(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986511
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/05 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
G05B19/05 D
G05B19/05 S
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-11775(P2013-11775)
(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公開番号】特開2014-142860(P2014-142860A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】大山 浩志
(72)【発明者】
【氏名】赤井 直之
【審査官】
稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−014388(JP,A)
【文献】
特開2012−208697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器と制御システムとの接続状態を示す第1接続データを記憶する第1記憶部と、
複数の前記機器と機器管理装置との接続状態を示す第2接続データを記憶する第2記憶部と、
前記第1接続データによる第1接続状態および前記第2接続データによる第2接続状態を表示する表示部と、
前記第1接続状態および前記第2接続状態を各々個別に前記表示部に表示させる表示制御部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、
前記表示制御部は、前記第1接続状態における前記機器および前記第2接続状態における前記機器は、前記第1接続データにおいて前記機器を識別する第1タグおよび前記第2接続データにおいて前記機器を識別する第2タグが示された状態で前記表示部に表示させることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の表示装置において、
前記第1接続データは、複数の中継器を経由した複数の前記機器と前記制御システムとの接続情報が含まれ、
前記表示制御部は、複数の前記中継器を経由した複数の前記機器と前記制御システムとの前記第1接続状態を階層的に前記表示部に表示させることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記表示制御部は、前記第1接続状態または前記第2接続状態に表示される複数の前記機器の中の選択された機器の情報を、前記第1接続状態または前記第2接続状態の表示領域とは別の表示領域で前記表示部に表示させることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムおよび機器管理装置などに接続される機器の接続状態を表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、建築物に付帯している各設備の監視制御や、プラントなどの制御には制御システムが用いられ、さらに機器管理装置が用いられている場合がある(特許文献1参照)。例えば、機器管理装置は、フィールドバスなどのネットワークにより接続している現場に設置されたプロセス機器や各種センサなどのフィールド機器との間で信号をやりとりし、従来では可搬型端末を現場でフィールド機器に直結して行っていた較正を上位からのパラメータ設定で行い、また、フィールド機器が正常に動作している状態に関する診断結果を表示している。
【0003】
このような制御のシステムにおいて、機器管理装置とフィールド機器とを接続するネットワークとして、「4−20mA」信号と呼ばれる4mAから20mAまでの電流値を信号として用いた規格(国際規格)が、広く用いられている。このネットワークでは、古くは、電流値(4−20mA)で、フィールド機器であるセンサの値やバルブ開度(プライマリ測定値)の0−100%値を示すようにしていた。
【0004】
また、現在では、上述したアナログ制御信号上にデジタル信号を重畳し、フィールド機器のセカンダリ測定値(例えば、圧力計における温圧補正のための温度)や、フィールド機器の設定パラメータなどの「付加情報」を、機器管理装置との間で送受信するネットワークシステムも開発されている。このネットワークシステムは、HART(Highway Addressable Remote Transducer;登録商標)通信と呼ばれ、HART通信仕様に準拠した機器の採用が増えてきている。
【0005】
当初は、HART通信仕様のハンディターミナルによるレンジ設定など、フィールド機器のパラメータ設定が、主な目的であったが、近年は、フィールド機器による自己診断についての仕様化が行われるなど、多様化が進んでいる。例えば、機器管理装置に加えられた「機器管理ステーション」上で、フィールド機器自己診断情報を監視することも主な目的の1つとなってきている。
【0006】
上述したような制御システムおよび機器管理装置におけるエンジニアリング作業においては、各フィールド機器の接続状態を把握することが重要となる。例えば、
図5に示すように、機器管理装置301および制御システム302と各フィールド機器305とが接続されている。制御システム302には、ネットワーク311を介して複数のコントローラ303が接続し、各コントローラ303には複数のI/Oモジュール信号変換器304が接続している。複数のI/Oモジュール信号変換器304には、ネットワーク321を介して機器管理装置301も接続している。
【0007】
また、各I/Oモジュール信号変換器304には、信号線312および信号線322により複数のフィールド機器305が接続している。この中で、各フィールド機器305は、信号線312を介し、制御システム302−コントローラ303−I/Oモジュール信号変換器304の経路に接続している。また、各フィールド機器305は、信号線322を介し、機器管理装置301−I/Oモジュール信号変換器304の経路に接続している。I/Oモジュール信号変換器304において、機器管理装置301がネットワーク321で接続する信号と、信号線322でフィールド機器305に接続するための信号とを相互に変換している。
【0008】
上述した
図5に示す接続状態は、機器管理装置301と制御システム302とが一体として構成された一体型におけるものである。上述した一体型における接続状態では、機器管理装置301から見た各フィールド機器305の接続状態と、制御システム302から見た各フィールド機器305の接続状態とが、同様となっている。従って、機器管理装置301と各フィールド機器305の接続状態は、制御システム302で用いられているフィールド機器305の接続図で確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−014388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、近年では、機器管理装置が組み込まれていない制御システムのフィールド機器との構成に、後から機器管理装置を導入する事例が増えている。この場合、
図6に示すように、制御システム302と各フィールド機器305とが接続されている経路とは別の経路で、機器管理装置401にフィールド機器305を接続する。これは、機器管理装置401とフィールド機器305との接続が、制御システム302とフィールド機器305との接続とは、個別に構成された分離型と呼ばれている。
【0011】
このような分離型では、制御システム302には、ネットワーク311を介して複数のコントローラ303が接続し、各コントローラ303には複数のI/Oモジュール404が接続し、各I/Oモジュール404に、
信号線312aにより複数のフィールド機器305が接続している。
【0012】
一方、機器管理装置401には、信号線421で信号変換器402が接続し、信号変換器402に、複数のフィールド機器
305の各々が、信号線422により接続している。なお
、信号線422は、フィールド機器305毎に設けられている。
【0013】
このように分離型では、機器管理装置401から見た各フィールド機器305の接続状態と、制御システム302から見た各フィールド機器305の接続状態とが、異なっている。このため、分離型では、機器管理装置401と各フィールド機器305の接続状態を、制御システム302で用いられているフィールド機器305の接続図で確認することができない。このように、既に制御システムとフィールド機器とが接続されている構成に、後から機器管理装置を組み込んだ分離型では、機器管理装置と各フィールド機器の接続状態が容易に確認できないという問題があった。
【0014】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、既に制御システムとフィールド機器とが接続されている構成に、後から機器管理装置を組み込んだ分離型において、機器管理装置と各フィールド機器の接続状態が容易に確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る表示装置は、複数の機器と制御システムとの接続状態を示す第1接続データを記憶する第1記憶部と、複数の機器と機器管理装置との接続状態を示す第2接続データを記憶する第2記憶部と、第1接続データによる第1接続状態および第2接続データによる第2接続状態を表示する表示部と、第1接続状態および第2接続状態を各々個別に表示部に表示させる表示制御部とを備える。
【0016】
上記表示装置において、表示制御部は、第1接続状態における機器および第2接続状態における機器は、第1接続データにおいて機器を識別する第1タグおよび第2接続データにおいて機器を識別する第2タグが示された状態で表示部に表示させるようにしてもよい。
【0017】
上記表
示装置において、第1接続データは、複数の中継器を経由した複数の機器と制御システムとの接続情報を含むものとし、表示制御部は、複数の中継器を経由した複数の機器と制御システムとの第1接続状態を階層的に表示部に表示させるようにしてもよい。
【0018】
上記表示装置において、表示制御部は、第1接続状態または第2接続状態に表示される複数の機器の中の選択された機器の情報を、第1接続状態または第2接続状態の表示領域とは別の表示領域で表示部に表示させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したことにより、本発明によれば、既に制御システムとフィールド機器とが接続されている構成に、後から機器管理装置を組み込んだ分離型において、機器管理装置と各フィールド機器の接続状態が容易に確認できるようになるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態における表示装置の構成を示す構成図である。
【
図2】
図2は、表示部103に表示される状態を示す説明図である。
【
図3】
図3は、表示部103に表示される状態を示す説明図である。
【
図4】
図4は、表示部103に表示される状態を示す説明図である。
【
図5】
図5は、制御システムおよび機器管理装置とフィールド機器との接続状態を示す構成図である。
【
図6】
図6は、制御システムおよび機器管理装置とフィールド機器との接続状態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態における表示装置の構成を示す構成図である。この表示装置は、第1記憶部101,第2記憶部102,表示部103,および表示制御部104を備える。
【0022】
第1記憶部101は、複数のフィールド機器と制御システムとの接続状態を示す第1接続データを記憶する。第2記憶部102は、複数のフィールド機器と機器管理装置との接続状態を示す第2接続データを記憶する。このようにして記憶されている第1接続データによる第1接続状態および第2接続データによる第2接続状態が、表示部103に表示される。この表示は、表示制御部104の制御により行われ、表示制御部104は、第1接続状態および第2接続状態を各々個別に表示部103に表示させる。
【0023】
例えば、表示制御部104は、
図2に示すように、表示部103の表示領域201に、第2接続状態を表示する。
図2に示す例では、選択タグ211で機器管理装置との接続である「HARTコミュニケーション」が、ユーザの操作により選択されており、表示領域201には、第2接続状態が表示されている。この表示において、各々のフィールド機器221を示す部分には、第1接続データにおいてフィールド機器221を識別する第1タグ212および第2接続データにおいてフィールド機器221を識別する第2タグ213が示されている。
【0024】
また、
図2に示すように、表示制御部104は、表示部103の表示領域201とは別の表示領域202に、第2接続状態に表示される複数のフィールド機器221の中の、ユーザの操作により選択されたフィールド機器221の情報を表示させる。この表示では、機器管理装置において必要となる各フィールド機器221の情報が示される。
【0025】
また、例えば、表示制御部104は、
図3に示すように、表示部103の表示領域201に、第1接続状態を表示する。
図3に示す例では、ユーザの操作により、選択タグ211で制御システムとの接続である「DCS」が選択されており、表示領域201には、第1接続状態が表示されている。ここで、第1接続データは、複数の中継器を経由した複数のフィールド機器と制御システムとの接続情報が含まれている。このため、表示制御部104は、中継器であるコントローラ222およびI/Oモジュール223を経由した複数のフィールド機器221の接続状態を、表示領域201に階層的に表示する。なお、この表示においても、各々のフィールド機器221を示す部分には、第1接続データにおいてフィールド機器221を識別する第1タグ212および第2接続データにおいてフィールド機器221を識別する第2タグ213が示されている。
【0026】
また、
図3に示すように、表示制御部104は、表示部103の表示領域201とは別の表示領域202に、第1接続状態に表示される複数のフィールド機器221の中の、ユーザの操作により選択されたフィールド機器221の情報を表示させる。この表示では、フィールド機器221の制御に必要な情報が表示される。
図3に示す例では、ユーザの操作により「HARTデバイス設定」が選択された状態を示している。
【0027】
また、
図4に示すように、表示領域202に、第1接続状態に表示される複数のフィールド機器221の中の、ユーザの操作により選択されたフィールド機器221の、他の情報を表示させることもできる。
図4に示す例では、ユーザの操作により「DCSタグ設定」が選択された状態を示している。
【0028】
以上に説明したように、本発明によれば、表示制御部104の制御により、第1接続状態および第2接続状態を各々個別に表示部103に表示させるようにしたので、既に制御システムとフィールド機器とが接続されている構成に、後から機器管理装置を組み込んだ分離型においても、機器管理装置と各フィールド機器の接続状態が容易に確認できるようになる。
【0029】
次に、第1記憶部101に記憶されているデータについて、1例を示す。前述したように、第1接続データは、複数のフィールド機器と制御システムとの接続状態を示している。制御システムでは、複数のコントローラが接続し、また、各コントローラには、複数のI/Oモジュールが接続し、各I/Oモジュールにフィールド機器が接続している。フィールド機器は、例えば、センサやバルブ、また、PIDのような制御を行う機能ブロックがある。
【0030】
これらのフィールド機器の各々について、フィールド機器を識別するためのポイントタグ、コントローラ番号,I/Oモジュール番号,スロット番号などの接続状態を示す情報(第1接続データ)、値の電流値/工業単位変換データ、アラームしきい値などのデータ処理情報が定義されている。第1記憶部101には、制御システムでフィールド機器を制御するために用いられるデータが記憶されている。この中で、上述した接続状態を示す第1接続データにより、第1接続状態が生成される。
【0031】
また、第2記憶部102には、機器管理装置で用いられるデータが記憶されている。例えば、フィールド機器の各々について、通信モジュールの上位のIPアドレスの定義,フィールド機器のベンダ名、フィールド機器のタイプ、HARTバージョンなどのフィールド機器における環境設定データが記憶されている。ここで、機器管理装置には、機器管理装置と対で用いられているHART信号変換器に、複数のフィールド機器が直接接続されているため、第2記憶部102にフィールド機器の情報が記憶されていること自体が、第2接続データとなる。
【0032】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0033】
101…第1記憶部、102…第2記憶部、103…表示部、104…表示制御部。