(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特性値取得手段が取得した前記特性値が予め定められた調整範囲内に収まったことを報知する報知手段(25)をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電気特性調整装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載のものでは、調整周波数の目標範囲によっては周波数の調整が困難となるという課題があった。
【0008】
具体的には、近年の携帯電話装置のような高性能化が要求される装置において、例えば周波数を調整する場合では、調整周波数の目標範囲として10MHz±10Hzといった高精度の調整が要求される。このような場合には、粗調整の後に微調整を行って目標範囲内に収めるのが効率的であるが、特許文献1記載のものは、粗調整や微調整の構成を備えず、中心周波数10MHzに対して一時に±10Hz内に収める必要があるので、周波数の調整が困難となるという課題があった。
【0009】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、所定の特性値を容易な操作で分かり易く目標範囲内に調整することができる電気特性調整装置及び電気特性調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る電気特性調整装置は、電気的な特性を変化させることが可能な被測定装置(1)から信号を入力し、前記電気的な特性の特性値を目標範囲内に調整する電気特性調整装置(10)であって、前記信号を測定し前記特性値を取得する特性値取得手段(13)と、前記特性値の前記目標範囲を示す第1の最小値及び第1の最大値のデータ
と、前記第1の最小値よりも小さい第2の最小値及び前記第1の最大値よりも大きい第2の最大値のデータとを入力する目標範囲データ入力手段(14)と、所定の最小値から所定の最大値までの範囲を有する軸(35)を基準として前記特性値取得手段が取得した前記特性値を所定の枠体で表示する表示手段(15)と、前記第1の最小値を前記所定の最小値とし前記第1の最大値を前記所定の最大値とした第1の軸(53)を基準として前記特性値取得手段が取得した前記特性値を第1の枠体(43)で前記表示手段に表示させる制御をする第1の表示制御手段(24)と、前
記第2の最小値を前記所定の最小値とし前
記第2の最大値を前記所定の最大値とした第2の軸(51)を基準として前記特性値取得手段が取得した前記特性値を第2の枠体(41)で前記表示手段に表示させる制御をする第2の表示制御手段(22)と、を備えた構成を有している。
【0011】
この構成により、本発明の請求項1に係る電気特性調整装置は、第1の表示制御手段は、第1の最小値から第1の最大値までの第1の軸を基準として特性値を第1の枠体で表示し、第2の表示制御手段は、第1の最小値よりも小さい第2の最小値から第1の最大値よりも大きい第2の最大値までの第2の軸を基準として特性値を第2の枠体で表示するので、特性値の粗調整及び微調整を行うことができる。したがって、本発明の請求項1に係る電気特性調整装置は、特性値を一時に目標範囲内に収める必要がないので、所定の特性値を容易な操作で分かり易く目標範囲内に調整することができる。
【0012】
本発明の請求項2に係る電気特性調整装置は、
前記目標範囲データ入力手段は、前記特性値の前記目標範囲を示す、前記第1の最小値よりも小さく前記第2の最小値よりも大きい第3の最小値及び前記第1の最大値よりも大きく前記第2の最大値よりも小さい第3の最大値のデータ入力するものであり、前
記第3の最小値を前記所定の最小値とし前
記第3の最大値を前記所定の最大値とした第3の軸(52)を基準として前記特性値取得手段が取得した前記特性値を第3の枠体(42)で前記表示手段に表示させる制御をする第3の表示制御手段(23)をさらに備えた構成を有している。
【0013】
この構成により、本発明の請求項2に係る電気特性調整装置は、第1及び第2の表示制御手段に加えて、第1の最小値よりも小さく第2の最小値よりも大きい第3の最小値から第1の最大値よりも大きく第2の最大値よりも小さい第3の最大値までの第3の軸を基準として特性値を表示する第3の表示制御手段をさらに備えるので、特性値の粗調整、中調整及び微調整を行うことができる。したがって、本発明の請求項1に係る電気特性調整装置は、特性値を一時に目標範囲内に収める必要がないので、所定の特性値を容易な操作で分かり易く目標範囲内に調整することができる。
【0014】
本発明の請求項3に係る電気特性調整装置は、前記特性値取得手段が取得した前記特性値の前記第1の軸上における変動幅を算出する変動幅算出手段(72)をさらに備え、前記第1の表示制御手段(71)は、前記変動
幅を示す枠体(73)を表示するものである構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明の請求項3に係る電気特性調整装置は、変動幅を枠体で示すので、特性値が所定の幅で変動している場合でも所定の特性値を容易な操作で分かり易く目標範囲内に調整することができる。
【0016】
本発明の請求項4に係る電気特性調整装置は、前記特性値取得手段が取得した前記特性値が予め定められた調整範囲内に収まったことを報知する報知手段(25)をさらに備えた構成を有している。
【0017】
この構成により、本発明の請求項4に係る電気特性調整装置は、特性値が調整範囲内に収まったことを利用者に報知することができる。
【0018】
本発明の請求項5に係る電気特性調整方法は、電気的な特性を変化させることが可能な被測定装置(1)から信号を入力し、前記電気的な特性の特性値を目標範囲内に調整する電気特性調整方法であって、前記信号を測定し前記特性値を取得する特性値取得ステップ(S16)と、前記特性値の前記目標範囲を示す第1の最小値及び第1の最大値のデータ
と、前記第1の最小値よりも小さい第2の最小値及び前記第1の最大値よりも大きい第2の最大値のデータとを入力する目標範囲データ入力ステップ(S11
、S13)と、所定の最小値から所定の最大値までの範囲を有する軸(35)を基準として前記特性値取得ステップで取得した前記特性値を所定の枠体で表示する表示ステップ(S17、S18、S19)と、を含み、前記表示ステップは、前記第1の最小値を前記所定の最小値とし前記第1の最大値を前記所定の最大値とした第1の軸(53)を基準として前記特性値取得ステップで取得した前記特性値を第1の枠体(43)で表示する制御をする第1の表示制御ステップ(S19)と、前
記第2の最小値を前記所定の最小値とし前
記第2の最大値を前記所定の最大値とした第2の軸(51)を基準として前記特性値取得ステップで取得した前記特性値を第2の枠体(41)で表示する制御をする第2の表示制御ステップ(S17)と、を含む構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明の請求項5に係る電気特性調整方法は、第1の表示制御ステップでは、第1の最小値から第1の最大値までの第1の軸を基準として特性値を第1の枠体で表示し、第2の表示制御ステップでは、第1の最小値よりも小さい第2の最小値から第1の最大値よりも大きい第2の最大値までの第2の軸を基準として特性値を第2の枠体で表示するので、特性値の粗調整及び微調整を行うことができる。したがって、本発明の請求項5に係る電気特性調整方法は、特性値を一時に目標範囲内に収める必要がないので、所定の特性値を容易な操作で分かり易く目標範囲内に調整することができる。
【0020】
本発明の請求項6に係る電気特性調整方法は、
前記目標範囲データ入力ステップは、前記特性値の前記目標範囲を示す、前記第1の最小値よりも小さく前記第2の最小値よりも大きい第3の最小値及び前記第1の最大値よりも大きく前記第2の最大値よりも小さい第3の最大値のデータを入力し、前記表示ステップは、前
記第3の最小値を前記所定の最小値とし前
記第3の最大値を前記所定の最大値とした第3の軸(52)を基準として前記特性値取得ステップで取得した前記特性値を第3の枠体(42)で表示する制御をする第3の表示制御ステップ(S18)をさらに含む構成を有している。
【0021】
この構成により、本発明の請求項6に係る電気特性調整方法は、第1及び第2の表示制御ステップに加えて、第1の最小値よりも小さく第2の最小値よりも大きい第3の最小値から第1の最大値よりも大きく第2の最大値よりも小さい第3の最大値までの第3の軸を基準として特性値を表示する第3の表示制御ステップをさらに含むので、特性値の粗調整、中調整及び微調整を行うことができる。したがって、本発明の請求項6に係る電気特性調整方法は、特性値を一時に目標範囲内に収める必要がないので、所定の特性値を容易な操作で分かり易く目標範囲内に調整することができる。
【0022】
本発明の請求項7に係る電気特性調整方法は、前記特性値取得ステップで取得した前記特性値の前記第1の軸上における変動幅を算出する変動幅算出ステップ(S21)をさらに含み、前記第1の表示制御ステップにおいて、前記変動
幅を示す枠体(73)を表示する構成を有している。
【0023】
この構成により、本発明の請求項7に係る電気特性調整方法は、変動幅を枠体で示すので、特性値が所定の幅で変動している場合でも所定の特性値を容易な操作で分かり易く目標範囲内に調整することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、所定の特性値を容易な操作で分かり易く目標範囲内に調整することができるという効果を有する電気特性調整装置及び電気特性調整方法を提供することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の電気特性調整装置を、被調整装置の出力信号の周波数を調整する周波数調整装置に適用した例を挙げて説明する。
【0027】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態における電気特性調整装置としての周波数調整装置の構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、本実施形態における周波数調整装置10は、被調整装置1が出力する信号の周波数を調整するものである。被調整装置1は、例えば携帯電話装置であって、所定の発振周波数の信号を発生する発振器2と、発振器2の発振周波数を調整する周波数調整部3と、出力端子4と、を備えている。利用者が周波数調整部3を調整することにより、被調整装置1の出力信号の周波数が可変できるようになっている。
【0029】
出力端子4は、周波数調整装置10と同軸ケーブル5を介して接続されている。被調整装置1は周波数調整が終了すると同軸ケーブル5から取り外される。そして、新たな被調整装置1が同軸ケーブル5に接続され、周波数調整が開始される。
【0030】
周波数調整装置10は、例えばスペクトラムアナライザのような計測器に適用できるものである。この周波数調整装置10は、入力端子11、ADC(アナログデジタル変換器)12、周波数測定部13、操作部14、表示部15、表示制御装置20を備えている。この周波数調整装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、各種インタフェースが接続される入出力回路等を備えたマイクロコンピュータを含む。周波数調整装置10は、ROMに予め格納された制御プログラムを実行させることにより、マイクロコンピュータを、ADC12、周波数測定部13、操作部14、表示部15、表示制御装置20等の機能部として機能させるようになっている。
【0031】
入力端子11は、同軸ケーブル5を介して被調整装置1の出力端子4に接続され、被調整装置1からの信号を入力するようになっている。
【0032】
ADC12は、入力端子11を介して被調整装置1からアナログ値の信号を入力し、入力したアナログ値の信号をデジタル値の信号に変換し、周波数測定部13に出力するようになっている。
【0033】
周波数測定部13は、ADC12が出力した信号の周波数を測定することにより、被調整装置1の出力信号の周波数を取得し、取得した周波数のデータを表示制御装置20に出力するようになっている。この周波数測定部13は、本発明に係る特性値取得手段を構成する。
【0034】
操作部14は、被調整装置1の出力信号の周波数調整における各設定条件の入力や、表示部15の表示内容を設定するため利用者が操作するものである。この操作部14は、例えば、キーボード、ダイヤル又はマウスのような入力デバイス、調整条件等を表示するディスプレイ、これらを制御する制御回路やソフトウェア等で構成されている。操作部14に入力される調整条件としては、例えば、周波数調整の目標範囲を示す最小周波数及び最大周波数、周波数調整の目標中心周波数等である。なお、操作部14は、本発明に係る目標範囲データ入力手段を構成する。
【0035】
表示部15は、本発明に係る表示手段を構成し、表示制御装置20の表示制御に基づいて、周波数の調整状況を示す調整バーを表示するようになっている。この調整バーの一例を
図2に示す。
図2に示した調整バー30は、水平方向に長手方向を有する矩形状の形状を有し、後述する枠体が表示される表示領域31と、目標範囲の最小値を示す最小値ライン32と、目標範囲の最大値を示す最大値ライン33と、目標範囲の中心値を示す中心ライン34と、水平方向の周波数の値を示す調整軸35と、を備えている。
【0036】
調整軸35は、粗調整を行うための粗調整軸、微調整を行うための微調整軸、粗調整よりも細かく微調整よりも大まかな中程度の調整を行うための中調整用調整軸のうちのいずれか1つで表示される。本実施形態では、調整軸35として微調整軸が調整バー30とともに表示部15に表示されるようになっている。
【0037】
表示制御装置20は、調整バー表示部21、第2の表示制御手段としての粗調整枠体表示部22、第3の表示制御手段としての中調整枠体表示部23、第1の表示制御手段としての微調整枠体表示部24、報知手段としての報知部25を備えている。
【0038】
調整バー表示部21は、調整バー30及び微調整軸を表示部15に表示するようになっている。
【0039】
粗調整枠体表示部22、中調整枠体表示部23及び微調整枠体表示部24は、周波数測定部13の測定結果のデータに応じて、調整バー30内を左右に移動する所定の枠体を表示する表示制御を行うようになっている。
【0040】
例えば、
図3に示すように、粗調整枠体表示部22は粗調整を行うための粗調整枠体41を、中調整枠体表示部23は中程度の調整を行うための中調整枠体42を、微調整枠体表示部24は微調整を行うための微調整枠体43を、それぞれ、調整バー30に表示する制御を行うようになっている。なお、粗調整枠体41は、本発明に係る第2の枠体に対応する。また、中調整枠体42は、本発明に係る第3の枠体に対応する。また、微調整枠体43は、本発明に係る第1の枠体に対応する。
【0041】
報知部25は、被調整装置1の出力信号の周波数が所定の範囲内、例えば目標範囲内に収まったことを報知するようになっている。
【0042】
次に、表示制御装置20の機能について
図4〜
図6を用いて説明する。
図4、
図5及び
図6は、それぞれ、粗調整枠体41、中調整枠体42及び微調整枠体43が調整バー30に表示された状態を示している。これらの図において、点線枠内に示した各調整軸は、説明を分かり易くするためのものであり、表示部15には表示されない。この点線枠内には、第2の軸としての粗調整軸51、第3の軸としての中調整軸52及び第1の軸としての微調整軸53が示されている。
【0043】
以下の説明では、調整周波数の目標範囲の最小値を−10Hz、目標範囲の最大値を+10Hz、目標範囲の中心値を10MHzとし、微調整軸53がこれらの各値を有するものとする。中調整軸52は、目標範囲の最小値及び最大値が微調整軸53に対して10倍の重み付けがされており、調整周波数の目標範囲の最小値は−100Hz、目標範囲の最大値は+100Hzとなっている。粗調整軸51は、目標範囲の最小値及び最大値が微調整軸53に対して100倍の重み付けがされており、調整周波数の目標範囲の最小値は−1000Hz、目標範囲の最大値は+1000Hzとなっている。
【0044】
図4に示すように、粗調整枠体表示部22は、周波数測定部13の測定結果の周波数に応じて、粗調整軸51を基準として粗調整枠体41を調整バー30に表示するようになっている。
図4に示した例では、粗調整枠体表示部22は、粗調整軸51の(10MHz+300Hz)の周波数位置に対応した調整バー30の位置に粗調整枠体41を表示している。なお、この例では、中調整軸52及び微調整軸53の範囲外であるので、中調整枠体42及び微調整枠体43(
図3参照)は調整バー30に表示されない。
【0045】
次に、
図5に示すように、中調整枠体表示部23は、周波数測定部13の測定結果の周波数に応じて、中調整軸52を基準として中調整枠体42を調整バー30に表示するようになっている。
図5に示した例では、中調整枠体表示部23は、中調整軸52の(10MHz−80Hz)の周波数位置に対応した調整バー30の位置に中調整枠体42を表示している。ここで、粗調整枠体表示部22は、粗調整軸51の(10MHz−80Hz)の周波数位置に対応した調整バー30の位置に粗調整枠体41を表示している。なお、この例では、微調整軸53の範囲外であるので、微調整枠体43(
図3参照)は調整バー30に表示されない。
【0046】
次に、
図6に示すように、微調整枠体表示部24は、周波数測定部13の測定結果の周波数に応じて、微調整軸53を基準として微調整枠体43を調整バー30に表示するようになっている。
図6に示した例では、微調整枠体表示部24は、微調整軸53の(10MHz+7Hz)の周波数位置に対応した調整バー30の位置に微調整枠体43を表示している。ここで、粗調整枠体表示部22は、粗調整軸51の(10MHz+7Hz)の周波数位置に対応した調整バー30の位置に粗調整枠体41を表示している。また、中調整枠体表示部23は、中調整軸52の(10MHz+7Hz)の周波数位置に対応した調整バー30の位置に中調整枠体42を表示している。
【0047】
図6に示した(10MHz+7Hz)の周波数位置から、利用者が周波数調整部3をさらに調整して周波数を中心値に合わせ込むと
図7に示した表示状態が得られる。すなわち、粗調整枠体41、中調整枠体42及び微調整枠体43の調整軸方向の位置が互いに一致した状態となる。この状態は、被調整装置1の出力信号の周波数が中心周波数10MHzと一致したことを示している。
【0048】
なお、
図4において、被調整装置1の出力信号の周波数が(10MHz+300MHz)の場合に粗調整枠体41のみを示し、調整軸の範囲外にある中調整枠体42及び微調整枠体43が調整バー30に表示されない例を挙げて説明した。この場合、
図8に示すように、中調整枠体42及び微調整枠体43を調整バー30の右端(+側端)に表示することにより、中調整枠体42及び微調整枠体43が調整バー30の右側の非表示領域にあることを利用者に把握させることができ、調整をより行い易くすることができて好ましい。
【0049】
また、
図6において、被調整装置1の出力信号の周波数が目標範囲内に収まったことを条件として、報知部25が、例えば、粗調整枠体41、中調整枠体42及び微調整枠体43を点滅表示させたり、各枠体の色や調整バー30の背景色を目標範囲内に収まる前の色とは異なる色に変化させたりする構成としてもよい。この構成により、本実施形態における周波数調整装置10は、被調整装置1の出力信号の周波数が目標範囲内に収まったことを利用者に容易に把握させることができる。
【0050】
次に、本実施形態における周波数調整装置10の動作について
図9に示すフローチャートを中心に説明する。
【0051】
操作部14を利用者が操作することによって、調整周波数の目標範囲のデータが入力される(ステップS11)。本実施形態では、目標範囲のデータとして、目標周波数の最小値を−10Hz、目標周波数の最大値を+10Hz、目標中心周波数を10MHzとする。この目標範囲のデータは、
図4に示すように、微調整軸53(
図4参照)の最小値、最大値、中心値として設定される。
【0052】
続いて、操作部14を利用者が操作することによって、中調整軸52のデータが入力される(ステップS12)。本実施形態では、中調整軸52の最小値を−100Hz、中調整軸52の最大値を+100Hz、目標中心周波数を10MHzとする(
図4参照)。
【0053】
さらに、操作部14を利用者が操作することによって、粗調整軸51のデータが入力される(ステップS13)。本実施形態では、粗調整軸51の最小値を−1000Hz、粗調整軸51の最大値を+1000Hz、目標中心周波数を10MHzとする(
図4参照)。
【0054】
調整バー表示部21は、調整バー30を表示部15に表示する(ステップS14)。ここで、調整バー30に付随して微調整軸53が表示部15に表示される(
図4参照)。
【0055】
周波数調整装置10は、被調整装置1から信号を入力する(ステップS15)。入力した信号は、ADC12によってアナログ値の信号からデジタル値の信号に変換され、周波数測定部13に入力される。
【0056】
周波数測定部13は、入力した信号の周波数を測定する(ステップS16)。
【0057】
粗調整枠体表示部22は、周波数測定部13が測定して取得した周波数の値に応じて、粗調整軸51を基準として粗調整枠体41で表示する(ステップS17)。周波数調整部3の調整により、被調整装置1の出力信号の周波数が−1000Hzから+1000Hzの範囲内に収まれば、粗調整枠体41は調整バー30内に表示される。
【0058】
中調整枠体表示部23は、周波数測定部13が測定して取得した周波数の値に応じて、中調整軸52を基準として中調整枠体42で表示する(ステップS18)。周波数調整部3の調整により、被調整装置1の出力信号の周波数が−100Hzから+100Hzの範囲内に収まれば、中調整枠体42は調整バー30内に表示される。
【0059】
微調整枠体表示部24は、周波数測定部13が測定して取得した周波数の値に応じて、微調整軸53を基準として微調整枠体43で表示する(ステップS19)。周波数調整部3の調整により、被調整装置1の出力信号の周波数が−10Hzから+10Hzの範囲内に収まれば、微調整枠体43は調整バー30内に表示される。この場合、報知部25により、被調整装置1の出力信号の周波数が目標範囲内に収まったことが報知される。
【0060】
以上のように、本実施形態における周波数調整装置10は、粗調整枠体41、中調整枠体42及び微調整枠体43を調整バー30に表示して周波数を粗調整、中調整及び微調整する構成としたので、周波数をアナログメータで調整しているような感覚で利用者に周波数調整を行わせることができる。したがって、本実施形態における周波数調整装置10は、被調整装置1の出力信号の周波数を容易な操作で分かり易く目標範囲内に調整することができる。
【0061】
なお、前述の実施形態において、微調整軸53を基準として粗調整軸51及び中調整軸52の重み付けを行う例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、粗調整軸51又は中調整軸52を基準としても同様な効果が得られる。
【0062】
また、前述の実施形態において、粗調整軸51、中調整軸52及び微調整軸53の3つの調整軸を用いて周波数を調整する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、粗調整軸51及び微調整軸53の2つの調整軸を用いて周波数を調整する構成であってもよいし、4つ以上の調整軸を設けて周波数を調整する構成であってもよい。
【0063】
また、前述の実施形態において、本発明に係る電気的な特性の特性値として周波数を採りあげたが、本発明はこれに限定されず、周波数以外の電気的な特性の特性値、例えば電圧値の調整であっても同様の効果が得られる。
【0064】
また、前述の実施形態において、枠体を矩形として説明したが、本発明はこれに限定されず、円形や楕円形、その他の多角形、記号等であっても同様の効果が得られる。
【0065】
(第2実施形態)
まず、本発明の第2実施形態における電気特性調整装置としての周波数調整装置の構成について説明する。
【0066】
図10に示すように、本実施形態における周波数調整装置60は、第1実施形態の周波数調整装置10(
図1参照)の表示制御装置20の一部を変更した表示制御装置70を備えたものである。したがって、第1実施形態と同様な構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
本実施形態における表示制御装置70は、第1の表示制御手段としての微調整枠体表示部71、変動幅算出手段としての変動幅算出部72を備えている。
【0068】
微調整枠体表示部71は、変動幅算出部72が算出した算出値に基づいて枠体を表示するようになっている。
【0069】
変動幅算出部72は、周波数測定部13が取得した周波数の値のデータを入力し、入力した周波数の値の微調整軸53上における変動幅を算出するようになっている。
【0070】
具体的には、
図11に示すように、変動幅算出部72は、微調整軸53上において周波数の値が変動する場合に、周波数が小さい側の値の平均値(Ave.Min)と、周波数が大きい側の値の平均値(Ave.Max)と、を算出し、微調整軸53上における周波数の変動幅を求めるようになっている。各平均値は、例えば過去10回の値を対象として算出される。
図11に示した例は、ある調整時における表示状態であり、微調整枠体表示部71によって表示された枠体73により、変動幅が−4Hzから+6Hzまでの範囲であることが示されている。
【0071】
次に、本発明の第2実施形態における周波数調整装置60の動作について
図12に示すフローチャートを中心に説明する。なお、第1実施形態におけるフローチャート(
図9参照)に対して、本実施形態ではステップS21のみが異なるので、ステップS11〜S18については説明を省略する。
【0072】
ステップ21において、変動幅算出部72は、周波数測定部13が取得した周波数の値のデータを入力し、入力した周波数の値の微調整軸53上における変動幅を算出する。微調整枠体表示部71は、変動幅算出部72が算出した算出値(Ave.Min、Ave.Max)に基づいて枠体73を表示する。
【0073】
前述の構成により、本実施形態における周波数調整装置60は、周波数の値が安定しにくい被調整装置1を調整対象とする場合であっても、利用者に感覚的に、周波数の変動幅や、その中心値を読み取らせることができるので、周波数の値を容易な操作で分かり易く目標範囲内に調整することができる。