【実施例】
【0020】
本発明は、添付の図面を参考にした好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0021】
実施例1
以下、本発明の実施例1が図面にしたがって説明される。
図1〜
図7は実施例1を示す。
【0022】
着用物品1:
図1に示すように、本実施例の着用物品100は、吸収性本体(オムツ本体)200、前胴回り部301および後胴回り部302を備えている。前記吸収性本体200は、着用者の前胴を覆うフロント部201、着用者の後胴を覆うバック部202、ならびに、前記フロント部201とバック部202との間の股間を覆う股部203を有している。
【0023】
前記股部203はフロント部201およびバック部202に連なり胴回り方向に直交する縦方向に延びる。前胴回り部301と後胴回り部302とは着用時に互いに接合されてもよいし、あるいは、着用前に予め接合されていてもよい。
【0024】
吸収性本体200には立体ギャザー(図示せず)が設けられてもよい。
また、吸収性本体200には、着用者の脚部に沿って括れた脚回り部を形成してもよい。
【0025】
さらに、吸収性本体200の脚回りとなる部分などには、着用物品100を着用者にフィットさせるための弾性部材が設けられていてもよい。この弾性部材としては、たとえば、複数の糸ゴムや平ゴム、フィルムまたは熱可塑性樹脂を含む材料などを採用することができる。また、これらの材料は着用物品100を着用者にフィットさせるための弾性部材としてフロント部201およびバック部202に設けられてもよい。
【0026】
図2に示すように、前記吸収性本体200は、着用者の肌面に接するトップシート21と前記肌面に接しないカバーシート22および吸収性のコア23を備える。
図3B(溶着部)のトップシート21とカバーシート22とは
図3Aのように縦横に延びる格子状の溶着ラインL、Lに沿って互いに溶着されて、その間にコア23を挟んだサンドイッチ構造を形成する。すなわち、
図3Aに示すように、コア23は前記溶着ラインL,Lに沿って互いに溶着されたトップシート21およびカバーシート22に囲まれている。
なお、各図において溶着部位はxxで示される。
【0027】
図3Bの前記トップシート21およびカバーシート22は、液透過性で、かつ、通気性を有する不織布で形成されている。前記カバーシート22の背面には液不透過性のバックシート24が付着されて吸収性本体200がバックシート24に覆われている。
【0028】
前記コア23は多数の吸収性の粒状体3からなる。かかる粒状体3は周知の吸収性の高分子ポリマーからなり、一般に、水分を吸水する前の状態で平均粒径が10μm〜1,000μm程度で、吸水後に膨潤し数倍ないし数百倍の体積となる。
なお、各図において粒状体3は多数のドットで示される。
【0029】
前記コア23は前記粒状体3が多数集まった各集合グループ30が各々、多数の配置エリアDに配置されて形成されている。前記各集合グループ30、30は前記縦横に延びる格子状の溶着ラインL、Lによって区画された前記配置エリアD,Dに分かれて配列されている。すなわち、前記各集合グループ30,30が配置されている各配置エリアD,Dは前記溶着ラインL,Lによって区画されている。
換言すれば、前記各集合グループ30は多数の粒状体3の集まりからなり、
図3Aに示すように、前記集合グループ30のうちの1つのグループと別のグループとが前記溶着ラインL,Lを挟んで縦横方向に並んでいる。
図3Aに示すように、前記各集合グループは縦横方向に多数(3つ以上)並んでいる。
図3Cは所定のパターンで互いに区画された複数の配置エリアDのうちの1つの配置エリアDおよびその周辺を示す。前記1つの配置エリアDは溶着ラインLに囲まれている。
同図に示すように、二点鎖線で示す前記配置エリアDは複数の粒状体3が吸引される吸引エリア1Bよりも一回り大きな領域で設定されている場合が多いだろう。
すなわち、同図に示すように、前記配置エリアDを囲む溶着ラインLと前記吸着エリア1Bの周縁との間には、若干のクリアランスが存在するように前記配置エリアDおよび前記吸引エリア1Bの領域が設定される場合が多いだろう。つまり、前記吸引エリア1Bが前記配置エリアDに包含されている場合が多いだろう。
この場合、前記溶着ラインLと前記吸着エリア1Bとの間にスペースが設けられることになる。
したがって、前記吸着エリア1Bに配置された複数の粒状体3の一部が前記吸着エリア1Bの領域をはみ出した場合、当該はみ出した粒状体3が前記吸着エリア1Bと前記溶着ラインLとの間のスペースに配置されることで、同粒状体の一部が溶着ラインLまではみ出るのを抑制し得る。
なお、前記配置エリアDと前記吸引エリア1Bとが同じ大きさの領域に設定されていてもよい。
また、
図3Dに示すように、丸形の前記吸引エリア1Bが方形の前記配置エリアDに包含されていてもよい。
また、各溶着ラインLは完全に連なっている必要はなく、各集合グループ30の粒状体3が他の集合グループ30に移動しにくい程度に溶着部位が継続的に形成されていてもよい。
つまり、所定のパターンで配置された前記各集合グループ30における粒状体3が前記複数のグループのうちの1つのグループから別のグループへ移動するのを抑制する程度に溶着ラインL,Lが形成されていてもよい。
【0030】
前記集合グループ30の配置は所定の定まったパターンであればよく、規則正しく縦横に並んでいる必要はない。また、各集合グループ30に包含される粒状体3の数は互いに同程度である必要はなく、排泄される体液の量に合わせた分布としてもよい。
【0031】
図3Aの拡大図に示すように、集合グループ30の大きさは数mm〜10mm程度の矩形や丸形であってもよい。また、集合グループ同士30、30の配置のピッチは10mm程度ないし十数mm程度であってもよい。
【0032】
つぎに、
図4A〜
図7にしたがって前記吸収性本体200の製造装置つまり配置装置が説明される。
本配置装置は搬送ドラム(搬送装置の一例)4のまわりに、供給装置5、気流偏向体6、第1、第2および第3導入ローラ71,72,73および超音波ホーン(接合装置の一例)81を備える。
【0033】
前記第1、第2および第3導入ローラ71,72,73は、それぞれ、キャリアウエブ1,カバーウエブ2およびフィルム9を前記ドラム4の外周に導入するためのローラである。
【0034】
図5に示すように、前記ドラム4は通気性を有するキャリアウエブ1の第1面11を搬送面41で吸着保持しながら、
図4のように、前記キャリアウエブ1を所定の搬送経路に沿って搬送する。なお、
図5〜
図7においてはキャリアウエブ1が実際よりも厚く描かれている。
図5の前記第1面11は着用者の肌に接する肌面を形成する。
【0035】
図4の前記供給装置5は前記第1導入ローラ71と前記気流偏向体6との間において、
図6の前記搬送中のキャリアウエブ1の前記第1面11とは反対の第2面12上に無数の粒状体3を供給する。前記無数の粒状体3の供給はキャリアウエブ1の単位面積当りにつき所定量づつ断続的ないし連続的に供給される。
【0036】
図5に示すように、前記搬送面41には多数の吸引孔40が形成され(開口し)ている。吸引孔40は図示しない吸引源(負圧源)に連通しており、前記キャリアウエブ1を通して第1エアα1を前記吸引孔40に吸引して前記キャリアウエブ1の第2面12上に前記粒状体3を保持する。前記吸引孔40と前記吸引源は吸引装置を構成する。
【0037】
図5に示すように、前記搬送ドラム4において前記吸引孔40と吸引孔40との間の吸引されない非吸引エリア4Aには吐出孔42が形成され(開口し)ている。前記吐出孔42は前記搬送面41の前記非吸引エリア4Aにおいて開口し第2エアα2を吐出する。
【0038】
前記吐出孔42はエアの正圧源(図示せず)に連通しており、前記吐出孔42から前記キャリアウエブ1の第2面12に向って前記第2エアα2を吐出することで、前記第2面12から前記キャリアウエブ1を通過した前記第2エアα2によりキャリアウエブ1上の前記非吸引エリア1Aにおいて前記粒状体3を飛散させる。前記吐出孔42と前記正圧源とは吐出装置を構成する。
【0039】
前記気流偏向体6は、たとえば多数の貫通孔60を有するパンチングプレートからなり、
図6の前記搬送ドラム4の搬送面41に沿って湾曲しており、かつ、搬送面41に概ね平行となるように接近した状態で配置されている。すなわち、前記気流偏向体6は前記キャリアウエブ1の前記第2面12に対面して設けられ、前記第1エアα1の前記キャリアウエブ1の第2面12に直交する法線方向Zの流れを妨げることで、前記第1エアα1の少なくとも一部に前記キャリアウエブ1の前記第2面12に沿う方向R,S(
図5)の流れの成分αr,αs(
図5)を付与する。
なお、前記気流偏向体6は前記ドラム4を支持するフレームに固定されており、周方向Rに回転するドラム4に対し周方向Rに相対速度を有する。
【0040】
図4Aの前記第2導入ローラ72は前記気流偏向体6よりも前記キャリアウエブ1の搬送経路の下流において前記キャリアウエブ1の前記第2面12(
図7)および前記粒状体3をカバーウエブ2が覆ったサンドイッチ構造体20(
図7)を生成するために前記カバーウエブ2を前記搬送経路に導入する。
【0041】
図4Aの前記第3導入ローラ73は前記第2導入ローラ72よりも前記キャリアウエブ1の搬送経路の下流において前記カバーウエブ2を覆うフィルム9を前記搬送経路に導入する。
【0042】
前記超音波ホーン81は前記第3導入ウエブ73よりも前記キャリアウエブ1の搬送経路の下流において搬送ドラム4の搬送面41に形成されたアンビル(図示せず)と協働して、前記振動エネルギーを前記両ウエブ1,2に与える。これにより、
図7の前記非吸引エリア1Aにおいて前記キャリアウエブ1と前記カバーウエブ2とを互いに溶着する。
超音波振動による溶着(シール)では、機械振動を超音波により
図4Aのホーン81に伝送し、熱可塑性のウエブを加圧された状態でホーン81とアンビルとの間を通過させることで、ウエブ同士が摩擦熱により溶着される。したがって、非吸引エリア1A(
図6)において両ウエブ1,2間に異物である粒状体3が残存しているとシール不良となり易い。
【0043】
つぎに、サンドイッチ構造体20(
図7)の製造方法について説明する。
図4Aに示すように、第1導入ローラ71によりキャリアウエブ1を搬送ドラム4に導入しキャリアウエブ1の第1面11(
図6)を搬送ドラム4の搬送面41で吸着保持しながら前記キャリアウエブ1を所定の搬送経路つまり前記搬送ドラム4の搬送面41に沿って搬送する。
【0044】
前記第1導入ローラ71と気流偏向体6との間において、前記供給装置5から前記搬送中の
図6のキャリアウエブ1の第1面11とは反対の第2面12上に粒状体3を供給する。
図6に示すように、供給された粒状体3は前記第2面12上において層を形成する。
【0045】
粒状体3の層は吸収性本体200(
図1)ごとに断続的に供給されてもよい。
粒状体3の層の厚さは搬送ドラム4の軸方向の中央が両端よりも厚くてもよい。また、粒状体3の層の厚さは、1つの吸収性本体200(
図1)の周縁において薄く、かつ、中央やその近傍において厚くてもよい。
【0046】
図5において、前記搬送面41に形成された複数の吸引孔40から前記キャリアウエブ1を通して第1エアα1が吸引されて、前記キャリアウエブ1の第2面12上に前記粒状体3が吸着保持される。一方、前記第1エアα1の吸引を行いながら、前記搬送面41の前記非吸引エリア4Aにおいて開口する吐出孔42から前記キャリアウエブ1の第2面12に向って第2エアα2が吐出される。
【0047】
前記第1エアα1の吸引と前記第2エアα2の吐出を同時に行うことで、前記第2面12から前記キャリアウエブ1を通過した第2エアα2により非吸引エリア1A上の前記粒状体3が飛散し、この飛散した前記粒状体3が前記第1エアα1により吸引孔40の上の吸引エリア1Bに向って吸引される。
【0048】
図6に示すように、前記エアの吸引および吐出を同時に行いながら、前記粒状体3を保持したキャリアウエブ1は気流偏向体6に接近する。その後、前記キャリアウエブ1の第2面12が気流偏向体6に対面することにより、前記第1エアα1の前記キャリアウエブ1の第2面12に直交する法線方向Zの流れが妨げられる。
【0049】
つまり、第1エアα1の流れの一部は、気流偏向体6の実部61で邪魔されて前記流れの成分αr,αs(
図5)を有し、気流偏向体6の貫通孔60を通って吸引孔40に向う。そのため、第1エアα1の一部は気流偏向体6とキャリアウエブ1との間で搬送ドラム4の周方向Rや
図5の軸方向Sに沿って流れる。
【0050】
このように、前記第1エアα1の吸引および前記第2エアα2の吐出を同時に行いながら、前記粒状体3を保持した搬送面41は気流偏向体6に対面した状態で回転し続け、その間に前記第1エアα1の少なくとも一部に前記キャリアウエブ1の第2面12に沿う方向の流れの成分αr,αs(
図5)が付与される。これにより、
図7に示すように、前記キャリアウエブ1上の前記非吸引エリア1Aの前記粒状体3が吸引エリア1Bに移動して前記粒状体3が前記キャリアウエブ1上に所定のパターンで配置される。
すなわち、前記非吸引エリア1Aにおける一部の粒状体3が前記吸引エリア1Bにおいて吸引保持されているその他の粒状体3に向って移動する。
その結果、
図1に示すように、所定のパターンで互いに区画された前記配置エリアDにごとに、複数の粒状体3からなる各集合グループ30がキャリアウエブ1上に配置される。
【0051】
前記粒状体3が所定のパターンでキャリアウエブ1上に配置された後に、搬送面41は気流偏向体6から遠ざかり前記キャリアウエブ1の第2面12および前記粒状体3が前記第2導入ローラ72により導入されたカバーウエブ2および前記第3導入ローラ73により導入されたフィルム9で覆われてサンドイッチ構造体20が生成される。
【0052】
その後、前記サンドイッチ構造体20は搬送面41により回転され続け
図4のホーン81に到達すると
図2の前記非吸引エリア1Aに相当する部位において前記キャリアウエブ1と前記カバーウエブ2とが超音波溶着される。これにより、前記粒状体3の所定のパターンが保持される。このウエブ1,2同士の溶着後、前記吸引孔40からの吸引および吐出孔42からの吐出が停止されてもよい。
前記溶着の際に、
図3Bのカバーウエブ2とフィルム9も溶着されるが、前記フィルム9はキャリアウエブ1とカバーウエブ2との溶着後に、カバーウエブ2に接着剤により接着されてもよい。
【0053】
その後、前記サンドイッチ構造体20は個々の着用物品の単位、つまり、
図1の個々の吸収性本体200の単位に切り分けられる。
【0054】
実施例2
図8〜
図10は実施例2を示す。
これらの図に示すように、本実施例では気流偏向体が設けられていない。この実施例の場合も、前記
図5〜
図7の例と同様、
図8〜
図10に示すように、キャリアウエブ1が搬送経路の下流に行くに従いキャリアウエブ1の非吸引エリア1Aの粒状体3が吸引エリア1Bに集まり易い。
【0055】
本実施例2における前記粒状体3がキャリアウエブ1の吸引エリア1B上に配置される方法は前記実施例1と同様であり、その説明を省略する。
本実施例2の場合、実施例1と異なり気流偏向体により第1エアα1の流れに周方向αrや軸方向αsの流れの成分を付与する作用が得られない。そのため、第2エアα2の吐出により飛散した粒状体3を吸引エリア1Bに集める作用が実施例1に比べると低下するだろう。
なお、本実施例2の場合、前記実施例1に対して吐出孔42の形成密度を高くしてもよい。
その他の構成は、前記実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0056】
図11Aおよび
図11Bは粒状体3の配置パターンおよびシールパターンの他の例を示す。
【0057】
前記配置パターンにおける粒状体3の集合グループ30(配置エリアD)の形状は、
図11Aの長方形や
図11Bの円形であってもよい。また、前記粒状体3の集合グループ30の配列は
図11Aの縦横の配列であってもよいし、
図11Bのトライアングル状の配列であってもよい。
【0058】
また、粒状体3の集合グループ30(配置エリアD)同士を区分けするためのシールパターンは、
図1の連らなったラインであってもよいし、
図11Aおよび
図11Bの断続的な点状であってもよい。
【0059】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、搬送装置としてドラムではなくコンベヤを採用してもよい。
また、キャリアウエブ1とカバーウエブ2との接合方法として、超音波溶着の他に、たとえばヒートシールなどの熱溶着による接合方法を用いてもよい。
また、本発明における「複数の粒状体」とは、粒状の材料の集合体のみからなる場合の他に、複数の粒状体に粉状の材料が混合されている場合も含む概念である。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。