特許第5986568号(P5986568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5986568-水性毛髪洗浄剤 図000019
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986568
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】水性毛髪洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20160823BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20160823BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20160823BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20160823BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   A61K8/898
   A61Q5/02
   A61K8/46
   A61K8/73
   A61K8/81
【請求項の数】8
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2013-525590(P2013-525590)
(86)(22)【出願日】2012年7月30日
(86)【国際出願番号】JP2012004836
(87)【国際公開番号】WO2013014951
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年6月5日
(31)【優先権主張番号】特願2011-165499(P2011-165499)
(32)【優先日】2011年7月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】森岡 智紀
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−112423(JP,A)
【文献】 特開2002−053440(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/014237(WO,A1)
【文献】 特開2011−126978(JP,A)
【文献】 特開2011−105660(JP,A)
【文献】 特開2010−138099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/81
A61K 8/898
A61K 8/46
A61K 8/73
A61Q 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)および水を含有する、水性毛髪洗浄剤であって
(A)アニオン界面活性剤、
(B)主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、
【化1】
(上記一般式(1)中、R6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは2または3である。)、
前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が5.0×102〜1.8×103であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜82/18であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1×104〜1×105であるオルガノポリシロキサン、
(C)(c−1)および(c−2)から選ばれる一種以上のカチオン化ポリマー
(c−1)セルロース骨格もしくはガラクトマンナン骨格を有するカチオン化ポリマー、
(c−2)ジアリルジメチルアンモニウム塩骨格を有するカチオンポリマー
前記成分(C)に対する前記成分(B)の質量比(B)/(C)が0.2〜20である、水性毛髪洗浄剤
【請求項2】
前記成分(B)が、周波数2Hz、ひずみ0.01%にて、25℃から−130℃まで30分間で降温した後5℃/2minの速度で昇温させた際の20℃における貯蔵弾性率が1×105〜1×107Paであり、JIS Z3284に準じて測定される粘着力が50〜500gfであり、重量平均分子量が5×102〜5×105であるポリマーである、請求項1に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項3】
当該水性毛髪洗浄剤全体中、前記成分(A)の含有量が1〜30質量%であり、前記成分(B)の含有量が0.05〜4質量%であり、前記成分(C)の含有量が0.01〜3質量%である、請求項1または2に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項4】
前記成分(C)に対する前記成分(B)の質量比(B)/(C)が0.2〜15である、請求項1乃至3いずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項5】
前記成分(C)が、前記(c−1)から選ばれる一種以上である、請求項1乃至4いずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項6】
前記成分(C)が、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、およびカチオン化グアーガムから選ばれる一種以上である、請求項1乃至5いずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項7】
ベンジルアルコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択される一種以上のアルコールをさらに含み、当該水性毛髪洗浄剤全体中の前記アルコールの含有量が0.01〜5質量%である、請求項1乃至6いずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項8】
炭素数2〜8の有機酸をさらに含み、当該水性毛髪洗浄剤全体中の前記有機酸の含有量が0.01〜5質量%である、請求項1乃至7いずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性毛髪洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、毛髪洗浄剤には泡立ちや洗浄力等の洗浄剤としての基本的な機能に加えて、コンディショニング効果を付与する機能が重要になってきている。
特許文献1には、シャンプー組成物の毛髪コンディショニング特性を改善するために、シャンプー組成物中にグアーゴムのカチオン性誘導体を特定量用いるとともに、不溶性かつ不揮発性のシリコーンが特定の大きさで分散した水性エマルションを用いることが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、有機カルボン酸および特定の有機溶剤と特定のオルガノポリシロキサン(変性シリコーン)とを組み合わせて用いることにより、毛髪のまとまり性や感触に優れるとともに、くせ付け直後のセット性と、セット持続性の両スタイリング性に優れた毛髪化粧料が得られることが記載されている。
なお、変性シリコーンを用いる他の技術として、特許文献3に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−36226号公報
【特許文献2】特開2009−46466号公報
【特許文献3】特開平3−287509号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)および水を含有する、水性毛髪洗浄剤に関する:
(A)アニオン界面活性剤、
(B)主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、
【化1】
(上記一般式(1)中、R6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは2または3である。)、
前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が5.0×102〜1.8×103であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜82/18であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1×104〜1×105であるオルガノポリシロキサン、
(C)(c−1)および(c−2)から選ばれる一種以上のカチオン化ポリマー
(c−1)セルロース骨格もしくはガラクトマンナン骨格を有するカチオン化ポリマー
(c−2)ジアリルジメチルアンモニウム塩骨格を有するカチオンポリマー。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例における毛髪の立ち易さの評価方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
毛髪洗浄剤にシリコーンやカチオン性ポリマー等の成分を配合した場合、コンディショニング効果が向上する一方、コンディショニング成分を含む毛髪洗浄剤が毛髪上に残存するため、その重みで乾燥後のヘアスタイルがつぶれてしまう(weigh down)ことがあった。
このため、たとえば髪の量が少ない人や細くてコシの弱い髪質の人には、残留したコンディショニング剤のべたつきを感じたり、ヘアスタイルがつぶれてボリュームが得られないといった悩みにつながることがあった。
【0008】
本発明は、洗髪、乾燥後の毛髪の立ち上がり、ボリューム効果およびコンディショニング特性のバランスに優れた水性毛髪洗浄剤に関する。
【0009】
本発明における水性毛髪洗浄剤は、以下の成分(A)〜(C)および水を含む:
(A)アニオン界面活性剤、
(B)主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、
【0010】
【化2】
【0011】
(上記一般式(1)中、R6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは2または3である。)、
前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が5.0×102〜1.8×103であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜82/18であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1×104〜1×105であるオルガノポリシロキサン、
(C)(c−1)および(c−2)から選ばれる一種以上のカチオン化ポリマー
(c−1)セルロース骨格もしくはガラクトマンナン骨格を有するカチオン化ポリマー
(c−2)ジアリルジメチルアンモニウム塩骨格を有するカチオンポリマー。
【0012】
本発明によれば、洗髪、乾燥後の毛髪の立ち上がり、ボリューム効果およびコンディショニング特性のバランスに優れた水性毛髪洗浄剤を得ることができる。
【0013】
以下、成分(A)〜(C)のそれぞれについて、具体例を挙げて説明する。なお、各成分は、いずれも単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
(成分(A))
成分(A)のアニオン界面活性剤の具体例として、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸塩型アニオン界面活性剤;
スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩等のスルホン酸型アニオン界面活性剤;および
高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸またはその塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤が挙げられる。上記アニオン界面活性剤から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩が好ましく、さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、下記一般式(11)で表されるものが好ましい。
【0015】
11O(CH2CH2O)uSO3M (11)
(上記一般式(11)中、R11は炭素数10〜18のアルキル基またはアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンまたは塩基性アミノ酸を示し、uは質量平均で0.5〜5の数を示す。)
【0016】
これらの中でも特に、すばやい泡立ちと良好な泡の感触を両立する観点から上記一般式(11)中のR11が炭素数12〜14のアルキル基が好ましい。また、エチレンオキシドの組成物中の平均付加モル数は、0.5〜5であるのが好ましく、0.9〜4であるのがより好ましく、1〜3であるのがさらに好ましい。さらに、Mがアンモニウムまたはナトリウムであるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0017】
成分(A)の含有量は、泡立ちをさらに向上させる観点から、水性毛髪洗浄剤全体に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上とすることがさらに好ましい。また、泡切れの向上およびすすぎ時の残留感の抑制の観点から、水性毛髪洗浄剤全体に対する成分(A)の含有量は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0018】
(成分(B))
成分(B)は、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、
【0019】
【化3】
【0020】
(上記一般式(1)中、R6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは2または3である。)、
前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が5.0×102〜1.8×103であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜82/18であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1×104〜1×105であるオルガノポリシロキサンである。
【0021】
ここで、本発明者の検討によれば、前述したように、コンディショニング成分を含む毛髪洗浄剤が毛髪上に残存すると、乾燥後の毛髪のつぶれにつながることがあった。一方、つぶれにつながると考えられるコンディショニング成分を単に毛髪洗浄剤中から除いた場合、乾燥後の毛髪のボリュームダウンはある程度抑制できるものの、ヘアスプレー等によりボリュームを固めて維持しないとその効果が必ずしも充分でないことがあった。また、コンディショニング成分を用いないと、乾燥後の毛髪の滑らかさやべたつかない自然な仕上がりが充分に得られないことがあった。
【0022】
本発明者は、上記知見に基づき、高いボリューム効果とコンディショニング効果との両立を可能にするためにさらに検討した結果、成分(B)のポリマーを用いることにより、乾燥後の毛髪のつぶれを効果的に抑制できることを見出した。さらに、成分(B)を後述する成分(C)と組み合わせて前述した成分(A)とともに水性毛髪洗浄剤中に配合することにより、コンディショニング効果を充分に確保しつつ、乾燥後の毛髪をボリュームアップできることを見出した。
【0023】
さらに、本発明の成分(B)は、貯蔵弾性率、粘着力および重量平均分子量がいずれも特定の範囲にあるポリマーである。具体的には、貯蔵弾性率や粘着力等の特性を測ることにより、以下の特性を備えるポリマーである。
周波数2Hz、ひずみ0.01%にて、25℃から−130℃まで30分間で降温した後5℃/2minの速度で昇温させた際の20℃における貯蔵弾性率が1×105〜1×107Paであり、JIS Z3284に準じて測定される粘着力が50〜500gfであり、重量平均分子量が5×102〜5×105であるポリマー。
【0024】
成分(B)の貯蔵弾性率を上記範囲とすることにより、乾燥後の毛髪に適度なハリコシを与え、毛髪を立たせることができる。
本発明において、成分(B)の貯蔵弾性率は、25℃から−130℃まで30分間で降温した後5℃/2minの速度で昇温させた際の20℃における貯蔵弾性率であり、以下の方法により測定されるものである。
【0025】
(貯蔵弾性率の測定方法)
レオメーター(たとえば、ANTON PAAR社製「MCR500 Rheometer」)を用いて以下の手順で測定する。
(1)測定対象のポリマーを下部ディスクの上に載せ、6mmφ溝つきディスクをセットする。
(2)以下の測定条件でディスクを押付け測定する。
(貯蔵弾性率の測定条件)
降温速度:室温(25℃)から−130℃/30min
測定周波数:2Hz
測定歪み:0.01%
昇温速度:約5℃/2min
【0026】
乾燥後の毛髪のボリューム効果を確実に得る観点から、成分(B)の貯蔵弾性率は、1×105Pa以上であり、3×105Pa以上とすることが好ましく、5×105Pa以上とすることがさらに好ましい。また、ヘアスタイルが自然で、乾燥後の毛髪のボリューム効果を安定的に得る観点から、成分(B)の貯蔵弾性率は、1×107Pa以下であり、8×106Pa以下とすることが好ましく、6×106Pa以下とすることがさらに好ましい。なお、成分(B)として、たとえば20℃にて固形または半固形状のポリマーを用いることができる。
【0027】
また、洗髪時、すすぎ時およびドライヤー等による乾燥時にわたる毛髪の取り扱い性を向上させる観点からは、成分(B)は熱可塑性のポリマーであることが好ましい。
このとき、40℃における成分(B)の貯蔵弾性率は、5×104Pa以上であり20℃における貯蔵弾性率よりも低く、5×104〜1×106Paであることが好ましい。
また、80℃における成分(B)の貯蔵弾性率は、3×104Pa以上であり20℃および40℃における貯蔵弾性率よりも低く、3×104〜1×105Paであることが好ましい。
【0028】
また、成分(B)の粘着力を上記範囲とすることにより、毛髪同士のすべりおよびこれによるボリュームダウンを抑制し、毛髪のボリュームを維持することができる。
本発明において、成分(B)の粘着力は、JIS Z3284(付属書9)に従って、具体的には以下の方法により測定されるものである。
【0029】
(粘着力の測定方法)
タッキネステスター(たとえば、レスカ社製「TACKINESS TESTER MODEL TAC-II」)を用いて次のようにしてタック性を測定する。
(1)測定対象のポリマーをガラス板に載せ、タッキネステスターのステージにセットする。
(2)以下の測定条件でプローブを硬化物に押しつけた後、2mm引き上げる時の最大抵抗値を、10分以内に7点測定し、その平均値をタック性とする。
(粘着力の測定条件)
プレート温度:室温(25℃)(試料台の温度)
プローブ温度:35℃(プローブ(径5mm)の先端にはポリスチレン板が貼着されている。)
進入速度:120mm/min
プレロード:20gf(プローブの硬化物への加圧力)
プレスタイム:5秒(プローブの硬化物への加圧時間)
テスト速度:600mm/min(プローブの硬化物からの引き上げ速度)
引き上げ距離:5mm
【0030】
乾燥後の毛髪のボリューム効果を確実に得る観点から、成分(B)の粘着力は、50gf以上であり、100gf以上とすることが好ましい。また、乾燥後の毛髪のボリューム効果を安定的に得る観点から、成分(B)の粘着力は、500gf以下であり、400gf以下とすることが好ましい。
【0031】
また、成分(B)の重量平均分子量は、乾燥後の毛髪のボリューム効果を確実に得る観点から、5×102以上であり、1×103以上であることが好ましく、1×104以上であることがさらに好ましく、2×104以上であることがより一層好ましい。また、乾燥後の毛髪のボリューム効果を安定的に得る観点から、成分(B)の重量平均分子量は5×105以下であり、1×105以下であることが好ましい。
【0032】
上述した特性を有する成分(B)として、特定のオルガノポリシロキサンが挙げられる。すなわち、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が5.0×102〜1.8×103であり、主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜82/18であり、主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1×104〜1×105であるものが挙げられる。上記特定のオルガノポリシロキサンから選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0033】
【化4】
【0034】
(上記一般式(1)中、R6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは2または3である。)
【0035】
上記一般式(1)中、R6で表されるもののうち、炭素数1〜22のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜22の直鎖、分岐状または環状のアルキル基が例示され、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基等が例示される。中でも、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、素数1〜6のアルキル基がより好ましい。また、アラルキル基としては、たとえば、炭素数7〜19のアラルキル基が例示され、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が例示される。中でも、炭素数7〜14のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜10のアラルキル基がより好ましい。さらに、アリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が例示され、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が例示され、中でも、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数6〜9のアリール基がより好ましい。
これらの中でも、R6としては、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
【0036】
また、ヘテロ原子を含むアルキレン基は、ポリ(N−アシルアルキルイミン)セグメントの連結基として機能するが、かかるアルキレン基としては、たとえば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が例示され、中でも下記式(i)〜(vii)に示される基が好ましく、下記式(i)および(ii)に示される基がより好ましい。なお、下記式中、An-はアニオンを示し、たとえば、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオンが例示される。
【0037】
【化5】
【0038】
オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)は65/35〜82/18であるが、ボリュームおよび毛髪の感触の観点から、好ましくは68/32〜80/20、さらに好ましくは70/30〜79/21である。
なお、本明細書において、質量比(a/b)は、本発明のオルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(1H−NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基またはフェニル基と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0039】
隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWg)は1.5×103〜3.5×103が好ましく、ボリュームおよび毛髪の感触の観点から、より好ましくは1.6×103〜3.2×103、さらに好ましくは1.7×103〜3.0×103である。
本明細書において、「隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記一般式(6)に示すように、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点α)から、これに隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点β)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR7SiO単位と、1つのR11と、y+1個のR72SiO単位とから構成されるセグメントをいう。また、「ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント」とは、上記R11に結合するWをいう。
【0040】
【化6】
【0041】
上記一般式(6)中、R7はそれぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基またはフェニル基を示し、R11はヘテロ原子を含むアルキレン基を示し、Wはポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、R12は重合開始剤の残基を示し、yは正の数を示す。
【0042】
MWgは、上記一般式(6)において破線で囲まれた部分の分子量であるが、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができ、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの官能基がポリ(N−アシルアルキレンイミン)で100%置換されると、変性オルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)と一致する。
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量(MWox)は、N−アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度とから算出する方法または後述するゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)測定法により測定することが可能であるが、本発明においてはGPC測定法により測定される数平均分子量をいい、好ましくは5.0×102〜1.8×103、より好ましくは7.0×102〜1.5×103、さらに好ましくは8.0×102〜1.4×103である。これにより、セット性およびセット持続性の両スタイリング性をより一層向上させることができる。
【0043】
また、MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(Csi)を用いて下記式(II)により求めることができる。
【0044】
【数1】
【0045】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)は1×104〜1×105であるが、ボリュームを向上させながら、髪のスムース性を付与し、さらには水等の極性溶媒への溶解性と溶解後の取り扱いやすさの観点から、好ましくは2×104〜8×104、さらに好ましくは5×104〜8×104である。MWsiは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiは変性オルガノポリシロキサンの平均分子量と略同一である。
【0046】
なお、変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、GPCにより下記条件で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
カラム:Super HZ4000 + Super HZ2000(東ソー社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量:0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
サンプル:50μL
【0047】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWt)は、好ましくは1.2×104〜1.5×105、より好ましくは2.4×104〜1.2×105、さらに好ましくは3.7×104〜9.2×104である。これにより、ボリュームを向上させながら、髪のスムース性を付与することができ、しかも水等の極性溶媒に対する溶解性が優れるようになる。本明細書において、MWtは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と、上述の質量比(a/b)とから求めることができる。
また、本発明の成分(B)は本水溶性洗浄剤中に均一に溶解しやすく、特に、有機溶剤等の溶解補助成分や安定化剤を使用しなくてもかまわない。
本発明に用いられる特定のオルガノポリシロキサンは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
本発明におけるオルガノポリシロキサンは、公知の方法により製造することができる。たとえば特開平7−133352号公報に記載の方法に従って、下記一般式(7)で表わされる変性オルガノポリシロキサンと、下記一般式(8)で表わされる環状イミノエーテルを開環重合して得られる末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造される。
【0049】
【化7】
【0050】
(上記一般式(7)中、R7は上記と同義であり、R8、R9はそれぞれR7と同一の基を示すかまたは下記式(viii)〜(xiii)のいずれかで表わされる1価の基を示し、R10は上記式(viii)〜(xiii)で表わされる1価の基を示し、dは135〜1350の整数を示し、eは3〜57の整数を示す。)
【0051】
【化8】
【0052】
【化9】
【0053】
(上記一般式(8)中、R6およびnは上記一般式(1)と同義である。)
【0054】
ここで、上記一般式(8)に示した環状イミノエーテルの開環重合は、たとえばLiebigs Ann. Chem., p.996〜p.1009 (1974)に記載の方法に従って行うことができる。重合開始剤は、求電子反応性の強い化合物、たとえば、ベンゼンスルホン酸アルキルエステル、p−トルエンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロ酢酸アルキルエステル、硫酸ジアルキルエステル等の強酸のアルキルエステルを使用することができ、中でも硫酸ジアルキルが好適に使用される。開始剤の使用量は、通常、上記一般式(8)に示した環状イミノエーテル2〜100モルに対して、開始剤1モルである。
重合溶媒としては、たとえば、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル類;
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;
クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン溶媒;
アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド等の非プロトン性極性溶媒を使用することができ、中でも酢酸エステル類が好適に使用される。溶媒の使用量は、通常、上記一般式(8)に示した環状イミノエーテル100質量部に対して20〜2000質量部である。
重合温度は通常30〜170℃、好ましくは40〜150℃であり、重合時間は重合温度等により一様ではないが、通常1〜60時間である。
上記一般式(8)に示した環状イミノエーテルとして、たとえば、2−置換−2−オキサゾリンを用いれば、ポリ(N−アシルエチレンイミン)(上記一般式(1)中、n=2に相当)が得られ、2−置換−ジヒドロ−2−オキサジンを用いれば、ポリ(N−アシルプロピレンイミン)(上記一般式(1)中、n=3に相当)が得られる。末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)の分子量は、8.0×102〜1.6×103、より好ましくは8.5×102〜1.5×103、さらに好ましくは9.0×102〜1.4×103である。
【0055】
変性オルガノポリシロキサンとしては、官能基当量が好ましくは1700〜3500、より好ましくは1800〜3200、さらに好ましくは2000〜3000であり、かつ重量平均分子量が好ましくは1.0×104〜1.0×105、より好ましくは2.0×104〜8.0×104、さらに好ましくは3.0×104〜6.0×104であるものを使用するのが望ましい。
【0056】
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)とオルガノポリシロキサンセグメントとの連結方法としては、上記一般式(8)に示した環状イミノエーテルをリビング重合して得られる末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)に、上記一般式(7)で表わされる変性オルガノポリシロキサンを反応させる方法が、下記に示す理論式(III)(MWi;ポリ(N−アシルプロピレンイミン)の分子量)のように、環状イミノエーテルと重合開始剤の使用量で重合度を容易に制御でき、しかも通常のラジカル重合よりも分子量分布の狭い略単分散のポリ(N−アシルアルキレンイミン)が得られる点で最も有効である。
【0057】
【数2】
【0058】
アミノ基を含有するオルガノポリシロキサンと、環状イミノエーテルのリビング重合で得たポリ(N−アシルアルキレンイミン)の反応性末端との反応は、たとえば以下のようにして行うことができる。開始剤を極性溶媒、好適にはアセトニトリル、バレロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、酢酸エチル、酢酸メチル等の単独溶媒、あるいは必要に応じて他の溶媒との混合溶媒に溶かし、40〜150℃、好適には60〜100℃に昇温する。そこに上記一般式(8)に示した環状イミノエーテルを一括投入、あるいは反応が激しい場合には滴下し、重合を行う。重合の進行はガスクロマトグラフィーなどの分析機器でモノマーである環状イミノエーテルの残存量を定量することにより追跡することができる。環状イミノエーテルが消費され重合が終了しても、生長末端の活性種は反応性を維持している。ポリマーを単離することなく、引き続き、このポリマー溶液と分子内にアミノ基を含有するオルガノポリシロキサンとを混合し、5〜100℃、好ましくは20〜60℃の条件で反応させる。混合割合は所望により適宜選択することができるが、オルガノポリシロキサン中のアミノ基1モルに対してポリ(N−アシルアルキレンイミン)0.1〜1.3モル当量の割合で反応させるのが好ましい。以上の如き反応によって、ポリジメチルシロキサンにポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合したブロックコポリマーまたはグラフトポリマーを得ることができる。
【0059】
以上により得られるオルガノポリシロキサンの具体例として、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサンが挙げられる。上記オルガノポリシロキサンから選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0060】
また、以上により得られるオルガノポリシロキサンの貯蔵弾性率および粘着力について、本発明者の検討により、シリコーン含量が増加すると貯蔵弾性率が低下し、オキサゾリン鎖長が短くなると粘着力が増加する傾向があることが見出された。よって、上記オルガノポリシロキサンのオキサゾリン鎖長およびシリコーン含量を調整することにより、貯蔵弾性率および粘着力がいずれも特定の範囲にあるものを得ることができ、このようなオルガノポリシロキサンを選択して成分(B)として用いることができる。成分(B)として、このような特定のオルガノポリシロキサンを用いることにより、コンディショニング効果とボリューム効果をさらに安定的に得ることができる。
【0061】
一方、一般にシリコーン類は多くのバリエーションを持ち、それらの構造や重合度などによって物性が大きく異なる。高重合で高い粘度を示すシリコーンガム、たとえはTSE200A(東芝シリコーン社製)では、本発明者の測定によれば、粘着力が270gfと高い値を示すが、貯蔵弾性率は20℃で4×104Pa、40℃で3×104Pa、80℃で2.5×104Paとなり、本発明における成分(B)とは異なる。
また、他の変性シリコーンとして、たとえば実施例の項で表1を参照して後述するものが挙げられるが、これらの貯蔵弾性率についても、表1に示すように、成分(B)とは異なるものである。
【0062】
成分(B)の含有量は、乾燥後のボリューム効果をさらに確実に得る観点から、水性毛髪洗浄剤全体に対してたとえば0.05質量%以上とすることができ、0.1質量%以上とすることが好ましく、0.2質量%以上とすることがさらに好ましい。また、残留感の抑制の観点から、成分(B)の含有量は、水性毛髪洗浄剤全体に対してたとえば4質量%以下とすることができ、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、成分(B)の含有量は、0.05〜4質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.2〜2質量%がさらに好ましい。
【0063】
(成分(C))
成分(C)は、(c−1)および(c−2)から選ばれる一種以上のカチオン化ポリマーである。
(c−1)セルロース骨格もしくはガラクトマンナン骨格を有するカチオン化ポリマー、
(c−2)ジアリルジメチルアンモニウム塩骨格を有するカチオンポリマー。
(c−1)ポリマーとしては、セルロース骨格もしくはガラクトマンナン骨格を有する糖系のカチオンポリマーから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。(c−1)ポリマーは、具体的には、天然系のカチオン化ポリマーである。
セルロース骨格を有するカチオン化ポリマーとしては、カチオン化セルロース誘導体から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。具体的には、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化カルボキシメチルセルロース、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。このうち、すすぎ時の毛髪のベタつきやきしみ感を低減する観点から、カチオン化ヒドロキシエチルセルロースを用いることが好ましい。
また、ガラクトマンナン骨格を有するカチオン化ポリマーとしては、カチオン化グアーガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化タラガム、カチオン化カシヤガム、カチオン化フェノグリークガムから選ばれる1種または2種以上を用いることもできる。中でもガラクトマンナンが好ましい。そして、ガラクトースとマンノースの比が1:2〜1:4であるカチオン化ガラクトマンナンがさらに好ましい。具体的には、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガムからなる群から選択される一種以上である。中でも、ヘアスタイルが自然で、乾燥後の毛髪のボリューム効果を安定的に得る観点からカチオン化グアーガムがより好ましい。カチオン化ガラクトマンナンは、マンノースを構成単位とする主鎖としガラクトース単位を側鎖としたガラクトマンナンに、第4級窒素含有基を導入した水溶性カチオン化ポリマーである。ガラクトマンナンは、たとえばマメ科植物の種子の胚乳から得られる。ガラクトースとマンノースの比が1:2のものがグアーガム、1:3のものがタラガム、1:4のものがローカストビーンガムである。
【0064】
(c−1)ポリマーとしては、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、およびカチオン化グアーガムから選ばれる一種以上であることが好ましい。
【0065】
一方、(c−2)のジアリルジメチルアンモニウム塩骨格を有するカチオンポリマーとは、構成モノマーとしてはジアリルジメチルアンモニウム塩を必須とするものである。(c−2)ポリマーは、具体的には、合成系のカチオン化ポリマーである。すなわち、ジアリルジメチルアンモニウム塩骨格からなるホモポリマーや、この構成モノマー以外に(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリルアミド等の構成モノマーが共重合した2元系や3元系のカチオン化ポリマーが挙げられる。たとえば、ジアリルジメチルアンモニウム塩/(メタ)アクリル酸もしくは(メア)タクリルアミドからなる2元系ポリマーやジアリルジメチルアンモニウム塩/(メタ)アクリル酸/(メア)タクリルアミドからなる3元系ポリマーである。もちろんその他の構成モノマーを含んでもよいが、その構成モノマーとしては、特に規定はない。しかし、ウエット時やすすぎ時における毛髪のなめらかさの観点からは、ビニルピロリドンやエチレンイミンなどは好ましくない。
【0066】
これら(C)成分としては、カチオン化グアーガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、および塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体のいずれかが好ましい。その理由は、乾燥後のボリューム感の観点からカチオン化グアーガムが、乾燥後のごわつきのなさの観点からジアリルジメチルアンモニウム共重合体が、乾燥後の残留感のなさの観点からカチオン化ヒドロキシセルロースがそれぞれ好ましい。
【0067】
(C)成分のうち、(c−1)のカチオン化ガラクトマンナンの市販品として、カチオン化グアーガムの市販品としては、ジャガーC−13S、ジャガーC−14S、ジャガーC−17等のジャガーシリーズ(ローディア社製、グアーヒドロキシプロピルトリアンモニウムクロリド)等が挙げられる。また、カチオン化タラガムの市販品としては、カチナールCTR−100、カチナールCTR−200(以上、東邦化学工業社製)等が挙げられる。また、カチオン化ローカストビーンガムの市販品としては、カチナールCLB−100(東邦化学工業社製、ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)等が挙げられる。
また、(C)成分の(c−2)ジアリルジメチルアンモニウム塩のうち、市販品として、マーコート550(ルブリゾール社製、アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウム塩の共重合体;CTFA名ポリクォータニウム−7)、UcareポリマーJRおよび同LRシリーズ(アマーコール社製、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;CTFA名ポリクォータニウム−10)、ポイズC−60H、ポイズC−80M、ポイズC−150L(以上、花王社製、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩:CTFA名ポリクォータニウム−10)等が挙げられる。
【0068】
(c−1)と(c−2)においては、組成物の毛髪への処理後の滑らかさの点から(c−1)のカチオン化ポリマーが好ましい。
これらのポリマーは単独でも用いられるが、2種類以上組み合わせて使用してもかまわない。
【0069】
成分(c−1)ポリマーの含有量は、すすぎ時の毛髪のきしみ感を低減する観点から、水性毛髪洗浄剤全体に対してたとえば0.01質量%以上とすることができ、0.05質量%以上とすることが好ましく、0.1質量%以上とすることがさらに好ましい。
また、泡立ちの向上と乾燥後の残留感の抑制のバランスの観点から、成分(C)の含有量は水性毛髪洗浄剤全体に対してたとえば3質量%以下とすることができ、1.5質量%以下とすることが好ましく、1.0質量%以下とすることがさらに好ましく、0.5質量%以下としてもよい。
【0070】
成分(c−2)ポリマーの場合には、単独でも2種以上を併用してもよく、すすぎ時の毛髪のきしみ感を低減する観点から、その含有量は、0.01質量%とすることができ、0.02質量%が好ましく、さらに0.05質量%以下が好ましい。また、泡質の観点から3質量%以下とすることができ、2質量%以下が好ましく、1質量%とすることがさらに好ましい。これらの観点を総合すると、すすぎ時の毛髪のきしみ感を低減する観点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤全体に対してたとえば0.01〜3質量%とすることができ、0.02〜2質量%とすることが好ましく、0.05〜1質量%とすることがさらに好ましい。
これらの成分(C)は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
その場合の成分(C)の含有量は、すすぎ時の毛髪のきしみ感を低減する観点から、水性毛髪洗浄剤全体に対してたとえば0.01質量%以上とすることができ、0.05質量%以上とすることが好ましく、0.1質量%以上とすることがさらに好ましい。
また泡立ちの向上と乾燥後の残留感の抑制のバランスの観点から、成分(C)の含有量は水性毛髪洗浄剤全体に対してたとえば3質量%以下とすることができ、1.5質量%以下とすることが好ましく、1.0質量%以下とすることがさらに好ましく、0.5質量%以下としてもよい。
【0072】
また、本発明における水性毛髪洗浄剤中の成分(C)に対する成分(B)の質量比(成分(B)/成分(C))は、泡の安定性を向上、乾燥後のボリューム効果をさらに確実に得る観点から、0.2以上とすることができ、0.5以上とすることが好ましく、1以上とすることがさらに好ましい。また、泡立ちの良さと泡切れ、およびすすぎ時の残留感の抑制とのバランスの観点から、本発明における水性毛髪洗浄剤中、成分(B)/成分(C)は、たとえば15以下とすることができ、10以下とすることが好ましく、5以下とすることがさらに好ましい。
【0073】
次に、本発明における水性毛髪洗浄剤の製造方法を説明する。
本発明における水性毛髪洗浄剤の製造方法に特に制限はないが、たとえば、上記成分(A)〜(C)、水および必要に応じてさらに他の成分を用い、これらを好ましくは所定の順序で配合することにより得ることができる。
【0074】
本発明の水性毛髪洗浄剤においては、以上の成分(A)〜(C)を組み合わせて用いることにより、べたつき等の残留感および剤の重さによるつぶれが抑制されて、高いボリューム効果が得られるとともに、充分なコンディショニング効果を得ることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、すすぎ時に成分(C)がコアセルベーションすることにより複合体が毛髪表面に析出し、すすぎ後も成分(B)が毛髪表面に残留できるようになったこと、および、成分(B)が貯蔵弾性率および粘着力について特定の性質を有するため、高いボリューム効果と滑らかさ、べたつかない自然な仕上がりとの両立が可能になったことが推察される。
また、以上の成分(A)〜(C)を組み合わせて用いることにより、たとえば、充分な泡立ちを維持しつつ、頭頂部のかさ高さや前髪の立ち上がり、または全体的なふんわり感を向上させることも可能となる。また、たとえば、髪表面の均質な感触、自然で軽いスムース感、つや、立体感、またはまとまりを向上させることも可能となる。
【0075】
本発明における水性毛髪洗浄剤において、乾燥後のごわつきや残留感を抑制し、ヘアスタイルが自然で、乾燥後の毛髪のボリューム効果を安定的に得る観点から、成分(A)〜(C)の配合は、たとえば、成分(A)の含有量が1〜30質量%であり、前記成分(B)の含有量が0.05〜4質量%であり、前記成分(C)の含有量が0.01〜3質量%である。また、成分(A)の含有量が5〜25質量%、成分(B)の含有量が0.1〜3質量%、成分(C)の含有量が0.05〜2質量%であることが好ましく、成分(A)の含有量が7〜15質量%、成分(B)の含有量が0.2〜2質量%、成分(C)の含有量が0.1〜1質量%であることがより好ましい。
また、水の含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中50〜95質量%が好ましく、60〜90質量%がより好ましい。
【0076】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、塩類として無機塩を含むことが好ましい。具体的には、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウムから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。ヘアスタイルが自然で、乾燥後の残留感のなさ、毛髪のボリューム効果を安定的に得る観点から、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムがより好ましく、塩化ナトリウムがさらに好ましい。
【0077】
これらの塩類は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができ、その水性毛髪洗浄剤中の含有量は、上記効果発現の観点から、たとえば0.01質量%以上であり、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、使用時の泡立ちの観点からは、塩類の含有量は、水性毛髪洗浄剤中たとえば2質量%以下であり、1.5質量%以下が好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、塩類の含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1.5質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。
【0078】
また、本発明の水性毛髪洗浄剤は、毛髪のまとまり、毛髪のボリューム効果の観点から、ベンジルアルコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択される一種以上のアルコールをさらに含む構成としてもよい。ポリプロピレングリコールとしては、たとえば数平均分子量100〜1000のものを用いることができ、数平均分子量300〜500のものが好ましい。ここで、数平均分子量とは、GPCにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
アルコールは、水性毛髪洗浄剤中に2種以上を併用してもよく、またその合計含有量は、毛髪のまとまり、毛髪のボリューム効果、毛髪のハリ・弾力向上の観点から、水性毛髪洗浄剤全体に対してたとえば0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
【0079】
また、本発明の水性毛髪洗浄剤は、毛髪のツヤやまとまりを向上させる観点から、毛髪に適用する際のpH(水で20質量倍希釈、25℃)が2〜8であるのが好ましく、さらに3〜7であるのが好ましい。
【0080】
pH調整剤としては、炭素数2〜8の有機カルボン酸が挙げられ、さらに具体的には、ヒドロキシモノカルボン酸およびジカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシモノカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、パントテン酸等が挙げられる。ジカルボン酸の具体例としては、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸等が挙げられる。上記有機カルボン酸から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。さらには、酸性での泡立ちを向上、ボリュームアップ効果の観点から、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸が好ましく、乳酸、リンゴ酸がより好ましい。
【0081】
上記有機酸は、2種以上を併用してもよい。水性毛髪洗浄剤中の炭素数2〜8の有機カルボン酸の含有量は、毛髪のツヤの観点から0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。また、水性毛髪洗浄剤中の炭素数2〜8の有機カルボン酸の含有量は、まとまりを向上させる観点から5質量%以下、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。これらを総合すると、炭素数2〜8の有機カルボン酸の含有量は、毛髪のツヤやまとまりを向上させる観点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中に0.01〜5質量%が好ましい。より一層好ましくは0.05〜3質量%、さらに0.1〜2質量%が好ましい。
また、他のpH調整剤として、これら有機カルボン酸と合わせて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム等の塩基を用いてもよい。
【0082】
本発明における水性毛髪洗浄剤は、以上の成分(A)〜(C)および水以外の成分をさらに含んでもよい。
たとえば、本発明における水性毛髪洗浄剤は、成分(C)以外のカチオン化ポリマーを含む構成とすることができる。成分(C)以外のカチオン化ポリマーとしては、
カチオン性澱粉;
ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社製、カルタレチン)等の共重合体、特開昭53−139734号公報に記載されているカチオン性ポリマー、特開昭60−36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられる。
【0083】
また、成分(C)以外のカチオン化ポリマーとして用いることができる他の市販品として、CTFA名ポリクォータニウム−7)、ルビクァットFC370(BASF社製、1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩の共重合体;CTFA名ポリクォータニウム−16)等が挙げられる。
【0084】
成分(C)以外のカチオン化ポリマーは、単独でも2種以上を併用してもよく、すすぎ時の毛髪のきしみ感を低減する観点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤全体に対してたとえば0.01〜3質量%とすることができ、0.02〜2質量%とすることが好ましく、0.05〜1質量%とすることがさらに好ましい。
【0085】
本発明における水性毛髪洗浄剤には、さらに洗浄性能を向上させるため、非イオン界面活性剤または両性界面活性剤を含有させてもよい。以下の非イオン界面活性剤または両性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0086】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド類、モノアルケニルグリセリルエーテル類等が挙げられる。
【0087】
これらのうち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン(C8〜C20)脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、アルキルグリコシド類が好ましい。
【0088】
また、脂肪酸アルカノールアミドも好適であって、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、炭素数8〜18、さらには炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましい。また、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、たとえばオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0089】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等がより好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、さらには炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
また、他の両性界面活性剤として、ラウリルヒドロキシスルタイン等のスルタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0090】
これらの非イオン界面活性剤または両性界面活性剤は、水性毛髪洗浄剤中に単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の水性毛髪洗浄剤を水性液状洗浄剤の形態とする場合には、成分(A)とともに、脂肪酸アミドプロピルベタイン、脂肪酸アルカノールアミドまたはモノアルキルグリセリルエーテルを用いると、起泡力がより良好となるだけでなく、適度な液性が得られるため、特に好ましい。
【0091】
水性毛髪洗浄剤中の非イオン界面活性剤または両性界面活性剤の含有量は、良好な増泡効果が得られるという観点から0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、良好な増泡効果と安定性の観点から10質量%以下、好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。これらを総合すると、非イオン界面活性剤または両性界面活性剤の含有量は、良好な増泡効果が得られるという観点から、本発明における水性毛髪洗浄剤全体に対してたとえば0.01〜10質量%とすることができ、0.05〜6質量%とすることが好ましく、0.1〜4質量%とすることがさらに好ましい。
【0092】
本発明における水性毛髪洗浄剤には、乾燥後の仕上がり向上のため、さらに、カチオン界面活性剤または成分(B)以外のシリコーン類をさらに配合することができる。
【0093】
カチオン界面活性剤としては、たとえば、(xxi)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(xxii)アルコキシトリメチルアンモニウム塩、(xxiii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、(xxiv)アルキルジメチルアミンおよびその塩、(xxv)アルコキシジメチルアミンおよびその塩、(xxvi)アルキルアミドジメチルアミンおよびその塩等が挙げられる。
【0094】
(xxi)アルキルトリメチルアンモニウム塩
アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、たとえば下記一般式で表されるものが挙げられる。
22−N+(CH33-
(上記式中、R22は炭素数12〜22のアルキル基を示し、Z-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンを示す。)
さらに具体的には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0095】
(xxii)アルコキシトリメチルアンモニウム塩
アルコキシトリメチルアンモニウム塩としては、たとえば下記一般式で表されるものが挙げられる。
23−O−R24−N+(CH33-
(上記式中、R23は炭素数12〜22のアルキル基を示し、R24はヒドロキシ基が置換していてもよいエチレン基またはプロピレン基を示し、Z-は上記と同じである。)
さらに具体的には、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0096】
(xxiii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩
ジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、たとえば下記一般式で表されるものが挙げられる。
(R252+(CH32-
(上記式中、R25はそれぞれ独立して炭素数12〜22のアルキル基またはベンジル基を示し、Z-は上記と同じである。)
さらに具体的には、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0097】
(xxiv)アルキルジメチルアミンおよびその塩
アルキルジメチルアミンおよびその塩としては、たとえば下記一般式で表されるものおよびその塩が挙げられる。
26−N(CH32
(上記式中、R26は炭素数12〜22のアルキル基を示す。)
さらに具体的には、ベヘニルジメチルアミンやステアリルジメチルアミンおよびそれらの有機酸塩が挙げられる。
【0098】
(xxv)アルコキシジメチルアミンおよびその塩
アルコキシジメチルアミンおよびその塩としては、たとえば下記一般式で表されるものおよびその塩が挙げられる。
27−O−R28−N(CH32
(上記式中、R27は炭素素数12〜22のアルキル基を示し、R28はエチレン基またはプロピレン基を示す。)
【0099】
(xxvi)アルキルアミドジメチルアミンおよびその塩
アルキルアミドジメチルアミンおよびその塩としては、たとえば下記一般式で表されるものおよびその塩が挙げられる。
29−C(=O)NH−R30−N(CH32
(上記式中、R29は炭素数11〜21のアルキル基を示し、R30はエチレン基またはプロピレン基を示す。)
【0100】
上記(xxi)〜(xxvi)以外のカチオン界面活性剤としてとしては、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム(アルカノイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムのエチル硫酸塩、アルカノイル基はラノリン由来)、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルトリエチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C14〜C20)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C18〜C22)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソステアリン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソノナン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムおよびアルキルトリメチルアンモニウムサッカリンなどが挙げられる。
【0101】
カチオン界面活性剤は、単独でも2種以上を併用してもよく、水性毛髪洗浄剤中、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの観点から0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、泡立ちの観点からたとえば3質量%以下、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。これらを総合すると、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、カチオン界面活性剤の含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.01〜3質量%が好ましく、さらには0.02〜1質量%、泡立ちの観点から、0.05〜0.1質量%が好ましく、実質的に含まないことが好ましい。
【0102】
成分(B)以外のシリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が例示される。中でも、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンが好ましい。
【0103】
このうち、ジメチルポリシロキサンは、毛髪に良好な潤滑性を付与することができ、ポリエーテル変性シリコーンは、毛髪に滑らかさを付与することができ、アミノ変性シリコーンは、毛髪にしっとり感を付与することができる。本発明においては、求める性能に応じて、各種のシリコーン類を単独でまたは2種以上を使用することができる。ジメチルポリシロキサンとしては、求める感触に応じて5mm2/s程度の粘度のものから、エマルションとして供給される場合が多い1000万mm2/s程度の粘度のものまで使用できるが、5000〜1000万mm2/s、さらには5万〜1000万mm2/sのものが好ましい。
【0104】
ポリエーテル変性シリコーンは、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン類であればよく、ポリオキシアルキレン基を構成する基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基を挙げることができる。より具体的には、たとえば、KF-6015、KF-945A、KF-6005、KF-6009、KF-6013、KF-6019、KF-6029、KF-6017、KF-6043、KF-353A、KF-354A、KF-355A(以上、信越化学工業社製)、FZ-2404、SS-2805、FZ-2411、FZ-2412、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、SH3749、SS-280Xシリーズ、BY22-008M、BY11-030、BY25-337(以上、東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0105】
アミノ変性シリコーンとしては、平均分子量が約3×103〜1×105の、アモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国、Cosmetic Ingredient Dictionary)第3版中に記載されているものが好ましい。市販品としては、SM 8704C(東レ・ダウコーニング社製)、DC 929(ダウ・コーニング社製)、KT 1989(GE東芝シリコーン社製)、8500 Conditioning Agent、DOW CORNING TORAY SS-3588、DOW CORNING TORAY SILSTYLE 104(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0106】
成分(B)以外のシリコーン類の含有量は、水性毛髪洗浄剤中、洗髪後の指通性の観点から0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、べたつき感のなさの観点からたとえば20質量%以下、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。これらを総合すると、成分(B)以外のシリコーン類の含有量は、指通り性や、べたつき感のなさの点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.05〜20質量%が好ましく、さらには0.1〜10質量%、さらに0.5〜5質量%が好ましい。
【0107】
本発明における水性毛髪洗浄剤は、さらにエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールジ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノアルキルエーテルまたはエチレングリコールジアルキルエーテルを含むパール化剤を含有していてもよい。
【0108】
エチレングリコールモノ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールモノステアリン酸エステル、エチレングリコールモノベヘニン酸エステルなど、エチレングリコールジ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールジステアリルエステル、エチレングリコールジベヘニルエステルなどが挙げられる。エチレングリコールモノアルキルエーテルとしてはエチレングリコールモノステアリルエーテルなどが挙げられる。また、エチレングリコールジアルキルエーテルとしてはエチレングリコールジステアリルエーテルなどが挙げられる。
【0109】
これらは単独でも2種以上を併用してもよく、またその含有量は、水性毛髪洗浄剤中、すすぎ時滑らかさ向上の観点から0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、保存安定性の向上の観点から10質量%以下、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。これらを総合すると、上記パール化剤の含有量は、水性毛髪洗浄剤の保存安定性の向上および泡立て時、すすぎ時の滑らかさ向上の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.1〜10質量%が好ましく、さらには0.2〜5質量%、さらに0.5〜4質量%が好ましい。
【0110】
また、本発明の水性毛髪洗浄剤には、他のコンディショニング剤として、油剤を含有することができる。油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;
ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油、ヒマワリ油、椿油等のグリセリド類;
ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;
セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、グリセリン、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等のアルコール類;
パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2−エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル類;
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸類;
その他イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、高級アルコール類が好ましく、特にミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヒマワリ油、椿油が好ましい。
【0111】
これらの油剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができ、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中の毛髪のコンディシュニング効果の観点から0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、毛髪のべたつきの観点から2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。これらを総合すると、水性毛髪洗浄剤中の油剤の含有量は、0.001〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1.5質量%、さらに0.01〜1質量%が好ましい。
【0112】
本発明の水性毛髪洗浄剤においては、上記成分のほか、通常の水性毛髪洗浄剤に用いられる成分を目的に応じて適宜配合できる。このような任意成分としては、たとえば、抗フケ剤、ビタミン剤、殺菌剤、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸とその誘導体等の抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、ソルビトール、パンテノール等の保湿剤、染料、顔料等の着色剤、ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻または真珠から得られる蛋白質またはその加水分解物、蜂蜜、ローヤルゼリー、シルクから得られる蛋白質またはその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、アロエ抽出物、ハス抽出物、ザクロ抽出物、ノバラ抽出物、カモミラ抽出物、カンゾウ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類、酸化チタン等の前述した成分以外のパール化剤、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シアバター、ローズ水、オレンジ油、ユーカリ油等が挙げられる。本発明の水性毛髪洗浄剤は、成分(A)〜(C)とこれら他の成分とを混合して水に溶解することで製造される。
【0113】
本発明の水性毛髪洗浄剤の形態は、液状、ゲル状等適宜選択できるが、溶剤として水または低級アルコール、さらには水を用いた液状のものが好ましい。
【0114】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0115】
たとえば、本発明は、以下の態様も含む:
前記本発明における水性毛髪洗浄剤の、頭皮に適用した後に、泡立て、洗い流し、乾燥する使用。
上記乾燥は、自然乾燥、タオルドライ、ドライヤー使用いづれの方法を行ってもよい。洗髪、乾燥後の毛髪は、立ち上がり、ボリューム効果、ごわつきの抑制、残留感の抑制に優れている。
【実施例】
【0116】
以下の実施例および比較例において、特記しない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。また、各種物性の測定法は以下のとおりである。
まず、以下の例で用いたポリマーの製造方法を説明する。
【0117】
(合成例1)オルガノポリシロキサンAの合成
硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン34.4g(0.36モル)を、脱水した酢酸エチル87.0gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、数平均分子量1.3×103のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量5×104、アミン当量2000)100gを加えて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(138g、収率98%)として得た。最終生成物中のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%、重量平均分子量は7×104であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、最終生成物中に約20質量%のアミノ基が残存していることがわかった。また、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)は、71/29であった。
【0118】
(合成例2)オルガノポリシロキサンBの合成
硫酸ジエチル6.2g(0.040モル)と2−エチル−2−オキサゾリン27.2g(0.27モル)を、脱水した酢酸エチル67.7gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、数平均分子量8×102のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量5×104、アミン当量2000)100gを加えて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(131g、収率98%)として得た。最終生成物中のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は75質量%、重量平均分子量は6.7×104であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、最終生成物中に約20質量%のアミノ基が残存していることがわかった。また、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)は、75/25であった。
【0119】
(合成例3)オルガノポリシロキサンCの合成
硫酸ジエチル5.5g(0.036モル)と2−エチル−2−オキサゾリン144.5g(1.46モル)を、脱水した酢酸エチル304.6gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、数平均分子量4.3×103のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量5×104、アミン当量2000)100gを加えて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(245g、収率98%)として得た。最終生成物中のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は40質量%、重量平均分子量は1.25×105であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、最終生成物中に約29質量%のアミノ基が残存していることがわかった。また、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)は、50/50であった。
【0120】
(合成例4)オルガノポリシロキサンDの合成
硫酸ジエチル0.8g(0.005モル)と2−エチル−2−オキサゾリン12.8g(0.14モル)を脱水した酢酸エチル29.0gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、数平均分子量2.7×103のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。さらに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量1×105、アミン当量20000)100gを加えて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(111g、収率98%)として得た。最終生成物中のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は88質量%であり、重量平均分子量は1.1×105であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、最終生成物中にアミノ基は残存していないことがわかった。また、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)は、88/12であった。
【0121】
合成例1〜4で得られたオルガノポリシロキサンA〜Dおよび以下の例で用いた他のポリマーの物性を表1に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
なお、表1中、各合成例で得られたポリマーの貯蔵弾性率および粘着力は、それぞれ、発明を実施するための形態の項にて前述した方法で測定した。
【0124】
(実施例1〜9、比較例1〜9)
表2に示す水性毛髪洗浄剤(シャンプー)を、常法により調製し、以下の評価方法により評価した。その結果を表2に示す。なお、pHは各組成物を水で20質量倍希釈し、25℃で測定した値である。
【0125】
(1)毛髪(根元)の立ち上がり
図1は、本実施例における毛髪の立ち上がり易さの評価方法を説明する図である。
7×7cmの面積に(シートに対し)同じ方向に60°の角度で200本/cm2の密度を植毛したトレス(髪の長さ30cm)を用いた。本トレスを各試験サンプル(2g)で洗浄・すすぎ後、50℃(乾燥機)で下向き(髪が垂れ下がる様に)に乾燥した後に、髪の生え面を上向きに戻して髪全体を生え向きと逆の方向に流した時のシートから髪の最頂部(最表面)までの高さ(図1中、矢印間の高さ)を測定した。
【0126】
(2)乾燥後の見た目のボリューム感
コーカシアン毛(ブロンド)を植毛したウィッグ(マネキンの頭で髪の長さはショート〜ミディアム)を用い、各試験サンプル(6g)で洗浄・すすぎ後、タオルドライしてドライヤー(手グシのみ)で完全に乾燥した後の見た目のボリューム感を5段階評価で判定した。判定は、以下の処方にて得られた標準シャンプーのボリューム感を標準(評価3点)として採点した。評価5点は非常にボリュームがある;評価4点はボリュームがある;評価2点はあまりボリュームがない;評価1点はボリュームがないと判定し、表示したスコアは6名の評価の積算値で求めた(30点満点)。
【0127】
・標準シャンプーの処方(pH6.3)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩 10.6質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 4.0質量%
塩化ナトリウム 0.5質量%
コカミドプロピルベタイン 3.0質量%
ベンジルアルコール 0.3質量%
リンゴ酸 0.1質量%
精製水 残量
【0128】
また、毛髪重量10g(幅5cm、長さ25cm)の毛髪束を、次の方法で処理しながら官能評価を行った。表2に示す水性毛髪洗浄剤2gで洗浄、30秒間約40℃の流水下で濯ぎ、ついで、タオルドライを行い、ドライヤーで十分に乾燥させた後、専門パネリストによる官能評価を行なった。表示したスコアは6名の評価の積算値で求めた(30点満点)。
(3)乾燥後の髪のごわつきのなさ
5:ごわつかない
4:あまりごわつかない
3:ややごわつく
2:ごわつく
1:非常にごわつく
【0129】
(4)残留感(油性感)のなさ
5:残留感を感じない
4:あまり残留感を感じない
3:やや残留感を感じない
2:残留感を感じる
1:非常に残留感を感じる
(5)すすぎ時のなめらかさ
5:非常になめらかに感じる
4:なめらかに感じる
3:ややなめらかに感じる
2:あまりなめらかさを感じない
1:なめらかさを感じない
【0130】
【表2】
【0131】
*1 ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EO2モル):ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、エチレンオキシド質量平均付加モル数2
*2 ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EO1モル):ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、エチレンオキシド質量平均付加モル数1
*3 カチオン化グアーガム:ジャガーC−17(ローディア社製)
*4 カチオン化ローカストビーンガム:カチナールCLB−100(東邦化学社製)
*5 カチオン化ヒドロキシエチルセルロース:カチセロM−80(花王社製)
*6 塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体:マーコート550(ルブリゾール社製)
*7 ヒドロキシエチルセルロース:HEC4400h(住友精化社製)
*8 ポリビニルアルコール:ポリビニルアルコール(日本合成化学工業)
【0132】
(実施例10〜11)
以下に示す組成の水性毛髪洗浄剤を、常法により調製し評価した。なお、pHは各組成物を水で20質量倍希釈し、25℃で測定した値である。
【0133】
(実施例10)シャンプー(pH6.0)
ラウリルエーテル(2)硫酸ナトリウム 10.6質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 4.0質量%
合成例2で得たポリ(N−アシルアルキレンイミン)
変性シリコーン(オルガノポリシロキサンB) 0.5質量%
カチオン化グアーガム 0.2質量%
(ローディア社製:ジャガーC−14S)
塩化ナトリウム 0.5質量%
カチオン化ヒドロキシエチルセルロース 0.1質量%
(花王社製:ポイズM−80)
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 0.2質量%
(ルビゾール社製:マーコート550)
ラウリン酸 0.4質量%
コカミドプロピルベタイン 3.0質量%
イソデシルグリセリルエーテル 0.5質量%
エチレングリコールジステアリル 1.5質量%
ミリスチルアルコール 0.3質量%
ジメチルポリシロキサン 0.5質量%
ポリプロピレン(7)グリコール(分子量420) 0.1質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1質量%
ジンクピリチオン 1.0質量%
ベンジルアルコール 0.3質量%
リンゴ酸(50%溶液) 0.1質量%
乳酸(90%溶液) 0.1質量%
安息香酸ナトリウム 0.1質量%
エタノール 0.3質量%
ユーカリエキス 0.1質量%
カモミラエキス 0.05質量%
パンテノール 0.05質量%
シルクエキス 0.05質量%
アロエエキス 0.05質量%
海藻エキス 0.05質量%
オレンジ油 0.05質量%
水酸化カリウム 適量
香料 適量
精製水 残量
【0134】
実施例10のシャンプーは、洗髪、乾燥後の毛髪の立ち上がり、ボリューム効果に優れ、ごわつき、残留感が抑制された。
【0135】
(実施例11)シャンプー(pH5.8)
ラウリルエーテル(2)硫酸ナトリウム 10.6質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 4.0質量%
合成例2で得たポリ(N−アシルアルキレンイミン)
変性シリコーン(オルガノポリシロキサンB) 0.5質量%
カチオン化グアーガム 0.2質量%
(ローディア社製:ジャガーC−14S)
塩化ナトリウム 0.5質量%
カチオン化ヒドロキシエチルセルロース 0.1質量%
(花王社製:ポイズM−80)
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 0.2質量%
(ルブリゾール社製:マーコート550)
ラウリン酸 0.4質量%
コカミドプロピルベタイン 3.0質量%
イソデシルグリセリルエーテル 0.5質量%
エチレングリコールジステアリル 1.5質量%
ミリスチルアルコール 0.3質量%
ジメチルポリシロキサン 0.5質量%
ポリプロピレン(7)グリコール(分子量420) 0.1質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1質量%
ピロクトンオラミン 0.5質量%
(ローディア社製: オクトピロックス)
ベンジルアルコール 0.3質量%
リンゴ酸(50%溶液) 0.1質量%
乳酸(90%溶液) 0.1質量%
安息香酸ナトリウム 0.1質量%
エタノール 0.3質量%
ユーカリエキス 0.1質量%
カモミラエキス 0.05質量%
パンテノール 0.05質量%
シルクエキス 0.05質量%
アロエエキス 0.05質量%
海藻エキス 0.05質量%
オレンジ油 0.05質量%
水酸化カリウム 適量
香料 適量
精製水 残量
【0136】
実施例11のシャンプーは、洗髪、乾燥後の毛髪の立ち上がり、ボリューム効果に優れ、ごわつき、残留感が抑制された。
【0137】
本発明は、以下の態様も含む。
<1>
次の成分(A)、(B)、(C)および水を含有する、水性毛髪洗浄剤:
(A)アニオン界面活性剤、
(B)主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、
【化10】
(上記一般式(1)中、R6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは2または3である。)、
前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が5.0×102〜1.8×103であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜82/18であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1×104〜1×105であるオルガノポリシロキサン、
(C)(c−1)および(c−2)から選ばれる一種以上のカチオン化ポリマー
(c−1)セルロース骨格もしくはガラクトマンナン骨格を有するカチオン化ポリマー、
(c−2)ジアリルジメチルアンモニウム塩骨格を有するカチオンポリマー。
【0138】
<2>
次の成分(A)、(B)、(C)および水を含有する、水性毛髪洗浄剤:
(A)アニオン界面活性剤、
(B)主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、
【化11】
(上記一般式(1)中、R6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは2または3である。)、
前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が5.0×102〜1.8×103であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜82/18であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1×104〜1×105であるオルガノポリシロキサン、
(C)ガラクトースとマンノースの比が1:2〜1:4であるカチオン化ガラクトマンナン。
<3>
次の成分(A)、(B)、(C)および水を含有する、水性毛髪洗浄剤:
(A)アニオン界面活性剤、
(B)周波数2Hz、ひずみ0.01%にて、25℃から−130℃まで30分間で降温した後5℃/2minの速度で昇温させた際の20℃における貯蔵弾性率が1×105〜1×107Paであり、JIS Z3284に準じて測定される粘着力が50〜500gfであり、重量平均分子量が5×102〜5×105であるポリマー、
(C)ガラクトースとマンノースの比が1:2〜1:4であるカチオン化ガラクトマンナン。
<4>
前記成分(B)が、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、
【化12】
(上記一般式(1)中、R6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは2または3である。)、
前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が5.0×102〜1.8×103であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜82/18であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1×104〜1×105であるオルガノポリシロキサンである、前記<3>に記載の水性毛髪洗浄剤。
<5>
前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が8.0×102以上1.4×103以下である、前記<1>、<2>または<4>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<6>
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が70/30〜79/21である、前記<1>、<2>、<4>または<5>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<7>
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1.7×103以上3.0×103以下である、前記<1>、<2>、<4>乃至<6>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<8>
前記成分(B)が、
周波数2Hz、ひずみ0.01%にて、25℃から−130℃まで30分間で降温した後5℃/2minの速度で昇温させた際の20℃における貯蔵弾性率が1×105〜1×107Pa、好ましくは3×105〜8×106Pa、さらに好ましくは5×104〜1×106Pa、あるいは周波数2Hz、ひずみ0.01%にて、25℃から−130℃まで30分間で降温した後5℃/2minの速度で昇温させた際の80℃における貯蔵弾性率が3×104〜1×105Paであり、JIS Z3284に準じて測定される粘着力が50〜500gf、好ましくは100〜400gfであり、重量平均分子量が5×102〜5×105、好ましくは1×103〜1×105であるポリマー
である、前記<1>乃至<7>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<9>
当該水性毛髪洗浄剤全体中、前記成分(A)の含有量が1質量%以上30質量%以下であり、前記成分(B)の含有量が0.05質量%以上4質量%以下であり、前記成分(C)の含有量が0.01質量%以上3質量%以下である、前記<1>乃至<8>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<10>
前記成分(C)に対する前記成分(B)の質量比(B)/(C)が0.2以上15以下である、前記<1>乃至<9>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<11>
前記成分(C)に対する前記成分(B)の質量比(B)/(C)が0.5以上10以下である、前記<1>乃至<10>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<12>
前記成分(C)が、(c−1)である、前記<1>乃至<11>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<13>
前記(c−1)が、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、およびカチオン化グアガムから選ばれる一種以上である、前記<12>に記載の水性毛髪洗浄剤。
<14>
前記成分(C)が、(c−2)である、前記<1>乃至<11>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<15>
前記(c−2)が、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリルアミドの構成モノマーが共重合した2元系や3元系のカチオン化ポリマーである、前記<14>に記載の水性毛髪洗浄剤。
<16>
前記成分(C)が、ガラクトースとマンノースの比が1:2〜1:4であるカチオン化ガラクトマンナンである、前記<1>乃至<11>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<17>
前記成分(C)が、カチオン化グアーガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、および塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体のいずれかである、前記<1>乃至<11>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<18>
前記成分(A)が、下記一般式(11)で表される一種以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩:
11O(CH2CH2O)uSO3M (11)
(上記一般式(11)中、R11は炭素数10〜18のアルキル基またはアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンまたは塩基性アミノ酸を示し、uは質量平均で0.5〜5の数を示す。)
である、前記<1>乃至<17>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<19>
塩類として無機塩を含み、当該水性毛髪洗浄剤全体中の前記塩類の含有量が0.01〜2質量%である、前記<1>乃至<18>記載のいずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<20>
ベンジルアルコール、ポリプロピレングリコールからなる群から選択される一種以上のアルコールをさらに含み、当該水性毛髪洗浄剤全体中の前記アルコールの含有量が0.01質量%以上5質量%以下である、前記<1>乃至<19>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<21>
炭素数2〜8の有機酸をさらに含み、当該水性毛髪洗浄剤全体中の前記有機酸の含有量が0.01質量%以上5質量%以下である、前記<1>乃至<20>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤。
<22>
前記<1>乃至<21>いずれか一に記載の水性毛髪洗浄剤の、頭皮に適用した後に、泡立て、洗い流し、乾燥する使用。
図1