦/平面表面上に非拘束で載置されているスタイレットのためのものである。しかしながら、本明細書に開示される実施形態の主な目的は、より短い有効長(例えば、自己巻取り式スタイレットがカテーテル、針又は他の医療チューブデバイスから引き出されるポートからその基端部までの長さ。基端部の位置状態は、好ましくは、自己巻取りの性質によるもの以外は非拘束のままとすることができ、通常、重力及びその質量及び形状に基づき基端部が延びる床又は別の表面に基端部が到達することはない)を有する自己巻取り式スタイレットを提供することである。
【0019】
図1Aは、基端側スタイレット長さ112と、好ましくは1つの面に沿って配向/配置された複数の波状曲線を含む自己巻取り式スタイレット中間長さ114と、略直線であり、且つ非自己巻取り式の先端側スタイレット長さ116と、を含む全長を有する長尺状の単線形状記憶材料本体により構成されているスタイレット110を示す。示される複数の曲線は純粋に例示的なものであり、実際の実施形態は、類似の又は異なる比例関係のより多数又はより少数の曲線を有してもよい。いくつかの好適な実施形態では、示される種類の波状曲線を除外してもよく、その自己巻取り/記憶材料性質は、スタイレット長さが本明細書に記載されている他の実施形態の手法において自身でループに戻らないようなものである。
【0020】
図1Bは、基端側スタイレット長さ122と、好ましくは1つの面に沿って配向/配置された複数の略同心状の丸みのある幾何学的形状を含む自己巻取り式スタイレット中間長さ124と、略直線であり、且つ非自己巻取り式の先端側スタイレット長さ126と、を含む全長を有する長尺状の単線形状記憶材料本体により構成されているスタイレット120を示す。示される略同心状の丸みのある幾何学的形状は略矩形であるが、他の実施形態においては、それらは、より正方形であっても、矩形であっても、五角形であっても、六角形であっても七角形等であってもよい。例えば、図1Cは、基端側スタイレット長さ132と、好ましくは1つの面に沿って配向/配置された複数の略同心状の丸みのある三角形を含む自己巻取り式スタイレット中間長さ134と、略直線であり、且つ非自己巻取り式の先端側スタイレット長さ136と、を含む全長を有する長尺状の単線形状記憶材料本体により構成されているスタイレット130を示す。
【0021】
一実施形態の別の例として、図1Dは、基端側スタイレット長さ142と、好ましくは1つの面に沿って配向/配置され平坦な螺旋を形成する複数の略同心状の円形(又は卵形又は他の丸形)を含む自己巻取り式スタイレット中間長さ144と、略直線であり、且つ非自己巻取り式の先端側スタイレット長さ146と、を含む全長を有する長尺状の単線形状記憶材料本体により構成されているスタイレット140を示す。更に別の実施形態においては、図1Eは、基端側スタイレット長さ152と、好ましくは1つの面の外側に配向/配置され、上昇する螺旋又はつるまき線を形成する複数の略同心状の円形(又は卵形又は他の丸形)を含む自己巻取り式スタイレット中間長さ154と、を含み、且つ略直線であり、且つ非自己巻取り式の先端側スタイレット長さ156を含んでもよい全長を有する長尺状の単線形状記憶材料本体により構成されているスタイレット150を示す。
【0022】
異なる実施形態においては、図1Fは、基端側スタイレット長さ162と、複数の全体的に又は部分的に重なり合った非同心状の円形(又は卵形又は他の丸形)ループ形状を含む自己巻取り式スタイレット中間長さ164と、を含む全長を有する長尺状の単線形状記憶材料本体により構成されているスタイレット160を示す。これらループは、好ましくは実質的に1つの面に沿って配向/配置されて平坦な螺旋を形成し、略直線であり、且つ非自己巻取りであってもよい先端側スタイレット長さ166を含む。示される実施形態は、自己巻取り式スタイレット中間長さ164に3つの重なり合った非同心状のループを含むが、他の実施形態はより多数又はより少数のそのようなループを有してもよい。
【0023】
図1G〜1Hはそれぞれ、異なる実施形態における、本開示のスタイレット170の平面図及び立面図を示す。スタイレット170は、基端側スタイレット長さ172と、複数の略同心状の円形(又は卵形又は他の丸形)ループ形状を含む自己巻取り式スタイレット中間長さ174と、を含む全長を有する長尺状の単線形状記憶材料本体により構成されている。これらループは、好ましくは実質的に1つの面に沿って配向/配置され、平坦な螺旋を形成する。先端側スタイレット長さ176は略直線であり、且つ非自己巻取り式である。示される実施形態は、自己巻取り式スタイレット中間長さ174に3つの重なり合った非同心状のループを含むが、他の実施形態はより多数又はより少数のそのようなループを有してもよい。図1Hの立面図に最も明確に示されるように、先端側スタイレット長さ176は、同心円状に巻かれた自己巻取り式スタイレット中間長さ174によって全般的に画定される平面から上に角度をなす/延在する。
【0024】
図2は、針ハンドル248に使用可能に取り付けられた針シース252から延在する針250と、自己巻取り式スタイレット201と、を含む、医療用内視鏡検査針及びスタイレットシステム200の形態の医療チューブ通過システムの一実施形態を示す。スタイレット201は、キャップ203内において終端する基端側スタイレット長さ202と、自己巻取り式中間スタイレット長さ204と、先端側スタイレット長さ(不図示、針内腔内に配置されている)と、を含む全長を有する長尺状の単線形状記憶合金本体により構成されている。スタイレットは針250の内腔から部分的に引き出されて示されている。自己巻取り式中間スタイレット長さ204は、より基端側のループのそれぞれが、より先端側の直に隣接するループとほぼ同じかそれよりもわずかに小さな外径を含む略卵形螺旋構成を形成するものとして示されている。この構成は、スタイレット201を針内腔から取り出す際及び/又はスタイレット201をその内腔に再導入する際の絡まりを防止する。不図示であるが、自己巻取り式中間スタイレット長さ204は針のかなりの長さに及ぶ。本明細書で針として具現化される医療チューブ構成要素は、スタイレットを収容する又は収容するように構成される内腔を含む、例えば、カテーテル、導入器、括約筋切開器又は他の管状デバイスなどの任意の他の医療チューブデバイスであってもよいことは理解すべきである。本開示のスタイレットは、最も好ましくは、取り外すことができるスタイレットが内部にあることにより、スペースが効率的に使用され、且つ引き抜かれたスタイレット長さを更に処理する必要をなくすことで(例えば、使用の容易さ、操縦性及び/又は他の構造的又は機能的態様に関して)恩恵を得る医療チューブデバイスとともに使用される。
【0025】
他の絡まり防止特徴には、自己巻取り式中間長さが熱硬化されるか、そうでなければ、絡まりを防止するように構成された形状の付与を含んでもよい。この形状は、例えば、各コイルにわずかなピッチが付与された螺旋構造、各連続するコイルがわずかに減少又は増加する直径及び/又は湾曲を有する螺旋構造、並びにわずかに異なるコイルの形状を有する螺旋構造のうち1つ又は複数である。換言すると、少なくとも第1のコイルに直に隣接するコイルは少なくとも第1のコイルに対してわずかなピッチで配置されてもよく、少なくとも1つの寸法において異なるコイル直径を含んでもよく、絡まりのリスクを防止するか少なくとも最小化するのに有効なそれらの任意の組み合わせであってもよい。図2に示すように、針内腔内におけるスタイレットの自己巻取り式長さが針を偏向したり、針にいかなる湾曲も付与したりしないように、スタイレット201の力のモーメントは針250の力のモーメントよりも小さい。特に、当業者であれば、針250は本質的に湾曲に抵抗する力のモーメントを有することは理解しよう。これは、使用(例えば、内視鏡作業チャンネルを通して針を操作する)時に角度を変えることにより克服されるが、本好適な実施形態においては、スタイレット201の「初期湾曲/自己屈曲」力のモーメントよりも大きい。したがって、示されるように、スタイレット201は医療用内視鏡検査針の長手方向の内腔250内に配置され、自己巻取り式スタイレット長さ204は、針システムの操作者又はその援助者がスタイレットを内腔から除去すると自身で巻き取られるようにする。
【0026】
独特の自己巻取り特徴は、既存のスタイレットに対する本実施形態のいくつかの利点を示す。例えば、当該自己巻取り特徴は処置時間及び活動レベルを低下させるが、この理由は、スタイレットが急に向きを変えたり、床に落下したり、そうでなければ汚染するような状態で動いたり、及び/又は必要な場合にスタイレットを針に再導入するのをより困難にしたり時間がかかったりすることを防止するために、スタイレットを針から取り外す看護師又は他の者がスタイレットを手動で巻き取り、その後把持し、絡める及び/又は留める必要がないためである。本明細書に開示される構成は、また、(例えば、偶発的な検体採取なく針の位置を変えるため)スタイレットを針内腔に再導入する必要がある場合の複雑さ及び処置時間を低減する。取扱者がスタイレットを手動でほどき、クリップをはずすか、そうでなければ解放し、両手を使ってスタイレット針内腔に戻すことを必要とする既存の設計とは対照的に、本実施形態は、針内への片手での再導入を、より少ない時間で、且つスタイレットが跳ね回る及び/又は接触すべきでない表面に接触するリスクが低下した状態で可能にする。
【0027】
図3A〜3Cは、本実施形態によるスタイレットの基端部終端の構成を示す。図3Aは、スタイレット301の基端部領域がポリマー製スタイレットキャップ369を含む、従来使用されている構成を示す。スタイレットキャップ369は、スタイレット301を引き抜くためのハンドルを提供し、且つスタイレット301の基端部が針内腔内に移動することを防止する、スタイレット301のための広い基端側終端を提供する。この基端部構造及び他の基端部構造を本開示の自己巻取り式スタイレットにおいて使用してもよい。
【0028】
例えば、図3Bに示すように、基端側スタイレット端部構造379は、スタイレット301の長手方向の軸線にほぼ垂直であり、且つ直に隣接するスタイレット長さとほぼ同一平面上にある少なくとも1つの部分を含むループとして構成されてもよい。この基端側ループ379はハンドルとして構成してもよい。1つの好適な実施形態においては、先端側スタイレット端部が望ましくは針の先端部に揃えられると、ループ379の、スタイレット301の残り部分への略垂直な移行部が針(不図示)の基端部と揃えられるように、ループ379はスタイレット先端部から離して配置される。
【0029】
図3Cに示される別の例は、スタイレット301の長手方向の軸線にほぼ垂直な少なくとも1つの部分を含むループとして構成された基端側スタイレット端部構造389である。ループ部分は、全般的に、直に隣接するスタイレット長さと同一平面上にない面に沿って配置され、この面は、直に隣接するスタイレット長さに対して垂直/横断方向であってもよい。この基端側ループ389はハンドルとして構成してもよい。1つの好適な実施形態においては、先端側スタイレット端部が望ましくは針の先端部に対して揃えられると、ループ389の、スタイレット301の残り部分への略垂直な移行部が針(不図示)の基端部と揃えられるように、ループハンドル389はスタイレット先端部から離して配置される。
【0030】
実験データ及び実施例
本実施形態の有効性の例は図4A及び図4B並びに以下のデータを参照して理解されうる。表1から表5は、本実施形態において同定される針の実験データを示す。各試験では、閉鎖式コイルスタイレット400(図1と同様に自己巻取り式ループを備えて構成される)を針450の内腔内に長手方向に案内した。表1〜4の各例においては、スタイレット400は長さ172cmの熱硬化ニチノールスタイレットであり、ゲージが特定されているステンレス鋼針内に配置した。各スタイレットの断面外径は特定されている針の内径とほぼ同じであった。表5では、スタイレット400は冷間加工ニチノールである。冷間加工ニチノールは、(延伸又は圧延の際)「冷間加工状態」にあり、最終熱処理(例えば、形状硬化のアニール)が施されていないニチノールである。各例では、最も左の列にスタイレットワイヤの熱(又は冷間)硬化直径を提供するが、これは、スタイレットの自己巻取り式部分によって形成される略円形ループの外径を意味する。
【0031】
垂下長さ試験を以下のように実施した(図4Aを参照)。巻取り式スタイレット400の先端側先端408を垂直支持体497の上端部の位置に固定/保持して、スタイレット400の残り部分を自由に落下させ、スタイレットが管状デバイスから引き抜かれている最中に手術室内に存在する可能性がある引力と同じ引力のみをかけた。人がスタイレットを捕捉し、手動で取り扱う/巻き取る/等を必要とすることなくスタイレットが床に垂下すること又はそうでなければ直線ワイヤの状態で動き回ることを防止することが望ましい。スタイレット400が完全に解放された自己巻取り式長さになると、スタイレットの先端側先端と基端側先端との間の直線垂直距離(SLV:straight−line vertical distance)を測定し、垂下長さとして記録した。この測定値には図4Aのスタイレット400の底部/基端部に示されるスタイレットキャップ403を含めない。
【0032】
形状硬化試験は以下のように実施した(図4Bを参照)。スタイレット400(図4Bに不図示)をゲージが特定されているステンレス鋼針450の内腔内に案内した。これは、基端側測定端部451から先端側針端部452までの寸法である、湾曲していない長さ(UCL(uncurved length):これら実施例では常に100cm)として図4Bに示される、針の最先端側長さの100cmをスタイレットの自己巻取り式中間長さが占めるように行った。スタイレットがない場合、針長さは、図4Bに破線の初期/非湾曲針位置で示されるように実質的に直線であった。スタイレットがある場合、その自己巻取り式中間長さの湾曲により、針450にわずかな曲線がつけられる。これは実線で示される(必ずしも一定の縮尺でない)。これもまた図4Bに示され、形状硬化曲線のレベルに対し記録された測定値は、現時点で湾曲している針450の基端側測定端部451(だが、針全長の実際の基端側終端ではない)からの直線距離であった。この距離は、図4Bに形状硬化湾曲長さ(SSCL:shape−set curved length)として示され、この長さは、湾曲した針長さの両測定点間の直線である。いずれの例においても、付与される湾曲がもしあったとしても、自己巻取り式スタイレットがある場合には、好ましくは、針の押し込み性、追跡性及び他の操縦性への影響はほとんどない。付与されるわずかな湾曲は、スタイレットを備えた針を(例えば、前方視又は側視にかかわらず胃腸管内視鏡などの)内視鏡内において操作する際にわずかな指向性/操舵性を提供してもよい。
【0033】
【表1】
【0034】
各例に示すように、大径ループサイズは針の長さに対する形状硬化の量の影響を低減する。また、小径ループは垂下長さを大幅に低減し、これにより、引き抜き時のスタイレット取り扱いの容易さが増し、スタイレットを操作するのに更に手を必要とする可能性が低下するとともに、スタイレットが好ましくは接触すべきでない表面に接触する可能性が低下する。
【0035】
当業者であれば、本明細書中に明示的に示されない実施形態は、特許請求の範囲の範囲内において実施してもよいことを理解されよう。これには、特許請求の範囲の範囲内にある一方で、異なる実施形態に対し本明細書中に記載される特徴を互いに及び/又は現在既知の又は将来的に開発される技術と組み合わせてもよいことを含む。本明細書では特定の用語を用いるが、これらは単に一般的且つ説明的意味で使用され、文脈、使用又は他の明確な指定により明確に定義されない限りは限定目的ではない。したがって、前述の詳細な説明は限定ではなく例証とみなされるものとする。また、あらゆる均等物を含む以下の特許請求の範囲は本発明の範囲及び趣旨の定義を目的とすることを理解すべきである。更に、上述の利点は必ずしも本発明の唯一の利点ではなく、各実施形態において記載した利点の全てが達成されることが必ずしも期待されるものではない。
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B