(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記先端部から前記基端部に向かう前記電極母材の長手方向に対して平行に前記電極チップの軸心を通る仮想面で切断した前記接地電極の断面において、前記母材面に対する前記凹部の深さは、前記長手方向に平行な前記凹部の幅より浅い、請求項1に記載のスパークプラグ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
A.第1実施形態
A−1.スパークプラグの構成
図1は、スパークプラグ10の部分断面を示す説明図である。
図1には、スパークプラグ10の軸心である軸線CAを境界として、軸線CAより紙面左側にスパークプラグ10の外観形状が図示され、軸線CAより紙面右側にスパークプラグ10の断面形状が図示されている。本実施形態の説明では、スパークプラグ10における
図1の紙面下側を「先端側」といい、
図1の紙面上側を「後端側」という。
【0015】
スパークプラグ10は、中心電極100と、絶縁体200と、主体金具300と、接地電極400とを備える。本実施形態では、スパークプラグ10の軸線CAは、中心電極100、絶縁体200および主体金具300の各部材における軸心でもある。
【0016】
スパークプラグ10は、中心電極100と接地電極400との間に形成された間隙SGを先端側に有する。スパークプラグ10の間隙SGは、火花ギャップとも呼ばれる。スパークプラグ10は、間隙SGが形成された先端側を燃焼室920の内壁910から突出させた状態で内燃機関90に取り付け可能に構成されている。スパークプラグ10を内燃機関90に取り付けた状態で高電圧(例えば、1万〜3万ボルト)を中心電極100に印加した場合、間隙SGに火花放電が発生する。間隙SGに発生した火花放電は、燃焼室920における混合気に対する着火を実現する。
【0017】
図1には、相互に直交するXYZ軸を図示した。
図1のXYZ軸は、後述する他の図におけるXYZ軸に対応する。
【0018】
図1のXYZ軸のうち、X軸は、Y軸およびZ軸に直交する軸である。X軸に沿ったX軸方向のうち、+X軸方向は、
図1の紙面奥から紙面手前に向かう方向であり、−X軸方向は、+X軸方向の逆方向である。
【0019】
図1のXYZ軸のうち、Y軸は、X軸およびZ軸に直交する軸である。Y軸に沿ったY軸方向のうち、+Y軸方向は、
図1の紙面右から紙面左に向かう方向であり、−Y軸方向は、+Y軸方向の逆方向である。
【0020】
図1のXYZ軸のうち、Z軸は、軸線CAに沿った軸である。Z軸に沿ったZ軸方向(軸線方向)のうち、+Z軸方向は、スパークプラグ10の後端側から先端側に向かう方向であり、−Z軸方向は、+Z軸方向の逆方向である。
【0021】
スパークプラグ10の中心電極100は、導電性を有する電極である。中心電極100は、軸線CAを中心に延びた棒状を成す。本実施形態では、中心電極100は、ニッケル(Ni)を主成分とするニッケル合金(例えば、インコネル600(「INCONEL」は登録商標))から成る。中心電極100の外側面は、絶縁体200によって外部から電気的に絶縁されている。中心電極100の先端側は、絶縁体200の先端側から突出している。中心電極100の後端側は、絶縁体200の後端側へと電気的に接続されている。本実施形態では、中心電極100の後端側は、端子金具190を介して絶縁体200の後端側へと電気的に接続されている。
【0022】
スパークプラグ10の絶縁体200は、電気絶縁性を有する碍子である。絶縁体200は、軸線CAを中心に延びた筒状を成す。本実施形態では、絶縁体200は、絶縁性セラミックス材料(例えば、アルミナ)を焼成することによって作製される。絶縁体200は、軸線CAを中心に延びた貫通孔である軸孔290を有する。絶縁体200の軸孔290には、中心電極100を絶縁体200の先端側から突出させた状態で、中心電極100が軸線CA上に保持されている。
【0023】
スパークプラグ10の主体金具300は、導電性を有する金属体である。主体金具300は、軸線CAを中心に延びた筒状を成す。本実施形態では、主体金具300は、筒状に成形された低炭素鋼にニッケルめっきを施した部材である。他の実施形態では、主体金具300は、亜鉛めっきを施した部材であっても良いし、めっきを施していない部材(無めっき)であっても良い。主体金具300は、中心電極100から電気的に絶縁された状態で絶縁体200の外側面にカシメによって固定されている。主体金具300の先端側には、端面310が形成されている。端面310の中央からは、中心電極100と共に絶縁体200が+Z軸方向に向けて突出している。端面310には、接地電極400が接合されている。
【0024】
スパークプラグ10の接地電極400は、導電性を有する電極である。接地電極400は、電極母材410と、電極チップ450とを有する。電極母材410は、主体金具300の端面310から+Z軸方向に延びた後に軸線CAに向けて屈曲した形状を成す。電極母材410の後端側は、主体金具300に接合されている。電極母材410の先端側には、電極チップ450が接合されている。電極チップ450は、中心電極100との間に間隙SGを形成する。
【0025】
本実施形態では、電極母材410の材質は、中心電極100と同様に、ニッケル(Ni)を主成分とするニッケル合金である。本実施形態では、電極チップ450の材質は、白金(Pt)を主成分とする合金である。他の実施形態では、電極チップ450の材質は、電極母材410より耐久性に優れた材質であればよく、純粋な貴金属(例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)など)であってもよいし、これらの貴金属を主成分とする他の合金であってもよい。白金(Pt)はイリジウム(Ir)より耐酸化性に優れるため、電極チップ450の主成分は白金(Pt)であることが好ましい。
【0026】
A−2.接地電極の詳細構成
図2は、スパークプラグ10の先端側を示す説明図である。
図2における上段の
図2(A)は、中心電極100および接地電極400を+X軸方向から見た部分拡大図である。
図2における下段の
図2(B)は、接地電極400の先端側を−Z軸方向から見た部分拡大図である。
図3は、接地電極400の先端側を切断した断面を示す説明図である。
図3の断面は、
図2(B)の矢視F3−F3から見た接地電極400の部分断面である。
【0027】
中心電極100は、円柱状を成す。中心電極100は、先端面101と側面107とを有する。先端面101および側面107は、中心電極100の先端側の端部を構成する。中心電極100の先端面101は、X軸およびY軸に平行であるとともに+Z軸方向を向く面である。中心電極100の側面107は、軸線CAの周囲に形成されたZ軸に平行な面である。本実施形態では、中心電極100の部位のうち先端面101が、接地電極400の電極チップ450との間に間隙SGを形成する。
【0028】
接地電極400の電極母材410は、母材面411,412,413,414,415,416を有する。母材面411は、電極母材410の後端側から先端側にわたって形成され、後端側から先端側に向かう途中で湾曲しており、接地電極400の先端側において−Z軸方向を向く面である。本実施形態では、母材面411は、後端側ではX軸およびZ軸に平行かつ+Y軸方向を向き、先端側ではX軸方向およびY軸方向に平行かつ−Z軸方向を向いている。母材面412は、電極母材410の後端側から先端側にわたって形成され、接地電極400の先端側において+Z軸方向を向く面である。母材面413は、接地電極400の先端部を構成し、+Y軸方向を向く面である。母材面414は、接地電極400の基端部を構成し、−Z軸方向を向く面である。母材面415は、電極母材410の後端側から先端側にわたって形成され、−X軸方向を向く面である。母材面416は、電極母材410の後端側から先端側にわたって形成され、+X軸方向を向く面である。電極母材410の部位のうち、電極母材410の先端部(母材面413)から基端部(母材面414)へと広がる平坦な面である母材面411の先端側には、電極チップ450が設けられている。「平坦な面である母材面411」とは、母材面411を凹凸のない完全に平坦な面に限定する意図ではなく、母材面411に部分的な凹凸(例えば、電極母材410を屈曲させる際のシワやキズなど)が形成されているような、ほぼ平坦な状態も含む概念である。
【0029】
接地電極400の電極チップ450は、電極母材410の母材面411から−Z軸方向に向けて突出した円柱状の突出部である。本実施形態では、電極チップ450の軸心CAcは、Z軸に平行である。電極チップ450は、チップ面451,453を有する。チップ面451は、X軸およびY軸に平行であるとともに−Z軸方向を向く先端面である。チップ面451は、中心電極100の先端面101との間に間隙SGを形成する。チップ面453は、軸心CAcの周囲に形成されたZ軸に平行な側面である。電極チップ450は、チップ面453における+Z軸方向側の周囲において電極母材410に接合されている。
【0030】
図4は、電極母材410に電極チップ450を接合する様子を示す説明図である。本実施形態では、電極母材410に接合する前の電極チップ450は、チップ面453よりも外側に張り出た張出部459を、チップ面451とは反対側の端部に有する。電極母材410に対する電極チップ450の接合は、電極母材410の母材面411に電極チップ450の張出部459を向けた状態で電極母材410に電極チップ450を配置した後、電極母材410と電極チップ450との境界をレーザ溶接することによって行われる。
【0031】
電極母材410に電極チップ450を接合するレーザ溶接において、レーザを入射する入射方向LDは、電極母材410の母材面411および電極チップ450のチップ面453に対して傾斜する方向であって、電極チップ450の張出部459に向かう方向である。電極母材410に電極チップ450を接合するレーザ溶接において、レーザを移動させる移動方向LMは、電極チップ450の周囲を一周する方向である。
【0032】
電極母材410における電極チップ450の周囲には、電極母材410に電極チップ450を接合するレーザ溶接によって溶融部430が形成されている。溶融部430は、レーザ溶接によって一旦溶融した電極母材410および電極チップ450に由来する金属が凝固した部位(いわゆる、溶接ビード)である。溶融部430は、電極母材410の成分と、電極チップ450の成分とを含有する。溶融部430は、電極チップ450に由来する貴金属成分を含有する。溶融部430は、露出面431と、境界面433とを有する。溶融部430の露出面431は、レーザ溶接時にレーザが入射された部位に形成され、電極母材410および電極チップ450から露出した面である。露出面431は、チップ面453との接点から母材面411との接点にわたって形成されている。溶融部430の境界面433は、電極母材410および電極チップ450との境界を画定する面である。
【0033】
電極チップ450より基端部(母材面414)側には、母材面411より−Z軸方向に窪んだ凹部460が形成されている。
図2(B)では、凹部460にハッチングが施されている。本実施形態では、凹部460は、溶融部430に位置し、露出面431に形成されている。本実施形態では、凹部460は、レーザ溶接において溶融部430が凝固する際に発生する引けに起因して形成される。
【0034】
図3に示す接地電極400の断面は、母材面413から母材面414に向かう電極母材410の長手方向(Y軸方向)に対して平行に電極チップ450の軸心CAcを通る仮想面VPで接地電極400を切断した断面である。本実施形態では、
図3に示す溶融部430の断面形状において、母材面411に対する凹部460の深さDcは、電極母材410の長手方向(Y軸方向)に平行な凹部460の幅Lcより浅い。他の実施形態では、深さDcは、幅Lcより深くてもよい。深さDcは、例えば、0.1〜0.8mm(ミリメートル)であってもよい。幅Lcは、例えば、0.7〜2.0mmであってもよい。
【0035】
図3において、仮想線LPは、溶融部430よりX軸方向側に広がる母材面411を仮想面VPへと直角投影した投影線である。本実施形態では、電極チップ450は、母材面411より沈み込んでいる。基点Aは、仮想線LPが露出面431に交わる+Y軸方向側の交点であり、基点Bは、仮想線LPが露出面431に交わる−Y軸方向側の交点である。本実施形態では、基点Bは、露出面431の端点でもある。本実施形態では、幅Lcは、基点Aと基点Bとを結ぶ線分ABの長さであり、深さDcは、線分ABに直交する方向の深さである。
【0036】
本実施形態では、電極チップ450は、凹部460に向けて張り出した張出部459を有する。本実施形態では、張出部459は、レーザ溶接によって溶融されずに残された部分である。本実施形態では、張出部459は、凹部460から突き出た角部459cを有する。本実施形態では、角部459cは、ほぼ直角である。
【0037】
A−3.評価試験
図5は、スパークプラグ10の着火性を評価した結果を示すグラフである。
図5の評価試験では、試験者は、電極チップ450の先端径ODcおよび凹部460の有無が異なる複数のスパークプラグ10を試料として用意し、各試料の着火性を評価した。試験者は、先端径ODcが異なる5種類の電極チップ450ごとに、凹部460を有する試料と、凹部460を有しない試料とを作製し、合計10種類の試料を用意した。
【0038】
各試料における電極母材410の仕様は、次の通りである。
・材質:インコネル601
・先端側における断面寸法(X軸方向の長さ):2.7mm
・先端側における断面寸法(Z軸方向の長さ):1.3mm
【0039】
各試料における電極チップ450の仕様は、次の通りである。
・材質:白金(Pt)を主成分とし20質量%のイリジウム(Ir)を含有する合金
・形状:円柱
・先端径ODc:0.6mm、0.7mm、1.0mm、1.4mm、1.7mm
・溶接前における軸心CAc方向の長さ:1.1mm
・溶接後における母材面411からの突出量:1.0mm
【0040】
凹部460を有する各試料における凹部460の仕様は、次の通りである。
・幅Lc:0.7mm
・深さDc:0.4mm
【0041】
試験者は、各試料に対する着火性試験を次の手順で実施した。
手順1:観察窓が設けられた燃焼室に試料を装着。
手順2:燃焼室にプロバンガスを導入。
手順3:試料に通電することによってプロパンバスに着火し、高速度カメラを用いて観察窓から火炎核をシュリーレン撮影。
手順4:シュリーレン撮影による画像を解析することによって、火炎核の基点を中心に半径3.0mmの円に火炎核が到達するまでに要する時間である火炎到達時間を測定。
手順5:各試料ごとに手順2〜4を5回実施。
手順6:先端径ODcが0.6mmである凹部460を有しない試料を基準試料とし、この基準試料の火炎到達時間の平均値に対する各試料の火炎到達時間の比率である火炎到達時間比率Rtを算出。
【0042】
図5には、電極チップ450の先端径ODcを横軸にとり、火炎到達時間比率Rtの逆数を縦軸にとって、各試料における着火性試験の結果が示されている。火炎到達時間比率Rtの逆数は、その値が大きいほど、着火性に優れていることを示す。
図5における各点は、各試料に関する火炎到達時間比率Rtの測定値に対応する。
図5における各曲線は、各試料に関する火炎到達時間比率Rtの平均値に対応する。
【0043】
図5の結果によれば、各試料の着火性は、凹部460の有無にかかわらず、電極チップ450の先端径ODcが大きくなる程、低下する。この結果は、電極チップ450の先端径ODcが大きくなる程、火炎核の熱エネルギが電極チップ450に奪われやすいことに起因すると考えられる。
【0044】
凹部460を有する試料と、凹部460を有しない試料との対比から、凹部460を有しない試料の着火性は、凹部460を有する試料の着火性と比較して、電極チップ450の先端径ODcが大きくなる程、大きく低下することが分かる。したがって、電極チップ450の先端径ODcが大きい程、電極チップ450の大きさによる着火性の低下を、凹部460によって軽減できると考えられる。
図5の結果によれば、電極チップ450の先端径ODcが1.0mm以上である場合、凹部460によって着火性の低下を効果的に軽減できることが分かる。試験者による他の評価試験によれば、電極チップ450の先端径ODcが3.0mmまでであれば、凹部460によって着火性の低下を効果的に軽減できることが分かった。
【0045】
A−4.効果
以上説明した実施形態によれば、電極チップ450より母材面414側には、母材面411より窪んだ凹部460が形成されている。この形態によれば、電極チップ450より母材面414側において、火炎核と接地電極400との接触を凹部460によって遅延させている間に、火炎核の広がりを促進できる。その結果、スパークプラグ10の着火性を向上させることができる。
【0046】
また、比較的に高い熱エネルギを有する火炎核に接触する凹部460が、電極チップ450の成分によって電極母材410より耐消耗性に優れる溶融部430に位置するため、凹部460が電極母材410に位置する場合と比較して、接地電極400の耐久性を向上させることができる。
【0047】
また、凹部460の深さDcは、凹部460の幅Lcより浅いため、凹部460が深すぎることによって接地電極400が細くなることによる不具合(例えば、接地電極400の先端部から基端部への放熱性の低下、接地電極400の機械的強度の低下など)を抑制できる。
【0048】
また、電極チップ450は、凹部460に向けて張り出した張出部459を有するため、張出部459によって電極チップ450と凹部460との間に空間を確保することによって、火炎核の広がりを更に促進できる。
【0049】
また、張出部459は、溶融部430から突き出た角部459cを有するため、角部459cに電界を集中させることによって火花放電を角部459cに誘導できる。これによって、凹部460を利用した火炎核の広がりを効果的に実現できる。
【0050】
また、電極チップ450の先端径ODcが1.0mm以上である場合、火炎核の熱エネルギが電極チップ450に奪われることによる着火性の低下を、凹部460によって効果的に軽減できる。
【0051】
B.第2実施形態
図6は、第2実施形態のスパークプラグ10における接地電極402の先端側を切断した断面を示す説明図である。第2実施形態のスパークプラグ10は、接地電極400に代えて接地電極402を備える点を除き、第1実施形態と同様である。第2実施形態の接地電極402は、溶融部430によって角部459cが消失している点を除き、第1実施形態の接地電極400と同様である。第2実施形態では、張出部459における−Z軸方向を向く面は、露出している。第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、スパークプラグ10の着火性を向上させることができる。
【0052】
C.第3実施形態
図7は、第3実施形態のスパークプラグ10における接地電極403の先端側を切断した断面を示す説明図である。第3実施形態のスパークプラグ10は、接地電極400に代えて接地電極403を備える点を除き、第1実施形態と同様である。第3実施形態の接地電極403は、凹部460が電極母材410から溶融部430にわたって形成されている点を除き、第1実施形態の接地電極400と同様である。第3実施形態の凹部460のうち電極母材410に形成されている部分は、電極母材410に電極チップ450をレーザ溶接する前に予め形成されていた部分である。第3実施形態では、基点Bは、電極チップ450より−Y軸方向に広がる母材面411の+Y軸方向側の端点である。第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、スパークプラグ10の着火性を向上させることができる。
【0053】
D.第4実施形態
図8は、第4実施形態のスパークプラグ10における接地電極404の先端側を切断した断面を示す説明図である。第4実施形態のスパークプラグ10は、接地電極400に代えて接地電極404を備える点を除き、第1実施形態と同様である。第4実施形態の接地電極404は、レーザ溶接によって張出部459が完全に消失している点を除き、第1実施形態の接地電極400と同様である。第4実施形態によれば、第1実施形態と同様に、スパークプラグ10の着火性を向上させることができる。
【0054】
図9は、第5実施形態のスパークプラグ10における接地電極405の先端側を切断した断面を示す説明図である。第5実施形態のスパークプラグ10は、接地電極400に代えて接地電極405を備える点を除き、第1実施形態と同様である。第5実施形態の接地電極405は、電極チップ450が母材面411に沈み込んでいない点を除き、第1実施形態の接地電極400と同様である。第5実施形態によれば、第1実施形態と同様に、スパークプラグ10の着火性を向上させることができる。
【0055】
E.他の実施形態
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0056】
電極チップ450の材質は、貴金属および貴金属合金に限らず、タングステン(W)であってもよいし、タングステン合金であってもよい。
【0057】
第1〜4実施形態の接地電極400,402,403,404を、張出部459が一周にわたって形成された電極チップではなく、母材面414側にのみに張出部459が部分的に形成されている電極チップを用いて作製してもよい。
【0058】
第4実施形態の接地電極404を、レーザ溶接前から張出部459が形成されていない電極チップを用いて作製してもよい。
【0059】
各実施形態の変形例として、母材面413側に張出部459を残した接地電極を作製してもよい。