特許第5986587号(P5986587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986587
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】位置割付けインジケータシステム
(51)【国際特許分類】
   F16L 15/04 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   F16L15/04 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-554492(P2013-554492)
(86)(22)【出願日】2012年2月13日
(65)【公表番号】特表2014-511463(P2014-511463A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】US2012024807
(87)【国際公開番号】WO2012115809
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2014年12月9日
(31)【優先権主張番号】13/368,004
(32)【優先日】2012年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/444,912
(32)【優先日】2011年2月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512125862
【氏名又は名称】ハンティング エナジー サービシーズ、インク
【氏名又は名称原語表記】HUNTING ENERGY SERVICES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ゲルマン ホセ リヴェロ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス イー.,ジュニア ダン
(72)【発明者】
【氏名】クラウディ ワイン パーカー
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5040827(US,A)
【文献】 特開昭60−242979(JP,A)
【文献】 米国特許第4835873(US,A)
【文献】 特開2003−35387(JP,A)
【文献】 特開2001−214437(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0273586(US,A1)
【文献】 特開昭64−26088(JP,A)
【文献】 特開昭61−2992(JP,A)
【文献】 米国特許第5661888(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 15/00 − 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
適正な割付けトルクで適正なシーリング位置決めを有する割付けられた管状連結部を形成するためにねじ付きパイプ部分を位置割付けによって連結する方法であって、
外ねじ付きパイプピン端を含む第1のパイプ部分を提供するステップと、
内ねじ付きボックス端を含む第2のパイプ部分を提供するステップと、
一連の所望のサイズのパイプ連結部のそれぞれに関する特定のテーパ及び割付け損失で製造される管状割付けステンシルプレートを提供するステップであって、前記ステンシルプレートが前記パイプピン端をねじが嵌合する状態で受け入れるように設計され、前記割付けステンシルプレートが、前記パイプピン部材の前記外ねじ付き面と嵌合する内ねじ付き表面を有する管状部材であり、前記割付けステンシルプレートが、前記嵌合するピン部材の前記割付けプレートの適正なゼロ点を保証する内部ショルダ止めも有する、ステップと、
インジケータ先端部を有するダイヤル・インジケータを前記インジケータ先端部が前記割付けステンシルプレートの外側延長部と面一となる状態で前記第1のパイプ部分に配置するステップと、
前記ダイヤル・インジケータをゼロ位置に設定するステップと、
前記割付けステンシルプレートを除去し、前記第2のパイプ部分を前記第1のパイプ部分のピン端に手締めで設置するステップと、
その後、前記第2のパイプ部分を前記第1のパイプ部分の最終的な位置にトルクで締めるためにパワートルク装置を用いるステップと、
前記第2のパイプ部分の前記外側延長部が前記ダイヤル・インジケータの前記先端部に当接し、且つ前記インジケータが所与の所定の許容差を示すと、前記トルクを停止するステップと、
前記管状連結部の最終的な位置が所定の許容差内であるかを、スケールを用いて検証するステップと、
を含み、
前記いずれのパイプ部分も、ポジティブトルク止めを与えるために接触する、嵌合するピン端との非アプセットねじ式継手連結のパイプストリングの一部であり、
前記第2のパイプ部分が、前記継手のための一対の対向配置されたボックス端を形成する、対向する内ねじ付き表面を有する継手であり、
前記継手の内ねじ付き表面がショルダをもたないものである、
方法。
【請求項2】
前記パイプストリングが油田ケーシング又は配管の一部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
適正な割付けトルクで適正なシーリング位置決めを有する割付けられた管状連結部を形成するためにねじ付きパイプ部分を位置割付けによって連結する方法であって、
外ねじ付きパイプピン端を含むパイプピン部材の形態の第1のパイプ部分を提供するステップと、
対向配置された内ねじ付き表面と内ねじ付きボックス端を含む継手部材の形態の第2の嵌合するパイプ部分を提供するステップと、
一連の所望のサイズのパイプ連結部のそれぞれに関する特定のテーパ及び割付け損失で製造される管状割付けステンシルプレートを提供し、前記ステンシルプレートを前記パイプピン端にねじが嵌合する状態で締め付けるステップであって、前記割付けステンシルプレートが、前記パイプピン部材の前記外ねじ付き面と嵌合する内ねじ付き表面を有する管状部材であり、前記割付けステンシルプレートが、前記嵌合するピン部材の前記割付けプレートの適正なゼロ点を保証する内部ショルダ止めも有するものである、ステップと、
インジケータ先端部及び磁石基部を有するダイヤル・インジケータを前記インジケータ先端部が前記割付けステンシルプレートの外側延長部と面一となる状態で前記第1のパイプ部分に配置するステップであって、前記ダイヤル・インジケータが前記磁石基部によって前記第1のパイプ部分の適正な位置に保持されるステップと、
前記ダイヤル・インジケータをゼロ位置に設定するステップと、
前記割付けステンシルプレートを除去し、前記パイプ継手の選択されたボックス端を前記第1のパイプ部分のピン端に手締めで設置するステップと、
その後、前記パイプ継手を前記第1のパイプ部分の最終的な位置にトルクで締めるためにパワートルク装置を用いるステップと、
前記パイプ継手の外側延長部が前記ダイヤル・インジケータの先端部に当接し、且つ前記インジケータが所与の所定の許容差を示すと、前記トルクを停止するステップと、
その後、ピン端を有する第3のパイプ部分を前記継手の反対端内に設置するステップと、
前記管状連結部の最終的な位置が所定の許容差内であるかを、スケールを用いて検証するステップと、
を含み、
前記いずれのパイプ部分も、ポジティブトルク止めを与えるために接触する、嵌合するピン端との非アプセットねじ式継手連結のパイプストリングの一部であり、
前記継手の内ねじ付き表面がショルダをもたないものである、
方法。
【請求項4】
前記パイプストリングが、油田ケーシング又は配管の一部分である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記パワートルク装置が、パワートング及びパワーバッキングユニットからなる群から選択される装置である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
位置割付けプレートの使用が、位置割付けを千分の数インチの範囲内に制御するのに用いることができる、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、パイプストリングにおけるパイプジョイントに関し、より詳細には、油田の管状物品で用いられる継手などのパイプの連結部の位置割付けを正確に判定するためのプレート−インジケータ位置割付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油及びガス掘削作業、仕上げ作業、産出作業、及び刺激作業のための多様なドリルパイプ、配管、及びケーシング(管状物品)が現時点で利用可能である。油田で用いられるこうした管状物品の一部分(例えば坑井ケーシング又は配管チューブの長い一部分)の場合、こうしたパイプの一部分は、普通は、ピン部材と呼ばれるテーパ付き外ねじ付きの雄端を有する。そのようなピン部材は、ボックス部材と呼ばれるねじ付き端を有する継手、カラー、又は一体の雌パイプ部分にねじ込まれる。これらのボックス部材は、ねじ式連結を形成するためにピン部材と嵌合するのにそれらのそれぞれのピン部材に対応する内ねじ付きのテーパ付きねじ面を有する。
【0003】
これらのジョイントに関する1つのタイプの連結部は、トルクショルダなしにその組み立てを達成する米国石油協会(American Petroleum Institute:API)ねじ式継手連結部(threaded and coupled connection)である。これらのテーパ付き連結部は、回転トルクによって生じる増加する係合によるピン部材とボックス部材との間のシールを提供するために、増加する支圧応力を提供する。API連結部の性能はジョイントの割付け組立(係合)状態に高く依存することが石油産業ではよく知られており、したがって、ジョイントが適正に割り付けられるかどうかを判定することが重要である。摩擦に関連した要因、例えば、ねじ山ドープ、めっきのタイプ及び厚さ、表面仕上げ、偏心、楕円度(ovality)、不純物(土又は錆)、及び外部要因、例えば、坑井の場所で生じるスタブ位置合わせ及び風荷重を含む多くの要因が、組立プロセスの完全性に影響することがある。
【0004】
油田管状連結部の割付けを監視し及び制御するために、従来技術では多数の方法が用いられている。1つのタイプの方法は、ジョイント又はパワー割付けトングに取り付けられ及びトルクに関して較正されたロードセルの読出しに基づく「トルク−オンリー」法である。この方法は、あらゆる状況での許容差外のねじ、クロススレッディング、又はかじり(galling)などの品質管理問題を見分けるのに十分な情報を提供しないので限界を有する。
【0005】
第2の方法である「トルク−ターン」は、トルクとターンとの両方を監視するのにコンピュータ及び幾つかのセンサを含む洗練された電子機器を必要とし、これは運転費を追加し、パイプ部分の稼働時間(running time)を遅延させる。「トルク−ターン」法は、比較的低い値、典型的には最小トルクの10パーセントである基準トルクに対して極めて敏感である。このトルクは、時々、APIトルク推奨によって決定されることがある。この基準トルクに達した後で、管状連結部の割付けにおいて所定の数のターンがカウントされる。前述の品質管理問題又は組立状態のうちの1つに起因してターンカウンタを始動させる偽の基準トルクが生じる場合、不適切なジョイント割付けが結果的にもたらされるであろう。
【0006】
第3の方法では、管状ジョイント間の品質が優れたねじ連結部にかかるトルクが監視され、ターンの数ではなく時間の関数としてプロットされる。このようにして、連結部の割付け中に金属と金属とのシーリング接触が達成される時点でのトルクを検出することができる。さらに、ショルダリングが行われた後で連結部のトルク応答が監視される場合がある。
【0007】
上記の進歩にもかかわらず、石油及びガス産業では、こうしたジョイントの割付けの完全性を現場で視覚的に判定し、これにより「トルク−ターン」法又は「トルク−タイム」法で用いられるような複雑な計装の必要性、又は関係する計装に関する入念な較正方法の必要性をなくす、簡易化された方法が、長い間切実に必要とされている。提案された方法は、パイプの開放端から測定するバレットの使用、及びパイプの外径に設けた恒久的なマークの使用を含んでいる。これらの技術のそれぞれは幾つかの欠点を有する。バレット法は、非常に正確であるが、フック付きねじ山にのみ効果を発揮する。開放端からの測定は、幾つかのバッキングユニットでは可能ではなく、厄介な場合があり、結果的に容易に間違いを生じる可能性がある。外径に設けた恒久的なマークの使用は、マークを付ける際に生産を遅延させることがあり、位置管理があまり正確ではない場合がある。
【0008】
結果として、ジョイントを割付けするためのこれらの上記の方法を用いる場合であっても、依然として問題が生じ続け、産業はこうしたジョイントを形成するときの問題に依然として悩まされる。これらの問題は、不適切に割付けられたジョイントにおける良好なシーリングの欠如に起因して流入する及び流出するパイプ漏れを含む。以下の引用特許は、前述の問題を解決するための従来技術における他の試みの典型的なものであるが、当該分野での従来技術の単なる代表的なものとして理解されるべきである。これらの引用特許のそれぞれは、ねじ付きパイプ連結部に適正にトルクをかける方法に主に対応する。
【0009】
米国特許第4,962,579号は、ジョイントが正しい量のトルクで適正に割付けられたかどうかをリグ床で視覚的に判定する方法を教示する。ピン部材と継手又はボックス部材との適正な軸方向係合のための見当合わせマークが第1のパイプ部分の外部に付される。位置は有限要素解析によって決定される。
【0010】
米国特許第5,212,885号は、ねじ付きパイプ部分の適正なシーリング位置決め及び適正な割付けトルクを達成する方法を示す。ボックス部材の面がパイプ部分の三角形マークに対して適正に位置決めされる場合、割付けが終了する。面が三角形マークの縁に到達していない場合、面が三角形マークの本体に進入するまで又は最大トルクが生じるまでトルクが増加される。
【0011】
米国特許第4,614,120号は、パイプジョイントのための適正な割付けトルクを判定する方法を示す。基準マークが雄要素及び雌要素に設定される。ジョイントにグリースが塗られ、ジョイントは1つの要素を他の要素に対して回転させるのに十分なトルクを用いて割付けられる。ジョイントは、1つの要素が、基準マークが互いに面する点を超える所定の角度に達するまでトルクをかけられる。この動作は、特定のグリースが用いられるときにジョイントに適用されるトルクの範囲が判定される状態で繰り返される。
【0012】
米国特許第5,661,888号は、2つのねじ付きパイプを相対軸方向位置の目標範囲内に置くための装置を示す。装置は、ピン及びボックス部材に付される視覚的「ベンチマーク」を用いることを上回る利点をおそらく与えるであろう。装置は、センサと、パイプのうちの1つの端からの較正された距離にセンサを位置決めするための較正装置とを含む。信号発生器は、パイプの相対軸方向位置が所望の目標範囲内であることをセンサヘッドが示すと信号を発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、油田の管状物品及び同様の連結部で用いられる継手などのパイプの連結部の位置割付けを判定するための改善された方法に対する必要性が存在し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の方法は、適正な割付けトルクで適正なシーリング位置決めを有する割付けられた管状連結部を形成するためにねじ付きパイプ部分を連結するのに用いられる。方法は、外ねじ付きパイプピン端を含む第1のパイプ部分及び内ねじ付きボックス端を含む第2のパイプ部分で始まる一連のステップを含む。所望のサイズの一連のパイプ連結部のそれぞれに関する特定のテーパ及び割付け損失で製造される管状割付けステンシルプレートが提供される。ステンシルプレートは、パイプピン端をねじが嵌合する状態で受け入れるように設計される。インジケータ先端部をもち且つまた磁石基部を有する従来のダイヤル・インジケータが、インジケータ先端部が割付けステンシルプレートの外側延長部と面一となる状態で第1のパイプ部分に配置され、ダイヤル・インジケータは磁石基部によって定位置に保持される。ダイヤル・インジケータはゼロ位置に設定される。次いで、割付けステンシルプレートが除去され、第2のパイプ部分が第1のパイプ部分のピン端に手締めで締め付けられる。その後、パワートルク装置が、第2のパイプ部分を第1のパイプ部分にトルクで締めるのに用いられる。パワートルク装置は、例えば、バッキングユニット又はパワートングのいずれかとすることができる。パワートルク装置を用いる割付け動作は、変位を容易に制御するために低回転又は低ギアでなされる。第2のパイプ部分の外側延長部がダイヤル・インジケータの先端部に当接し、且つインジケータが所与の所定の許容差を示すと、トルク適用動作が停止される。
【0015】
割付けステンシルプレートは、パイプピン部材の外ねじ付き面と嵌合する内ねじ付き表面を有する管状部材である。割付けステンシルプレートは、嵌合するピン部材の割付けプレートの適正なゼロ点を保証する内部ショルダ止めも有する。
【0016】
好ましくは、第2のパイプ部分は、継手のための一対の対向配置されたボックス端を形成する対向する内ねじ付き表面を有するパイプ継手である。継手の内ねじ付き表面は、好ましくはショルダをもたない。好ましいパイプ部分は、ポジティブトルク止めを与えるためにピンのノーズとノーズが接触する嵌合するピン端との非アプセットねじ式継手連結のパイプストリングの一部である。好ましいパイプストリングは、油田ケーシング又は配管の一部分とすることができる。説明される位置割付けプレートの使用は、位置割付けを千分の数インチの範囲内に制御するのに用いることができる。
【0017】
高価でないことに加え、この改善は、ジョイントが適正に割付けられるかどうかをリグ床で又はパイプラックで視覚的に判定するのに簡単な方法を提供し、これにより、APIテーパねじ付きジョイント又は連結部の効果的なシーリングを提供する。
【0018】
付加的な目的、特徴、及び利点が、以下に記載される説明で明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1Aは、嵌合する継手の4分の1断面図である。図1Bは、1つのパイプピン端の4分の1断面図であり、図1Bのピンと図1Aの継手は、それぞれのねじ付き表面及び継手の1つのボックス端内のピン端の相対割付け深さを示すために離間して示されている。
図2】嵌合するパイプ継手内に受け入れられたピン端を示し且つ継手中心線を示す、部分的に切り取られた斜視図である。
図3】本発明の割付け方法で用いられる割付けステンシルプレート及びダイヤル・インジケータ装置の位置決めを示す、パイプのピン端の4分の1断面図である。
図4図3と同様であるが、継手がパワータイト位置に割付けられている状態でピンパイプ端が継手の1つのボックス端内に挿入される、本発明の方法における後続するステップを示す図である。
図5】連結部の割付け損失の測定を示す、嵌合する継手内に設置されたピンパイプ端の4分の1断面図である。
図6】本発明の方法で用いられるタイプのダイヤル・インジケータ測定装置の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に記載される説明で提示される本発明の好ましい例並びにその種々の特徴及び有利な詳細が、付属の図面の内容及び以下の説明で詳述される限定ではない例を参照しながらより十分に説明される。本明細書に記載の本発明の原理となる特徴を不必要に不明瞭にすることのないように、周知のコンポーネント及びプロセス並びに製造技術の説明は省略される。以下の説明で用いられる例は、本発明が実施される可能性がある方法の理解を容易にすること、及びさらに当業者が本発明を実施できるようにすることのみを意図される。したがって、これらの例は、特許請求される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0021】
本発明の方法を用いて割付けられる管状連結部のコンポーネントが図面の図1A及び図1Bに示され、以下で詳細に説明される。「割付け」という用語は、ピンコネクタへの継手又はボックスコネクタのパワータイト適用を意味するようにとられる。本発明は、例えば、油田の配管又はケーシングと共に用いることができる。本発明の連結部は、とりわけ、内部ショルダ止めを有さないショルダのない設計の、管状継手又はカラーに特に有用である。市販の及び本発明の幾つかの原理に従って割付けすることができる1つの例示的な連結部は、テキサス州ヒューストンのHunting Energy Servicesによって販売されるTKC 4040 RTC(商標)連結部である。この特定の連結部は、割付け時のピンノーズのショルダリングの結果としてポジティブトルク止めを与える、嵌合するピン端との非アプセットねじ式継手連結部である。したがって、本発明は、内部部分、外部部分、又は中間一部分のトルクショルダなしに又はくさび形ねじなどなどの特別なねじなしにその連結を達成するテーパねじ式継手連結部に有利に用いられる。このテーパ付き連結部は、より詳細に後述するように、適正な割付けトルクで適正な軸方向の位置決めでその所望のシーリングを達成する。
【0022】
外ねじ付きパイプピン端13を有する第1の雄パイプ部分11が図1Bに示される。ピン端13は、図1Aに示される第2の雌パイプ部分12の内ねじ付き表面15、17のうちの1つにねじで係合される。図1Aから分かるように、第2の雌パイプ部分又は継手12は、対向するボックス端開口部を有する。第2の雌パイプ部分は、内向きにテーパするが、内部ショルダ止めを有さない。雌継手の中心線が、垂直な線19によって示される。これは、それぞれの雄パイプ部分のピンノーズが割付け時に接触してポジティブトルク止めを与える、おおよその地点である。
【0023】
本発明の方法は、適正な割付けトルクで適正なシーリング位置決めを有する割付けられた管状連結部を形成するために前述のタイプのねじ付きパイプ部分を連結するのに用いることができる。この方法は、ここで主に図面の図2図6を参照して説明される。本発明の方法は、図3に21として示される特製の「管状割付けステンシルプレート」を用いる。割付けステンシルプレートは、それ自体が、パイプピン部材11の外ねじ付き表面13と嵌合する内ねじ付き表面23を有する管状部材であり、この場合、ステンシルプレートは、ねじが嵌合する状態でパイプピン端に受け入れられる。割付けステンシルプレートは、一連の所望のパイプ連結部サイズのそれぞれに関する特定のテーパ及び割付け損失で製造される。割付け損失は、図5に概して「l1」で示される雄ピン端の上の雌ボックス端の重なり量である。割付けステンシルプレートは、嵌合するピン部材11上の割付けプレートの適正なゼロ点を保証する内部ショルダ止め25も有する。ステンシルプレート21は、ユーザがステンシルプレートをパイプピン端に係合させるのを支援するために、ハンドル27も備えてもよい。
【0024】
本発明の方法における次のステップで、ダイヤル・インジケータ(図3の29)などの位置ロケータが、ダイヤル・インジケータがゼロ位置に設定されたときにインジケータの先端部31が割付けステンシルプレート21の外側延長部と面一となる状態で第1のパイプ部分13の外部に配置される。ダイヤル・インジケータはまた、ダイヤルゲージ及びプローブ・インジケータとして知られており、小さい直線距離を正確に測定するのに用いられる市販の機器である。それらは、一般に旋盤加工及び機械加工などの工業環境及び機械環境で頻繁に用いられる。それらは、ダイヤルによって測定結果が典型的に拡大された状態で表示されることから名付けられている。ダイヤル・インジケータは、典型的に0.00005〜0.001の目盛りで0.015から12.0インチまでの範囲を測定する。図面で例証されるダイヤル・インジケータ29は、永久磁石32を付加することによって改造されている。インジケータは、ピボット点又はヒンジ34で磁石に接合される。
【0025】
図6は、ダイヤル・インジケータ29の面をより詳細に示す。インジケータ29は、メインダイヤル上の針の回転数を記録するためのより小さな組み込み文字板及び針35を伴う、小さな増分を記録するための目盛り付きダイヤル31及び針33からなる。ダイヤルは、正確な測定のための微細な目盛りを有する。ばね式プランジャ37は、インジケータの本体から後退すること又は延び出ることのいずれかによって、測定される物体と垂直に動く。読取の例として、小針が3から4までの間にあれば、これは、読取値が0.300から0.400インチまでの間であることを示す。大針が52にあれば、最後の整数(0.3インチ)から0.052であることを意味し、読取値は0.352インチとなる。
【0026】
図4で例証される方法における次のステップで、割付けステンシルプレートが除去され、第2のパイプ部分12が第1のパイプ部分11のピンパイプ端に手締めで設置される。その後、パワートルク装置が、第2のパイプ部分を第1のパイプ部分に推奨RPMのトルクで締めるのに用いられる。パワートルク装置は、例えば、リグ床のパワートング、又はパワーバッキングユニットであってもよい。2つのタイプのマシンにおける1つの違いは、「バッキング」マシンが両方のパイプ部分外面をグリップするのに対して、リグ床で用いられるパワートング(浮動又は自由割付けと呼ばれることが多い)は典型的にピン部材パイプ部分のみをグリップすることである。バッキングユニットダイのうちの1つの位置が、図2のブロック38によって簡略化されて示される。トルク装置は、インジケータダイヤルが所望の場所、例えば「ゼロ」から+0.030インチにあるときに停止される。図4は、継手外側延長部36がダイヤル・インジケータ29の先端部31に接触する状態でピン部材13のパワータイト位置に割付けられた継手12を示す。
【0027】
典型的なパイプサイズに関して、トルクは、典型的に、連結部に約5〜14RPMで適用される。割付け速度は、典型的に約14RPMを超えないべきである。割付け速度は、割付け中に過度に変化しないべきであり、ギア変化がない状態で継続するべきではない。以下は典型的な目標RPMである。
(表1)
連結部 目標RPM
2 3/8インチ 14
2 7/8インチ 12
3 1/2インチ 10
4 インチ 8
4 1/2インチ 8
5 インチ 8
5 1/2インチ 8
7 インチ 8
【0028】
次いで、図5で例証されるスケール39などのスケールを用いて開放端を通じた連結部の完全性が典型的に検証される。前述のように、割付け損失「l1」が図5に示されるように測定される。本発明の方法は位置割付け連結部を用いるので、ピンノーズは、継手のほぼ中央に位置するはずである。図5に示される例では、継手の開放端から測定された割付け位置は、約2.750インチ+0.000インチ/ −1/32インチ(2.719インチ〜2.750インチ又は2 23/32インチ〜2 3/4インチスケールの読取値)となるはずである。以下の表は、種々のサイズのパイプに関する幾つかの典型的な割付け損失を示す。
(表2)
サイズ 割付け損失
2 3/8インチ 2.750
5 インチ 3.250
5 1/2インチ 3.750
7 インチ 4.125
【0029】
幾つかの利点を備える発明が提供される。本方法は、迅速かつ生産的な方法で油田の管状連結部を千分の数インチ(0.001インチ)の割付け位置に制御可能にする。これは割付け位置を非常に正確な方法で制御することが必要なときには常に極めて有用である。上記の説明から理解されるように、これは、過去の問題の多くを排除しながら連結部の適正な割付けを保証する、非常に簡単且つ低コストの方法である。オペレータは、継手又はボックス部材へのピン部材の係合量を視覚的に判定するためにダイヤル・インジケータを用いることができる。さらに、比較的低い及び非常に変化する基準トルク値への依存性は存在しない。この方法は、複雑な計装を採用しない若しくは複雑な設定又は数学的較正を必要としない。
【0030】
本発明はその形態のうちの1つで示されているが、それに限定されず、その精神から逸脱することなく種々の変化及び修正が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6