(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986645
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】実質的に正弦波状の同期パルスを発生させるための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H04L 7/00 20060101AFI20160823BHJP
H03B 28/00 20060101ALI20160823BHJP
H03K 4/04 20060101ALI20160823BHJP
H03K 12/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
H04L7/00 140
H03B28/00 A
H03K4/04
H03K12/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-555145(P2014-555145)
(86)(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公表番号】特表2015-509343(P2015-509343A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】EP2013051037
(87)【国際公開番号】WO2013117415
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年8月1日
(31)【優先権主張番号】102012201711.9
(32)【優先日】2012年2月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルド・ニッチェ
(72)【発明者】
【氏名】マッソウド・モメーニ
【審査官】
阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−286903(JP,A)
【文献】
特開昭57−083906(JP,A)
【文献】
特開2002−123344(JP,A)
【文献】
特開2010−213272(JP,A)
【文献】
米国特許第05675609(US,A)
【文献】
米国特許第06484223(US,B1)
【文献】
特開2000−091905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7
H03B 28
H03K 4
H03K 12
H04L 25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期パルス(Psync)を発生させるための電圧発生器(30’)を備え、該電圧発生器が、前記同期パルス(Psync)を所定の規格限界値(Vo,Vu)の範囲内で所定の形状と所定の時間的挙動とを備えるように発生させる、車両内の制御器のための受信装置であって、該受信装置(3’)が、信号伝送を同期させるための前記同期パルス(Psync)をデータバス(5)を介して少なくとも1つのセンサ(7)へ出力するようにした前記受信装置において、
前記電圧発生器(30’)が、参照電圧(Uref)をベースにして前記同期パルス(Psync)を実質的に正弦波振動として発生させる電圧増幅器(36’)を含んでおり、
前記電圧発生器(30’)が、デジタル制御回路(32’)とデジタルアナログ変換器(34’)とを含み、前記デジタル制御回路と前記デジタルアナログ変換器とが実質的に正弦波状の前記参照電圧(Uref)を発生させて前記電圧増幅器(36’)へ出力し、
1つの共通の電圧供給部(3.1’)が、前記電圧増幅器(36’)と前記デジタル制御回路(32’)と前記デジタルアナログ変換器(34’)とに対し供給電圧を提供する
ことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記電圧増幅器(36’)が、
前記データバス(5)と結合されている他の回路(3.3’)に対し供給電圧を提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記電圧増幅器(36’)の供給電圧が、
前記同期パルス(Psync)の最大振幅よりも高い
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記デジタル制御回路(32’)が、
前記同期パルス(Psync)の前記所定の形状と前記所定の時間的挙動とを記憶および/または演算し、その際に前記デジタル制御回路(32’)は対応するデジタルデータ語を前記デジタルアナログ変換器(34’)へ出力する
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の受信装置。
【請求項5】
同期パルスを発生させ、次に車両内のデータバス(5)を介して受信装置(3’)と少なくとも1つのセンサ(7)との間での信号伝送を同期化するために前記同期パルスを発生させる方法であって、前記同期パルス(Psync)を所定の規格限界値(Vo,Vu)の範囲内で所定の形状および所定の時間的挙動とを備えるように発生させて、前記受信装置(3’)から前記少なくとも1つのセンサ(7)へ伝送させるようにした前記方法において、
前記同期パルス(Psync)を、参照電圧(Uref)をベースにして実質的に正弦波振動として発生させ、
デジタル制御回路(32’)とデジタルアナログ変換器(34’)とを含む前記電圧発生器(30’)が、実質的に正弦波状の前記参照電圧(Uref)を発生させて前記電圧増幅器(36’)へ出力し、
1つの共通の電圧供給部(3.1’)が、前記電圧増幅器(36’)と前記デジタル制御回路(32’)と前記デジタルアナログ変換器(34’)とに対し供給電圧を提供する
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の種類による車両内の制御器のための受信装置、および、独立請求項10の種類による同期パルスの発生方法から出発している。
【背景技術】
【0002】
センサデータを車両内の中央制御器(ECU)に伝送するため、乗員保護システム用の周辺センサを利用し、ほとんどの場合電流インターフェース(たとえばPAS4,PSI5)を利用する。最新世代の電流インターフェース(PSI5)の場合、同期により、受信器に設けた複数のセンサとのバス作動が可能になる。同期の機能のため、中央制御器(ECU)によって電圧パルスの形態で作業サイクルが発生せしめられ、該電圧パルスはバスに設けたセンサによって検出されて、データ伝送のための新たなサイクルの開始を指示する。この電圧パルスは同期パルスと呼ばれ、バス負荷を充電または放電させる電流源およびカレントシンクを用いて生じる。典型的には、この電圧パルスは500μsごとに反復される。
【0003】
1つのセンサまたは複数のセンサを備えた同期バスシステムが機能するには、同期パルスが可能なすべてのバス構成に対し且つ可能なすべての作動条件のもとで特定の形状と特定の時間的挙動とを有していることが重要である。それ故、公知の同期バスシステムでは、
図3に図示した、所定のエッジ勾配を備えた台形状同期パルスP
Tを使用するのが通常である。この場合、エッジ勾配は、下限値Vuを表わす第1の特性曲線のエッジ勾配と上限値Voを表わす第2の特性曲線のエッジ勾配との間にある。同期バス作動の間、同期パルスP
Tの台形状は高い高調波成分によって信号伝送の周波数スペクトルでの電磁放射(EMV)を増大させる。これは、たとえば
図4に図示した、4つの丸みを帯びたコーナーの台形状を有する同期パルスP
Trによって、ある程度阻止することができる。
【0004】
特許文献1には、電流信号を受けるための受信装置と、このような受信装置を備えた回路装置と、バスシステムを介して電流信号を伝送するための方法とが記載されている。記載された受信装置は、複数の送信器の電流信号を受けるために少なくとも2つのバス接続装置であって、各バス接続装置がそれぞれ少なくとも1つのバスコネクタへ接続するように構成された前記2つのバス接続装置と、同期パルスをバス接続装置に出力して送信器を同期化するための制御装置とを含んでいる。前記2つのバス接続装置は同期パルスを互いに少なくとも1つのタイムラグでもって複数の送信器へ出力し、その際同期パルスはそれぞれ丸みを帯びたコーナーの台形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009001370A1号明細書
【発明の概要】
【0006】
これに対し、独立請求項1の構成を備えた、車両内の制御器のための本発明による受信装置と、独立請求項10の構成を備えた、同期パルスを発生させるための本発明による方法とは、所定の限界値内で同期パルスを正弦波状に形成することにより、特に信号伝送のスペクトル範囲(100kHzないし300kHz)で可能な限り少ない電磁放射を達成できるという利点を有している。
【0007】
本発明の本質および利点は、同期パルスのコーナーのみを丸くするのではなく、電磁放射が同期パルスの基本波の範囲にできるだけ限定的に留まるように形状全体を最適化することにある。
【0008】
本発明の実施態様は、同期パルスを発生させるための電圧発生器を備えた、車両内の制御器のための受信装置であって、該電圧発生器が、所定の規格限界値の範囲内で所定の形状と所定の時間的挙動とを備えた同期パルスを発生させる前記受信装置を提供する。受信装置は、信号伝送を同期化するための同期パルスをデータバスを介して少なくとも1つのセンサへ出力する。本発明によれば、電圧発生器は、参照電圧をベースにして同期パルスを実質的に正弦波振動として発生させる電圧増幅器を含んでいる。
【0009】
さらに、同期パルスを発生させ、次に車両内のデータバスを介して受信装置と少なくとも1つのセンサとの間での信号伝送を同期化するために前記同期パルスを発生させる方法が提案される。同期パルスを所定の規格限界値の範囲内で所定の形状および所定の時間的挙動を備えるように発生させて、受信装置から少なくとも1つのセンサへ伝送させる。本発明によれば、参照電圧をベースにして同期パルスを実質的に正弦波振動として発生させる。
【0010】
同期パルスは、好ましくは、少なくとも1つのセンサと受信装置との間での信号伝送開始前または開始時に受信装置により少なくとも1つのセンサへ伝送させることができる。
【0011】
従属項で述べられている処置および更なる構成により、独立請求項1に記載した車両内の制御器のための受信装置の有利な改善が可能である。
【0012】
電圧発生器がデジタル制御回路とデジタルアナログ変換器とを含み、デジタル制御回路とデジタルアナログ変換器とが実質的に正弦波状の参照電圧を発生させて電圧増幅器へ出力するのが特に有利である。
【0013】
本発明による受信装置の有利な構成では、第1の電圧供給部が電圧増幅器に対し供給電圧を提供することができる。さらに、第2の電圧供給部が、デジタル制御回路およびデジタルアナログ変換器に対し、且つデータバスと結合可能な少なくとも1つの他の回路に対し、供給電圧を提供することができる。同期パルスを出力するため、たとえば、第1の切換えユニットが少なくとも1つの他の回路をデータバスから切り離し、第2の切換えユニットが電圧増幅器をデータバスと結合させることができる。第1の切換えユニットと第2の切換えユニットとは、たとえば、切換えスイッチとして実施してよい。これは、有利な態様で同期パルスの非常に確実な実現と電磁放射の低減とを可能にする。加えて、電圧増幅器の制御を完全に回路のデジタル部分にスワップすることができ、このことは、半導体技術のスケーリングが常に進歩しているので、面積を効率化させる解決手段になりうる。受信装置の前記少なくとも1つの他の回路は同期パルスの間にデータバスから切り離してよく、他方電圧発生器を同期パルスの発生のために起動させて、データバスと連結させる。
【0014】
本発明による受信装置の更なる有利な構成では、1つの共通の電圧供給部が、電圧増幅器とデジタル制御回路とデジタルアナログ変換器とに対し供給電圧を提供することができる。さらに、電圧増幅器は、データバスと結合されている少なくとも1つの他の回路に対し供給電圧を提供することができる。2つの別個の電圧供給部を統合し、且つ2つの切換えユニットを除去することにより、有利な態様で受信装置の設計上の複雑性を少なくし、低調波または不連続なしにバス電圧を同期パルスによって受け取らせることができる。本発明のこの構成の利点は、一方では面積を効率化した回路にあり、他方では同期パルスが継続している時間の間、通常のバス電圧と同期電圧との間での常時または連続的な移行にある。とりわけ切換えユニットを省略することは、レイアウト面積またはシリコン面積の非常に大きな節減を意味している。
【0015】
本発明による受信装置の有利な構成では、電圧増幅器の供給電圧は同期パルスの最大振幅よりも高く設定することができる。このことは、同期パルスの最大振幅よりも大きな電圧で電圧増幅器を作動させることができることを意味している。電圧増幅器はその出力電圧でもってデジタルアナログ変換器からの参照電圧の形状に追従する。電圧増幅器の重要な特性は、最終段を適当にディメンショニングした高い駆動力である。このことは、電圧増幅器またはその最終段が十分に高い電流を提供または受け入れることができて、信号破断および信号変形のない同期パルスの所望の形状を可能にすることを意味している。
【0016】
本発明による受信装置の更なる有利な構成では、デジタル制御回路は、同期パルスの所定の形状と所定の時間的挙動とを記憶および/または演算し、その際にデジタル制御回路は対応するデジタルデータ語をデジタルアナログ変換器へ出力することができる。デジタルアナログ変換器は、Nビットデータ語から、電圧増幅器に供給される参照電圧を発生させる。データ語の分解能は、放射上の理由から、同期パルスを著しい飛躍なしに描くことができるように選定することができる。
【0017】
本発明の実施例が図面に図示されており、以下の説明で詳細に述べる。図面において、同一の参照符号は同一のまたは対応する機能を行なう構成部材または構成要素を表わしている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】最適化した同期パルスを発生し出力する、車両内の制御器のための本発明による受信装置の第1実施例を備えたセンサ装置のブロック構成図である。
【
図2】最適化した同期パルスを発生し出力する、車両内の制御器のための本発明による受信装置の第2実施例を備えたセンサ装置のブロック構成図である。
【
図3】所定限界値内での従来の台形状同期パルスの形状および時間的挙動の図である。
【
図4】所定限界値内での従来の丸みを帯びた台形状同期パルスの形状および時間的挙動の図である。
【
図5】所定限界値内で本発明に従って最適化された同期パルスの形状および時間的挙動の図である。
【
図6】本発明に従って最適化された同期パルスの継続時間中の参照電圧を示す図である。
【
図7】本発明に従って最適化された同期パルスの継続時間中の電圧発生器の出力電圧を示す図である。
【
図8】本発明に従って最適化された同期パルスの継続時間中のバス電圧を示す図である。
【
図9】本発明に従って最適化された同期パルスの継続時間中のバス電圧を示す図である。
【
図10】本発明に従って最適化された同期パルスの継続時間中のバス電圧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1および
図2から明らかなように、図示したセンサ装置1,1’は、データバス5と、少なくとも1つのセンサ7と、車両内の制御器のための本発明による受信装置3,3’のそれぞれ1つの実施例とを含んでいる。本発明による受信装置3,3’はそれぞれ、同期パルスP
syncを発生させるための電圧発生器30,30’を含んでいる。本発明によれば、電圧発生器30,30’は、参照電圧U
refをベースにして同期パルスP
syncを実質的に正弦波振動として発生させる電圧増幅器36,36’を含んでいる。
【0020】
図5から明らかなように、電圧発生器30,30’は、所定の規格限界Vo,Vuの範囲内で所定の形状と所定の時間的挙動とを備えた同期パルスP
syncを発生させる。受信装置3,3’は、次の信号伝送を同期させるために、同期パルスP
syncをデータバス5を介して少なくとも1つのセンサ7へ放出する。同期バスシステムが1つのセンサ7または複数のセンサとともに機能するように、図示した同期パルスP
syncは、可能なすべてのバス構成のために、可能なすべての作動条件のもとで、特定の形状と特定の時間的挙動とを有している。
図5からさらにわかるように、同期パルスP
syncはエッジ勾配を有し、このエッジ勾配は、下限値Vuを表わす第1の特性曲線のエッジ勾配と、上限値Voを表わす第2の特性曲線のエッジ勾配とによって設定される。同期パルスP
syncは、その正弦形状または正弦同様の形状により、所定の限界値Vu,Vo内で次のように最適化されており、すなわち特に信号伝送のスペクトル範囲(100kHzないし300kHz)内で可能な限り少ない電磁放射を達成でき、この電磁放射が同期パルスP
syncの基本波の範囲に限定的に留まるように、最適化されている。
【0021】
さらに
図1および
図2から明らかなように、電圧発生器30,30’は、デジタル制御回路32,32’と、少なくとも1つのデジタルアナログ変換器34,34’とを含み、これらは実質的に正弦波状の参照電圧U
refを発生させて電圧増幅器36,36’に出力する。このような正弦波状の参照電圧U
refは
図6に例示されている。デジタルアナログ変換器34,34’の最終分解能に基づく参照電圧U
refの量子化が図示されている。対応する電圧増幅器36,36’の出力電圧U
syncは
図7が示している。図示した実施例は、同期パルスP
syncの非常に確実な実現と、電磁放射の低減とを可能にする。さらに、同期パルスP
syncを発生させるための電圧増幅器36,36’の制御を受信装置3,3’のデジタル部分に完全にスワップすることができ、このことは、半導体技術のスケーリングが常に進歩しているので、面積を効率化させる解決手段になる。
【0022】
さらに
図1から明らかなように、本発明による受信装置3の図示した第1実施例は第1の電圧発生器30を含み、該第1の電圧発生器は、実質的に正弦波状の参照電圧U
refを発生させて第1の電圧増幅器36へ出力する第1のデジタル制御回路32および第1のデジタルアナログ変換器34とを含んでいる。
図1からさらにわかるように、第1の電圧供給部3.1は第1の電圧増幅器36に対して供給電圧を提供し、第2の電圧供給部3.2は、第1のデジタル制御回路32、第1のデジタルアナログ変換器34に対して、および、第1の切換えユニット3.4を介してデータバス5と結合可能な少なくとも1つの他の回路3.3に対して供給電圧を提供する。同期パルスP
syncを出力するため、第1の切換えユニット3.4は少なくとも1つの他の回路3.3をデータバス5から切り離し、第2の切換えユニット38は電圧増幅器36をデータバス5と結合させる。同期パルスP
syncの形状は、デジタル部分内または第1のデジタル制御回路32内にファイルされるか、或いは、デジタル部分内または第1のデジタル制御回路32内でアルゴリズムを用いて演算される。第1のデジタルアナログ変換器34はNビットデータ語から参照電圧を発生させ、該参照電圧は第1の電圧増幅器36に供給される。データ語の分解能は、放射上の理由から、同期パルスP
syncを著しい飛躍なしに描くことができるように選定されている。第1の電圧増幅器36に供給される電圧は、同期パルスP
syncの最大具現振幅よりも大きく、且つその出力電圧U
syncでもって第1のデジタルアナログ変換器34からの参照電圧U
refの形状に追従している。第1の電圧増幅器36の重要な特性は、最終段を適当にディメンショニングした高い駆動力である。このことは、電圧増幅器36またはその最終段が十分に高い電流を提供または受け入れることができて、信号破断および信号変形のない同期パルスP
syncの所望の形状を可能にすることを意味している。
【0023】
さらに
図2から明らかなように、本発明による受信装置3’の図示した第2実施例は、第2のデジタル制御回路32’と第2のデジタルアナログ変換器34’とを備えた第2の電圧発生器30’を含み、第2のデジタル制御回路と第2のデジタルアナログ変換器とは実質的に正弦波状の参照電圧U
refを発生させて、第2の電圧増幅器36’へ出力する。
図2からさらに明らかなように、第1実施例とは異なり、1つの共通の電圧供給部3.1’が、第2のデジタル制御回路32’および第2のデジタルアナログ変換器34’と第2の電圧増幅器36’とのために供給電圧を提供する。さらに、第2の電圧増幅器36’は、データバス5と結合されている少なくとも1つの他の回路3.3’のために供給電圧を提供する。従って、第2の電圧増幅器36’の出力電圧U
syncは、受信装置3’の少なくとも1つの他の回路3,3’のための電圧供給部として使用され、これにより
図1の第1実施例に記載の両電圧供給部3.1,3.2のうちの一方を省略することができる。それ故、受信装置3’の少なくとも1つの他の回路3.3’は同期パルスP
syncの間データバス5から切り離されず、これにより
図1の両切換えユニット3.4,38を省略することができる。切換えユニット3.4,38を省略することにより、第2の電圧発生器30’からのバス電圧U
Busの受け渡しによって相互接続点UPに電圧飛躍が生じないので有利である。次に、
図8と
図9とを参照してこの相互接続点UPについて説明する。
【0024】
図8と
図9は、切換え過程を実施するときにバス電圧U
Busの不正確な受け渡しによって発生することのある作用を例示している。
図1の第1実施例では、現在のバス電圧U
Busは受信装置3の第2の電圧供給部3.2によってスタート時点t
1まで提供される。同期パルス継続時間t
syncの間、第1の電圧増幅器36はデータバス5に出力電圧U
syncを提供する。
【0025】
図8の図示の場合、第1の電圧発生器30’は、同期パルスP
syncの発生開始時の初期電圧は大きすぎるということから出発しており、その結果時点t
1での相互接続点UPでは、通常のバス電圧U
Busから上向きに、第1の電圧増幅器36によって提供される同期電圧U
syncの値まで電圧飛躍が生じることがある。時点t
2での同期パルスP
syncの終了時には、相互接続点UPでの電圧は再び下向きに通常のバス電圧U
Busへ飛躍する。
【0026】
図9の図示の場合、第1の電圧発生器30’は、同期パルスP
syncの発生開始時の初期電圧は低すぎるということから出発しており、その結果時点t
1での相互接続点UPでは、通常のバス電圧U
Busから下向きに、第1の電圧増幅器36によって提供される同期電圧U
syncの値まで電圧飛躍が生じることがある。時点t
2での同期パルスP
syncの終了時には、相互接続点UPでの電圧は再び上向きに通常のバス電圧U
Busへ飛躍する。
【0027】
図10は、本発明による受信装置3’の
図2の第2実施例によって発生させた同期パルスP
syncを示している。2つの別個の電圧供給部を1つの共通の電圧供給部3.1’にまとめ、2つの切換えユニット3.4,38を除去することにより、通常のバス電圧U
Busは低調波または不連続なしに第2の電圧増幅器36’の出力電圧U
syncへ、およびその逆へ移行し得る。
図10から明らかなように、時点t
1での相互接続点UPでは、通常のバス電圧U
Busは第2の電圧増幅器36によって提供された同期電圧U
syncの値へ連続的に移行する。時点t
2での同期パルスP
syncの終了時には、相互接続点UPでの電圧は同様に第2の電圧増幅器36によって提供された同期電圧U
syncの値から通常のバス電圧U
Busへ連続的に再び移行する。
【0028】
受信装置3’の第2実施例でも、同期パルスP
syncの形状はデジタル部分内または第1のデジタル制御回路32内にファイルされるか、或いは、デジタル部分内または第1のデジタル制御回路32内でアルゴリズムを用いて演算される。第2のデジタルアナログ変換器34’はNビットデータ語から参照電圧U
refを発生させ、この参照電圧は第2の電圧増幅器36’に供給される。データ語の分解能は、放射上の理由から、同期パルスP
syncを著しい飛躍なしに描くことができるように選定されている。第2の電圧増幅器36’に供給される電圧も、同期パルスP
syncの最大具現振幅よりも大きく、且つその出力電圧U
syncでもって第2のデジタルアナログ変換器34からの参照電圧U
refの形状に追従している。第2の電圧増幅器36’の重要な特性は、最終段を適当にディメンショニングした高い駆動力である。このことは、第2の電圧増幅器36’またはそれに対応する最終段が十分に高い電流を提供または受け入れることができて、信号破断および信号変形のない同期パルスP
syncの所望の形状を可能にすることを意味している。
【0029】
同期パルスP
syncを発生させ、次に車両内のデータバス5を介して受信装置3,3’と少なくとも1つのセンサ7との間での信号伝送を同期化するために前記同期パルスを発生させる本発明による方法の実施形態は、所定の規格限界値Vo,Vuの範囲内で所定の形状および所定の時間的挙動を備える同期パルスP
syncを発生させる。少なくとも1つのセンサ7と受信装置3,3’との間での信号伝送開始時に、同期パルスP
syncを受信装置3,3’から少なくとも1つのセンサ7へ伝送させる。本発明によれば、参照電圧U
refをベースにして同期パルスP
syncを実質的に正弦波振動として発生させる。
【符号の説明】
【0030】
3,3’ 受信装置
3.1 第1の電圧供給部
3.1’ 共通の電圧供給部
3.2 第2の電圧供給部
3.3 他の回路
3.3’ 他の回路
3.4 第1の切換えユニット
5 データバス
7 センサ
30,30’ 電圧発生器
32,32’ デジタル制御回路
34,34’ デジタルアナログ変換器
36,36’ 電圧増幅器
38 第2の切換えユニット
P
sync 同期パルス
U
ref 参照電圧
Vo,Vu 規格限界値