(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986404
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20160823BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20160823BHJP
H02J 50/00 20160101ALI20160823BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
H04M9/00 D
H04M1/02 G
H02J50/00
H02J7/00 301D
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-63891(P2012-63891)
(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公開番号】特開2013-197962(P2013-197962A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 由晴
【審査官】
山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−176763(JP,A)
【文献】
特開2012−044735(JP,A)
【文献】
特開2010−284058(JP,A)
【文献】
特開2010−284065(JP,A)
【文献】
特開2010−284059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
50/00−50/90
H04M 1/02− 1/23
9/00− 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近傍電磁界において所定の共振周波数(f1、f2)をそれぞれ有する親機(1)の送電側共振部(14)と送受話器(2)の受電側共振部(22)との間で発生する磁界結合により、前記親機にて発生する電力を非接触で前記送受話器に供給するとともに、通話を成立させるための音声信号を送受信するものであって、前記親機は、前記音声信号が重畳された送電信号を高周波信号で送出するための高周波信号発生部(12)と、前記高周波信号発生部より送出された前記高周波信号を増幅し、前記増幅された高周波信号を非接触で前記送受話器の前記受電側共振部に伝送するための高周波信号増幅部(13)とを備え、前記送電側共振部は、直列接続されたピックアップコイル(L1)及び共振コンデンサ(C1)を有する直列共振回路にて構成され、前記送受話器は、前記受電側共振部にて受信される前記高周波信号の送電信号を直流電源に変換し、二次電池等の蓄電部(25)に充電するための整流部(23)を備え、前記受電側共振部は、直列接続されたピックアップコイル(L2)及び共振コンデンサ(C2)を有する直列共振回路にて構成され、前記整流部は、前記受電側共振部の前記ピックアップコイルに並列接続されるダイオードブリッジ(DB)にて構成されるインターホンシステムにおいて、
前記親機の前記高周波信号発生部にはマイク(10)が接続され、前記送電側共振部で取出される音声信号を受信する受話部(15)には受話音声として出力するスピーカ(11)が接続され、
前記送受話器の前記受電側共振部を構成する直列共振回路(L2、C2)には、入力側がマイク(20)に接続された送話部(26)の出力側と、出力側がレシーバ(21)に接続された受話部(27)の入力側とがそれぞれ並列接続されることを特徴とするインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親機から送受話器に非接触で電力供給を行うとともに音声信号の送受信により通話を成立させるインターホンシステムに係り、特に、親機から非接触で電力供給される送受話器の充電効率を高めたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来
から、送電部から受電部に非接触で電力供給を行うにあたり、電力を送電するための送電部と、電力を受電するための受電部とを備え、送電部から受電部へ電磁誘電作用を利用して非接触に電力を伝送して、受電部に備えられた二次電池を充電可能な非接触充電器が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−98706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術に記載した特許文献1の非接触充電器において、送電部及び受電部にはそれぞれ、電磁誘電作用として備えられるコイル(渦巻コイル)と共振コンデンサが並列接続されており、並列共振による電力供給の態様であるため、
図2のグラフ図に破線で示すように、二次電池を充電させるにあたって、その充電効率が低かった。
【0005】
また、特許文献1の非接触充電器によれば、その効果として、前述のように送電部から受電部への電磁誘電作用を利用して非接触に電力を伝送し、受電部に備えられた二次電池を充電可能であるものの、送電部及び受電部の間で通話を成立させるための音声信号を伝送する機能が何ら備えられていなかった。
【0006】
本発明は、このような難点を解消するためになされたもので、親機の共振部と送受話器の共振部との間で発生する磁界結合により、
親機にて発生する電力を直列共振の態様をもとに非接触で
送受話器にて受電させることで、送受話器の充電機能の効率化を図るとともに、通話を成立させるための音声信号の送受信が可能なインターホンシステムを提供することを目的とするとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するため、本発明のインターホンシステムは、近傍電磁界において所定の共振周波数をそれぞれ有する親機の送電側共振部と送受話器の受電側共振部との間で発生する磁界結合により、親機にて発生する電力を非接触で送受話器に供給するとともに、通話を成立させるための音声信号を送受信するインターホンシステムであって、親機は、音声信号が重畳された送電信号を高周波信号で送出するための高周波信号発生部と、高周波信号発生部より送出された高周波信号を増幅し、増幅された高周波信号を非接触で
送受話器の
受電側共振部に伝送するための高周波信号増幅部とを備え、送電側共振部は、直列接続されたピックアップコイル及び共振コンデンサを有する直列共振回路にて構成され、送受話器は、受電側共振部にて受信される高周波信号の送電信号を直流電源に変換し、二次電池等の蓄電部に充電するための整流部を備え、受電側共振部は、直列接続されたピックアップコイル及び共振コンデンサを有する直列共振回路にて構成され、整流部は、受電側共振部のピックアップコイルに並列接続されるダイオードブリッジにて構成されるインターホンシステムにおいて、親機の高周波信号発生部にはマイクが接続され、送電側共振部で取出される音声信号を受信する受話部には受話音声として出力するスピーカが接続され、送受話器の受電側共振部を構成する直列共振回路には、入力側がマイクに接続された送話部の出力側と、出力側がレシーバに接続された受話部の入力側とがそれぞれ並列接続されるものである。
【0008】
このインターホンシステムによれば、親機にて発生する電力として高周波信号の送電信号を非接触で送受話器に供給するにあたり、この送電信号が受信される送受話器の受電側共振部が直列共振回路で構成されるため、当該受電側共振部が有する共振周波数で電流が最大となり、送受話器の受電側共振部が有する共振周波数で電流が最大となる電力を、整流部を経由して蓄電部に充電させることができ、この蓄電部の充電効率が高められ、親機にて発生する電力として高周波信号の送電信号を非接触で送受話器に供給するにあたり、この高周波信号の送電信号に重畳させて音声信号の伝送が可能となるばかりでなく、送受話器から親機への音声信号の伝送についても高周波信号の伝送が可能となるため、親機及び送受話器の間で通話を成立させることができ、親機にて発生する電力として高周波信号の送電信号を非接触で送受話器に供給するにあたり、この送電信号を送出する送電側共振部が直列共振回路で構成されるため、当該送電側共振部が有する共振周波数で電流が最大となる送電信号の伝送が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のインターホンシステムによれば、親機の送電側共振部と送受話器の受電側共振部との間で発生する磁界結合により、親機にて発生する電力を高周波信号の送電信号として直列共振の態様をもとに非接触で送受話器にて受電させることで、この直列共振にかかる共振周波数(直列共振周波数)で電流が最大となるため、送受話器の蓄電部にかかる充電効率が高められる。また、高周波信号の送電信号に重畳させて送受話器への音声信号の伝送が可能となるばかりでなく、送受話器から親機への音声信号の伝送についても高周波信号の伝送が可能となるため、親機及び送受話器の間で通話を成立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1(A)は、本発明の実施例によるインターホンシステムの全体構成を示すシステム説明図である。また、
図1(B)は、本発明の実施例によるインターホンシステムの具体的な構成を示す回路ブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例によるインターホンシステムにおいて、送受話器に備えられる蓄電部の充電特性を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のインターホンシステムを適用した実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1(A)は、本発明の実施例によるインターホンシステムの全体構成をシステム説明図である。このインターホンシステムは、例えば、400kHz〜20MHzの周波数環境である近傍電磁界において、後述する所定の共振周波数f1、f2をそれぞれ有する親機1の送電側共振部14と送受話器2の受電側共振部22との間で発生する磁界結合(電磁界結合)により、親機1にて発生する電力を非接触で送受話器2に供給するとともに、通話を成立させるための音声信号を送受信するものである。
【0013】
図1(A)に示す親機1には、前述の通話を成立させるにあたって使用されるマイク10及びスピーカ11が備えられている。また、同図に示す送受話器2には、前述の通話を成立させるにあたって使用されるマイク20及びレシーバ21が備えられている。
【0014】
次に、
図1(A)に示すインターホンシステムの具体的な構成について、
図1(B)の回路ブロック図を参照して説明する。
【0015】
図1(B)に示す親機1には、前述のマイク10及びスピーカ11と、高周波信号発生部12、高周波信号増幅部13、送電側共振部14及び受話部(親機受話部)15とが備えられている。
【0016】
この親機1において、前述のマイク10を有する高周波信号発生部12は、マイク10に送話音声として入力される音声信号に、送受話器2の駆動電源である送電信号を重畳させた高周波信号を生成するためのものである。また、高周波信号増幅部13は、高周波信号生成部12にて生成された高周波信号を増幅し、例えば、100Wの強電波信号として送出するためのものである。
【0017】
送電側共振部14は、式(1)に示す直列共振周波数f1の条件を有するピックアップコイルL1及び共振コンデンサC1が直列接続されており、高周波信号増幅部13にて増幅された高周波信号を非接触で送受話器2に伝送させるとともに、送受話器2から伝送されてくる高周波信号を非接触で受信し、受信された高周波信号である、送受話器2のマイク20に送話音声として入力された音声信号を取出して受話部15に送出するためのものである。
【0018】
【数1】
受話部15は、送電側共振部14にて取出される音声信号を受信し、スピーカ11から受話音声として出力するためのものである。
【0019】
ここで、親機1の具体的な接続の態様として、高周波信号発生部12には、高周波信号増幅部13、送電側共振部14の直列接続された共振コンデンサC1及びピックアップコイルL1を順次経由して基準電位点が接続されている。また、高周波信号増幅部13と送電側共振部14の共振コンデンサC1との間には、受話部15を経由してスピーカ11が接続されている。
【0020】
また、同図に示す送受話器2には、前述のマイク20及びレシーバ21と、受電側共振部22、整流部23、定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)24、蓄電部25、送話部(送受話器送話部)26及び受話部(送受話器受話部)27とが備えられている。
【0021】
この送受話器2において、受電側共振部22は、式(2)に示す直列共振周波数f2の条件を有するピックアップコイルL2及び共振コンデンサC2が直列接続されており、電磁誘導を利用しMピックアップコイルL2で非接触によって親機1からの高周波信号の送電信号を取出して整流部23に送出するとともに、同様に取出した高周波信号の音声信号を受話部27に送出する受信機能と、マイク20に送話音声として入力される音声信号を高周波信号で親機1に非接触で伝送させるための送信機能とを有している。
【0022】
【数2】
整流部23は、受電側共振部22にて受信される高周波信号の送電信号を直流電源に変換するためのものであり、ダイオードブリッジDBにて構成されている。また、定電圧ダイオード24は、整流部23にて変換された直流電源をもとに当該ダイオードに逆方向の電流を流すことで、このダイオードの両端に一定の電圧レベルを確保するためのものである。さらに、蓄電部25は、二次電池等を構成するコンデンサC3にて構成され、定電圧ダイオード24にて確保された一定の電圧レベルの直流電源を、当該送受話器の駆動電源として充電するためのものある。
【0023】
送話部26は、マイク20に送話音声として入力される音声信号を、高周波信号で受電側共振部22から非接触で親機1に伝送させるためのものである。また、受話部27は、受電側共振部22にて取出される音声信号を受信し、レシーバ21から受話音声として出力するためのものである。
【0024】
ここで、送受話器2の具体的な接続の態様として、整流部23を構成するダイオードブリッジDBの整流側の一方は、受電側共振部22の共振コンデンサC2を経由してピックアップコイルL2の一端側に接続されており、ダイオードブリッジDBの整流側の他方は、ピックアップコイルL2の他端側及び基準電位点の間に接続されている。また、ダイオードブリッジDBの(+)端子及び(−)端子の両端子間には、定電圧ダイオード24と、蓄電部25を構成するコンデンサC3がそれぞれ並列接続されている。さらに、ダイオードブリッジDBの整流側の一方と共振コンデンサC2との間、ダイオードブリッジDBの整流側の他方とピックアップコイルL2の他端側及び基準電位点との間には、入力側がマイク20に接続された送話部26の出力側と、出力側がレシーバ21に接続された受話部27の入力側とがそれぞれ接続されている。
【0025】
このように構成された本発明の実施例によるインターホンシステムにおいて、以下、具体的な動作について説明する。
【0026】
図1(A)、(B)に示す親機1の高周波信号発生部12は、マイク10に入力された当該親機のユーザの送話音声である音声信号に、送受話器2の駆動電源である送電信号を重畳させた高周波信号(以下、親機高周波信号という。)を生成する。この親機高周波信号は、高周波信号増幅部13を経由して例えば、100Wの強電波信号に増幅される。この後、高周波信号増幅部13を経由して増幅された親機高周波信号は、送電側共振部14から送受話器2の受電側共振部22に非接触で伝送される。ここで、送電側共振部14は、図示のように直列接続されたピックアップコイルL1及び共振コンデンサC1で構成されているため、この共振部14が有する前述の式(1)に示す直列共振周波数f1で、送電信号にかかる電流が最大となる。
【0027】
また、送受話器2の受電側共振部22は、図示のように直列接続されたピックアップコイルL2及び共振コンデンサC2で構成されているため、電磁誘導を利用してピックアップコイルL2で非接触によって受信された親機高周波信号の送電信号にかかる電流が、この共振部22が有する前述の式(2)に示す直列共振周波数f2で最大となり、整流部23
を構成するダイオードブリッジDBを経由して整流された後、定電圧ダイオード24を経由して一定の電圧レベルが確保された直流電源を、蓄電部25を構成するコンデンサC3に充電させることができる。
【0028】
ここまでの動作によって、送受話器2によれば、受電側共振部22にて取出される送電信号を、受電側共振部22にかかる共振電流で蓄電部25を構成するコンデンサC3に充電させることができるため、
図2(のグラフ図)に実線(太実線)で示すように、蓄電部25を構成するコンデンサC3への急速な充電が可能となり、充電にかかる時間が短縮され、その充電効率が高められる。
【0029】
さらに、送受話器2の受電側共振部22は、前述のように非接触で受信した親機高周波信号から音声信号を取出し、受話部27を経由してレシーバ21に送出することで、親機1のユーザによる送話音声を、受話音声としてレシーバ21から出力させることができる。
【0030】
一方、送受話器2のユーザによる送話音声は、送話部20から高周波信号の音声信号として送出される。この高周波信号(以下、送受話器高周波信号という。)は、受電側共振部22から親機1の送電側共振部14に非接触で伝送される。
【0031】
親機1の送電側共振部14は、非接触で受信した送受話器高周波信号である音声信号を取出し、受話部15を経由してスピーカ11に送出することで、送受話器2のユーザによる送話音声を、受話音声としてスピーカ11から出力させることができる。
【0032】
前述までの説明から明らかなように、本発明の実施例によれば、親機1の送電側共振部14と送受話器2の受電側共振部22との間で発生する磁界結合により、親機1にて発生する電力を高周波信号の送電信号として直列共振の態様をもとに非接触で送受話器2にて受電させることで、この直列共振にかかる共振周波数(直列共振周波数)f1、f2で電流が最大となるため、送受話器2の蓄電部25にかかる充電効率が高められる。また、高周波信号の送電信号に重畳させて送受話器2への音声信号の伝送が可能となるばかりでなく、送受話器2から親機1への音声信号の伝送についても高周波信号の伝送が可能となるため、親機1及び送受話器2の間で通話を成立させることができる。
【0033】
本発明のインターホンシステムにおいては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の当該システムであっても採用できるということはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0034】
1・・・親機
14・・・送電側共振部
L1・・・ピックアップコイル
C1・・・共振コンデンサ
f1・・・(送電側共振部が有する)共振周波数(直列共振周波数)
10・・・マイク
11・・・スピーカ
12・・・高周波信号生成部
13・・・高周波信号増幅部
15・・・受話部
2・・・送受話器
20・・・マイク
21・・・レシーバ
22・・・受電側共振部
L2・・・ピックアップコイル
C2・・・共振コンデンサ
23・・・整流部
DB・・・ダイオードブリッジ
25・・・蓄電部
26・・・送話部
27・・・受話部
f2・・・(受電側共振部が有する)共振周波数(直列共振周波数)