【文献】
JOURNAL OF CLINICAL ENDOCRINOLOGY AND METABOLISM,1992年,Vol.75, No.2,p.571-576
【文献】
[ONLINE],R&D SYSTEMS,INC,2004年10月12日,URL,http://www.rndsystems.com/pdf/mab3381.pdf
【文献】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1994年,Vol.91,p.8817-8821
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配列番号:225のアミノ酸11−33、およびアミノ酸81−111内の領域に結合し、ならびにヒトアクチビンAと結合すると、ヒトアクチビンAのヒトアクチビンA受容体への結合を阻害する、請求項1記載の単離された抗体。
前記単離された抗体が、悪液質の減弱、結腸腫瘍を持ったマウスにおける悪液質の減弱、結腸腫瘍を持ったマウスにおける体重減少の回復、関節リウマチのコラーゲン誘発動物モデルにおける体重減少の回復、関節リウマチのコラーゲン誘発動物モデルにおける筋肉量の減少の回復、および関節リウマチのコラーゲン誘発動物モデルにおける脂肪量の減少の回復からなる群より選択されるいずれかの生物活性を有する、請求項1または2記載の単離された抗体。
a)ヒトアクチビンAのシステインノット領域(アミノ酸C11−S33およびアミノ酸C81−E111)と特異的に結合し、かつ前記抗体が、生体外でヒトアクチビンA受容体とのヒトアクチビンAの結合を阻害することを特徴とする完全ヒト単離抗体であるか;または
b)ヒトアクチビンAのシステインノット領域(アミノ酸C11−S33およびアミノ酸C81−E111)と特異的に結合し、かつ前記抗体が、生体内でヒトアクチビンA受容体とのヒトアクチビンAの結合を阻害することを特徴とする完全ヒト単離抗体である、
請求項4に規定される完全ヒト単離抗体。
緩衝液、抗酸化剤、低分子量ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、炭水化物、キレート剤、安定剤および賦形剤からなる群より選択される1つ以上の物質をさらに含む、請求項11記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(発明を実施するための形態)
本発明は、全長アクチビンAとも結合する抗体により認識されるシステインノットドメインを含む、ヒトアクチビンAの領域、および/またはアクチビンAのシステインノット領域に重複する、もしくは該領域を包含するアクチビンAの領域、ならびにこれらのシステインノットドメインを作製および使用する方法に関する。本発明は、アクチビンAまたはアクチビンAの一部と特異的に結合する、抗体を含む抗原結合剤、ならびにそのような結合剤を使用するための方法も提供する。結合剤は、1つ以上の配位子とのヒトアクチビンAの結合を阻止する、または低下させるために有用である。
【0042】
うっ血性心不全(CHF)による死亡率は、悪液質に関連している。一研究(Anker,S.D.and Coats,A.J.,Chest 115:836−847,1999)においては、患者集団から任意抽出されたCHFの16パーセントが、悪液質であった。この状態は、年齢、機能的疾患分類、左心室駆出分画率、および最大酸素消費量に左右されない、予後の低下を予測した。悪液質コホートにおける死亡率は、18ヶ月で50パーセントであった。
【0043】
悪液質が要因である、癌、関節リウマチ、慢性腎不全、うっ血性心不全、および他の病態における疾病進行に共通している1つの経路は、アクチビンA経路である。筋萎縮および筋脱力は、老化、癌悪液質、敗血症、除神経、廃用、不活発、火傷、後天性免疫不全症候群(AIDS)、慢性腎不全もしくは慢性心不全、後肢懸垂/微小重力、および筋ジストロフィーを含む、多くの病状および病態において、共通している。アクチビンおよびインヒビンは、TGFベータスーパーファミリーの一員である。アクチビンおよびインヒビンは、それぞれ、下垂体卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌および生合成の、刺激剤および阻害剤として機能する。アクチビンAは、アクチビンの優勢型である。生殖生物学において、アクチビンおよびインヒビンは、卵巣周期および排卵プロセスの重要な調節剤であり、胚着床および/または妊娠維持に影響を与え得る。(O’Connor et al.,Human Reproduction,V.14,No.3,827−832,March 1999;Draper et al.,Endocrin.,V.138,No.7:3042−3046;Jones,et al.,Endocrin.V.147,No.2:724−732,Feb.2006)。幅広い種類の組織におけるインヒビンおよびアクチビンの識別は、これらの要因が、FSH分泌の制御よりもはるかに大きい役割を果たすことを示唆する。
【0044】
アクチビンは、2つの構造的に関連があるクラスのセリン/スレオニンキナーゼ受容体(I型およびII型)と相互作用する。プロテオグリカン、ベタグリカンと結合し、II型アクチビン受容体と安定複合体を形成することにより、I型受容体を排除する一方でII型アクチビン受容体を封鎖することにより、インヒビンはアクチビンを拮抗する。2つの主要な型のアクチビンが存在する。アクチビンAは、β
A−サブユニットのホモ二量体であり、アクチビンBは、β
B−サブユニットのホモ二量体である。(Vale,et al.,Recent Prog Horm Res V.44:1−34,1988)。どのβ−サブユニットとも異なる、α−サブユニットのヘテロ二量体は、機能的アンタゴニストインヒビンをもたらす。
【0045】
文献は、アクチビンAが、癌組織において過剰発現された、および/または限局したことを示している。例えば、子宮内膜癌および子宮頸癌を有する女性において、高濃度の血中アクチビンAが見つかった(Petraglia,F.et al.,Jour.Clin.Endocrin.Metab.83:1194−1200,1998)。アクチビンAは、病期IV期の結腸直腸癌において過剰発現された(Wildi,S.et al.,Gut 49:409−417,2001)。卵巣癌におけるアクチビンAの役割が報告された(Steller,M.D.et al.,Mol.Cancer Res.3:50−61,2005)。
【0046】
文献は、アクチビンAを腎疾患に関連付けている。(Yamashita,S.et al.J.Am.Soc.Nephrol.15:91−101,2004)。健常者および疾病を有する患者における、血中免疫反応性アクチビンA濃度が、Harada,K.et al.in J.Clin.Endocrin.and Metab.81:2125−2130,1996により報告された。アクチビンAは、腎間質線維芽細胞の強力な活性剤である(Harada,K.et al.,J.Am.Soc.Nephrol.15:91−101,2004)。糸球体のアクチビンAの過剰発現は、抗Thy1糸球体腎炎における線維症と関係がある(Gaedeke,J.et al.,Neph.Dial.Transpl.20:319−328,2005)。
【0047】
心不全患者の血中アクチビンA濃度は、疾病重症度に従い増加した(Yndestal
et al.,Circulation 109:1379−1385,2004)。心不全のラットモデルにおいて、血中アクチビンAは、心筋梗塞の直後に上昇し、6ヶ月間持続し、アクチビンA免疫染色は、心筋細胞のみに限局した(Yndestad et
al.,2004)。心不全において、アクチビンA濃度の上昇が報告された(Yndestad,A.et al.,Circulation 109:1379−1385,2004)。
【0048】
本発明は、例えば、拮抗性抗アクチビンA抗体、抗体断片、または抗体誘導体等の、抗アクチビンA抗体、抗体断片、および抗体誘導体等の、アクチビンAを作動または拮抗する分子を含む、アクチビンAと結合する分子に関する組成物、キット、および方法を提供する。アクチビンAのアミノ酸R13−Y39、またはアミノ酸V82−N107等の、アクチビンAの一部と特異的に結合する分子に関する組成物、キット、および方法もまた提供される。そのような分子は、抗体、抗体断片、および抗体誘導体を含み得る。アクチビンAと結合するポリペプチドのすべてまたは一部をコードするヌクレオチドの配列を含む、核酸ならびにその誘導体および断片、例えば、抗アクチビンA抗体、抗体断片、抗体変異形、または抗体誘導体のすべてまたは一部をコードする核酸、そのような核酸を含むプラスミドおよびベクター、ならびにそのような核酸および/またはベクターおよびプラスミドを含む細胞もしくは細胞株もまた提供される。提供された方法は、例えば、抗アクチビンA抗体等のアクチビンAと結合する分子を作製、識別、または単離する方法、分子がアクチビンAと結合するかどうかを確定する方法、アクチビンAと結合する分子を含む、医薬組成物等の組成物を作製する方法、ならびに例えば、アクチビンAにより媒介される病態を治療するための方法、および生体内または生体外でアクチビンAの生物活性を調節するための方法等の、アクチビンAと結合する分子を対象に投与するための方法を含む。
【0049】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、標準的な1または3文字の略号を使用して示される。別段に示されない限り、ポリペプチド配列は、左にそれらのアミノ末端、および右にそれらのカルボキシ末端を有し、1本鎖核酸配列、および2本鎖核酸配列のトップ鎖は、左にそれらの5’末端、右にそれらの3’末端を有する。また、特定のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、それが参照配列とどのように異なるのかを説明することにより、表現され得る。別段に示されない限り、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、それぞれ、記載される各核酸またはアミノ酸、および介在核酸またはアミノ酸を含むことが理解される。例えば、ポリペプチド配列R13−Y39は、アミノ酸R13およびY39、ならびにポリペプチド配列内のR13とY39との間に見られるアミノ酸を含む、ポリペプチド配列を説明する。同様に、ポリヌクレオチド配列C1−T5は、核酸C1およびT5、ならびに配列の位置2、3および4における核酸を含む、ポリヌクレオチド配列を説明する。したがって、配列番号:1−5の表示は、同様に、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5の包括的な群を示す。最後に、別段に指定されない限り、アミノ酸分類もまた、包括的であることが意図される。例えば、「配列番号:28のアミノ酸1−5」という語句は、配列番号:28の位置1、2、3、4、および5におけるアミノ酸を含む。
【0050】
特定の軽鎖および重鎖可変ドメインのポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列が、以下に示される。軽鎖および重鎖を含む抗体は、軽鎖の名前、および重鎖可変ドメインの名前を組み合わせることにより、示される。例えば、「L4H7,」は、L4の軽鎖可変ドメイン、およびH7の重鎖可変ドメインを含む抗体を示す。
【0051】
カッパ軽鎖定常配列は、配列番号:84、100、および108に示され、重鎖定常配列は、配列番号:214、215、および221に示される。これらの配列をコードするポリヌクレオチドは、軽鎖に対しては、それぞれ、配列番号:222、223、および239に、および重鎖に対しては、それぞれ、配列番号:240、241、および242に示される。したがって、本明細書に開示されるような可変配列に加えて、抗体は、配列番号:84および214;または配列番号:215および223;または配列番号:108および221、のうちの1つもしくは両方を含み得る。
【0052】
他の実施形態においては、相補的軽鎖または重鎖可変ドメインが、特定されていないままである一方で、抗体は、特異的重鎖または軽鎖を含み得る。特に、相補的重鎖または軽鎖が、無差別または無関係でさえあり得るが、例えば組み合わせライブラリーをスクリーニングすることにより確定され得るように、本明細書の特定の実施形態は、特異的軽鎖または重鎖を介して、特異的抗原(アクチビンA等)と結合する抗体を含む。Portolano et al.,J.Immunol.V.150(3),pp.880−887(1993);Clackson et al.,Nature v.352 pp.624−628(1991)。
【0053】
本明細書に別段に定義されない限り、本明細書に関連して使用される科学および技術用語は、当業者に一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈により別段に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。概して、本明細書に記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法、およびそれらの技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。本発明の方法および技術は、別段に示されない限り、概して、当技術分野で周知であり、かつ本明細書にわたって引用および考察される様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されるような、従来の方法に従い実行される。例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)、およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)、およびHarlow and Lane Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)を参照。酵素反応および精製法は、当技術分野で一般的に遂行されるような、または本明細書に記載されるような、作製者の仕様書に従い実行される。本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、ならびに医薬品化学および薬化学に関連して使用される術語、ならびにその検査法および技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されているものである。化学合成、化学分析、医薬品調製、処方、および送達、ならびに患者の治療に対して、標準的な技術が使用され得る。
【0054】
以下の用語は、別段に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0055】
「単離した分子」という用語(分子が、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体である場合)は、その誘導元または誘導源により、(1)その自然な状態においてそれに付随する、自然的に関連した構成要素と関連しない、(2)同種からの他の分子を実質的に含まない、(3)異種からの細胞により発現される、または(4)自然に発生しない、分子である。したがって、化学的に合成された、またはそれが自然に発生する細胞と異なる細胞系において合成された分子は、その自然的に関連した構成要素から「単離」される。また、分子は、当技術分野で周知の精製法を使用した単離により、自然的に関連した構成要素を実質的に含まない状態にされ得る。分子の純度または均一性は、当技術分野で周知の多数の手段により分析され得る。例えば、ポリペプチドサンプルの純度は、当技術分野で周知の技術を使用してポリペプチドを視覚化するために、ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびゲル染色を使用して、分析され得る。特定の目的で、HPLCまたは精製に関して当技術分野で周知の他の手段により、より高い分解能が提供され得る。
【0056】
「アクチビンA阻害剤」および「アクチビンAアンタゴニスト」という用語は、交互に用いられる。それぞれは、アクチビンAの少なくとも1つの機能を検出可能な程度に阻害する分子である。逆に、「アクチビンA作動薬」は、アクチビンAの少なくとも1つの機能を検出可能な程度に増加させる分子である。アクチビンA阻害剤によりもたらされる阻害は、アッセイを使用して検出可能である限り、完全である必要はない。アクチビンAの機能のいかなるアッセイも使用され得て、それらの例は、本明細書に提供される。アクチビンA阻害剤により阻害され得る、またはアクチビンA作動薬により増加され得る、アクチビンAの機能の例は、アクチビンAとの結合を含む。アクチビンA阻害剤およびアクチビンA作動薬の種類の例は、抗原結合タンパク質(例えば、アクチビンA阻害抗原結合タンパク質)等のアクチビンA結合ポリペプチド、抗体、抗体断片、および抗体誘導体を含むがこれらに限定されない。
【0057】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語のそれぞれは、ペプチド結合により互いに連結した2つ以上のアミノ酸残基を含む分子を意味する。これらの用語は、例えば、天然および人工タンパク質、タンパク質断片、およびタンパク質配列のポリペプチドアナログ(突然変異タンパク質、変異形、および融合タンパク質等)、ならびに翻訳後に、または別様に共有結合的もしくは非共有結合的に修飾されたタンパク質を包含する。ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、単量体または重合体であり得る。
【0058】
本明細書に使用されるような「ポリペプチド断片」という用語は、対応する全長タンパク質と比較して、アミノ末端および/またはカルボキシ末端欠失を有する、ポリペプチドを意味する。断片は、例えば、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、70、80、90、100、150、または200アミノ酸の長さであり得る。また、断片は、例えば、最大で1,000、750、500、250、200、175、150、125、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、14、13、12、11、または10アミノ酸の長さであり得る。断片は、その末端のどちらか一方または両方において、1つ以上の追加アミノ酸、例えば、異なる自然に発生するタンパク質からのアミノ酸配列(例えば、Fcまたはロイシンジッパードメイン)または人工アミノ酸配列(例えば、人工リンカー配列)を、さらに含み得る。
【0059】
本発明のポリペプチドは、例えば、(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させるため、(2)酸化に対する感受性を減少させるため、(3)タンパク質複合体の形成に対する結合親和性を変化させるため、(4)結合親和性を変化させるため、および(4)他の物理化学的または機能的特性を付与または修飾するために、あらゆる方法で、かつあらゆる理由で修飾されたポリペプチドを含む。アナログは、ポリペプチドの突然変異タンパク質を含む。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(例えば、保存アミノ酸置換)は、自然に発生する配列において(例えば、分子間接触を形成するドメインの外側にある、ポリペプチドの部分において)、行われ得る。「保存アミノ酸置換」は、親配列の構造特性を実質的に変化させない置換である(例えば、置換アミノ酸は、親配列において発生するヘリックスを破壊するか、または親配列を特徴付けるか、もしくはその官能性に必要な他の種類の二次構造を崩壊させる傾向を有するべきではない)。当技術分野において承認されているポリペプチドの二次および三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.,W.H.Freeman and Company,New York(1984));Introduction to Protein Structure(C.Branden and J.Tooze,eds.,Garland Publishing,New York,N.Y.(1991));およびThornton et al.Nature 354:105(1991)に記載され、そのそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0060】
ポリペプチドの「変異形」(例えば、抗体)は、1つ以上のアミノ酸残基が、天然ポリペプチド配列に対して、アミノ酸配列に挿入、アミノ酸配列から除去、および/またはアミノ酸配列に置換される、アミノ酸配列を含み、天然ポリペプチドと本質的に同一の生物活性を保持する。ポリペプチドの生物活性は、当技術分野で標準的な技術を使用して測定され得る(例えば、変異形が抗体である場合、その活性は、本明細書に記載されるような結合アッセイにより、試験され得る)。本発明の変異形は、断片、アナログ、組み換えポリペプチド、合成ポリペプチド、および/または融合タンパク質を含む。ポリペプチドの「誘導体」は、例えば、ポリエチレングリコール、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、リン酸化、およびグリコシル化等の、他の化学部分への結合を介して、化学修飾されているポリペプチド(例えば、抗体)である。別段に示されない限り、「抗体」という用語は、2つの全長重鎖および2つの全長軽鎖を含む抗体に加えて、その誘導体、変異形、断片、および突然変異タンパク質を含み、これらの例は、以下に記載される。
【0061】
「抗原結合タンパク質」は、抗原と結合する部分、および任意に、抗原結合部分が、抗原との抗原結合タンパク質の結合を促進する立体構造を取ることを可能にする、骨格またはフレームワーク部分を含むタンパク質である。抗原結合タンパク質の例は、抗体、抗体断片(例えば、抗体の抗原結合部分)、抗体誘導体、および抗体アナログを含む。抗原結合タンパク質は、例えば、グラフトされたCDRまたはCDR誘導体を有する、代替タンパク質骨格または人工骨格を含み得る。そのような骨格は、例えば、抗原結合タンパク質の三次元構造を安定させるために導入される変異を含む、抗体由来の骨格、および例えば、生体適合性ポリマーを含む、完全合成骨格を含むがこれらに限定されない。例えば、Korndorfer et al.,2003,Proteins:Structure,Function,and Bioinformatics,Volume 53,Issue 1:121−129;Roque et al.,2004,Biotechnol.Prog.20:639−654を参照。さらに、ペプチド抗体模倣剤(「PAM」)が、骨格として、フィブロネクチン構成要素を用いる抗体模倣剤に基づく骨格と同様に、使用され得る。
【0062】
抗原結合タンパク質は、例えば、自然発生の免疫グロブリンの構造を有し得る。「免疫グロブリン」は、四量体分子である。自然発生の免疫グロブリンにおいて、各四量体は、2つの同一の対のポリペプチド鎖から成り、各対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)、および1つの「重」鎖(約50−70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部は、抗原認識に主に関与する、約100から110以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部は、エフェクター機能に主に関与する、定常領域を画定する。ヒト軽鎖は、カッパおよびラムダ軽鎖として分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロンとして分類され、抗体のイソタイプを、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして定義する。軽鎖および重鎖内において、可変および定常領域は、約12以上のアミノ酸の「J」領域により連結され、重鎖は、約10以上のアミノ酸の「D」領域も含む。Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))(すべての目的で、全体として参照することにより組み込まれる)を一般に参照。各軽/重鎖の対の可変領域は、無傷免疫グロブリンが2つの結合部位を有するような、抗体結合部位を形成する。
【0063】
自然発生の免疫グロブリン鎖は、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる、3つの超可変領域により連結される、比較的に保存されているフレームワーク領域(FR)と同一の全体構造を示す。N末端からC末端まで、軽鎖および重鎖の両方は、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat et al.in Sequences of Proteins of Immunological Interest,5
th Ed.,US Dept. of Health and Human Services,PHS,NIH,NIH Publication no.91−3242,1991の定義に従う。
【0064】
「抗体」は、別段に指定されない限り、特異的結合に対する無傷抗体と競合する、無傷免疫グロブリンまたはその抗原結合部分を意味する。抗原結合部分は、組み換えDNA技術により、または無傷抗体の酵素的もしくは化学的切断により、生成され得る。抗原結合部分は、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fv、ドメイン抗体(dAbs)、および相補性決定領域(CDR)断片、1本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、二重抗体、三重抗体、四重抗体、ならびにポリペプチドとの特異的抗原結合を付与するに十分な、免疫グロブリンの少なくとも一部を含む、ポリペプチドを含む。
【0065】
Fab断片は、V
L、V
H、C
L、およびC
H1ドメインを有する、一価断片であり、F(ab’)
2断片は、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により連結される、2つのFab断片を有する、二価断片であり、Fd断片は、V
HおよびC
H1ドメインを有し、Fv断片は、抗体の単一アームのV
LおよびV
Hドメインを有し、dAb断片は、V
Hドメイン、V
Lドメイン、またはV
HもしくはV
Lドメインの抗原結合性断片を有する(米国特許第6,846,634号、第6,696,245号、米国出願公開第05/0202512号、第04/0202995号、第04/0038291号、第04/0009507号、第03/0039958号、Ward et al.,Nature 341:544−546,1989)。
【0066】
1本鎖抗体(scFv)は、V
LおよびV
H領域が、連続タンパク質鎖を形成するために、リンカーを(例えば、アミノ酸残基の合成配列)介して結合される抗体であり、リンカーは、タンパク質鎖が、それ自体に折り重なり、一価抗原結合部位を形成することを可能にするのに十分長い(例えば、Bird et al.,1988,Science 242:423−26、およびHuston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−83を参照)。二重抗体は、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体であり、各ポリペプチド鎖は、同一の鎖上の2つのドメイン間の組み合わせを可能にするにはあまりに短く、したがって、各ドメインが、他のポリペプチド鎖上で、相補的ドメインと組み合わせることを可能にするリンカーにより結合される、V
HおよびV
Lドメインを含む(例えば、Holliger et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−48、およびPoljak et al.,1994,Structure 2:1121−23を参照)。二重抗体の2つのポリペプチド鎖が、同一である場合、それらの組み合わせから得られる二重抗体は、2つの同一の抗原結合部位を有する。異なる配列を有するポリペプチド鎖は、2つの異なる抗原結合部位を有する二重抗体を作製するために、使用され得る。同様に、三重抗体および四重抗体は、それぞれ3つおよび4つのポリペプチド鎖を有し、それぞれ3つおよび4つの抗原結合部位を形成する抗体であり、それらは同一であり得るか、または異なり得る。
【0067】
所与の抗体の相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)は、Kabat et al.in Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,US Dept.of Health and Human Services,PHS,NIH,NIH Publication no.91−3242,1991により記載されるシステムを使用して、識別され得る。1つ以上のCDRは、共有結合的に、あるいは非共有結合的に分子に組み込まれ得て、それを抗原結合タンパク質にする。抗原結合タンパク質は、CDRをより大きいポリペプチド鎖の一部として組み込み得るか、CDRを他のポリペプチド鎖と共有結合的に連結させ得るか、またはCDRを非共有結合的に組み込み得る。CDRは、抗原結合タンパク質が、対象となる特定の抗原と特異的に結合することを可能にする。
【0068】
抗原結合タンパク質は、1つ以上の結合部位を有し得る。2つ以上の結合部位がある場合、結合部位は、互いに同一であり得るか、または異なり得る。例えば、自然発生のヒト免疫グロブリンは、典型的に、2つの同一の結合部位を有するが、「二重特異性」または「二官能性」抗体は、2つの異なる結合部位を有する。
【0069】
「ヒト抗体」という用語は、「完全ヒト抗体」とも呼ばれるが、ヒト免疫グロブリン配列に由来する、1つ以上の可変および定常領域を有するすべての抗体を含む。一実施形態においては、可変および定常ドメインのすべては、ヒト免疫グロブリン配列に由来する(完全ヒト抗体)。これらの抗体は、様々な方法で調製され得て、ヒト重鎖および/または軽鎖をコードしている遺伝子に由来する抗体を発現するために、遺伝子組み換えされたマウスの、対象となる抗原での免疫によるものを含む、それらの例が以下に記載される。
【0070】
非ヒト種抗体と比較して、ヒト対象に投与される場合、ヒト化抗体が、免疫反応を誘発する可能性が低い、および/または比較的軽い免疫反応を誘発するように、ヒト化抗体は、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、および/または添加により、非ヒト種に由来する抗体の配列とは異なる配列を有する。一実施形態においては、非ヒト種抗体の重鎖および/または軽鎖のフレームワークおよび定常ドメインにおける、特定のアミノ酸は、ヒト化抗体を生成するために突然変異する。他の実施形態では、ヒト抗体からの定常ドメインは、非ヒト種の可変ドメインと融合する。他の実施形態では、非ヒト抗体の1つ以上のCDR配列における、1つ以上のアミノ酸残基は、ヒト対象に投与される場合、非ヒト抗体の予想される免疫原性を減少させるために変化し、抗原とのヒト化抗体の結合が、抗原との非ヒト抗体の結合よりも大幅に劣らないように、変化したアミノ酸残基は、抗体のその抗原との免疫特異的結合に重要ではないか、あるいはアミノ酸配列のなされる変化は、保存的変化である。ヒト化抗体の作製方法の実施例は、米国特許第6,054,297号、第5,886,152号、および5,877,293号に見ることができる。
【0071】
「キメラ抗体」という用語は、1つの抗体からの1つ以上の領域、および1つ以上の他の抗体からの1つ以上の領域を含む、抗体を意味する。一実施形態においては、CDRの1つ以上は、ヒト抗アクチビンA抗体に由来する。他の実施形態では、CDRのすべては、ヒト抗アクチビンA抗体に由来する。他の実施形態では、2つ以上のヒト抗アクチビンA抗体からのCDRは、キメラ抗体に混合および適合される。例えば、キメラ抗体は、第1のヒト抗アクチビンA抗体の軽鎖からのCDR1、第2のヒト抗アクチビンA抗体の軽鎖からのCDR2およびCDR3、ならびに第3の抗アクチビンA抗体からの重鎖のCDRを含み得る。さらに、フレームワーク領域は、同一の抗アクチビンA抗体のうちの1つ、ヒト抗体等の1つ以上の異なる抗体、またはヒト化抗体に由来し得る。キメラ抗体の一例において、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種からの抗体と同一であるか、同種であるか、またはそれに由来する、もしくは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する一方で、残りの鎖は、他の種からの抗体と同一であるか、同種であるか、またはそれに由来する、もしくは他の抗体クラスまたはサブクラスに属する。また、望ましい生物活性(すなわち、アクチビンAと特異的に結合する能力)を呈する、このような抗体の断片も含まれる。
【0072】
抗体の断片またはアナログは、本明細書の内容に従い、当技術分野で周知の技術を使用して、当業者により容易に調製され得る。断片またはアナログの好ましいアミノおよびカルボキシ末端は、機能ドメインの境界近傍に発現する。構造および機能ドメインは、公開または非公開配列データベースとの、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列データの比較により識別され得る。既知の構造および/または機能を有する他のタンパク質において発現する、配列モチーフまたは予測タンパク質立体構造ドメインを識別するために、コンピュータ化された比較方法が使用され得る。既知の三次元構造に折り畳まれる、タンパク質配列を識別するための方法は、既知である。例えば、Bowie et al.,1991,Science 253:164を参照。
【0073】
さらに、抗原特異的(すなわち、アクチビンA特異的)抗体は、相補的可変ドメインのライブラリーをスクリーニングするために、特異的VLまたはVHドメインを使用することにより、当技術分野で既知の方法により生成され得る。抗体を生成するそのような方法は、当技術分野で既知である。例えば、微量コートタンパク質等の他のタンパク質と融合する抗体断片は、抗原を有するファージを濃縮するために使用され得る。次いで、マウス免疫から抗原(例えば、アクチビンA)への、再配列重(VH)鎖および軽(VL)鎖のランダム組み合わせライブラリーを使用して、抗体断片の種々のライブラリーは、ファージ表面に表示される。これらのライブラリーは、相補的可変ドメインに対してスクリーニングされ得て、ドメインは、例えば、アフィニティーカラムにより精製される。Clackson et al.,Nature,V.352 pp.624−628(1991)を参照。
【0074】
他の実施例においては、抗体(すなわち、アクチビンA抗体)からの個々のVLまたはVH鎖は、同一の特異性を有する、抗原結合性断片(またはFab)を形成し得る、他のVHまたはVL鎖を検索するために使用され得る。したがって、VHおよびVL鎖Ig遺伝子のランダム組み合わせは、バクテリオファージライブラリー(fdまたはラムダファージ等)において、抗原結合性断片として発現され得る。例えば、組み合わせライブラリーは、それぞれ抗原結合特異的VLまたはVH鎖ライブラリーと組み合わされる、親VLまたはVH鎖ライブラリーを用いることにより、生成され得る。次いで、組み合わせライブラリーは、従来の技術により、例えば、放射活性物質で標識したプローブ(放射活性物質で標識したアクチビンA等)を使用することにより、スクリーニングされ得る。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.V.150(3)pp.880−887(1993)を参照。
【0075】
「CDRグラフトされた抗体」は、特定の種もしくはイソタイプの抗体に由来する1つ以上のCDR、および同一の、もしくは異なる種もしくはイソタイプの他の抗体のフレームワークを含む抗体である。
【0076】
「多特異的抗体」は、1つ以上の抗原上に、2つ以上のエピトープを認識する抗体である。この種類の抗体のサブクラスは、同一の、または異なる抗原上に、2つの異なるエピトープを認識する「二重特異的抗体」である。
【0077】
「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、または「抗原結合部位」は、抗原と相互作用し、抗原に対する抗原結合タンパク質の特異性および親和性の一因となる、アミノ酸残基(または他の部分)を含む、抗原結合タンパク質の一部である。その抗原と特異的に結合する抗体に対して、これは、そのCDRドメインの少なくとも1つの少なくとも一部を含む。
【0078】
「エピトープ」は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体)により結合される分子の部分である。エピトープは、分子の非連続部分を含み得て(例えば、ポリペプチドの一次配列において連続的ではないが、ポリペプチドの三次および四次構造の文脈において、抗原結合タンパク質により結合されるために、互いに十分に近傍である、ポリペプチド、アミノ酸残基において)、記載される末端配列アミノ酸を含む。例えば、ポリペプチド配列R13−Y39は、アミノ酸R13およびY39、ならびに配列においてR13とY39との間に見られるアミノ酸を含む。エピトープが、分子の非連続部分を含む実施形態においては、配列はそれに応じて記載される。
【0079】
2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列の「同一性」は、そのデフォルトパラメータを使用する、GAPコンピュータープログラム(GCG Wisconsin Package,version 10.3の一部(Accelrys,San Diego,CA))を使用して、配列を比較することにより確定される。
【0080】
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸」という用語は、始めから終わりまで交互に用いられて、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチドアナログを使用して生成されるDNAまたはRNAのアナログ(例えば、ペプチド核酸および非自然発生のヌクレオチドアナログ)、およびそのハイブリッドを含む。核酸分子は、1本鎖または2本鎖であり得る。一実施形態においては、本発明の核酸分子は、本発明の抗体、またはその断片、誘導体、突然変異タンパク質、もしくは変異形をコードする、連続的オープンリーディングフレームを含む。
【0081】
2つの1本鎖ポリヌクレオチドは、1つのポリヌクレオチドにおけるすべてのヌクレオチドが、ギャップの導入なしで、かついずれの配列の5’または3’末端における、不対ヌクレオチドなしで、他のポリヌクレオチドにおける、その相補的ヌクレオチドの反対側にあるように、それらの配列が、逆平行方向に並べられた場合、互いの「相補体」である。ポリヌクレオチドは、2つのポリヌクレオチドが、適度に厳しい条件下で互いにハイブリタイズし得る場合、他のポリヌクレオチドに対して「相補的」である。したがって、ポリヌクレオチドは、その相補体になることなく、他のポリヌクレオチドに対して相補的であり得る。
【0082】
「ベクター」は、それに連結される他の核酸を細胞に導入するために使用され得る、核酸である。一種類のベクターは、「プラスミド」であり、追加の核酸セグメントが結紮され得る、線状または環状2本鎖DNA分子を意味する。他の種類のベクターは、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ関連性ウイルス)であり、追加のDNAセグメントは、ウイルスゲノムに導入され得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において、自己複製が可能である(例えば、複製の細菌起源を含む細菌ベクター、およびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入により、宿主細胞のゲノムに統合され、それにより、宿主ゲノムともに複製される。「発現ベクター」は、選択されたポリヌクレオチドの発現を制御することができる種類のベクターである。
【0083】
ヌクレオチド配列は、調節配列がヌクレオチド配列の発現(例えば、発現レベル、タイミング、または位置)に影響を与える場合、調節配列に「動作可能に連結」される。「調節配列」は、それが動作可能に連結される核酸の発現(例えば、発現レベル、タイミング、または位置)に影響を与える核酸である。調節配列は、例えば、調節核酸への直接の、または1つ以上の他の分子(例えば、調節配列および/または核酸と結合するポリペプチド)の作用を通じた、その効果を示し得る。調節配列の例は、プロモータ、エンハンサ、および他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化信号)を含む。調節配列のさらなる例は、例えば、Goeddel,1990,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA and Baron et al.,1995,Nucleic Acids Res.23:3605−06に記載される。
【0084】
「宿主細胞」は、核酸、例えば、本発明の核酸を発現するために使用され得る細胞である。宿主細胞は、原核生物、例えば、大腸菌であり得るか、または真核生物、例えば、単細胞真核生物(例えば、イースト、または他の真菌)、植物細胞(例えば、タバコまたはトマトの植物細胞)、動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、または昆虫細胞)、またはハイブリドーマであり得る。本明細書の実施例3は、CS−9細胞の使用を記載する。他の宿主細胞の例は、サル腎細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al.,1981,Cell 23:175を参照)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、もしくは無血清培地内で成長するベジタリアンCHOおよび関連細胞株等のそれらの誘導体(Rasmussen et
al.,1998,Cytotechnology 28:31を参照)、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞株、アフリカミドリザル腎細胞株CV1に由来するCV1/EBNA細胞株(ATCC CCL 70)(McMahan et al.,1991,EMBO J.10:2821を参照)、293、293EBNA、もしくはMSR 293等のヒト胎児腎臓細胞、ヒト表皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換された霊長類細胞株、正常2倍体細胞、一次組織の体外培養に由来する細胞株、一次移植片、HL−60、U937、HaK、またはJurkat細胞を含む。一般的に、宿主細胞は、ポリペプチドをコードしている核酸で形質転換または形質移入され得る、培養細胞である。「組み換え宿主細胞」という語句は、発現されるための、核酸で形質転換または形質移入されている宿主細胞を表すために、使用され得る。また、宿主細胞は、調節配列が、核酸と動作可能に連結されるように、宿主細胞に導入されない限り、核酸を含むが、望ましいレベルでそれを発現しない細胞であり得る。宿主細胞という用語は、特定の対象細胞だけではなく、そのような細胞の子孫もしくは潜在的子孫も意味することが、理解される。例えば、変異または環境の影響により、特定の一時変異が、後の生成で起こるため、そのような子孫は、実際には親細胞と同一ではない場合があるが、それでもなお、本明細書に使用されるような用語の範囲内に含まれる。
【0085】
抗原結合タンパク質
一実施形態においては、本発明は、アクチビンA、例えば、ヒトアクチビンAと結合する、抗原結合タンパク質(例えば、抗体、抗体断片、抗体誘導体、抗体突然変異タンパク質、および抗体変異形)を提供する。
【0086】
本発明に従った抗原結合タンパク質は、アクチビンAの生物活性を阻害する抗原結合タンパク質を含む。例えば、抗原結合タンパク質は、悪液質を減弱させ得て、この活性は、抗原結合タンパク質が、完全ヒト抗体等の完全ヒトである場合、存在し得る。
【0087】
異なる抗原結合タンパク質は、アクチビンAの異なるドメインもしくはシステインノットドメインと結合し得るか、または異なる作用機構により作用し得る。実施例は、配列番号:1のおよそアミノ酸4−12、アミノ酸11−81、アミノ酸11−33、アミノ酸13−39、アミノ酸40−113、アミノ酸44−115、アミノ酸81−111、および/またはアミノ酸82−107をスパンする領域を含む、ジスルフィド結合間に散在する、1つ以上の特定のシステインノットドメインまたは領域と特異的に結合する、抗原結合タンパク質を含むがこれに限定されない。とりわけ本明細書に示されるように、ドメイン領域は、別段に示されない限り、例えば群を含めるように指定される。例えば、アミノ酸4−12は、9つのアミノ酸、位置4および12におけるアミノ酸、ならびに配列における7つの介在アミノ酸を意味する。他の例は、アクチビンAのその受容体との結合を阻害する、抗原結合タンパク質を含む。抗原結合タンパク質は、本発明における使用を見い出すために、アクチビンA誘発活性を完全に阻害する必要はなく、むしろ、アクチビンAの特定の活性を減少させる抗原結合タンパク質が、同様に使用に関して検討される。(特定の疾病の治療における、アクチビンA結合抗原結合タンパク質に対する特定の作用機構に関する、本明細書での考察は、例示的にすぎず、本明細書に示される方法は、それにより束縛されない。)
他の実施形態においては、本発明は、A1−A14から成る群から選択される軽鎖可変領域、またはA1−A14から成る群から選択される重鎖可変領域を含む抗原結合タンパク質、ならびにその断片、誘導体、突然変異タンパク質、および変異形を提供する。そのような抗原結合タンパク質は、「LxHy」という用語を使用して表わされ得て、以下の配列で標識されるように、「x」は、軽鎖可変領域の数に相当し、「y」は、重鎖可変領域の数に相当する。つまり、例えば、「A1HC」は、抗体A1の重鎖可変領域を表し、「A1LC」は、抗体A1の軽鎖可変領域を表す等である。より一般的に言えば、「L2H1」は、L2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、およびH1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する、抗原結合タンパク質を意味する。明確にするために、少なくとも2つのメンバーの群により表わされるすべての範囲は、範囲の端のメンバー間の、かつ範囲の端のメンバーを含む、すべてのメンバーを含む。したがって、群の範囲A1−A14は、A1とA14との間のすべてのメンバー、ならびにA1およびA14それら自体も含む。群の範囲A4−A6は、A4、A5、およびA6のメンバーを含む等である。
【0088】
フレームワーク領域(FR)が、これらの可変ドメイン配列の介在セグメントである一方で、抗原結合部位の一部を生成する、CDRの位置、または相補性決定領域(影付きおよび下線あり)も、以下に示される。軽鎖可変領域および重鎖可変領域の両方において、3つのCDR(CDR1−3)および4つのFR(FR1−4)がある。各軽鎖および重鎖のCDR領域もまた、抗体の種類によりグループ化される(A1、A2、A3等)。本発明の抗原結合タンパク質は、例えば、L1H1(抗体A1)、L2H2(抗体A2)、L3H3(抗体A3)、L4H4(抗体A4)、L5H5(抗体A5)、L6H6(抗体A6)、L7H7(抗体A7)、L8H8(抗体A8)、L9H9(抗体A9)、L10H10(抗体A10)、L11H11(抗体A11)、L12H12(抗体A12)、L13H13(抗体A13)、およびL14H14(抗体A14)から成る組み合わせの群から選択される、軽鎖および重鎖可変ドメインの組み合わせを有する、抗原結合タンパク質を含む。
【0089】
抗体A1−A14重鎖および軽鎖可変領域ポリヌクレオチド(本明細書では、H1―H14およびL1−L14とも呼ばれる)。
【0090】
A1 HC
CAGGTTCAGCTGGTGCAGTCTGGAGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGTTACACCTTTACCAGTTATGGTCTCAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCATCCCTTACAATGGTAACACAAACTCTGCACAGAAACTCCAGGGCAGAGTCACCATGACCACAGACACATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTTCTGTGCGAGAGACAGGGACTACGGTGTCAATTATGATGCTTTTGATATCTGGGGCCAAGGGACAATGGTCACCGTCTCTTCA(配列番号:2)
A1 LC
TCCTATGAGGTGACTCAGGCACCCTCAGTGTCCGTGTCCCCAGGACAGACAGCCAGCATCACCTGCTCTGGAGATAAATTGGGGGATAAATATGCTTGTTGGTATCAGCAGAAGCCAGGCCAGTCCCCTGTGCTGGTCATCTATCAAGATAGCAAGCGGCCCTCAGGGATCCCTGAGCGATTCTCTGGCTCCAACTCTGGAAACACAGCCACTCTGACCATCAGCGGGACCCAGGCTATGGATGAGGCTGACTATTACTGTCAGGCGTGGGACAGCAGCACTGCGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA(配列番号:1)
A2 HC
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCGTGGTCCAGCCTGGGAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCGTCTGGATTCACCTTCAGTAGTTACGGCATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATATGGTATGATGGAAGTAATAAATACCATGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAGTGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGTGAGAAGTCGGAACTGGAACTACGACAACTACTACTACGGTCTGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAG(配列番号:18)
A2 LC
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGAAATAATTTAGGCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCGCCTGATTTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTCACTCTCACAATCAGCAGTCTGCAGCCTGAAGATTTTACAACTTATTACTGTCTACAGCATAATAGTTACCCGTGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA(配列番号:17)
A3 HC
GAGGTGCAGTTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATTGGATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGCGTGGCCAACATAAAGCAAGATGGAAGTGAGGAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAATTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGAGGTAGCAGCAGCTGGTACTACTACAACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:34)
A3 LC
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGAAATGATTTAGGCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCGCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTCACTCTCACAATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCGACAGCAAAATACTTACCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAA(配列番号:33)
A4 HC
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACCGGCTACTATATCCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAACCCTAACAGTGGTGGCACAAACTATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGGGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTTCTGTGCGAGAGATTCGGGGTATAGCAGCAGCTGGCACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:50)
A4 LC
GATATTGTGATGACTCAGTCTCCACTCTCCCTGCCCGTCACCCCTGGAGAGCCGGCCTCCATCTCCTGCAGGTCTAGTCAGAGCCTCCTGCATAGTACTGGATACAACTATTTGGATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGGCAGTCTCCACAGCTCCTGATCTATTTGGGTTCTTTTCGGGCCTCCGGGGTCCCTGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCAGGCACAGATTTTACACTGAAAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATGTTGGGGTTTATTACTGCATGCAAGCTCTCCAAACTCCGTGCAGTTTTGGCCAGGGGACCAAGCTGGAGATCAAG(配列番号:49)
A5 HC
CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGGCTCCATCAATAGTTTCTACTGGAGCTGGATCCGGCAGCCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGGTATATCTATTACAGTGGGAGCACCAACTACAATCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATATCAGTAGACACGTCCAAGACCCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACCGCTGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGACAGTATAGCAGCCCCCTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCTTCCACCAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCATGCGCCCT(配列番号:66)
A5 LC
GACATCGTGATGACCCAGTCTCCAGACTCCCTGGCTGTGTCTCTGGGCGAGAGGGCCACCATCACCTGCAAGTCCAGCCAGAGTATTTTATACAGTTCCAACAATAAGAAGTATCTAGTTTGGTACCAGCAGAAACCAGGACAGCCTCCTAAGCTGATCATTTACTGGACATCTATGCGGGAATCCGGGGTCCCTGACCGATTCAGTGGCAGCGGGTCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAACAGCCTGCAGGCTGAAGATGTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAATATTATAGTACTCCGTGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA(配列番号:65)
A6 HC
CAGGTGCAGCTACAGCAGTGGGGCGCAGGACTGTTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCGCTGTCTATGGTGGGTCCTTCAGTGCTTACTACTGGAGCTGGATCCGCCAGCCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGGGAAATCAATCATAGTGGAGGCACCAACTACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATATCAGTAGACACGTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACCGCCGCGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGAGTACAGTGGCTCGAACTGGCCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:82)
A6 LC
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGAGCATTAGCAACTATTTAAATTGGTATCAGCAGAGACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGCTACATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTCTGCAACCTGAAGATTTTGTAAGTTACTACTGTCAACAGAGTTACAGTATTTCGCCCACTTTCGGCGGCGGGACCAAGGTGGAGAACAAA(配列番号:81)
A7 HC
CAGGTGCAGCTGGTGGACTCTGGGGGAGGCGTGGTCCAGCCTGGGAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCGTCTGGATTCACCTTCATTAGCTATGGCATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATCTGGTATGATGGAAGTACTGAATACTATGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGAGAGAGGCAGTGGCTCTACCACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:98)
A7 LC
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAGGTCAGGGCATTAGAAATGATTTAGTCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCGCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTCACTCTCACAATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCTACAACATAATACTTACCCATTCACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAAA(配列番号:97)
A8 HC
CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCCTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGGCTCCATCAATAGTTTCTACTGGAGCTGGATCCGGCAGCCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGGTATATCTATTACAGTGGGAGCACCAACTACAATCCCTCCCTCAAGAGGCGAGTCACCATATCAGTAGACACGTCCAAGACCCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACCGCTGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGACAGTATAGCAGCCCCCTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:114)
A8 LC
GACATCGTGATGACCCAGTCTCCAGACTCCCTGGCTGTGTCTCTGGGCGAGAGGGCCACCATCACCTGCAAGTCCAGCCAGAGTATTTTATACAGCTCCAACAATAAGAAGTATCTAGTTTGGTACCAGCAGAAACCAGGACAGCCTCCTAAGTTGATCATTTACTGGACATCTATGCGGGAATCCGGGGTCCCTGACCGATTCAGTGGCAGCGGGTCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGGCTGAAGATGTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAATATTATAGTACTCCGTGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA(配列番号:113)
A9 HC
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCGTGGTCCAGCCTGGGAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCGTCTGGATTCACCTTCAGTAGTTACGGCATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATATGGTATGATGGAAGTAATAAATACCATGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAGTGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGTGAGAAGTCGGAACTGGAACTACGACAACTACTACTACGGTCTGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:130)
A9 LC
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGAAATAATTTAGGCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCGCCTGATTTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTCACTCTCACAATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTACAACTTATTACTGTCTACAGCATAATAGTTACCCGTGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA(配列番号:129)
A10 HC
GAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGAGCAGAGGTGAAAAAGCCCGGGGAGTCTCTGAAGATCTCCTGTCAGGGTTCTGGATACAGCTTTACCAGCTACTGGATCGGCTGGGTGCGCCAGATGCCCGGGAAAGGCCTGGAGTGGATGGGGATCATCTATCCTGGTGACTCTGATACCAGATACAGCCCGTCCTTCCAAGGCCAGGTCACCATCTCAGCCGACAAGTCCATCAGCACCGCCTACCTGCAGTGGAGCAGCCTGAAGGCCTCGGACACCGCCATGTATT
ACTGTGCGAGACAAGGACTGGGGTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:146)
A10 LC
TCCTATGAGCTGACTCAGCCACCCTCAGTGTCCGTGTCCCCAGGACAGACAGCCAGCATCACCTGCTCTGGAGAAAAATGGGGAGAGAAATATGCTTGTTGGTATCAGCAGAAGCCAGGCCAGTCCCCTGTGCTGGTCATCTATCAAGATACCAAGCGGCCCTCCGGGATCCCTGAGCGATTCTCTGGCTCCATTTCTGGGAACACAGCCACTCTGACCATCAGCGGGACCCAGGCTATGGATGAGGCTGACTATTATTGTCAGGCGTGGGACAGGAGCACTGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA(配列番号:145)
A11 HC
CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCACAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGCAGTGGTGGTTACTACTGGAGCTGGATCCGCCAGCACCCAGGGAAGGGCCTGGAGTGGATTGGGTACATCTCTTACAGTGGGAGCACCTACTACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTTGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAACTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGCGCGCTTACGGTGACTATCGCGGCTGGTTCGACCCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:162)
A11 LC
TCCTATGAGCTGACTCAGCCACCCTCAGTGTCCGTGTCCCCAGGACAGACAGCCAGCATCACCTGCTCTGGAGATAAATTGGGGGATAAATTTGCTTTCTGGTATCAGCTGAAGCCAGGCCAGTCCCCTGTGCTGGTCATCTATCAAGATAACAAGCGGCCCTCAGGGATCCCTGAGCGATTCTCTGGCTCCAACTCTGGGAACACAGCCACTCTGACCATCAGCGGGACCCAGGCTATGGATGCGGCTGACTTTTACTGTCAGGCGTGGGACAGCAGCACTGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA(配列番号:161)
A12 HL
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCGTGGTCCAGCCTGGGAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGTAGCGTCTGGATTCACCTTCAGTGCCTATGGCATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATATGGTATGATGGAAGTAATAAATACTATGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCATCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGAAGTCGGAACTGGAACTACGACTCCTACCAATACGGTTTGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:178)
A12 LC
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGAAATGATTTAGGCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCGCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTCACTCTCACAATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTGTGCAACTTATTATTGTCTACAGCATAATAGTTATACGTGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA(配列番号:177)
A13 HC
CAGGTTCAGCTGGTGCAGTCTGGAGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGTTACACCTTTACCAGCTATGGTATCAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGAGGATGGGATGGATCAGCGCTTACAATGGTAACACAAACTATGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACCATGACCACAGACACATCAACGACCACAGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGATCAAGATTACTATGATAGTAGTGGTTGGGGCCACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:194)
A13 LC
TCCTATGAGCTGACTCAGCCACCCTCAGTGTCCGTGTCCCCAGGACAGACAGCCAGCATCACCTGCTCTGGAGATAAATTGGGGGATAAATATGTTTGTTGGTATCAGCAGAAGCCAGGCCAGTCCCCTGAACTGGTCATCTATCTAGATAACAAGCGGCCCTCAGGGATCCCTGAGCGATTCTCTGGCTCCAACTCTGGGAACACAGCCACTCTGACCATCAGCGGGACCCAGGCTATGGATGAGGCTGACTATTACTGTCAGGCGTGGGACAGCAGCACGGTATTCGGCGGAGGGACCAAACTGACCGTCCTG(配列番号:193)
A14 HC
CAGGTTCAGCTGGTGCAATCTGGAGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGACTTCTGGTTACACCTTTACCAGCTATGGTATCAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAGCCCTTACAATGGTAACACAAACTATGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACCATGACCACAGACAAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGCGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGATCAAGATTACTATGATAGTAGTGGTTGGGACCCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCG(配列番号:210)
A14 LC
TCCTATGAGCTGACTCAGCCACCCTCAGTGTCCGTGTCCCCAGGACAGACAGCCTCCATCACCTGCTCTGGAGATAAATTGGGGGATAAATATGCTTTCTGGTATCAGCAGAAGCCAGGCCAGTCCCCTGTGCTGGTCTTCTATCATGATACCAAGCGGCCCTCAGGGATCCCTGAGCGATTCTCTGGCTCCAACTCTGGGAACACAGCCACTCTGACCATCAGCGGGACCCAGGCTATGGATGAGGCTGACTATCACTGTCAGGCGTGGGACAGCAGCACGGTCTTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTAC(配列番号:209)
抗体A1〜A14アミノ酸配列、軽鎖可変領域。CDR領域は、網掛けされ、下線を引かれ、介在する部分または領域は、本明細書ではフレームワーク(FR)として言及される。
【0091】
A1
SYEVTQAPSVSVSPGQTASITCSGDKLGDKYACWYQQKPGQSPVLVIYQDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCQAWDSSTAVFGGGTKLTVL(配列番号:9)
A2
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNNLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFTTYYCLQHNSYPWTFGQGTKVEIK(配列番号:25)
A3
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCRQQNTYPLTFGGGTKVEIK(配列番号:41)
A4
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSTGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSFRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQALQTPCSFGQGTKLEIK(配列番号:57)
A5
DIVMTQSPDSLAVSLGERATITCKSSQSILYSSNNKKYLVWYQQKPGQPPKLIIYWTSMRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTINSLQAEDVAVYYCQQYYSTPWTFGQGTKVEIK(配列番号:73)
A6
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISNYLNWYQQRPGKAPKLLIYATSSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFVSYYCQQSYSISPTFGGGTKVENK(配列番号:89)
A7
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRAGQGIRNDLVWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNTYPFTFGPGTKVDIK(配列番号:105)
A8
DIVMTQSPDSLAVSLGERATITCKSSQSILYSSNNKKYLVWYQQKPGQPPKLIIYWTSMRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSTPWTFGQGTKVEIK(配列番号:121)
A9
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNNLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFTTYYCLQHNSYPWTFGQGTKVEIK(配列番号:137)
A10
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGEKWGEKYACWYQQKPGQSPVLVIYQDTKRPSGIPERFSGSISGNTATLTISGTQAMDEADYYCQAWDRSTVFGGGTKLTVL(配列番号:153)
A11
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDKLGDKFAFWYQLKPGQSPVLVIYQDNKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDAADFYCQAWDSSTVVFGGGTKLTVL(配列番号:169)
A12
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDCATYYCLQHNSYTWTFGQGTKVEIK(配列番号:185)
A13
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDKLGDKYVCWYQQKPGQSPELVIYLDNKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCQAWDSSTVFGGGTKLTVL(配列番号:201)
A14
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDKLGDKYAFWYQQKPGQSPVLVFYHDTKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYHCQAWDSSTVFGGGTKLTVL(配列番号:217)
抗体A1〜A14、重鎖可変領域のアミノ酸配列。CDR領域は、網掛けされ、下線を引かれ、他の領域は本明細書ではフレームワーク(FR)として言及される。
【0092】
A1
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYGLSWVRQAPGQGLEWMGWIIPYNGNTNSAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYFCARDRDYGVNYDAFDIWGQGTMVTVSS(配列番号:10)
A2
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSNKYHADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQVNSLRAEDTAVYYCVRSRNWNYDNYYYGLDVWGQGTTVTVSS(配列番号:26)
A3
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYWMSWVRQAPGKGLECVANIKQDGSEEYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGSSSWYYYNYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号:42)
A4
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYIHWVRQAPGQGLEWMGWINPNSGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYFCARDSGYSSSWHFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:58)
A5
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSINSFYWSWIRQPPGKGLEWIGYIYYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKTQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDSIAAPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:74)
A6
QVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGGSFSAYYWSWIRQPPGKGLEWIGEINHSGGTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARVQWLELAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:90)
A7
QVQLVDSGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFISYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSTEYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARERQWLYHYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号:106)
A8
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSINSFYWSWIRQPPGKGLEWIGYIYYSGSTNYNPSLKRRVTISVDTSKTQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDSIAAPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:122)
A9
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSNKYHADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQVNSLRAEDTAVYYCVRSRNWNYDNYYYGLDVWGQGTTVTVSS(配列番号:138)
A10
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCQGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPGDSDTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARQGLGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:154)
A11
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISSGGYYWSWIRQHPGKGLEWIGYISYSGSTYYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLNSVTAADTAVYYCARAYGDYRGWFDPWGQGTLVTVSS(配列番号:170)
A12
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCVASGFTFSAYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSNKYYADSVKGRFIISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARSRNWNYDSYQYGLDVWGQGTTVTVSS(配列番号:186)
A13
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYGISWVRQAPGQGLERMGWISAYNGNTNYAQKFQGRVTMTTDTSTTTAYMELRSLRSDDTAVYYCARDQDYYDSSGWGHWGQGTLVTVSS(配列番号:202)
A14
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKTSGYTFTSYGISWVRQAPGQGLEWMGWISPYNGNTNYAQKFQGRVTMTTDKSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARDQDYYDSSGWDPWGQGTLVTVSS(配列番号:218)
抗体A1〜A14のCDRコンセンサス配列。
【0093】
軽鎖 CDR1配列
L4 RSSQSLLHSTGYN−YLD(配列番号:253)
L5、L8 KSSQSILYSSNNKKYLV(配列番号:75)
コンセンサス: X
1SSQSX
2LX
3SX
4X
5X
6X
7X
8YLX
9(配列番号:115)
X
1は、アルギニン残基またはリジン残基であり、
X
2は、ロイシン残基またはイソロイシン残基であり、
X
3は、ヒスチジン残基またはチロシン残基であり、
X
4は、トレオニン残基またはセリン残基であり、
X
5は、グリシン残基またはアスパラギン残基であり、
X
6は、チロシン残基またはアスパラギン残基であり、
X
7は、アスパラギン残基またはリジン残基であり、
X
8は、リジン残基または残基なしであり、
X
9は、アスパラギン酸塩残基またはバリン残基である
L2、L9 RASQGIRNNLG(配列番号:27)
L3、L12 RASQGIRNDLG(配列番号:43)
L6 RASQSISNYLN(配列番号:91)
L7 RAGQGIRNDLV(配列番号:107)
コンセンサス: RAX
10QX
11IX
12NX
13LX
14(配列番号:116)
X
10は、セリン残基またはグリシン残基であり、
X
11は、セリン残基またはグリシン残基であり、
X
12は、セリン残基またはアルギニン残基であり、
X
13は、チロシン残基、アスパラギン酸塩残基、またはアスパラギン残基であり
X
14は、アスパラギン酸残基、バリン残基、またはグリシン残基である
L1 SGDKLGDKYAC(配列番号:11)
L10 SGEKWGEKYAC(配列番号:155)
L11 SGDKLGDKFAF(配列番号:171)
L13 SGDKLGDKYVC(配列番号:203)
L14 SGDKLGDKYAF(配列番号:219)
コンセンサス: SGX
15KX
16GX
17KX
18X
19X
20(配列番号:123)
X
15は、グルタミン酸残基またはアスパラギン酸塩残基であり、
X
16は、トリプトファン残基またはロイシン残基であり、
X
17は、グルタミン酸残基またはアスパラギン酸塩残基であり、
X
18は、チロシン残基またはフェニルアラニン残基であり、
X
19は、アラニン残基またはバリン残基であり、
X
20は、システイン残基またはフェニルアラニン残基である
軽鎖 CDR2配列
L2 ATSSLQS(配列番号:92)
L3、L6、L7、L9、L12 AASSLQS(配列番号:44)
L5、L8 WTSMRES(配列番号:76)
L4 LGSFRAS(配列番号:254)
コンセンサス: X
40X
41SX
42X
43X
44S(配列番号:124)
X
40は、アラニン残基、トリプトファン残基、またはロイシン残基であり、
X
41は、トレオニン残基、アラニン残基、またはグリシン残基であり、
X
42は、セリン残基、メチオニン残基、またはフェニルアラニン残基であり、
X
43は、ロイシン残基またはアルギニン残基であり、
X
44は、グルタミン残基、グルタミン酸残基、またはアラニン残基である
L10 QDTKRPS(配列番号:156)
L11 QDNKRPS(配列番号:172)
L1 QDSKRPS(配列番号:12)
L13 LDNKRPS(配列番号:204)
L14 HDTKRPS(配列番号:220)
コンセンサス: X
45DX
46KRPS(配列番号:128)
X
45は、グルタミン残基、ロイシン残基、またはヒスチジン残基であり、
X
46は、トレオニン残基、アスパラギン残基、またはセリン残基である
軽鎖 CDR3配列
L1 QAWDSSTAV(配列番号:13)
L10 QAWDRST−V(配列番号:157)
L11 QAWDSSTVV(配列番号:173)
L13、L14 QAWDSSTV−(配列番号:205)
L2 LQHNSYPWT(配列番号:29)
L7 LQHNTYPFT(配列番号:109)
L9 LQHNSYPWT(配列番号:141)
L12 LQHNSYTWT(配列番号:189)
コンセンサス: LQHNX
81YX
82X
83T(配列番号:131)
X
81は、トレオニン残基またはセリン残基であり、
X
82は、プロリン残基またはトレオニン残基であり、
X
83は、フェニルアラニン残基またはトリプトファン残基である
L3 RQQNTYPLT(配列番号:45)
L4 MQALQTPCS(配列番号:255)
L5 QQYYSTPWT(配列番号:77)
L6 QQSYSISPT(配列番号:93)
L8 QQYYSTPWT(配列番号:125)
コンセンサス: X
73QX
74X
75X
76X
77X
78X
79X
80(配列番号:132)
X
73は、メチオニン残基、グルタミン残基、またはアルギニン残基であり、
X
74は、アラニン残基、チロシン残基、グルタミン残基、またはセリン残基であり、
X
75は、ロイシン残基、チロシン残基、またはアスパラギン残基であり、
X
76は、グルタミン残基、セリン残基、またはトレオニン残基であり、
X
77は、トレオニン残基、チロシン残基、またはイソロイシン残基であり、
X
78は、プロリン残基またはセリン残基であり、
X
79は、システイン残基、トリプトファン残基、ロイシン残基、またはプロリン残基であり、
X
80は、セリン残基またはトレオニン残基である
重鎖 CDR1配列
H5 GGSINS−−FYWS(配列番号:78)
H6 GGSFSA−−YYWS(配列番号:94)
H8 GGSINS−−FYWS(配列番号:126)
H11 GGSISSGGYYWS(配列番号:174)
コンセンサス: GGSX
21X
22X
23X
24X
25X
26YWS(配列番号:252)
X
21は、イソロイシン残基またはフェニルアラニン残基であり、
X
22は、アスパラギン残基またはセリン残基であり、
X
23は、セリン残基またはアラニン残基であり、
X
24は、グリシン残基または残基なしであり、
X
25は、グリシン残基または残基なしあり、
X
26は、フェニルアラニン残基またはチロシン残基である
H7 GFTFISYGMH(配列番号:110)
H4 GYTFTGYYIH(配列番号:256)
H2、H9 GFTFSSYGMH(配列番号:30)
H10 GYSFTSYWIG(配列番号:158)
コンセンサス: GX
27X
28FX
29X
30YX
31X
32X
33(配列番号:257)
X
27は、チロシン残基またはフェニルアラニン残基であり、
X
28は、トレオニン残基またはセリン残基であり、
X
29は、トレオニン残基、セリン残基、またはイソロイシン残基であり、
X
30は、グリシン残基またはセリン残基であり、
X
31は、チロシン残基、グリシン残基、またはトリプトファン残基であり、
X
32は、イソロイシン残基またはメチオニン残基であり、
X
33は、ヒスチジン残基またはグリシン残基である
H13 GYTFTSYGLS(配列番号:62)
H12 GFTFSAYGMH(配列番号:190)
H3 GFTFSSYWMS(配列番号:46)
H1、H14 GYTFTSYGIS(配列番号:206)
コンセンサス: GX
34TFX
35X
36YX
37X
38X
39(配列番号:140)
X
34は、チロシン残基またはフェニルアラニン残基であり、
X
35は、トレオニン残基またはセリン残基であり、
X
36は、セリン残基またはアラニン残基であり、
X
37は、グリシン残基またはトリプトファン残基であり、
X
38は、ロイシン残基、メチオニン残基、またはイソロイシン残基であり、
X
39は、セリン残基またはヒスチジン残基である
重鎖 CDR2配列
H11 YISYSGSTYYNPSLKS(配列番号:175)
H5 YIYYSGSTNYNPSLKS(配列番号:79)
H6 EINHSGGTNYNPSLKS(配列番号:95)
H8 YIYYSGSTNYNPSLKR(配列番号:127)
コンセンサス: X
47IX
48X
49SGX
50TX
51YNPSLKX
52(配列番号:142)
X
47は、チロシン残基またはグルタミン酸残基であり、
X
48は、セリン残基、チロシン残基、またはアスパラギン残基であり、
X
49は、チロシン残基またはヒスチジン残基であり、
X
50は、セリン残基またはグリシン残基であり、
X
51は、チロシン残基またはアスパラギン残基であり、
X
52は、セリン残基またはアルギニン残基である
H2、H9 VIWYDGSNKYHADSVKG(配列番号:31)
H12 VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号:191)
H3 NIKQDGSEEYYVDSVKG(配列番号:47)
H7 VIWYDGSTEYYADSVKG(配列番号:111)
コンセンサス: X
53IX
54X
55DGSX
56X
57YX
58X
59DSVKG(配列番号:179)
X
53は、アスパラギン残基またはバリン残基であり、
X
54は、トリプトファン残基またはリジン残基であり、
X
55は、チロシン残基またはグルタミン残基であり、
X
56は、アスパラギン残基、グルタミン酸残基、またはセリン残基であり、
X
57は、リジン残基、またはグルタミン酸残基であり、
X
58は、ヒスチジン残基、またはチロシン残基であり、
X
59は、アラニン残基またはバリン残基である
H4 WINPNSGGTNYAQKFQG(配列番号:258)
H1 WIIPYNGNTNSAQKLQG(配列番号:63)
H13 WISAYNGNTNYAQKFQG(配列番号:207)
H14 WISPYNGNTNYAQKFQG(配列番号:259)
H10 IIYPGDSDTRYSPSFQG(配列番号:159)
コンセンサス: X
60IX
61X
62X
63X
64X
65X
66TX
67X
68X
69X
70X
71X
72QG(配列番号:180)
X
60は、トリプトファン残基またはイソロイシン残基であり、
X
61は、アスパラギン残基、イソロイシン残基、セリン残基、またはチロシン残基であり、
X
62は、プロリン残基またはアラニン残基であり、
X
63は、アスパラギン残基、チロシン残基、またはグリシン残基であり、
X
64は、セリン残基、アスパラギン残基、またはアスパラギン酸塩残基であり、
X
65は、グリシン残基またはセリン残基であり、
X
66は、グリシン残基、アスパラギン残基、またはアスパラギン酸塩残基であり、
X
67は、アスパラギン残基またはアルギニン残基であり、
X
68は、チロシン残基またはセリン残基であり、
X
69は、アラニン残基またはセリン残基であり、
X
70は、グルタミン残基またはプロリン残基であり、
X
71は、リジン残基またはセリン残基であり、
X
72は、フェニルアラニン残基またはロイシン残基である
重鎖 CDR3配列
H5、H8 −−DSIAAPFDY(配列番号:80)
H6 VQWLELAYFDY(配列番号:96)
H10 −−−−QGLGFDY(配列番号:160)
コンセンサス: X
87X
88X
89X
90X
91X
92X
93X
94FDY(配列番号:187)
X
87は、バリン残基または残基なしであり、
X
88は、グルタミン残基または残基なしであり、
X
89は、アスパラギン酸塩残基、トリプトファン残基、または残基なしであり、
X
90は、セリン残基、ロイシン残基、または残基なしであり、
X
91は、イソロイシン残基、グルタミン酸残基、またはグルタミン残基であり、
X
92は、アラニン残基、ロイシン残基、またはグリシン残基であり、
X
93は、アラニン残基またはロイシン残基であり、
X
94は、プロリン残基、チロシン残基、またはグリシン残基である
H13 DQDYYDSSGW−GH(配列番号:208)
H14 DQDYYDSSGW−DP(配列番号:224)
H11 −−AYGDYRGWFDP(配列番号:176)
コンセンサス: X
95X
96X
97YX
98DX
99X
100GWX
101X
102X
103(配列番号:188)
X
95は、アスパラギン酸塩残基または残基なしであり、
X
96は、グルタミン残基または残基なしであり、
X
97は、アスパラギン酸塩残基またはアラニン残基であり、
X
98は、チロシン残基またはグリシン残基であり、
X
99は、セリン残基またはチロシン残基であり、
X
100は、セリン残基またはアルギニン残基であり、
X
101は、フェニルアラニン残基または残基なしであり、
X
102は、グリシン残基またはアスパラギン酸塩残基であり、
X
103は、ヒスチジン残基またはプロリン残基である
H4 −−−DSGYSSSWHFDY−(配列番号:260)
H1 −−−DRDYGVNYDAFDI(配列番号:64)
H2 −SRNWNYDNYYYGLDV(配列番号:32)
H12 −SRNWNYDSYQYGLDV(配列番号:192)
H9 −SRNWNYDNYYYGLDV(配列番号:144)
H3 GSSSWYY−YNGMDV−(配列番号:261)
H7 −ERQWLY−−HYGMDV(配列番号:112)
コンセンサス: X
104X
105X
106X
107X
108X
109YX
110X
111X
112X
113X
114X
115X
116X
117X
118(配列番号:249)
X
104は、グリシン残基または残基なしであり、
X
105は、セリン残基、グルタミン酸残基、または残基なしであり、
X
106は、アルギニン残基、セリン残基、または残基なしであり、
X
107は、アスパラギン酸塩残基、アスパラギン残基、セリン残基、またはグルタミン残基であり、
X
108は、セリン残基、アルギニン残基、またはトリプトファン残基であり、
X
109は、グリシン残基、アスパラギン酸塩残基、アスパラギン残基、チロシン残基、またはロイシン残基であり、
X
110は、セリン残基、グリシン残基、アスパラギン酸塩残基、または残基なしであり、
X
111は、セリン残基、バリン残基、アスパラギン残基、またはチロシン残基であり、X
112は、セリン残基、アスパラギン残基、チロシン残基、またはヒスチジン残基であり、
X
113は、トリプトファン残基、チロシン残基、またはグルタミン残基であり、
X
114は、ヒスチジン残基、アスパラギン酸塩残基、チロシン残基、または残基なしであり、
X
115は、フェニルアラニン残基、アラニン残基、またはグリシン残基であり、
X
116は、アスパラギン塩酸残基、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、またはメチオニン残基であり、
X
117は、チロシン残基、またはアスパラギン酸塩残基であり、
X
118は、イソロイシン残基、バリン残基、または残基なしである
一実施形態においては、本発明は15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1の残基のみにおいて、L1からL14から成る群から選択された、軽鎖可変ドメインの配列とは異なるアミノ酸の配列を含む、軽鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質を提供し、それぞれのそのような配列の違いは、独立して1つのアミノ酸残基の欠失、挿入、または置換のいずれかである。他の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、L1〜L14から成る群から選択された軽鎖可変ドメインの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%同一であるアミノ酸の配列を含む。他の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、L1〜L14(L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、L12、L13、およびL14を含む)から成る群から選択された軽鎖可変ドメインをコードする、ヌクレオチド配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%同一であるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸の配列を含む。他の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、L1〜L14から成る群から選択される軽鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドの補体へ、適度に厳密な条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。他の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、L1〜L14から成る群から選択される軽鎖可変ドメインをコードする、ポリヌクレオチドの補体へ、適度に厳密な条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。他の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、L1〜L14の軽鎖ポリヌクレオチドの補体へ、適度に厳密な条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。
【0094】
他の実施形態では、本発明は、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1の残基のみにおいて、H1〜H14から成る群から選択された重鎖可変ドメインの配列とは異なるアミノ酸の配列を含む重鎖可変ドメインを含む、抗原結合タンパク質を提供し、それぞれのそのような配列の違いは、独立したアミノ酸残基の欠失、挿入、または置換のいずれかである。他の実施形態では、重鎖可変ドメインは、H1〜H14から成る群から選択される重鎖可変ドメインの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%同一であるアミノ酸の配列を含む。他の実施形態では、重鎖可変ドメインは、H1〜H14から成る群から選択される重鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,または99%同一であるヌクレオチド配列によってコード化されるアミノ酸の配列を含む。他の実施形態では、重鎖可変ドメインは、H1〜H14から成る群から選択される重鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドの補体へ、適度に厳密な条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。他の実施形態では、重鎖可変ドメインは、H1〜H14から成る群から選択される重鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドの補体へ、適度に厳密な条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。他の実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、136、154、170、186、202、および218から選択される重鎖ポリヌクレオチドの補体へ、適度に厳密な条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。
【0095】
本発明の抗原結合たんぱく質の特定の実施形態は、例えば、1つ以上の配列番号、9〜16、22、25〜32、36、41〜48〜57〜62、64、73〜80、89〜91、93〜96、105〜107、109〜112、115、116、121〜128、131、132、134、137〜142、144、153〜160、169〜176、179、180、185〜192、201〜208、217〜220、および223からの1つ以上のCDRまたはFRである、本明細書で言及される1つ以上のCDRおよび/またはFRのアミノ酸配列と同一である、1つ以上のアミノ酸配列を含む。一実施形態においては、抗原結合タンパク質は、上に説明される軽鎖CDR1配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される軽鎖CDR2配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される軽鎖CDR3配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される重鎖CDR1配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される重鎖CDR2配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される重鎖CDR3配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される軽鎖FR1配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される軽鎖FR2配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される軽鎖FR3配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される軽鎖FR4配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される重鎖FR1配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される重鎖FR2配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される重鎖FR3配列を含む。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明される重鎖FR4配列を含む。
【0096】
一実施形態においては、本発明は、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸残基によって上に示されるCDR配列とは異なる1つ以上のCDR配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0097】
他の実施形態では、少なくとも1つの抗原結合タンパク質のCDR3配列は、表1または表2に示されるように、A1〜A14からのCDR3配列である。他の実施形態では、抗原結合タンパク質の軽鎖CDR3配列は、表1に示されるA1〜A14からの軽鎖CDR3配列であり、抗原結合タンパク質の重鎖CDR3配列は、表2に示されるA1〜A14からの重鎖配列である。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、A1〜A14のCDR配列から6、5、4、3、2、1、または0の単一アミノ酸添加、置換、および/または欠失によってそれぞれ単独で異なる1、2、3、4、または5のCDR配列を含み、抗原結合タンパク質は、CDR配列から6、5、4、3、2、1、または0の単一アミノ酸添加、置換、および/または欠失によってそれぞれ単独で異なる1、2、3、4、または5のCDR配列をさらに含む。
【0098】
抗体A1〜A14の軽鎖CDRは、以下の表1に示され、抗体A1〜A14の重鎖CDRは、以下の表2に示される。
【0102】
【表2-2】
A1〜A14のヌクレオチド配列、またはA1〜A14のアミノ酸配列は、非突然変異ポリヌクレオチドと比べた際、1つ以上の特定のヌクレオチド置換、欠失、または挿入を含む改変ポリヌクレオチドを作るために、例えば、ランダム突然変異によって、または部位特異的突然変異(例えば、オリゴヌクレオチド指定部位特異的突然変異誘発)によって、改変されることが可能である。そのような改変を行うための技術の例は、Walder
et al.,1986,Gene 42:133;Bauer et al.1985,Gene 37:73;Craik,BioTechniques,January
1985,12−19;Smith et al.,1981,Genetic Engineering:Principles and Methods,Plenum Press;および米国特許番号第4,518,584号および第4,737,462号に記載される。これらおよび他の方法は、例えば、誘導体化されない抗体と比べた際、アクチビンAに対する親和性、結合力、または特異性の増加、体内外での活性または安定性の増加、または体外での副作用の減少等の所望の特性を有する、例えば、抗アクチビンA抗体の誘導体を製造するために使用することが可能である。
【0103】
本発明の範囲内の他の抗アクチビンA抗体の誘導体は、抗アクチビンA抗体ポリペプチドのN末端、またはC末端と融合する相同ペプチドを含む組み換え融合タンパク質の発現等による、他のタンパク質またはポリペプチドを伴う、抗アクチビンA抗体の他のタンパク質またはポリペプチドとの共有性または集合性共役、またはこれらの断片を含む。例えば、共役ペプチドは、相同シグナル(または、リーダー)ポリペプチド、例えば、イーストα因子のリーダー、またはエピトープタグ等のペプチドであってもよい。抗原結合タンパク質含有融合タンパク質は、抗原結合タンパク質(例えば、ポリHis)の精製または同定を促進するために添加されるペプチドを含むことが可能である。また、抗原結合タンパク質はHopp et al.,Bio/Technology 6:1204,1988、および米国特許番号第5,011,912号に記載されるように、FLAGペプチドAsp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys(DYKDDDDK)(配列番号:226)と連結されることが可能である。該FLAGペプチドは、著しい抗原性があり、特定のモノクローナル抗体(mAb)によって可逆的に結合するエピトープを提供し、これにより発現組み換えタンパク質の迅速なアッセイおよび容易な精製を可能にする。FLAGペプチドが所定のポリペプチドへ融合される、融合タンパク質を調製するために有用な試薬は、市販されている(Sigma,St.Louis,MO)。
【0104】
1つ以上の抗原結合タンパク質を含有するオリゴマーは、アクチビンAアンタゴニストとして用いられてもよい。オリゴマーは、共有結合的、または非共有結合的二量体、三量体、またはより高いオリゴマーの形態であってもよい。2つ以上の抗原結合タンパク質を含むオリゴマーは、ホモ二量体の例としてのの使用が想定される。他のオリゴマーは、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体等を含む。
【0105】
一実施形態は、抗原結合タンパク質と融合する、ペプチド部分との間の共有結合、または非共有結合の相互作用を介して結び付く複数の抗原結合タンパク質を含むオリゴマーを対象とする。そのようなペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサー)、またはオリゴマー化を促進する特性を有するペプチドであってもよい。ロイシンジッパーおよび特定の抗体に由来するポリペプチドは、以下にさらに詳しく記載するように、ペプチドに付着する抗原結合タンパク質のオリゴマー化を促進することが可能であるペプチドの1つである。
【0106】
特定の実施形態において、該オリゴマーは、2つから4つの抗原結合タンパク質を含む。該オリゴマーの抗原結合タンパク質は、例えば変異形または断片等の、上に記載のあらゆる形態等の、任意の形態であってもよい。好ましくは、オリゴマーは、アクチビンA結合活性を有する抗原結合タンパク質を含む。
【0107】
一実施形態においては、オリゴマーは、免疫グロブリン由来のポリペプチドを使用して調製される。融合タンパク質の調製は、例えば、Ashkenazi et al.,1991,PNAS USA 88:10535;Byrn et al.,1990,Nature 344:677;およびHollenbaugh et al.,1992
Curr.Prot.s in Immunol.,Suppl.4,pages 10.19.1−10.19.11により記載される抗体由来ポリペプチド(Fcドメインを含む)の様々な部分と融合する、特定の相同ポリペプチドを含む。
【0108】
本発明の一実施形態は、抗アクチビンA抗体のアクチビンA結合断片を抗体のFc領域へ融合することによって作られた、2つの融合タンパク質を含む二量体を対象とする。二量体は、例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合を適切な発現ベクターへ挿入し、組み換え発現ベクターで転換された宿主細胞で遺伝子融合を発現し、発現融合タンパク質が酷似の抗体分子を組み立てることを可能にするステップにより、二量体を生じるためにFc部分間において鎖間ジスルフィド結合を形成することで製造されることが可能である。
【0109】
「Fcポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、抗体のFc領域に由来するポリペプチドの天然および突然変異タンパク質形態を含む。二量化を促進するヒンジ領域を含有するそのようなポリペプチドの切断型も含まれる。Fc部分を含む融合タンパク質(および、これらから形成されるオリゴマー)はタンパク質Aまたはタンパク質Gカラム上の親和性クロマトグラフィーによる容易な精製の利点を発揮する。
【0110】
PCT出願WO93/10151(本明細書に、参照により組み込まれる)に記載される1つの適したFcポリペプチドは、N末端ヒンジ領域からヒトIgG1抗体のFc領域の天然C末端へ延在する単鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチドは、米国特許番号第5,457,035号およびBaum et al.,1994,EMBO J.13:3992−4001に記載されるFc突然変異タンパク質である。該突然変異タンパク質のアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaへ変化し、アミノ酸20がLeuからGluへ変化し、アミノ酸22がGlyからAlaへ変化していることを除き、WO93/10151に示される天然のFc配列と同一である。該突然変異タンパク質は、Fc受容体のための親和性の減少を示す。
【0111】
他の実施形態において、抗アクチビンA抗体の重鎖および/または軽鎖の様々な部分は、抗体重鎖および/または軽鎖の様々な部分のために置換されてもよい。
【0112】
代替として、オリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサーペプチド)を備えるまたは備えない、複数の抗原結合タンパク質を含む融合タンパク質である。適したペプチドリンカーには、米国特許番号第4,751,180号および第4,935,233号に記載されるものがある。
【0113】
オリゴマー抗原結合タンパク質を調製するための別の方法は、ロイシンジッパーの使用を伴う。ロイシンジッパードメインは、ロイシンジッパーの中に見つかるタンパク質のオリゴマー化を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは、本来いくつかのDNA結合タンパク質内に確認されており(Landschulz et al.,1988,Science 240:1759)、以来様々な異なるタンパク質内で見つかっている。既知のロイシンジッパーには、二量体化または三量体化する自然発生的なペプチドおよびこれらの誘導体がある。溶解性オリゴマータンパク質を生成するのに適したロイシンジッパードメインの例は、PCT出願WO94/10308に記載され、肺表面活性タンパク質D(SPD)由来のロイシンジッパーは、Hoppe et al.,1994,FEBS Letters 344:191に記載され、参照によって本明細書に組み込まれる。改変されたロイシンジッパーへ融合する相同タンパク質の適した三量化を可能にする改変されたロイシンジッパーの使用は、Fanslow et al.,1994,Semin.Immunol.6:267−78に記載される。1つのアプローチにおいて、ロイシンジッパーペプチドと融合した抗アクチビンA抗体断片または誘導体を含む組み換え融合タンパク質は、適した宿主細胞内、および組み換え形態が培養上清から回収される溶解オリゴマー抗アクチビンA抗体断片または誘導体で発現する。
【0114】
一実施形態において、本発明は、アクチビンA受容体へのアクチビンAの結合を妨げる抗原結合タンパク質を提供する。そのような抗原結合タンパク質は、アクチビンA、または断片、変異形またはこれらの誘導体に対して製造され、アクチビンA受容体へのアクチビンAの結合を妨げる能力に関する従来のアッセイで検査されることが可能である。適したアッセイの例は、抗原結合タンパク質の、アクチビンA受容体を発現する細胞に対し、アクチビンの結合を阻害する能力について試験する、または抗原結合タンパク質の、細胞表面アクチビンA受容体へのアクチビンAの結合の結果による生物学的反応、または細胞応答を減少する能力について試験するアッセイである。例えば、
図10、および以下の実施例に説明するように、抗体は、固定化した抗体表面(アクチビンAおよび/またはアクチビンB)と結合するその能力に従い、検査されることが可能である。
【0115】
本発明の抗原結合タンパク質の抗原結合断片は、従来の技術により生成されてもよい。そのような断片の例は、FabおよびF(ab’)
2断片を含むが、これらに限定されない。遺伝子工学技術によって生成された抗体断片および誘導体も、想定される。
【0116】
追加の実施形態は、キメラ抗体、例えば、非ヒト(例えば、ネズミ科)モノクローナル抗体のヒト化型を含む。そのようなヒト化抗体は、既知の技術によって調製されてもよく、抗体がヒトに投与される際に、免疫原性の減少という利点を発揮する。一実施形態においては、ヒト化モノクローナル抗体は、ネズミ科抗体の様々なドメイン(またはこれらの抗原結合部位のすべて、または一部)およびヒト抗体由来の定常ドメインを含む。代替として、ヒト化抗体断片は、ネズミ科モノクローナル抗体の抗原結合部位、およびヒト抗体由来の様々なドメイン断片(抗原結合部位を欠く)を含んでもよい。キメラおよびさらに工学的なモノクローナル抗体の生成のための手順は、Riechmann et al.,1988,Nature 332:323,Liu et al.,1987,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 84:3439,Larrick et al.,1989,Bio/Technology 7:934,およびWinter et
al.,1993,TIPS 14:139に記載されるものを含む。一実施形態においては、キメラ抗体はCDR移植抗体である。ヒト化抗体の技術は、例えば、米国特許番号第5,869,619号、第5,225,539号、第5,821,337号、第5,859,205号、第6,881,557号、Padlan et al.,1995,FASEB J.9:133−39、およびTamura et al.,2000,J.Immunol.164:1432−41に説明される。
【0117】
非ヒト動物において、ヒトまたは部分的ヒト抗体の産出のために手順を開発してきた。例えば、1つ以上の内在性免疫グロブリン遺伝子が様々な手段によって不活性化されたネズミを用意した。ヒトの免疫グロブリン遺伝子を、不活性化されたネズミの遺伝子と交換するためにネズミに導入した。動物内で生成された抗体は、動物に導入されたヒトの遺伝物質によってコードされたヒトの免疫グロブリンポリペプチド鎖と合体する。一実施形態においては、アクチビンAポリペプチドに対する抗体が動物内で産出されるように、遺伝子導入マウス等の非ヒト動物に、アクチビンAポリペプチドで免疫力を与える。
【0118】
適した免疫原の一例は、配列番号:225のタンパク質の細胞外ドメインを含むポリペプチド、または配列番号:225のタンパク質の他の免疫原断片等の、溶解性ヒトアクチビンAを含む。生成のための技術の例、およびヒトまたは部分的ヒト抗体の生成のための遺伝子導入動物の使用は、米国特許番号第5,814,318号、第5,569,825号、および第5,545,806号、Davis et al.,2003,Production of human antibodies from transgenic mice in Lo,ed.Antibody Engineering:Methods and Protocols,Humana Press,NJ:191−200,Kellermann et al.,2002,Curr Opin Biotechnol.13:593−97,Russel et al.,2000,Infect Immun.68:1820−26,Gallo et al.,2000,Eur J Immun.30:534−40,Davis et al.,1999,Cancer Metastasis Rev.18:421−25,Green,1999,J Immunol Methods.231:11−23,Jakobovits,1998,Advanced Drug Delivery Reviews 31:33−42,Green et al.,1998,J Exp Med.188:483−95,Jakobovits A,1998,Exp.Opin.Invest.Drugs.7:607−14,Tsuda et al.,1997,Genomics.42:413−21,Mendez et al.,1997,Nat Genet.15:146−56,Jakobovits,1994,Curr Biol.4:761−63,Arbones et al.,1994,Immunity.1:247−60,Green et al.,1994,Nat Genet.7:13−21,Jakobovits et al.,1993,Nature.362:255−58,Jakobovits et al.,1993,Proc Natl Acad Sci
U S A.90:2551−55.Chen,J.,M.Trounstine,F.W.Alt,F.Young,C.Kurahara,J.Loring,D.Huszar.Inter’l Immunol.5(1993):647−656,Choi
et al.,1993,Nature Genetics 4:117−23,Fishwild et al.,1996,Nature Biotech.14:845−51,Harding et al.,1995,Annals of the New York Academy of Sciences,Lonberg et al.,1994,Nature 368:856−59,Lonberg,1994,Transgenic Approaches to Human Monoclonal Antibodies in Handbook of Experimental Pharmacology 113:49−101,Lonberg et al.,1995,Internal Review of Immunology 13:65−93,Neuberger,1996,Nature Biotechnology 14:826,Taylor et al.,1992,Nucleic Acids Res.20:6287−95,Taylor et al.,1994,Inter’l Immunol.6:579−91,Tomizuka et al.,1997,Nature Genetics 16:133−43,Tomizuka et al.,2000,Pro.Nat’lAcad.Sci.USA 97:722−27,Tuaillon et al.,1993,Pro.Nat’lAcad.Sci.USA 90:3720−24,およびTuaillon et al.,1994,J.Immunol.152:2912−20に記載される。
【0119】
別の実施形態において、本発明は、アクチビンAと結合するモノクローナル抗体を提供する。モノクローナル抗体は、例えば、免疫化スケジュールの完了後に遺伝子導入動物から採取された脾臓細胞を不死化すること等による、当分野に既知のあらゆる技術を使用して生成されてもよい。脾臓細胞は、例えば、ハイブリドーマを生成するために脾臓細胞を骨髄腫と融合すること等による、当分野に既知のあらゆる技術を使用して不死化されることが可能である。ハイブリドーマ生成融合手順に使用するための骨髄腫細胞は、好ましくは非抗体生成であり、高い融合効率を有し、所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの成長を支持する特定の選択培地で成長不可能にする酵素欠損を有する。マウス融合に使用するための適した細胞株の例は、Sp−20、P3−X63/Ag8、P3−X63−Ag8.653、NS1/1.Ag41、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG1.7およびS194/5XX0 Bulを含み、ラット融合に使用された細胞株の例は、R210.RCY3、Y3−Ag1.2.3、IR983Fおよび4B210を含む。細胞融合の使用に有用な他の細胞株はU−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2およびUC729−6である。
【0120】
一実施形態においては、ハイブリドーマ細胞株は、アクチビンA免疫原で動物(例えば、ヒト免疫グロブリン配列を有する遺伝子導入動物)に免疫力を与えることと、該免疫動物から脾臓細胞を採取することと、採取された脾臓細胞を、骨髄腫細胞株と融合し、これによりハイブリドーマ細胞を産出することと、該ハイブリドーマ細胞からハイブリドーマ細胞株を樹立し、アクチビンAポリペプチドを結合する抗体を生成するハイブリドーマ細胞を同定することによって、生成される。そのようなハイブリドーマ細胞株、およびこれらによって生成された抗アクチビンAモノクローナル抗体は本発明によって包含される。
【0121】
ハイブリドーマ細胞株により分泌されるモノクローナル抗体は、当技術分野で既知のいかなる技術も使用して、精製され得る。ハイブリドーマまたはmAbは、アクチビンA誘発活性を阻止する能力等の、特定の特性を有するmAbを識別するために、さらにスクリーニングされ得る。そのようなスクリーニングの例は、以下の実施例に提供される。
【0122】
増加した親和性を有する抗体、例えば、Schier et al.,1996,J.Mol.Biol.263:551により記載されるような、c−erbB−2に対する増加した親和性を有する抗体を単離するために、抗体結合部位の中央における、相補性決定領域(CDR)の分子進化もまた、使用されてきた。したがって、そのような技術は、アクチビンAに対する抗体の調製に有用である。
【0123】
アクチビンAに対する抗原結合タンパク質は、例えば、生体外または生体内のいずれかで、アクチビンAポリペプチドの存在を検出するためのアッセイに使用され得る。また、抗原結合タンパク質は、免疫親和性クロマトグラフィーによる、アクチビンAタンパク質の精製に用いられ得る。アクチビンAの結合をさらに阻止できる抗原結合タンパク質は、そのような結合に起因する生物活性を阻害するために使用され得る。阻止抗原結合タンパク質は、本発明の方法で使用され得る。アクチビンAアンタゴニストとして機能する抗原結合タンパク質は、悪液質を含むがこれに限定されない、いかなるアクチビンA関連病態の治療にも用いられ得る。一実施形態においては、トランスジェニックマウスの免疫を伴う手順により生成される、ヒト抗アクチビンAモノクローナル抗体は、そのような病態の治療に用いられる。
【0124】
ヒト、部分的ヒト、またはヒト化抗体は、多くの用途、特にヒト対象への抗体の投与を伴う用途に好適であるが、他の種類の抗原結合タンパク質は、特定の用途に好適である。本発明の非ヒト抗体は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ロバ、または非ヒト霊長動物(サル(例えば、カニクイザルまたはアカゲザル)、または類人猿(例えば、チンパンジー))等の、いかなる抗体産生動物に由来し得る。本発明の非ヒト抗体は、例えば、生体外および細胞培養に基づく用途、または本発明の抗体への免疫反応が発生しない、わずかである、防止され得る、懸念事項ではない、または所望に応じた、他のいかなる用途にも使用され得る。一実施形態においては、本発明の非ヒト抗体は、非ヒト対象に投与される。他の実施形態では、非ヒト抗体は、非ヒト対象における免疫反応を引き出さない。他の実施形態では、非ヒト抗体は、非ヒト対象と同一の種からであり、例えば、本発明のマウス抗体は、マウスに投与される。特定の種からの抗体は、例えば、その種の動物を望ましい免疫原で免疫させるか(例えば、可溶性アクチビンAポリペプチド)、もしくはその種の抗体を生成するための人工システム(例えば、特定の種の抗体を生成するための細菌もしくはファージディスプレイベースシステム)を使用することにより、または例えば、抗体の定常領域を他の種からの定常領域と置き換えることにより、もしくは他の種からの抗体の配列により類似するように、抗体の1つ以上のアミノ酸残基を置き換えることにより、1つの種からの抗体を他の種に変換することにより、作製され得る。一実施形態においては、抗体は、2つ以上の異なる種からの抗体に由来するアミノ酸配列を含む、キメラ抗体である。
【0125】
抗原結合タンパク質は、多数の従来の技術のいずれかにより調製され得る。例えば、それらは、それらを自然に発現する細胞から精製され得る(例えば、抗体は、それを生成するハイブリドーマから精製され得る)か、または当技術分野で既知のいかなる技術を使用して、組み換え発現システムにおいて生成され得る。例えば、Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Kennet et al.(eds.),Plenum Press,New York(1980);およびAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Land(eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,(1988)を参照。
【0126】
当技術分野で既知のいかなる発現システムも、本発明の組み換えポリペプチドを作製するために使用され得る。概して、宿主細胞は、望ましいポリペプチドをコードするDNAを含む組み換え発現ベクターで、形質転換される。用いられ得る宿主細胞としては、原核生物、イースト、または高等真核細胞が挙げられる。原核生物は、グラム陰性またはグラム陽性菌、例えば、大腸菌または桿菌を含む。高等真核細胞は、昆虫細胞、および哺乳動物起源の樹立細胞株を含む。好適な哺乳類宿主細胞株の例は、サル腎細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al.,1981,Cell
23:175)、L細胞、293細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL
163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞株、およびMcMahan et al.,1991,EMBO J.10:2821により記載されるような、アフリカミドリザル腎細胞株CVIに由来するCVI/EBNA細胞株(ATCC CCL 70)を含む。細菌、真菌、イースト、および哺乳類細胞宿主での使用に適切なクローニングおよび発現ベクターは、Pouwels et al.(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,New York,1985)により記載される。
【0127】
形質転換細胞は、ポリペプチド、および従来のタンパク質精製手順により回収されるポリペプチドの発現を促進する条件下で、培養され得る。1つのそのような精製手順は、例えば、それに結合されるアクチビンAのすべてまたは一部を有するマトリックス(例えば、細胞外ドメイン)の親和性クロマトグラフィーの使用を含む。本明細書での使用が検討されるポリペプチドは、内因性汚染物質を実質的に含まない、実質的に均一の組み換え哺乳類抗アクチビンA抗体ポリペプチドを含む。
【0128】
抗原結合タンパク質は、多数の既知の技術のいずれかにより、調製、および望ましい特性に関してスクリーニングされ得る。技術のいくつかは、対象となる抗原結合タンパク質(例えば、抗アクチビンA抗体)のポリペプチド鎖(またはその一部)をコードする核酸を単離するステップ、および組み換えDNA技術により、核酸を操作するステップを伴う。核酸は、対象となる他の核酸と融合し得るか、または例えば、1つ以上のアミノ酸残基を添加、除去、または置換するために変化し得る(例えば、突然変異生成または他の従来の技術により)。
【0129】
一実施形態においては、本発明は、本発明の抗アクチビンA抗体の抗原結合性断片を提供する。そのような断片は、すべて抗体由来の配列から成り得るか、または追加の配列を含み得る。抗原結合性断片の例は、Fab、F(ab’)2、1本鎖抗体、二重抗体、三重抗体、四重抗体、およびドメイン抗体を含む。他の例は、Lunde et al.,2002,Biochem.Soc.Trans.30:500−06に提供される。
【0130】
1本鎖抗体は、アミノ酸架橋(短いペプチドリンカー)を介して、重鎖および軽鎖可変ドメイン(Fv領域)断片を連結することにより形成され得て、単一ポリペプチド鎖をもたらす。そのような一本鎖Fv(scFv)は、2つの可変ドメインポリペプチド(V
LおよびV
H)をコードするDNA間のペプチドリンカーをコードするDNAを融合することにより、調製されている。得られるポリペプチドは、抗原結合単量体を形成するためにそれ自体に折り重なり得るか、またはそれらは、2つの可変ドメイン間の柔軟なリンカーの長さに応じて、多量体(例えば、二量体、三量体、または四量体)を形成し得る(Kortt et al.,1997,Prot.Eng.10:423;Kortt et
al.,2001,Biomol.Eng.18:95―108)。異なるV
LおよびV
Hを含むポリペプチドを組み合わせることにより、異なるエピトープと結合する多量体のscFvを形成し得る(Kriangkum et al.,2001,Biomol.Eng.18:31―40)。1本鎖抗体の生成のために開発された技術は、米国特許第4,946,778号;Bird,1988,Science 242:423;Huston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879;Ward et al.,1989,Nature 334:544,de Graaf et al.,2002,Methods Mol Biol 178:379―87に記載される技術を含む。本明細書に提供される抗体に由来する1本鎖抗体は、本発明により包含される、可変ドメインの組み合わせ、L1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、およびL14H14を含むscFvを含むがこれらに限定されない。
【0131】
本発明の抗原結合タンパク質(例えば、抗体、抗体断片、および抗体誘導体)は、当技術分野で既知のいかなる定常領域も含み得る。軽鎖定常領域は、例えば、カッパまたはラムダ型軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ型軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、またはミュー型重鎖定常領域、例えば、ヒトアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、またはミュー型重鎖定常領域であり得る。一実施形態においては、軽鎖または重鎖定常領域は、自然発生の定常領域の断片、誘導体、変異形、または突然変異タンパク質である。
【0132】
対象となる抗体から、異なるサブクラスまたはイソタイプの抗体を抽出するための技術、すなわち、サブクラススイッチが既知である。したがって、IgG抗体は、例えばIgM抗体に由来し得て、逆もまた同様である。そのような技術は、所与の抗体(親抗体)の抗原結合特性を保有する新しい抗体の調製を可能にするが、親抗体とは異なる抗体イソタイプまたはサブクラスに関連する、生物学的特性も示す。組み換えDNA技術が用いられ得る。特定の抗体ポリペプチドをコードするクローン化DNA、例えば、望ましいイソタイプの抗体の定常ドメインをコードするDNAが、そのような手順に用いられ得る。Lantto et al.,2002,Methods Mol.Biol.178:303―16も参照。
【0133】
一実施形態においては、本発明の抗原結合タンパク質は、A1―A14のいずれかのIgG1重鎖ドメイン(H1―H14)、またはA1―A14のいずれかのIgG1重鎖ドメインの断片(H1―H14)を含む。他の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、A1―A14のカッパ軽鎖定常鎖領域(L1―L14)、またはA1―A14のカッパ軽鎖定常領域の断片(L1―L14)を含む。他の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、A1―A14のIgG1重鎖ドメインもしくはその断片(L1―L14)、およびA1―A14のカッパ軽鎖ドメインもしくはその断片(L1―L14)の両方を含む。
【0134】
したがって、本発明の抗原結合タンパク質は、望ましいイソタイプ(例えば、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgE、およびIgD)を有する、可変ドメインの組み合わせ、L1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、およびL14H14、ならびにそのFabもしくはF(ab’)
2断片を含む、抗原結合タンパク質を含む。さらに、IgG4が望ましい場合は、IgG4抗体において不均質をもたらし得るH鎖内ジスルフィド結合を形成する傾向を軽減するために、Bloom et al.,1997,Protein Science 6:407(参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されるように、ヒンジ領域に点変異(CPSCP→CPPCP)を導入することも望ましい場合がある。
【0135】
一実施形態においては、抗原結合タンパク質は、1x10
−4s
−1以下のK
offを有する。他の実施形態では、K
offは、5x10
−5s
−1以下である。他の実施形態では、K
offは、L1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、およびL14H14から成る組み合わせの群から選択される、軽鎖および重鎖可変ドメイン配列の組み合わせを有する抗体と実質的に同一である。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、L1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、およびL14H14から成る組み合わせの群から選択される、軽鎖および重鎖可変ドメイン配列の組み合わせを有する抗体からの、1つ以上のCDRを含む抗体と実質的に同一のK
offで、アクチビンAと結合する。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明されるアミノ酸配列のうちの1つを含む抗体と実質的に同一のK
offで、アクチビンAと結合する。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上に説明されるアミノ酸配列のうちの1つを含む抗体からの、1つ以上のCDRを含む抗体と実質的に同一のK
offで、アクチビンAと結合する。
【0136】
本明細書に使用されるように、ヒトアクチビンAという用語は、配列番号:1のタンパク質、およびその対立遺伝子変異形を含むよう意図される。アクチビンAは、塩勾配を使用するHeparin HPカラムを使用して、宿主細胞培養液の濾過された上清の溶出により、アクチビンAをコードする遺伝子により形質移入されている、宿主細胞から精製され得る。
【0137】
「抗体」という用語は、無傷抗体またはその結合性断片を意味する。抗体は、完全抗体分子(全長重鎖および/または軽鎖を有する、多クローン、単クローン、キメラ、ヒト化、またはヒト型を含む)を含み得るか、またはその抗原結合断片を含み得る。抗体断片は、F(ab’)
2、Fab、Fab’、Fv、Fc、およびFd断片を含み、単一ドメイン抗体、1本鎖抗体、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、二重抗体、三重抗体、四重抗体、v−NAR、およびbis−scFvに組み込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson,2005,Nature Biotech.,23,9,1126―1136を参照)。また、フィブロネクチンポリペプチドモノボディを含む、抗体ポリペプチドが、米国特許第6,703,199号に開示される。他の抗体ポリペプチドは、米国特許公開第2005/0238646号に開示され、それは、一本鎖ポリペプチドである。
【0138】
抗体に由来する抗原結合断片は、例えば、抗体のタンパク質加水分解、例えば、従来の方法に従った抗体全体のペプシンまたはパパイン消化により得られ得る。一例として、抗体断片は、F(ab’)
2と呼ばれる5S断片を提供するために、ペプシンによる抗体の酵素的切断により生成され得る。この断片は、3.5S Fab’一価断片を生成するために、チオール還元剤を使用してさらに切断され得る。任意に、切断反応は、ジスルフィド結合の切断によりもたらされるスルフヒドリル基のための保護基を使用して、実行され得る。代替方法として、パパインを使用する酵素的切断は、2つの一価Fab断片、および1つのFc断片を直接生成する。これらの方法は、例えば、Goldenberg,米国特許第4,331,647号,Nisonoff et al.,Arch.Biochem.Biophys.89:230,1960;Porter,Biochem.J.73:119,1959;Edelman et al.,in Methods in Enzymology 1:422(Academic Press 1967);およびAndrews,S.M.and Titus,J.A.in Current Protocols in Immunology(Coligan J.E.,et al.,eds),John Wiley & Sons,New York(2003),pages2.8.1―2.8.10 and 2.10A.1―2.10A.5により記載される。一価軽−重鎖断片(Fd)を形成するために重鎖を分離する等の、抗体を切断するための他の方法、断片のさらなる切断、または他の酵素的、科学的、もしくは遺伝子的技術もまた、断片が、無傷抗体により認識される抗原と結合する限り、使用され得る。
【0139】
また、抗体断片は、いかなる合成または遺伝子組み換えタンパク質でもあり得る。例えば、抗体断片は、軽鎖可変領域から成る単離した断片、重鎖および軽鎖の可変領域から成る「Fv」断片、軽および重可変領域が、ペプチドリンカーにより接続される、組み換え1本鎖ポリペプチド分子(scFvタンパク質)を含む。
【0140】
他の型の抗体断片は、抗体の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含むペプチドである。CDR(「最小認識単位」または「超可変領域」とも呼ばれる)は、対象となるCDRをコードするポリヌクレオチドを構築することにより得られ得る。そのようなポリヌクレオチドは、例えば、鋳型として抗体生成細胞のmRNAを使用して、可変領域を合成するために、ポリメラーゼ連鎖反応を使用することにより調製される(例えば、Larrick et al.,Methods:A Companion to Methods
in Enzymology 2:106,1991;Courtenay−Luck,“Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies,”in Monoclonal Antibodies:Production,Engineering and Clinical Application,Ritter et al.(eds.),page 166(Cambridge
University Press 1995);およびWard et al.,“Genetic Manipulation and Expression of Antibodies,”in Monoclonal Antibodies:Principles and Applications,Birch et al.,(eds.),page 137(Wiley−Liss,Inc.1995))を参照。
【0141】
したがって、一実施形態においては、結合剤は、本明細書に記載されるような、少なくとも1つのCDRを含む。結合剤は、本明細書に記載されるような、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含み得る。結合剤は、本明細書に記載される抗体の、少なくとも1つの可変領域ドメインをさらに含み得る。可変領域ドメインは、いかなるサイズ、またはアミノ酸組成物であり得て、例えば、本明細書に具体的に記載されるCDR―H1、CDR―H2、CDR―H3および/または軽鎖CDR等の、1つ以上のフレームワーク配列に隣接する、もしくは該配列とフレーム状態にある、ヒトアクチビンAとの結合に関与する少なくとも1つのCDR配列を概して含む。一般用語において、可変(V)領域ドメインは、免疫グロブリン重(V
H)鎖および/または軽(V
L)鎖可変ドメインのいかなる好適な配列であり得る。したがって、例えば、V領域ドメインは、単量体であり、V
HまたはV
Lドメインであり得て、以下に記載されるような、少なくとも1x10
―7M以下に等しい親和性で、ヒトアクチビンAと独立して結合することが可能である。代替として、V領域ドメインは、二量体であり、V
H―V
H、V
H―V
L、またはV
L―V
Lの二量体を含み得る。V領域二量体は、非共有結合的に関連し得る、少なくとも1つのVHおよび少なくとも1つのVL鎖を含む(以下、F
Vという)。所望に応じて、鎖は、直接、例えば2つの可変ドメイン間のジスルフィド結合を介して、あるいは1本鎖Fv(scF
V)を形成するために、リンカー、例えば、ペプチドリンカーを通じて、共有結合的に連結され得る。
【0142】
可変領域ドメインは、いかなる自然発生の可変ドメイン、またはその改変型であり得る。改変型とは、組み換えDNA工学技術を使用して生成された、可変領域ドメインを意味する。そのような改変型は、例えば、特異的抗体のアミノ酸配列における、または該配列に対する挿入、欠失、または変化により、特異的抗体可変領域から生成される改変型を含む。特定の例は、第1の抗体からの少なくとも1つのCDRおよび任意に1つ以上のフレームワークアミノ酸を含む、改変可変領域ドメイン、ならびに第2の抗体からの残りの可変領域ドメインを含む。
【0143】
可変領域ドメインは、少なくとも1つの他の抗体ドメインまたはその断片に、C末端アミノ酸において共有結合的に付着し得る。したがって、例えば、可変領域ドメイン内に存在するVHドメインは、免疫グロブリンCH1ドメインまたはその断片と連結され得る。同様に、V
Lドメインは、C
Kドメインまたはその断片と連結され得る。このように、例えば、抗体は、Fab断片であり得て、抗原結合ドメインは、それぞれCH1およびC
Kドメインに、それらのC末端において共有結合的に連結される、関連したV
HおよびV
Lドメインを含む。CH1ドメインは、例えば、Fab’断片に見られるような、ヒンジ領域もしくはヒンジ領域ドメインの一部を提供するために、または抗体CH2およびCH3ドメイン等のさらなるドメインを提供するために、さらなるアミノ酸で拡張され得る。
【0144】
本明細書に記載されるように、抗体は、これらのCDRの少なくとも1つを含む。例えば、1つ以上のCDRは、既知の抗体フレームワーク領域(IgG1、IgG2等)に組み込まれ得るか、またはその半減期を増進するために、好適なビヒクルに接合され得る。好適なビヒクルは、Fc、ポリエチレングリコール(PEG)、アルブミン、トランスフェリン等を含むがこれらに限定されない。これらのビヒクルおよび他の好適な賦形剤は、当技術分野で既知である。そのような接合CDRペプチドは、単量体、二量体、四量体、または他の型であり得る。一実施形態においては、1つ以上の水溶性ポリマーは、結合剤の1つ以上の特異的位置、例えば、アミノ末端において結合される。
【0145】
特定の好ましい実施形態においては、抗体は、ポリエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールを含むがこれらに限定されない、1つ以上の水溶性ポリマー付着を含む。例えば、米国特許第4,640,835号、第4,496,689号、第4,301,144号、第4,670,417号、第4,791,192号、および第4,179,337号を参照。ある実施形態においては、誘導体の結合剤は、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、もしくは他の炭水化物を基材としたポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)−ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、およびポリビニルアルコールのうちの1つ以上、ならびにそのようなポリマーの混合物を含む。ある実施形態においては、1つ以上の水溶性ポリマーは、1つ以上の側鎖に無作為に付着する。ある実施形態においては、PEGは、抗体等の結合剤の治療能力を改善する役割を果たす。特定のそのような方法は、例えば、米国特許第6,133,426号で考察され、いかなる目的で参照することにより、本明細書により組み込まれる。
【0146】
本発明の抗体は、抗体が結合特異性を保持するという条件で、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得ることは、十分理解されるであろう。したがって、抗体構造の修飾は、本発明の範囲内に包含される。これらは、抗体のアクチビンA結合能力を破壊しない、保存または非保存であり得るアミノ酸置換を含み得る。保存アミノ酸置換は、非自然発生のアミノ酸残基を包含し得て、典型的に、生物系における合成によるよりも、化学的ペプチド合成により組み込まれる。これらは、ペプチド模倣薬、および逆または反転型のアミノ酸部分を含む。また、保存アミノ酸置換は、その位置におけるアミノ酸残基の極性または電荷への影響がほとんど、または全くないように、標準残基による天然アミノ酸残基の置換を伴い得る。
【0147】
非保存置換は、異なる物理的特性を有する他のクラスからのメンバーとの、アミノ酸またはアミノ酸模倣剤の1クラスのメンバーの交換を伴い得る(例えば、サイズ、極性、疎水性、電荷)。そのような置換残基は、非ヒト抗体と相同であるヒト抗体の領域、または分子の非相同領域に導入され得る。
【0148】
さらに、当業者は、それぞれの望ましいアミノ酸残基において、単一アミノ酸置換を含む、試験変異形を生成し得る。次いで、変異形は、当業者に既知の活性アッセイを使用して、スクリーニングされ得る。そのような変異形は、好適な変異形に関する情報を収集するために使用され得る。例えば、特定のアミノ酸残基への変化が、破壊された活性、所望せずに減少した活性、または不適切な活性を生じたことが発見された場合、そのような変化を有する変異形は、回避され得る。つまり、そのような慣用的な実験から収集される情報に基づき、当業者は、アミノ酸を容易に確定し得て、さらなる置換は、単独で、あるいは他の変異と組み合わせて、回避されるべきである。
【0149】
当業者は、周知の技術を使用して、本明細書に記載れるような、ポリペプチドの好適な変異形を確定することができる。ある実施形態においては、当業者は、活性に重要ではないと考えられる領域を標的にすることにより、活性を破壊することなく変化し得る分子の好適な範囲を識別し得る。ある実施形態においては、同様のポリペプチドのうちで、保存されている分子の残基および部分を識別し得る。ある実施形態においては、生物活性または構造に重要であり得る範囲でさえ、生物活性を破壊することなく、またはポリペプチド構造に悪影響を及ぼすことなく、保存アミノ酸置換の対象となり得る。
【0150】
さらに、当業者は、活性または構造に重要である同様のポリペプチドにおける残基を識別する、構造機能研究を検討し得る。そのような比較を考慮して、同様のタンパク質における活性または構造に重要であるアミノ酸残基に対応する、タンパク質におけるアミノ酸残基の重要性を予測し得る。当業者は、そのような予測された重要なアミノ酸残基に対して、化学的に同様のアミノ酸置換を選択し得る。
【0151】
また、当業者は、同様のポリペプチドにおけるその構造との関連で、三次元構造およびアミノ酸配列を分析し得る。そのような情報を考慮して、当業者は、その三次元構造に関して、抗体のアミノ酸残基の配置を予測し得る。ある実施形態においては、当業者は、そのような残基が、他の分子との重要な相互作用に関与し得るため、タンパク質の表面にあると予測されるアミノ酸残基に、根本的な変化を加えないことを選択し得る。
【0152】
多数の科学出版物が、二次構造の予測を記述してきた。Moult J.,Curr.Op. in Biotech.,7(4):422―427(1996),Chou et al.,Biochem.,13(2):222―245(1974);Chou
et al.,Biochem.,113(2):211―222(1974);Chou et al.,Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.,47:45―148(1978);Chou et al.,Ann.Rev.Biochem.,47:251―276、およびChou et al.,Biophys.J.,26:367―384(1979)を参照。さらに、二次構造の予測を補助するために、コンピュータープログラムが、現在利用可能である。二次構造を予測する一方法は、相同性モデリングに基づく。例えば、30%より大きい配列同一性、または40%より大きい類似性を有する、2つのポリペプチドまたはタンパク質は、同様の構造トポロジーを有する場合が多い。タンパク質構造データベース(PDB)の最近の成長は、ポリペプチドまたはタンパク質の構造における、見込まれる数の折り畳みを含む、改善された二次構造の予測可能性を提供している。Holm et al.,Nucl.Acid.Res.,27(1):244―247(1999)を参照。所与のポリペプチドまたはタンパク質において、制限された数の折り畳みが存在すること、および、一度臨界数の構造が分解されると、構造的予測は劇的により正確になることが、示唆されている(Brenner et al.,Curr.Op.Struct.Biol.,7(3):369―376(1997))。
【0153】
二次構造を予測するさらなる方法は、「スレッディング」(Jones,D.,Curr.Opin.Struct.Biol.,7(3):377―87(1997);Sippl et al.,Structure,4(1):15−19(1996))、「プロファイル解析」(Bowie et al.,Science,253:164−170(1991);Gribskov et al.,Meth.Enzym.,183:146―159(1990);Gribskov et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.,84(13):4355―4358(1987))、および「進化的連鎖」(Holm(上記を参照)(1999)およびBrenner(上記を参照)(1997)を参照)を含む。
【0154】
ある実施形態においては、抗体の変異形は、グリコシル化変異形を含み、グリコシル化部位の数および/または種類は、親ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して変化している。ある実施形態においては、変異形は、天然タンパク質よりも多い、または少ない数のN結合型グリコシル化部位を含む。N結合型グリコシル化部位は、配列:Asn−X−SerまたはAsn−X−Thrを特徴とし、Xとして表されるアミノ酸残基は、プロリン以外のいかなるアミノ酸残基でもあり得る。この配列を生成するためのアミノ酸残基の置換は、N結合型炭水化物鎖の添加のための潜在的に新たな部位を提供する。代替として、この配列を除外する置換は、現存のN結合型炭水化物鎖を除去する。また、N結合型炭水化物鎖の再配列が提供され、1つ以上のN結合型グリコシル化部位(典型的に、自然に発生する部位)は除外され、1つ以上の新たなN結合型部位が生成される。さらなる好ましい抗体変異形は、システイン変異形を含み、1つ以上のシステイン残基は、親アミノ酸配列と比較して、他のアミノ酸(例えば、セリン)から除去されるか、または他のアミノ酸に置換される。システイン変異形は、不溶性封入体の単離後等に、抗体が生物学的に活性な立体構造にリフォールディングされなければならない場合、有用であり得る。システイン変異形は、概して、天然タンパク質よりも少ないシステイン残基を有し、一般的に、不対システインによる相互作用を最小限に抑えるために、偶数を有する。
【0155】
望ましいアミノ酸置換(保存、非保存にかかわらず)は、そのような置換が望ましい時点で、当業者により確定され得る。ある実施形態においては、アミノ酸置換は、アクチビンAに対する抗体の重要な残基を識別するために、または本明細書に記載されるアクチビンAに対する抗体の親和性を増加もしくは減少させるために、使用され得る。
【0156】
特定の実施形態に従い、好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解への感受性を減少させる、(2)酸化への感受性を減少させる、(3)タンパク質複合体を形成するために、結合親和性を変化させる、(4)結合親和性を変化させる、および/または(4)そのようなポリペプチドに他の物理化学的または機能的特性を付与または修飾する、アミノ酸置換である。特定の実施形態に従い、単一または複数のアミノ酸置換(ある実施形態においては、保存アミノ酸置換)は、自然発生的な配列において行われ得る(ある実施形態においては、分子間接触を形成するドメインの外側にある、ポリペプチドの部分において)。ある実施形態においては、保存アミノ酸置換は、一般的に、親配列の構造特性を実質的に変化させ得ない(例えば、置換アミノ酸は、親配列において発生するヘリックスを破壊するか、または親配列を特徴付ける他の種類の二次構造を崩壊させる傾向を有するべきではない)。当技術分野において承認されているポリペプチドの二次および三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.,W.H.Freeman and Company,New York(1984));Introduction to Protein Structure(C.Branden and J.Tooze,eds.,Garland Publishing,New York,N.Y.(1991));およびThornton et al.Nature354:105(1991)に記載され、それぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0157】
ある実施形態においては、本発明の抗体は、ポリマー、脂質、または他の部分と化学的に結合され得る。
【0158】
結合剤は、生体適合性フレームワーク構造に組み込まれる、本明細書に記載されるCDRの少なくとも1つを含み得る。一実施例においては、生体適合性フレームワーク構造は、立体構造的に安定した構造支持体、またはフレームワーク、または骨格を形成するために十分である、ポリペプチドまたはその一部を含み、局所的な表面領域において抗原と結合するアミノ酸の1つ以上の配列(例えば、CDR、可変領域等)を表示することが可能である。そのような構造は、自然発生のポリペプチドもしくはポリペプチドの「折り畳み」(構造モチーフ)であり得るか、または自然発生のポリペプチドもしくは折り畳みに対して、アミノ酸の添加、欠失、もしくは置換等の1つ以上の修飾を有し得る。これらの骨格は、ヒト、他の哺乳動物、他の脊椎動物、無脊椎動物、植物、細菌、またはウイルス等のいかなる種(または2つ以上の種)のポリペプチドに由来し得る。
【0159】
一般的に、生体適合性フレームワーク構造は、免疫グロブリンドメイン以外のタンパク質骨格または骨組に基づく。例えば、フィブロネクチン、アンキリン、リポカリン、ネオカルチノスタチン、シトクロムb、CP1ジンクフィンガー、PST1、コイルドコイル、LACI−D1、Zドメイン、およびテンダミスタットドメインに基づくものが使用され得る(例えば、Nygren and Uhlen,1997,Curr.Opin.in Struct.Biol.,7,463―469を参照)。
【0160】
本発明の抗体が、本明細書に記載されるヒト化抗体を含むことは、十分理解されるであろう。本明細書に記載されるようなヒト化抗体は、当業者には既知の技術を使用して、生成され得る(Zhang,W.,et al.,Molecular Immunology.42(12):1445―1451,2005;Hwang W.et al.,Methods.36(1):35−42,2005;Dall’Acqua WF,et al.,Methods 36(1):43―60,2005;およびClark,M.,Immunology Today.21(8):397―402,2000)。
【0161】
さらに、当業者は、好適な結合剤が、本明細書に具体的に開示されるような、CDR―H1、CDR―H2、CDR―H3、CDR―L1、CDR―L2、およびCDR―L3のうちの1つ以上等の、これらの抗体の一部を含むことを認識するであろう。CDR―H1、CDR―H2、CDR―H3、CDR―L1、CDR―L2、およびCDR―L3の領域の少なくとも1つは、抗体が、非置換CDRの結合特異性を保持することを条件として、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。抗体の非CDR部分は、非タンパク質分子であり得て、結合剤は、アクチビンAとの本明細書に開示される抗体の結合をクロスブロックし、および/またはアクチビンAを中和させる。抗体の非CDR部分は、非タンパク質分子であり得て、抗体は、抗体A1―A14のうちの少なくとも1つにより示されるパターンと、競合結合アッセイにおいてヒトアクチビンAペプチドに対する同様の結合パターンを示し、および/またはアクチビンAを中和させる。抗体の非CDR部分は、アミノ酸から成り得て、抗体は、組み換え結合タンパク質または合成ペプチドであり、組み換え結合タンパク質は、アクチビンAとの本明細書に開示される抗体の結合をクロスブロックし、および/またはアクチビンAを中和させる。抗体の非CDR部分は、アミノ酸から成り得て、抗体は、組み換え抗体であり、組み換え抗体は、抗体A1―A14のうちの少なくとも1つにより示されるパターンと、ヒトアクチビンAペプチドエピトープ競合結合アッセイ(後述される)においてヒトアクチビンAペプチドに対する同様の結合パターンを示し、および/またはアクチビンAを中和させる。
【0162】
抗体が、上に記載されるような、CDR―H1、CDR―H2、CDR―H3、CDR―L1、CDR―L2、およびCDR―L3のうちの1つ以上を含む場合、それは、これらの配列に対するDNAコードを含む、宿主細胞からの発現により得られ得る。各CDR配列に対するDNAコードは、CDRのアミノ酸配列に基づき確定され得て、必要に応じて、オリゴヌクレオチド合成技術、部位特異的突然変異生成、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して、いかなる望ましい抗体可変領域フレームワークおよび定常領域DNA配列とともに合成され得る。可変領域フレームワークおよび定常領域に対するDNAコードは、GenBank(登録商標)等の遺伝子配列データベースから、当業者に広く利用可能である。
【0163】
一度合成されると、本発明の抗体またはその断片をコードするDNAは、任意の数の既知の発現ベクターを使用した、核の切除、形質転換、および形質移入のための様々な周知の手順のいずれかに従い、増殖および発現され得る。したがって、ある実施形態においては、抗体断片の発現は、大腸菌等の原核宿主において好ましくあり得る(例えば、Pluckthun et al.,1989 Methods Enzymol.178:497―515を参照)。特定の他の実施形態においては、抗体またはその断片の発現は、イーストを含む真核宿主細胞(例えば、サッカロマイセスセレヴィシエ、シゾサッカロミセスポンベ、およびピキアパストリス)、動物細胞(哺乳類動物の細胞を含む)または植物細胞において、好ましい場合がある。好適な動物細胞の例は、骨髄腫(マウスNSO株等)、COS、CHO、またはハイブリドーマ細胞を含むがこれらに限定されない。植物細胞の例は、タバコ、トウモロコシ、大豆、および米細胞を含む。
【0164】
抗体可変および/または定常領域をコードするDNAを含む、1つ以上の複製可能な発現ベクターは、適切な細胞株、例えば、マウスNSO株等の非産生骨髄腫細胞株、または大腸菌等の細菌を形質転換するために、調製および使用され得て、そこで抗体の生成が発生する。効率的な転写および翻訳を得るために、各ベクターにおけるDNA配列は、適切な調節配列、特に、可変ドメイン配列に動作可能に連結されるプロモータおよびリーダー配列を含むべきである。このようにして抗体を生成するための特定の方法は、一般的に周知であり、慣用的に使用される。例えば、基本的な分子生物学的手順は、Maniatis et al.(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1989;Maniatis et al,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,(2001)も参照)により記載される。DNAシークエンシングは、Sanger et al. (PNAS 74:5463,(1977))およびthe Amersham International plc sequencing handbookに記載されるように実行され得て、部位特異的突然変異生成は、当技術分野で既知の方法に従い実行され得る(Kramer et al.,Nucleic Acids Res.12:9441,(1984);Kunkel Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488―92(1985);Kunkel et al.,Methods in Enzymol.154:367―82(1987);the Anglian Biotechnology Ltd.handbook)。さらに、多数の出版物が、DNAの操作、発現ベクターの生成、ならびに適切な細胞の形質転換および培養による抗体の調製に好適な技術を記載する(Mountain A and Adair,J R in Biotechnology and Genetic Engineering Reviews(ed.Tombs,M P,10,Chapter 1,1992,Intercept,Andover,UK);“Current Protocols in Molecular Biology”,1999,F.M.Ausubel(ed.),Wiley Interscience,New York)。
【0165】
所望により、上記のCDRの1つ以上を含む、本発明に従った抗体の親和性の改善は、CDRの維持(Yang et al.,J.Mol.Biol.,254,392―403,1995)、鎖シャッフリング(Marks et al.,Bio/Technology,10,779―783,1992)、大腸菌の変異系統の使用(Low et al.,J.Mol.Biol.,250,350−368,1996)、DNAシャッフリング(Patten et al.,Curr.Opin.Biotechnol.,8,724―733,1997)、ファージディスプレイ(Thompson et al.,J.Mol.Biol.,256,7―88,1996)、およびセクシュアルPCR(Crameri,et al.,Nature,391,288―291,1998)を含む、多数の親和性成熟プロトコルにより、得られ得る。親和性成熟のこれらの方法のすべては、Vaughan et al.(Nature Biotech.,16,535―539,1998)により考察される。
【0166】
本発明に従った他の抗体は、本明細書に記載され、当技術分野で既知の、従来の免疫および細胞融合手順により得られ得る。本発明のモノクローナル抗体は、様々な既知の技術を使用して生成され得る。概して、特異的抗原と結合するモノクローナル抗体は、当業者に既知の方法により得られ得る(例えば、Kohler et al.,Nature 256:495,1975;Coligan et al.(eds.),Current Protocols in Immunology,1:2.5.12.6.7(John Wiley & Sons 1991);米国特許第RE32,011号、第4,902,614号、第4,543,439号、および第4,411,993号;Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Plenum Press,Kennett,McKearn, and Bechtol(eds.)(1980);およびAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Lane(eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988);Picksley et al.,“Production of monoclonal antibodies against proteins expressed in E.coli,”in DNA Cloning2:Expression Systems,2nd Edition,Glover et al.(eds.),page 93(Oxford University Press 1995)を参照)。抗体断片は、タンパク質消化等の好適な標準的技術を使用して、または任意に、タンパク質消化(例えば、パパインまたはペプシンを使用して)、続いて、ジスルフィド結合の軽度減少およびアルキル化により、そこから得られ得る。また、代替として、そのような断片は、本明細書に記載されるような、組み換え遺伝子工学技術により生成され得る。
【0167】
モノクローナル抗体は、例えば、当技術分野で既知のようなトランスジェニックまたはノックアウト動物を含む動物、例えば、ラット、ハムスター、ウサギ、または好ましくはマウスに、当技術分野で既知であり、かつ本明細書に記載される方法に従い、配列番号:225のヒトアクチビンAを含む免疫原、またはその断片を注射することにより得られ得る。特異的抗体生成の存在は、当技術分野で既知であり、かつ本明細書に記載される、いくつかの免疫検出法のいずれか1つを使用して、血清サンプルを得て、ヒトアクチビンAと結合する抗体またはペプチドの存在を検出することにより、最初の注射後および/またはブースター注射後に、モニタリングされ得る。望ましい抗体を生成する動物から、通常、脾臓もしくはリンパ節からの細胞である、リンパ細胞が、Bリンパ球を得るために採取される。次いで、Bリンパ球は、好ましくは、免疫動物と同系であり、任意に他の望ましい特性(例えば、内因性Ig遺伝子産物、例えば、P3X63―Ag 8.653(ATCC No.CRL 1580);NSO、SP20を発現することが不可能であること)を有する、薬物感作骨髄腫細胞融合パートナーと融合し、不死の真核細胞株であるハイブリドーマを生成しようとする。
【0168】
リンパ(例えば、脾臓)細胞および骨髄腫細胞は、ポリエチレングリコール等の膜融合促進剤、または非イオン洗剤と数分間混合され得て、次いで、未融合骨髄腫細胞ではなく、ハイブリドーマ細胞の成長を支持する、選択培地に低密度でめっきされる。好ましい選択培地は、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)である。十分な時間で、通常、約1から2週間後、細胞のコロニーが認められる。単一コロニーは単離され、細胞により生成される抗体は、当技術分野で既知であり、かつ本明細書に記載される様々な免疫測定法のいずれか1つを使用して、ヒトアクチビンAとの結合活性に関して試験され得る。ハイブリドーマは、クローン化され(例えば、限界希釈クローニングまたは軟寒天プラーク単離により)、アクチビンAに特異的な抗体を生成する陽性クローンが、選択および培養される。ハイブリドーマ培養物からのモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養物の上清から単離され得る。
【0169】
マウスモノクローナル抗体の生成のための代替方法は、モノクローナル抗体を含む腹水の形成を促進するために、同種マウス、例えば、処置されているマウス(例えば、プリスタン感作)の腹膜腔内に、ハイブリドーマ細胞を注射することである。モノクローナル抗体は、様々な確立した技術により単離および精製され得る。そのような単離技術は、タンパク質Aセファロースによる親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーを含む(例えば、Coligan at pages2.7.1―2.7.12 and pages2.9.1―2.9.3;Baines et al.,“Purification of Immunoglobulin G(IgG),”in Methods in Molecular Biology,Vol.10,pages 79―104(The Humana Press,Inc.1992)を参照)。モノクローナル抗体は、抗体の特定の特性(例えば、重鎖または軽鎖イソタイプ、結合特異性等)に基づき選択される適切な配位子を使用する、親和性クロマトグラフィーにより精製され得る。固体支持体上に固定化される好適な配位子の例は、タンパク質A、タンパク質G、抗定常領域(軽鎖または重鎖)抗体、抗イディオタイプ抗体、およびTGFベータ結合タンパク質、またはその断片もしくは変異形を含む。
【0170】
また、本発明の抗体は、完全ヒトモノクローナル抗体であり得る。アクチビンAのシステインノット領域(アミノ酸C11―S33および/またはアミノ酸C81―E111)と特異的に結合する、単離した完全ヒト抗体が提供され、抗原結合タンパク質は、ヒト抗アクチビンA抗体の少なくとも1つの生体内生物活性を保有する。生物活性は、例えば、本明細書に記載される結腸癌のマウスモデル等の、結腸癌における悪液質の減弱であり得る。そのような治療に適している悪液質は、体重の低下、筋肉量の低下、および/または脂肪量の低下に関連する。悪液質は、関節リウマチのコラーゲン誘発動物モデル等の、関節リウマチに関連し得る。本明細書に記載される完全ヒト抗体による治療は、関節リウマチのコラーゲン誘発動物モデルにおける、生体内の体重の低下、筋肉量の低下、および/または脂肪量の低下を回復させる。本明細書に記載される完全ヒト抗体は、AAV−アクチビンA形質転換動物モデルにおける体重の低下を回復させる。アクチビンAのシステインノット領域(アミノ酸C11―S33および/またはアミノ酸C81―E111)と特異的に結合する、本明細書に記載される完全ヒト抗体は、生体外のアクチビンA受容体とのアクチビンAの結合を阻害する。アクチビンAのシステインノット領域(アミノ酸C11―S33および/またはアミノ酸C81―E111)と特異的に結合する、単離した完全ヒト抗体は、生体内のアクチビンA受容体とのアクチビンAの結合を阻害する。
【0171】
完全ヒトモノクローナル抗体は、当業者には周知のあらゆる技術により、生成され得る。そのような方法は、ヒト末梢血液細胞(例えば、Bリンパ球を含む)のエプスタインバーウイルス(EBV)形質転換、ヒトB−細胞の生体外免疫、挿入ヒト免疫グロブリン遺伝子を有する、免疫されたトランスジェニックマウスからの脾臓細胞の融合、ヒト免疫グロブリンV領域ファージライブラリーからの単離、または当技術分野で既知であり、かつ本明細書の本開示に基づく他の手順を含むがこれらに限定されない。例えば、完全ヒトモノクローナル抗体は、抗原投与に反応して特異的ヒト抗体を生成するために改変されている、トランスジェニックマウスから得られ得るトランスジェニックマウスから完全ヒト抗体を得るための方法は、例えば、Green et al.,Nature Genet.7:13,1994;Lonberg et al.,Nature 368:856,1994;Taylor et al.,Int.Immun.6:579,1994;米国特許第5,877,397号;Bruggemann et al.,1997 Curr.Opin.Biotechnol.8:455−58;Jakobovits
et al.,1995 Ann.N.Y.Acad.Sci.764:525―35により記載される。この技術において、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座の要素は、内因性重鎖および軽鎖遺伝子座の標的破壊を含む胚幹細胞株に由来する系統のマウスに導入される(Bruggemann et al.,Curr.Opin.Biotechnol.8:455―58(1997)も参照)。例えば、ヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、酵母人工染色体上のミニ遺伝子構築物または導入遺伝子座であり得て、マウスリンパ系組織におけるB−細胞特異的DNAの再配列および超変異を受ける。完全ヒトモノクローナル抗体は、トランスジェニックマウスに免疫を与えることにより得られ得て、次いで、アクチビンAに対して特異的なヒト抗体を生成し得る。免疫されたトランスジェニックマウスのリンパ細胞は、本明細書に記載される方法に従い、ヒト抗体分泌ハイブリドーマを生成するために、使用され得る。また、完全ヒト抗体を含むポリクローナル血清が、免疫動物の血液から得られ得る。
【0172】
本発明のヒト抗体を生成するための他の方法は、EBV形質転換によりヒト末梢血液細胞を不死化するステップを含む。例えば、米国特許第4,464,456号を参照。アクチビンAと特異的に結合するモノクローナル抗体を生成する、そのような不死化B−細胞株(またはリンパ芽球様細胞)は、本明細書に提供されるような免疫検出法、例えば、ELISAにより識別され得て、次いで、標準的なクローニング技術により単離され得る。抗アクチビンA抗体を生成するリンパ芽球様細胞の安定性は、当技術分野で既知の方法に従い、マウス−ヒトハイブリッド細胞株を生成するために、マウス骨髄腫と形質転換細胞株を融合させることにより、改善され得る(例えば、Glasky et al.,Hybridoma 8:377―89(1989)を参照)。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのさらに別の方法は、生体外免疫であり、ヒトアクチビンAを有するヒト脾臓B−細胞を感作するステップ、続いて、感作B−細胞のヘテロハイブリッド融合パートナーとの融合を含む。例えば、Boerner et al.,1991 J.Immunol.147:86―95を参照。
【0173】
ある実施形態においては、抗ヒトアクチビンA抗体を生成しているB−細胞が選択され、軽鎖および重鎖可変領域は、当技術分野で既知であり(WO92/02551;米国特許第5,627,052号;Babcook et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:7843−48(1996))、かつ本明細書に記載される分子生物学的技術に従い、B−細胞からクローン化される。免疫動物からのB−細胞は、アクチビンAと特異的に結合する抗体を生成している細胞を選択することにより、脾臓、リンパ節、または末梢血サンプルから単離され得る。また、B−細胞は、ヒトから、例えば、末梢血サンプルから単離され得る。例えば、プラーク形成、蛍光活性化細胞選別、生体外刺激、続いて、特異的抗体の検出等による、望ましい特異性を有する抗体を生成している単一B−細胞を検出するための方法は、当技術分野で周知である。特異的抗体生成B−細胞の選択方法は、例えば、ヒトアクチビンAを含む軟寒天における、B−細胞の単一細胞懸濁液を調製するステップを含む。B−細胞により生成される特異的抗体の抗原との結合は、複合体の形成をもたらし、免疫沈降物として可視であり得る。望ましい抗体を生成するB−細胞が選択された後、特異的抗体遺伝子は、当技術分野で既知であり、かつ本明細書に記載される方法に従い、DNAまたはmRNAを単離および増幅することにより、クローン化され得る。
【0174】
本発明の抗体を得るためのさらなる方法は、ファージディスプレイによる。例えば、Winter et al.,1994 Annu.Rev.Immunol.12:433−55;Burton et al.,1994 Adv.Immunol.57:191―280を参照。ヒトまたはマウス免疫グロブリンの可変領域遺伝子組み合わせライブラリーは、TGFベータ結合タンパク質またはその変異形もしくは断片と特異的に結合する、Ig断片(Fab、Fv、sFv、またはその多量体)を選択するためにスクリーニングされ得る、ファージベクターにおいて生成され得る。例えば、米国特許第5,223,409号;Huse et al.,1989 Science 246:1275―81;Sastry et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
86:5728―32(1989);Alting−Mees et al.,Strategies in Molecular Biology 3:1―9(1990);Kang et al.,1991 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4363―66;Hoogenboom et al.,1992 J.Molec.Biol. 227:381―388;Schlebusch et al.,1997 Hybridoma 16:47―52、およびそれらに挙げられる参考文献を参照。例えば、Ig可変領域断片をコードする複数のポリヌクレオチド配列を含むライブラリーは、ファージコートタンパク質をコードする配列とフレーム状態にある、M13またはその変異形等の糸状バクテリオファージのゲノムに挿入され得る。融合タンパク質は、軽鎖可変領域ドメインおよび/または重鎖可変領域ドメインとの、コートタンパク質の融合であり得る。また、特定の実施形態に従い、免疫グロブリンFab断片は、ファージ粒子上にディスプレイされ得る(例えば、米国特許第5,698,426号を参照)。
【0175】
また、重鎖および軽鎖免疫グロブリンのcDNA発現ライブラリーは、例えば、λlmmunoZap(登録商標)(H)およびλImmunoZap(登録商標)(L)ベクター(Stratagene,La Jolla,California)を使用するラムダファージにおいて、調製され得る。手短に言えば、mRNAは、細胞集団から単離され、λImmunoZap(H)およびλImmunoZap(L)ベクターにおいて、重鎖および軽鎖免疫グロブリンのcDNA発現ライブラリーを作成するために使用される。これらのベクターは、Fab断片または抗体を形成するために、個々にスクリーニングされ得るか、または共発現し得る(Huse et al.,(上記を参照)を参照;Sastry et al.,(上記を参照)も参照)。続いて、陽性プラークは、大腸菌からのモノクローナル抗体断片の高レベル発現を可能にする、非溶菌プラスミドに変換され得る。
【0176】
一実施形態においては、ハイブリドーマにおいて、対象となるモノクローナル抗体を発現する遺伝子の可変領域は、ヌクレオチドプライマーを使用して増幅される。これらのプライマーは、当業者により合成され得るか、または市販の源から購入され得る。(例えば、Stratagene(La Jolla,California)を参照し、それは、V
Ha、VH
b、V
Hc、V
Hd、C
H1、V
L、およびC
L領域に対するプライマーを含む、マウスおよびヒト可変領域に対するプライマーを販売する。)これらのプライマーは、重鎖または軽鎖可変領域を増幅するために使用され得て、次いで、ImmunoZAP(登録商標)HまたはImmunoZAP(登録商標)L(Stratagene)にそれぞれ挿入され得る。次いで、これらのベクターは、発現のために、大腸菌、イースト、または哺乳動物系に導入され得る。V
HおよびV
Lドメインの融合を含む、大量の1本鎖タンパク質は、これらの方法を使用して生成され得る(Bird et al.,Science 242:423―426,1988を参照)。
【0177】
一度本発明に従った抗体を生成する細胞が、上記の免疫および他の技術のいずれかを使用して得られると、特異的抗体遺伝子は、本明細書に記載されるような標準的な手順に従い、そこからDNAまたはmRNAを単離および増幅することにより、クローン化され得る。そこから生成される抗体は、配列され得て、CDRは、識別され、CDRに対するDNAコードは、本発明に従った他の抗体を生成するために、前述のように操作され得る。
【0178】
本発明のアクチビンA結合剤は、好ましくは、本明細書に記載される細胞に基づいたアッセイ、および/もしくは本明細書に記載される生体内アッセイにおいて、アクチビンA作用を調整し、および/または本明細書に記載されるシステインノットドメインのうちの1つ以上と結合し、および/または本出願に記載される抗体のうちの1つの結合をクロスブロックし、および/または本出願に記載される抗体のうちの1つにより、アクチビンAを結合することからクロスブロックされる。したがって、そのような結合剤は、本明細書に記載されるアッセイを使用して識別され得る。
【0179】
ある実施形態においては、抗体は、最初に、本明細書に提供されるシステインノットドメインの1つ以上と結合する抗体を識別することにより生成され、および/または本明細書に記載される細胞に基づいた、および/もしくは本出願に記載される生体内アッセイにおいて中和し、および/または本出願に記載される抗体をクロスブロックし、および/または本出願に記載される抗体のうちの1つにより、アクチビンAを結合することからクロスブロックされる。次いで、これらの抗体からのCDR領域は、アクチビンA結合剤を生成するために、適切な生体適合性フレームワークに挿入するために使用される。結合剤の非CDR部分は、アミノ酸から成り得るか、または非タンパク質分子であり得る。本明細書に記載されるアッセイは、結合剤の特徴付けを可能にする。好ましくは、本発明の結合剤は、本明細書に定義されるような抗体である。
【0180】
抗体等の一部のタンパク質が、様々な翻訳後修飾を受け得ることは、当業者には理解されるであろう。これらの修飾の種類および程度は、タンパク質を発現するために使用される宿主細胞株、ならびに培養条件による場合が多い。そのような修飾は、グリコシル化、メチオニン酸化、ジケトピペラジン形成、アスパラギン酸塩異性化、およびアスパラギン脱アミドの変化を含み得る。よく見られる修飾は、カルボキシペプチダーゼの作用による、カルボキシ末端塩基性残基(リジンまたはアルギニン等)の損失である(Harris,R.J.Journal of Chromatography 705:129―134,1995に記載されるような)。
【0181】
核酸
一実施形態において、本発明は、単離された核酸分子を提供する。核酸は、例えば、抗原結合タンパク質の全てまたは一部をコードするポリヌクレオチド、例えば、本発明の抗体の1つの鎖または両方の鎖、もしくは断片、誘導体、変異タンパク質、またはそれらの変異形、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定、解析、変異または増幅するためのハイブリダイゼーションプローブ、PCRプライマまたは配列決定プライマとしての使用に十分なポリヌクレオチドと、ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸と、上記の相補的配列とを含む。核酸は、任意の長さであることができる。それらは、例えば、長さが5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1,000、1,500、3,000、5,000ヌクレオチド以上であることができ、および/または1つ以上の付加的配列、例えば、調節配列を含むことができ、および/またはより大きな核酸、例えば、ベクターの一部であることができる。核酸は、1本鎖または2本鎖であることができ、RNAおよび/またはDNAヌクレオチド、ならびにそれらの人工変異形(例えば、ペプチド核酸)を含むことができる。
【0182】
抗体ポリペプチド(例えば、重もしくは軽鎖、可変ドメインのみ、または全長)をコードする核酸は、アクチビンAで免疫されたマウスのB細胞から単離されてもよい。核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)等の従来の手順によって単離されてもよい。
【0183】
重および軽鎖可変領域の可変領域をコードする核酸を上に示す。当業者は、遺伝暗号の縮退のために、本明細書に開示したそれぞれのポリペプチド配列が、多数の他の核酸配列によってコードされることを理解されたい。本発明は、本発明の各抗原結合タンパク質をコードするそれぞれの縮退したヌクレオチド配列を提供する。
【0184】
本発明は、特定のハイブリダイゼーション条件下で、他の核酸(例えば、A1−A14のいずれからのヌクレオチド配列を含む核酸)とハイブリダイズする核酸をさらに提供する。核酸をハイブリダイズする方法は、当技術分野において既知である。例えば、Curr.Prot.in Mol.Biol.,John Wiley&Sons,N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6を参照。本明細書で定義するように、適度に厳密なハイブリダイゼーション条件は、5Xナトリウム塩化物/ナトリウムクエン酸塩(SSC)、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)を含有する予洗溶液、約50%ホルムアミド、6X SSC、および55℃のハイブリダイゼーション温度のハイブリダイゼーション緩衝液(または42℃のハイブリダイゼーション温度で、約50%ホルムアミドを含有するもの等の他の同様のハイブリダイゼーション溶液)、ならびに0.1%SDS、0.5X SSC中60℃の洗浄条件を使用する。厳密なハイブリダイゼーション条件は、45℃の6X SSC中でハイブリダイズし、続いて、68℃の0.1X SSC、0.2%SDS中で1回以上洗浄する。さらに、当業者は、互いに少なくとも65、70、75、80、85、90、95、98または99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸が、一般的には互いにハイブリダイズされたままとなるように、ハイブリダイゼーションの厳密性を減少または増加させるために、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を操作することができる。ハイブリダイゼーション条件および好適な条件を考案するための指針の選択に影響する基本パラメータは、例えば、Sambrook,Fritsch,and Maniatis(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,chapters 9 and 11;およびCurr.Prot.in Mol.Biol.1995,Ausubel et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,sections 2.10 and 6.3−6.4)に記載され、例えば、DNAの長さおよび/または塩基組成に基づいて、当業者によって容易に決定されることができる。
【0185】
変化は、核酸への変異によって導入されることができ、それによって、コードするポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質)のアミノ酸配列において変化を引き起こす。変異は、当技術分野においては既知の任意の技術を使用して導入されることができる。一実施形態において、1つ以上の特定のアミノ酸残基は、例えば、部位特異的突然変異誘発プロトコルを使用して変化する。別の実施形態において、1つ以上のランダムに選択した残基は、例えば、ランダム突然変異誘発プロトコルを使用して変化する。しかしながら、変異体ポリペプチドは、所望の特性(例えば、アクチビンAと結合する)に対して発現またはスクリーニングされることができるものとする。
【0186】
変異は、コードするポリペプチドの生物活性を著しく変化させることなく、核酸に導入されることができる。例えば、非必須アミノ酸残基でのアミノ酸置換に繋がるヌクレオチド置換をもたらすことができる。一実施形態において、A1〜A14に関して本明細書で提供したヌクレオチド配列、もしくは所望の断片、変異形、またはそれらの誘導体は、2つ以上の配列が異なる残基であるA1〜A14に関して本明細書で示すアミノ酸残基の1つ以上の欠失または置換を含むアミノ酸配列をコードするように変異する。とりわけ、本明細書で記述するA1〜A14は、14の配列、A1、およびA14、ならびに12の介在アミノ酸残基を言う。別の実施形態において、突然変異誘発は、2つ以上の配列が異なる残基であるA1〜A14に関して本明細書で示す1つ以上のアミノ酸残基に隣接するアミノ酸を挿入する。あるいは、1つ以上の変異は、コードするポリペプチドの生物活性(例えば、アクチビンAの結合)を選択的に変化させる核酸に導入されることができる。例えば、変異は、生物活性を量的にまたは質的に変化させることができる。量的変化の例は、活性を増加させる、減少させるまたは除去することを含む。質的変化の実施形態は、抗原結合タンパク質の抗原特異性を変化させることを含む。
【0187】
別の実施形態において、本発明は、本発明の核酸配列を検出するためのプライマまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに好適な核酸分子を提供する。本発明の核酸分子は、本発明の全長ポリペプチドをコードする核酸配列の一部のみを、例えば、プローブもしくはプライマとして使用することができる断片または本発明のポリペプチドの活性部分(例えば、アクチビンA結合部分)をコードする断片を含むことができる。
【0188】
本発明の核酸の配列に基づくプローブは、核酸または類似核酸、例えば、本発明のポリペプチドをコードする転写物を検出するために使用することができる。プローブは、例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素補助因子等の標識群を含むことができる。そのようなプローブは、ポリペプチドを発現する細胞を同定するために使用することができる。
【0189】
別の実施形態において、本発明は、本発明のポリペプチドまたはその一部をコードする核酸を含むベクターを提供する。ベクターの例は、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳類ベクター、および発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターを含むがこれらに限定されない。
【0190】
本発明の組み換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に好適な形で本発明の核酸を含むことができる。組み換え発現ベクターは、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択される1つ以上の調節配列を含み、これは発現される核酸配列に操作可能に連結する。調節配列は、多くの種類の宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を制御するもの(例えば、SV40初期遺伝子エンハンサ、ラウス肉腫ウイルスプロモータおよびサイトメガロウイルスプロモータ)、特定の宿主細胞のみにおけるヌクレオチド配列の構成的発現を制御するもの(例えば、組織特異的調節配列。参照によりそれら全体が本願明細書に組み込まれる、Voss et al.,1986,Trends Biochem.Sci.11:287,Maniatis et al.,1987,Science 236:1237を参照のこと。)、および特定の治療または状態に応じて、ヌクレオチド配列の誘導性発現を制御するもの(例えば、哺乳類細胞におけるメタロチオニンプロモータならびに原核細胞および真核細胞系の両方におけるtet−応答性および/またはストレプトマイシン応答性プロモータ(同上参照)を含む。当業者は、発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等というかかる要因に依存し得ることを理解されたい。本発明の発現ベクターは、それによって、本明細書に記述するような核酸によってコードされる融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチドを生成するために、宿主細胞に導入することができる。
【0191】
別の実施形態において、本発明は、本発明の組み換え発現ベクターが導入された宿主細胞を提供する。宿主細胞は、任意の原核細胞(例えば、大腸菌)または真核細胞(例えば、酵母、昆虫、もしくは哺乳類細胞(例えば、CHO細胞))であることができる。ベクターDNAは、従来の形質転換または形質移入技術を介して、原核または真核細胞に導入されることができる。哺乳類細胞の安定な形質移入では、発現ベクターおよび使用する形質移入技術に応じて、ごくわずかな細胞が外来DNAをそれらのゲノムに組み込み得ることが知られている。これらの組み込みを同定および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質耐性のための)は、概して、関心遺伝子とともに宿主細胞に導入される。好適な選択可能なマーカーは、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサート等の薬物耐性を与えるものを含む。核酸を安定に形質移入された細胞は、他の方法の中でも特に、薬物選択(例えば、他の細胞は死滅するが、選択可能なマーカー遺伝子を取り込んだ細胞は生存する)によって同定することができる。
【0192】
効能
一実施形態において、本発明は、対象を治療する方法を提供する。例えば、方法は、概して、対象の健康に有益な効果があり、例えば、対象の予期される寿命を増加させる。あるいは、方法は、例えば、疾病、疾患、状態、または病気(「状態」)を治療、予防、治癒、軽減、または回復(「治療する」)することができる。本発明に従って治療される状態は、不適切な発現またはアクチビンAの活性を特徴とする。一部のかかる状態においては、発現または活性レベルが高過ぎ、治療には、本明細書に記述するようなアクチビンAアンタゴニストを投与することを含む。
【0193】
本発明の方法および組成物を使用して治療されることができる状態の種類の一例は、細胞増殖、例えば、悪液質を伴う癌性状態に関わる状態である。したがって、一実施形態において、本発明は、癌性状態を治療するための組成物および方法を提供する。具体的には、癌性状態は、卵巣および精巣の腫瘍を含む生殖腺癌である。(Fujii,Y.et al.,Am.J.Phys.Endocrin.Metab.,286:E927−E931,2004;Reis,F.M.et al.,J.Clin.Endocrin.87:2277−2282,2005)。アクチビンAは、脳下垂体においてFSH生合成および分泌を刺激するその作用で知られており、ならびに生殖腺機能の調節において生理的役割を有する。アクチビンAは、多くの種類のヒト癌と、具体的には、生殖器系の腫瘍と関連している。特に、アクチビンAの過剰発現または調節解除は、卵巣癌(Menon U,et al.,BJOG:An International Journal of Obstetrics&Gynaecology;107(9):1069−74,2000.Choi KC,et al.,Molecular&Cellular Endocrinology.174(1−2):99−110,2001;Zheng W,et al.,American Journal of Reproductive Immunology.44(2):104−13,2000;Lambert−Messerlian GM,et al.,Gynecologic Oncology.74(1):93−7,1999;Steller MD,et al.,Molecular Cancer Research:MCR.3(1):50−61,2005;Corbellis L.,et al.,Journal of the Society for Gynecologic Investigation.11(4):203−6,2004;Welt CK,et al.,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism.82(11):3720−7,1997;およびHarada K.,et al.,Journal of Clinical Endocrinology&Metabolism.81(6):2125−30,1996,endometrial adenocarcinoma Otani,T,et a.,Gynecologic Oncology.83(1):31−8,2001;Tanaka T,et al.,International Journal of Oncology.23(3):657−63,2003および前立腺癌(Thomas TZ,et al.,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism.82(11):3851−8,1997;Zhang,Z,et al.,Biochemical&Biophysical Research Communications.234(2):362−5,1997;およびRisbridger GP,et al.,Molecular&Cellular Endocrinology.180(1−2):149−53,2001に関与している。
【0194】
癌性状態は、本明細書に含まれる組成物、例えば、抗アクチビンA抗体、抗体断片、または抗体誘導体等のアクチビンA抗原結合タンパク質を使用して治療されることができる任意の癌性状態であることができる。癌性状態の例としては、例えば、急性リンパ性白血病、副腎皮質癌、エイズ関連癌、エイズ関連リンパ腫、肛門癌、小児小脳星細胞腫、小児大脳星細胞腫、基底細胞癌、肝外胆管癌、膀胱癌、骨肉腫/悪性線維性組織球腫骨癌、脳腫瘍(例えば、脳幹神経膠腫、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視覚路および視床下部膠腫)、乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、胃腸カルチノイド腫瘍、原発不明細胞腫、原発性中枢神経系、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、子宮頚癌、小児癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、ユーイング腫瘍,頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼内黒色腫眼癌、網膜芽細胞腫眼癌、胆嚢癌、胃癌、胃腸カルチノイド腫瘍、胚細胞性腫瘍(例えば、頭蓋外、性腺外、および卵巣)、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫(例えば、成人、小児脳幹、小児大脳星細胞腫、小児視覚路および視床下部)、ヘアリー細胞白血病、頭頚部癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、視床下部および視覚路神経膠腫、眼球内黒色腫、膵島細胞腫(膵島)、カポジ肉腫、腎臓(腎細胞)癌,喉頭癌、白血病(例えば、急性リンパ性、急性骨髄性、慢性リンパ性、慢性骨髄性、およびヘアリー細胞)、口唇および口腔癌、肝癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、リンパ腫(例えば、エイズ関連、バーキット、皮膚T細胞性、ホジキン、非ホジキン、および原発性中枢神経系)、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、骨/骨肉腫の悪性線維性組織球腫、髄芽腫、黒色腫、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、原発不明の転移性頸部扁平上皮癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵癌、膵島細胞癌、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫、松果体芽腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫,胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞(腎臓)癌、腎盂および尿管移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、軟部肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、非黒色腫皮膚癌、メルケル細胞皮膚癌、小腸癌,軟部肉腫、扁平上皮癌、皮膚T細胞リンパ腫、精巣癌、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺癌、妊娠性絨毛腫瘍、原発部位不明細胞腫、原発部位不明の癌、尿道癌、子宮内膜子宮癌,子宮肉腫、腟癌、視覚路および視床下部膠腫、外陰癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0195】
オリゴペプチドまたはポリペプチドは、CDRの抗体A1〜A14の少なくとも1つと、および/またはアクチビンAとの少なくとも1つの抗体A1〜A14の結合をクロスブロックし、および/または少なくとも1つの抗体A1〜A14によって、アクチビンAとの結合からクロスブロックされるアクチビンA結合剤のCDRと、および/または結合剤がアクチビンA受容体とのアクチビンAの結合をブロックすることができるアクチビンA結合剤のCDRと、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有する場合には、本発明の範囲内にある。
【0196】
アクチビンA結合剤ポリペプチドおよび抗体は、少なくとも1つの抗体A1〜A14の可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である、およびアクチビンAとの少なくとも1つの抗体A1〜A14の結合をクロスブロックする、および/または少なくとも1つの抗体A1〜A14によって、アクチビンAとの結合からクロスブロックされる、および/またはアクチビンA受容体へのアクチビンAの抑制効果をブロックすることができる、アミノ酸配列を有する場合には、本発明の範囲内にある。
【0197】
約C11〜S33(第1のループ)および約C81〜E111(第2のループ)の領域内の配列が、未変性アクチビンAの立体構造を保持する無傷アクチビンAと特異的に結合する治療抗体が使用されてもよい。かかるマッピングおよび結合を、下記の実施例6に記述する。
【0198】
本発明による抗体は、1x10
−7M以下、1x10
−8M以下、1x10
−9M以下、1x10
−10M以下、1x10
−11M以下、1x10
−12M以下のヒトアクチビンAへの結合親和性を有してもよい。
【0199】
抗体または結合パートナの親和性、ならびに抗体が結合を抑制する程度は、例えば、Scatchard et al.(Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660−672(1949))または表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance:SPR、BIAcore,Biosensor,Piscataway,NJ)に記載されるもの等の従来の技術を使用して、当業者により判定されることができる。表面プラズモン共鳴では、標的分子は、固相上に固定化され、フローセルに沿って移動する移動相中のリガンドに暴露される。固定化された標的と結合する配位子が生じる場合、局所屈折率は変化して、SPR角度における変化を導き、これは反射光の輝度における変化を検出することによって、リアルタイムで監視することができる。SPRシグナルの変化率は、結合反応の会合および解離相の明らかな速度定数を産出するために、解析することができる。これらの値の割合により、明らかな平衡定数(親和性)(例えば、Wolff et al.,Cancer Res.53:2560−65(1993)を参照)がもたらされる。
【0200】
本発明による抗体は、例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、またはIgA等の任意の免疫グロビンクラスに属してもよい。これは、動物、例えば、家禽(例えば、ニワトリ)およびマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、もしくは他のげっ歯類、雌ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ヒト、または他の霊長類を含むがこれらに限定されない哺乳類から得られてもよく、またはこれらに由来してもよい。抗体は、内在性抗体であってもよい。抗体の生成は、概して、米国特許公開第2004/0146888A1号に開示される。
【0201】
特徴付けアッセイ
新しいフレームワークおよび/または定常領域内への特異的A1〜A14CDRの操作を含む、本発明による抗体を産生する上記の方法において、所望の抗体を選択するために、適切なアッセイが利用可能である(つまり、アクチビンAへの結合親和性を決定するためのアッセイ、クロスブロッキングアッセイ、Biacoreに基づく競合結合アッセイ、生体内アッセイ)。
【0202】
治療方法および抗原結合タンパク質の投与
本明細書に提供した特定の方法は、対象にアクチビンA結合抗原結合タンパク質を投与し、それによって、特定の状態に影響するアクチビンA誘発の生物学的反応を減少させることを含む。特定の実施形態において、本発明の方法は、例えば、対象への投与または体外手順を介して、内在性アクチビンAを、アクチビンA結合抗原結合タンパク質と接触させることを含む。
【0203】
「治療」という用語は、少なくとも1つの症状もしくは疾患の他の側面の軽減もしくは予防、または疾患重症度の減少等を包含する。さらに、「治療」は、それを必要としている対象における少なくとも1つの症状または疾患の他の側面を予防するまたは軽減するための、本明細書に記述した治療薬を投与することにさらに関する。抗原結合タンパク質は、実行可能な治療薬を構成するために、全治を達成する必要がなく、またはあらゆる症状または疾病の徴候を根絶する必要はない。関連分野において認識されるように、治療薬として用いられる薬物は、一定の病状の重症度を減少させ得るが、有用な治療薬と見なさられるように疾病のあらゆる徴候をなくす必要はない。同様に、予防的に投与された治療は、実行可能な予防薬を構成するために、状態の発症を予防するのに完全に有効である必要はない。単に疾病の影響を減少させること(例えば、その症状の数もしくは重症度を減少させることによって、または別の治療の有効性を増加させることによって、あるいは別の有益な効果を生成することによって)、または疾病が、対象において生じるもしくは悪化する可能性を減少させることで十分である。本発明の一実施形態は、特定の疾患の重症度に反映する指標のベースラインにわたって持続的改善を誘発するのに十分な量および時間で、アクチビンAアンタゴニストを患者に投与することを含む方法に関する。
【0204】
関連分野において理解されるように、本発明の分子を含む医薬組成物は、効能に適切である方法で、それを必要としている対象に投与される。医薬組成物は、非経口的に、局所的に、または吸入によるものを含むがこれらに限定されない好適な技術により投与されてもよい。注射される場合、医薬組成物は、例えば、関節内、静脈内、筋肉内、病巣内、腹腔内もしくは皮下経路、ボーラス注入により、または持続点滴を介して投与することができる。例えば、疾病または傷害の部位での限局性投与は、移植片からの経皮的送達および徐放として検討する。吸入による送達は、例えば、鼻孔もしくは経口吸入、噴霧器の使用、エアロゾル形態でのアンタゴニストの吸入等を含む。他の代替案は、点眼と、丸剤、シロップ、トローチ剤またはチューインガムを含む経口用剤と、ローション、ゲル、噴霧、および軟膏等の局所用製剤と、を含む。
【0205】
また、体外手順における抗原結合タンパク質の使用も検討する。例えば、患者の血液または他の体液は、全長アクチビンA、1つ以上のアクチビンAアイソフォーム、または体外の他の部分長アクチビンAを結合する抗原結合タンパク質と接触してもよい。抗原結合タンパク質は、好適な不溶性マトリックスまたは固形支持材料と結合されてもよい。
【0206】
効果があるように、抗原結合タンパク質は、生理学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈液等の1つ以上の付加的な構成要素を含む組成物の形で投与される。任意で、組成物は、例えば、第2のアクチビンA受容体阻害物質、抗血管新生物質、化学療法物質、鎮痛物質等の1つ以上の生理学的に活性な薬剤を付加的に含み、それらの非排他的な実施例を本明細書に提供する。種々の特定の実施形態において、組成物は、アクチビンA結合抗原結合タンパク質に加えて、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの生理学的に活性な薬剤を含む。
【0207】
一実施形態において、医薬組成物は、緩衝液、アスコルビン酸等の抗酸化剤、低分子量ポリペプチド(10未満のアミノ酸を有するもの等)、タンパク質、アミノ酸、グルコース、スクロースまたはデキストリン等の炭水化物、EDTA等のキレート薬、グルタチオン、安定剤、および賦形剤から成る群から選択される1つ以上の物質と一緒に、本発明の抗原結合タンパク質を含む。中性緩衝生理食塩水または同種血清アルブミンと混合された生理食塩水は、適切な希釈液の例である。適切な業界標準に従って、ベンジルアルコール等の保存料が添加されてもよい。組成物は、希釈液としての適切な賦形剤溶液(例えば、スクロース)を使用して、凍結乾燥物として処方されてもよい。好適な構成要素は、用いられる投与量および濃度で受取人に無害である。製剤処方において用いられてもよい構成要素のさらなる例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16
th Ed.(1980)and 20
th Ed.(2000),Mack Publishing Company,Easton,PAに提示する。
【0208】
医療施術者によって使用されるキットは、本発明の抗原結合タンパク質および本明細書で検討される任意の状態を治療するために用いる標識または他の指示を含む。一実施形態において、キットは、上記のような組成物の形であってもよく、1つ以上のバイアル中にあってもよい1つ以上の抗原結合タンパク質の無菌調製品を含む。
【0209】
投与量および投与頻度は、投与経路、用いられる特定の抗原結合タンパク質、治療される疾病の性質および重症度、状態が急性または慢性であるかどうか、ならびに対象のサイズおよび全身症状等の要因に従って異なってもよい。適切な投与量は、関連技術、例えば、用量増加研究を伴い得る臨床治験においては既知の手順によって決定されることができる。
【0210】
例えば、本発明の抗原結合タンパク質は、1回または1回より多く、例えば、長期にわたり一定の間隔で投与されてもよい。特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、少なくとも1ヶ月以上の期間にわたって、例えば、1ヶ月、2ヶ月、もしくは3ヶ月、またはさらに無期限の間投与される。慢性症状を治療するためには、長期治療が、概して最も効果的である。しかしながら、急性症状を治療するためには、より短い期間、例えば、1から6週間の投与が十分であり得る。概して、抗原結合タンパク質は、患者が、選択した指標に関するベースラインにわたって、医学的に関連性のある程度の改善を顕在化するまで投与される。
【0211】
本発明の特定の実施形態は、1日当たりおよび対象の体重のkg当たり約1ngの抗原結合タンパク質(「1ng/kg/日」)から約10mg/kg/日、より好ましくは約500ng/kg/日から約5mg/kg/日、最も好ましくは5μg/kg/日から約2mg/kg/日の投与量で、抗原結合タンパク質を対象に投与することを含む。付加的な実施形態において、抗原結合タンパク質は、アクチビンA介在性疾病、状態または疾患、例えば、本明細書に開示した内科的疾患を治療するために、週1回、週2回、または週3回以上成人に投与される。注射される場合、成人用量当たりの有効量の抗原結合タンパク質は、1〜20mg/m
2の範囲であってもよく、好ましくは約5〜12mg/m
2である。あるいは、固定用量が投与されてもよく、量は5〜100mg/用量の範囲であってもよい。固定用量の一範囲は、用量当たり約20〜30mgである。本発明の一実施形態において、25mg/用量の固定用量は、注射によって繰り返し投与される。注射以外の投与経路が使用される場合、用量は、標準医療行為に従って調整される。治療投与計画の一例は、所望の程度の改善を誘発するためには、より長い期間の治療が必要な場合があるが、少なくとも3週間の期間にわたって、約20〜30mgの用量の抗原結合タンパク質を注射することを含む。小児対象(年齢4〜17歳)では、1つの例示的かつ好適な計画は、週2または3回投与される、最大用量25mgまでの0.4mg/kgの抗原結合タンパク質の皮下注射を含む。
【0212】
本明細書に提供した方法の特定の実施形態は、週1または2回、0.5mgから10m、好ましくは3から5mgの抗原結合タンパク質の皮下注射を含む。別の実施形態は、週1回3mg以上の抗原結合タンパク質の肺内投与(例えば、噴霧器により)に関する。
【0213】
本明細書に提供した治療投与計画の例は、アクチビンAシグナル伝達が影響を与える状態を治療するために、週1回1.5から3mgの用量での抗原結合タンパク質の皮下注射を含む。そのような状態の例を本明細書に提供し、例えば、悪液質、癌、関節リウマチ、および体重、体質量、体脂肪の減少、または体重、体質量、体脂肪を維持できないことが影響を及ぼす全ての状態を含む。抗原結合タンパク質の毎週の投与は、所望の結果が達成されるまで、例えば、対象の症状が鎮静するまで継続される。治療は必要に応じて再開されてもよく、または、代替的に、維持量が投与されてもよい。
【0214】
本明細書に提供した治療投与計画の他の例は、対象のキログラム体質量当たり1、3、5、6、7、8、9、10、11、12、15、または20ミリグラムの用量の本発明のアクチビンA阻害剤の皮下または静脈内投与を含む(mg/kg)。用量は、対象に1回、または一定の間隔で、例えば、1日1回、週3回、週2回、週1回、月3回、月2回、月1回、2ヶ月ごとに1回、3ヶ月ごとに1回、6ヶ月ごとに1回、もしくは年1回投与されることができる。治療の持続時間、ならびに治療の用量および/または頻度への任意の変化は、対象の特定のニーズを満たすために、治療経過中に変更される、または異なることができる。
【0215】
別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、治療されている疾患の重症度を反映する少なくとも1つの指標において改善を、好ましくは持続性改善を誘発するのに十分な量または時間で対象に投与される。対象の病気、疾病または状態の程度を反映する種々の指標は、治療の量および時間が十分であるかどうかを判定するために評価されてもよい。そのような指標は、例えば、問題の疾患の疾患重症度、症状、または徴候の臨床的に認識される指標を含む。一実施形態において、改善は、対象が、2週から4週で区切られる少なくとも2回の機会で改善を呈する場合に、持続性であると見なされる。改善の程度は、概して、兆候、症状、生検、または他の試験結果に基づいて決定を下すことができ、また、所定の疾病のために開発された生活の質アンケート等の、対象に投与されるアンケートを用いることができる医師によって決定される。
【0216】
アクチビンAの対象のレベルは、もしあれば、それらのレベルの変化を検出するために、抗原結合タンパク質での治療前、その間および/またはその後に監視されてもよい。一部の疾患では、アクチビンAレベルの上昇の発生率は、疾病の段階または疾病の特定の形等の要因に従って異なってもよい。既知の技術は、例えば、対象の血清におけるアクチビンAレベルを測定するために用いられてもよい。血液試料中のアクチビンAレベルは、任意の好適な技術、例えば、ELISAを使用して測定されてもよい。
【0217】
本発明の方法および組成物の特定の実施形態は、抗原結合タンパク質の使用および1つ以上の付加的なアクチビンAアンタゴニスト、例えば、2つ以上の本発明の抗原結合タンパク質、または本発明の抗原結合タンパク質および1つ以上の他のアクチビンAアンタゴニストを含む。さらなる実施形態において、抗原結合タンパク質は、単独でまたは患者が苦しんでいる状態を治療するのに有用な他の薬剤との組み合わせで投与される。そのような薬剤の例は、タンパク質性および非タンパク質性薬物の両方を含む。多数の治療法が同時投与される場合、投与量は、関連技術において認識されるように、それに応じて調整されてもよい。「同時投与」および併用療法は、同時に行う投与に限定されず、抗原結合タンパク質が、少なくとも1つの他の治療薬を患者に投与することを含む治療経過中に少なくとも1回投与される治療投与計画もまた含む。
【0218】
抗原結合タンパク質とともに同時投与されてもよい他の薬剤の例は、治療される特定の状態に従って選択される他の抗原結合タンパク質または治療的ポリペプチドである。あるいは、上記の特定の状態のうちの1つを治療するのに有用な非タンパク質性薬物は、アクチビンAアンタゴニストとともに同時投与されてもよい。
【0219】
併用療法
別の実施形態において、本発明は、アクチビンA阻害抗原結合タンパク質および1つ以上の他の治療で対象を治療する方法を提供する。一実施形態において、そのような併用療法は、例えば、多部位または腫瘍中の分子標的を攻撃することによって、相乗作用または相加効果を達成する。本発明に関連して使用することができる併用療法の種類は、単一の疾患関連経路内の多数の結節、標的細胞内の複数の経路、および標的組織(例えば、腫瘍内)内の複数の細胞型を阻害または活性化(必要に応じて)することを含む。例えば、本発明のアクチビンA阻害剤は、アポトーシスを促進または血管新生を阻害する治療と組み合わせることができる。別の実施形態において、標的薬剤は、単独で治療的に所望の効果を引き出すことができない場合、例えば、癌細胞を感作するまたは他の薬剤の治療効果を増大させるために使用され得る。別の実施形態において、本発明によるアクチビンA阻害剤は、細胞障害性薬物またはアポトーシスを誘発する他の標的薬剤との組み合わせで使用される。別の実施形態において、アクチビンA阻害剤は、細胞生存(例えば、PKB、mTOR)に関与する異なる標的、異なる受容体チロシンキナーゼ(例えば、ErbB1、ErbB2、c−Met、c−kit)、または異なる細胞型(例えば、KDR阻害剤、c−fms)を阻害する1つ以上の薬剤との組み合わせで使用される。別の実施形態において、本発明のアクチビンA阻害剤は、特定の状態をケアする既存の基準に加えられる。治療薬の例は、ゲムシタビン、タキソール、タキソテール、およびCPT−11を含むがこれらに限定されない。
【0220】
別の実施形態において、該方法は、本明細書に記述した1つ以上のアクチビンAアンタゴニストおよび1つ以上の他の治療(例えば、治療または緩和療法)、例えば、抗癌治療(手術、超音波、放射線療法、化学療法、または別の抗癌剤での治療等)を投与することを含む。方法が1つより多い治療を対象に投与することを含む場合、投与の順序、タイミング、数、濃度、および量は、医学的要求および治療の制限によってのみ制限される、つまり、2つの治療は、例えば同時に、継続的に、交互に、または任意の他の投与計画に従って対象に投与することができることを理解されたい。本明細書に記述したアクチビンAアンタゴニストとの組み合わせで投与することができる薬剤の例は、好中球増加剤、イリノテカン、SN−38、ゲムシタビン、ハースタチン、もしくはアクチビンA結合ハースタチン誘導体(例えば、米国特許出願第05/0272637号に記載)、AVASTIN(登録商標)(Genentech、South San Francisco、CA)、HERCEPTIN(登録商標)(Genentech)、RITUXAN(登録商標)(Genentech)、ARIMIDEX(登録商標)(AstraZeneca、Wilmington、DE)、IRESSA(登録商標)(AstraZeneca)、BEXXAR(登録商標)(Corixa、Seattle、WA)、ZEVALIN(登録商標)(Biogen Idec、Cambridge、MA)、ERBITUX(登録商標)(Imclone Systems Inc.、New York、NY)、GEMZAR(登録商標)(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、CAMPTOSAR(登録商標)(Pfizer、New York、NY)、GLEEVEC(登録商標)(Novartis)、SU−11248(Pfizer)、BMS−354825(Bristol−Myers Squibb)、パニツムマブ(Abgenix、Fremont、CA/Amgen Inc.、Thousand Oaks、CA)、およびデノスマブ(Amgen Inc.、Thousand Oaks、CA)を含むがこれらに限定されない。
【0221】
例えば、皮下、経口、非経口、静脈内、鼻腔内、および筋肉内投与ならびに処方を含む、好適な投薬の開発および本明細書に記述した特定の組成物を使用するための治療投与計画は、当技術分野においては既知であり、それらの一部を、例証の一般的目的のために以下に簡潔に説明する。
【0222】
特定の用途において、本明細書に開示した医薬組成物は、経口投与を介して動物に送達されてもよい。したがって、これらの組成物は、不活性希釈液とともに、もしくは吸収可能な食用担体とともに処方されてもよく、またはそれらは殻の硬いもしくは殻の柔らかいゼラチンカプセル内に封入されてもよく、またはそれらは錠剤に圧縮されてもよく、またはそれらは食事の食物とともに直接取り入れられてもよい。
【0223】
特定の状況において、本明細書に開示した医薬組成物を、皮下に、非経口で、静脈内に、筋肉内に、またはさらに腹腔内に送達することが所望される。そのようなアプローチは当業者には既知であり、それらの一部は、例えば、米国特許第5,543,158号、米国特許第5,641,515号および米国特許第5,399,363号においてさらに説明される。特定の実施形態において、遊離塩基としての活性化合物の溶液または薬理学的に許容可能な塩は、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性物質と好適に混合された水中で調製されてもよい。また、分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中ならびに油中で調製されてもよい。保存および使用の通常の状態下で、これらの調剤は、微生物の増殖を防ぐために、一般的に特定の保存料を含有する。
【0224】
注入可能な使用に好適な例証的医薬品形態は、無菌水溶液もしくは分散液ならびに無菌の注入可能な溶液もしくは分散液の即時調製のための無菌粉末を含む(例えば、米国特許第5,466,468号を参照)。全ての場合において、該形態は、容易な注入可能性が存在する程度まで、無菌でなければならず、流体でなければならない。これは、製造および保存の条件下で安定性がなければならず、細菌および真菌等の微生物の汚染作用に対して保護されなければならいない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、好適なそれらの混合物、および/または植物油を含有する溶剤もしくは分散媒であることができる。適した流動性は、例えば、レシチン等の被覆の使用によって、分散の場合に必要な粒径を維持することによって、および/または界面活性物質の使用によって、維持されてもよい。微生物の作用の予防は、種々の抗細菌および抗真菌薬、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によって促進されることができる。多くの場合において、例えば、糖またはナトリウム塩化物等の等張剤を含むことが好適である。注入可能な組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤の組成物、例えば、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチン中の使用によりもたらすことができる。
【0225】
一実施形態において、水溶液中の非経口投与では、溶液は、必要な場合に好適に緩衝されるべきであり、液体希釈液は、十分な生理食塩水またはグルコースを用いて、まず等張の状態にされるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に好適である。これに関連して、用いることができる無菌水媒体は、本開示の観点から当業者には既知である。例えば、一投与量は、1mlの等張NaCl溶液中に溶解されてもよく、および1000mlの皮下注入流体に添加されるか、または点滴が提案される部位で注入されてもよい(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th ed.,pp.1035−1038 and 1570−1580を参照)。投与量のいくらかの変動は、治療される対象の状態に応じて必然的に生じる。さらに、ヒト投与では、調製は当然ながら、FDA Office of Biologics基準によって定められているような無菌、発熱性、ならびに一般的安全性および純度基準を好適に満たす。
【0226】
本発明の別の実施形態において、本明細書に開示した組成物は、中性または塩形態で処方されてもよい。例証的な薬剤的に許容可能な塩は、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)を含み、これは、例えば、塩酸もしくはリン酸等の無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸で形成される。また、遊離カルボキシル基で形成される塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄等の無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基から派生することもできる。処方後、溶液は、投与量処方に適合する方法でおよび治療的に有効な量等で投与される。
【0227】
担体は、任意のまたは全ての溶剤、分散媒、ビヒクル、被覆、希釈液、抗細菌および抗真菌薬、等張および吸収遅延薬剤、緩衝液、担体溶液、懸濁液、コロイド等をさらに含むことができる。医薬活性物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野において既知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合である限りを除いて、治療的組成物におけるその使用が検討される。また、補充性活性成分は、組成物に取り込むこともできる。「薬剤的に許容可能」という語句は、ヒトに投与される時に、アレルギーまたは同様の有害反応を生成しない分子的実体および組成物を言う。
【0228】
特定の実施形態において、リポソーム、ナノカプセル、微小粒子、脂質粒子、小胞等は、好適な宿主細胞/生物への本発明の組成物の導入のために使用される。具体的には、本発明の組成物は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノ球体、またはナノ粒子等に被包された送達のために処方されてもよい。あるいは、本発明の組成物は、そのような担体ビヒクルの表面と共有結合的にまたは非共有結合的に結合することができる。
【0229】
可能な薬物担体としてのリポソームおよびリポソーム様製剤の処方および使用は、概して、当技術分野において既知である(例えば、Lasic,Trends Biotechnol.16(7):307−21,1998;Takakura,Nippon Rinsho 56(3):691−95,1998;Chandran et al.,Indian J.Exp.Biol.35(8):801−09,1997;Margalit,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.12(2−3):233−61,1995;米国特許第5,567,434号、米国特許第5,552,157号、米国特許第5,565,213号、米国特許第5,738,868号および米国特許第5,795,587号を参照のこと。それぞれ参照することによりそれら全体が本願明細書に明確に組み込まれる。)。リポソームの使用は、全身性送達後の自己免疫反応または容認できない毒性と関連しないようである。特定の実施形態において、リポソームは、水媒体中に分散されるリン脂質から形成され、および多重膜同心円性二分子膜小胞(多重膜小胞(multilamellar vesicle:MLV)とも称される)を自発的に形成する。
【0230】
あるいは、他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物の薬剤的に許容可能なナノカプセル処方を提供する。ナノカプセルは、概して、好適および再現性のある方法で化合物を封入することができる(例えば、Quintanar−Guerrero et al.,Drug Dev.Ind.Pharm.24(12):1113−28,1998を参照)。細胞内重合体過負荷による副作用を回避するために、そのような超微粒子(約0.1μmのサイズ)は、生体内分解することができるポリマーを使用して設計されてもよい。そのような粒子は、例えば、Couvreur et al.,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.5(1):1−20,1988;zur Muhlen et al.,Eur.J.Pharm.Biopharm.45(2):149−55,1998;Zambaux et al.,J.Controlled Release 50(1−3):31−40,1998;および米国特許第5,145,684号に記載されるように生成することができる。
【0231】
さらに、本発明の医薬組成物は、かかる医薬組成物の使用に関する指示を提供する包装材料とともに容器内に配置されてもよい。概して、かかる指示は、試薬濃度、ならびに特定の実施形態においては、医薬組成物を再構成するために必要であり得る賦形剤成分または希釈液(例えば、水、生理食塩水またはPBS)の相対量を説明する有形の表現を含む。
【0232】
投与される用量は、体重の0.01mg/kgから100mg/kgの範囲に及んでもよい。当業者には明らかなように、投与の量および頻度は、当然ながら、治療される兆候の性質および重症度、所望の反応、患者の状態等の要因によって異なる。一般的には、組成物は、上述のような種々の技術により投与されてもよい。
【0233】
本発明は、本発明による少なくとも1つの抗アクチビンA結合剤を含む診断キットもまた提供する。結合剤は抗体であってもよい。さらに、そのようなキットは、以下の1つ以上を任意で含んでもよい。
【0234】
(1)スクリーニング、診断、予後、治療モニタリングまたはこれらの用途の任意の組み合わせに対して1つ以上の結合剤を使用するための指示、
(2)抗アクチビンA結合剤への標識結合パートナ、
(3)抗アクチビンA結合剤が固定化される固相(試薬紙等)、および
(4)スクリーニング、診断、予後、もしくは治療的使用またはそれらの任意の組み合わせに対する規制認可を示す標識または挿入。
結合剤への標識結合パートナが提供されない場合、結合剤自体を、1つ以上の検出可能なマーカー、例えば、化学発光、酵素、蛍光、または放射性部分で標識することができる。
【0235】
以下の実施例は、例証として提供し、限定を意図しない。
【実施例1】
【0236】
(実施例)
(実施例1)
アクチビンAの組み換え発現
馴化培地の限界濾過および透析濾過(UF/DF)。R−HuActivinAは、チャイニーズハムスター卵巣(chinese hamster ovary:CHO)細胞内で発現した。活性かつ精製材料を産生するために、一連のステップを展開した。精製工程は、Amicon S10Y10螺旋カートリッジを使用して15から20倍の間で馴化培地(conditioned media:C.M.)を濃縮(透析濾過)することによって開始した。次いで、5倍の10mMトリス緩衝液Ph7.0を使用して、緩衝液交換(ダイアフィルター)を行い、濾過して保存した。
【0237】
陽イオン交換クロマトグラフィ。r−HuアクチビンAを、10mMトリス緩衝液Ph7.0中で平衡化した2.6X7cm(Pharmacia)S−Sepharose Fast Flowカラムに、4〜80℃、5ml/分で加えた。カラムを平衡緩衝液で洗浄した。r−HuアクチビンAを、10MmのトリスPh7.0で緩衝した20カラム体積にわたって、0.4Mまでのナトリウム塩化物の増加濃度の勾配でカラムから溶出した。適切な画分をプールし、4〜80℃で保存した。
【0238】
逆相HPLC C4クロマトグラフィ。S−SepharoseカラムプールpHをトリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid:TFA)で2.0に調整した。プールを、75%A緩衝液(水中0.1%TFA)、および25%B緩衝液(90%アセトニトリル、0.1%TFA、9.9%水)で平衡化した室温の1X25cm Vydac C4カラムに加えた。次いで、カラムを平衡緩衝液で洗浄した。R−HuアクチビンAを、5ml/分の流速で50分間、25%B緩衝液から25%B緩衝液の勾配で溶出した。適切な画分をプールし、凍結乾燥した。
【0239】
高速陽イオン交換クロマトグラフィ。5mlのS Sepharose高速カラムを、室温で8M尿素、10mMナトリウムリン酸塩、Ph7.0(A緩衝液)で平衡化した。凍結乾燥したC4プールをA緩衝液中で再懸濁して5ml/分加え、A緩衝液で洗浄した。r−HuActivin Aを、8M尿素、10mMナトリウムリン酸塩、pH7.0で緩衝した30カラム容積にわたって、0.15Mまでのナトリウム塩化物の増加濃度の勾配でカラムから溶出した。適切な画分をプールし、4〜80℃で保存した。
【0240】
逆相HPLC C4クロマトグラフィ。S−SepharoseカラムプールpHをトリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid:TFA)で2.0に調整した。プールを、75%A緩衝液(水中0.1%TFA)、および25%B緩衝液(90%アセトニトリル、0.1%TFA、9.9%水)で平衡化した室温の1X25cm Vydac C4カラムを加えた。次いで、尿素および塩を除去するために、カラムを平衡緩衝液で広範に洗浄した。R−HuアクチビンAを、5ml/分の流速で50分間、25%B緩衝液から50%B緩衝液の勾配で溶出した。適切な画分をプールし、最終的な精製r−HuアクチビンAを凍結乾燥して、一定分量において−80℃で保存した。配列番号:225はアクチビンAへのアミノ酸配列を提供する。
【実施例2】
【0241】
(実施例2)
抗アクチビンA雑種細胞の産生
アクチビンAに対する抗体を、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有するマウスである、XenoMouse(登録商標)マウス(Abgenix,Fremont,Calif.)中で育てた。XenoMouse(登録商標)系統XMG2は、完全ヒトIgG2カッパ抗体を生成するために使用した。第2の系統は完全ヒトIgG4カッパ抗体を生成するために使用した。マウスをアクチビンAで免疫化した。
【0242】
標準プロトコルマウス(US2005/0118643、WO2005/694879)に従って、マウスの後足蹠(足蹠当たり5μg)に抗原(アクチビンA)を注射した。初回注射は、アジュバントTiterMax(登録商標) Gold(Sigma、カタログ番号T2684)を含有した。その後の注射において、各マウスに、アジュバントアルミニウムゲル(アルミニウムリン酸塩ゲルアジュバント、Superfos Biosector a/s、E.M.Sargent Pulp and Chemical Co.,Clifton N.J.,にて頒布、カタログ番号1452−250)中、合計5μgの抗原を注射した。最終の注射は、マウス当たり合計10μgの抗原を含有し、アジュバントは含有しなかった。
【0243】
各マウスは、6回目の注射から2日後に出血した。それらの出血からの血液試料を、アクチビンAに対する抗体の力価を判定するためにELISAでアッセイした。最終の注射から4日後、マウスを屠殺し、それらの流入領域リンパ節を採取して、リンパ球を回収させた。それぞれ3つのグループのマウスからのリンパ球を別々にプールした。B細胞のリンパ球試料を濃縮するため、抗CD90電磁ビーズ(Miltenyi Biotechカタログ番号491−01)を加えることによってT細胞を枯渇させ、次いで、リンパ球をLS
+カラム(Miltenyi Biotechカタログ番号424−01)に通した。
【0244】
B細胞を濃縮したリンパ球の各試料を、次いで、エレクトロセル融合装置(Genetronic,Inc.,Model ECM 2001)を使用してP3骨髄腫細胞と融合し、雑種細胞を生じた。次いで、融合した雑種細胞株の3つのグループは、当技術分野において既知の他の培地が使用され得るが、記載(WO2005/094879)のように96ウェルプレート雑種細胞培地内に蒔いた。雑種細胞株を、15%CO
2中14日間37℃で培養した。
【0245】
14日後、アクチビンAに対するヒトIgG抗体の存在を検出するために、培養上清をELISAでアッセイした。そのELISAで陽性反応を示した培養上清を、第2のELISAにおいて、ヒトカッパ鎖の存在に対して検査した。その第2のELISAにおいて、2次抗体が、西洋ワサビペルオキシダーゼと共役したヤギ抗ヒトカッパ鎖抗体であったことを除いて、条件は第1のELISAと同一であった。両ELISAアッセイにおいて陽性反応を示した雑種細胞は、その後の試験に対して5mlの上清を生成するために、さらに伸長させた。
【0246】
異種マウスに由来する合計160の抗アクチビンA雑種細胞試料は、以下の実施例に記述するような細胞に基づく機能アッセイおよびBIAcore結合解析を使用してスクリーニングした。23の雑種細胞は、発現、精製、細胞に基づくアッセイ、結合解析、配列解析、MS、およびSECに関連するそれらの特性にさらに特徴付けられる。これらにより、3つの強力な単クローン抗体であるA1、A2、およびA3を、以下に記述するようなさらなる試験のために同定した。これらの抗体に対するアミノ酸配列は、以下の通りである。A1:配列番号:9(軽鎖可変)、配列番号:84(軽鎖定数)、配列番号:10(重鎖可変)、および配列番号:214(重鎖定数)。A2は、配列番号:25(軽鎖可変)、配列番号:100(軽鎖定数)、配列番号:26(重鎖可変)、および配列番号:215(重鎖定数)。A3は、配列番号:41(軽鎖可変)、配列番号:108(軽鎖定数)、配列番号:42(重鎖可変)、および配列番号:221(重鎖定数)。
【実施例3】
【0247】
(実施例3)
CHO細胞中ヒト−huアクチビンA抗体の発現および精製
抗huアクチビンA発現プラスミドの形質移入に使用したCS−9細胞は、無血清懸濁液CHO細胞株であった。CS−9クローンは、組み換えタンパク質の発現のために、宿主細胞株として選択し、無血清培地に貯蔵した。貯蔵所は、外来性因子および無菌性に関して試験され、ウイルス性、マイコプラズマおよび微生物因子がないことが分かった。
【0248】
抗huアクチビンA発現細胞株は、典型的な流加工程を使用して増加させた。細胞を、増殖後、Waveバイオリアクタに接種した。培養物は、ボーラス投与で約3日目、5日目および9日目に3回補給し、11日目に採取した。細胞を沈降させ、馴化培地を、10インチの0.45/0.2ミクロン前置フィルタで濾過し、続いて6インチの0.2ミクロンフィルタで濾過した。
【0249】
雑種細胞馴化培地(C.M.)からの単クローン抗体の精製:
7から10mlのC.M.に、PBS中で平衡化された単クローン抗体Select樹脂の100μlの1:2スラリーを加えた。チューブを4〜8℃で一晩回転板上に配置した。チューブを5分間1,000Xgで遠心分離し、非結合画分をデカントした。樹脂を5mlのPBSで洗浄し、遠心分離して、上記のようにデカントした。次いで、樹脂をSPIN−X、0.45um、2mlチューブに移した。樹脂を0.5mlのPBSでさらに2回洗浄し、遠心分離した。単クローン抗体は、10分間時折混合するとともに、室温でインキュベートすることによって、0.2mlの0.1M酢酸で溶出した。チューブを遠心分離し、30ulの1Mトリス緩衝液Ph8.0を溶出液に加えた。精製した単クローン抗体を4〜8℃で保存した。
【実施例4】
【0250】
(実施例4)
C2C12細胞に基づくアクチビン活性アッセイ
このアッセイは、アクチビンAのその受容体との結合が阻害される程度を測定することによって試験される抗体の中和能力を立証する。アクチビン応答性レポーター細胞株は、pMARE−lucコンストラクトでのC2C12筋芽細胞(ATCC番号:CRL−1772)の形質移入によって産生した。pMARE−lucコンストラクトを、12の繰り返しのCAGA配列をクローニングすることによって生成し、TATAボックスのpLuc−MCSレポーターベクター(Stratageneカタログ番号219087)上流内へのアクチビン応答エレメント(Dennler et al.EMBO17:3091−3100(1998))を表した。筋芽細胞C2C12は、細胞表面上でアクチビンIIB受容体(actRIIB)を天然に発現させる。アクチビンが細胞受容体を結合する時、Smad経路が活性化され、リン酸化されたSmadは、応答エレメント(Macias−Silva et al.Cell 87:1215(1996))と結合し、ルシフェラーゼ細胞をもたらす。次いで、ルシフェラーゼ活性を、製造業者のプロトコルに従って、市販のルシフェラーゼレポーターアッセイキット(カタログ番号E4550、Promega,Madison,WI)を使用して測定する。
【0251】
pMARE−luc(C2C12/pMAREクローン#44)を形質移入されたC2C12細胞の安定なラインは、以下の手順に従ってアクチビン活性を測定するために使用した。
【0252】
等しい数のレポーター細胞(C2C12/pMAREクローン#44)を96ウェル培養に蒔いた。抗体を含有する2倍希釈の馴化培地を使用した1回目のスクリーニングは、4nMで固定したアクチビンA濃度で行った。組み換え成熟アクチビンAは、それぞれ2倍および5倍希釈での馴化培地を用いて、1時間室温で前インキュベートした。レポーター細胞培養物は、抗体の有無にかかわらずアクチビンで6時間処置した。アクチビンA活性は、処置した培養物中のルシフェラーゼ活性を判定することによって測定した。このアッセイは、レポーターアッセイにおいてアクチビンAシグナル伝達活性を阻害した抗体を最初に同定するために使用した。その後、9点滴定曲線を4nMで固定したアクチビンA濃度で産生した。アクチビンAは、レポーター細胞培養物に混合物を加える前に1時間、0.004nM、0.04nM、0.4nM、4nM、20nM、40nM、200nM、400nMおよび2μMの9つの濃度の各精製抗体で前インキュベートした。多数の抗体A1、A2およびA3に対するIC
50値を表3に提供する。
【0253】
【表3】
【実施例5】
【0254】
(実施例5)
BIAcore(登録商標)アッセイ
アクチビンA抗体A1、A2およびA3の親和性解析は、センサチップCM5、および流動的緩衝液としての0.005パーセントP20界面活性物質(Biacore,Inc.)を使用する装置、BIAcore(登録商標)3000(Biacore,Inc.,Piscataway,NJ)で行った。組み換え成熟アクチビンAタンパク質は、製造業者の推奨プロトコルに従ってAmine Coupling Kit(Biacore,Inc.)を使用して、1級アミン基を介してリサーチグレードCM5センサチップ(Biacore,Inc.)に固定化した。
【0255】
直接結合アッセイは、固定化されたアクチビンAと結合するそれらの能力の順に抗体をスクリーニングするために使用した。結合アッセイは、3分間50μl/分の流速で、固定化されたアクチビンA表面に対する2つの濃度(40および400nM)の候補抗体それぞれを注入することによって行った。3分間の解離時間後、表面が再生された。結合曲線は、結合シグナル強度ならびに解離速度を質的に比較した。ka(会合速度定数)、kd(解離速度定数)およびKD(解離平衡定数)を含む抗体結合キネティクスパラメータは、BIA評価3.1コンピュータプログラム(Biacore,Inc.)を使用して決定した。解離平衡定数(nMで表す)が下がるほど、アクチビンAに対する抗体の親和性が向上する。
【実施例6】
【0256】
(実施例6)
単クローン抗体に対するアクチビンA結合領域マッピング
アクチビンA上の抗体結合領域は、還元または非還元条件下のウエスタン、LysCを使用した制限プロテアーゼ消化、MSによるペプチド解析、およびBIAcoreを使用したペプチド競合を含む、多数の生化学的方法を使用して決定した。
【0257】
システインノットは、TGF−βファミリーメンバーへの重要な構造特性である。還元剤でS−Sを破壊することは、アクチビンA構造を劣化させ、A−1を含む中和抗体とのアクチビンA結合を減少させた。
このデータは、システインノットが、アクチビンBと比較して、アクチビンAと特異的に結合するこれらの中和抗体に結合するアクチビンAにとって重要であることを示した。システインノットは、互いに構造的に隣接する配列の2つの遠位ループを生成する。これらの2つの領域は、約C11−S33(第1のループ)および約C81−E111(第2のループ)アクチビンA(
図7)の領域内の配列である。制限LysC消化は、これらの2つの領域が抗体A−1によって保護されたことを明らかにし、それらが、中和抗体と直接相互作用することを示した。中和抗体は、アクチビンAの立体構造的変化に感受性があり、それらが、抗原の非線形エピトープと結合することが示唆される。さらなるペプチド解析は、アクチビンAにおける断片G−1からK7およびS57〜F74が、中和抗体とのその結合に直接必要とされないことを示した。アクチビンBとアクチビンAの配列の比較によって、いくつかの配列差異がこの領域で発生することが示される。
【実施例7】
【0258】
(実施例7)
選択性アッセイ
これらのアッセイは、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、インヒビンA、GDF−8、GDF−11、TGF−β−1、TGF−β−3、およびBMP4(全てR&D Systemsから)を含む種々のアクチビンおよび他のTGF−βファミリーメンバーとの、抗体A1、A2およびA3の結合の選択性を決定するために、BIAcore(登録商標)技術を使用して行った。ActRIIB/Fcを、製造業者の推奨プロトコルに従って、リサーチグレードセンサチップに共有結合的に連結した。BIAcoreアッセイは屈折率の変化を検出するので、任意の抗体が存在しない場合における制御面上の注入で検出される反応に比べて、固定化された受容体表面上への注入で検出される反応間の差は、受容体との、種々のリガンドの実際の結合を表す。抗体およびアクチビンならびにTGF−β分子の前インキュベーションとともに、結合反応の変化(増加または減少)は、分子のTGFβファミリーとの抗体結合を示す。抗体は、アクチビンB、GDF−8、GDF−11、TGF−β−1、TGF−β−3、およびBMP4とではなく、全てアクチビンAと結合するため、アクチビンAの特異性が示唆される。
【実施例8】
【0259】
(実施例8)
キネックスA(登録商標)平衡アッセイ
KinExA(登録商標)技術(Sapidyne Instruments,Inc.)を使用する溶液ベースの平衡結合アッセイは、抗体分子と結合するアクチビンAの解離平衡(dissociation equilibrium:KD)を判定するために使用した。この溶液ベースのアッセイは、一部の例においてBIAcoreアッセイよりもより感受性があると考えられる。Reacti−Gel(登録商標)6Xを、一晩約50μg/mlのアクチビンAで前被覆し、次いでBSAでブロックした。30pMおよび100pMの抗体試料を、アクチビンA被覆ビーズに通す前に、8時間室温で種々の濃度の(0.5pMから5nM)アクチビンAとともにインキュベートした。ビーズ結合抗体の量は、スーパーブロック中1mg/mlで、蛍光(Cy5)標識したヤギ抗ヒトFc抗体によって定量化した。所与のアクチビンA濃度では、結合シグナルは、平衡で遊離抗体の濃度と比例した。KDは、KinEx A(登録商標)ソフトウェア(Sapidyne Instruments,Inc.)に提供される双対曲線一部位均一結合モデルを使用して、競合曲線の非線形回帰から取得した。結果を
図8に示す。A1は、アクチビンA(K
D〜3pM)に対する最大結合親和性を示す。A2およびA3は、それぞれ〜15pMおよび〜8pMでアクチビンAと結合した。
【実施例9】
【0260】
(実施例9)
コラーゲン誘発関節炎モデルにおける体重および筋肉量減少への抗アクチビンの保護効果
この実施例は、アクチビン阻害剤が、コラーゲン誘発関節炎で見られる筋肉疲労状態を回復できるかどうかを試験するために設計した。コラーゲン誘発関節炎(Collagen−induced arthritis:CIA)は、関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)といくつかの臨床的および病理学的特徴を共有する、広く利用されるマウスモデルである。CIAの正確な機構は知られていないが、CIAがTh−1媒介の炎症性疾患であることを示す多大な証拠がある。関節リウマチは、関節炎、および進行性軟骨/骨侵食に繋がる一般的な自己免疫疾患である。たとえRA進行が制御されているとしても、BCMの減少は、付加的かつ直接的な介入なしでは矯正されない。
【0261】
コラーゲン誘発関節炎モデルを以下の通りに調製した。生後8週間(20〜23g)のDBA/1J雄のマウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)を使用した。免疫化は、100μlのCFAまたはICFA中で乳化された1000g Bovine Collagen II(Chondrex,Redmond,WA)を、尾基底部で皮内に注射することによって、1日目および21日目に行った。それぞれが10匹のマウスからなる3つのグループを使用した。グループ1(対照)はビヒクルのみを受けた。グループ2(実験用、コラーゲン注射)は、処置としてのみビヒクルを受けた。グループ3は、コラーゲンを注射し、抗アクチビンA抗体A1で処置した。
【0262】
以下は、使用した関節炎の臨床的指標である。
【0263】
0=関節炎の兆候のない正常関節
1=1本の指の腫脹および/または発赤
2=病変のある2関節
3=3つ以上の関節
4=足および指全体の重症関節炎
処置は、8日目に開始するアクチビン抗体注射(s.c.)、週2回5mg/kgのs.c.で構成される。測定したエンドポイントは、体重、筋肉/脂肪量、食物摂取量および炎症性サイトカインであった。
【0264】
体重。未処置CIA動物は、正常の動物に比べて、それらの体重および筋肉量の25パーセントが減少し、リウマチ悪液質が明らかとなった。抗アクチビンA(A−1)処置は、正常の対照動物とではなく、CIA対照と比べて体重を有意に増加させた(p<0.05)。
【0265】
筋肉量。単クローン抗体A1での処置は、未処置CIA動物と比べて、CIA動物における筋肉量を有意に増加させた(p<0.05)。CIA対照において、95日目の筋肉量は1.5gであり、一方、抗体処置のCIA動物において、95日目の筋肉量は2.5gであった。結果を
図1に示す。
【0266】
脂肪量。抗アクチビンA抗体は、CIA動物の脂肪減少を逆戻りさせなかった。結果を
図2に示す。
【0267】
処置した動物における体重および筋肉量の維持は、生活の質を改善し、関節リウマチ罹患者の死亡率を低下させるための治療として、アクチビンA抗体に対する支持を提供する。
【実施例10】
【0268】
(実施例10)
若年生体ヌードマウスにおける筋肉内CHO/アクチビン異種移植
アクチビンA(CHO/アクチビン)を安定に形質移入されたCHO細胞は、1x10
6、5x10
6、および10x10
6の種々の用量で、筋肉内注射を介して若年生体CD1nu/nuマウスに移植した。形質移入されていないCHO細胞の同じ用量を、対照としてマウスの別々のグループに注射した。CHO/アクチビン移植は、対照と比較して急速かつ大幅な体重減少を誘発した。
【0269】
12日目で、1x10
6細胞のためのCHO/対照グループは、10%の体重減少があり、一方、CHO/抗アクチビンAグループは、体重の10%増加があった。また、5x10
6および10x10
6細胞抗アクチビンAグループは、約10%の体重増加を示し、一方、対照5x10
6および10x10
6細胞グループは、25〜30%の体重が減少した。
【0270】
マウスにおける血清アクチビンAレベルを、異種移植の移植後12日目に測定した。対照マウスを移植した親CHOにおける血清アクチビンAのレベルは、2ng/ml未満であった。対照的に、CHO/アクチビ異種移植を持つマウスは、血清アクチビンAの劇的な上昇を示した。統計解析により示されるように、血清アクチビンAレベルと体重減少の重症度との間には有意な相関関係があり、アクチビンA過剰発現は、CHO/アクチビン異種移植マウスに見られる体重減少に関与することを示した。
【0271】
マウス(グループ当たりn=14)にCHO/アクチビン異種移植を移植し、その後、ビヒクルまたはA1、A2およびA3の3つの抗アクチビンA単クローン抗体それぞれのいずれか一方を注射した。ビヒクルグループ中の14匹マウスのうち12匹は、CHO/アクチビン移植後25日目に死亡し、一方、抗アクチビンA単クローン抗体処置グループにおいては、42匹のCHO/アクチビン移植マウスのうち1匹のみがその時点で死亡した。38日目まででは、単クローン抗体処置グループの大部分のマウスは良好に生存し、生存率は以下の通りである。A1グループでは14匹のうち13匹、A2またはA3グループのいずれか一方では14匹のうち10匹であった。
【0272】
体重データは、抗アクチビンA単クローン抗体、A1またはA2での処置は、CHO/アクチビン異種移植を持つマウスの体重減少を完全に防止したことを示し、抗アクチビンA単クローン抗体が生体内中和アクチビンA活性に有効であったことが示される。
図3に示すように、NMRデータは、抗アクチビンA単クローン抗体、A1での処置が、CHO/アクチビンを持つマウスに見られる進行性の除脂肪体重の減少を防止したことを明らかにした。この抗体での処置は、食物摂取量の増加もまた生じさせた。
【0273】
剖検データは、抗アクチビンA単クローン抗体、A1およびA2での処置が、CHO/アクチビンを持つマウスに見られる除脂肪屠体重量の重度の減少を防止したことを示す(表5)。末期剖検データは、抗アクチビンA単クローン抗体、A1およびA2での処置が、CHO/アクチビン異種移植を持つマウスに見られる脂肪量の重度の減少を防止したことを示す(表5)。
【0274】
異種移植部位に可視の腫瘍を持つ動物の割合は、CHO/アクチビン移植後12日目の末期剖検時に解析した。表5に示すように、データは、ビヒクルグループの80%のマウスが、注射部位で視覚的に同定可能な異種移植腫瘍を発生したことを明らかにした。抗アクチビンA単クローン抗体処置グループにおいて、可視の腫瘍形成率の有意な減少を観察した。
【0275】
剖検後、CHO/アクチビン異種移植部位の全ての視覚的に同定可能な腫瘍を、動物から解離し、秤量した。ビヒクルグループと比べて、腫瘍量の優位な減少がアクチビンA単クローン抗体処置グループにおいて観察された(表5)。
【0276】
【表5】
異種移植腫瘍発生に関する上記の実験は、癌からの生存を促進させるための抗アクチビンA抗体の使用に関して、いくつかの結論を導いた。アクチビンAは、CHO/アクチビン異種移植を持つヌードマウスにおいて、悪液質症候群の発生に因果的役割を果たした。体重減少は、このモデルにおける血清アクチビンレベルの減少と良好な相関関係を持った。抗アクチビンA単クローン抗体は、CHO/アクチビン異種移植腫瘍を持つマウスに見られる体重減少および悪液質症候群を防止した。抗アクチビンA単クローン抗体は、異種移植増殖を抑制し、それによって、可視の異種移植腫瘍を持つマウスの割合を有意に低下させ、異種移植腫瘍のサイズを減少させた。抗アクチビンA単クローン抗体は、CHO/アクチビン異種移植に起因する死亡を防止し、動物の生存を顕著に促進させた。
【実施例11】
【0277】
(実施例11)
AAVアクチビンマウスにおける抗アクチビン単クローン抗体A1
アクチビンAの生後過剰発現は、C57Bl/6マウスにおいて重度の悪液質様の消耗症候群をもたらした。体重は、1日目、4日目、9日目および11日目にわたって、16グラムから14、12.5に、11日目には最終的に10.5グラムにまで減少した。また、脂肪重量、除脂肪屠体重量および腓腹筋重量の減少もあった。
【0278】
アクチビンAに対して作られた抗体が、アクチビンAの効果を軽減または防止するかどうかを判定するため、以下の実験を行った。AAVアクチビンまたは空AAVベクター(対照)を、尾静脈を介して8週齢の雄のC57Bl/6マウス(n=10−12)に、1x10
13pfu/マウスで注射した。
図5は、1日目、5日目、8日目および12日目の形質導入マウスにおける体重変化に対する抗アクチビンA単クローン抗体A1の効果を示す。抗体は、対照マウスに観察された体重の変化を防止した。抗体処置は、この動物モデルにおける食物摂取量を促進させた。
【実施例12】
【0279】
(実施例12)
結腸26癌悪質液モデルにおける体重および除脂肪体重減少に対する抗アクチビンA単クローン抗体A1の保護効果
この実施例は、マウス癌悪液質モデルにおける抗アクチビンA単クローン抗体A−1の効果を防止する筋肉を実証する。癌悪液質のモデルは、0日目に8.5週齢の雄のCDF1マウス(0.5x10
6細胞/マウス)において、同質遺伝子的マウス結腸26腺癌細胞接種を使用して確立した。抗アクチビンA単クローン抗体A−1処置(10mg/kg、sc)は、4日目に開始し、18日間週3回行った。ナトリウム酢酸塩緩衝液(10nmナトリウム酢酸塩、5%スクロース、pH5.0)は、腫瘍を持つ対照グループマウスにおいてビヒクルとして使用した。年齢および体重を適合させた腫瘍を有さない正常CDF1マウスの1グループを、対応するベースライン対照として使用した。体重および食物摂取量は、毎週3回監視した。腫瘍サイズは、デジタル測径器で週3回測定した。体組成は、除脂肪量および脂肪量の変化を監視するために、研究の始めおよび最後にNMRを使用して測定した。実験の最後に、マウスをCO
2チャンバ内で安楽死させた。末期ブロック試料を収集し、血清アクチビンAレベルをELISAで解析した。除脂肪屠体を秤量および記録し、腓腹筋および腫瘍を秤量し、適切に保存した。
【0280】
全ての結果は、平均±標準誤差(SEM)で表した。対応のないt−検定を、Graph Pad Prizmソフトウェアを使用することによって、グループ間の統計的差異を決定するために行った。ビヒクルからの統計的有意性は、0.05未満のp値で表した。
【0281】
データは、A−1処置マウスが、ビヒクル処置マウスよりも有意に高い体重を有したことを示す(21.30±0.54g対19.21±0.38g、P<0.05、15日目および19.66±0.22g対18.11±0.19g、P<0.05、18日目)。年齢を適合させた腫瘍を持たないマウスと比べて、ビヒクルで処置した腫瘍を持つマウスは、有意な体重減少があった(25.48±0.35g対18.11±0.19g、p<0.005)。したがって、アクチビンA抗体処置は、体重の維持に役立った。
【0282】
腫瘍増殖は、デジタル化測径器測定で監視し、腫瘍サイズは、腫瘍寸法(mm
3=L(mm)*W(mm)*W(mm)*0.5の方程式で計算した。腫瘍サイズは、抗体A1処置およびビヒクル処置の2つのグループ間で異ならなかった。
【0283】
C−26腫瘍細胞接種の後、ビヒクル処置グループのマウスは、腫瘍を持たないマウスと比べて劇的な体重減少を有した(25.48±0.35g対18.11±0.19g、p<0.01)。しかしながら、A−1処置は、平均の体重減少を減弱させた(19.66±0.22g対18.11±0.19g、P<0.05)。
【0284】
A−1処置は、骨格筋肉量の有意な維持に繋がった。A−1処置マウスは、C26ビヒクル処置グループにおけるものよりも、多い重量の腓腹筋量(0.099±0.002g対0.09±0.001、p<0.05)を有した。
【0285】
実験の最後に、末期組織解離を行った。対照C−26腫瘍を持つマウスは、抗体A1処置マウスのものよりも、著しく低い除脂肪屠体重量(6.75±0.11g)を有した(7.20±0.16g、p<0.05対C−26+ビヒクルグループ)。
【0286】
除脂肪体重は、C−26ビヒクル処置グループにおいて顕著に減少した(それらの初期除脂肪体重と比べて、−1.85±0.24g)。C−26腫瘍を持つマウスにおけるA−1での処置は、除脂肪体重の減少を有意に減弱させた(−0.60±0.26g、p<0.05対C26−ビヒクルグループ)。
【0287】
抗アクチビンA単クローン抗体A1処置は、癌悪液質誘発の全体重減少の減弱に効果的である。抗体A1の保護効果は、十分に確立されたマウス癌悪液質動物モデルにおいて骨格筋肉量、除脂肪屠体体重および総除脂肪体重を保つことに関連する。
【0288】
本研究は、アクチビンAの中和が、単クローン抗体A1を使用して、有意に体重減少を減弱させ、骨格筋肉および除脂肪体重を維持した前臨床根拠を提供する。
【実施例13】
【0289】
(実施例13)
アクチビンA ELISA
アクチビンAに対する抗体は、生体試料等の試料中のアクチビンAをアッセイおよび定量化するために使用することができる。組み換えヒトアクチビンA(100ng/ml、カタログ番号10−85106)およびアッセイ希釈緩衝液(0mg/ml、カタログ番号10−85101)をDSLabs(Webster、Texas)から購入し、4℃で保存した。標準物質は、アッセイ緩衝液に希釈することによって実験前に新たに調製した。
【0290】
ヒト血清は、Bioreclamation Inc.(Hicksville、NY)から取得した。アクチビンA測定のための血清は、凍結融解に起因する変動を最小化するために、110μlに分注した。試料は、アッセイ緩衝液で1/3に希釈し、ELISAで測定した。
【0291】
以下のステップを使用して、アクチビンAELISA(一段階ELISA)を行う。
【0292】
Corning Costar 3590 96ウェルプレートは、500〜600rpmで徐々に振盪させながら、100μlの4μg/mL抗アクチビンA単クローン抗体(A2)で、一晩室温で被覆した。ウェル(400μl/ウェル)は、0.02%(v/v)Tween20を含有するPBSで3回洗浄した。ウェルを300μlのブロッキング緩衝液において、室温で2時間ブロックし、次いで、ブロッキング緩衝液を除去した。
【0293】
100μlの標準アクチビンA/または100μlの希釈試料を加え、25μlの0.5μg/mL抗アクチビンA単クローン抗体−HRP標識(A1/HRP)をアッセイ緩衝液に加えた。遊離アクチビンA測定のために、血清をアッセイ緩衝液で1/3に希釈した。総アクチビンA測定のために、血清を、(1)20%HCL(110μl血清ごとに2μl)で酸性化(pH4−5)し、(2)室温で15分間インキュベートし、(3)2μlの5N NaOH(110μl血清ごとに2μl)を加えることによって中和し、(4)アッセイ緩衝液で1/3に希釈した。
【0294】
インキュベーションを、600〜700rpmで振盪させながら、室温で2時間行った。ウェル(400μl/ウェル)は、0.02%(v/v)Tween−20を含有するPBSで3回洗浄した。100μlのTMB(R&D System,Minneapolis,MN)を加え、続いて、室温で20分間インキュベーションを行った。50μlの停止液(R&D System,Minneapolis,MN)を加えた。OD測定は、Molecular Device SpectraMax M5で450nmを使用して行った。
【0295】
標準曲線は、Molecular Deviceの対数−対数(または5パラメータロジスティック)曲線適合プログラムを使用することによって、450nmでの吸光度対rhアクチビン濃度の対数をプロットして生成した。試料濃度に対する値は、標準からのそれらの吸光度の補間によって取得した。
【0296】
捕獲抗体は、A−3抗アクチビンA単クローン抗体、20.78mg/mlであった。検出抗体は、A−1抗アクチビンA単クローン抗体−HRP、0.65HRP/Ab、12.05mg/mlであった。ブロッキング緩衝液は、Iブロッキング緩衝液であった。洗浄緩衝液は、PBS/0.1%Tween−20であった。アッセイ緩衝液(Reagent Diluent)は、0mg/mlアクチビンA緩衝液であった。
【実施例14】
【0297】
(実施例14)
アクチビンAプロテアーゼ保護解析
プロテアーゼ保護アッセイを、アクチビンA抗体のエピトープ結合を同定するために行った。組み換えヒトアクチビンA分解製剤を3つの方法で解析した。第1の方法は、精製時に分解されたアクチビンA製剤を検査した。第2の方法は、リジンC、キモトリプシン、ペプシンおよびサーモリシンを用いたアクチビンA製剤のタンパク質分解を含んだ。第3の方法は、臭化シアンする製剤の化学分解を含んだ。
【0298】
したがって、ヒトアクチビンおよび抗体複合体のタンパク質分解のために、5マイクログラムのアクチビンAおよび90マイクログラムの抗体を100マイクロリットルの0.1M重炭酸アンモニウム(pH7.8)中で混合し、重量で2%の特定の選択プロテアーゼで処置する前に約20分間室温に保った。タンパク質の消化は、摂氏37度で90分間進行することができた。アクチビンA単独または抗体単独を含有する対照試料を、同一の方法で行った。試料をRP−HPLC解析の前に酸性化した。
【0299】
アクチビンAの臭化シアン消化のために、アクチビンAのCNBr断片は、100マイクロリットルの90%TFA中CNBrで、10マイクログラムのタンパク質を一晩室温でインキュベートすることによって産生した。試料は、インキュベーションの間中、暗闇の状態に保ち、RP−HPLC解析の前に真空下で乾燥させた。
【0300】
RP−HPLCは、上記のように産生された断片を解析するために利用した。簡潔に言えば、カラムは、溶剤で平衡化し、試料を注射して、カラムは、線形勾配を適用する前に溶剤で洗浄した。カラム流出液を215nmにおける吸光で監視した。溶出した試料は、手で収集し、Edman分解および質量分析法で解析した。
【0301】
精製時に分解された製剤は、以下の種を含有した。
1.Gly
1−His
59(6,456.2Da)
2.Ser
60−Tyr
94(4,102.9Da)
3.Asp
95−Ser
116(2,452.8Da)
4.Gly
1−Tyr
94(10,541.1Da)
キモトリプシン様の活性により分解された製剤は、配列番号:225で示す位置で開裂される以下の種を有した。
【0302】
1.
1GLECDGKVNICCKKQFFVSFKDIGWNDWII
30(配列番号262)
2.
31APSGYHANYCEGECPSHIAGTSGSSLSFH↓S
60(配列番号263)
3.
61TVINHYRMRGHSPFANLKSCCVPTKLRPMS
90(配列番号264)
4.
91MLYY↓DDGQNIIKKDIQNMIVEECGCS
116(配列番号265)
図9に記載する種は、アクチビンA製剤がキモトリプシン、リジンC(LysC)、または臭化シアン(CNBr)によって分解される時の開裂部位の位置を示す。
【実施例15】
【0303】
(実施例15)
アクチビンA結合アッセイ
単クローン抗体A1、A2、およびA3は、表6にリストした結合親和性によれば、アクチビンBではなくアクチビンAと結合する。したがって、アクチビンA抗体A1、A2、およびA3の親和性解析を、中和抗体結合に必要とされる領域または構造を決定するために行った。ActRII(A/B)、ActRI(A/B)(Alt4)、フォリスタチン、およびフォリスタチン関連遺伝子(FLRG)を含む、いくつかのアクチビンA結合タンパク質が既知である。
【0304】
結合アッセイは、固定化抗体表面(アクチビンAおよび/またはアクチビンB)と結合するためのそれらの能力を評価するため、抗体をスクリーニングするために行った。結合アッセイは、2nM rhアクチビンAおよび20nMの表面に固定化された各抗体を利用して行った。以下の抗体を表面に固定化して、試験を行った。AKA1(市販)、AKA2(市販)、A1、およびA3。抗体アッセイの結果を
図10に示す。
【0305】
【表6】
【実施例16】
【0306】
(実施例16)
アクチビンA結合アッセイ領域マッピング(Biacore)
ブロッキングアッセイは、実施例5に記述したように、固定化した組み換えヒトアクチビンRIB−Fcキメラ表面、組み換えヒトアクチビンRIIB−Fcキメラ表面、および組み換えヒトRIIA−Fcキメラ組み換え表面上で行った。各キメラ表面上の単クローン抗体A1、A2、AKA1、およびAKA2を1nMアクチビンAでインキュベートし、相対結合反応(%)を測定した。抗体の存在下における結合反応の増加は、アクチビンAが、固定化された受容体表面と溶液中の抗体とに同時に結合できることを示し、これを「キャリーオン」と称す。結果を表7および
図11に示すが、EC50は、50%結合を産出する有効な濃度を意味する。
【0307】
【表7】
【実施例17】
【0308】
(実施例17)
アクチビンA/Bキメラ
アクチビンA/Bキメラを、実施例5および16に記述したように、単クローン抗体A1、A2、およびA3のエピトープ結合能力をさらに評価するために産生した。
図12に示すように、2つのキメラを試験した。アクチビンA13/39B(アクチビンAの位置3〜39でのアミノ酸が、アクチビンBの位置13〜39にある対応するアミノ酸で置換される点を除き、アクチビンAのアミノ酸1〜116を含有する−配列番号:243)、およびアクチビンA82/107B(アクチビンAの位置82〜107でのアミノ酸が、アクチビンBの位置82−107での対応するアミノ酸で置換される点を除き、アクチビンAのアミノ酸1〜116を含有する−配列番号:244)。
【0309】
簡潔に言えば、全長アクチビンAクローンは、成熟タンパク質配列の始めで、Pfu ultraポリメラーゼ(Stratagene)およびプライマ(配列番号:245および配列番号:246)を使用するPCRによる増幅のために、鋳型として使用した。結果として生じるPCR産物をカラム精製し(Qiagen)、SalIおよびXbaI制限酵素で消化させ(Roche)、ゲル単離した(Qiagen)。修飾された成熟タンパク質配列を含有する合成遺伝子カセットは、Gene Designer program(Version1.0.4,DNA2.0,Inc.)(BMC Bioinformatics,7:285(2006))を使用することによって、全長アクチビンAおよびアクチビンBからのアミノ酸配列を利用し、哺乳類宿主細胞内の発現に最適化されたDNA配列コドンに翻訳し戻すことによって設計した。配列をXbaIおよびNotIで消化し、ゲル単離した。アクチビンAPCR産物は、13〜39合成遺伝子断片(配列番号:247)または82〜107合成遺伝子断片(配列番号:213)のいずれか一方を有するT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs,Inc.)およびSalI/NotI消化された発現ベクター(pDRSalpha24)を使用して、標準の反応条件化で連結し、全長発現コンストラクトを生じた。アクチビンB配列(配列番号:247)で交換されたアミノ酸13〜39を有するアクチビンAの合成遺伝子コンストラクトおよびアクチビンB配列(配列番号:248)で交換されたアミノ酸82〜107を有するアクチビンAの合成遺伝子コンストラクトを、次いで、エピトープマッピング実験に利用した(結果を
図12に示す)。
【0310】
前述から、本発明の特定の実施形態は、例証の目的で本明細書に記述したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除き限定されない。本明細書に開示した全ての公報、公開特許出願、および特許文書は、参照により本願明細書に組み込まれる。