(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986525
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】電源回路監視システム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/04 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
H02H3/04 D
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-43080(P2013-43080)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-171364(P2014-171364A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2015年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 公一
(72)【発明者】
【氏名】福西 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】松下 智史
【審査官】
高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−328670(JP,A)
【文献】
特開平03−020923(JP,A)
【文献】
特開昭57−055720(JP,A)
【文献】
特開2005−110445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/06 − 7/097
H02H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルリレーを有する補機回路の該サーマルリレーを介して三相電源回路から給電される補機の該三相電源回路からの給電状態を監視する電源回路監視システムであって、
前記三相電源回路の三相間の相間電圧を検知する検知手段と、前記検知手段にて検知した前記相間電圧を記録する記録制御手段とを設け、
前記記録制御手段にて記録した前記相間電圧を監視し、前記三相電源回路の前記補機への給電を遮断したときに、前記三相電源回路の前記補機への給電を遮断した要因が、前記三相電源回路側での要因なのか、或いは前記サーマルリレー側での要因なのかを識別することを特徴とする電源回路監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルリレーを有する補機回路の該サーマルリレーを介して三相電源回路から給電される補機の該三相電源回路からの給電状態を監視する電源回路監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
三相電源回路(例えば、系統連系を行う場合には系統)から給電される補機(例えば、モータや冷却水ポンプ等の電動機などの発電機に備えられる補機類)においては、次のような不都合がある。
【0003】
図4は、負荷Lrs,Lst,Ltrを接続した三相電源回路10に対して、補機30が補機回路20を介して接続されている電源接続回路200の一例を示す回路図である。
【0004】
図4に示す電源接続回路200において、三相電源回路10は、ここでは、AC200Vの電圧が出力される三相3線式の商用電源とされている。なお、
図4に示す電源接続回路200において負荷Lrs,Lst,Ltrおよび補機回路20の上流側には配線用遮断器CB(主幹ブレーカ)が設けられている。また、補機30は、ここでは、モータや冷却水ポンプ等の電動機などの発電機(例えばエンジン発電機)に備えられる補機類とされている。
【0005】
電源接続回路200では、三相電源回路10におけるR相、S相、T相の三相において欠相が発生したり、または三相電源回路10のR相−S相間、S相−T相間、T相−R相間に接続される負荷Lrs,Lst,Ltrの使用状況によってR相、S相、T相の三相間で消費される電力Prs,Psr,Ptrが不均一となってR相、S相、T相の三相間の相間電圧Vrs,Vst,Vtrが不平衡になったりする場合がある。そうすると、三相電源回路10から補機30に過電流が流れ、これにより補機30が過熱して補機30の焼損を招く。
【0006】
かかる補機30への過電流を防止するために、補機回路20において所定値を超える電流が流れることにより電路を遮断(トリップ)させ復帰可能とするサーマルリレー21を設け、補機回路20に所定値を超える電流が流れてサーマルリレー21が発熱した場合にサーマルリレー21による電路の遮断により三相電源回路10の補機30への給電を遮断する構成が従来から知られている。
【0007】
詳しくは、補機回路20は、サーマルリレー21および電磁接触器22を備えている。サーマルリレー21は、過電流による補機30の過熱を保護するために、補機回路20の補機30に接続される電路(この例ではR相、T相)に設けられている。サーマルリレー21は、熱動継電器とも称され、補機30に流れる電流が許容上限値を超えないように、所定値を超える電流により自身が発熱することによって電磁接触器22を動作させる。電磁接触器22は、サーマルリレー21の動作によって三相電源回路10から補機30への給電を遮断する。すなわち、補機回路20は、サーマルリレー21および電磁接触器22を用いて電磁開閉器として使用される。
【0008】
具体的には、サーマルリレー21は、補機回路20の補機30に接続される電路(この例ではR相、T相)に設けられた熱動部21r,21tと、二相間(この例ではR相とS相との間)に接続された電路L1に設けられた接点部21aとを備えている。サーマルリレー21は、熱動部21r,21tが作動していないときには接点部21aがオン状態となり、オン状態の接点部21aが、所定値を超える電流による発熱により熱動部21r,21tが作動することでオフ状態となるようになっている。熱動部21r,21tは、バイメタルの熱動素子と、所定値を超える電流により発熱して熱動素子を加熱するヒートエレメントとを含んでいる。なお、サーマルリレー21は、従来公知のものを用いることができ、ここでは詳しい説明を省略する。
【0009】
電磁接触器22は、電路L1に設けられた電磁コイル22aと、補機回路20の補機30に接続されるR相、S相、T相の各相に設けられた第1接点部22r,22s,22tと、電路L1に対して後述する第1押しボタンスイッチ23に並列に接続された電路L2に設けられた第2接点部22bとを備えている。電磁接触器22は、第1押しボタンスイッチ23がオフ状態で電磁コイル22aが作動していないときには第1接点部22r,22s,22tおよび第2接点部22bがオフ状態となり、オフ状態の第1接点部22r,22s,22tおよび第2接点部22bが、第1押しボタンスイッチ23による通電により電磁コイル22aが作動することでオン状態となるようになっている。
【0010】
補機回路20は、サーマルリレー21および電磁接触器22に加えて、電路L1に設けられた第1押しボタンスイッチ23および第2押しボタンスイッチ24をさらに備えている。第1押しボタンスイッチ23は、押下操作により閉路となり、かつ、押下操作が解除されると開路に復帰する接点を有している。第2押しボタンスイッチ24は、押下操作により開路となり、かつ、押下操作が解除されると閉路に復帰する接点を有している。
【0011】
以上説明した電源接続回路200では、第1押しボタンスイッチ23が押下操作されると、電磁コイル22aに電流が流れ、第1接点部22r,22s,22tおよび第2接点部22bが閉じ、補機30が三相電源回路10から第1接点部22r,22s,22tを介して給電される。このとき、第1押しボタンスイッチ23の押下操作が解除されても、第2接点部22bにより自己保持動作がなされる。これにより、第1接点部22r,22s,22tおよび第2接点部22bのオン状態が保持されて三相電源回路10から補機30への給電が維持される。一方、第2押しボタンスイッチ24が押下操作されると、電磁コイル22aへの通電が解除され、第2接点部22bによる自己保持動作が解除されて第1接点部22r,22s,22tおよび第2接点部22bがオフ状態となることで、三相電源回路10から補機30への給電が停止される。
【0012】
そして、補機30が三相電源回路10から給電されている状態において、サーマルリレー21に所定値を超える電流が流れるときには、サーマルリレー21においてオン状態の接点部21aが、熱動部21r,21tの発熱作動によりオフ状態となり、電磁コイル22aへの通電が解除されて第1接点部22r,22s,22tおよび第2接点部22bがオフ状態となることで、三相電源回路10から補機30への給電が遮断される。
【0013】
ところで、サーマルリレー21により三相電源回路10の補機30への給電を遮断する構成において、三相電源回路10の補機30への給電を遮断する要因としては、三相電源回路10におけるR相、S相、T相の三相において欠相が発生したり、三相電源回路10の三相間の相間電圧Vrs,Vst,Vtrが不平衡になったりしてサーマルリレー21に所定値を超える電流が流れる場合の他、サーマルリレー21自体が誤動作する場合がある。
【0014】
そのため、三相電源回路10の補機30への給電を遮断した要因が、三相電源回路10側での要因なのか、或いはサーマルリレー21側での要因なのかを識別することができなかった。
【0015】
この点に関し、特許文献1には、変流器の断線、短絡を的確に検出するために、変流器の2次回路の電流を得て商用電源からの受電電力または受電電流が所定値以下の状態が所定時間以上持続したことを検出する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第3908203号公報(特開2005−45859号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しなしながら、特許文献1に記載の構成を利用したとしても、三相電源回路の補機への給電を遮断した要因が、三相電源回路側での要因なのか、或いはサーマルリレー側での要因なのかを識別することができない。
【0018】
そこで、本発明は、三相電源回路の補機への給電を遮断した要因が、三相電源回路側での要因なのか、或いはサーマルリレー側での要因なのかを識別することが可能な電源回路監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、前記課題を解決するために、サーマルリレーを有する補機回路の該サーマルリレーを介して三相電源回路から給電される補機の該三相電源回路からの給電状態を監視する電源回路監視システムであって、前記三相電源回路の三相間の相間電圧を検知する検知手段と、前記検知手段にて検知した前記相間電圧を記録する記録制御手段とを設け
、前記記録制御手段にて記録した前記相間電圧を監視し、前記三相電源回路の前記補機への給電を遮断したときに、前記三相電源回路の前記補機への給電を遮断した要因が、前記三相電源回路側での要因なのか、或いは前記サーマルリレー側での要因なのかを識別することを特徴とする電源回路監視システムを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、前記三相電源回路の三相間の相間電圧を検知する前記検知手段と、前記検知手段にて検知した前記相間電圧を記録する前記記録制御手段とを設け
、前記記録制御手段にて記録した前記相間電圧を監視し、前記三相電源回路の前記補機への給電を遮断したときに、前記三相電源回路の前記補機への給電を遮断した要因が、前記三相電源回路側での要因なのか、或いは前記サーマルリレー側での要因なのかを識別することで、前記三相電源回路の前記補機への給電を遮断した要因が、前記三相電源回路側での要因なのか、或いは前記サーマルリレー側での要因なのかを識別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図4に示す電源接続回路に適用された電源回路監視システムの一例の概略構成を示すシステムブロック図である。
【
図2】
図1に示す制御部における第2制御装置を中心に示すシステムブロック図である。
【
図3】電源回路監視システムにおける制御部の第2制御装置による制御動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】負荷を接続した三相電源回路に対して、補機が補機回路を介して接続されている電源接続回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、
図4に示す電源接続回路200に適用された電源回路監視システム100の一例の概略構成を示すシステムブロック図である。
【0024】
なお、電源接続回路200における三相電源回路10、補機回路20、補機30および負荷Lrs,Lst,Ltrの接続構成並びに補機回路20の回路構成については、既に説明したとおりであるため、ここでは、説明を省略し、本発明の実施の形態に係る電源回路監視システム100を中心に説明する。
【0025】
図1に示す電源回路監視システム100は、電圧センサ110(検知手段と一例)と、制御部120とを備えている。
【0026】
電圧センサ110は、三相電源回路10のR相−S相間、S相−T相間、T相−R相間の相間電圧Vrs,Vst,Vtrを検知して出力するものである。電圧センサ110は、三相電源回路10のR相、S相、T相間の三相の相間電圧Vrs,Vst,Vtrを個々に検知して出力する複数の電圧センサであってもよいが、ここでは、単一の電力量センサ(オムロン社製KM50−C)を用いている。この電力量センサは、電力量を検知して出力するだけでなく、R相、S相、T相の三相間の相間電圧Vrs,Vst,Vtrをそれぞれ検知して出力できるようになっている。この電力量センサを用いることで、複数の電圧センサを用いなくてもよいし、電力量等のその他のデータも取得することができるという利点がある。
【0027】
制御部120は、第1制御装置121、第2制御装置122および第3制御装置123を備えている。第1制御装置121、第2制御装置122および第3制御装置123は、互いに通信回線LNで接続されており、CAN(Controller Area Network)規格に基づいて互いにデータ転送されるようになっている。
【0028】
第1制御装置121、第2制御装置122および第3制御装置123は、CPU(Central Processing Unit)等の処理部121a,122a,123aと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリやフラッシュメモリなどの書き込み可能な不揮発性メモリおよびRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを含む記憶部121b,122b,123bとをそれぞれ備えている。
【0029】
電源回路監視システム100は、第1制御装置121、第2制御装置122および第3制御装置123の処理部121a,122a,123aが記憶部121b,122b,123bのROMに予め格納された制御プログラムを記憶部121b,122b,123bのRAM上にロードして実行することにより、各種構成要素を制御するようになっている。また、記憶部121b,122b,123bにおける不揮発性メモリには、電源回路監視システム100の動作パラメータや設定データなどの各種システム情報が格納されている。
【0030】
第1制御装置121は、電圧センサ110にて検知した相間電圧Vrs,Vst,Vtrを第2制御装置122に送信する構成とされている。
【0031】
第2制御装置122は、第1制御装置121から送られてきた相間電圧Vrs,Vst,Vtrを記録する構成とされている。
【0032】
図2は、
図1に示す制御部120における第2制御装置122を中心に示すシステムブロック図である。
【0033】
図2に示すように、第2制御装置122は、第1制御装置121から送られてきた相間電圧Vrs,Vst,Vtrを記憶部122bに記録する記録制御手段P1と、第1制御装置121から送られてきた相間電圧Vrs,Vst,Vtrが不平衡(欠相も含む。以下同じ。)になっているか否かを判定する不平衡判定手段P2と、三相電源回路10の補機30への給電が遮断されたか否かを監視する給電監視制御手段P3と、不平衡判定手段P2にて相間電圧Vrs,Vst,Vtrが不平衡になっていると判定した場合、或いは給電監視制御手段P3にて三相電源回路10の補機30への給電が遮断されたと判断した場合に警報を発する警報発報制御手段P4とを備える。
【0034】
また、電源回路監視システム100は、表示部124をさらに備えている。表示部124は、第2制御装置122の出力系に電気的に接続されており、第2制御装置122からの表示情報が出力されるようになっている。
【0035】
詳しくは、記録制御手段P1は、第1制御装置121から送られてきた相間電圧Vrs,Vst,Vtrを予め定めた所定のサンプリング時間毎に記憶部122bの不揮発性メモリに記録していく。補機30は、ここでは、複数存在している。このため、記録制御手段P1は、第1制御装置121から送られてきた相間電圧Vrs,Vst,Vtrを設置箇所の情報(補機30が設置されている箇所を示す情報)と共に所定のサンプリング時間毎に記憶部122bの不揮発性メモリに記録していく。なお、記録制御手段P1は、相間電圧Vrs,Vst,Vtrを設置箇所の情報および日時(日付および時刻)と共に記録してもよい。
【0036】
不平衡判定手段P2は、相間電圧Vrs,Vst,Vtrをパラメータとする予め定めた所定の判定式(この例では、以下に示す電圧不平衡率[%]の[式1]参照)を用いて演算し、判定式[式1]の値が予め定めた所定の閾値(例えば5[%])を超えた場合には、相間電圧Vrs,Vst,Vtrが不平衡であるとみなす。なお、言うまでもないが、判定式は、以下の電圧不平衡率の[式1]に限定されるものではない。
|MAX(Vrs−Va,Vst−Va,Vtr−Va)|/Va×100 …[式1]
但し、Va=(Vrs+Vst+Vtr)/3
|MAX(α,β,γ)|:α,β,γの中の絶対値で最大の値を選択
給電監視制御手段P3は、補機回路20における電磁接触器22(
図4参照)の第1接点部22r,22s,22tがオン状態になっているか或いはオフ状態になっているかを示す識別信号を検出する。
【0037】
警報発報制御手段P4は、不平衡判定手段P2にて相間電圧Vrs,Vst,Vtrが不平衡であると判定した場合には、記憶部122bにおける相間電圧Vrs,Vst,Vtrの値を含む監視データを表示部124および/または第3制御装置123に送信する。具体的には、警報発報制御手段P4は、不平衡と判定された記憶部122bにおける相間電圧Vrs,Vst,Vtrの値と、相間電圧Vrs,Vst,Vtrが不平衡となっている旨のメッセージとを設置箇所の情報と共に表示部124および/または第3制御装置123に監視データとして送信する。なお、これらの監視データを表示部124と第3制御装置123とのうちの何れに送信するかの情報は、予め設定しておくことができる。
【0038】
そして、第2制御装置122は、警報発報制御手段P4にて不平衡と判定された相間電圧Vrs,Vst,Vtrの値と、不平衡となっている旨のメッセージとを設置箇所の情報と共に表示部124に送信した場合、これらの監視データを表示部124の表示画面に表示させるようになっている。第3制御装置123は、第2制御装置122から、不平衡と判定された相間電圧Vrs,Vst,Vtrの値と、不平衡となっている旨のメッセージとが設置箇所の情報と共に送られてきた場合、これらの監視データを後述する遠隔監視装置300(
図1参照)に送信するようになっている。
【0039】
また、警報発報制御手段P4は、給電監視制御手段P3にて第1接点部22r,22s,22tのオフ状態を示す信号を検出した場合には、記憶部122bにおける相間電圧Vrs,Vst,Vtrの値を含む監視データを表示部124および/または第3制御装置123に送信する。具体的には、警報発報制御手段P4は、三相電源回路10の補機30への給電が遮断された遮断時点から所定時間(所定サンプル個数)だけ遡った分の記憶部122bにおける相間電圧Vrs,Vst,Vtrの値と、三相電源回路10の補機30への給電が遮断された旨のメッセージとを設置箇所の情報と共に表示部124および/または第3制御装置123に監視データとして送信する。なお、これらの監視データを表示部124と第3制御装置123とのうちの何れに送信するかの情報は、予め設定しておくことができる。
【0040】
そして、第2制御装置122は、警報発報制御手段P4にて遮断時点から遡った分の相間電圧Vrs,Vst,Vtrの値と、給電が遮断された旨のメッセージとを設置箇所の情報と共に表示部124に送信した場合、これらの監視データを表示部124の表示画面に表示するようになっている。第3制御装置123は、第2制御装置122から、遮断時点から遡った分の相間電圧Vrs,Vst,Vtrの値と、給電が遮断された旨のメッセージとが設置箇所の情報と共に送られてきた場合、これらの監視データを遠隔監視装置300に送信するようになっている。
【0041】
また、第2制御装置122は、パーソナルコンピュータや携帯端末機等の端末装置125が接続可能とされており、端末装置125は、第2制御装置122に蓄積された監視データを取り込むことができるようになっている。
【0042】
遠隔監視装置300(
図1参照)は、第3制御装置123に公衆回線網等の通信網310を介して接続されている。第3制御装置123及び遠隔監視装置300は、互いに情報の送受信を行うことが可能とされている。遠隔監視装置300は、電源回路監視システム100に対して遠く離れた位置にある遠隔監視センターに配置されており、電源回路監視システム100からの監視データを収集して蓄積するようになっている。そして、遠隔監視装置300は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク320を介してパーソナルコンピュータや携帯端末機等の端末装置330〜330に接続可能とされており、端末装置330〜330は、遠隔監視装置300に蓄積された監視データを取り込むことができるようになっている。
【0043】
次に、電源回路監視システム100における制御部120の第2制御装置122による制御動作の一例について、
図3を参照しながら説明する。
【0044】
図3は、電源回路監視システム100における制御部120の第2制御装置122による制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0045】
図3に示すように、第2制御装置122は、先ず、第1制御装置121から相間電圧Vrs,Vst,Vtrをサンプリング時間毎に取得し(ステップS1)、取得した相間電圧Vrs,Vst,Vtrを設置箇所の情報と共に記憶部122bに記録していく(ステップS2)。
【0046】
次に、第2制御装置122は、相間電圧Vrs,Vst,Vtrを判定式である電圧不平衡率の[式1]に代入して電圧不平衡率を演算し(ステップS3)、演算値が閾値(例えば5%)を超えたか否かを判断する(ステップS4)。演算値が閾値を超えたと判断した場合には(ステップS4:Yes)、不平衡と判断された相間電圧Vrs,Vst,Vtrの値と、相間電圧Vrs,Vst,Vtrが不平衡となっている旨のメッセージとを設置箇所の情報と共に表示部124および/または第3制御装置123に送信し(ステップS5)、ステップS6に移行する一方、演算値が閾値を超えていないと判断した場合には(ステップS4:No)、そのままステップS6に移行する
次に、第2制御装置122は、補機回路20における電磁接触器22(
図4参照)の第1接点部22r,22s,22tがオン状態になっているか或いはオフ状態になっているかを示す識別信号を検出し(ステップS6)、識別信号が第1接点部22r,22s,22tのオン状態を示す信号か或いはオフ状態を示す信号かを判断する(ステップS7)。識別信号が第1接点部22r,22s,22tのオフ状態を示す信号である場合には(ステップS7:オフ状態)、三相電源回路10の補機30への給電が遮断された遮断時点から所定時間(所定サンプル個数)だけ遡った分の相間電圧Vrs,Vst,Vtrの値と、三相電源回路10の補機30への給電が遮断された旨のメッセージとを設置箇所の情報と共に表示部124および/または第3制御装置123に送信し(ステップS8)、ステップS9に移行する一方、識別信号が第1接点部22r,22s,22tのオン状態を示す信号である場合には(ステップS7:オン状態)、そのままステップS9に移行する。
【0047】
次に、第2制御装置122は、処理終了の指示があるまで(ステップS9:No)、ステップS1〜S9の処理を繰り返し、処理終了の指示があると(ステップS9:Yes)、処理を終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態に係る電源回路監視システム100によれば、記録制御手段P1により、電圧センサ110にて検知した相間電圧Vrs,Vst,Vtrを記録することで、監視者や制御部120は、相間電圧Vrs,Vst,Vtrを監視することができ、これにより、三相電源回路10の補機30への給電を遮断した要因が、三相電源回路10側での要因なのか、或いはサーマルリレー21側での要因なのかを識別することができる。
【0049】
例えば、三相電源回路10の補機30への給電を遮断したときに(ステップS7:オフ状態)、監視者や制御部120は、ステップS5による送信動作により表示部124および/または第3制御装置123に送られてきた、不平衡と判定された相間電圧Vrs,Vst,Vtrや、ステップS8による送信動作により表示部124および/または第3制御装置123に送られてきた、遮断時点から所定時間(所定サンプル個数)だけ遡った分の相間電圧Vrs,Vst,Vtrを確認することで、三相電源回路10におけるR相、S相、T相の三相において欠相が発生したか、或いは三相間の相間電圧Vrs,Vst,Vtrが不平衡になったとして、三相電源回路10の補機30への給電を遮断した要因が三相電源回路10側での要因であることを識別することができる。
【0050】
また、三相電源回路10の補機30への給電を遮断したときに(ステップS7:オフ状態)、監視者や制御部120は、ステップS8による送信動作により表示部124および/または第3制御装置123に送られてきた、遮断時点から所定時間(所定サンプル個数)だけ遡った分の相間電圧Vrs,Vst,Vtrに関して、三相電源回路10の三相間の相間電圧Vrs,Vst,Vtrが平衡に保たれていることを確認することで、過負荷またはサーマルリレー21自体が誤動作したとして、三相電源回路10の補機30への給電を遮断した要因がサーマルリレー21側での要因であることを識別することができる。
【0051】
なお、補機回路20においてサーマルリレー21の構成は、
図4に示すものに限定されるものではなく、過電流による補機30の過熱を保護できるものであれば、何れの構成であってもよい。また、サーマルリレー21として、ここでは、熱動式のサーマルリレーを用いたが、検出制御手段を別途設けて電流を検出して所定値を超える電流を検出したときに電磁接触器22により三相電源回路10から補機30への給電を遮断する電子式のサーマルリレーを用いてもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、三相電源回路として、三相3線式のもの用いたが、三相4線式のものを用いてもよい。
【0053】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0054】
10 三相電源回路
20 補機回路
21 サーマルリレー
21a 接点部
21r 熱動部
21t 熱動部
22 電磁接触器
22a 電磁コイル
22b 第2接点部
22r 第1接点部
22s 第1接点部
22t 第1接点部
23 第1押しボタンスイッチ
24 第2押しボタンスイッチ
30 補機
100 電源回路監視システム
110 電圧センサ(検知手段と一例)
120 制御部
121 第1制御装置
121a 処理部
121b 記憶部
122 第2制御装置
122a 処理部
122b 記憶部
123 第3制御装置
123a 処理部
123b 記憶部
124 表示部
125 端末装置
200 電源接続回路
300 遠隔監視装置
310 通信網
320 ネットワーク
330 端末装置
L1 電路
L2 電路
LN 通信回線
Lrs 負荷
Lst 負荷
Ltr 負荷
P1 記録制御手段
P2 不平衡判定手段
P3 給電監視制御手段
P4 警報発報制御手段
Prs 電力
Pst 電力
Ptr 電力
Vrs 相間電圧
Vst 相間電圧
Vtr 相間電圧