(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
BVに罹患する、および/またはBVと診断された対象を治療する方法において使用するための組成物であって、前記組成物は、粘膜接着性水系ゲルを含み、前記粘膜接着性水系ゲルは、1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーと、約1.3重量%のメトロニダゾール(MTZ)と、水と、約30重量%〜約60重量%の前記MTZの溶媒系とを含み、前記溶媒系は、1つ以上の低級芳香族アルコール、1つ以上の低級脂肪族ジオールおよび1つ以上の低級ポリオキシアルキレンを含み、単一適用において膣内適用される前記組成物の量は、約60mg〜約100mgのMTZを含有する、組成物。
ヒト死体の皮膚を用いて行われたインビトロフランツセル皮膚透過実験において、角質層および受容液内で測定された前記粘膜接着性水系ゲルからのMTZのレベルが、濃度について正規化されるとき、METROGEL VAGINAL(登録商標)から測定された前記MTZレベルより、それぞれ少なくとも約25〜55倍高く、少なくとも約1〜20倍低い、請求項1に記載の使用するための組成物。
前記粘膜接着性水系ゲルが、制御されたせん断速度法、Bohlin CVO100レオメータ、および表11の前記レオメータ設定を使用して25℃で測定された約200,000mPa〜約400,000mPaの範囲の粘度を有するか、または
前記粘膜接着性水系ゲルが、MG33PBのものの約±10%内の範囲の粘膜接着の程度を有するか、または
前記粘膜接着性水系ゲルが、約30重量%〜約60重量%の水を含む、
請求項1に記載の使用するための組成物または請求項2に記載の粘膜接着性水系ゲル。
前記粘膜接着性水系ゲルが、約pH3.0〜約pH5.0の範囲、好ましくは約pH4.0のpHを有する、請求項1に記載の使用するための組成物または請求項2に記載の粘膜接着性水系ゲル。
前記1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーが、ヒドロキシエチルセルロース、カルボマー、ポリカルボフィル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の使用するための組成物または請求項2に記載の粘膜接着性水系ゲル。
前記粘膜接着性水系ゲルが、約1.3重量%のMTZ、約2重量%のポリカルボフィルAA−1、約2重量%のベンジルアルコール、約15重量%のプロパン−1,2−ジオール、約25重量%のPEG400、約0.08重量%のメチル4−ヒドロキシベンゾエート、および約0.02重量%のプロピル4−ヒドロキシベンゾエートを含む、請求項1に記載の使用するための組成物または請求項2に記載の粘膜接着性水系ゲル。
約1.3重量%のMTZ、約1重量%〜約3重量%の1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、好ましくは約2重量%の総粘膜接着性ゲル化ポリマー、および約40重量%〜約45重量%の前記MTZの溶媒系を含む、粘膜接着性水性ゲルであって、前記溶媒系が、ベンジルアルコール、プロパン−1,2−ジオール、およびPEG400を含み、前記粘膜接着性水性ゲルが、約25℃〜約40℃の範囲内の温度で保存されるとき、18ヶ月の期間の間安定しており、
前記1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーが、好ましくは、架橋アクリル酸ポリマーおよびセルロースポリマーからなる群から選択され、
前記架橋アクリル酸ポリマーが、好ましくは、カルボマーおよびポリカルボフィルからなる群から選択されるか、または
前記セルロースポリマーが、好ましくは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、
請求項2に記載の粘膜接着性水性ゲル。
膣内適用に適した高用量の粘膜接着性MTZ水系ゲルの単位用量形態であって、膣内適用に適した容器に充填された約65mg〜約100mgのMTZを含有する、請求項2によるゲルをある量含み、好ましくは、約65mgのMTZを含有する、前記ゲルをある量含む、単位用量形態。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書に開示される様々な発明のより完全な理解、およびそれに付随する利点の多くは、以下の詳細な説明により提供される。
6.1.定義
【0046】
ここで明細書全体および添付の請求項において使用されるとき、以下の用語および表現は、以下の意味を有するものとする。
【0047】
不定冠詞「a」および「an」、ならびに定冠詞「the」は、それらが使用される文脈がそれ以外を明示しない限り、単数および複数の両方を含むものとする。
【0048】
「少なくとも1つ」および「1つ以上」は同義的に使用され、その項目が列挙される要素の1つまたは複数を含み得ることを意味する。
【0049】
別段の指示がない限り、本明細書および請求項において使用される、成分の量、比率、および数値的特性、反応条件等を表すすべての数値は、「約」という用語によりいかなる場合も修正され得ると考えられることを理解されたい。
6.2.特定の例示的実施形態の詳細な説明
【0050】
要約に記載されるように、本開示は、特に様々な微生物感染を治療するためのMTZの局所送達に有用な、特定の実施形態において、細菌性膣炎(「BV」)に罹患する、またはそれを診断された女性の治療に対する治療的アプローチとしての膣内適用に有用な、高用量粘膜接着性メトロニダゾール(MTZ)水系ゲルを特に提供する。高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、一般にMTZおよび1つ以上のゲル化ポリマーを含み、特定の実施形態において、1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーを含む。
【0051】
2−(2−メチル−5−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)エタノールとしても知られるMTZは、フゾバクテリウム属およびバクテロイデス属(例えば、B.fragilis、B.distasonis、B.ovatus、B.thetaioaomicron、およびB.vulgates)を含む嫌気性グラム陰性桿菌、クロストリジウム属および真正細菌の感受性系統を含む嫌気性グラム陽性桿菌、ならびにペプトストレプトコッカス属を含む嫌気性グラム陽性球菌に対する活性を有するよく知られた抗菌剤である。
【0052】
MTZは、遊離塩基の形態で、または製薬的に許容される酸で形成された塩として、本明細書に記載される高用量ゲルに含まれ得る。製薬的に許容される塩を形成するために適した無機酸は、限定ではなく例として、ハロゲン化水素酸(例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等を含む。製薬的に許容される塩を形成するために適した有機酸には、限定ではなく例として、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、経皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸等)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等)、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸が挙げられる。
【0053】
MTZは、市販されているか、またはよく知られている方法により合成され得る。
【0054】
本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、一般に約1重量%〜約2重量%の範囲の量のMTZを含む。特定の実施形態において、本明細書に記載されるゲルは、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、または約2.0重量%のMTZを含む。
【0055】
高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、1つ以上のゲル化ポリマー、および特定の実施形態において、それらの粘膜接着性およびゲル状特性をゲルに付与する、1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーも含む。本明細書に記載される粘膜接着性水系ゲル中で使用するために適した水性溶液中で粘膜接着性ゲルを形成する多様なポリマーは、当該技術分野において既知であり、限定ではなく例として、多糖親水コロイド(例えば、粘液、キサンタンガムおよびトラガカント等のガム、ならびにグルカンを含む)、セルロースおよび修飾セルロース(例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシセルロース、およびカルボキシセルロースナトリウムを含む)、ポロキソマー(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのコポリマー、PLURONICS(登録商標)としても知られる)、カルボマー(アクリル酸の架橋ポリマー)、ポリカルボフィル(ジビニルグリコールで架橋されたポリアクリル酸のポリマー)、veegum(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)、ポリビニルアルコール(PVA)、ゼラチン、アルギニン酸ナトリウム、およびポリビニルピロリドン(PVP)を含む。例示の適切な粘液は、例えば、Malviya et al,2011,「Applications of Mucilages in Drug Delivery−A Review,」Advan Biol Res 5(1):1−7、およびそこで引用される参考文献において認めることができ、それらの開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0056】
いくつかの特定の実施形態において、ゲル化ポリマー(複数可)は、例えば、カルボマーもしくはポリカルボフィル、および/またはセルロースポリマー等のアクリル酸の架橋ポリマーである。適切なセルロースポリマーには、これらに限定されないが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(NECまたはHHX)、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)、およびヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)が挙げられる。適切なカルボマーには、これらに限定されないが、Lubrizol Advanced Materials(Cleveland,Ohio)により商品名CARBOPOL(登録商標)で販売される様々なポリマー、例えば、CARBOPOL(登録商標)ホモポリマー(アリルスクロースまたはアリルペンタエリスリトールで架橋されたアクリル酸のポリマー)、例えば、CARBOPOL(登録商標)71G NF、CARBOPOL(登録商標)971P NF、CARBOPOL(登録商標)974P NF、CARBOPOL(登録商標)980 NF、およびCARBOPOL(登録商標)981 NF;CARBOPOL(登録商標)コポリマー(アリルペンタエリスリトールで架橋されたアクリル酸およびC10〜C30アルキルアクリレートのポリマー)、例えばPEMULEN(商標)TR−1NFおよびPEMULEN(商標)TR−2 NF;CARBOPOL(登録商標)インターポリマー(ポリエチレングリコールおよび長鎖アルキル酸エステルのブロックコポリマーを含有するカルボマーホモポリマーまたはコポリマー)、例えばCARBOPOL(登録商標)ETD 2020 NFおよびCARBOPOL(登録商標)Ultrez 10 NF;「従来の」カルボマー、例えばカルボマー934(CARBOPOL(登録商標)934 NF)、カルボマー934P(CARBOPOL(登録商標)934P NF)、カルボマー940(CARBOPOL(登録商標)940 NF)、カルボマー941(CARBOPOL(登録商標)941 NF)、およびカルボマー1342(CARBOPOL(登録商標)1342P NF)、ならびにポリカルボフィル(NOVEON(登録商標)AA−1 USP)が挙げられる。
【0057】
これらおよび/または他の粘膜接着性ゲル化ポリマーのいずれかは、本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲル中、単独で、または組み合わせで使用され得る。
【0058】
1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーは、典型的に、得られる高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルが25℃で約200,000〜400,000mPaの範囲内、いくつかの特定の実施形態において、25℃で約250,000〜350,000mPaの範囲内の粘度を有するような量で使用され、この粘度は制御されたせん断速度ランプ法、Bohlin CVO100レオメータ、および表11に記載されるレオメータ設定を使用して測定される(以下、実施例5)。使用される特定のゲル化ポリマー(複数可)およびゲル化条件に応じて、この範囲内の粘度を有する水系ゲルは、一般に約0.5重量%〜約5重量%の範囲のゲル化ポリマー(複数可)の総量をゲルに含めることにより達成される。いくつかの特定の実施形態において、本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、約1重量%〜約3重量%の総ゲル化ポリマー(複数可)を含み、いくつかの特定の実施形態において、約2重量%の総ゲル化ポリマー(複数可)を含む。
【0059】
膣内適用に指定されるゲルは、理想的に、適用時にゲルが漏出するのを防ぐ粘膜接着の程度を呈する必要がある。上述の範囲内の粘度を有するセルロースおよび/またはアクリル酸粘膜接着性ゲル化ポリマーを利用するゲルは、適切な程度の粘膜接着を有する必要がある。異なるゲル化ポリマーは、異なる粘膜接着の程度を呈する。例示のゲルMG33PBのものの約±10%の範囲内の粘膜接着の程度を有する高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを産生するゲル化ポリマー(実施例2および表5に記載される)は、適切に使用され得る。特定の例示の実施形態において、粘膜接着性ポリマー(複数可)は、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボマー、ポリカルボフィル、およびそれらの混合物からなる群から選択される。別の特定の例示の実施形態において、粘膜接着性ポリマー(複数可)は、ポリカルボフィル、例えばLubrizol,Inc.により商品名NOVEON(登録商標)AA−1ポリカルボフィルで販売されるポリカルボフィルである。
【0060】
カルボマー934、ヒドロキシエチルセルロース、またはポリカルボフィルを粘膜接着性ゲル化ポリマーとして利用するために適切な粘度、粘膜接着、および他の望ましい特性を有する高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、実施例2に提供される。
【0061】
要約に記載されるように、MTZの溶解度は、水系ゲル等の水性製剤中でMTZを製剤しようとするときに問題を提示する。本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルの特定の実施形態は、約25℃〜約40℃の範囲の温度で保管されるときに、長期間、例えば少なくとも約6ヶ月安定している2重量%以上の高い濃度でMTZを含有する均質なゲルを産生することが発見された新規の溶媒系を利用する。驚くべきことに、かかる高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、シクロデキストリン、βシクロデキストリン、ナイアシン、ナイアシンアミド、および/または界面活性剤等の水溶液中のMTZの溶解度を増強するために一般に使用される薬剤を用いずに調製することができる。
【0062】
本明細書で使用されるとき、「安定した」とは、ゲルが以下の特性:(1)約25℃の温度で少なくとも6週間の期間保管されたとき、少なくとも約95%のMTZ純度、(2)約25℃の温度で少なくとも6週間の期間保管されたとき、40×の拡大での顕微鏡目視検査時に、基準値と比較して、結晶および/または粒子の形成に顕著な増加がない(例えば、わずか約2倍〜3倍の増加)、(3)約25℃の温度で約6週間の期間保管されたとき、基準値または約2〜8℃の範囲内の温度で保管された対照試料と比較して、25℃で測定されるわずか約±50%の粘度の変化を呈することを意味する。さらに、安定したゲルは、以下の追加の特性:(4)基準値または約2〜8℃の範囲内の温度で保管された対照試料と比較して、約25℃の温度で6週間の期間保管されたとき、約±0.3pH単位未満のpHの変化、(5)基準値または約2〜8℃の範囲内の温度で保管された対照試料と比較して、約25℃の温度で少なくとも6週間の期間保管されたとき、わずか約±20%の保存剤の有用性の変化を呈することが望ましいが必須ではない。高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルの安定性を測定するために適したアッセイは、実施例4および5に提供される。典型的に、新規の溶媒系の特定の構成成分および量は、本明細書に定義されるように安定した高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを産生するように選択される。特定量のMTZを有する安定した高用量MTZ水系ゲルを調製するために有用な溶媒系を選択するためのガイダンスは、実施例のセクションに開示される様々な例示の高用量ゲルにより提供される。
【0063】
いくつかの特定の実施形態において、新規の溶媒系の構成成分および量は、約40℃の温度で約6週間の期間保管されたとき、上述のMTZ純度、均質性、および粘度特性、ならびに随意に上述のpHおよび保存効力特性を有する安定した高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを産生するように選択される。他の特定の実施形態において、新規溶媒系の構成成分および量は、約25〜40℃の範囲内の温度で、特定の実施形態では約25℃もしくは約40℃の温度で6ヶ月の期間、またはそれ以上、例えば18ヶ月もの長期にわたって保管されたとき、上述のMTZ純度、均質性、および粘度特性、ならびに随意に上述のpHおよび保存効力特性を有する安定した高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを産生するように選択される。さらに他の特定の実施形態において、新規の溶媒系の構成成分および量は、約25〜40℃の範囲内の温度で、特定の実施形態では約25℃もしくは約40℃の温度で6ヶ月の期間、またはそれ以上、例えば約18ヶ月もの長期にわたって保管されたとき、上述のMTZ純度、均質性、粘度、pH、および随意に上述の保存効力特性を有する安定した高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを産生するように選択される。
【0064】
様々な新規溶媒系は、上記の要約セクションに記載される。いくつかの特定の実施形態において、新規の溶媒系は、1つ以上の低級芳香族アルコール、1つ以上の低級脂肪族ジオール、および/または約200〜約600(「低級ポリオキシアルキレン」)の範囲内のMWを有する1つ以上のポリオキシアルキレンを含む、三元系である。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「低級アルコール」は、1〜15個の炭素原子を有する飽和および不飽和の非芳香族および芳香族アルコールを含み、随意に1つ以上のヘテロ原子、例えば、1つ以上の酸素原子を炭素原子(複数可)の代わりに含み得る。低級非芳香族アルコールは、直鎖、分枝、または環状の一次、二次、または三次低級脂肪族アルコールおよび低級ヘテロ脂肪族アルコールを含み得る。低級脂肪族アルコールの例には、これらに限定されないが、メタノール、エタノール、プロパン−1−オル、プロパン−2−オル、ブタン−1−オル、ブタン−2−オル、2−メチルプロパン−1−オル、2−メチルプロパン−2−オル、ペンタン−1−オル、ペンタル−2−オル、ペンタン−3−オル、3−メチルブタン−1−オル、ヘキサン−1−オル、ヘキサン−2−オル、ヘキサン−3−オル、およびシクロヘキサノールが挙げられる。低級ヘテロ脂肪族アルコールの例には、これらに限定されないが、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、およびテトラグリコールが挙げられる。いくつかの特定の実施形態において、低級非芳香族アルコール、例えば低級脂肪族および低級ヘテロ脂肪族アルコールは、任意のヘテロ原子を含む1〜8個の非水素原子を含有する。
【0066】
低級芳香族アルコールは、脂肪族アルコールまたはヘテロ脂肪族アルコール等の非芳香族アルコール上の芳香族(例えば、フェニル、ナフチル等)ペンダント基により寄与され得る、芳香族特性を有する低級アルコールを含む。したがって、アルコール基は、フェノール、一次、二次、または三次であってよい。低級芳香族アルコールの例には、これらに限定されないが、フェノール、ベンジル、アルコール、2−メチルベンジルアルコール、およびフェノキシエタノールが挙げられる。
【0067】
本明細書で使用されるとき、「低級脂肪族ジオール」は、2〜10個の炭素原子を含有する飽和または不飽和の直鎖、分枝、または環状脂肪族ジオールを含む。アルコール基は、独立して、互いに一次、二次、または三次であってよい。いくつかの特定の実施形態において、低級脂肪族ジオールは、飽和または不飽和の直鎖または分枝ジオールであり、本明細書では「低級アルキレンジオール」と称される(「低級グリコール」とも称される)。いくつかの特定の実施形態において、低級アルキレンジオールは、飽和直鎖または分枝ジオールであり、本明細書では「低級アルキルジオール」と称される。いくつかの特定の実施形態において、低級アルキルジオールは、直鎖ジオールであり、本明細書では「低級n−アルキルジオール」と称される。本明細書に記載される溶媒系およびゲルにおいて有用低級脂肪族ジオールの特定例には、これらに限定されないが、エタン−1,2−ジオール(エチレングリコール)、プロパン−1,2−ジオール(プロピレングリコール)、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「低級ポリオキシアルキレン」は、低級脂肪族ジオールから形成され、約200〜約600の範囲内の分子量を有するポリマーを含む。本明細書に記載される溶媒系およびゲルにおいて有用な低級ポリオキシアルキレンの特定例には、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 200、PEG 400、およびPEG 600)、ポリプロピレングリコール(例えば、PPG−9)、およびジプロピレングリコールが挙げられる。
【0069】
新規の三元溶媒系は、一般に、約3.5重量%〜約5重量%の総低級芳香族アルコール(複数可)および約95重量%〜約96.5重量%の総低級脂肪族ジオールおよびポリオキシアルキレンの混合物を含み、総低級脂肪族ジオール:総ポリオキシアルキレンの重量比は、約1:1〜約1:2であり、いくつかの特定の実施形態では、約1:1.67である。
【0070】
溶媒系は、追加の薬剤および溶媒、例えば、水溶液中のMTZの溶解度を増強する追加の薬剤または溶媒、例えば、シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ナイアシン、および/またはナイアシンアミドを含み得る。しかしながら、均質であり良好な保存安定特性を有する、高用量MTZ水系ゲルが、そのような追加の溶解剤を含まない溶媒系を使用して調製され得、特定の実施形態では、低級芳香族アルコール、低級脂肪族ジオール、および低級ポリオキシアルキレンのみを含むことを発見した。したがって、いくつかの特定の実施形態において、溶媒系および得られるゲルは、水溶液中のMTZの溶解度を増強する薬剤、例えば、シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ナイアシン、および/またはナイアシンアミド等を実質的に含まない。他の特定の実施形態において、溶媒系は、1つ以上の低級芳香族アルコール、1つ以上の低級脂肪族ジオール、および1つ以上の低級ポリオキシアルキレンからなる三元系である。
【0071】
溶媒系は、一般に、約30重量%〜約60重量%の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲル、ある実施形態において、約40重量%〜約50重量%のゲル、およびいくつかの特定の実施形態では、約40重量%〜約45重量%のゲルを表すが、ゲルはそれよりも多量または少量の総溶媒を含んでよい。
【0072】
特定の有用な三元溶媒系は、1つ以上の低級芳香族アルコールとしてベンジルアルコール、1つ以上の低級脂肪族ジオールとしてプロパン−1,2−ジオール(プロピレングリコール)、および1つ以上の低級ポリオキシアルキレンとして400のMW(PEG 400)を有するポリエチレングリコールを含む。
【0073】
いくつかの特定の実施形態において、本明細書に記載される高用量粘膜接着性水系ゲル中でMTZを溶解するために有用な溶媒系は、得られる高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルに対して、(a)ポリエチレングリコール等のポリオキシアルキレン、例えばPEG 400を、約10重量%〜約50重量%、例えば、約20重量%〜約40重量%、もしくは約20重量%〜約30重量%、特定の実施形態では、約25重量%の濃度で含み、(b)フェノキシエタノールもしくはベンジルアルコール等の低級芳香族アルコール、特定の実施形態では、ベンジルアルコールを、約1.3重量%〜約2.5重量%、もしくは約1.5重量%〜2.0重量%、特定の実施形態では、約2.0重量%の濃度で含み、および/または(c)低級脂肪族ジオール、例えばプロパン−1,2−ジオールを、約3重量%超〜約20重量%、例えば約15重量%〜20重量%、および特定の実施形態では、約15重量%の濃度で含む。
【0074】
さらに他の特定の実施形態において、溶媒系は、(a)PEG 400、(b)PEG 400および低級芳香族アルコール、例えば、ベンジルアルコール、(c)PEG 400、低級芳香族アルコール、例えば、ベンジルアルコールおよびプロパン−1,2−ジオール、(d)低級芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール、ならびに/または(e)プロパン−1,2−ジオールを含む。
【0075】
さらに他の特定の実施形態において、溶媒系は、得られる高用量MTZ粘膜接着性水系ゲルに対して、(a)約25重量%のPEG 400、(b)約25重量%のPEG 400および約2重量%のベンジルアルコール、または(c)約25重量%のPEG 400、約2重量%のベンジルアルコール、および約15重量%のプロパン−1,2−ジオールを含む。
【0076】
膣内適用のために設計されたゲルの場合、膣領域内の標的部位で刺激を生じないベンジルアルコールの濃度を使用することが好ましい。したがって、溶媒系がベンジルアルコールを含むいくつかの特定の実施形態において、ゲルに含まれるベンジルアルコールの量は、約1.3重量%〜約2.5重量%、例えば約1.5重量%〜約2重量%の範囲であり、特定の実施形態では約2重量%である。
【0077】
さらに他の特定の実施形態において、本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、プロパン−1,2−ジオールを少なくとも約3重量%〜約20重量%、例えば約15重量%〜約20重量%、特定の実施形態では約15重量%含む。さらに他の特定の実施形態において、ゲルは、約1.3重量%のMTZおよび約25重量%のPEG 400を含む。さらに他の特定の実施形態において、ゲルは約1.3重量%のMTZ、約25重量%のPEG 400、および約2重量%のベンジルアルコールを含む。さらに他の特定の実施形態において、ゲルは約1.3重量%のMTZ、約25重量%のPEG 400、約2重量%のベンジルアルコール、および約15重量%のプロピレングリコールを含む。
【0078】
さらに他の特定の実施形態において、本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを作製するために有用な溶媒系は、ゲルに対して、(a)約10重量%〜約50重量%、例えば、約20重量%〜約40重量%、または約20重量%〜約30重量%、特定の実施形態では、約25重量%の濃度のPEG 400、(b)約1.3重量%〜約2.5重量%、例えば約1.5重量%〜約2重量%、特定の実施形態では、約2重量%のベンジルアルコール、(c)少なくとも約3重量%〜約20重量%、例えば約15重量%〜約20重量%、特定の実施形態では、約15重量%の濃度のプロパン−1,2−ジオール、(d)約25重量%のPEG 400、(e)約25重量%のPEG 400および約2重量%のベンジルアルコール、ならびに(f)約25重量%のPEG 400、約2重量%のベンジルアルコール、および約15重量%のプロピレングリコールのいずれか1つを含む。
【0079】
本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルのpHは、一般に、意図される適用領域のpHに一致する必要があり、例えば、膣内適用を目的とするときは健常な膣のpHに一致する必要がある。したがって、膣内適用を目的とするゲルの場合、pHは、一般に約pH3〜約pH5の範囲内、例えば約pH4のpHである必要がある。pHは、当該技術分野においてよく知られ、要約のセクションで論じられるように、酸、塩基緩衝液、および他のpH調製剤を用いて調整および/または維持され得る。
【0080】
本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、当該技術分野においてよく知られるように、他の追加の構成成分、例えば1つ以上の保存剤を含むこともできる。使用されるとき、保存剤(複数可)は、一般に、わずか約1重量%または2重量%の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを含み、典型的に約0.25重量%〜約1.0重量%の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを含む。保存剤(複数可)の選択肢は重要でない。医薬製剤に使用するために適した多数の保存剤は、当業者によく知られている。これらの保存剤のいずれか、およびいくつかの特定の実施形態では、抗菌特性を有するものを、単独または組み合わせで、本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲル中で使用することができる。いくつかの特定の実施形態において、1つ以上の保存剤は、パラベンとしても知られる4−ヒドロキシ安息香酸のエステルである。適切なパラベンには、4−ヒドロキシ安息香酸の低級アルキルエステル、例えばメチル4−ヒドロキシベンゾエート(メチルパラベン)、エチル4−ヒドロキシベンゾエート(エチルパラベン)、およびプロピル4−ヒドロキシ−ベンゾエート(プロピルパラベン)が挙げられる。
【0081】
熟練者であれば、本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルにMTZを溶解するために使用される溶媒が、保存特性を有してもよいことを理解するであろう。例えば、ベンジルアルコールは、よく知られた保存特性を有する。新規の溶媒系中の溶媒として使用されるとき、保存特性は有利に使用され得る。実際に、保存特性を持つ溶媒を含むゲルは、追加の保存剤を含む必要がない。溶媒系に含まれる溶媒の保存特性を利用するゲルは、溶媒が経時的に分解および/または酸化し得る例において、ゲルが有効なMTZ溶解特性に加えて、所望の期間後に有効な保存特性を有するある量の未分化および/または未酸化溶媒を保持するように、分解および/または酸化を考慮するある量の過剰を含むべきである。例えば、ベンジルアルコールは、保存特性を有しないベンズアルデヒドに酸化することが知られている。ベンジルアルコールをMTZ溶媒として、および保存剤として用いる、本明細書に記載される高用量MTZゲルの実施形態において、ある量のベンジルアルコールは、MTZを溶解するだけでなく、ゲルの予想される貯蔵期間に対する保存効果をもたらすゲルに含まれる必要がある。ベンジルアルコール、または溶媒系中で一部保存剤として用いられる他の溶媒の過剰量は、所望の保管条件下で、特定溶媒の分解および/または酸化特性、ならびに動態に基づいて決定され得る。
【0082】
保存特性を有する溶媒を含む高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルの実施形態は、1つ以上の追加の保存剤、ならびに/または分解および/もしくは酸化から溶媒を保護するように設計された保存剤を含んでもよい。例えば、ベンジルアルコールの場合、本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、一部ベンジルアルコールを酸化から保護するように、抗酸化特性を有する1つ以上の追加の保存剤を含んでよい。特定の実施形態において、ベンジルアルコールを含む高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、1つ以上のパラベンを追加の保存剤として含む。いくつかの特定の実施形態において、高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、約0.1重量%の総パラベン、ならびにいくつかの特定の実施形態では、約0.02重量%のメチルパラベンおよび約0.08重量%のプロピルパラベンを含む。
【0083】
高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、純水の形態または水性緩衝液の形態のいずれかで水を含んでもよい。典型的に、ゲルに含まれる水の量は、約70重量%未満、より典型的には約60重量%未満、およびいくつかの特定の実施形態では、約45重量%〜約55重量%の範囲である。
【0084】
特定の例示的高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、
(a)少なくとも1.3重量%のMTZ、約1.2重量%〜約2重量%のMTZ、約3重量%〜約1.5重量%のMTZ、または約1.3重量%のMTZと、
(b)1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーと、
を含む。
【0085】
別の特定の例示的高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、
(a)約1.2重量%〜約2重量%のMTZ、例えば約1.3重量%〜約1.5重量%のMTZ、および特定の実施形態では、約1.3重量%のMTZと、
(b)1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーと、
(i)約25重量%のPEG 400、および/または
(ii)約2重量%のベンジルアルコール、および/または
(iii)約15重量%のプロパン−1,2−ジオール
を含む。
【0086】
別の特定の例示的高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、
(a)約1.3重量%のMTZおよび25重量%のPEG 400、
(b)(a)約1.3重量%のMTZ、約25重量%のPEG 400、約2重量%のベンジルアルコール、または
(c)約1.3重量%のMTZ、約25重量%のPEG 400、約2重量%のベンジルアルコール、および約15重量%のプロパン−1,2−ジオール
を含む。
6.3.ゲルを作製する方法
【0087】
本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、一般に、ゲルの水溶性成分を水または緩衝液に溶解して水溶液を産生し、MTZ溶媒系の成分を混合してMTZ溶媒系中に所望の量のMTZを溶解してMTZ溶液を産生し、必要量の水溶液およびMTZ溶液を一緒に混合し、所望の量のゲル化剤を混合液に添加することにより調製され得る。使用されるゲル化ポリマーに応じて、ゲル化ポリマー(複数可)に添加する前に、酸および/または塩基によりMTZ溶液のpHを特定の範囲内に調整し、次に得られるゲルのpHを酸または塩基により所望の特定の範囲内に調整することが望ましい場合がある。高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを作製するための特定の方法は、実施例2に提供される。
6.4.使用
【0088】
本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを使用して、かかる投与が有利となる任意の文脈において、MTZを局所投与することができる。以下でさらに記載される特定の実施形態において、ゲルは、BVに罹患する、またはそれを診断された女性を治療するために、有利に膣内使用され得る。
【0089】
本明細書で使用されるように、ある女性がBVに関連すると認められる症状、状態、または提示の1つ以上を経験する場合、その女性はBVに「罹患する」またはそれを診断されたと言われる。BVのある個人は、典型的に、特に不快な「魚臭い」オフホワイトの薄い均質な膣分泌物を呈し、炎症反応がない。個人は、乳酸菌属(特に過酸化水素を生成する形態)のまん延および濃度の減少、ならびに付随するガルドネレラバジナリス(Gardnerella vaginalis)、モビルンカス(Mobiluncus spp)、(バクテロイド属、プレボテラ属、およびポルフィロモナス属の)嫌気性グラム陽性桿菌、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus spp)、およびマイコプラズマホミニス(Mycoplasma hominis)の増加も呈する。素因は、非白色種、妊娠前、IUDの使用、性行為、新たな性交渉の相手、および最近の抗生物質の使用である。BVは同時トリコモナス症とも関連付けられる。
【0090】
BVの臨床診断を確立するための基準は、特に、1998年7月付の「Guidance for Industry:Bacterial Vaginosis−Developing Antimicrobial Drugs for Treatment」という表題のFDAガイダンスの草案に提供され、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる(以下「FDAガイダンス」と称する)。FDAガイダンスのとおり、BVの臨床診断は、以下の観察を含む。
1.外陰および膣の掻痒および炎症をわずかに伴うか、または伴わないオフホワイト(乳白色または灰色)の薄い均質な分泌物
2.生理食塩水「ウェットマウント」の顕微鏡審査時の総上皮細胞の20%以上における「糸玉状細胞」の存在
3.pH4.5超の膣分泌物、および
4.10% KOHを滴下添加したときの膣分泌の魚臭(すなわち、「臭気試験」陽性)。
【0091】
これらの観察は、「アムセル基準」と一般に称され、4つの基準をすべて呈する女性は、本明細書において「アムセル陽性」と称される。
【0092】
BVであると考えられる膣炎を経験する女性は、典型的に、4以上のグラム染色スライドヌージェントスコアも有する。ヌージェントスコアは、1000倍の拡大で油浸下でのスライド審査から計算される以下の3つの細菌形態型の重量合計に基づく。
・乳酸菌:大グラム陽性桿菌
・ガルドネレラ/バクテロイド属:小グラム不定性球桿菌/小グラム陰性桿菌
・モビルンカス属:薄い湾曲したグラム不定性桿菌
【0093】
ヌージェント基準に準拠するBVの基準は、総スコア7以上であり、スコア4〜6は中間であるとみなし、スコア0〜3は正常であるとみなす。3以上のスコアは、FDAにより異常であるとみなされる。
【0094】
形態型は、油浸された領域当たりに見られる平均数として採点される(最小10〜20領域が審査されるべきである)。次に各形態型は、以下のように数値得点が付与される。0=形態型は見られない、1+=1領域当たり1未満の形態型、2+=1領域当たり1〜4形態型、3+=1領域当たり5〜30形態型、および4+=1領域当たり30を超える形態型。総ヌージェントスコアは、個別の形態型のスコアを合計することにより計算される。ヌージェント採点システムに関するさらなる情報は、Nugent et al.,1991,″Reliability of Diagnosing Bacterial Vaginosis is Improved by a Standardized Method of Gram Stain Interpretation,″J Clin Micrbiol 29(2):297−301を参照されたい。4を超えるヌージェントスコアを持つ女性は、本明細書において「ヌージェント陽性」称される。
【0095】
いくつかの実施形態において、上記アムセル基準の少なくとも3つを呈する個人は、BVに罹患している、および/またはそれを診断されたと考慮される。いくつかの実施形態において、ヌージェント陽性の個人は、BVに罹患している、および/またはそれを診断されたと考慮される。特定の実施形態において、BVに罹患している、および/またはそれを診断された個人は、アムセル陽性である。さらに他の特定の実施形態において、BVに罹患している、およびそれを診断された個人は、アムセル陽性およびヌージェント陽性の両方である。
【0096】
好ましくは、BVに罹患している、および/またはそれを診断された個人は、クラミジア、トリコモナス、淋病、およびカンジダを含むが、これらに限定されない他の膣感染を有しない。好ましくは、BVに罹患している、および/またはそれを診断された個人は、クラミジア、トリコモナス、淋病、およびカンジダを含むが、これらに限定されない他の膣感染を治療されていない。一実施形態において、BVに罹患している、および/またはそれを診断された個人は、フルコナゾールで治療されている。
【0097】
この方法は、一般に、BVに罹患している、および/またはそれを診断された女性に、本明細書に記載されるある量の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを、治療的利益を提供するために十分な適用回数で膣内適用することを伴う。本明細書で使用されるとき、「治療的利益」は、例えば、アムセル基準もしくはヌージェントスコアの1つ以上を含む、BVの症状の1つ以上、および/またはBVの臨床兆候の1つ以上が軽減、消滅、根絶、または改善されることを指す。治療計画は、根底にあるBV状態を治癒することなく、対象に治療利益を提供することができる。
【0098】
本明細書で使用されるとき、BVの症状または兆候は、治療後の程度が減少する、または正常とみなされるレベルに近付く場合に軽減される。例えば、アムセル基準は、膣分泌物が正常に戻る場合、ウェットマウントにおける糸玉状細胞の数が膣上皮細胞の約20%未満である、例えば、約19%、18%、17%、16%、15%、10%、5%未満、もしくはさらにそれ以下である場合、膣分泌物のpHが治療前の約pH4.7〜約pH5.3から治療後約pH4.0〜約pH4.5の範囲内、例えば、pH4.3、pH4.2、pH4.1、もしくはpH4.0に低減する場合、および/または臭気試験が大量のアミンもしくは「魚臭」を生じない場合に改善される。BVの症状は、症状がよく知られた検出手段(例えば、実施例のセクションに提供される様々な検出手段およびFDAガイダンスに開示されるもの)を使用してもはや検出されない場合に排除または根絶されたと考えられる。
【0099】
本明細書で使用されるとき、「治療上有効な量」は、治療利益を提供する高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルによる治療計画を指す。
【0100】
いくつかの実施形態において、ある量の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、少なくとも1つのアムセル基準、好ましくは少なくとも2もしくは3、および最も好ましくは4つのアムセル基準すべてにおいて改善を示す、ならびに/または4未満のヌージェントスコアをもたらすために十分な適用回数で適用される。
【0101】
いくつかの特定の実施形態において、ある量の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、臨床治癒をもたらすために十分な適用回数で適用される。本明細書で使用されるとき、「臨床治癒」は、4つのアムセル基準すべてが以下に記載されるように中和される場合に達成される。
1.BVの本来の分泌特性が生理周期に応じて外観および一貫性が変動する正常な生理学的分泌に戻った。
2.生理食塩水ウェットマウントが糸玉状細胞に対して陰性である。
3.膣分泌物のpHが4.7pH未満であり、典型的に、pH4.0〜pH6.0を測定するpH紙を使用して測定される。
4.臭気試験は任意のアミン(「魚」)臭に対して陰性である。
【0102】
いくつかの特定の実施形態において、ある量の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、細菌学的治癒をもたらすために十分な適用回数で適用される。本明細書で使用されるとき、「細菌学的治癒」は、4未満のヌージェントスコア、例えば、ヌージェントスコア1、2、もしくは3、または0〜3の範囲内のヌージェントスコアが得られるときに達成される。
【0103】
さらに他の特定の実施形態において、本明細書に記載されるある量の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、治療的治癒をもたらすために十分な適用回数で適用される。本明細書で使用されるとき、「治療的治癒」は、臨床的治癒および細菌学的治癒の両方が得られるときに達成される。
【0104】
さらに他の特定の実施形態において、ある量の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、医師が追加の治療が必要ないと判断するために十分な適用回数で適用される。さらに別の特定の実施形態において、本明細書に記載されるある量の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、FDAガイダンスに定義される任意の治癒レベルを達成するために十分な適用回数で適用される。
【0105】
いくつかの特定の実施形態において、単一適用で適用される量の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、約60mg〜約100mgMTZを含有する。いくつかの特定の実施形態において、単一適用で適用される量の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、約60mg〜約80mg、または約60mg〜約70mgのMTZを含有する。いくつかの特定の実施形態において、ある量の単一適用で適用される高用量MTZ水系ゲルは、約65mgのMTZを含有する。
【0106】
適用の頻度および期間は異なり得、所望の転帰に依存し得る。一般に、ゲルは1日1回、1、2、3、4、または5日の期間適用される。約65mgのMTZを含有する高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルの単一適用により、著しい治療利益が達成されることがわかった。したがって、いくつかの実施形態において、ゲルは単一適用で、すなわち高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルの追加適用なしに適用される。1日1回、5日の期間適用される、約65mgのMTZを含有する高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルの適用が、FDA認可された0.75重量%メトロニダゾールゲルによる同様の治療経過よりも低いBV再発率をもたらし、治療後の外陰膣カンジダ症の発生も事実上なかったこともわかった。したがって、いくつかの実施形態において、ゲルは1日1回、5日の期間適用される。
【0107】
本明細書で使用するとき、用語「再発」は、本明細書に記載される高用量MTZゲルによる治療後に、本明細書において定義されるBVの症状の少なくとも1つが再出現し、治療の終了後に対象が少なくとも2回目のBVを診断されることを意味する。
【0108】
「再発率の減少」は、METROGEL VAGINAL(登録商標)などの従来の0.75重量% MTZゲルで観察される病歴的再発までの時間と比較して、本明細書に記載される高用量MTZゲルによる治療の終了後のBV症状の再発までの時間の増加を意味する。特定の実施形態において、再発率の減少は、BVの症状が、治療の終了後少なくとも約19日、例えば、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、またはそれ以上の期間認められないことを意味する。治療の終了後少なくとも29日、例えば、30日、35日、40日、45日、50日、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、またはそれ以上の期間BVの症状が再発しないことは、治療終了後の対象において再発がないことを示唆する。
【0109】
「再発率の減少」は、研究集団に対して定義することもできる。例えば、治療後20日以上でBVの症状を経験する女性の人数を統計的に有意に減少させる、本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルによる治療計画は、従来の0.75重量% MTZゲル(例えば、METROGEL VAGINAL(登録商標)等による治療後20日以上でBVの症状を報告した人数と比較して、BVの再発率が減少したとみなされる。
【0110】
使用するために、高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、所望の適用形態に好都合な任意の形態でパッケージ化され得る。膣内適用に有用な特定の実施形態において、高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルは、特定の例として、事前に充填された用量シリンジ型アプリケータとして、単位用量形態でパッケージ化される。
6.5.追加の非限定的態様
【0111】
高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルの構成成分、ならびにそれらをBVに罹患する、および/またはそれを診断された女性を治療するために使用する方法の追加の非限定的態様が以下に提供される。
6.5.1.方法
【0112】
M1.BVに罹患する、および/またはそれを診断された対象を治療する方法であって、1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約1重量%〜約2重量%のメトロニダゾール(MTZ)、および水を含む粘膜接着性水系ゲルを対象に膣内適用することを含み、単一適用において適用されるある量の粘膜接着性水系ゲルが、約60mg〜約100mgのMTZを含有する、方法。
【0113】
M2.ヒト死体の皮膚を用いて行われたインビトロフランツセル皮膚透過実験において、角質層および受容液内で測定された粘膜接着性水系ゲルからのMTZのレベルが、濃度について正規化されるとき、METROGEL VAGINAL(登録商標)から測定されるMTZレベルより、それぞれ少なくとも約25〜55倍高く、少なくとも約1〜20倍低い、態様M1に記載の方法。
【0114】
M3.粘膜接着性水系ゲルが、制御されたせん断速度法、Bohlin CVO100レオメータ、および表11のレオメータ設定を使用して25℃で測定された約200,000mPa〜約400,000mPaの範囲の粘度を有する、態様M1に記載の方法。
【0115】
M4.MG33PBのものの約±10%内の範囲の粘膜接着の程度を有する、態様M1に記載の方法。
【0116】
M5.粘膜接着性水系ゲルが、約30重量%〜約60重量%の水を含む、態様M1に記載の方法。
【0117】
M6.粘膜接着性水系ゲルが、デキストリン、シクロデキストリン、ナイアシン、およびナイアシンアミドを実質的に含まない、態様M1に記載の方法。
【0118】
M7.粘膜接着性水系ゲルが、少なくとも6ヶ月の期間、25℃で安定している、態様M1に記載の方法。
【0119】
M8.粘膜接着性水系ゲルが、約1重量%〜約3重量%の総粘膜接着性ゲルポリマー、および約40〜45重量%のMTZの溶媒系を含む、態様M1〜M7のいずれか1項に記載の方法。
【0120】
M9.溶媒系が、25℃で少なくとも約20mg/gの飽和MTZ溶解度を有する1つ以上の溶媒を含む、態様M8に記載の方法。
【0121】
M10.溶媒系が、25℃で少なくとも約50mg/gの飽和MTZ溶解度を有する1つ以上の溶媒、および随意に25℃で約20mg/g〜約25mg/gの範囲内の飽和MTZ溶解度を有する1つ以上の溶媒を含む、態様M9に記載の方法。
【0122】
M11.溶媒系が、1つ以上の低級芳香族アルコール、および随意に1つ以上の低級脂肪族ジオール、ならびに/または約200〜約400の範囲の分子量を有する1つ以上のポリオキシアルキレン(「低級ポリオキシアルキレン」)を含む、態様M10に記載の方法。
【0123】
M12.溶媒系が、1つ以上の低級芳香族アルコール、1つ以上の低級脂肪族ジオール、および/または1つ以上の低級ポリオキシアルキレンを含む、態様M11に記載の方法。
【0124】
M13.溶媒系が、1つ以上の低級芳香族アルコール、1つ以上の低級脂肪族ジオール、および1つ以上の低級ポリオキシアルキレンを含む、態様M12に記載の方法。
【0125】
M14.1つ以上の低級芳香族アルコールが、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様M11〜M13のいずれか1項に記載の方法。
【0126】
M15.1つ以上の低級アルキレンジオールが、エタン−1,2−ジオール(エチレングリコール)、プロパン−1,2−ジオール(プロピレングリコール)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様M11〜M14のいずれか1項に記載の方法。
【0127】
M16.1つ以上の低級ポリオキシアルキレンが、ポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール)、ポリオキシプロピレン(ポリプロピレングリコール)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様M11〜M15のいずれか1項に記載の方法。
【0128】
M17.1つ以上の低級脂肪族ジオール、および1つ以上の低級ポリオキシアルキレンが、約1:1〜約1:2の範囲の総低級脂肪族ジオール:総低級ポリオキシアルキレン重量比で前記溶媒系に含まれる、態様M11〜M16のいずれか1項に記載の方法。
【0129】
M18.溶媒系が、約3.5重量%〜約5重量%の総低級芳香族アルコール、および約95重量%〜約95.5重量%の1つ以上の低級アルキレンジオールと1つ以上の低級ポリオキシアルキレンとの混合物を含む、態様M13〜M17のいずれか1項に記載の方法。
【0130】
M19.総低級アルキレンジオール:総低級ポリオキシアルキレンの重量比が、約1:1〜約1:1.67の範囲である、態様M18に記載の方法。
【0131】
M20.溶媒系が、ベンジルアルコール、プロパン−1,2−ジオール、およびPEG 400からなる、態様M8〜M19のいずれか1項に記載の方法。
【0132】
M21.溶媒系が、約3.5重量%〜約5重量%のベンジルアルコール、および約95重量%〜約96.5重量%のプロパン−1,2−ジオールとPEG 400との混合物からなり、プロパン−1,2−ジオール:PEG 400の重量比が、約1:1〜約1:1.67の範囲である、態様M8〜M20のいずれか1項に記載の方法。
【0133】
M22.粘膜接着性水系ゲルが、1つ以上の保存剤をさらに含む、態様M1〜M21のいずれか1項に記載の方法。
【0134】
M23.1つ以上の保存剤が、4−ヒドロキシ安息香酸のエステル(パラベン)である、態様M1〜M22のいずれか1項に記載の方法。
【0135】
M24.1つ以上の保存剤が、メチル4−ヒドロキシベンゾエート(メチルパラベン)、プロピル4−ヒドロキシベンゾエート(プロピルパラベン)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様M23に記載の方法。
【0136】
M25.粘膜接着性水系ゲルが、約pH3.0〜約pH5.0の範囲のpHを有する、態様M1〜M23のいずれか1項に記載の方法。
【0137】
M26.粘膜接着性水系ゲルが、約pH4.0のpHを有する、態様M25に記載の方法。
【0138】
M27.1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーが、ヒドロキシエチルセルロース、カルボマー、ポリカルボフィル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様M1〜M26のいずれか1項に記載の方法。
【0139】
M28.単一適用で適用される前記量の粘膜接着性水系ゲルが、約65mgのMTZを含有する、態様M1〜M27のいずれか1項に記載の方法。
【0140】
M29.粘膜接着性水系ゲルが、約1重量%〜約1.5重量%のMTZを含む、態様M1〜M28のいずれか1項に記載の方法。
【0141】
M30.粘膜接着性水系ゲルが、1日1回、1〜5日の期間適用される、態様M29に記載の方法。
【0142】
M31.粘膜接着性水系ゲルが、1日1回、1日の期間適用される、態様M29に記載の方法。
【0143】
M32.粘膜接着性水系ゲルが、1日1回、5日の期間適用される、態様M29に記載の方法。
【0144】
M33.粘膜接着性水系ゲルが、約1.3重量%のMTZを含む、態様M1〜M28のいずれか1項に記載の方法。
【0145】
M34.粘膜接着性水性ゲルが、1日1回、1〜5日の期間適用される、態様M33に記載の方法。
【0146】
M35.粘膜接着性水系ゲルが、1日1回、1日の期間適用される、態様M33に記載の方法。
【0147】
M36.粘膜接着性水性ゲルが、1日1回、5日の期間適用される、態様M33に記載の方法。
【0148】
M37.粘膜接着性水系ゲルが、約1.3重量%のMTZ、約2重量%のポリカルボフィルAA−1、約2重量%のベンジルアルコール、約15重量%のプロパン−1,2−ジオール、約25重量%のPEG400、約0.02重量%のメチル4−ヒドロキシベンゾエート、および約0.08重量%のプロピル4−ヒドロキシベンゾエートを含む、態様M1〜M7のいずれか1項に記載の方法。
【0149】
M38.粘膜接着性水系ゲルが、1日1回、1〜5日の期間適用される、態様M37に記載の方法。
【0150】
M39.粘膜接着性水系ゲルが、1日1回、1日の期間適用される、態様M37に記載の方法。
【0151】
M40.粘膜接着性水系ゲルが、1日1回、5日の期間適用される、態様M37に記載の方法。
【0152】
M41.単一適用で適用される量の粘膜接着性水系ゲルが、約65mgのMTZを含有する、態様M37〜M40のいずれか1項に記載の方法。
【0153】
M42.BVに罹患する、および/またはそれを診断された対象を治療する方法であって、臨床的治癒を達成するために十分な適用回数で、ある量の水系ゲルを対象に膣内適用することを含み、水系ゲルが、1つ以上の粘膜接着性ポリマー、約1.3重量%のMTZ、および水を含み、
(a)ヒト死体の皮膚を用いて行われたインビトロフランツセル皮膚透過実験において、角質層および受容液内で測定された粘膜接着性水系ゲルからのMTZのレベルが、濃度について正規化されるとき、METROGEL VAGINAL(登録商標)から測定されるMTZレベルより、それぞれ少なくとも約25〜55倍高く、少なくとも約1〜20倍低い、
(b)制御されたせん断速度法、Bohlin CVO100レオメータ、および表11のレオメータ設定を使用して、25℃で測定された約200,000mPa〜約400,000mPaの範囲の粘度、
(c)MG33PBのものの約±10%内の範囲の粘膜接着の程度、
(d)約30重量%〜約60重量%の水を含む、
(e)デキストリン、シクロデキストリン、ナイアシン、およびナイシンアミドを実質的に含まない、
(f)25℃で少なくとも6ヶ月の期間安定している、
(g)約1重量%〜約3重量%の総粘膜接着性ポリマー、および約40重量%〜45重量%のMTZの溶媒系を含む、
の群から選択される1つ以上の特徴または特性を有する、方法。
【0154】
M43.ある量の水系ゲルが、治療的治癒を達成するために十分な適用回数適用される、態様M42に記載の方法。
【0155】
M44.BVに罹患する、および/またはそれを診断された女性を治療する方法であって、約1.3重量%のMTZ、約1重量%〜約2重量%の1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約40重量%〜約50重量%のMTZの溶媒系、および約50重量%〜約55重量%の水を含む粘膜接着性MTZ水系ゲルの単一適用を女性に膣内適用することを含み、溶媒系が、25℃で少なくとも約50mg/gの飽和MTZ溶解度を有する約3重量%〜約5重量%の1つ以上の溶媒、および25℃で約20mg/g〜約25mg/gの範囲内の飽和MTZ溶解度を集合的に有する、約95重量%〜約97重量%の1つ以上の溶媒を含み、適用される粘膜接着性MTZ水系ゲルの量が、約60mg〜約100mgのMTZを含有する、方法。
【0156】
M45.適用される量の粘膜接着性水系ゲルが、約65mgのMTZを含有する、態様M44に記載の方法。
【0157】
M46.25℃で少なくとも50mg/gの飽和MTZ溶解度を有する1つ以上の溶媒が、ベンジルアルコールである、態様M43〜M45のいずれか1項に記載の方法。
【0158】
M47.25℃で約20mg/g〜約25mg/gの範囲内の飽和MTZ溶解度を集合的に有する、1つ以上の溶媒がそれぞれ、低級脂肪族ジオールおよび低級ポリオキシアルキレンからなる群から選択される、態様M43〜M46のいずれか1項に記載の方法。
【0159】
M48.溶媒系が、約3重量%〜約5重量%のベンジルアルコール、および約95重量%〜約97重量%の低級脂肪族ジオールと低級ポリオキシアルキレンとの混合物を含む、低級脂肪族ジオール:低級ポリオキシアルキレンの重量比が、約1:1〜約1:2である、態様M43〜M47のいずれか1項に記載の方法。
【0160】
M49.低級脂肪族ジオール:低級ポリオキシアルキレンの重量比が、約1:1.67である、態様M48に記載の方法。
【0161】
M50.低級脂肪族ジオールがプロパン−1,2−ジオールであり、低級ポリオキシアルキレンがPEG 400である、態様M48〜M49のいずれか1項に記載の方法。
【0162】
M51.1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーがそれぞれ、架橋アクリル酸ポリマーおよびセルロースポリマーからなる群から選択される、態様M43〜M50のいずれか1項に記載の方法。
【0163】
M52.1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーがそれぞれ、カルボマーおよびポリカルボフィルからなる群から選択される、態様M43〜M51のいずれか1項に記載の方法。
【0164】
M53.1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーがポリカルボフィルである、態様M43〜M52のいずれか1項に記載の方法。
【0165】
M54.粘膜接着性MTZ水系ゲルが、約1.3重量%のMTZ、約2重量%のポリカルボフィルAA−1、約2重量%のベンジルアルコール、約15重量%のプロパン−1,2−ジオール、約25重量%のPEG400、約0.1重量%の1つ以上の保存剤、および約54.6重量%の水を含む、態様M43〜M53のいずれか1項に記載の方法。
【0166】
M55.1つ以上の保存剤がそれぞれパラベンである、態様M54に記載の方法。
【0167】
M56.1つ以上の保存剤が、メチルパラベンおよびプロピルパラベンである、態様M55に記載の方法。
【0168】
M57.粘膜接着性MTZ水系ゲルが、約1.3重量%のMTZ、約2重量%のポリカルボフィルAA−1、約2重量%のベンジルアルコール、約15重量%のプロパン−1,2−ジオール、約25重量%のPEG400、約0.08重量%のメチルパラベン、約0.02重量%のプロピルパラベン、および約54.6重量%の水を含む、態様M43〜M56のいずれか1項に記載の方法。
【0169】
M58.BVに罹患する、および/またはそれを診断された対象を、そのために適した組成物の単一適用により治療する方法であって、1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、水、および約1.3重量%のMTZを含む粘膜接着性水系ゲルを対象に膣内適用することを含み、単一適用で適用される前記量の粘膜接着性水系ゲルが、約65mgのMTZを含有し、その単一適用が、さらなる治療または適用の完全または実質的な非存在下で、BVを治療または治癒するために十分である、方法。
【0170】
M59.BVに罹患する、および/またはそれを診断された対象を治療する方法であって、粘膜接着性水性MTZゲルの単一投与を対象に膣内適用することを含み、粘膜接着性水系MTZゲルが、1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約1.3重量%のMTZ、および水を含み、単一投与で適用される粘膜接着性水系ゲルの量が、約65mgのMTZを含有する、方法。
【0171】
M60.BVに罹患する、および/またはそれを診断された対象を治療する方法であって、粘膜接着性水性MTZゲルを対象に膣内適用することを含み、(i)粘膜接着性水性MTZゲルが、1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約1.3重量%のMTZ、および水を含み、(ii)適用される粘膜接着性水性MTZゲルの量が、約65mgのMTZを含有し、(iii)粘膜接着性水性MTZゲルが、さらなる適用なしに単回適用される、方法。
【0172】
M61.BVに罹患する、および/またはそれを診断された対象を治療する方法であって、粘膜接着性水性MTZゲルを対象に膣内適用することを含み、(i)粘膜接着性水性MTZゲルが、1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約1.3重量%のMTZ、および水を含み、(ii)単一適用で適用される粘膜接着性水系ゲルの量が、約65mgのMTZを含有し、(iii)粘膜接着性水性MTZゲルが、1日1回、1日の期間適用される、方法。
【0173】
M62.BVに罹患する、および/またはそれを診断された対象を治療する方法であって、粘膜接着性水性MTZゲルを対象に1日1回、5日の期間膣内適用することを含み、(i)粘膜接着性水性MTZゲルが、1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約1.3重量%のMTZ、および水を含み、(ii)単一適用で適用される粘膜接着性水性MTZゲルの量が、約65mgのMTZを含有する、方法。
【0174】
M63.BVに罹患する、および/またはそれを診断された対象を治療する方法であって、BVを治癒するために十分な量の粘膜接着性水性MTZゲルの単一適用を対象に膣内適用することを含み、粘膜接着性水性MTZゲルが、1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約1.3重量%のMTZ、および水を含む、方法。
【0175】
M64.粘膜接着性水性MTZゲルが、以下の態様C1〜32のいずれか1つに記載のゲルである、態様M58〜M63のいずれか1項に記載の方法。
6.5.2.組成物
【0176】
C1.約1重量%〜約2重量%のMTZ、約1重量%〜約3重量%の1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約30重量%〜約60重量%のMTZの溶媒系、および水を含み、ヒト死体の皮膚を用いて行われたインビトロフランツセル皮膚透過実験において、角質層および受容液内で測定された粘膜接着性水系ゲルからのMTZのレベルが、濃度について正規化されるとき、METROGEL VAGINAL(登録商標)から測定されるMTZレベルより、それぞれ少なくとも約25〜55倍高く、少なくとも約1〜20倍低い、粘膜接着性水系ゲル。
【0177】
C2.約1重量%〜約2重量%のMTZ、約1重量%〜約3重量%の1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約30重量%〜約60重量%のMTZの溶媒系、および水を含み、制御されたせん断速度法、Bohlin CVO100レオメータ、および表11の前記レオメータ設定を使用して25℃で測定された約200,000mPa〜約400,000mPaの範囲の粘度を有する、粘膜接着性水系ゲル。
【0178】
C3.約1重量%〜約2重量%のMTZ、約1重量%〜約3重量%の1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約30重量%〜約60重量%のMTZの溶媒系、および水を含み、MG33PBのものの約±10%内の範囲の粘膜接着の程度を有する、粘膜接着性水系ゲル。
【0179】
C4.約1重量%〜約2重量%のMTZ、約1重量%〜約3重量%の1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約30重量%〜約60重量%のMTZの溶媒系、および約30重量%〜約60重量%の水を含む、粘膜接着性水系ゲル。
【0180】
C5.約1重量%〜約2重量%のMTZ、約1重量%〜約3重量%の1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約30重量%〜約60重量%のMTZの溶媒系、および水を含み、デキストリン、シクロデキストリン、ナイアシン、およびナイアシンアミド、ならびに随意に界面活性剤も実質的に含まない、粘膜接着性水系ゲル。
【0181】
C6.約1重量%〜約2重量%のMTZ、約1重量%〜約3重量%の1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、約30重量%〜約60重量%のMTZの溶媒系、および水を含み、少なくとも6ヶ月の期間、25℃で安定している、粘膜接着性水系ゲル。
【0182】
C7.粘膜接着性水系ゲルが、約1重量%〜約3重量%の総粘膜接着性ゲルポリマー、および約40〜45重量%のMTZの溶媒系を含む、態様C1〜C6のいずれか1項に記載のゲル。
【0183】
C8.溶媒系が、25℃で少なくとも約20mg/gの飽和MTZ溶解度を有する1つ以上の溶媒を含む、態様C7に記載のゲル。
【0184】
C9.溶媒系が、25℃で少なくとも約50mg/gの飽和MTZ溶解度を有する1つ以上の溶媒、および/または随意に25℃で約20mg/g〜約25mg/gの範囲内の飽和MTZ溶解度を有する1つ以上の溶媒を含む、態様C8に記載のゲル。
【0185】
C10.溶媒系が、1つ以上の低級芳香族アルコール、および随意に1つ以上の低級脂肪族ジオール、ならびに/または約200〜約400の範囲の分子量を有する1つ以上のポリオキシアルキレン(「低級ポリオキシアルキレン」)を含む、態様C9に記載のゲル。
【0186】
C11.溶媒系が、1つ以上の低級芳香族アルコール、1つ以上の低級脂肪族ジオール、および/または1つ以上の低級ポリオキシアルキレンを含む、態様C10に記載のゲル。
【0187】
C12.溶媒系が、1つ以上の低級芳香族アルコール、1つ以上の低級脂肪族ジオール、および1つ以上の低級ポリオキシアルキレンを含む、態様C11に記載のゲル。
【0188】
C13.1つ以上の低級芳香族アルコールが、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様C10〜C12のいずれか1項に記載のゲル。
【0189】
C14.1つ以上の低級アルキレンジオールが、エタン−1,2−ジオール(エチレングリコール)、プロパン−1,2−ジオール(プロピレングリコール)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様C10〜C13のいずれか1項に記載のゲル。
【0190】
C15.1つ以上の低級ポリオキシアルキレンが、ポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール)、ポリオキシプロピレン(ポリプロピレングリコール)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様C10〜C14のいずれか1項に記載のゲル。
【0191】
C16.1つ以上の低級脂肪族ジオール、および1つ以上の低級ポリオキシアルキレンが、約1:1〜約1:2の範囲の総低級脂肪族ジオール:総低級ポリオキシアルキレン重量比で溶媒系に含まれる、態様C10〜C15のいずれか1項に記載のゲル。
【0192】
C17.溶媒系が、約3.5重量%〜約5重量%の総低級芳香族アルコール、および約95重量%〜約95.5重量%の1つ以上の低級アルキレンジオールと1つ以上の低級ポリオキシアルキレンとの混合物を含む、態様C10〜C16のいずれか1項に記載のゲル。
【0193】
C18.総低級アルキレンジオール:総低級ポリオキシアルキレンの重量比が、約1:1.67である、態様C17に記載のゲル。
【0194】
C19.溶媒系が、ベンジルアルコール、プロパン−1,2−ジオール、およびPEG 400からなる、態様C10〜C18のいずれか1項に記載のゲル。
【0195】
C20.溶媒系が、約3.5重量%〜約5重量%のベンジルアルコール、および約95重量%〜約96.5重量%のプロパン−1,2−ジオールとPEG 400との混合物からなり、プロパン−1,2−ジオール:PEG 400の重量比が、約1:1〜約1:1.67の範囲である、態様C10〜C19のいずれか1項に記載のゲル。
【0196】
C21.1つ以上の保存剤をさらに含む、態様C1〜C20のいずれか1項に記載のゲル。
【0197】
C22.1つ以上の保存剤が、4−ヒドロキシ安息香酸のエステル(パラベン)である、態様C1〜C21のいずれか1項に記載のゲル。
【0198】
C23.1つ以上の保存剤が、メチル4−ヒドロキシベンゾエート(メチルパラベン)、プロピル4−ヒドロキシベンゾエート(プロピルパラベン)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様C22に記載のゲル。
【0199】
C24.約pH3.0〜約pH5.0の範囲のpHを有する、態様C1〜C23のいずれか1項に記載のゲル。
【0200】
C25.約pH4.0のpHを有する、態様C24に記載のゲル。
【0201】
C26.1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーが、ヒドロキシエチルセルロース、カルボマー、ポリカルボフィル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様C1〜C25のいずれか1項に記載のゲル。
【0202】
C27.粘膜接着性水系ゲルが、約1.3重量%のMTZ、約2重量%のポリカルボフィルAA−1、約2重量%のベンジルアルコール、約15重量%のプロパン−1,2−ジオール、約25重量%のPEG400、約0.02重量%のメチル4−ヒドロキシベンゾエート、および約0.08重量%のプロピル4−ヒドロキシベンゾエートを含む、態様C1〜C6のいずれか1項に記載のゲル。
【0203】
C28.約1.3重量%のMTZ、約1重量%〜約3重量%の1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマー、および約40重量%〜約45重量%のMTZの溶媒系を含み、溶媒系が、ベンジルアルコール、プロパン−1,2−ジオール、およびPEG400を含み、前記粘膜接着性水系ゲルが、約25℃〜約40℃の範囲内の温度で保管されるとき、18ヶ月の期間の間安定している、粘膜接着性水系ゲル。
【0204】
C29.1つ以上の粘膜接着性ゲル化ポリマーが、架橋アクリル酸ポリマーおよびセルロースポリマーからなる群から選択される、態様C28に記載のゲル。
【0205】
C30.架橋アクリル酸ポリマーが、カルボマーおよびポリカルボフィルからなる群から選択される、態様C29に記載のゲル。
【0206】
C31.セルロースポリマーが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、態様C29〜C30のいずれか1項に記載のゲル。
【0207】
C32.約2重量%の総粘膜接着性ゲル化ポリマーを含む、態様C29〜C31のいずれか1項に記載のゲル。
6.5.3.使用
【0208】
U1.BVに罹患する、および/またはそれを診断された女性の治療のための態様C1〜C32のいずれか1項に記載の粘膜接着性水系ゲルの使用。
【0209】
U2.粘膜接着性水系ゲルが、細菌学的治癒、臨床的治癒、または治療的治癒をもたらすために十分な適用回数で膣内適用される、態様U1の使用。
【0210】
U3.単一適用で適用される粘膜接着性水系ゲルの量が、約60mg〜約100mgのMTZを含有する、態様U1〜U2のいずれかに1項に記載の使用。
【0211】
U4.単一適用で適用される粘膜接着性水系ゲルの量が、約65mgのMTZを含有する、態様U1〜U3のいずれかに1項に記載の使用。
【0212】
U5.粘膜接着性水系ゲルが、1日1回、1〜5日の期間膣内適用される、態様U1〜U4のいずれかに1項に記載の使用。
【0213】
U6.粘膜接着性水系ゲルが、1日1回、1日の期間膣内適用される、態様U1〜U5のいずれかに1項に記載の使用。
【0214】
U7.粘膜接着性水系ゲルが、1日1回、5日の期間適用される、態様U1〜U5のいずれかに1項に記載の使用。
6.5.4.単位用量形態
【0215】
D1.膣内適用に適した容器に被包された約65mg〜約100mgのMTZを含有する態様C1〜C32のいずれか1項に記載のゲルをある量含む、膣内適用に適した高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルの単位用量形態。
【0216】
D2.約65mgのMTZを含有するゲルをある量含む、態様D1の単位用量形態。
【0217】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本明細書に記載される様々な発明が属する当該技術分野において通常の技術を有する者により共通して理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものに類似するか、または相当する方法および材料は、開示される発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料が以下に記載される。本明細書で述べられるすべての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照することによりそれら全体が組み込まれる。対立する場合は、定義を含む本明細書を優先する。加えて、材料、方法、および実施例は、単なる例示であり、限定するものではない。
【実施例】
【0218】
7.実施例
ここでは概して本開示の発明について説明したが、実例として提供される以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、本明細書に記載される発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:溶媒系に有用な例示の溶媒
【0219】
25℃での多様な溶媒中のMTZの溶解度は、本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルに必要な濃度でMTZを溶解するために有用な溶媒を識別するように決定した。多数の溶媒の25℃での飽和MTZ溶解度を以下の表1に示す。所望の濃度のMTZを有する高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを調製するために有用な溶媒系は、これらの飽和溶解度を指針として使用して考案され得る。本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを調製するためのこれら(および他の)溶媒とともに使用に適する追加の溶媒は、それらの飽和MTZ溶解度に基づいて容易に識別され得る。高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを調製するために適した水相と混合された多数の溶媒系中の25℃での飽和MTZ溶解度を以下の表2に示す。
【表1】
【表2】
実施例2:例示の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲル
【0220】
異なる量のMTZを含有し、多様な異なる溶媒系を利用する多数の例示の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルを調製し、以下の実施例に記載されるように、様々な異なる均質性試験、レオロジー試験、安定性試験、生物学的試験、および臨床試験に供した。すべてのゲルは、以下に記載される同様のプロセスを使用して調製した。
【0221】
ゲルの調製 必要な量の保存剤(複数可)、例えばメチルパラベンおよびプロピルパラベンを計量してDuran(登録商標)ボトルに入れた後、水相(リン酸緩衝液または脱イオン化水)を入れた。含有物を完全に混合して保存剤を溶解した。残りの溶媒(例えば、ベンジルアルコール、エタノール、プロピレングリコール、およびPEG 400)を計量して別個のDuran(登録商標)ボトルに入れ、完全に混合した後、必要な量のメトロニダゾールを入れた。次にDuran(登録商標)ボトルを55℃の水浴に入れ、メトロニダゾールが溶解するまで連続して攪拌した。Duran(登録商標)ボトルを水浴から除去し、室温に置いて、溶液が室温に平衡するまで混合を続けた。次に保存溶液を常に攪拌しながらMTZ溶液に添加した。必要量のゲル化剤を計量して計量ボートに入れ、上記溶液を常に攪拌しながら添加して、ゲル化剤が完全に水和するまで攪拌した。均質性を保証するために含有物を完全に混合するよう注意した。
【0222】
pH感受性またはpH依存性ゲル化ポリマーを利用するゲルの場合、MTZ溶液のpHは、ゲル化ポリマーを添加する前にゲル化するための最適範囲内の値に調整され得、ゲルのpHはその後必要に応じて調整した。
【0223】
プラセボゲルの調製 本明細書で論じられるいくつかの実験において、プラセボゲルは、比較対象または対照として使用される。ブラセボゲルは、上述のとおり調製した。プラセボの場合、MTZを省略し、活性ゲルに使用される水相に応じて、等重量%の水または緩衝液で置き換えた。
【0224】
リン酸緩衝液pH4の調製 リン酸水素二ナトリウム二水和物(3.9g)を計量して500mLのDuran(登録商標)ボトルに入れ、450mLの脱イオン化水を添加する。溶液を完全に混合して緩衝液塩を溶解する。o−リン酸を使用して溶液のpHをpH4に調整し、脱イオン化水で500mLの容量フラスコ中の容量にした。
【0225】
1.5重量%MTZ、2.0重量%、1.3重量%、および1.18重量%MTZを含有する様々な例示のゲルの組成は、それぞれ以下の表3、4、5、および6に示される。
【0226】
表3に列挙される製剤MG03、MG04、MG08、およびMG09は、透明な高粘度の薄黄色ゲルを形成したが、MG26は乳白色のゲルを形成した。ゲルを形成するためのカルボマー、ポリカルボフィルAA−1、およびカルボマー974Pの理想のpHは中性である。膣内適用のためのゲルの所望のpHは、約pH4であるため、多量のこれらのゲル化剤をHECと比較して使用した。MG03は、β−ヒドロキシプロピルシクロデキストリンを溶解剤として含有した。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
実施例3:例示のゲルの粘膜接着特性
【0227】
2つの例示の高用量粘膜接着性MTZゲル(MG32PBおよびMG33PB)の粘膜接着特性を2つの異なる方法、単離したブタ胃粘膜への接着、およびムチンを含む場合と含まない場合のレオロジー測定を使用して試験した。その方法および結果を以下に記載する。
a.単離したブタ胃粘膜を使用する粘膜接着
【0228】
方法 実験のために、新鮮なブタ胃粘膜の小片(15×10cm)を、10°の角度で傾斜に載置し、蠕動ポンプを用いてpH4の緩衝液で10分間洗浄した。小アリコート(50μL)の試験ゲルを粘膜上に傾斜の上に広げ、10分間放置した。次にポンプのスイッチを入れ、t=1、2、3、4、5、10、および15分後に回収された緩衝液を各時点で個別のバイアルに入れた。任意の試験ゲルを含まないブランク試料も、任意の背景または干渉について分析した。0.45μmのPVDFシリンジフィルタを通して試料を濾過し、HPLCにより分析した。粘膜からのMTZの喪失率を各試験ゲルについて時間に対してプロットし、得られたデータを比較して各試験ゲルの相対粘膜接着を決定した。15秒間隔の試料採取時点で5分間、第2の実験も行った。
【0229】
結果 データを
図1および2に示す。結果は、各時点で粘膜上に残存するメトロニダゾールの量により決定されるように、MG32PBがMG33PBよりわずかに良好な粘膜接着を有することを示す。
b.レオロジー測定
【0230】
方法 ムチンを計量してガラスバイアル瓶に入れ、続いて調査対象のゲルを入れた。磁気フォロワを試料中に置き、すべてのムチンが水和されるまで混合した。試験ゲルのレオロジーパラメータを、振動実験を使用してムチンを含む場合と含まない場合とを分析した(Bohlin CVOレオメータ)。ムチンを含まない対応するプラセボゲルを使用する増幅掃引、続いて周波数掃引を最初に行い、線形粘弾性領域を決定した。ゲルの周波数掃引を決定するために使用されるパラメータは、表7に示される。
【表7】
【0231】
試験ゲル(約1g)を平行プレートに適合されたレオメータの底プレート上に置いた。事前に決定された間隙に試料を捕捉するように、下プレートを上昇させた。次に試料を、5〜20Hzまで0.15Hz増分で一連の正弦波振動に供した。適用されるトルク(4Pa)は、最高周波数および最低周波数の両方について、線形粘弾性領域内にあることが事前に決定された。各ゲルを3回試験した。各実行の最後に、Bohlinコンピュータソフトウェア(バージョン6.50.5.7)を使用して、貯蔵弾性率G′を決定した。各パラメータについて得られたデータを周波数の関数としてプロットし、G′の平均値を固定周波数10Hzで計算した。ムチンを含む活性ゲルの平均G′値を使用して、ムチンを含まない活性ゲルの平均G′値と比較して、ムチンを含む場合と含まない場合のΔG′とムチンのG′のログ比を計算した。
【0232】
結果 ポリマーでもあるムチンの添加は、ΔG′により決定されるように、試験ゲルの弾性率を増加させた(表8)。より高いログG′比の値は、より多くのムチンとの相互作用に相関し、したがってより良好な粘膜接着に相関すると想定される。しかしながら、この増加は、ゲルの調製に使用されるゲル化ポリマーとムチンとの間の内因性相互作用に依存し得る。ムチンを含む場合と含まない場合の試験ゲルのログG′の比であるログG′比は、製剤の粘弾性性質の増加に関する洞察を与える。
【表8】
実施例4:例示のゲルの短期間保存安定性
【0233】
例示の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルの様々な異なる実施形態を、25℃および45℃での短期間(4週間)保存安定性について試験した。ゲルを密閉したアンバーバイアル瓶に入れ、Vindon Scientific安定性キャビネット内で保管した。試験したパラメータは、均質性(結晶および/または粒子の存在について目視および顕微鏡観察)、MTZ安定性、保存効力、粘度、およびpHを含む。この安定性は、t=0、2、および4週間の時点で25±2℃、60±5% RHおよび40±2℃、75±5% RHで試験した。MTZを含まないプラセボゲルも同一期間保管し、物理的および化学的安定性を評価した。
【0234】
MTZ安定性を評価するために、MTZをゲルから抽出し、HPLC法1により分析した(以下表9中のパラメータ)。抽出のために、約0.5gゲルを50mL容量フラスコに入れた。約30mLのHPLC移動相65:35メタノール/60mMリン酸緩衝液(以下のように調製)を添加し、ゲルが溶液中に分散したことが認められるまで混合液を渦流させた。溶液をHPLC移動相で容量にした。HPLC分析の場合、0.45μm PTFEシリンジフィルタを通してアリコートを濾過し、最初の2mLを破棄した。残留した濾過物をHPLC法1により分析した。
【表9】
【0235】
移動相を調製するために、1.5gの一塩基性リン酸ナトリウムおよび1.3gの二塩基性リン酸ナトリウムを計量してDuran(登録商標)ボトルに入れ、350mLの脱イオン化水に溶解した。溶液を完全に混合し、650mLのメタノールを添加して、得られた溶液を磁気攪拌機で完全に混合し、0.22μmフィルタを通して濾過した。
【0236】
HPLC分析の場合、MTZピーク(254nm検出で約3.312分の保持時間)を統合し、対照試料と比較した。保存後に残留するMTZの量を、t=0での理論的濃度(TC)のパーセンテージとして定量した。測定された濃度(MC)は、既知の濃度のMTZストック溶液で得られた較正曲線を使用して決定した(1mg/mLストックの連続希釈法により調製)。
【0237】
光学顕微鏡を使用して、ゲルの物理的安定性を評価した(Leica DME SOP 3091)。試験ゲルを対応するプラセボ対照と比較して、粒子の存在を評価した。
【0238】
結果 ゲルから回収されたMTZのパーセンテージを以下の表10に示す。MTZは、試験したすべての濃度、すべてのゲル中で安定していた。4週間後の25℃の試料からのMG37PB、MG42PB、およびMG43PBにおいて、低い回収率が認められた。しかしながら、40℃で保管された同一のゲルからの回収率は100%であり、25℃の試料についての潜在的な抽出/計量誤差を示唆した。すべての試料のピーク純度%は100%であった。
【表10】
実施例5:例示のゲルの長期保存安定性
【0239】
25℃および40℃での長期安定性について、例示の高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルの様々な異なる実施形態を試験した。
【0240】
この研究では、20gの各試験ゲルを密閉したバイアル瓶中、25±2℃/60±5% RHおよび40±2℃/75±5% RHで保存した。実時間試料または加速時間試料のいずれかが失敗した場合の分析のために、バックアップ試料も−20℃、2〜8℃、および30℃/65% RHで保存した。MTZを含まない対応するプラセボゲルは、試験ゲルと一緒に保存した。
【0241】
1、2、3、6、12、および18ヶ月後にゲルを貯蔵キャビネットから除去し、以下に記載されるように、顕微鏡分析および粘度分析を使用して、物理的および化学的安定性を試験した。
【0242】
顕微鏡分析 光学顕微鏡(Leica(登録商標)DME)下でゲルを見た。少量のゲル試料を、ミクロスパチュラを使用して顕微鏡スライドの上に置いた。顕微鏡スライドをカバーガラスで被覆し、40×対物レンズを使用してゲルを見た。結晶の存在について、活性ゲルをプラセボゲルと比較した。
【0243】
結晶が認められた場合、較正されたグラチクル(Olympus(登録商標)対物ミクロメーター0.01mm)上のスケールを使用して、粒径を測定した。カメラ(Nikon Cool Pix(登録商標)4500デジタルカメラ)が顕微鏡のリレーレンズに取り付けられるように顕微鏡をセットアップし、40×対物レンズを試料が見える場所に設定した。カメラ設定:画像サイズ:1280×960画素、画質:微細。クリアで明瞭なビューが得られたら写真を撮った(400倍拡大)。
【0244】
粘度分析 ゲルのレオロジーを各時点(t=0、1、2、3、6、12、および18ヶ月)で測定した。せん断速度は切断された円錐の直径全体で一定であるため、流れ曲線測定のための円錐およびプレート測定システムが好ましい。したがって、制御されたせん断速度ランプ法を用いた。せん断速度0.16s
−1での流れ曲線上の地点を使用して、各ゲルを比較し、粘度を決定した。使用したレオメータ設定を以下の表11に示す。
【表11】
【0245】
ゲルは、MTZ含有量、ベンジルアルコール含有量、パラベン含有量、保存効力、およびpHについても試験した。18ヶ月の試料を例外として、MTZ含有量は、短期間安定性試料について上述されるように評価した。18ヶ月試料の場合、MTZ含有量は以下に記載されるように評価した。
【0246】
抽出のために、0.5g±20mgのゲルを計量して25mL容量フラスコに入れ、約20mLの試料希釈液で希釈した(3:7メタノール/10mM KH
2PO
4)。ゲルが溶液中に分散するまで混合液を渦流させた(約5分)。溶液を試料希釈液で容量にし、約1分間渦流混合した。約14mLの試料を3500rpmで10分間遠心分離し、得られた上澄みを、0.45μm PTFEシリンジフィルタを通して濾過し、最初の2mLを破棄した。残留する濾過物をHPLC法2により分析した(パラメータを以下の表12に示す)。MTZに加えて、ベンジルアルコール、メチルパラベン、およびプロピルパラベンの回収も決定した。
【表12】
【0247】
保存効力試験は、欧州および米国薬局方仕様に準拠する方法で行った。接種した試料をt=0時間、24時間、48時間、7日、14日、21日、および28日に試験した。
【0248】
MG33PBに対応するが、減少量の保存剤を含むゲルを、保存効力について試験した。以下の表13の試験ゲルは、実施例2に記載のとおり調製した。
【表13】
【0249】
ゲルMG33(75%)およびMG33(90%)のプラセボも調製した。
【0250】
pH試験をt=0、1、2、3、6、12、および18ヶ月で行った。
【0251】
結果 表14は、ゲルからのMTZの回収率を示す。25℃および40℃で6ヶ月間保管されたゲルからのMTZの回収率は、t=0データに相当する。すべてのゲルのピーク純度%は100%であることがわかり、MTZが試験したすべてのゲルにおいて安定していることを示す。25℃および40℃で18ヶ月間保管されたMG33PBおよびMG32PBからのMTZの回収率は、t=0データに相当する。
【表14】
【0252】
メトロニダゾールゲル製剤の物理的安定性。25℃および40℃で保管されたゲルを、6ヶ月後に任意の粒子または結晶の存在について視覚的および顕微鏡的に評価した。ゲルは物理的に安定していることが認められたが、40℃で6ヶ月貯蔵した後のすべての活性ゲルにおいて、極薄黄色から薄黄色への色のわずかな変化があった。これは、対応するプラセボ製剤では見られなかった(表17)。pHのわずかな差異が貯蔵中に認められた。しかしながら、活性ゲルにおいてpHの大きな移行は認められず、ゲルは6ヶ月後も安定していることを示す(表15)。
【0253】
流れ曲線を使用してゲルの粘度を測定した。ゲルの粘度を比較した流れ曲線のポイントは、せん断速度で0.16s
−1である(表11)。読み取り(n=2)をt=0で行った後、曲線を試験し、比較するポイントを選択した。すべてのゲルは、擬塑性動作またはせん断菲薄化を呈し、すなわち、せん断速度が増加するにつれて粘度が減少した。せん断速度が増加するにつれて、各ゲルの粘度間に顕著な差異がなくなるように、ゲルの瞬間粘度が徐々に互いに類似していった。流れ曲線のすべてが異なるゲル間の比較のために、曲線上のポイントを選択した。0.16s
−1より上および下の2つの最も近いせん断速度の補間を使用して、粘度を計算した。25℃で6ヶ月保管された後のすべてのゲル、および25℃で最長18ヶ月保管されたMG33PBは、粘度にわずかな変動性を示し、概して18ヶ月までの各時点の間で一定であることが認められた(表16)。40℃の保管で粘度の低下が認められたが、これは活性ゲルよりもプラセボゲルに対してより顕著であった。
【0254】
2〜8℃で6ヶ月保管されたバックアップ活性ゲルも、対応する最適ゲルと同一の条件下で保管されたプラセボゲルと同様に、結晶形成について検査した。ゲルMG32PBおよびMG33PBにおいて大きな結晶が認められた。大きなシート状の結晶もゲルMG33PBおよびMG36PBにおいて形成した。単一の小さな結晶がゲルMG34PBおよびMG37PBにおいて形成した。これらのデータは、2〜8℃での保管が高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルには推奨されないことを示す。結晶形成が25℃または40℃で認められなかったため、これらの温度での保管はより適切である。
【0255】
25℃および40℃で6ヶ月間保管されたプラセボおよび試験製剤の物理的外観の観察を以下の表17に示す。
【表15】
【表16】
【表17-1】
【表17-2】
【0256】
40℃で12ヶ月間保管されたMG33PBのPET試験結果 保存効力試験(PET)の結果を表18および表19にまとめる。40℃で12ヶ月間保管されたゲルMG33PBは、欧州薬局方6.3により特定されるように、試験したすべての有機体に対して必要とされるログ減少に一致する。
【表18】
【表19】
【0257】
有効な分析法2を使用して12ヶ月保管し、室温でさらに6ヶ月保管された18ヶ月試料の分析 25℃で12ヶ月間保管された試料を、さらに6ヶ月間周囲温度で保管された、25℃および40℃での18ヶ月保管試料は、MTZおよび保存剤含有量の仕様基準に適合する(表20および表21)。
【表20】
【表21】
【0258】
MG33PBに対する75および90%w/w保存剤組成物の効果 減少量の保存剤、MG33(75%)およびMG33(90%)を含有する例示のゲルMG33PBの変異型を用いて実行したPET試験の結果を表22および表23にまとめる。MG33(75%)およびMG33(90%)は、欧州薬局方6.3により特定されるように、試験したすべての有機体に対して必要とされるログ減少に適合する。
【表22】
【表23】
実施例6:例示のゲルの局所送達および皮膚透過特性
【0259】
いくつかの例示の高度に粘膜接着性のMTZ水系ゲルのインビトロ皮膚透過特性を、インフォームドコンセントのより得られたヒト腹部形成皮膚の全層を用いて、フランツセル中で試験した。この研究のために、すべての皮下脂肪をメスで除去し、皮膚を供与コンパートメントと受容コンパートメントとの間に載置した。
【0260】
この実験のために、
14C放射線標識されたMTZゲルを、以下の表24に列挙される成分の量で、実施例2に記載されるように調製した。表24において、すべての量はmgであり、
14C標識されたMTZは例外としてμLである。
【表24】
【0261】
14C放射線標識されたMTZ(GE Healthcare)は、99.2%の放射線化学純度を持つ57mCi/mmolの比放射能を有した。
14C標識されたMTZストック溶液は、3.5mLの水を37MBqの
14C標識されたMTZに添加し、
14C標識されたMTZが溶解されるまで渦流混合することにより調製した。
【0262】
対照として、FDA認可された0.75重量%のMTZゲル(例えば、METROGEL VAGINAL(登録商標)に対応する10gの0.75重量%
14C標識されたMTZゲルを以下のように調製した。
【0263】
パラベン相:メチルパラベン(8.03mg)、プロピルパラベン(2.05mg)、およびプロピレングリコール(303.28mg)を計量して28mLガラスバイアル瓶に入れ、溶解するまで攪拌した。次にバイアル瓶を55℃で平衡し、水(3.5g)を攪拌しながら添加した。MTZ(75mg)を添加し、すべての薬物が溶解するまで攪拌を続けた。次に
14C標識されたMTZストック溶液(465μL)を攪拌しながら添加した。
【0264】
カルボマー相:二ナトリウムEDTA(5.03mg)を計量し、精製水(5.698g)を添加した28mLガラスバイアル瓶に入れた。磁気フリアを使用して、すべての二ナトリウムEDTAが完全に溶解するまで製剤を攪拌した。カルボマー974P(200.89mg)を添加し、製剤を一晩攪拌してポリマーを水和させた。
【0265】
複合:パラベン相をカルボマー相に攪拌しながら添加した。水(200mg)を使用して、パラベン相をカルボマー相に流し入れた。ゲルを一晩放置して室温に冷ました。
【0266】
この実験のために、全厚のヒト皮膚をフランツセル中に、受容液としてのpH4リン酸緩衝液(pH4)とともに載置して沈降条件を保証した。10mg/cm
2に相当する有限量の試験ゲルを膜に適用し、
14C標識されたMTZの拡散を経時的に決定した。
【0267】
容積式ピペットを使用して、試験ゲル(7μL)を膜の表面に適用した。多数のゲルを試験したため、研究をいくつかの別個の実験に分割した。2つの皮膚供与体をすべての実験にわたってランダムに割り当て、各ゲルが両方の皮膚供与体上で試験されるようにした(n=6セル/ゲル)。
【0268】
フランツセルの受容コンパートメントを受容液で満たし、37℃で維持された水浴中でセルを固定した。受容チャンバの含有物を小さな磁気フォロワにより連続的に攪拌した。t=1、2、3、4、6、8、および24時間で、受容液の試料を受容コンパートメントから採取し、新鮮な受容媒質と置き換え、シンチレーション計数により分析した。
【0269】
実験の最後に、質量平衡を行い、供与チャンバ、表面残渣、角質層(SC)、残留上皮、真皮、および受容チャンバを分析した。この方法は、テープ剥離によるSCの除去、ならびに標準的な手順を使用して残留上皮層および真皮の処理を伴った。この方法については、以下に簡潔に記載する。
【0270】
非吸収製剤:各フランツセル供与チャンバの表面を、時計回りに5回および反時計回りに5回、綿棒でやさしく拭いた。この手順は、(事前に受容液に浸した)濡れた綿棒と乾燥した綿棒を交互に使用して、4回繰り返した。分析前に綿棒をシンチレーションカクテルに追加した。2枚のテープ片を皮膚から除去し、非吸収製剤としてみなし、総表面活性に含めた。テープ片を1mLの水を添加したシンチレーションバイアル瓶に入れた。これらを72時間浸漬して、製剤を溶解し、水に分散させた。液体シンチレーション(LSC)による分析の前に、シンチレーションカクテル(4mL)をバイアル瓶に添加した。各フランツセル受容チャンバの表面を、時計回りに5回および反時計回りに5回、綿棒でやさしく拭いた。この手順は、(事前に受容液に浸した)濡れた綿棒と乾燥した綿棒を交互に使用して、2回繰り返した。分析前に綿棒をシンチレーションカクテルに追加した。
【0271】
角質層(SC):スコッチ接着テープを使用して、慎重に皮膚を10回テープ剥離することにより、SCを除去した。最初の5枚のテープ片を1つのシンチレーションバイアル瓶に一緒に入れ、次の5枚を第2のバイアル瓶に一緒に入れた。1mLの水を各バイアル瓶に入れ、これらを72時間浸漬して、製剤を溶解し、水に分散させた。LSCによる分析の前に、シンチレーションカクテル(4mL)をバイアル瓶に添加した。
【0272】
上皮:(テープ剥離後の)上皮の残留断片をメスで真皮から慎重に除去した。この上皮を、2mLのSoluene 350を含有するガラスバイアル瓶に入れ、LSCによる分析前に50℃で72時間培養した。
【0273】
真皮:残留する真皮層を、2mLのSoluene 350を含有するガラスバイアル瓶に入れ、LSCによる分析前に50℃で72時間培養した。
【0274】
結果 試験した各ゲルについて、様々な皮膚層から回収した
14C標識されたMTZの量を以下の表25に示す。これらは
図3Aにおいて図式化される。適用される用量のパーセンテージとして表される同一のデータを以下の表26に示し、
図4Aに図式化する。
【0275】
追加の図式は
図5Aおよび6Aにおいて提供される。
【0276】
試験した製剤のいずれについても、供与チャンバ、受容チャンバ、上皮、および真皮内で検出されたMTZの量に統計的差異はなかった(p>0.05)。しかしながら、高用量MTZゲルを用いた場合、0.75重量%Metrogel(登録商標)と比較して、受容液および角質層内で検出された量の有意な差異が認められた。Metrogel(登録商標)(4.83±0.97μg)の適用後に受容液中で認められたMTZのレベルは、MG37PB(3.62±2.02μg)を可能な例外として、新たなPB製剤(MG33PBから最小0.31±0.27μg、MG36PBから最大1.17±0.25μg)より4〜16倍高かった(濃度について正規化された場合、2〜9倍;p<0.05)。しかしながら、例示の試験ゲルの適用後の角質層中の
14C標識されたMTZのレベル(MG36PBから最小17.80±3.45μg、MG35PBから最大33.15±19.86μg)は、Metrogel(登録商標)(0.37±0.74μg)について得られたものより50〜90倍高かった(濃度に対して正規化された場合、29〜53倍)。この差は、皮膚表面から回収された非吸収の放射線標識されたMTZの量に反映され、Metrogel(登録商標)製剤(45.03±1.20μg)から回収された薬物の量は、初期濃度の差に関わらず、例示の試験ゲルに相当した(MG33PBから最小55.69±5.42μg、MG34PBから最大65.23±3.29μg)。
【0277】
1.5重量%MTZを含有する例示のゲルを用いて、同様の実験を行ったところ、同様の結果が得られた(
図3B、4B、5B、および6Bに提供される)。
【0278】
したがって、従来の0.75重量%MTZと比較して、本明細書に記載される高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルにより、大量のMTZが皮膚の表層に保持される一方で、受容液中ではより低いレベルを生じ、皮膚に局所適用された場合に予想される低い全身レベルに対応する。
【表25】
【表26】
実施例7:ブタ膣組織を用いた透過研究
【0279】
例示の試験ゲルMG33PBおよび実施例6に記載されるものに類似する0.75重量%MTZ対照ゲルを用いた透過研究は、過剰な筋肉が除去されたブタ膣組織を使用して、フランツセル内で行った。Solueneを使用して、MTZを組織から抽出した。この実験において、ゲルは
14C標識されたMTZを含まなかった。MTZ回収量は、HPLCを介して測定した。試験ゲルまたは対照ゲルの適用後24時間の膣組織の表面および膣組織内から回収されたMTZの平均量を以下の表27に示す。以下のデータにおいて、n=5であり、試験ゲル実験および対照実験のそれぞれから1つの異常値を排除した。
【表27】
【0280】
データは、
図7において図式化される。実験の経過を通して時間の関数として膣組織を透過したMTZの累積量は、
図8に示される。
図8において、データは、膣組織(μg/cm
2)の単位面積当たりの透過したMTZの平均(±標準誤差)量(μg)として表される。試験バッチおよび対照バッチのいずれもN=5である。
【0281】
この実験において、試験ゲルおよび対照ゲルの両方に適用されたMTZの総量の約30%のみが回収された。
【0282】
MTZの総量の約30%のみが、本実験の試験治療群および対照治療群から回収された。
実施例8:1.3重量%MTZを含有する例示の高用量粘膜水系ゲルは、驚くほど有効であり、細菌性膣炎と診断された女性を治療するために臨床的に使用されるとき、FDA認可の0.75重量%MTZゲルよりはるかに有効である
【0283】
導入 1.3重量%MTZ、製剤MG33PBを含有する高用量粘膜接着性MTZ水系ゲルの特定実施形態の臨床評価を行い、その安全性および有効性を評価した。この研究において、MG33PBを0.75重量% METROGEL VAGINAL(登録商標)(「MGV」)に対して評価し、異なる試験群を使用して、1、3、および5日の有効性を決定した。
【0284】
一般的方法 BVの治療のためのMGV(QD×5日間連続)と比較したMG33PB(QD×1日、QD×3日間連続、およびQD×5日間連続)の多施設、無作為の検査官盲検、投与量決定有効性および安全性研究を、FDAガイダンスに従って行った(1998年7月付のFDAガイダンス草案、表題「Guidance for Industry:Bacterial Vaginosis−Developing Antimicrobial Drugs for Treatment」)。対象を3つの時点:スクリーニング/ベースライン訪問時、治療後の電話、および研究終了[EOS]/治癒試験[TOC]訪問時に評価した。対象は最長30日間参加した。研究設計を表28に概略的に表す。
【表28】
【0285】
研究集団 以下に列挙される包含基準のすべてを満たす参加者が、研究に参加することを許された。以下に列挙される除外基準のいずれか1つを満たす者は、研究への参加を認められなかった。
包含基準
1.書面でのインフォームドコンセントを自発的に与えることができる。
2.少なくとも18歳の女性。
3.良好な一般健康である。スクリーニング訪問時に病歴により確認されるように、研究参加を妨げ得ると検査官が判断する既知の病歴がない。
4.外来患者として研究に自発的に参加することができ、必要時に研究センターを訪問する、併用薬および他の治療制限を含むすべての研究要件を遵守する。
5.妊娠の可能性のある女性の場合、研究治療の開始前に尿による妊娠検査の結果が陰性である。
6.以下の基準のすべてを有することで定義される、BVの臨床診断を有する。
1.オフホワイト(乳白色または灰色)の薄い均質な分泌物
2.生理食塩水ウェットマウントの顕微鏡試験において、総上皮細胞の20%を超える糸玉状細胞の存在
3.4.7を超える膣液のpH
4.10% KOH臭気テスト陽性
7.研究の最初の7日間は性交渉を控えることに同意する。最初の7日が経過した後、性交渉を行うときは非潤滑コンドームを使用することに同意する。
8.治療期間中および治療後1日はアルコール接種を控えることを受諾する。
9.研究期間の間、膣内製品の使用を避けることに同意する(例えば、ビデ、女性用臭スプレー、殺精子剤、潤滑コンドーム、タンポン、およびペッサリー)。
除外基準
1.妊娠中、授乳中、または研究期間中に妊娠する予定である。
2.診断時に生理中であるか、または研究の治療期間中に生理の開始が予想される。
3.訪問の90日以内に臨床的に重要な医療事象を経験する(例えば、脳卒中、心筋梗塞等)。
4.外陰膣炎の既知もしくは疑わしい他の感染原因がある(例えば、カンジダ症、膣トリコモナス、クラミジアトラコマチス、淋菌、または活性単純ヘルペス)、または検査官の判断で、臨床反応の解釈を混同させる任意の他の膣もしくは外陰状態を有する(クラミジアトラコマチスと淋菌の試験結果は、無作為化の時点で入手可能でない)。
5.4未満のグラム染色スライドニュージェントスコアを有する(結果は、無作為化の時点で入手可能でないが、研究後の分析集団を決定するために利用される)。
6.無作為化の14日以内に抗真菌治療または抗菌治療(全身性または膣内)を受けた。抗ウイルス治療(非膣内)は容認される。
7.無作為化の14日以内にジスルフィラムを接種した。
8.経口もしくは局所投与、またはパラベンの任意の形態で投与されたメトロニダゾールに対して事前に過敏反応を示す。
9.一次または二次免疫不全を有する。
10.研究期間中に子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)または子宮頸癌の治療中である、または治療を受ける予定である。
11.クマジン(ワファリン)による抗凝固療法を使用している。
12.全身性コルチコステロイドまたは全身性抗生物質を使用している。
13.以前にこの研究に登録したことがある。
14.最近30日以内に別の臨床治験に参加した、または実験薬物またはデバイスを摂取した。
15.プロトコルの要件を遵守しない、または遵守することができない。
【0286】
治療群 すべてのスクリーニング/ベースライン評価およびアセスメントが完了した後、対象に研究薬物の適用について適切な技法を指示し、非盲検薬物投薬コーディネータが、以下の治療群の1つに1:1:1:1の比で無作為に割り当てた。
・MGV:QD×5日間連続
・MG33PB:QD×1日
・MG33PB:QD×3日間連続、および
・MG33PB:QD×5日間連続
【0287】
各対象は1キットの研究薬物を受けた。各キットは以下のいずれかを含む。
・1本70gの管で適切な数のアプリケータで供給される研究薬物、MG33PB、または
・1本70gの管で5つのアプリケータで供給される比較薬物、MGV。
【0288】
様々なサブグループ集団の転帰を評価した(以下でさらに詳述される)。「
包括解析」(ITT)集団は、研究に無作為化されたすべての対象を含む。「
修正包括解析」(MITT)集団は、任意の研究薬物を受けたすべての無作為化されたすべての対象を含み、少なくとも1つの治療後ベースライン訪問/アセスメントを受け、淋菌およびクラミジアトラコマチスの陰性試験を受け、訪問1において4以上のグラム染色スライドヌージェントスコアを有した。主要有効性データを欠如する対象は、主要有効性エンドポイントの失敗例としてカウントし、MITT集団に含めた。「
パープロトコル」(PP)集団は、以下の基準を満たすMITT集団の対象を含んだ。
・すべての包含基準および除外基準を満たし、プロトコル違反がない。
・無作為化の日、または無作為化の日から2日以内に研究薬物を開始する。
・研究薬物に準拠する。
・研究期間(無作為化からTOC訪問まで)の間に抗菌薬を使用しない(許容されるパープロトコル以外)。
・研究の期間中に追加の膣内製品を使用しない。
・TOCグラム染色ヌージェントスコア結果は、治療の初日に対して、20日〜31日の間に得た。
・研究訪問の終了が21日目以前であった対象は、その対象が別の特定原因のない細菌性膣炎(すなわち、トリコモナス、クラミジア、淋病)の臨床的失敗であったことをデータが示した場合、PP集団に含めた。
【0289】
「
安全性」集団は、任意の量の研究薬物を適用したすべての無作為化対象を含んだ。
【0290】
盲検 研究薬物および比較薬物は異なる治療計画を使用して投与されたため、検査官盲検研究設計を利用した。治療の割り当ては、治療割り当ておよび投薬を行った各施設にの検査官および研究コーディネータ、ならびに独立した投薬コーディネータには知らされなかった。
【0291】
制限された薬物療法/治療.研究結果に影響を及ぼす可能性がある以下の薬物、調製物、および治療は、本研究中は禁止された。
1.治療期間中および治療後1日のアルコール摂取
2.治療期間中および治療後1日のジスルフィラム
3.研究期間中の膣内製品(例えば、ビデ、女性用消臭スプレー、殺精子剤、潤滑コンドーム、タンポン、およびペッサリー)
4.併発状態(例えば、カンジダ)を治療するための経口抗真菌療法(例えば、経口フルコナゾール)を例外とする、研究期間中の全身性または膣内抗菌療法。抗ウイルス療法(非膣内)が許容された。
5.CINまたは子宮頸癌の治療
6.クマジンまたはワルファリン
7.全身性コルチコステロイド
【0292】
有効性および安全性変数 有効性分析は、PPおよびMITT集団の両方で行った。
【0293】
主要有効性変数を訪問2(EOS/TOC)で評価し、治療治癒の証拠とする。治療的に治癒したと考えられる対象は、EOS/TOCにおいて臨床的治癒および細菌学的治癒の両方を達成していなければならない。
【0294】
臨床的治癒は、ベースライン訪問から得た臨床的所見の解決として定義され、さらに以下のように定義される。
1.オフホワイト(乳白色または灰色)の薄い均質な分泌物の不在
2.10% KOH臭気テスト陰性
3.生理食塩水ウェットマウント中の糸玉状細胞の不在
4.膣液pH4.7未満
【0295】
加えて、対象は、研究期間中に任意の抗菌薬(許容されるパープロトコル以外)を受けていてはならず、検査官はEOS時に、「あなたの意見では、この時点で患者はBV感染の追加の治療を必要としますか」という質問に「いいえ」と答えていなければならない。
【0296】
細菌学的治癒は、ヌージェントスコア4未満として定義される。
【0297】
この研究のキーとなる二次有効性変数は以下のとおりである。
・TOC/EOS訪問時に臨床的治癒を有する対象の割合
・TOC/EOS訪問時に細菌学的治癒を有する対象の割合
・無作為化から対象の日記が症状の解消を示す日までの時間間隔(日数)として定義される、症状(異常な分泌物および臭気)の解消にかかる時間
・掻痒、刺激、および炎症を含む骨盤試験結果
・対象の質問票および日記データ
【0298】
スケジュールされていない中間訪問で臨床的失敗として分類された対象は、それらの臨床的および細菌学的結果および治療アセスメントをEOS/TOC訪問に進めた。
【0299】
安全性分析を安全性集団に行い、膣炎の履歴および以前の治療、骨盤試験、併用薬モニタリング、およびAE/SAEモニタリングの評価を含めた。
【0300】
統計学的方法および分析
【0301】
分析の研究手段 様々な研究集団は上に定義される。ITT集団を使用して、対象の性質、人口学的および基本的特性、病歴、および以前の薬/併用薬をまとめた。MITT集団は、対症的有効性分析に使用した。PP集団は、一次分析に使用した。安全性集団は、研究薬物の曝露およびすべての安全性分析に使用した。対象は治療されたとして分析した。
【0302】
一次および二次終点の統計的分析 集団変数の場合、データは、正確な95%信頼区間(CI)とともに治療群別にまとめた。研究中(すなわち、スクリーニング/無作為化の日から最終訪問の日までの任意の時点)に他の抗菌薬を受けた対象、すなわち許容されるパープロトコル以外のものは失敗としてカウントした。
【0303】
症状解消までにかかる時間のカプラン−マイヤー生存曲線をすべての治療群についてプロットした。
【0304】
治療群を比較するために正式な統計学的試験は行わなかった。治療計画の最終選択は、治癒率、結果の一貫性、安全性、および利便性情報に基づいた。
【0305】
安全性分析 安全性データは、各治療群について、研究の停止をもたらすすべての治療中に発生した有害事象(TEAE)、任意の重篤な有害事象(AE)、TEAE、重篤なTEAE、およびAEに関連する治療の評価(数および%)で構成された。
【0306】
検査官は、AEの重篤度を説明するために、以下の用語:軽度、中度、または重度を選択する。検査官は、各AEと研究薬物との関係は、関連しない、恐らく関連しない、恐らく関連する、または関連するとして評価した。注記:治療に関連するAEは、恐らく関連する、または関連すると分類されるものを含む。
【0307】
治療中に発生した有害事象(TEAE)は、研究薬物の開始時もしくは開始後、および研究薬物の最後の投与から30日未満後に発症時間を有するか、または研究薬物開始の時点で継続していて、治療中もしくは研究薬物の最後の投与から30日の期間中に重篤度が増した、もしくは研究薬物と関係が近くなった有害事象として定義される。
【0308】
TEAEは、少なくとも1つの事象の全体発生率、器官別大分類(SOC)別発生率、ならびにSOCおよび好ましい期間別発生率によりまとめた。TEAEは、重篤度および研究生成物との関係別にもまとめた。また以下の治療中に発生した有害事象は、以下のようにまとめた:重篤なTEAE、治療関連のTEAE、重篤なTEAEおよび研究の中断に至るTEAE。
【0309】
安全性および有効性の臨床的評価の結果
【0310】
対象の処理 研究対象の処理を以下の表29に示す。合計255名の対象を4つの研究治療に無作為に割り当て、1名(MGV群)を除く全員に投与し、安全性集団に含めた。対象234名(91.8%)が研究を完了した。早期に中断した21名(8.2%)の対象中、9名(3.5%)はフォローアップできず、5名(2.0%)が淋菌および/またはクラミジアトラコマチススクリーニング試験結果が陽性であった。
【0311】
ITT集団は対象255名(100.0%)、MITT集団は対象228名(89.4%)、およびPP集団は対象189名(74.1%)であった。27名(10.6%)の対象がMITT集団から除外され、大半の23名(90.0%)はベースラインヌージェントスコアに起因した。66名(25.9%)の対象がPP集団から除外され、30名(11.8%)の対象において発生した最も共通する理由は、研究薬物の初回投与から20〜31日以内にヌージェントスコアが行われなかったことであった。対象集団のまとめを以下の表30に示す。
【0312】
人口統計 ベースラインにおいて、研究に登録した対象の平均年齢は35.1(±9.93)歳であった。対象は、35歳未満の群(51.4%)と35歳以上(48.6%)の群とに均等に分割し、治療群全体で年齢範囲別に均衡させた。人口統計のまとめを以下の表31に示す。
【表29】
【表30】
【表31】
【0313】
細菌性膣炎の病歴および以前の細菌性膣炎の治療 細菌性膣炎(BV)の病歴およびBVの以前の治療をITT集団について以下の表32にまとめる。
【表32】
【0314】
全体で95名(37.3%)の対象がBVの以前のエピソードを報告し、現在のBVエピソードの平均期間は151.6日であった。治療群は、細菌性膣炎の病歴およびベースライン特徴に関して類似していた。
【0315】
有効性結果 治癒率のまとめ。PP集団およびMITT集団における治癒率のまとめ(一次終点治療的治癒率ならびに二次終点臨床的および細菌学的治癒率)を以下の表33に示す。
【表33】
【0316】
以下の表34に示されるように、MITT集団の結果は、PP集団に類似する。
【表34】
【0317】
研究終了/治癒試験の訪問時の各治療的治癒基準による有無のまとめ 4つの定められた治療的治癒基準のそれぞれについて、EOS/TOC訪問時の有無の結果を、PP集団について表35に提示する。結果はMITT集団に類似する。
【表35】
【0318】
症状の解消にかかる時間 PP集団において、異常な分泌物および魚臭の両方の解消までにかかる時間の中央値、ならびに魚臭のみの解消までにかかる時間の中央値は、3つのメトロニダゾール1.3%治療群のすべてにおいてMGV0.75%群より短く(時間の中央値はそれぞれ5日対6日、2日対3日であった)、異常な分泌物の解消までにかかる時間の中央値は、すべての治療群において等しい(時間の中央値は3日である)。症状(複数可)の解消にかかる時間のまとめを以下の表36に示す。
【表36】
【0319】
サブグループ別治療的治癒率のまとめ PP集団における治療的治癒率は、以下の表37においてサブグループ別に提示される(年齢群、人種、民族、ベースラインでの現在のBVエピソードの期間、およびBVの以前のエピソード)。
【表37】
【0320】
サブグループ別の解析から明らかな治療的治癒の達成における有意な傾向は認められなかった。
【0321】
対象への質問結果 研究の終了時に、対象全員に質問票に記入するよう依頼した。以下の質問を具体的に対象に尋ね、研究薬物の使用に関する彼らのフィードバックを提供する。
・研究薬物の適用はどれくらい容易でしたか?
・研究薬物による治療の長さはどれくらい好都合でしたか?
・あなたが受けた治療にどれくらい満足していますか?
・今後BV症状が出た場合、この研究薬物による治療を好みますか?または別の治療を望みますか?
【0322】
結果のまとめを以下の表38に示す。
【表38】
【0323】
4つの治療群の中で、本治療を「非常に適用しやすい」、「非常に好都合」(治療の長さについて)、および「非常に満足」と評価した対象が最も多かったのは、MG33PB 1日群であった(データ図示せず)。
【0324】
安全性結果 薬物曝露。この30日研究において、対象は、MGVをQD×5日間連続、MG33PBをQD×1日、MG33PBをQD×3日間連続、またはMG33PBをQD×5日間連続して受けた。安全性集団の研究薬物曝露の平均日数のまとめを以下の表39に示す。
【表39】
【0325】
全ての治療群において、対象の大半から研究生成物の漏出の報告はなかった、または最小の漏出が報告された。
【0326】
有害事象のまとめ 全体で、92名(36.2%)の対象が、有害事象(AR)を報告した。すべての有害事象は治療中に発生した有害事象(TEAE)であった。4つの治療群にわたって29名(11.4%)の対象がTEAEを有し、検査官は研究薬物に関連すると評価した。AEのまとめを以下の表40に示す。
治療中に発生した有害事象 TEAE全体で最も頻繁に報告された器官別大分類(SOC)は、感染および侵入(47[18.5%]対象)、神経系疾患(32[12.6%]対象)、ならびに生殖系疾患および乳腺疾患(27[10.6%]対象)であった。器官別大分類(SOC)によるすべてのTEAEのまとめを以下の表41に示す。
【表40】
【表41】
【0327】
研究薬物との関係に関わらず、好ましい期間別で対象全体の2.0%超の発症率を有する、最も頻繁に報告されたTEAEは外陰膣カンジダ症(25[9.8%]対象)および頭痛(21[8.3%]対象)であった。研究薬物との関係に関わらず、好ましい期間別で対象全体の2.0%超の発症率を有するすべてのTEAE、および対象全体の2.0%超の発症率で報告されたもののまとめを減少順に以下の表42に示す。
【0328】
恐らく研究薬物に関連すると考えられる、または研究薬物に関連するTEAEのうち最も頻繁に報告されたものは、SOCカテゴリ「感染および侵入」の外陰膣カンジダ症、および「生殖系および乳腺疾患」SOCの外陰膣掻痒および灼熱感である。SOC、好ましい期間、および全体で少なくとも6.0%の発生率を持つ研究薬物との関係によるTEAEのまとめを以下の表43に示す。
【表42】
【表43-1】
【表43-2】
【0329】
有害事象の大半は、軽度または中度であった。計5名の対象が、低血糖、眩暈、腹痛、歯の膿瘍、外陰部浮腫、および膣の灼熱感を含む6つの重度事象を報告した。1名の対象(#2904、1.3%1日)は、研究生成物に関連すると考えられる2つの重度事象(研究3日目に始まった膣の灼熱感および外陰部浮腫)を報告した。これらの事象は、外陰部掻痒、頭痛、腰痛、および外陰膣カンジダ症と同時に発生した。重度のAEの発生率において治療群間の差異は認められなかった。
【0330】
重度の有害事象 この研究中、MG33PB QD×1日治療群において、1(1.5%)対象に1つのSAE、低血糖が見られた。
【0331】
まとめ この実施例では、細菌性膣炎に対する1.3%膣ゲル(試験MG33PBゲル)の有効性および安全性を探求した。1日1回1、3、または5日間のMG33PBは、1日1回計5日間適用された市販のMGV0.75%膣ゲル(MGV)に類似する、または数値的により良好な治療的治癒率をもたらした(表33〜36)。分析したサブグループの分析から有効性の傾向は認められなかった(表37)。治療を「非常に適用し易い」、「治療の長さが非常に便宜的」、および「非常に満足」と評価した対象の割合が最も高かったのは、MG33PB 1日群であった(表38)。有害事象の大半は、軽度および中度であることがわかった(表40〜43)。意外なことに、MG33PBによる5日間の治療計画が、治療後に認められる外陰膣カンジダ症を生じなかったことが発見された(表42)。
実施例9:インビトロ皮膚感染モデルにおける抗菌有効性
【0332】
ガルドネレラバジナリスに対するいくつかの例示の高用量MTZゲルの抗菌有効性は、インビトロ実験において実証された。この実験では、試験ゲルにより治療され、定量された感染皮膚からATPから回収された。回収されたATPの量が低いほど、感染に対するゲルの有効性が高い。
【0333】
2つの研究:パイロット研究およびフルスケール研究を行った。パイロット研究の一般的な方法は以下のとおりである。
・新鮮な上皮膜を標準プロトコルに従って調製し、必要になるまで−20℃で凍結保存した。
・膜を3mm×3mm切片に切断し、60℃で15分間熱処理して(以前の実験は、上皮膜からのバックグラウンド干渉を低減するために、これが最適な加熱時間であることを実証した。データ提示せず)、10μLのガルドネレラバジナリス(約5×10
7cfu)細胞懸濁液を使用して感染させた。生菌数測定を行い、細胞懸濁液の調製後の細胞形成単位の数を得た。
・ChubTur(登録商標)細胞を設定し、3mLのリンガー液を細胞に添加し、湿度制御された環境を保証した。
・35℃で24時間培養した後、10μLの試験ゲルを上皮膜表面の上に適用した。
・接種した上皮膜の培養に続いて、2μLの試験ゲルを上皮膜試料に適用することにより投薬を行った(各ゲルおよび開始時の時点についてn=3、同一試料から複数の時点を測定しない)。
・投薬に続いて、4、8、および24時間後の生きた有機体からのATPの存在について試料を分析した。
・正および負の対照を含めた。負の対照は、t=0で有機体または製剤を添加しなかった上皮膜試料を含み、正の対照は、t=0で有機体のみを添加した(製剤は添加しない)上皮膜試料を含んだ。
【0334】
フルスケール研究の場合、プロトコルに以下の変更を行った。
・上皮膜の初期感染および投薬前の嫌気性培養時間を30分に低減した。
・ゲルへの曝露時間を2時間に低減して、経時的な有機体生存率の自然な減少を最小限にした。
・ChubTur(登録商標)細胞を培養から除去し、ATPアッセイを行うことにより、ガルドネレラバジナリスに感染させた上皮膜試料にゲルを適用してから2時間後にゲルの有効性を試験した。
【0335】
結果:パイロット研究 図9は、例示の活性ゲルMG32PB(n=3、開始時)を適用したときのガルドネレラバジナリスに感染したEP試料からのATP放出の変動(10アプリケーション投与)およびその未治療感染EP試料との比較を示す。対応するプラセボ、MG32PB−P、および対照は、n=2で試験した。回収されたATPの量が低いほど、試験有機体に対する試験ゲルの有効性は高かった。
【0336】
図10に提示されるデータから、正の対照(感染、未治療上皮膜)は、予想どおり、ATPの高い回収をもたらすことが認められたが、負の対照には低量のバックグラウンド干渉が認められた(未感染、未治療上皮膜)。製剤による投与時間もATP回収に対する効果を示す。24時間投薬に続いて、ATPのレベルがバックグラウンドATP(負の対照)レベル付近に減少することがわかる。この現象は、程度の差はあるが、8時間時点に対して認められた。このパイロット研究から、経時的な自然細胞死の効果を減少させるために、初期培養時間(4、8、および24時間)を低減すべきであることが決定された。フルスケール研究では、投薬時間を2時間に低減した。
【0337】
結果:フルスケール研究 図11は、試験ゲルを適用したときの(活性試験ゲルの開始時n=6、およびプラセボの場合n=3)ガルドネレラバジナリス(ATCC14018)に感染上皮膜試料から放出されたATPにおける変動、および市販の比較薬Metrogel(登録商標)との比較を示す。正の対照(ガルドネレラバジナリスに感染した未治療の上皮膜試料)および負の対照(未感染、未治療の上皮膜試料)も含めた。
【0338】
図11に提示されるデータは、活性試験ゲルで治療した感染皮膚試料について、対応するプラセボゲルで治療された感染皮膚試料からのATPの回収と比較したときに、ATP回収の低減が認められることを示す。製剤MG32PBは、回収されたATPレベル(データ図示せず)に関して、活性製剤とプラセボとの間に有効性の著しい差異を示した。感染した対象と比較して、活性製剤MG32PBのATP回収に大幅な低減を示す著しい差異(p<0.05)があり、製剤の良好な有効性を示す。
【0339】
例示の試験ゲルMG33PBで治療した感染皮膚試料は、感染対照と比較して、活性製剤およびプラセボの両方について、著しく低い(p<0.05)ATP回収を示した。この製剤と他の製剤との間の主な差異を考慮すると、ポリカルボフィルAA−1、生接着性ポリマー、賦形剤はMG33PB製剤中のみに存在するため、製剤MG33PBプラセボの有効性は予想外であった。
【0340】
製剤MG35PBは、任意の製剤で以前に治療されていない感染試料と比較したときに、活性製剤について有機体の生存率を低減することにほとんどまたはまったく影響しなかった。
【0341】
製剤MG32PB−A、MG33PB−A、およびMG33PB−Pのすべては、ヒト上皮膜上のガルドネレラバジナリスに対して同等の活性レベルを示した(P<0.05)。しかしながら、Metrogel(登録商標)は、MG32PB−P、MG33PB−A、およびMG35PB−Pと比較したときに、有意に効果的であった(p<0.05)。
【0342】
まとめ MG33PB−AおよびMG32PB−Aは、他の製剤より高い有効性を有することが認められた。しかしながら、意外なことに、MG33PB−P(メトロニダゾールを有しない)もMG33PB(1.3%メトロニダゾール)と等しくガルドネレラバジナリスに対して有効であることが発見された。
実施例10:ディスク拡散抑制域アッセイを使用する抗菌有効性についての新規のメトロニダゾール製剤のインビトロ評価
【0343】
導入 微生物の増殖を抑制するために必要なベンジルアルコールの最小量を決定するために研究を行った。この研究では、3つのプラセボおよび1つの活性高用量MTZゲルのガルドネレラバジナリスに対する抗菌有効性を、ディスク拡散抑制域アッセイにより試験した。
【0344】
試験したゲルを以下の表44に示す。
【表44】
【0345】
アッセイのために、約1×10
9cfu/mLで調整された3mLのガルドネレラバジナリス懸濁液を調製した。100μLアリコートの懸濁液をピペットで取り、注入前コロンビア血液寒天培地(CBA)プレートの表面上に置き、滅菌散布機を用いて懸濁液を寒天培地の表面全体に均一に広げた。次に寒天培地プレートを層流キャビネット下で乾燥させた。次に20μLの試験ゲルを1/4抗生物質アッセイディスクの表面に適用することにより抑制域アッセイを行い(各ゲルについてn=6、注記:ディスクは抗生物質を含有しない)、層流キャビネット下で1分間の期間空気乾燥させた。次にディスクを反転させて、ガルドネレラバジナリスを事前に播種したプレートの表面の上に置き、35℃で48時間、嫌気性瓶内で培養した。AnaeroGen(商標)ガスパックの使用により嫌気性条件を維持した。培養に続いて、すべての製剤の抑制域をキャリパーで測定した。
【0346】
結果 図12に示される結果は、ガルドネレラバジナリスに対してMG33PBが有効であることを示し、抑制域がCBAプレート上に観察される(データ図示せず)。活性製剤と比較して、プレート上で観察される抑制域がないことにより示されるように、プラセボMG33PBプラセボ(0%、1%、および2%BA)のいずれかによる活性が見られた。
【0347】
まとめ MG33PBは、MTZを含有しないプラセボゲルと比較して、ガルドネレラバジナリスに対して有効である。
【0348】
本明細書に引用される特許、特許文書、論文、要約、および他の出版物の開示は、それぞれ個別に組み込まれるかのように、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。対立する場合は、定義を含む本明細書を優先する。本発明に対する様々な修正および変更は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく当業者には明らかとなるであろう。例示の実施形態および実施例は単なる例として提供され、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、以下に記載される請求項によってのみ制限される。
【0349】
本出願において引用されるすべての出版物、特許、特許出願、および他の文書は、それぞれ個別の出版物、特許、特許出願、または他の文書が、あらゆる目的で参照することにより組み込まれることが個別に示されるのと同じ程度で、あらゆる目的で参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0350】
様々な特定の実施形態が図示および説明されたが、当然のことながら発明(複数可)の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができる。